以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1、図2は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの概略構成を表す分解斜視図である。図3は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの概略構成を表す斜視図である。図4は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットが適用されるバッテリーの概略構成を表す斜視図である。図5は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットが備えるヒュージブルリンクの可溶体エレメントの概略構成を表す斜視図である。図6は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの第1係止爪部を含む第1幅方向に沿った部分断面図である。図7は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの第2係止爪部を含む第1幅方向に沿った部分断面図である。図8は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットのポスト立設面側の概略構成を表す斜視図である。図9、図12は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの係止機構支持部近傍の概略構成を表す斜視図である。図10は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの係止機構支持部近傍の概略構成を表す分解斜視図である。図11は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットの係止機構支持部近傍の概略構成を表す断面斜視図である。図13は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットが備えるカバーの概略構成を表す斜視図である。図14は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットが備えるカバーの当接部を含む部分断面図である。図15は、実施形態に係るヒュージブルリンクユニットが備えるプロテクタの当接突出部を含む部分側面図である。図16は、変形例に係るヒュージブルリンクユニットが備える係止機構の概略構成を表す斜視図である。
なお、以下の説明では、バッテリーポスト102の中心軸線Xに沿った方向を軸方向という。典型的には、軸方向は、バッテリー100が車両等に搭載された状態で、鉛直方向に沿った方向となり、後述するバッテリー筐体101のポスト立設面105は、典型的には、バッテリー筐体101の鉛直方向上面に相当する。以下では、軸方向一方側を軸方向下側、軸方向他方側を軸方向上側という場合がある。またここでは、以下の説明を分かり易くするために、便宜的に当該軸方向と直交する2方向のうち一方を第1幅方向といい、他方を第2幅方向という。これら第1方向としての第1幅方向、及び、第2方向としての第2幅方向、及び、第3方向としての軸方向は、互いに直交する。第1幅方向は、後述する線状部材52の回動軸線X1に沿った方向に相当する。また、以下の説明では、特に断りのない限り、ヒュージブルリンクユニット1の各部がバッテリーポスト102に適正な位置関係で組み付けられ、車両に搭載された状態での方向として説明する。
本実施形態に係るヒュージブルリンクユニット(以下、「FL(Fusible Link)ユニット」という場合がある。)1は、図1、図2、図3等に示すように、車両等に搭載されるバッテリー100に接続されるバッテリー端子2に適用され、電装回路の過電流保護に用いられるものである。FLユニット1は、バッテリー100のバッテリーポスト102に組み付けられるものであり、バッテリー端子2と、ヒュージブルリンク3と、保持機構としてのプロテクタ4と、係止機構5と、接続部材としての連結端子6と、カバー7とを備える。
ここで、このFLユニット1が適用されるバッテリー100は、例えば、車両等に蓄電装置として搭載されるものである。バッテリー100は、図4に示すように、バッテリー液や当該バッテリー100を構成する種々の部品を収容するバッテリー筐体101、当該バッテリー筐体101に設けられた上述のバッテリーポスト102等を含んで構成される。バッテリー筐体101は、いずれか1つの面が開放された略矩形箱状の筐体本体103と、上記開放された面を閉塞させる蓋部材104とを含んで構成され、全体として略直方体形状に形成される。ここでは、バッテリー筐体101は、第1幅方向に沿った方向が長辺、第2幅方向に沿った方向が短辺となるがこれに限らない。バッテリーポスト102は、導電性を有する鉛等により構成され、蓋部材104のポスト立設面105に立設される。
ポスト立設面105は、バッテリー筐体101においてバッテリーポスト102が立設される面である。ここでは、当該ポスト立設面105は、例えば、バッテリー100が車両等に搭載された状態で、バッテリー筐体101を構成する蓋部材104の鉛直方向上側の面(鉛直方向上面)である。このポスト立設面105は、蓋部材104の鉛直方向上側の面に形成された凹部106の底面も含む、蓋部材104の鉛直方向上面全体である。凹部106は、蓋部材104の鉛直方向上側の面の角位置近傍において略矩形状に陥没した一対の矩形状凹部106a、106bと、当該一対の矩形状凹部106aを接続し連通する接続凹部106cとを含んで形成される。一対の矩形状凹部106a、106bは、第2幅方向の一方側で、第1幅方向に互いに対向する角部に形成される。接続凹部106cは、蓋部材104の第1幅方向の縁部に沿って形成される。バッテリーポスト102は、蓋部材104の鉛直方向上側の面の角位置近傍に形成された各矩形状凹部106a、106b内のポスト立設面105にそれぞれ1つずつ一対で立設される。各バッテリーポスト102は、略円柱形状であり、中心軸線Xがポスト立設面105と略直交(直交を含む)するような位置関係で当該ポスト立設面105上に突出するようにして立設される。各バッテリーポスト102は、典型的には、軸方向の先端側に進むにつれて径が小さくなるようテーパが付けられている。つまり、各バッテリーポスト102は、先端の外径が基端の外径より小さいテーパ形状となる。一対のバッテリーポスト102は、一方(ここでは図4に向かって右側のバッテリーポスト102)が陽極用を構成し、他方(ここでは図4に向かって左側のバッテリーポスト102)が陰極用を構成する。
そして、本実施形態のFLユニット1は、バッテリー端子2が装着されるプロテクタ4にヒュージブルリンク3を保持すると共に、弾性変形可能に形成されるバネ体51と、バネ体51を係止位置と解除位置との間で移動可能にプロテクタ4に支持する線状部材52とを有する係止機構5によって、当該プロテクタ4をポスト立設面105上に係止することで、バッテリー100に対する適正な組み付け性の確保を図ったものである。以下、各図を参照してFLユニット1の各構成について詳細に説明する。
