以下に、本発明の実施の形態にかかる移動ロボットを図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる移動ロボットの全体構成を示す斜視図である。以下の説明では、鉛直方向がZ軸方向に平行であり、水平方向がXY平面に平行である場合について説明する。
移動ロボット1は、例えば、無線通信などを介して送られてくる指示に従って走行する移動台車11と、移動台車11に搭載されるとともにワーク(被加工物)などへの特定の作業を行う作業装置101とを備えている。移動台車11は、XY平面と平行な面内を走行する。
移動ロボット1は、移動台車11を用いて作業位置まで移動し、この作業位置で作業装置101が作業を実行する。本実施の形態の移動ロボット1は、移動台車11による走行動作と作業装置101による作業動作とを、共通の動力発生装置(動力源)からの動力によって実行する。例えば、移動台車11に動力発生装置を配置することで、作業装置101を小型化および軽量化できる。これにより、移動ロボット1全体の低コスト化を図ることができる。
図2は、実施の形態1にかかる移動ロボットが備える移動台車の上面側の構成を説明するための図である。図3は、実施の形態1にかかる移動ロボットが備える移動台車の底面側の構成を説明するための図である。図4は、実施の形態1にかかる移動ロボットが備える作業装置の上面側の構成を説明するための図である。図5は、実施の形態1にかかる移動ロボットが備える作業装置の底面側の構成を説明するための図である。図6は、実施の形態1にかかる移動ロボットが備える動力伝達接続部および動力入力部の構成を示す図である。図7は、図6に示す動力伝達接続部および動力入力部の接続状態を説明するための図である。図2および図3では、移動台車11の斜視図を示し、図4および図5では、作業装置101の斜視図を示し、図6および図7では、動力伝達接続部51および動力入力部111の斜視図を示している。なお、図6では、動力伝達接続部51の上面および動力入力部111の底面を見やすくするため、動力伝達接続部51および動力入力部111をそれぞれ異なる方向から見た図で示している。
移動台車11は、底面側に配置された円板状の部材である円板部材92と、上面側に配置された円板状の部材である円板部材91とを備えている。移動台車11は、円板部材92側に配置された、走行機構の一例である車輪21,22と、補助輪23,24と、動力発生装置31,32と、動力切替部41,42と、走行動作ブレーキ71,72と、作業動作ブレーキ73,74とを備えている。また、移動台車11は、円板部材91と円板部材92との間に配置されたエネルギ貯蔵装置61と、円板部材91を貫通するよう配置された動力伝達接続部51,52とを備えている。
移動台車11は、車輪21,22および補助輪23,24が回転することによって走行する。駆動装置である動力発生装置31,32は、移動ロボット1および車輪21,22を動作させるための動力を発生させる装置である。動力発生装置31,32の例は、モータである。
動力切替部41,42は、それぞれ動力発生装置31,32が発生させた動力の伝達先を切替える。動力切替部41,42は、それぞれ動力発生装置31,32が発生させた動力を、車輪21,22または動力伝達接続部51,52に、選択的に伝達可能なよう構成されている。すなわち、動力切替部41は、動力発生装置31が発生させた動力を車輪21に伝達する際には車輪21に接続し、動力発生装置31が発生させた動力を動力伝達接続部51に伝達する際には動力伝達接続部51に接続する。また、動力切替部42は、動力発生装置32が発生させた動力を車輪22に伝達する際には車輪22に接続し、動力発生装置32が発生させた動力を動力伝達接続部52に伝達する際には動力伝達接続部52に接続する。動力切替部41,42は、例えば、クラッチ機構を用いて動力の伝達先を切替える。
ここで、動力切替部41の構成例について説明する。動力切替部41は、2つの円柱部材を備えている。これらの円柱部材は、中心軸の位置に穴が設けられており、動力発生装置31が備える回転軸が差し込まれている。動力切替部41が備える第1の円柱部材には、ベルトがかけられており、ベルトを介して動力を動力伝達接続部51に伝達可能となっている。また、動力切替部41が備える第2の円柱部材には、ベルトがかけられており、ベルトを介して動力を車輪21に伝達可能となっている。動力切替部41は、動力伝達接続部51に動力を伝達する際には、電磁石によって第1の円柱部材を、動力発生装置31が備える回転軸に接続し、第1の円柱部材を回転させる。また、動力切替部41は、車輪21に動力を伝達する際には、電磁石によって第2の円柱部材を、動力発生装置31が備える回転軸に接続し、第2の円柱部材を回転させる。動力切替部42の構造は、動力切替部41の構造と同様である。
円板部材91には、挿入穴が設けられている。この挿入穴は、円板部材91の上面および底面を貫通する穴である。円板部材91の挿入穴には、動力伝達接続部51,52が挿入されている。
動力伝達接続部51は、動力伝達接続部51の回転部51dが円板部材92の底面側から突出するよう、回転部51dが挿入穴に差し込まれている。また、動力伝達接続部52は、動力伝達接続部52の回転部52dが円板部材92の底面側から突出するよう、回転部52dが挿入穴に差し込まれている。動力伝達接続部51,52は、動力発生装置31,32が発生させた動力を作業装置101に伝達する。すなわち、動力伝達接続部51,52は、移動台車11の底面側で発生した動力を、作業装置101に伝達する。
動力伝達接続部51,52は、それぞれ円板状の部材である円板部51b,52bを備えている。円板部51b,52bには、それぞれ複数の貫通穴51a,52aが設けられている。また、動力伝達接続部51,52は、円板部51b,52bが配置される側とは反対側の端部に回転部51d,52dを備えている。動力伝達接続部51,52は、同様の構成を有しているので、以下では動力伝達接続部51の構成について説明する。
動力伝達接続部51は、円板部51b、軸部51c、および回転部51dを備えている。動力伝達接続部51では、一方の端部(上部側)に円板部51bが配置され、他方の端部(下部側)に回転部51dが配置されている。そして、円板部51bの底面と回転部51dとが、Z軸方向に延びる軸部51cを介して接続されている。動力伝達接続部51は、円板部51bの上面と円板部材91上面とが平行になるよう、円板部材91の挿入穴に回転部51dから差し込まれている。これにより、軸部51cが移動台車11の底面側に延び、回転部51dが移動台車11の底面側から突出する。
回転部51dは、動力切替部41を介して動力発生装置31に接続可能となっている。回転部51dは、動力切替部41によって動力発生装置31に接続されると、動力発生装置31で発生した動力によってZ軸方向を回転軸として回転する。これにより、軸部51cおよび円板部51bが、Z軸方向を回転軸として回転する。このとき、円板部51bは、円板部材91の上面と同じ面内で回転する。
エネルギ貯蔵装置61は、動力発生装置31,32の駆動に用いられるエネルギを貯蔵する装置である。エネルギ貯蔵装置61の例は、電池である。移動ロボット1に配置されるエネルギ貯蔵装置61は、複数個であってもよい。動力発生装置31は、移動台車11による走行動作と、作業装置101が備える作業機構による作業動作とを実行する際に、共通のエネルギ貯蔵装置61からエネルギを取得する。また、動力発生装置32は、移動台車11による走行動作と、作業装置101による作業動作とを実行する際に、共通のエネルギ貯蔵装置61からエネルギを取得する。
走行動作ブレーキ71,72は、移動台車11を減速するためのブレーキである。走行動作ブレーキ71は、車輪21に力を与えることで車輪21の回転動作を停止させ、走行動作ブレーキ72は、車輪22に力を与えることで車輪22の回転動作を停止させる。
作業動作ブレーキ73,74は、動力伝達接続部51,52を減速するためのブレーキである。作業動作ブレーキ73は、動力伝達接続部51に接続された部材に力を加えることで動力伝達接続部51の回転動作を停止させ、作業動作ブレーキ74は、動力伝達接続部52に接続された部材に力を加えることで動力伝達接続部52の回転動作を停止させる。
作業装置101は、円板状の部材である円板部材93を備えている。移動ロボット1では、移動台車11が備える円板部材91の上面と、作業装置101が備える円板部材93の底面93bとが対向するよう、作業装置101が移動台車11に載せられている。すなわち、動力発生装置31,32およびエネルギ貯蔵装置61は、移動台車11と作業装置101との接続面よりも低い位置に搭載される。
作業装置101は、円板部材93の上面93a側に配置された、動力変換部121と、無限軌道装置131,132とを備えている。また、作業装置101は、円板部材93に設けられた貫通穴に配置された動力入力部111を備えている。
無限軌道装置131,132は、ベルトを回転させることでベルトに載置されたワークを移動させる装置である。無限軌道装置131,132は、上面93aと平行な面内で特定方向(X軸方向)にワークを移動させる。
動力入力部111は、動力伝達接続部51,52に着脱可能となっている。動力入力部111は、動力発生装置31,32が発生させた動力を作業装置101側に入力する。動力入力部111は、円板部材93を貫通するよう配置されている。動力入力部111は、一方の端部(下部側)に円板状の部材である円板部111bを備えている。円板部111bは、動力伝達接続部51または動力伝達接続部52に接続可能であり、動力伝達接続部51または動力伝達接続部52からの回転動力によって回転軸周りに回転する。円板部111bの底面には、複数の凸部111aが設けられている。
各凸部111aは、円板部111bの中心からの距離が同じで隣接する凸部111aとの間の距離が等間隔となるよう、円板部111bの底面に配置されている。同様に、貫通穴51aは、円板部51bの中心からの距離が同じで隣接する貫通穴51aとの間の距離が等間隔となるよう、円板部51bの上面に配置されている。また、貫通穴52aは、円板部52bの中心からの距離が同じで隣接する貫通穴52aとの間の距離が等間隔となるよう、円板部52bの上面に配置されている。このように、各凸部111aは、円板部111bの中心から同心円状に配置されており、貫通穴51aは、円板部51bの中心から同心円状に配置されており、貫通穴52aは、円板部52bの中心から同心円状に配置されている。
凸部111aは、貫通穴51aの穴形状に適合する形である。凸部111aは、例えば円柱状をなしている。また、凸部111aは、貫通穴51aまたは貫通穴52aに挿入可能なサイズとなっている。すなわち、凸部111aの直径は、貫通穴51a,52aの直径よりも少しだけ大きい。凸部111aが貫通穴51aまたは貫通穴52aの穴に嵌まり込むことによって、動力伝達接続部51の回転動力を動力入力部111に伝達することが可能となる。
なお、凸部111aの位置に貫通穴が配置され、貫通穴51a,52aの位置に凸部が配置されてもよい。また、円板部51b,52bは、貫通穴51a,52aの代わりに凹部が設けられてもよい。
また、動力入力部111は、他方の端部(上部側)に、ねじ歯車(ウォーム)111dを備えている。ねじ歯車111dと円板部111bとは軸状の部材である軸部111cを介して接続されている。
移動ロボット1では、動力入力部111が、動力伝達接続部51,52の何れかに接続される。すなわち、移動ロボット1では、凸部111aが貫通穴51a,52aの何れかに噛み合わせられる。本実施の形態では、動力入力部111が、動力伝達接続部51に接続される場合について説明する。
動力変換部121は、動力入力部111を介して伝達されてくる動力を無限軌道装置131,132に伝達する。動力変換部121は、歯車121aおよび回転軸部121bを備えており、歯車121aがねじ歯車111dと噛み合わせられている。すなわち、動力変換部121の歯車121aと、ねじ歯車111dとは、ウォームギア機構として動作する。
ねじ歯車111dはZ軸方向に平行な軸を回転軸として回転し、歯車121aはY軸方向に平行な軸を回転軸として回転する。歯車121aは、Y軸方向に延びる回転軸部121bに接続されており、回転軸部121bは、無限軌道装置131,132のベルトを回転させるローラに接続されている。回転軸部121bは、歯車121aとともにY軸方向に平行な軸を回転軸として回転し、無限軌道装置131,132のベルトを回転させるローラもY軸方向に平行な軸を回転軸として回転する。このローラの回転により無限軌道装置131,132のベルトが回転する。
図7に示すように、凸部111aが貫通穴51aに噛み合わせられた状態で、動力伝達接続部51が回転すると、動力入力部111が回転する。これにより、動力変換部121が回転し、無限軌道装置131,132のベルトが回転する。このように、動力発生装置31が発生させた動力が動力変換部121を介して無限軌道装置131,132に伝達される。
なお、動力変換部121は、変速機の機能を備えていてもよい。この場合、動力変換部121は、動力入力部111から伝達される動力の動力特性を変更して作業装置101に作業を行わせる。すなわち、動力変換部121は、回転動力の回転数、およびトルクを任意の大きさに変更して無限軌道装置131,132に伝達することができる。
このように、動力伝達接続部51と動力入力部111とが着脱可能となっているので、移動台車11へは、作業装置101以外の作業装置を搭載することができる。この場合、移動台車11に搭載される作業装置は、動力入力部111を有していればよい。移動台車11へは、種々の作業装置を着脱できるので、移動ロボット1は、多種多様な作業を実現することができる。
仮に、作業装置が複数種類の作業機構を備えている場合に、1つの動力発生装置(駆動装置)からの動力の伝達経路を何れかの作業機構に切替える場合、移動ロボットの構成および制御が複雑化する。このため、作業の自由度が多い作業装置に対して動力の伝達経路を切替えることは困難である。
実施の形態1では、作業装置101が第1の作業装置であり、動力発生装置31または動力発生装置32が第1の動力発生装置である。また、動力伝達接続部51または動力伝達接続部52が、第1の動力伝達接続部であり、動力入力部111が第1の動力入力部であり、動力切替部41または動力切替部42が、第1の動力切替部である。また、無限軌道装置131,132および動力変換部121が、第1の作業機構である。
図8は、実施の形態1にかかる移動ロボットを備えた作業移動システムの構成を説明するための図である。作業移動システム10は、移動ロボット1および管理システム2を備えている。移動ロボット1は、移動台車11および作業装置101を有しており、移動台車11が管理システム2に接続されている。
移動台車11は、制御装置12と、移動台車センサ13と、動力切替部41,42と、動力発生装置31,32と、走行動作ブレーキ71,72と、作業動作ブレーキ73,74とを有している。なお、移動台車11が有する他の構成要素については、図示を省略している。
管理システム2は、移動ロボット1を管理するコンピュータである。管理システム2は、コンピュータを有しており、コンピュータによって移動ロボット1を管理する。管理システム2は、移動台車11の制御装置12を制御することによって移動ロボット1を管理する。管理システム2は、制御装置12に対して制御指令を送信するとともに、制御装置12との間で移動ロボット1の状態を示す情報の送受信を行う。移動台車センサ13は、移動台車11の位置および状態を観測し、観測結果を制御装置12に送信する。
制御装置12は、管理システム2からの制御指令に基づいて、移動ロボット1の走行動作、作業動作、停止動作などを計画する。制御装置12は,計画した情報に基づいて、動力切替部41,42、動力発生装置31,32、走行動作ブレーキ71,72、および作業動作ブレーキ73,74を制御する。また、制御装置12は、移動台車センサ13から送られてきた観測結果を管理システム2に送信する。本実施の形態では、移動動作、作業動作、および停止動作の何れの動力源(動力発生装置31,32)も移動台車11側に配置されているので、作業装置101側に制御装置12とは別の制御装置を配置する必要はない。
つぎに、移動ロボット1の動作について説明する。ここでは、移動ロボット1の動作の一例として、移動ロボット1が移動台車11でワークの位置まで移動し(第1段階)、移動台車11を停止して作業装置101の動作を開始し(第2段階)、作業装置101でワークを回収し(第3段階)、移動台車11で元の位置まで戻る(第4段階)場合の動作について説明する。
図9は、実施の形態1にかかる移動ロボットの第1段階の状態を示す図であり、図10は、実施の形態1にかかる移動ロボットの第2段階の状態を示す図であり、図11は、実施の形態1にかかる移動ロボットの第3段階の状態を示す図であり、図12は、実施の形態1にかかる移動ロボットの第4段階の状態を示す図である。図9から図12では、移動台車11がX軸方向に走行する場合について説明する。なお、制御装置12が管理システム2から送られてくる指令に従って動作する際の説明をする際に、管理システム2から制御装置12への指令の送信処理を省略する場合がある。
第1段階では、動力入力部111は、動力伝達接続部51に接続していても、接続していなくてもよい。ここで、管理システム2が、制御装置12にワーク3の搬送指令を送信したとする。移動ロボット1の制御装置12は、動力発生装置31,32からの動力が車輪21,22側に伝達されるように動力切替部41,42を操作する。そして、制御装置12は、走行動作ブレーキ71,72を開放し、作業動作ブレーキ73,74を動作状態(ブレーキ状態)とする。この状態で、動力発生装置31,32が動力を発生させると、動力発生装置31,32で発生した動力(回転動力)が、動力切替部41,42を介して車輪21,22に伝わる。これにより、車輪21,22が回転し、移動ロボット1の移動台車11が走行する。
制御装置12は、無限軌道装置131と無限軌道装置132との間の隙間領域に、ワーク3を載置しているワーク置き場200が差し込まれるよう、移動台車11を移動させる。すなわち、制御装置12は、X軸方向に延設されているワーク置き場200が、無限軌道装置131と無限軌道装置132とで挟まれるよう、移動台車11をX軸方向に移動させる。
制御装置12は、移動台車センサ13から送られてくる観測結果、または管理システム2から送られてくる指令に基づいて、移動ロボット1が目標位置に到達したか否かを判定する。制御装置12は、移動ロボット1が目標位置に到達したと判定すると、動力発生装置31,32からの動力発生を停止させ、走行動作ブレーキ71,72によって移動台車11の走行動作を停止させる。
この後、第2段階では、制御装置12は、動力切替部41を操作し、動力発生装置31からの動力を動力伝達接続部51に伝達可能な状態にする。この状態で、制御装置12は、作業動作ブレーキ73を開放させ、動力発生装置31を動作させる。この動作により、発生した動力は動力伝達接続部51を介して作業装置101の動力入力部111に伝達され、動力はさらに先の動力変換部121を介して、無限軌道装置131,132に伝達される。これにより、ワーク3は、無限軌道装置131,132の動作に従って移動を開始する。
なお、移動ロボット1は、作業装置101がワーク3に衝突しないよう、ワーク3の下側から無限軌道装置131,132をワーク3に近づけ、作業装置101を少し持ち上げることによって無限軌道装置131,132でワーク3を底面側から持ち上げてもよい。この場合、ワーク3を、ワーク置き場200からY軸方向にはみ出すよう配置しておき、移動ロボット1は、はみ出し位置の下側から無限軌道装置131,132を上昇させる。
第3段階では、制御装置12は、移動台車センサ13から送られてくる観測結果、または管理システム2から送られてくる指令に基づいて、無限軌道装置131,132の動作を制御する。制御装置12が、無限軌道装置131,132のベルトを回転させている間、ワーク3は、無限軌道装置131,132のベルトの回転に沿ってベルト上を移動する。これにより、作業装置101が、ワーク3を回収する。この後、制御装置12は、動力発生装置31からの動力発生を停止させ、作業動作ブレーキ73によって作業装置101の動作を停止させる。
第4段階では、制御装置12は、再度動力切替部41を操作し、動力発生装置31からの動力を車輪21に伝達可能な状態にする。この状態で,制御装置12は、走行動作ブレーキ71,72を開放させ、動力発生装置31,32を動作させる。この動作により、発生した動力は動力切替部41,42を介して車輪21,22に伝達される。これにより、車輪21,22が回転し、移動台車11は走行する。移動ロボット1は、これらの一連の動作をワーク3の引き渡し時にも同様に実施する。これにより、移動ロボット1は、ワーク3の搬送作業を完遂する。
このように、移動ロボット1は、移動台車11に備えられた動力発生装置31,32が発生させた動力を、動力切替部41,42によって車輪21,22または動力伝達接続部51,52へと選択的に切り換え可能としている。これにより、移動ロボット1は、走行動作と作業動作の双方を、各1自由度あたり1つの動力発生装置で実現することが可能になる。
また、重量の多くを占める動力発生装置31,32およびエネルギ貯蔵装置61を移動台車11にまとめて配置することができるので、移動ロボット1全体を小型化、軽量化、低コスト化できるとともに、重心位置を低くすることができる。移動ロボット1は、重心位置が低くなることによって、走行時および作業時の安定性を向上できる。仮に、動力発生装置31,32の質量が大きい場合に、動力発生装置31,32を作業装置に搭載すると、移動ロボット全体の重心が高くなり、走行時および作業時の安定性が低下する。
また、移動ロボット1は、動力発生装置の数を削減できるので、作業装置の動力発生装置と移動台車の動力発生装置とを別々に備える移動ロボットと比較して、省エネルギ化を実現できる。
このように実施の形態1によれば、動力切替部41,42が、動力発生装置31,32との接続を、動力伝達接続部51,52または車輪21,22に切り替えるので、移動ロボット1は、移動台車11による移動と作業装置101による作業とを小さな装置構成で実現できる。
また、動力伝達接続部51,52と動力入力部111とが着脱可能となっているので、移動ロボット1では、移動台車11に種々の作業装置の取り付けおよび取り外しを行うことができる。これにより、生産環境の変化に対して柔軟に作業装置を選択して着脱することが可能となる。
実施の形態2.