なお、以下の説明では、FLユニット1が陽極側のバッテリーポスト102に対して適用される場合を説明するがこれに限らない。なお、本実施形態のバッテリー100は、いわゆるEN規格(European Norm(European Standards:欧州規格)のバッテリーであるが、FLユニット1の適用対象はこれに限らない。
具体的には、バッテリー端子2は、図1、図2に示すように、バッテリーポスト102に取り付けられることにより、バッテリー100と、このバッテリー100が搭載される車両等の本体側の電線の末端に設けられた端子等の金具(ここでは、連結バスバとしても兼用される後述の連結端子6)とを電気的に接続するための部品である。バッテリー端子2は、本体部21と、スタッドボルト22と、締付部23とを備える。本体部21は、例えば、導電性を有する金属板のプレス折り曲げ加工により、環状部21a、ボルト保持部21b等が一体で形成される。環状部21aは、バッテリーポスト102が挿入されるポスト挿入孔21cと、当該ポスト挿入孔21cと連続するスリット21dが形成される。ポスト挿入孔21cは、略円形状に形成され、バッテリーポスト102が挿入された状態で、各内周面がバッテリーポスト102と接触するように、内周壁面に上述したバッテリーポスト102のテーパに対応したテーパを有している。ボルト保持部21bは、例えば、ボルト挿入孔21eにスタッドボルト22の軸部22aが挿入された状態で折り曲げ加工されることで、当該スタッドボルト22を保持する部分である。スタッドボルト22は、導電性を有し、ボルト保持部21bに保持された状態で、ボルト挿入孔21eから露出した軸部22aに電線の末端に設けられた端子等の金具、ここでは、後述の連結端子6が電気的に接続される。締付部23は、ポスト挿入孔21c内にバッテリーポスト102が挿入された状態で、環状部21aを当該バッテリーポスト102に締結するものである。締付部23は、例えば、ボルトと、ナットとを含んで構成され、当該ボルトが上述のスリット21dを横断するような位置関係で本体部21に組み付けられる。そして、締付部23は、ボルトの先端部分にナットが螺合されることで、環状部21aを締め付けてバッテリー端子2をバッテリーポスト102に締結する。
ヒュージブルリンク3は、図1、図2、図5に示すように、バッテリー端子2と接続され過電流が流れたときに可溶体(ヒューズ)31cが溶断するものである。ヒュージブルリンク3は、可溶体31cが設けられた可溶体エレメント31と、可溶体エレメント31に連接されるスタッドボルト32と、可溶体エレメント31を支持する樹脂製のハウジング(ブロック)33とを含んで構成される。
可溶体エレメント31は、導電性を有する板状の導体であり、金属バスバによって構成される。可溶体エレメント31は、連結端子6、スタッドボルト32等を介してバッテリー端子2に接続される電源側端子31aと、負荷端子に接続される複数の負荷側端子31bと、電源側端子31aと各負荷側端子31bとに渡して設けられた可溶体31cとが平板状に形成されると共に負荷側端子31bの一部が屈曲部を有するように曲げ加工が施されている。各可溶体31cは、電源側端子31aと各負荷側端子31bとをそれぞれ導通接続している。各可溶体31cは、例えば、幅を狭めた帯状の導電部に低融点金属チップを溶着させた構成で、過電流が流れたときに溶断し該当する電流経路を遮断する。ここで、可溶体31cの過電流とは、例えば、予め設定された定格以上の電流である。つまり、各可溶体31cは、予め設定された定格以上の電流が流れたときに溶断する。各可溶体31cの定格電流は、保護する回路の電流に合わせてそれぞれ決められる。電源側端子31a、各負荷側端子31bは、それぞれボルト取付孔やコネクタ接続形状が設けられており、例えば、ボルト取付孔にはスタッドボルト32が接合される。
各スタッドボルト32は、導電性を有し、外部回路の負荷端子やバッテリー端子2が電気的に接続される。ここでは、ヒュージブルリンク3は、複数のスタッドボルト32のうち電源側端子31aに設けられたスタッドボルト32Aが後述の連結端子6を介してバッテリー端子2と電気的に接続される。
ハウジング33は、絶縁性の樹脂材によって形成され、可溶体エレメント31及びスタッドボルト32を支持して覆うブロック状ボディである。本実施形態のヒュージブルリンク3は、例えば、インサート成形等によってハウジング33の内部に可溶体エレメント31、スタッドボルト32が埋設され一体化される。
ヒュージブルリンク3は、上記の可溶体エレメント31、スタッドボルト32、及び、ハウジング33によって構成され、全体として略矩形箱状に形成された本体部3Aと、当該本体部3Aから垂れ下がるようにして軸方向下側(典型的には鉛直方向下側)に突出する垂下部3Bとを有している。ヒュージブルリンク3は、本体部3Aに2つのスタッドボルト32が軸方向に突出するように設けられる。本体部3Aに設けられたスタッドボルト32のうちの1つは、電源側端子31aに設けられたスタッドボルト32Aである。また、ヒュージブルリンク3は、垂下部3Bに3つのスタッドボルト32が第2幅方向に突出するように設けられる。本体部3Aの2つのスタッドボルト32(スタッドボルト32A)は、第1幅方向の一方側に片寄されて設けられている。また、ヒュージブルリンク3は、ハウジング33において、各可溶体31cを目視可能な位置に開口部33aが設けられており、この開口部33aに着脱可能な蓋体33bが設けられている。
また、ヒュージブルリンク3は、ハウジング33に一対の係止突起部33cを有している。一対の係止突起部33cは、後述のプロテクタ4に係止され保持される部分である。一対の係止突起部33cは、ハウジング33の第1幅方向の両端部にそれぞれ1つずつ、第1幅方向に互いに対向する位置に形成される。一対の係止突起部33cは、ハウジング33の第1幅方向の両端部における軸方向上側(垂下部3Bが垂れ下がる側とは反対側であり、典型的には鉛直方向上側)の端部の外面から第1幅方向に沿って互いに外方(離間する方向)に向けて突出している。
プロテクタ4は、図1、図2、図6、図7、図8、図9、図10、図11に示すように、バッテリー筐体101の蓋部材104とバッテリー端子2との間に介在する部材であり、バッテリー端子2、ヒュージブルリンク3をポスト立設面105上に保持するものである。プロテクタ4は、装着部41と、保持部42と、係止機構支持部43とを有し、これらがバッテリー液に対しての耐食性(防食機能)を有する絶縁性の樹脂材によって一体形成される。プロテクタ4は、ポスト立設面105上に組み付けられた状態で第1幅方向に沿って取付対象となるバッテリーポスト102側から装着部41、保持部42、係止機構支持部43の順で隣接して一体に連接される。