つぎに、図13から図19を用いてこの発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、移動ロボットが備える作業装置がZ軸方向の移動動作およびXY平面内における回転動作を実行する。実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、移動ロボットは、動力発生装置31,32が発生させた動力を、動力切替部41,42によって車輪21,22または動力伝達接続部51,52へと切り換える。
図13は、実施の形態2にかかる移動ロボットの構成例を示す斜視図である。なお、図13の各構成要素のうち図1に示す移動ロボット1と同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
移動ロボット1Aは、移動台車11と、作業装置101Aとを備えている。作業装置101Aは、作業装置101と同様に、移動台車11に載置されている。移動ロボット1Aは、移動台車11を用いて作業位置まで移動し、この作業位置で作業装置101Aが作業を実行する。
図14は、実施の形態2にかかる移動ロボットが備える作業装置の上面側の構成を説明するための図である。図15は、実施の形態2にかかる移動ロボットが備える作業装置の底面側の構成を説明するための図である。図14および図15では、作業装置101Aの斜視図を示している。
作業装置101Aは、円板状の部材である円板部材94を備えている。円板部材94は、円板部材93と同様の大きさおよび形状を有している。移動ロボット1Aでは、移動台車11が備える円板部材91の上面と、作業装置101Aが備える円板部材94の底面94bとが対向するよう、作業装置101Aが移動台車11に載せられている。
作業装置101Aは、円板部材94の上面94a側に配置された、直動部221と、直動装置222と、伸縮回転部231と、伸縮回転装置232と、撮像装置241と、直動台座242とを備えている。また、作業装置101Aは、円板部材94の底面94b側に配置された、動力入力部211,212を備えている。
動力入力部211,212は、動力入力部111と同一の構造を有しており、同様の動作を行う。動力入力部211は、円板部111bと同様の形状を有した円板部211bを備えており、円板部211bには、複数の凸部211aが設けられている。同様に、動力入力部212は、円板部111bと同様の形状を有した円板部212bを備えており、円板部212bには、複数の凸部212aが設けられている。凸部211a,212aは、凸部111aと同様の構造を有している。動力入力部211,212は、一方の端部(下部側)に円板部211b,212bが配置されており、他方の端部(上部側)が円板部材94の上面94a側に延設されている。
直動装置222は、動力入力部211に接続されており、動力入力部211から供給される回転動力を直動部221に伝達する。直動装置222は、動力入力部211から供給される回転動力によって、雄ねじが形成された棒状の直動部221を回転させる。直動部221は、Z軸方向に延設されている。直動台座242は、板状部材を用いて構成されており、一方の端部242a上に撮像装置241を載置する。直動台座242の他方の端部242bには、雌ねじが形成されており、直動部221の雄ねじに螺合されている。
直動台座242は、一方の端部242aの底面が、Z軸方向に伸縮可能な伸縮回転部231を介して円板部材94の上面94aに接続されている。この構成により、直動台座242は、一方の端部242aが、X軸方向およびY軸方向において固定され、Z軸方向に移動可能となっている。したがって、直動部221が回転することによって、直動台座242は、Z軸方向に移動し、これにより撮像装置241がZ軸方向に移動する。直動台座242および直動部221からなる移動機構の例は、ボールねじ機構である。
伸縮回転部231は、Z軸方向の伸縮と、XY平面に平行な面内での回転とを行う。伸縮回転部231は、伸縮回転装置232からの回転動力を、撮像装置241に伝達する。伸縮回転部231は、Z軸方向に延びる筒状の部材が組み合わされて構成されている。伸縮回転部231の上部側の端部は、直動台座242の板状部材に設けられた穴を貫通して、撮像装置241の底部に接続されている。伸縮回転部231の下部側の端部は、円板部材94の上面94aおよび伸縮回転装置232に接続されている。
伸縮回転装置232は、動力入力部212に接続されており、動力入力部212から供給される回転動力を伸縮回転部231に伝達する。伸縮回転部231は、伸縮回転装置232から供給される回転動力によってZ軸方向を回転軸として回転し、これにより、伸縮回転部231に接続された撮像装置241を回転させる。
このように、撮像装置241は、動力入力部212から供給される回転動力によって高さ方向であるZ軸方向の位置が調整され、動力入力部211から供給される回転動力によってXY平面に平行な面内で回転方向が調整される。すなわち、移動ロボット1Aは、2つの動力入力部211,212によって、撮像装置241の高さ方向および面内方向(観測方向)の2自由度制御を実現している。
実施の形態2では、作業装置101Aが第1の作業装置であり、動力発生装置31,32が第1の動力発生装置である。また、動力伝達接続部51,52が、第1の動力伝達接続部であり、動力入力部211,212が第1の動力入力部であり、動力切替部41,42が、第1の動力切替部である。また、伸縮回転装置232、伸縮回転部231、直動装置222、直動部221、および直動台座242が、第1の作業機構である。
図16は、実施の形態2にかかる移動ロボットが備える伸縮回転部の構成を示す図である。図17は、図16に示した伸縮回転部が備える円筒部材の構成を示す図である。図18は、図17に示した円筒部材の内部構成を説明するための図である。図16では、伸縮回転部231の斜視図を示し、図17では、円筒部材233Aの斜視図を示し、図18では、円筒部材233Aの部分断面図を示している。
伸縮回転部231は、最外円筒部材236と、円筒部材233A,233Bと、歯車237とを有している。なお、ここでは、伸縮回転部231が、2つの円筒部材233A,233Bを備える場合について説明するが、伸縮回転部231が備える円筒部材は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
歯車237は、最外円筒部材236の底面で最外円筒部材236に接続されており、伸縮回転装置232が有する歯車と噛み合っている。歯車237は、伸縮回転装置232からの回転動力を最外円筒部材236に伝達する。
最外円筒部材236の内部には、円筒部材233Aが配置されており、最外円筒部材236は、歯車237からの回転動力を円筒部材233Aに伝達する。すなわち、伸縮回転部231の最下部に位置する最外円筒部材236には、伸縮回転装置232を介して伝達される回転動力を受けるための構造(例えば歯車237を用いた歯車構造)が用いられている。円筒部材233Aの内部には、円筒部材233Bが配置されており、円筒部材233Aは、最外円筒部材236からの回転動力を円筒部材233Bに伝達する。円筒部材233Bは、撮像装置241の底面に接続されており、円筒部材233Aからの回転動力を撮像装置241に伝達する。
円筒部材233Aと円筒部材233Bとは、それぞれ半径の異なる円筒を用いて形成されている。円筒部材233Aの内側側面と、最外円筒部材236の内側側面とは、同様の形状を有している。円筒部材233Aの内側側面は、円筒部材233Bを挿入可能な大きさであり、最外円筒部材236の内側側面は、円筒部材233Aを挿入可能な大きさである。また、円筒部材233Aの外側側面と、円筒部材233Bの外側側面とは、同様の形状を有している。
円筒部材233Aは、筒の内部に円筒部材233Bを挿入可能な形状となっている。円筒部材233Bは、円筒部材233Aの内側でZ軸方向に移動可能となっている。すなわち、円筒部材233Bは、円筒部材233Aに対して、Z軸方向に移動可能なよう嵌め合わされている。円筒部材233Bが、最外円筒部材236の内側でZ軸方向に移動するほど、伸縮回転部231は、Z軸方向に延びる。
円筒部材233A,233Bは、それぞれ、外側の側面に、2本の凸部235aと、抜け防止の2つの突起235bとを有している。円筒部材233Aの凸部235aは、円筒部材233Aの軸方向に平行な棒形状となっており、円筒部材233Bの凸部235aは、円筒部材233Bの軸方向に平行な棒形状となっている。円筒部材233Aの2本の凸部235aは、円筒部材233Aの中心軸を挟んで対向する位置に配置されており、円筒部材233Bの2本の凸部235aは、円筒部材233Bの中心軸を挟んで対向する位置に配置されている。同様に、円筒部材233Aの2つの突起235bは、円筒部材233Aの中心軸を挟んで対向する位置に配置されており、円筒部材233Bの2つの突起235bは、円筒部材233Bの中心軸を挟んで対向する位置に配置されている。円筒部材233A,233Bでは、それぞれ、突起235bが円筒部材233A,233Bの下方に配置されている。
ここでは、円筒部材233A,233Bが、それぞれ2つの凸部235aを有する場合について説明するが、円筒部材233A,233Bは、それぞれ1つまたは3つ以上の凸部235aを有していてもよい。また、ここでは、円筒部材233A,233Bが、それぞれ2つの突起235bを有する場合について説明するが、円筒部材233A,233Bは、それぞれ1つまたは3つ以上の突起235bを有していてもよい。
円筒部材233Aの突起235bは、円筒部材233Aの下部に配置されており、円筒部材233Bの突起235bは、円筒部材233Bの下部に配置されている。円筒部材233Aは、円筒部材233Bの外側側面よりも少し大きな内側側面を有している。円筒部材233Bは、円筒部材233Bの外側側面と、円筒部材233Aの内側側面とが対向するよう、円筒部材233A内に入れられている。