装着部41は、図1、図2に示すように、バッテリー端子2を装着可能な部分、言い換えれば、バッテリー端子2が装着される部分である。装着部41は、バッテリー端子2をバッテリーポスト102に締結可能な位置に装着する。装着部41は、バッテリー端子2のスタッドボルト22の軸部22aが突出する側とは反対側に位置してバッテリー端子2が装着される。装着部41は、バッテリーポスト102にバッテリー端子2が締結された状態でポスト立設面105とバッテリー端子2との間に介在する。装着部41は、全体として略矩形板状に形成され、バッテリー端子2を収容する収容凹部41a(図1参照)、及び、バッテリーポスト102が挿入される挿入孔41b(図1参照)を有する。収容凹部41aは、バッテリー端子2の形状に合わせて凹部状に形成される。収容凹部41aは、バッテリー端子2の環状部21aとボルト保持部21bとが第2幅方向に沿って並び、かつ、ボルト保持部21bが環状部21aの第2幅方向外側(後述の筐体側面側)に位置する位置関係でバッテリー端子2を収容可能に形成される。装着部41は、この収容凹部41aの底部を構成する板状の部分がポスト立設面105とバッテリー端子2との間に介在するベース部となる。
装着部41は、収容凹部41a内にバッテリー端子2を係止するための係止爪が設けられると共に、バッテリーポスト102が挿入される挿入孔41bが当該収容凹部41a内に形成される。挿入孔41bは、中心軸線Xを中心とした略円形状に形成される。挿入孔41bは、収容凹部41a内にバッテリー端子2が収容、係止された状態でバッテリー端子2のポスト挿入孔21cと軸方向に対向する位置に形成される。挿入孔41bは、バッテリー100等で許容される公差等を踏まえてバッテリーポスト102の外径よりも十分に大きく形成される。なお、バッテリー端子2は、ポスト挿入孔21cの内周壁面から突出する円環状壁部21f(図8参照)を有し、装着部41の収容凹部41a内に収容、係止された状態で、当該円環状壁部21fが装着部41の挿入孔41bに嵌合することによっても収容凹部41a内に係止される。装着部41は、挿入孔41bにバッテリーポスト102が挿入された状態でポスト立設面105の凹部106を構成する矩形状凹部106a内に配置可能な大きさ、形状で形成される。なお、装着部41は、挿入孔41bにかえて、バッテリーポスト102が貫通可能なポスト挿入切り欠きを備える構成であってもよい。
そして、装着部41は、さらに収容凹部41aに隣接して端子カバー41cも有している。端子カバー41cは、収容凹部41aが形成されている部分に対してヒンジ等を介して開閉自在に連結されており、収容凹部41a内に収容されたバッテリー端子2の環状部21aを覆い、軸方向に対して収容凹部41aとの間に当該バッテリー端子2を保持するものである。端子カバー41cは、収容凹部41aとの間にバッテリー端子2を保持した状態で収容凹部41aが形成されている部分に係止爪等を介して係止される。端子カバー41cは、収容凹部41aとの間にバッテリー端子2を保持した状態で、挿入孔41bと軸方向に対向する位置に、バッテリーポスト102の形状に対応した略半円形状の切り欠き41dが形成される。なお、端子カバー41cは、装着部41と別体に形成されるものであってもよい。
保持部42は、図1、図2に示すように、装着部41と連接されヒュージブルリンク3をポスト立設面105に保持する部分である。保持部42は、略矩形板状に形成された底部42a(図1、図8等参照)と、この底部42aの周縁を囲うように立設される側壁部42bとを有し、これらが一体となってトレイ状(皿状)に形成される。底部42aは、軸方向上側の面がヒュージブルリンク3を載置する受け面42c(図1等参照)となる。側壁部42bは、底部42aの3方を囲うように軸方向上側、すなわち、バッテリー端子2が装着部41と共にバッテリーポスト102に組み付けられた状態(以下、「組み付け状態」という場合がある。)で、鉛直方向上側に向けて突出するようにして立設される。側壁部42bは、底部42aの第1幅方向の両側、及び、第2幅方向の一方側に設けられ、第2幅方向の他方側、ここでは、組み付け状態で接続凹部106c側に位置する側が開口している。なお、以下では、第2幅方向において接続凹部106cが位置する側、ここでは、組み付け状態で側壁部42bが開口する側を、「第2幅方向における筐体側面側」という場合がある。保持部42は、底部42aと側壁部42bとによってヒュージブルリンク3を収容し保持するための収容空間部42d(図1等参照)が区画される。収容空間部42dは、プロテクタ4がバッテリー100のポスト立設面105上に組み付けられた状態で、軸方向上側(鉛直方向上側)に開口する。収容空間部42dは、ヒュージブルリンク3の本体部3Aが嵌合する大きさ、形状に形成される。
また、保持部42は、図1、図2、図6、図7に示すように、側壁部42bの軸方向上側の先端部(組み付け状態で鉛直方向上側の端部)に第1係止爪部42e、第2係止爪部42fが形成される。第1係止爪部42eは、第1幅方向において装着部41側とは反対側に位置する側壁部42bに形成され、第2係止爪部42fは、第1幅方向において装着部41側に位置する側壁部42bに形成される。第1係止爪部42e、第2係止爪部42fは、側壁部42bの先端部が収容空間部42d側に曲がったようなフック状、あるいは、鉤状に形成され、ヒュージブルリンク3、ここでは本体部3Aを係止可能である。第1係止爪部42e、第2係止爪部42fは、第1幅方向に互いに対向する位置に形成される。つまり、第2係止爪部42fは、第1幅方向に対して受け面42cを挟んで第1係止爪部42eと対向すると共に第1係止爪部42eよりヒュージブルリンク3とバッテリー端子2との接続部分側(後述する連結端子6との接続部分側)に位置する。第1係止爪部42e、第2係止爪部42fは、それぞれ、ヒュージブルリンク3の本体部3Aの第1幅方向の各端部に形成された係止突起部33cを係止可能な位置に形成される。保持部42は、ヒュージブルリンク3の本体部3Aが収容空間部42dに位置すると共に垂下部3Bが側壁部42bの開口から垂れ下がるように位置して嵌合された状態で、第1係止爪部42e、第2係止爪部42fがそれぞれヒュージブルリンク3の各係止突起部33cと軸方向に対向し、当該係止突起部33cと共にヒュージブルリンク3を係止(ロック)可能である。なお、第1係止爪部42e、第2係止爪部42fと各係止突起部33cとは、ヒュージブルリンク3が保持部42に嵌合された状態で、公差等に起因して軸方向に多少の隙間があることが許容される。また、ヒュージブルリンク3、保持部42は、第1係止爪部42e、第2係止爪部42f、各係止突起部33cとは別に垂下部3Bの背面側(第2幅方向における筐体側面側とは反対側)等にロック機構等を介して相互に係止されてもよい。
また、保持部42は、図8に示すように、底部42aの軸方向下側の面、すなわち、受け面42cとは反対側の面に膨出部42gを有している。膨出部42gは、底部42aの軸方向下側の面において、側壁部42bの開口が形成される側、すなわち、組み付け状態で接続凹部106c側(第2幅方向における筐体側面側)に位置する側の縁部に第1幅方向に沿って形成される。膨出部42gは、底部42aの軸方向下側の面から軸方向下側に向けて突出するようにして略直方体状に形成される。膨出部42gは、組み付け状態でポスト立設面105の凹部106を構成する接続凹部106c内に配置可能な大きさ、形状で形成される。
上記のように構成される本実施形態の保持部42は、第1幅方向に対して装着部41と隣接するようにして、当該装着部41と一体で形成される。保持部42は、装着部41側の側壁部42bがポスト立設面105上の矩形状凹部106aによる段差に対応するように鉛直方向下側に延在し、当該側壁部42bの下端部で装着部41と連続する。保持部42は、このプロテクタ4が、装着部41の挿入孔41b内にバッテリーポスト102が挿入されバッテリー端子2が装着部41と共にバッテリーポスト102に組み付けられた状態で、装着部41が矩形状凹部106a内に位置し膨出部42gが接続凹部106c内に位置するような位置関係でポスト立設面105上に載置される。保持部42は、この組み付け状態で少なくとも一部がポスト立設面105上に位置し、当該ポスト立設面105上にヒュージブルリンク3を載置し、保持する。保持部42は、組み付け状態で、底部42aの背面側(受け面42c、収容空間部42dとは反対側)がポスト立設面105に当接して載置される。したがって、プロテクタ4は、ヒュージブルリンク3の荷重を、当該保持部42を介してポスト立設面105上で受けることとなる。
係止機構支持部43は、図1、図2、図9、図10、図11に示すように、保持部42と連接され後述する係止機構5が設けられこれを支持する部分である。係止機構支持部43は、保持部42に対して装着部41の反対側に連接される。係止機構支持部43は、略矩形板状に形成され保持部42と連接して形成される板状基部43aと、後述する線状部材52の回動軸部52aを受ける軸部受け部43bと、後述するバネ体51の被支持部51bを受ける被支持部受け部43cとを有しこれらが一体で形成される。板状基部43aは、第1幅方向に対して、保持部42の底部42aから装着部41とは反対側に連接される。板状基部43aは、保持部42の側壁部42bを挟んで底部42aとは反対側、すなわち、収容空間部42dの外側に形成される。上述した保持部42の膨出部42gは、当該板状基部43aの軸方向下面側まで延在している。軸部受け部43bは、後述する線状部材52の回動軸部52aを板状基部43a上に回動可能に支持する部分である。軸部受け部43bは、板状基部43aにおいて組み付け状態で、第2幅方向における筐体側面側に位置する端部に凹部状に形成される。軸部受け部43bは、回動軸部52aを収容可能な凹部として第1幅方向に延在すると共に、凹部内に収容された回動軸部52aを当該凹部内に係止する係止爪部43dを含んで構成される。被支持部受け部43cは、後述するバネ体51の被支持部51bを板状基部43a上に支持する部分である。被支持部受け部43cは、第2幅方向において、軸部受け部43bの筐体側面側とは反対側に段付き部を介して形成される。
係止機構5は、図1、図2、図9、図10、図11、図12に示すように、上記のように構成されるプロテクタ4をポスト立設面105上に係止するものである。本実施形態の係止機構5は、弾性変形可能に形成されたバネ体51と、バネ体51をプロテクタ4に支持する線状部材52とを有する。
バネ体51は、弾性変形可能に形成され先端部にバッテリー筐体101と係止可能である係止部51aが設けられる。バネ体51は、線状部材52に支持される被支持部51bを基端部として渦巻き状に形成され、渦巻き状の外側の先端部に係止部51aが設けられる。ここでは、バネ体51は、係止部51aと、被支持部51bと、第1延在部51cと、第1屈曲部51dと、第2延在部51eと、第2屈曲部51fと、第3延在部51gとを含んで構成される。バネ体51は、例えば、板棒状の金属板にプレス折り曲げ加工を施すことによって、これら係止部51a、被支持部51b、第1延在部51c、第1屈曲部51d、第2延在部51e、第2屈曲部51f、第3延在部51g等が一体で形成され、これらによって渦巻き状に形成される。
係止部51aは、バッテリー筐体101に係止される部分であり、バネ体51の一方の端部(プロテクタ4がバッテリー100のポスト立設面105上に組み付けられた状態で軸方向下側の先端部)がフック状、あるいは、鉤状に曲げ加工されることで形成される。係止部51aは、バッテリー筐体101において、蓋部材104の縁部の軸方向下端面に係止される。ここでは、係止部51aは、先端部が第2幅方向における筐体側面側とは反対側に曲げられると共に先割れし二又になっている。被支持部51bは、線状部材52に支持される部分であり、バネ体51の他方の端部が円筒状に折り返されるようにして曲げ加工されることで形成される。被支持部51bは、円筒状の内側に線状部材52の一部が挿入される。第1延在部51cは、被支持部51bから第2幅方向に沿って延在する部分である。第1屈曲部51dは、第1延在部51cから第2幅方向に沿って被支持部51b側に折り返される部分である。ここでは、第1屈曲部51dは、第1延在部51cの被支持部51bとは反対側の端部から軸方向上側に略半円弧状に折り返される。第2延在部51eは、第1屈曲部51dから第1延在部51cと並行して延在する部分である。ここでは、第2延在部51eは、第1屈曲部51dから第2幅方向に沿って筐体側面側に向けて延在し、被支持部51b、第1延在部51cの軸方向上側に位置する。第2屈曲部51fは、被支持部51bを挟んで第1屈曲部51dとは反対側で第2延在部51eから被支持部51b側に折り返される部分である。ここでは、第2屈曲部51fは、第2延在部51eの第1屈曲部51dとは反対側の端部から軸方向下側に略四分の一円弧状に折り返される。第3延在部51gは、第2屈曲部51fから軸方向に沿って延在し、係止部51aが設けられる先端部を構成する部分である。ここでは、第3延在部51gは、軸方向下側に向かって延在し当該軸方向下側の端部が係止部51aを構成する。このようにして、バネ体51は、線状部材52に支持される被支持部51bを基端部として渦巻き状に形成され、渦巻き状の外側の先端部に係止部51aが設けられる。なおここでは、被支持部51bは、第1延在部51cから第1屈曲部51dとは逆側に円筒状に折り返され内側に線状部材52の連結部52bが挿入される。
線状部材52は、プロテクタ4の係止機構支持部43に回動可能に支持されると共にバネ体51を係止位置(図9等参照)と解除位置(図12等参照)との間で移動可能に係止機構支持部43に支持するものである。ここでは、線状部材52は、レバー部52cの回動に伴ってバネ体51を係止位置と解除位置との間で移動させる。ここで、バネ体51の係止位置とは、図9等に示すように、係止部51aとバッテリー筐体101とが係止される位置である。一方、バネ体51の解除位置とは、図12等に示すように、係止部51aとバッテリー筐体101との係止が解除される位置である。バネ体51は、解除位置では第2幅方向の筐体側面側に突出して位置し、係止位置では第2幅方向の筐体側面側とは反対側に引きこまれて位置する。