円筒部材233Aの内側側面には、凸部235aよりも少し大きな幅の2本の凹部(溝部)235cが設けられている。円筒部材233Aにおける、凹部235cおよび凸部235aのZ軸方向の長さは、円筒部材233AのZ軸方向の長さと同じ長さである。凹部235cは、円筒部材233Aの中心軸を挟んで対向する位置に配置されている。凹部235cには、凹部235cと平行になるよう円筒部材233Bの凸部235aが差し込まれており、円筒部材233Bの凸部235aは、凹部235cに沿って移動可能となっている。
また、円筒部材233Aの内側側面には、突起235bの幅よりも少し大きな幅の2本の凹部235dが設けられている。凹部235dは、円筒部材233Aの底側から上部側に向かって延設されているが、円筒部材233Aの最上部までは到達していない。凹部235dは、円筒部材233Aの中心軸を挟んで対向する位置に配置されている。凹部235dには、凹部235dと平行になるよう円筒部材233Bの突起235bが差し込まれており、円筒部材233Bの突起235bは、凹部235dに沿って移動可能となっている。このように、円筒部材233Bの突起235bは、凹部235d内で移動可能となっており、凹部235dよりも外側には移動できない。これにより、伸縮回転部231は、円筒部材233Bが円筒部材233Aから抜け出すことを防止できる。
このように、伸縮回転部231では、円筒部材233Bを円筒部材233Aに嵌め合わせることで、Z軸方向には、円筒部材233Bの突起235bが凹部235dに干渉しない範囲で自由に相対移動できる。また、円筒部材233A,233Bでは、円周方向には円筒部材233Bの凸部235aと、円筒部材233Aの凹部235cとが噛み合うことで、円筒部材233Bの回転は、円筒部材233Aの回転に拘束される。
円筒部材233Aは、最外円筒部材236の内側でZ軸方向に移動可能となっている。すなわち、円筒部材233Aは、最外円筒部材236に対して、Z軸方向に移動可能なよう嵌め合わされている。円筒部材233Aが、最外円筒部材236の内側でZ軸方向に移動するほど、伸縮回転部231は、Z軸方向に延びる。なお、最外円筒部材236の内側側面は、円筒部材233Aの内側側面と同様の形状を有しているので、その説明を省略する。
ここでは、最外円筒部材236に対して、2つの円筒部材233A,233Bを用いる場合について説明したが、Z軸方向への更なる伸縮量が必要な場合には、円筒部材233Bよりも更に径の小さな円筒部材を円筒部材233Bの内側に配置すればよい。このように、伸縮回転部231では、最外円筒部材236に対し、径が徐々に変化する円筒部材が重ねて用いられている。これにより、伸縮回転部231では、直動装置222によって直動台座242の高さ方向の位置が変化した際に、直動台座242とともに高さが変化する。これにより、伸縮回転部231は、動力入力部212からの回転動力を、伸縮回転部231を介して撮像装置241に伝えることができる。また、伸縮回転部231は、撮像装置241に接続されているので、撮像装置241の向きを変更することができる。なお、伸縮回転部231の構成は、図16に示した構成に限らず、何れの構成であってもよい。
移動ロボット1Aは、移動ロボット1と同様に、管理システム2からの指令に従って動作する。移動ロボット1Aを備えた作業移動システムの構成は、実施の形態1で説明した作業移動システム10と同様であるので、その説明は省略する。
図19は、実施の形態2にかかる移動ロボットの動作を説明するための図である。図19では、移動台車11がX軸方向に走行する場合について説明する。なお、制御装置12が管理システム2から送られてくる指令に従って動作する際の説明をする際に、管理システム2から制御装置12への指令の送信処理を省略する場合がある。
管理システム2が、制御装置12に監視指令を送信したとする。移動ロボット1Aは、移動ロボット1と同様に移動台車11を走行させる。すなわち、移動ロボット1Aの制御装置12は、動力発生装置31,32からの動力が車輪21,22側に伝達されるように動力切替部41,42を操作する。そして、制御装置12は、走行動作ブレーキ71,72を開放し、作業動作ブレーキ73,74を動作状態(ブレーキ状態)とする。この状態で、動力発生装置31,32が動力を発生させると、動力発生装置31,32で発生した動力が、動力切替部41,42を介して車輪21,22に伝わる。これにより、車輪21,22が回転し、移動ロボット1Aの移動台車11が走行する。図19では、移動台車11が走行を開始した状態を状態S1として図示している。
制御装置12は、移動台車センサ13から送られてくる観測結果、または管理システム2から送られてくる指令に基づいて、移動ロボット1Aが目標位置に到達したか否かを判定する。制御装置12は、移動ロボット1Aが目標位置に到達したと判定すると、動力発生装置31,32からの動力発生を停止させ、走行動作ブレーキ71,72によって移動台車11の走行動作を停止させる。
制御装置12は、動力切替部41,42を操作し、動力発生装置31,32からの動力を動力伝達接続部51,52に伝達可能な状態にする。制御装置12は、この状態で,作業動作ブレーキ73,74を開放し、動力発生装置31,32をそれぞれ動作させると、発生した動力は動力伝達接続部51,52を介して、作業装置101Aの動力入力部211,212に伝達される。これにより、直動装置222および伸縮回転装置232が動作する。直動装置222の動作によって撮像装置241の高さが変更され、伸縮回転装置232の動作によって撮像装置241の撮影方向が変更される。図19では、撮像装置241が、高さおよび撮像方向を変更している状態を状態S2として図示している。
移動ロボット1Aは、管理システム2の指令に応じた撮像を終了すると、動力発生装置31,32からの動力発生を停止し、作業動作ブレーキ73,74によって作業装置101Aの動作を停止させる。そして、制御装置12は、再度動力切替部41,42を操作し、動力発生装置31,32からの動力を車輪21,22に伝達可能な状態にする。この状態で,走行動作ブレーキ71,72を開放し、動力発生装置31,32を動作させると、発生した動力は動力切替部41,42を介して車輪21,22を回転させ、移動台車11が走行する。図19では、移動台車11が走行を再開した状態を状態S3として図示している。なお、移動ロボット1Aは、移動台車11の走行中にも撮像を行ってもよい。移動ロボット1Aは、これらの一連の動作(図19で説明した動作)を繰り返し実施することによって、監視作業を完遂する。
このように実施の形態2によれば、移動ロボット1Aは、実施の形態1と同様に、移動台車11による移動と作業装置101Aによる作業とを小さな装置構成で実現できる。また、動力伝達接続部51,52に接続する動力入力部211,212を、移動ロボット1の動力入力部111と共通の構造にしているので、同じ移動台車11に作業装置101Aおよび作業装置101を搭載することができる。すなわち、作業装置の動力入力部が動力入力部111と共通の構造を有していれば、任意の作業装置を移動台車11に自由に搭載および入れ替えることができる。したがって、多岐に渡る作業を1つの移動台車11で実現できる。
実施の形態3.
つぎに、図20から図30を用いてこの発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3では、移動ロボットが、移動台車11と、作業装置101と、作業装置101を昇降させる昇降装置とを備える。実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、移動台車11に備えられた動力発生装置31,32が発生させた動力を、動力切替部41,42によって車輪21,22または動力伝達接続部51,52へと選択的に切り換え可能としている。
図20は、実施の形態3にかかる移動ロボットの構成例を示す斜視図である。なお、図20の各構成要素のうち図1に示す移動ロボット1と同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
移動ロボット1Bは、移動台車11と、作業装置101と、昇降装置として機能する作業装置110とを備えている。作業装置110は、作業装置101と移動台車11との間に配置されており、作業装置101を昇降させる。移動ロボット1Bは、移動台車11によって作業位置まで移動し、作業位置で作業装置110が作業装置101を昇降させ、その後、作業装置101が作業を実行する。
昇降装置である作業装置110は、動力入力部211,212と同様の構造によって移動台車11に接続し、動力伝達接続部51,52と同様の構造によって作業装置101に接続する。
図21は、実施の形態3にかかる移動ロボットが備える昇降装置の上面側の構成を説明するための図である。図22は、実施の形態3にかかる移動ロボットが備える昇降装置の底面側の構成を説明するための図である。図23は、実施の形態3にかかる移動ロボットが備える昇降装置の別状態の上面側の構成を説明するための図である。図24は、実施の形態3にかかる移動ロボットが備える昇降装置の別状態の底面側の構成を説明するための図である。図21から図24では、作業装置110の斜視図を示している。
昇降装置である作業装置110は、天板361と、円板部材95とを備えている。また、作業装置110は、円板部材95の上面95a側に配置された、動力変換部321と、昇降機構331と、伸縮回転部341とを備えている。また、作業装置110は、円板部材95の底面95b側に配置された、動力入力部311,312と、天板361の上面側に配置された動力伝達接続部351とを備えている。動力変換部321、昇降機構331、および伸縮回転部341は、天板361の底面と円板部材95の上面95aとの間の空間に配置されている。
動力入力部311,312は、動力入力部211,212と同一の構造を有している。すなわち、動力入力部311,312は、円板部211b,212bと同様の形状を有した円板部311b,312bを備えている。また、円板部311bには、凸部211aと同様の形状を有した複数の凸部311aが設けられ、円板部312bには、凸部212aと同様の形状を有した複数の凸部312aが設けられている。凸部311aは、移動台車11の貫通穴51aに挿入され、凸部312aは、移動台車11の貫通穴52aに挿入される。