線状部材52は、プロテクタ4の係止機構支持部43に回動可能に支持され線状部材52の回動軸線X1を構成する回動軸部52aと、回動軸部52aとバネ体51とを連結する連結部52bと、連結部52bから延在するレバー部52cとを含んで構成される。線状部材52は、例えば、回動軸部52a、連結部52b、レバー部52cを一体成形した樹脂材等によって、屈曲を有する棒状に形成される。
回動軸部52aは、略円柱軸状に形成される部分である。回動軸部52aは、凹部として形成される軸部受け部43b内に嵌合し係止爪部43dによって係止されることで軸部受け部43b内に支持される。回動軸部52aは、軸部受け部43b内に支持された状態で、第1幅方向に沿った回動軸線X1を回転中心として回転可能である。連結部52bは、略円柱軸状に形成されバネ体51の被支持部51bの内側に挿入される軸部52dと、回動軸部52aと軸部52dとを接続する接続部52eとを含んで構成される。接続部52eは、軸部52dと回動軸部52aとが並行するような位置関係で当該軸部52dと当該回動軸部52aとを接続する。つまり、軸部52dは、第1幅方向、言い換えれば、回動軸線X1に沿って延在する。回動軸部52aと連結部52bの軸部52d、接続部52eとは、全体として略コの字型に形成される。レバー部52cは、連結部52bの軸部52dから延在する部分である。レバー部52cは、軸部52dの接続部52e側とは反対側の端部から接続部52eの延在方向に沿って当該接続部52eとは反対側に延在すると共に、先端部が屈曲することで、指でつまみやすいようにするための把持部52fが形成される。
上記のように構成される係止機構5は、バネ体51の被支持部51bに相当する部分が、線状部材52の接続部52eの軸部52dをくるむようにして折り返されることで、被支持部51bの内側に接続部52eの軸部52dが挿入された状態で、線状部材52がバネ体51に組み付けられる。そして、係止機構5は、線状部材52がバネ体51に組み付けられた状態で、線状部材52の回動軸部52aが軸部受け部43b内に嵌合され係止爪部43dによって係止されることで、当該線状部材52がバネ体51と共に回動軸部52aを回動中心として回動可能に係止機構支持部43の軸部受け部43b内に支持される。そして、係止機構5は、線状部材52の回動軸部52aを回動中心としたレバー部52c、連結部52bの回動に伴ってバネ体51を図9、図10、図11に示す係止位置と、図12に示す解除位置との間で移動させることができる。
なお、本実施形態の線状部材52のレバー部52cは、図12に示すバネ体51が解除位置にある状態でのバネ体51からの突出量D2が、図9に示すバネ体51が係止位置にある状態でのバネ体51からの突出量D1より相対的に大きい。より詳細には、レバー部52cは、バネ体51が係止位置にある状態では、第2幅方向の筐体側面側とは反対側に突出量D1だけバネ体51から突出する。一方、レバー部52cは、バネ体51が解除位置にある状態では、比較的に目視しやすい軸方向の上側に突出量D2だけバネ体51から突出する。
連結端子6は、図1、図2に示すように、ヒュージブルリンク3とバッテリー端子2とを電気的に接続するものである。ここで、FLユニット1は、バッテリー端子2が装着部41と共にバッテリーポスト102に組み付けられた状態で、プロテクタ4の装着部41が矩形状凹部106a内に位置し、保持部42の膨出部42gが接続凹部106c内に位置するようにしてポスト立設面105上に載置される。そして、FLユニット1は、組み付け状態でヒュージブルリンク3の本体部3Aがポスト立設面105の軸方向上側に位置し垂下部3Bが第2幅方向の筐体側面側に位置すると共に、電源側端子31aに設けられたスタッドボルト32Aを含む本体部3Aの2つのスタッドボルト32が装着部41側に片寄されて位置する。連結端子6は、このように配置されるヒュージブルリンク3のスタッドボルト32Aとバッテリー端子2のスタッドボルト22とを接続する。
連結端子6は、導電性を有する金属板によって板状バスバとして形成される。本実施形態の連結端子6は、バッテリー端子2のスタッドボルト22の軸部22aが挿入される軸部挿入孔6aと、スタッドボルト32の軸部32aが挿入される軸部挿入孔6bとを有すると共に、ポスト立設面105上の矩形状凹部106aによる段差に対応するように軸部挿入孔6aと軸部挿入孔6bとの間が屈曲している。ここでは、軸部挿入孔6aは、公差吸収のため長孔状に形成されている。そして、本実施形態の連結端子6は、軸部挿入孔6a側に車両等の本体側の電線の末端に設けられた端子等の端子金具6cが一体で構成されている。連結端子6は、軸部挿入孔6aにスタッドボルト22の軸部22aが挿入された状態で軸部22aにナット等が螺合することで当該軸部22aに締結され、軸部挿入孔6bにスタッドボルト32Aの軸部32aが挿入された状態で軸部32aにナット等が螺合することで当該軸部32aに締結される。これにより、連結端子6は、スタッドボルト22とスタッドボルト32Aとを相互に電気的に接続し、ヒュージブルリンク3の可溶体エレメント31とバッテリー端子2とを電気的に接続することができる。また、連結端子6は、端子金具6cに車両等の本体側の電線(例えばスタータ等に接続される電線)が接続され加締められる。なお、図1、図2では、本体部3Aの2つのスタッドボルト32のうちのスタッドボルト32A以外のものに接続される端子107(例えば、オルタネータと接続するための端子等)も図示している。
カバー7は、図1、図2、図3、図13に示すように、プロテクタ4に装着されヒュージブルリンク3を覆うものである。カバー7は、絶縁性の樹脂材によって形成される。カバー7は、略矩形板状に形成された天井部7aと、この天井部7aの周縁を囲うように立設される側壁部7bとを有し、これらが一体となって蓋状に形成される。側壁部7bは、天井部7aの4方を囲うように軸方向下側、組み付け状態で、鉛直方向下側に向けて突出するようにして立設される。側壁部7bは、天井部7aの第1幅方向の両側、及び、第2幅方向の両側に設けられる。カバー7は、天井部7aと側壁部7bとによって装着部41、保持部42、係止機構支持部43を含むプロテクタ4全体を覆うためのカバー空間部7c(図13参照)が区画される。カバー空間部7cは、組み付け状態で、軸方向下側(鉛直方向下側)に開口する。カバー7は、プロテクタ4全体をヒュージブルリンク3側から、すなわち、軸方向上側から覆うことができる大きさ、形状に形成される。カバー7は、ヒュージブルリンク3の垂下部3Bを覆う側の側壁部7b、すなわち、第2幅方向の筐体側面側の側壁部7bが他の側壁部7bより軸方向に沿って長くなるように形成されている。カバー7は、垂下部3Bを含むヒュージブルリンク3全体を覆うことができる。