動力入力部311,312は、一方の端部(下部側)に円板部311b,312bが配置されており、他方の端部(上部側)が円板部材95の上面95a側に延設されている。動力入力部311は、他方の端部(上部側)に、ねじ歯車111dを備えている。ねじ歯車111dと円板部311bとは軸状の部材(軸部)を介して接続されている。
また、動力伝達接続部351は、動力伝達接続部51,52と同一の構造を有している。すなわち、動力伝達接続部351は、円板部51bと同様の形状を有した円板部351bを備えており、円板部351bには、貫通穴51aと同様の形状を有した複数の貫通穴351aが設けられている。
動力変換部321は、動力入力部311から供給される回転動力を昇降機構331に伝達する。動力変換部321は、動力変換部121と同様に、歯車および回転軸部が組み合わされて構成されており、歯車がねじ歯車111dと噛み合わせられている。すなわち、動力変換部321の歯車と、ねじ歯車111dとは、ウォームギア機構として動作する。
昇降機構331は、例えば複数のボールねじ機構、直動ガイド、およびパラレルリンクを用いて構成されている。昇降機構331は、天板361の底面に接続されており、ボールねじ機構を動作させることで天板361の高さ方向への昇降動作を実現する。
伸縮回転部341は、天板361に設けられた穴を介して動力伝達接続部351に接続され、円板部材95に設けられた穴を介して動力入力部312に接続されている。伸縮回転部341は、Z軸方向の伸縮と、XY平面に平行な面内での回転とを行う。伸縮回転部341は、動力発生装置32が発生させて、動力入力部312を介して伝達された回転動力を、動力伝達接続部351に伝達する。天板361の上面には、実施の形態1で説明した作業装置101が接続される。すなわち、作業装置101の動力入力部111が、動力伝達接続部351に接続される。具体的には、動力入力部111の凸部111aが、動力伝達接続部351の貫通穴351aに挿入される。なお、天板361の上面には、実施の形態2で説明した作業装置101Aが接続されてもよい。
実施の形態3では、作業装置110が第1の作業装置であり、作業装置101が第2の作業装置である。また、動力発生装置31が第1の動力発生装置であり、動力発生装置32が第2の動力発生装置である。また、動力伝達接続部51が、第1の動力伝達接続部であり、動力伝達接続部52が、第2の動力伝達接続部であり、動力伝達接続部351が、第3の動力伝達接続部である。また、動力入力部311が第1の動力入力部であり、動力入力部312が第2の動力入力部であり、動力入力部111が第3の動力入力部である。また、動力切替部41が、第1の動力切替部であり、動力切替部42が、第2の動力切替部である。また、無限軌道装置131,132および動力変換部121が、第1の作業機構であり、動力変換部321、昇降機構331、および伸縮回転部341が第2の作業機構である。
図25は、実施の形態3にかかる移動ロボットが備える伸縮回転部の全縮状態を示す図であり、図26は、実施の形態3にかかる移動ロボットが備える伸縮回転部の全伸状態を示す図である。図25および図26では、伸縮回転部341の斜視図を示している。全縮状態は、伸縮回転部341がZ軸方向に最も縮んだ状態であり、全伸状態は、伸縮回転部341がZ軸方向に最も伸びた状態である。
伸縮回転部341は、動力入力部312に接続される回転軸底板342aと、動力伝達接続部351に接続される回転軸天板342bとを備えている。回転軸底板342aおよび回転軸天板342bは、円板状の部材を用いて構成されている。
また、伸縮回転部341は、回転軸底板342aと回転軸天板342bとの間に配置されて、回転軸底板342aおよび回転軸天板342bを繋ぐ、複数の連結板343および複数の連結棒344を備えている。回転軸底板342a、回転軸天板342b、および連結板343は、何れもXY平面に平行に配置されている。
また、各連結棒344は、軸方向が連結板343に垂直である。最下段の連結棒344は、回転軸底板342aに固定され、最上段の連結棒344は、回転軸天板342bに固定されている。また、連結棒344は、連結板343に設けられた穴から抜け出さないように穴に挿入されており、連結棒344の両端が、回転軸天板342bの穴または連結板343の穴に引っかかる構造となっている。例えば、連結棒344には、上面おおよび下面に、側面部よりも径の大きな円板状の部材が取り付けられている。
伸縮回転部341では、例えば、回転軸底板342aの上面に2本の連結棒344(1段目の連結棒344)が固定されており、この1段目の連結棒344の上面に1段目の連結板343が固定されている。
1段目の連結板343の上面には、1段目の連結板343の穴を自在に通過できるよう、2本の連結棒344(2段目の連結棒344)が通されている。2段目の連結棒344の底面には、2段目の連結棒344が1段目の連結板343から抜け出さないよう、1段目の連結板343の穴よりも大きな径の部材が配置されている。
また、2段目の連結棒344の上面に2段目の連結板343が固定されている。2段目の連結板343の上面には、2段目の連結板343の穴を自在に通過できるよう、2本の連結棒344(3段目の連結棒344)が通されている。3段目の連結棒344の底面には、3段目の連結棒344が2段目の連結板343から抜け出さないよう、2段目の連結板343の穴よりも大きな径の部材が配置されている。
このように、伸縮回転部341では、N(Nは2以上の自然数)段目の連結板343の上面には、N段目の連結板343の穴を自在に通過できるよう、2本の連結棒344((N+1)段目の連結棒344)が通されている。そして、最上段の連結棒344の上面に回転軸天板342bが固定されている。
伸縮回転部341を構成する連結板343は、それぞれXY平面に平行な面内で異なる回転角度となるよう配置されている。すなわち、連結棒344の中心軸の位置は、各連結棒344で異なっている。この構成により、連結棒344同士が接触することなく、伸縮回転部341をZ軸方向に縮めることができる。なお、伸縮回転部341には、何枚の連結板343が用いられてもよい。
このように、伸縮回転部341は、回転軸の軸方向(Z軸方向)には全ての連結棒344が回転軸天板342b、または連結板343から抜け出さない範囲で自由に伸縮できる。また、伸縮回転部341では、回転方向には連結棒344が連結板343に設けられた穴の側面に干渉することで相対的に拘束されている。これにより、昇降機構331の動作状態に関わらず、動力伝達接続部52からの回転動力を、動力入力部312、伸縮回転部341、動力伝達接続部351、および動力入力部111を介して、作業装置101に伝達することができる。
図27は、実施の形態3にかかる移動ロボットの第1段階の状態を示す図であり、図28は、実施の形態3にかかる移動ロボットの第2段階の状態を示す図であり、図29は、実施の形態3にかかる移動ロボットの第3段階の状態を示す図であり、図30は、実施の形態3にかかる移動ロボットの第4段階の状態を示す図である。図27から図30では、移動台車11がX軸方向に走行する場合について説明する。なお、制御装置12が管理システム2から送られてくる指令に従って動作する際の説明をする際に、管理システム2から制御装置12への指令の送信処理を省略する場合がある。また、図9から図12で説明した処理と同様の処理については、説明を省略することがある。
第1段階では、管理システム2が、制御装置12にワーク3の搬送指令を与える。これにより、ワーク3を載置した移動ロボット1Bが、動力切替部41,42を車輪21,22に接続し、動力発生装置31,32による動力で目標位置に向かって走行する。
第2段階では、制御装置12は、移動台車センサ13から送られてくる観測結果、または管理システム2から送られてくる指令に基づいて、移動ロボット1Bが目標位置に到達したか否かを判定する。制御装置12は、移動ロボット1Bが目標位置に到達したと判定すると、動力発生装置31,32からの動力発生を停止させ、走行動作ブレーキ71,72によって移動台車11の走行動作を停止させる。
第3段階では、制御装置12は、動力切替部41を操作し、動力発生装置31からの動力を動力伝達接続部51に伝達可能な状態にする。この状態で、制御装置12は、作業動作ブレーキ73を開放させ、動力発生装置31を動作させる。この動作により、発生した動力は動力伝達接続部51、作業装置110の動力入力部311、および動力変換部321を介して、昇降機構331に伝達される。これにより、昇降機構331が動作し、作業装置110が、作業装置101の無限軌道装置131,132の高さを、ワーク3を置く高さに合わせる。
第4段階では、制御装置12は、動力切替部42を操作し、作業動作ブレーキ74を開放させ、動力発生装置32を動作させる。これにより、動力発生装置32が発生させた動力は、動力伝達接続部52、動力入力部312、伸縮回転部341、動力伝達接続部351、動力入力部111、および動力変換部121を介して、無限軌道装置131,132に伝達される。これにより、作業装置101の無限軌道装置131,132が動作し、ワーク3は、無限軌道装置131,132の動作に従って移動する。
この後の走行動作への移行などは、図12で説明した処理と同様である。移動ロボット1Bは、走行動作、ワーク3の受け入れ動作、およびワーク3の受け渡し動作を繰返し実施することで、ワーク3の搬送作業を完遂する。
このように実施の形態3によれば、移動ロボット1Bは、実施の形態1と同様に、移動台車11による移動と、作業装置110による昇降と、作業装置101による作業とを小さな装置構成で実現できる。また、移動ロボット1Bは、移動ロボット1Aと同様に、任意の作業装置を移動台車11に自由に搭載および入れ替えることができる。
実施の形態4.