カバー7は、第1幅方向の一方側の側壁部7bに第1係止凹部7d(図13等参照)が形成され、天井部7aに第2係止凹部7e(図13等参照)が形成される。第1係止凹部7dと第2係止凹部7eとは、第1幅方向に互いに対向する位置に形成される。第1係止凹部7d、第2係止凹部7eは、それぞれプロテクタ4に形成された第1カバー係止爪部4a(図1等参照)、第2カバー係止爪部4b(図1等参照)に係止可能である。第1カバー係止爪部4aと第2カバー係止爪部4bとは、第1幅方向に沿って保持部42を挟むようにして位置している。カバー7は、第1係止凹部7dが第1カバー係止爪部4aに係止され、第2係止凹部7eが第2カバー係止爪部4bと係止されることで、プロテクタ4に係止され、当該プロテクタ4全体、ひいては、バッテリー端子2、ヒュージブルリンク3、係止機構5を軸方向上側から覆うようにプロテクタ4に装着される。なお、このカバー7は、例えば、バッテリー100の陽極にブースタケーブル等を接続するために、天井部7a、側壁部7bの一部がヒンジを介して開閉可能な構造とされている。
そしてさらに、本実施形態のカバー7は、図13、図14に示すように、カバー空間部7c側に当接部7fを有する。当接部7fは、第2幅方向の筐体側面側の側壁部7bと天井部7aとの交差部分からカバー空間部7c側に突出したリブ状に形成される。当接部7fは、カバー7がプロテクタ4に装着された状態でバネ体51の軸方向上側に位置する。当接部7fは、カバー7がプロテクタ4に装着された状態で、解除位置にある状態のバネ体51と当接可能な位置、大きさに形成される。一方、当接部7fは、カバー7がプロテクタ4に装着された状態で、係止位置にある状態のバネ体51とは当接しない位置、大きさに形成される。
上記のようにして構成されるFLユニット1は、ヒュージブルリンク3がプロテクタ4の保持部42の収容空間部42d内に嵌合され、第1係止爪部42e、第2係止爪部42fがヒュージブルリンク3のハウジング33の係止突起部33cに係合することで、当該ヒュージブルリンク3が収容空間部42dに係止されロックされる。また、FLユニット1は、プロテクタ4の装着部41にバッテリー端子2が装着される。そして、FLユニット1は、プロテクタ4の装着部41の挿入孔41b、及び、バッテリー端子2のポスト挿入孔21c内にバッテリーポスト102が挿入され、当該装着部41が凹部106内に位置するような位置関係で、プロテクタ4がバッテリー端子2、ヒュージブルリンク3と共にバッテリー100のポスト立設面105上に組み付けられる。より詳細には、FLユニット1は、バッテリー端子2が装着部41と共にバッテリーポスト102に組み付けられた状態で、プロテクタ4の装着部41が矩形状凹部106a内に位置し、保持部42の膨出部42gが接続凹部106c内に位置するようにしてポスト立設面105上に載置される。そして、FLユニット1は、係止機構5によってプロテクタ4をポスト立設面105上に係止しロックすることができる。このようにして、FLユニット1は、少なくともプロテクタ4の一部がバッテリー100のポスト立設面105上に位置し、当該ポスト立設面105上にヒュージブルリンク3を載置し、保持することができる。
この結果、FLユニット1は、プロテクタ4の装着部41と連接された保持部42によってヒュージブルリンク3をバッテリー筐体101のポスト立設面105に保持し、当該ポスト立設面105でヒュージブルリンク3の荷重を受けることで、FLユニット1からバッテリー端子2に作用する荷重を抑制することができるので、バッテリーポスト102に作用する荷重を抑制することができる。また、FLユニット1は、バッテリー筐体101の側面側の周囲に当該FLユニット1を設置するためのスペースを確保しにくいような場合に、バッテリー筐体101のポスト立設面105(鉛直方向上面)上に設置スペースを確保しヒュージブルリンク3を配置することができるので、適正にヒュージブルリンク3を設けることができる。
ここで、係止機構5は、図12に示すように、線状部材52のレバー部52cが第2幅方向の筐体側面側に引き起こされた状態とされることで、バネ体51が板状基部43aに対して軸方向上側でかつ第2幅方向の筐体側面側に離間した位置となり、バネ体51が解除位置となる。係止機構5は、解除位置では、バネ体51の係止部51aが蓋部材104の縁部の軸方向下端面から離間して位置し、係止部51aとバッテリー筐体101との係止が解除され、すなわち、プロテクタ4をポスト立設面105上に係止した状態が解除される。係止機構5は、FLユニット1をポスト立設面105上に載置しただけの段階ではバネ体51が解除位置とされている。
一方、係止機構5は、図9、図10、図11に示すように、線状部材52のレバー部52cが第2幅方向の筐体側面側とは反対側に回動され倒された状態とされることで、バネ体51が板状基部43a側に近接した位置、ここでは、バネ体51の被支持部51bが被支持部受け部43c上に支持される位置となり、バネ体51が係止位置となる。このとき、バネ体51は、線状部材52の回動軸部52a、連結部52bの作用によって係止部51aが軸方向上側に引っ張り上げられながら最終的に係止位置となる。係止機構5は、係止位置では、バネ体51の係止部51aが蓋部材104の縁部の軸方向下端面に係止されることで、係止部51aとバッテリー筐体101とが係止され、すなわち、プロテクタ4をポスト立設面105上に係止しロックする。係止機構5は、上記のようにFLユニット1がポスト立設面105上に載置され、バネ体51が解除位置から係止位置とされることで、係止部51aとバッテリー筐体101とが係止され、プロテクタ4を含むFLユニット1全体をポスト立設面105上に係止しロックすることができる。
このとき、係止機構5は、バネ体51を解除位置から係止位置に移動させる動作の際に、線状部材52を介して係止機構支持部43に支持されたバネ体51が弾性変形することで、バッテリー100やこれらの構成部品の公差を吸収した上で、係止部51aとバッテリー筐体101とを確実に係止し、プロテクタ4をポスト立設面105上に係止することができる。より詳細には、バネ体51は、少なくとも主に第1屈曲部51dが軸方向に弾性変形することで軸方向の公差を吸収し(図9中の矢印A参照)、主に第2屈曲部51fが第2幅方向に弾性変形することで第2幅方向の公差を吸収することができる(図9中の矢印B参照)。
また、この係止機構5は、バネ体51が線状部材52のレバー部52cの回動に伴って係止位置と解除位置とに移動する構成であることから、レバー部52cの位置を目視にて確認することで、バネ体51による係止の状態を容易に確認することができる。
そして、FLユニット1は、バッテリー端子2がバッテリーポスト102に組み付けられた後、可溶体エレメント31の電源側端子31aのスタッドボルト32Aとバッテリー端子2のスタッドボルト22とを接続するようにして連結端子6が設けられ、締付部23を含む各部のボルト、ナット等が締め付けられる。この結果、バッテリー端子2は、バッテリーポスト102に締結されると共に、当該バッテリー端子2とヒュージブルリンク3とが電気的に接続される。このようにしてFLユニット1は、少なくとも上記の係止機構5とバッテリー端子2の締付部23との2箇所でポスト立設面105上に固定される。そして、FLユニット1は、さらに端子107等が接続された後、プロテクタ4にカバー7が装着される。