つぎに、図31から図34を用いてこの発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4では、各作業装置に対し、作業装置に固有の位置に部材を配置しておき、移動台車11が、部材との距離に基づいて、搭載されている作業装置の種類を判別する。
図31は、実施の形態4にかかる移動ロボットの構成例を示す斜視図である。図32は、実施の形態4にかかる移動ロボットが備える判別装置の配置位置を説明するための図である。なお、図31の各構成要素のうち図1に示す移動ロボット1と同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
移動ロボット1Cは、移動台車11と、作業装置101と、判別装置81と、固有形状部141とを備えている。移動ロボット1Cでは、判別装置81および固有形状部141によって、作業装置101の種類を判別する装置認識システムが構成されている。
固有形状部141は、作業装置101の上面側から底面側に向かって配置されている。また、判別装置81は、移動台車11の上面側に配置されている。作業装置101のうち、固有形状部141が配置される位置には、貫通穴が設けられている。固有形状部141は、この貫通穴を通って作業装置101の底面側から突出するよう作業装置101に配置される。
固有形状部141は、作業装置の種類ごとに異なる形状を有している。作業装置101は、判別装置81の上部に固有形状部141が近付くよう、移動台車11に搭載される。判別装置81は、固有形状部141の形状に対応する情報を検出し、検出した情報(検出情報)に基づいて、移動台車11に搭載された作業装置101の種類を判別する。判別装置81は、判別した種類の情報を、移動台車11の制御装置12に送る。これにより、制御装置12は、作業装置101の種類に応じた制御処理を実行する。
図33は、実施の形態4にかかる移動ロボットが備える装置認識システムの構成を示す図である。図34は、図33に示した装置認識システムの動作を説明するための図である。図33および図34では、判別装置81および固有形状部141をY軸方向から見た場合の、判別装置81および固有形状部141を示している。
ここでは、装置認識システムの構成例と、装置認識システムによる作業装置101の判別処理について説明する。判別装置81は、距離計82を備えており、固有形状部141は、識別爪142を備えている。距離計82は、識別爪142との間の距離を測定する装置であり、判別装置81の上面に配置されている。識別爪142は、固有形状部141の下方側(鉛直方向)に延びる柱状の部材で構成されている。
作業装置101が移動台車11に搭載されると、判別装置81と固有形状部141とは接近する。これにより、識別爪142が判別装置81の上面に近付く。この状態で、距離計82は、識別爪142までの距離を測定する。
識別爪142は、作業装置の種類ごとに固有形状部141上の異なる位置に配置されている。接近状態401は、作業装置101の識別爪142が、判別装置81の上面に近付いた状態であり、接近状態402は、作業装置101Aの識別爪142が、判別装置81の上面に近付いた状態である。すなわち、作業装置101では、作業装置101が移動台車11に搭載されて、判別装置81と固有形状部141とが接近した際に、距離計82と識別爪142との距離が第1の距離となる位置に識別爪142が配置されている。また、作業装置101Aでは、作業装置101Aが移動台車11に搭載されて、判別装置81と固有形状部141とが接近した際に、距離計82と識別爪142との距離が第2の距離となる位置に識別爪142が配置されている。
判別装置81は、識別爪142の位置、すなわち固有形状部141の形状に応じて、搭載された作業装置が何れの作業装置であるかを判別することができる。距離計82による測定結果が第1の距離である場合、判別装置81は、搭載された作業装置が作業装置101であると判定し、距離計82による測定結果が第2の距離である場合、判別装置81は、搭載された作業装置が作業装置101Aであると判定する。なお、作業装置101Aに対しては、作業装置101とは異なる位置に識別爪142が配置されているものとする。
移動ロボット1Cでは、判別装置81が識別爪142との距離を検出し、制御装置12が搭載された作業装置の種類を判別してもよい。
このように、実施の形態4によれば、制御装置12が移動台車11に搭載された作業装置の種類を認識できるので、認識結果に応じて、動力切替部41,42を作業装置側に切り換えた際に、作業装置の制御方法を自動で変更および調整できる。これにより、移動ロボット1Cのユーザは、作業装置を入れ替える際の作業切替手順を簡略化できる。
実施の形態5.
つぎに、図35から図38を用いてこの発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5では、作業装置101の作業状態を監視し、作業状態に応じて制御装置12が制御処理を行う。
図35は、実施の形態5にかかる移動ロボットの構成例を示す斜視図である。図36は、実施の形態5にかかる移動ロボットが備える作業状態認識装置の配置位置を説明するための図である。なお、図35の各構成要素のうち図1に示す移動ロボット1と同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
移動ロボット1Dは、移動台車11と、作業装置101と、第1接続部143と、通過センサ84a,84bと、第2接続部83とを備えている。第1接続部143および第2接続部83は、伝導体である。移動ロボット1Dでは、第1接続部143、通過センサ84a,84b、および第2接続部83によって作業装置101の作業状態を監視する監視システムが構成されている。
第1接続部143は、作業装置101の上面側から底面側に向かって配置されている。また、第2接続部83は、移動台車11の上面側に配置されている。作業装置101のうち、第1接続部143が配置される位置には、貫通穴が設けられている。第1接続部143は、この貫通穴を通って作業装置101の底面側から突出するよう作業装置101に配置される。
作業装置101では、通過センサ84a,84bを結ぶ線と、無限軌道装置131,132によるベルトの進行方向(X軸方向)とが垂直となるよう、通過センサ84a,84bが配置されている。
通過センサ84a,84bは、無限軌道装置131,132上を移動してくるワーク3を検知する。通過センサ84a,84bは、ワーク3を検知すると、ワーク3が移動してきたことを示す情報(通過情報)を第1接続部143に送信する。すなわち、通過センサ84a,84bは、ワーク3が通過センサ84a,84b間を通過したことを検知して第1接続部143に通知する。通過センサ84a,84bは、無線通信によって通過情報を第1接続部143に送信してもよいし、有線通信によって通過情報を第1接続部143に送信してもよい。
第1接続部143は、作業装置101が移動台車11に搭載された状態で、第2接続部83に接触するよう構成されている。第1接続部143は、作業装置101が移動台車11に搭載されると、第2接続部83に接触し、第1接続部143と第2接続部83との間が電気的に接続される。第1接続部143は、第2接続部83に接続された状態で、通過情報を受信すると、この通過情報を、第2接続部83を介して制御装置12に送る。これにより、制御装置12は、作業装置101にワーク3が搭載されたことを認識し、ワーク3が搭載された後の制御処理を実行する。
なお、第1接続部143は、ワーク3までの距離を測定する距離計を備えていてもよい。この場合、第1接続部143は、無限軌道装置131,132に搭載されたワーク3との間の距離(ワーク3の位置)を計測して、ワーク3までの距離を示す距離情報を、第2接続部83を介して制御装置12に送る。これにより、制御装置12は、作業装置101にワーク3が搭載されたか否かと、ワーク3の位置とを認識する。
なお、第1接続部143で計測される情報は、上述した情報に限定されるものではなく、何れの情報が取得されてもよい。
ここで、監視システムのシステム構成例について説明する。図37は、実施の形態5にかかる移動ロボットが備える監視システムの構成例を示す斜視図である。図38は、図37に示した監視システムの接続状態を説明するための図である。図37および図38では、監視システムのうち、第1接続部143および第2接続部83の構成を示している。
第1接続部143は、例えば、板ばね状の出力端子144を備え、第2接続部83は、板状の入力端子84を備えている。
作業装置101を移動台車11に載せるために、作業装置101を鉛直下方に降ろすと、第1接続部143が鉛直下方に移動し、これにより、出力端子144が入力端子84に押し付けられ、第1接続部143と第2接続部83とが電気的に接続されるので、第1接続部143と第2接続部83との間で通過情報といった信号を伝送することが可能となる。
出力端子144は、入力端子84に接触した状態で、通過情報を入力端子84に送る。入力端子84は、出力端子144に接触した状態で、出力端子144から送られてくる通過情報を受け付ける。
このように、実施の形態5によれば、制御装置12が作業装置101の動作状態を認識できるので、認識結果に基づいて、作業装置101をフィードバック制御することができる。これにより、移動ロボット1Dは、作業装置101の動作状態に応じた、高度な作業を実現することができる。
実施の形態6.
つぎに、図39から図46を用いてこの発明の実施の形態6について説明する。実施の形態6の移動ロボットは、動力入力部以外の構成は、実施の形態1で説明した移動ロボット1と構成と同じである。以下、移動ロボットが備える動力入力部の構成および動作について説明する。
図39は、実施の形態6にかかる移動ロボットが備える動力入力部の構成を示す図である。図40は、図39に示す動力入力部の接続状態を説明するための図である。図39および図40では、動力入力部411の斜視図を示している。
動力入力部411は、実施の形態1で説明した動力入力部111と同様に、動力発生装置31が発生させた動力を作業装置101側に入力する。動力入力部411は、実施の形態1で説明した動力入力部111と同様の位置に配置されている。すなわち、動力入力部411は、円板部材93を貫通するよう配置されている。動力入力部411は、一方の端部(下部側)に円板状の部材である円板部411bを備えている。円板部411bの底面には、複数の凸部411aが設けられている。円板部411bは、回転動力によってZ軸方向に平行な軸である回転軸周りに回転するとともに、動力入力部411に接合可能な接合部として機能する。
各凸部411aの先端側には、先端にいくほど細く形成された先端部411xが設けられている。先端部411xは、凸部411aの根元(上側)よりも細い。凸部411aは、実施の形態1で説明した凸部111aと同様の円柱状の部材と、最先端部が丸まった先端部411xとで構成されている。また、凸部411aは、凸部111aと同様の位置に配置されている。各凸部411aは、動力伝達接続部51の各貫通穴51aに嵌め合せられる嵌合部として機能する。
また、動力入力部411は、軸部411cと、歯車411dと、弾性体411eと、歯車411fと、軸部411gとを備えている。円板部411bの上面の中心部は、Z軸方向に延びる軸部411cに接続されている。
軸部411cの上部側は、XY平面と平行な面内で回転する歯車411dに接続され、歯車411dの上部側は、Z軸方向に伸縮が可能な弾性体411eに接続されている。弾性体411eは、上部側が円板部材93側に延びており、下部側が歯車411dに接続されている。弾性体411eは、円板部411bを移動台車11に押し付ける方向に力を与える。弾性体411eの例は、圧縮ばねである。動力入力部411では、弾性体411eの伸縮に応じて、歯車411dの高さが変わる。このように、動力入力部411では、円板部411b、軸部411c、歯車411d、および弾性体411eがZ軸方向に沿って同軸方向に配置されている。
動力入力部411では、歯車411d、軸部411c、および歯車411fが、弾性体411eに対して独立して回転可能なよう接続されている。また、軸部411cおよび歯車411dは、円板部411bとともに回転する。歯車411dは、Z軸方向の位置によって歯の高さ(全歯たけ)が異なる。歯車411dでは、上部側は、一定の全歯たけとなっており、下部側は、下部にいくほど全歯たけが短くなっている。すなわち、歯車411dの凹凸構造は、歯の間隔が一定のまま、Z軸方向の下部に向かうほど、凸部の高さが低くなっている。
歯車411fは、歯車411dの横側に配置されている。動力入力部411では、歯車411fは、XY平面と平行な面内で回転可能となっている。歯車411fの上面の中心部は、Z軸方向に延びる軸部411gに接続されている。歯車411fは、歯車411dと噛み合うことができる形状となっている。このように、軸部411gは、円板部材93に接続され、且つ円板部411bとは、歯車411d,411fを介して接続可能となっている。図39および図40では、ねじ歯車111dの図示を省略しているが、軸部411gの上部側には、実施の形態1で説明したねじ歯車111dが設けられている。
図39では、弾性体411eが伸張した状態を示しており、図40では、弾性体411eが収縮した状態を示している。作業装置101を移動台車11に搭載する際に、作業装置101を移動台車11側に強く押し当てると、弾性体411eが収縮し、図40に示す状態となる。この後、弾性体411eが伸びると、歯車411dが下側に押し出される。
図39に示すように、円板部411bが弾性体411eによって下側に遠くまで押し出された状態(弾性体411eが伸張した状態)では、歯車411fと歯車411dとが噛み合う。すなわち、弾性体411eが、歯車411dを下側に押し出すことによって、歯車411dの高さと歯車411fの高さとが同じになる。すなわち、動力入力部411と、移動台車11の動力伝達接続部51とが接合される。歯車411fと歯車411dとが噛み合うことによって、円板部411bの回転が、歯車411dおよび歯車411fを介して、作業装置101側に伝達される。
歯車411dの下部側の歯は、Z軸方向に平行に並んでいてもよいが、Z軸方向から特定の角度だけ傾いていてもよい。すなわち、歯車411dの下部側の凹凸構造は、回転方向の位相がZ軸方向に一定でもよいが、凹凸構造の位相をZ軸方向に沿って連続的に変化させ、これにより歯がねじれるような構造としてもよい。
図41は、実施の形態6にかかる移動ロボットが備える動力入力部の第1の状態を示す図である。図42は、実施の形態6にかかる移動ロボットが備える動力入力部の第2の状態を示す図である。図43は、実施の形態6にかかる移動ロボットが備える動力入力部の第3の状態を示す図である。図41から図43では、動力入力部411を側面方向から見た場合の、動力入力部411の状態を模式的に示している。
動力入力部411の第1の状態は、作業装置101を移動台車11に搭載する前の状態である。動力入力部411の第2の状態は、作業装置101を移動台車11に搭載した際の初期状態である。動力入力部411の第3の状態は、移動台車11への作業装置101の搭載が完了した状態である。
作業装置101を移動台車11に搭載する前は、円板部411bは、弾性体411eによって下側に押し出されている。この状態では、図41に示すように、円板部411bの底面411hと、円板部材93の底面93bとが同一面上に並んでいる。
作業装置101を移動台車11に搭載すると、凸部411aの傾斜部分である先端部411xと、動力伝達接続部51の貫通穴51aの傾斜部分とに倣って、動力伝達接続部51の回転方向の位相(回転角)と円板部411bの回転方向の位相とが特定の関係となるよう位相合わせが行われる。例えば、凸部411aが3つである場合、動力伝達接続部51の回転方向の位相と円板部411bの回転方向の位相とは、位相差が0度、120度、240度の何れかとなるよう位相合わせが行われる。しかしながら、凸部411aの位相と、貫通穴51aの位相とが特定の位相差となっているとは限らないので、凸部411aが完全に貫通穴51aに嵌るとは限らない。この場合、凸部411aが動力伝達接続部51の円板部51bに衝突し、弾性体411eが収縮する。これにより、歯車411dが上方に移動し、歯車411dの上部と歯車411fとは噛み合わない。
動力伝達接続部51が回転を始めると、動力伝達接続部51の位相が変化し、動力伝達接続部51の位相と動力入力部411の位相とが特定の位相となった瞬間に弾性体411eによって円板部411bが下側に押し出され、凸部411aが完全に貫通穴51aに嵌る。これにより、図43に示すように、円板部411bの底面411hと円板部51bの上面とが接続されて動力伝達接続部51と動力入力部411とが連結される。また、弾性体411eによって歯車411dが下方に押し出されるので、歯車411dの上部と、歯車411fとが噛み合う。この状態では、動力伝達接続部51からの回転動力を、動力入力部411を介して作業装置101に伝達することができ、作業装置101を動作させることが可能となる。なお、動力伝達接続部51の代わりに動力伝達接続部52が、動力入力部411に接続されてもよい。
このように、動力伝達接続部51と動力入力部411との接続作業において、接合部分である円板部411bと円板部51bとの位相合わせを自動化することができるので、移動台車11に搭載する作業装置101の入れ替えを容易に実現できる。
なお、動力伝達接続部51と動力入力部411との間の回転動力の伝達機構に、非接触の回転動力伝達機構が用いられてもよい。非接触の回転動力伝達機構は、例えば、磁気カップリングを用いることで実現できる。この場合、円板部411bの底面には、円板部411bの中心からの距離が等距離となるよう、円周方向にそって同心円状にN極の磁石とS極の磁石とが交互に配置される。同様に、円板部51bの上面には、円板部51bの中心からの距離が等距離となるよう、円周方向にそって同心円状にN極の磁石とS極の磁石とが交互に配置される。この場合において、円板部411bのN極の磁石と、円板部51bのS極の磁石とが、対向可能なよう、円板部51b,411bに磁石が配置される。
この場合も、第2の状態では、動力入力部411が動力伝達接続部51に接触している状態でありながら、動力伝達接続部51に磁気的に正しくカップリングしていない状態であっても、動力伝達接続部51が回り始めると、機械的な接触無く磁気結合(非接触結合)が行われることとなる。これにより、動力伝達接続部51と動力入力部411との連結時における、機械的な接触および摩耗などを防ぐことが可能となる。
なお、動力入力部411の構成要素である凸部411aの配置位置および形状は、上述したような配置位置および形状に限らず、何れの配置位置であってもよいし、何れの形状であってもよい。
図44は、実施の形態6にかかる移動ロボットが備える動力入力部の凸部の別構成例を示す図である。図44では、動力入力部413〜415の構成を示している。なお、図44では、動力入力部413〜415の構成要素のうち、円板部および凸部を示している。
動力入力部413は、円板部413bおよび凸部413aを有している。また、動力入力部414は、円板部414bおよび凸部414aを有しており、動力入力部415は、円板部415bおよび凸部415P〜415Rを有している。図44に示す図の上段には、円板部413b〜415bの斜視図を示しており、図44に示す図の下段には、円板部413b〜415bの上面図を示している。
例えば、動力入力部413では、円板部413bの回転軸中心から異なる距離上に凸部413aが配置されている。また、動力入力部414では、円板部413bの同心円上において異なる間隔で凸部414aが配置されている。
また、動力入力部415では、円板部415b上に異なる形状の凸部が配置されている。例えば、凸部が3つである場合、円柱状の凸部415Pと、三角柱状の凸部415Rと、四角柱状の凸部415Qとが円板部415b上に配置される。
また、動力入力部の凸部の配置位置および形状は、動力入力部413〜415のような配置位置および形状が組み合わされてもよい。また、凸部413a,414a,415P〜415Rの先端には、先端部411xが配置されていてもよい。
このように、動力入力部413〜415では、凸部が回転軸中心に対して非軸対称に配置されているので、動力伝達接続部51との接続作業において、動力伝達接続部51に対して特定の位相関係(位相差0度)となる場合のみ動力伝達接続部51に接続されることになる。これにより、動力入力部413〜415と動力伝達接続部51との間で、常に位相関係を一定にできるので、作業装置101の制御が容易になる。
移動台車11は、種々の作業装置を搭載することができる。ここで、移動台車11に搭載する作業装置を替えることができる作業移動システムについて説明する。図45は、実施の形態6にかかる移動ロボットを備えた作業移動システムの構成を示す図である。図46は、図45に示した作業移動システムの動作例を説明するための図である。なお、図46では、管理システム2Aと移動台車11との接続を省略している。
作業移動システム10Aは、管理システム2A、複数の移動台車11、および取替装置4を備えている。管理システム2Aは、移動台車11および取替装置4を管理するコンピュータである。
取替装置4内には、複数の作業装置101,101A,110が格納されており、取替装置4は、管理システム2Aから送られてくる指示に基づいて、移動台車11への作業装置の自動付け替えを実行する。取替装置4は、各移動台車11に対し、作業装置101,101A,110の取り付け、取り外しなどを行う。
移動台車11は、例えば、実施の形態4で説明した判別装置81などによって、自装置に搭載された作業装置が管理システム2Aからの指令に応じた作業装置であることを認識する。また、移動台車11は、例えば、実施の形態5で説明した第1接続部143および第2接続部83によって、作業装置の動作状態を確認しながら作業動作を行う。
作業移動システム10Aでは、多岐に渡る作業を管理システム2Aによって一元管理する。また、作業移動システム10Aは、移動台車11に搭載されている作業装置が作業を完了すると、作業が完了した作業装置を回収する。また、作業移動システム10Aは、保持しておいた種々の作業装置の中から作業に必要な作業装置を、移動台車11に搭載する。このように、作業移動システム10Aでは、移動台車11に種々の作業装置の取り付けおよび取り外しを行うことができるので、作業装置毎に専用の移動台車を準備する必要がない。このため、作業移動システム10Aは、作業装置を用いた生産ラインなどの環境の変化に対して柔軟に対応することが可能となる。作業装置に搭載される作業装置の例としては、ベルトコンベア、マニピュレータ、作業アーム、ワーク3などの把持機構、昇降装置、回転テーブル、並進テーブル、傾斜テーブルなどが挙げられる。
このように実施の形態6によれば、弾性体411eによって円板部411bを動力伝達接続部51に押し当てながら動力伝達接続部51を回転させるので、動力伝達接続部51の回転方向の位相と円板部411bの回転方向の位相とを合わせることができる。これにより、制御装置12は、作業装置101の制御が容易になる。
実施の形態7.