なおここでは、バッテリー端子2、ヒュージブルリンク3をプロテクタ4に組み付けた後にバッテリー端子2、ヒュージブルリンク3と共にプロテクタ4をポスト立設面105上に組み付けるものとして説明したが、これに限らず、プロテクタ4をポスト立設面105上に組み付けた後に、プロテクタ4にバッテリー端子2、ヒュージブルリンク3を組み付けてもよい。
なお、本実施形態のプロテクタ4は、図1、図8、図9、図10、図12、図15等に示すように、さらに、ポスト立設面105と対向する面に当接突出部42hを有している。当接突出部42hは、プロテクタ4のポスト立設面105と対向する面、ここでは、膨出部42gのポスト立設面105と対向する面における係止機構5を挟んで装着部41とは反対側に位置する端部、すなわち、組み付け状態においてバッテリーポスト102とは反対側に位置する端部に形成される。より詳細には、当接突出部42hは、第1幅方向に対して係止機構5のバネ体51よりも装着部41、バッテリーポスト102とは反対側に位置する。当接突出部42hは、膨出部42gのポスト立設面105と対向する面に当該端部からポスト立設面105側に向かって先細り状に突出し当該ポスト立設面105と当接する。ここでは、当接突出部42hは、凹部106を構成する接続凹部106c内のポスト立設面105と当接する。ここでは、当接突出部42hは、第1幅方向に対して装着部41側から遠ざかるほど、すなわち、組み付け状態においてバッテリーポスト102側から遠ざかるほど先が細くなるようなテーパ状に形成される。これにより、当接突出部42hは、第1幅方向に対してバネ体51よりも装着部41、バッテリーポスト102とは反対側に位置し、かつ、第2幅方方向に対してバネ体51と重ならないように設けられる。当接突出部42hは、膨出部42gの端部に、第2幅方向に沿って延在する。
以上で説明したFLユニット1によれば、バッテリー端子2と接続され過電流が流れたときに可溶体31cが溶断するヒュージブルリンク3と、バッテリー端子2をバッテリー筐体101のポスト立設面105に設けられたバッテリーポスト102に締結可能な位置に装着する装着部41、及び、装着部41と連接されヒュージブルリンク3をポスト立設面105に保持する保持部42を有するプロテクタ4と、プロテクタ4をポスト立設面105上に係止する係止機構5とを備え、係止機構5は、弾性変形可能に形成され先端部にバッテリー筐体101と係止可能である係止部51aが設けられたバネ体51と、バネ体51をレバー部52cの回動に伴って係止部51aとバッテリー筐体101とが係止される係止位置と係止部51aとバッテリー筐体101との係止が解除される解除位置との間で移動可能にプロテクタ4に支持する線状部材52とを有する。
したがって、FLユニット1は、バッテリー端子2が装着されるプロテクタ4にヒュージブルリンク3を保持すると共に、弾性変形可能に形成されるバネ体51と、バネ体51を係止位置と解除位置との間で移動可能に支持する線状部材52とを有する係止機構5によって、当該プロテクタ4をポスト立設面105上に係止する。これにより、FLユニット1は、バネ体51を解除位置から係止位置に移動させる動作の際に、線状部材52を介して係止機構支持部43に支持されるバネ体51が弾性変形することで、バッテリー100やこれらの構成部品の公差を吸収した上で、係止部51aとバッテリー筐体101とを確実に係止し、プロテクタ4をポスト立設面105上に係止することができる。また、FLユニット1は、バネ体51が線状部材52のレバー部52cの回動に伴って係止位置と解除位置とに移動する構成であることから、レバー部52cの位置を目視にて確認することで、バネ体51による係止の状態を容易に確認することができ、プロテクタ4がポスト立設面105上に係止されていることを容易に確認することができる。この結果、FLユニット1は、バッテリー100に対して適正に組み付けることができる。
より詳細には、FLユニット1によれば、レバー部52cは、バネ体51が解除位置にある状態でのバネ体51からの突出量D2が、バネ体51が係止位置にある状態でのバネ体51からの突出量D1より相対的に大きい。したがって、FLユニット1は、バネ体51が解除位置にある状態でレバー部52cをより確実に目視しやすくすることができ、バネ体51による係止の状態をより確実に確認することができるので、例えば、組み付け作業の効率性や確実性を向上することができる。
また、FLユニット1によれば、バネ体51は、少なくともレバー部52cの回動軸線X1に沿った第1幅方向と直交する第2幅方向、及び、第1幅方向、第2幅方向の双方と直交する軸方向に弾性変形する。したがって、FLユニット1は、少なくともバネ体51が第2幅方向に弾性変形することで第2幅方向の公差を吸収し、軸方向に弾性変形することで軸方向の公差を吸収することができ、その上で、バネ体51を介してプロテクタ4をポスト立設面105上に係止することができる。
さらに、FLユニット1によれば、プロテクタ4に装着されヒュージブルリンク3を覆うカバー7を備え、カバー7は、プロテクタ4に装着された状態で解除位置にある状態のバネ体51と当接する当接部7fを有する。したがって、FLユニット1は、バネ体51が解除位置にある状態で、カバー7をプロテクタ4に装着しようとすると、当接部7fがバネ体51に当接し当該カバー7を適正に装着することができないようにすることができるので、バネ体51が解除位置にあることを確実に認識させることができる。この結果、FLユニット1は、最終的に確実にバネ体51によってプロテクタ4をポスト立設面105上に係止することができる。
なお、当接部7fは、カバー7がプロテクタ4に装着されバネ体51が解除位置にある状態の線状部材52と当接可能な位置、大きさに形成されてもよい。この場合、当接部7fは、カバー7がプロテクタ4に装着されバネ体51が係止位置にある状態の線状部材52とは当接しない位置、大きさに形成される。この場合であっても、FLユニット1は、バネ体51が解除位置にあることを確実に認識させることができ、最終的に確実にバネ体51によってプロテクタ4をポスト立設面105上に係止することができる。