つぎに、図47から図50を用いてこの発明の実施の形態7について説明する。実施の形態7では、移動台車が、4つの動力発生装置を有しており、作業装置を4自由度で動作させる。
図47は、実施の形態7にかかる移動ロボットが備える移動台車の構成を示す上面図である。図48は、実施の形態7にかかる移動ロボットが備える移動台車の構成を示す底面図である。
移動台車11Aは、移動台車11と比較して、動力発生装置31,32の代わりに、動力発生装置30A〜30Dを備えている。また、移動台車11Aは、移動台車11と比較して、動力伝達接続部51,52の代わりに、動力伝達接続部50A〜50Dを備えている。また、移動台車11Aは、動力切替部41,42の代わりに、動力切替部40A〜40Dを備えている。また、移動台車11Aは、車輪21,22および補助輪23,24の代わりに、車輪20A〜20Dを備えている。車輪20A,20Cは、前輪であり、車輪20B,20Dは、後輪である。なお、図48では、走行動作ブレーキの図示などを省略している。
動力発生装置30A〜30Dは、動力発生装置31,32と同様の機能を有し、動力伝達接続部50A〜50Dは、動力伝達接続部51,52と同様の機能を有している。動力切替部40A〜40Dは、動力切替部41,42と同様の機能を有し、車輪20A〜20Dは、車輪21,22と同様の機能を有している。動力伝達接続部50A〜50Dは、それぞれ回転部51dと同様の機能を有した、回転部50Ad〜50Ddを備えている。
動力切替部40A〜40Dは、それぞれ動力発生装置30A〜30Dが発生させた動力の伝達先を切替える。動力切替部40A〜40Dは、それぞれ、動力発生装置30A〜30Dが発生させた動力を、車輪20A〜20Dに伝達する際には車輪20A〜20Dに接続する。また、動力切替部40A〜40Dは、それぞれ、動力発生装置30A〜30Dが発生させた動力を動力伝達接続部50A〜50Dに伝達する際には動力伝達接続部50A〜50Dに接続する。動力伝達接続部50A〜50Dは、それぞれ動力発生装置30A〜30Dが発生させた動力を、作業装置101に伝達する。
このように、移動台車11Aは、車輪20A〜20Dを、それぞれ別々に駆動できる構成となっている。また、移動台車11Aでは、各動力発生装置30A〜30Dに対し、それぞれ別の動力伝達接続部50A〜50Dが動力切替部40A〜40D等を介して接続されている。
図49は、実施の形態7にかかる移動ロボットが備える移動台車の別構成を示す上面図である。図50は、実施の形態7にかかる移動ロボットが備える移動台車の別構成を示す底面図である。
移動台車11Bは、3輪構成の移動台車である。移動台車11Bは、移動台車11と比較して、動力発生装置31,32の代わりに、動力発生装置30E〜30Gを備えている。また、移動台車11Bは、移動台車11と比較して、動力伝達接続部51,52の代わりに、動力伝達接続部50E〜50Gを備えている。また、移動台車11Bは、動力切替部41,42の代わりに、動力切替部40E〜40Gを備えている。また、移動台車11Bは、車輪21,22および補助輪23,24の代わりに、車輪20E〜20Gを備えている。なお、図50では、走行動作ブレーキの図示などを省略している。車輪20E〜20Gは、それぞれの配置間距離が等しくなるよう、配置されている。
動力発生装置30E〜30Gは、動力発生装置31,32と同様の機能を有し、動力伝達接続部50E〜50Gは、動力伝達接続部51,52と同様の機能を有している。動力切替部40E〜40Gは、動力切替部41,42と同様の機能を有し、車輪20E〜20Gは、車輪21,22と同様の機能を有している。動力伝達接続部50E〜50Gは、それぞれ回転部51dと同様の機能を有した、回転部50Ed〜50Gdを備えている。
動力切替部40E〜40Gは、それぞれ動力発生装置30E〜30Gが発生させた動力の伝達先を切替える。動力切替部40E〜40Gは、それぞれ、動力発生装置30E〜30Gが発生させた動力を、車輪20E〜20Gに伝達する際には車輪20E〜20Gに接続する。また、動力切替部40E〜40Gは、それぞれ、動力発生装置30E〜30Gが発生させた動力を動力伝達接続部50E〜50Gに伝達する際には動力伝達接続部50E〜50Gに接続する。動力伝達接続部50E〜50Gは、それぞれ動力発生装置30E〜30Gが発生させた動力を、作業装置101に伝達する。
このように、移動台車11Bは、車輪20E〜20Gを、それぞれ別々に駆動できる構成となっている。また、移動台車11Bでは、各動力発生装置30E〜30Gに対し、それぞれ別の動力伝達接続部50E〜50Gが動力切替部40E〜40G等を介して接続されている。
実施の形態7では、動力発生装置30A〜30Dの一部が第1の動力発生装置であり、残部が第2の動力発生装置である。また、動力伝達接続部50A〜50Dの一部が、第1の動力伝達接続部であり、残部が動力伝達接続部52である。また、動力切替部40A〜40Dの一部が第1の動力切替部であり、残部が第2の動力切替部である。
実施の形態7の移動台車11Bは、回転動力の出力軸を3つ備えているので、上部に搭載する作業装置を3自由度で動作させることが可能となり、複雑な動作を実現できる。移動台車11Bの例は、オムニホイールを用いた移動台車が挙げられる。なお、移動台車11Bが備える動力発生装置の個数には制限は無く、5個以上の動力発生装置が配置されてもよい。また、移動台車11Bには、5個以上の動力伝達接続部、5個以上の動力切替部が配置されてもよい。
このように実施の形態7によれば、移動台車11Aは、回転動力の出力軸を3つ以上備えているので、上部に搭載する作業装置を3以上の複数自由度で動作させることが可能となり、複雑な動作を実現できる。
実施の形態8.
つぎに、図51および図52を用いてこの発明の実施の形態8について説明する。実施の形態8では、複数の動力を用いた高トルク化(自由度削減による高出力化)を実現する。
図51は、実施の形態8にかかる移動ロボットにおける動力伝達経路の例を説明するための図である。ここでは、移動台車11Aに搭載される作業装置が動力入力部311,312を備え、動力入力部311,312を介して、動力を伝達する場合について説明する。動力伝達経路330では、動力入力部311,312の上部に動力統合部313が接続されている。動力統合部313の上部には、統合伝達軸316が接続されている。動力統合部313は、動力入力部311,312から伝達される動力を統合する機能を有している。動力統合部313は、統合した動力を、統合伝達軸316に伝達する。このように、動力入力部311,312は、動力統合部313を介して1つの統合伝達軸316に動力を伝達することで、作業装置101A内の1自由度を動作させる。統合伝達軸316は、例えば、実施の形態1で説明したねじ歯車111dなどに接続されており、ねじ歯車111dに動力を伝達する。
なお、動力統合部313には、動力入力部311,312の代わりに、動力入力部211,212が接続されてもよい。この場合、動力統合部313は、動力入力部211,212から伝達される動力を統合して統合伝達軸316に伝達する。
図52は、図51に示した動力統合部の構成例を説明するための図である。動力統合部313は、伝達軸114A,114Bと、ワンウェイクラッチ117A,117Bと、伝達軸115A,115Bと、歯車群118とを備えている。
伝達軸114A,114B,115A,115Bは、軸状部材を用いて構成されている。伝達軸114Aは、軸方向の下部側が動力入力部311に接続され、軸方向の上部側がワンウェイクラッチ117Aに接続されている。伝達軸114Bは、軸方向の下部側が動力入力部312に接続され、軸方向の上部側がワンウェイクラッチ117Bに接続されている。
伝達軸114Aは、動力入力部311からの動力をワンウェイクラッチ117Aに伝達し、伝達軸114Bは、動力入力部312からの動力をワンウェイクラッチ117Bに伝達する。
ワンウェイクラッチ117Aは、下部側が伝達軸114Aに接続され上部側が伝達軸115Aに接続されている。ワンウェイクラッチ117Bは、下部側が伝達軸114Bに接続され上部側が伝達軸115Bに接続されている。
ワンウェイクラッチ117A,117Bは、伝達軸114A,114Bの軸方向に垂直な平面内で回転する。ワンウェイクラッチ117A,117Bは、一方向の回転のみに回転動力を伝達可能となっている。ワンウェイクラッチ117Aは、例えば、伝達軸114Aによる右回転の回転動力を伝達軸115Aに伝達し、ワンウェイクラッチ117Bは、例えば、伝達軸114Bによる右回転の回転動力を伝達軸115Bに伝達する。
伝達軸115Aは、軸方向の下部側がワンウェイクラッチ117Aに接続され、軸方向の上部側が歯車群118に接続されている。伝達軸115Bは、軸方向の下部側がワンウェイクラッチ117Bに接続され、軸方向の上部側が歯車群118に接続されている。
歯車群118は、下部側が伝達軸115A,115Bに接続され、上部側が統合伝達軸316に接続されている。歯車群118は、歯車118A,118B,118Cを備えている。歯車118Aは、伝達軸115Aに接続されており、歯車118Bは、伝達軸115Bに接続されており、歯車118Cは、統合伝達軸316に接続されている。歯車118Aは、歯車118Cに噛み合っており、歯車118Bは、歯車118Cに噛み合っている。
伝達軸115Aが回転動力を歯車118Aに伝達すると、歯車118Aが回転動力を歯車118Cに伝達する。伝達軸115Bが回転動力を歯車118Bに伝達すると、歯車118Bが回転動力を歯車118Cに伝達する。そして、歯車118Cは、回転動力を統合伝達軸316に伝達する。
このように、歯車群118は、伝達軸115Aからの回転動力を統合伝達軸316に伝達し、伝達軸115Bからの回転動力を統合伝達軸316に伝達する。これにより、歯車群118は、伝達軸115A,115Bからの回転動力を1つの統合伝達軸316に結合する。
この構成により、2つの伝達軸114A,114Bからの回転数にずれが発生しても、ワンウェイクラッチ117Aの機能によって回転数が少ない方の動力を空回りさせることができる。したがって、移動ロボット1Aなどの移動ロボットは、動力発生装置同士で回転負荷をかけ合うことを防ぎつつ、1つの動力発生装置では実現できないような高トルクを求められるような作業装置に対し、2つの動力発生装置からの動力を伝達することができる。
なお、統合伝達軸316に対し、差動歯車の出力軸に伝達軸114A,114Bを接続し、入力軸に統合伝達軸316を接続することで、本来の差動歯車の構成を逆にして利用してもよい。
また、動力統合部313は、3つ以上の伝達軸からの動力を統合するように構成されてもよい。この場合、さらに高トルクが求められるような作業装置の動作を実現することができる。
このように実施の形態8によれば、動力統合部313が、2つ以上の複数伝達軸からの動力を統合するように構成されているので、高トルクが求められるような作業装置の動作を実現することができ、1つの移動台車で、非常に幅広い種類の作業を実現できる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。