さらに、FLユニット1によれば、係止機構5は、バネ体51がバッテリー筐体101と当接することでバッテリーポスト102を回転中心としたバッテリー端子2の回転を規制可能である。したがって、FLユニット1は、プロテクタ4とバッテリー端子2とを一体でバッテリー100に組み付けることができるので、当該プロテクタ4に設けられ係止機構5を構成するバネ体51を、バッテリーポスト102に対するバッテリー端子2の組み付け角度を規制する規制部材としても兼用することができる。つまり、FLユニット1は、係止部51aを有するバネ体51がバッテリー端子2のバッテリーポスト102周り方向の回転を所定の範囲で規制するストッパとしても機能することで、バッテリーポスト102に対するバッテリー端子2の組み付け角度の許容範囲を相対的に狭い範囲に限定することができるので、バッテリーポスト102に対するバッテリー端子2の組み付け精度を向上することができる。すなわち、FLユニット1は、いわゆるバッテリー端子ストッパとして兼用することができるので、例えば、製造コストを抑制することができる。またここでは、FLユニット1は、バネ体51が第1幅方向に対して保持部42を挟んで装着部41とは反対側に位置し、バッテリー端子2が締結され回転中心となるバッテリーポスト102から相対的に離れて位置していることから、バッテリーポスト102を回転中心とした回転に対してバネ体51による係止位置を相対的に回転外側に位置させることができるので、回転に対する保持力を相対的に大きく確保することができる。
さらに、FLユニット1によれば、プロテクタ4は、ポスト立設面105と対向する面における係止機構5を挟んで装着部41とは反対側の端部にポスト立設面105側に向かって先細り状に突出し当該ポスト立設面105と当接する当接突出部42hを有する。したがって、FLユニット1は、ポスト立設面105に対するプロテクタ4の支持部位を、装着部41、バッテリーポスト102から相対的に離れた位置で線接触的にすることができる。これにより、FLユニット1は、例えば、ポスト立設面105に対するプロテクタ4の支持部位がバッテリーポスト102に相対的に近接して位置する場合と比較して、バッテリー端子2をバッテリーポスト102に締結した際に、ポスト立設面105に対するバッテリーポスト102の基端部の軸方向公差等に起因して当該支持部位を支点としてプロテクタ4全体が軸方向に反り上がる量を相対的に小さくすることができる。また、FLユニット1は、当接突出部42hが先細り状に形成されることから、当接突出部42hによってプロテクタ4とポスト立設面105との接触面積を相対的に減らすことができることで、ポスト立設面105の表面のうねり等の影響を受け難くすることができる。またここでは、FLユニット1は、当接突出部42hが所定の方向にテーパ状に形成され、第1幅方向に対して当接突出部42hがバネ体51よりも装着部41、バッテリーポスト102とは反対側に位置し、かつ、第2幅方方向に対して当接突出部42hとバネ体51とが重ならないように形成されることから、バネ体51によってポスト立設面105上に係止された際にポスト立設面105に対するプロテクタ4の支持部位を支点としてプロテクタ4全体が軸方向に反り上がることも抑制することができる。この結果、FLユニット1は、より適正にバッテリー100に対して組み付けることができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係るヒュージブルリンクユニットは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上で説明したバネ体51は、線状部材52に支持される被支持部51bを基端部として渦巻き状に形成され、渦巻き状の外側の先端部に係止部51aが設けられるものとして説明したがこれに限らない。
図16に示す変形例に係るFLユニット201は、プロテクタ4(図1等参照)をポスト立設面105(図1等参照)上に係止する係止機構205を備える。そして、係止機構205が備えるバネ体251は、線状部材52に支持される被支持部251bを基端部として略L字型状に形成され、略L字型状の外側の先端部にバッテリー筐体101と係止可能である係止部251aが設けられる。ここでは、バネ体251は、係止部251aと、被支持部251bと、第1延在部251cと、第1屈曲部251dと、第2延在部251eとを含んで構成される。
係止部251aは、バッテリー筐体101に係止される部分であり、バネ体251の一方の端部(プロテクタ4がバッテリー100のポスト立設面105上に組み付けられた状態で軸方向下側の先端部)がフック状、あるいは、鉤状に曲げ加工されることで形成される。係止部251aは、バッテリー筐体101において、蓋部材104の縁部の軸方向下端面に係止される。被支持部251bは、線状部材52に支持される部分であり、バネ体251の他方の端部が半円弧状に折り返されるようにして曲げ加工されることで形成される。ここでは、被支持部251bは、軸方向に略半円弧状に折り返される。第1延在部251cは、被支持部251bから第2幅方向に沿って筐体側面側に向けて延在する部分である。第1延在部251cは、被支持部251bの軸方向上側の端部から延在する。第1屈曲部251dは、被支持部251bとは反対側で第1延在部251cから被支持部251b側に折り返される部分である。ここでは、第1屈曲部251dは、第1延在部251cの被支持部251bとは反対側の端部から軸方向下側に略四分の一円弧状に折り返される。第2延在部251eは、第1屈曲部251dから軸方向に沿って延在し、係止部251aが設けられる先端部を構成する部分である。ここでは、第2延在部251eは、軸方向下側に向かって延在し当該軸方向下側の端部が係止部251aを構成する。このようにして、バネ体251は、線状部材52に支持される被支持部251bを基端部として略L字型状に形成され、略L字型状の外側の先端部にバッテリー筐体101と係止可能である係止部251aが設けられる。
FLユニット201は、バネ体251が上記のように構成される場合であっても、バッテリー100やこれらの構成部品の公差を吸収した上で、係止部251aとバッテリー筐体101とを確実に係止し、プロテクタ4をポスト立設面105上に係止することができ、この結果、バッテリー100に対して適正に組み付けることができる。
以上で説明したFLユニット1は、EN規格のバッテリー100に適用されるものとして説明したがこれに限らず、他の規格、例えば、JIS規格等のバッテリーに適用されてもよいし、規格にかかわらず種々のバッテリーに適用されてもよい。
以上で説明したポスト立設面105は、例えば、バッテリー100が車両等に搭載された状態で、蓋部材104において凹部106が設けられた鉛直方向上側の面に形成されるものとして説明したがこれに限らず、バッテリー100が凹部106を有さない構成において、蓋部材104の鉛直方向上側の面によって形成されてもよいし、鉛直方向上側の面以外の面によって形成されてもよい。
以上の説明では、FLユニット1は、陽極用のバッテリーポスト102に設けられるバッテリー端子2に対して適用されるものとして説明したが、これに限らず、陰極用のバッテリーポスト102に設けられるバッテリー端子2に対して適用されてもよい。
また、以上の説明では、第1方向は、第1幅方向、第2方向は、第2幅方向、第3方向は、軸方向であり、互いに直交するものとして説明したがこれに限らず、第1方向、第2方向、第3方向の関係が上記とは異なっていてもよい。