1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として説明する。
図1に示すように、第1形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50に取付けられた遊技盤2(図4参照)とを備えている。遊技機枠50は、図2に示すように、外枠51と内枠52と前枠(ガラス扉枠)53とを備えている。外枠51は、パチンコ遊技機1の外郭部を形成する縦長方形状の枠体である。内枠52は、外枠51の内側に配置されていて、遊技盤2を取付ける縦長方形状の枠体である。前枠53は、内枠52の前方に配置されて、遊技盤2を保護する縦長方形状のものである。
遊技機枠50は、左端側にヒンジ部54を備えて構成されている。このヒンジ部54により、前枠53は、外枠51および内枠52に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠52は、外枠51および前枠53に対してそれぞれ回動自在になっている。前枠53の中央には開口部分53aが形成されていて、遊技者が後述する遊技領域3を視認できるように透明のガラス板55が開口部分53aに取付けられている。
前枠53は、図3に示すように、ベース枠56と、上側装飾ユニット200と、左側装飾ユニット210と、右側装飾ユニット220と、操作機構ユニット230とを備えて構成されている。ベース枠56は、表面側(前面側)で上側装飾ユニット(上側装飾部)200と左側装飾ユニット210と右側装飾ユニット220と操作機構ユニット230とを着脱可能に取付ける枠体である。ベース枠56の上側の左右にはスピーカ67が設けられていて、ベース枠56のうち下側の左方には遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61が設けられている。またベース枠56の下端には遊技球を後述する遊技領域3へ打ち出すための打球発射機構57が設けられている。
上側装飾ユニット200は、ベース枠56の上側に配されるものであり、当該上側装飾ユニット200と左側装飾ユニット210と右側装飾ユニット220と操作機構ユニット230とがベース枠56に取付けられている状態で、最も前方に突出している。つまり、上側装飾ユニット200の前後方向の寸法は、ベース枠56に取付けられるどのユニットの前後方向の寸法よりも長くなっている。これにより、本形態の前枠53では、上側装飾ユニット200が強調されていて、従来の前枠に比べて大きなインパクトを与えるようになっている。上側装飾ユニット200の詳細な構成については、後に説明する。
左側装飾ユニット210は、ベース枠56の左側に配されるものであり、左側装飾部材211等を備えている。右側装飾ユニット220は、ベース枠56の右側に配されるものであり、右側装飾部材221等を備えている。また右側装飾ユニット220には、剣の形を模した剣部材222が配されていて、遊技の進行に伴って実行される演出時等に遊技者が剣部材222を下方向に押し込むことができるようになっている。
操作機構ユニット230は、ベース枠56の下側に配されるものであり、右側の下端に回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60を備え、ハンドル60の左側に打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62を備えている。また操作機構ユニット230の上側には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63や十字キー68が設けられている。
本形態のパチンコ遊技機1では、図3に示すように、遊技場の島設備において鉛直方向に起立した垂直壁面SHのうち遊技機1の上方には、データカウンタ150が配されている。データカウンタ150は、垂直壁面SHに固定されている固定部材151と、この固定部材151に対して前傾姿勢になるように傾動可能に取付けられているデータ表示装置152とを備えている。
データ表示装置152は、後述する大当たり遊技状態の発生回数や高確率状態の発生回数等を表示する略直方体形状のものである。またデータ表示装置152は、遊技者がホールの従業員を呼ぶための呼び出しボタン等を有している。
次に、図4を参照して遊技盤2について説明する。図4に示すように、遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤ランプ5(図12参照)が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎ(符号省略)が突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置7が設けられている。画像表示装置(表示手段に相当)7の表示画面7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄8L,8C,8Rの可変表示を行う演出図柄表示領域がある。なお、演出図柄8L,8C,8Rを表示する演出を演出図柄変動演出という。演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「8」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図6参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄可変表示演出のほか、大当たり遊技(特別遊技の一つ)に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面7aに表示する。なお演出図柄可変表示演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留画像9Aを表示する第1演出保留画像表示エリアと、後述の第2特図保留の記憶数に応じて演出保留画像9Bを表示する第2演出保留表示エリアとがある。演出保留画像9A,9Bの表示により、後述の第1特図保留表示器43a(図6参照)にて表示される第1特図保留の記憶数、および、後述の第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左下方には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。またセンター装飾体10の上部には、後述する盤可動体15が格納状態で配されている。
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1始動入賞口、第1入球口、固定始動口)20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
遊技領域3における第1始動口20の右上方には、第1大入賞口(第1特別入賞口)30を備えた第1大入賞装置(第1特別可変入賞装置)31が設けられている。第1大入賞装置31は、開閉部材(第1特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図11参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
また遊技領域3における第1始動口20の下方には、第2始動口(第2始動入賞口、第2入球口、可変始動口)21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー)22が設けられている。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選)の契機となっている。電チュー22は、可動部材23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、電チューソレノイド24(図11参照)により駆動される。
すなわち、電チューソレノイド24の通電時には、可動部材23が遊技盤2に対して前方に進出して、第2始動口21への遊技球の入球を許容する開状態にある。可動部材23が開状態にある(電チュー22が開放している)ときには、第2始動口21の上側に到達した遊技球は、第2始動口21へ入球する。なお、普通可変入賞装置22において、第2始動口21の下流には、第2始動口21への遊技球の入球を検知する第2始動口センサ21a(図11参照)が配されている。
一方、電チューソレノイド24の非通電時には、可動部材23が遊技盤2に対して後方に退いて、第2始動口21への遊技球の入球を妨げる閉状態にある。可動部材23が閉状態にある(電チュー22が閉鎖している)ときには、後述のアウト口16へ向かう。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の上方には、遊技球が通過可能なゲート(通過領域)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の右上方には、第2大入賞口(第2特別入賞口)35を備えた第2大入賞装置(第2特別可変入賞装置)36が設けられている。第2大入賞装置36は、羽根部材(第2特別入賞口開閉部材)37を備え、羽根部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。羽根部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図11参照)により駆動される。第2大入賞口35は、羽根部材37が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
より詳細には、図5(A)に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。なお、振分部材71は、遊技盤2に対して左右方向に移動するものであり、振分部材ソレノイド73の通電時には、遊技球を特定領域39に振り分ける退状態(第1の状態)をとり、振分部材ソレノイド73の非通電時には、遊技球を非特定領域70に振り分ける進状態(第2の状態)をとる。
図5(A)は、振分部材ソレノイド73の通電時を示している。図5(A)に示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を許容する第1の状態にある。振分部材71が第1の状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
図5(B)は、振分部材ソレノイド73の非通電時を示している。図5(B)に示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を妨げる第2の状態にある。振分部材71が第2の状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと振分部材71の上面を転動して非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。これに対して非特定領域70は、確変作動口ではない。また、第1大入賞装置31には、確変作動口としての特定領域は設けられていない。すなわち非特定領域しか設けられていない。
図4に戻り、遊技領域3の下部には、普通入賞口27や、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域3Aと、右側の右遊技領域3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本パチンコ遊技機1では、左打ちにて第1始動口20への入賞を狙うことができる。一方、右打ちにてゲート28への通過、第2始動口21、第1大入賞口30、および第2大入賞口35への入賞を狙うことができる。
また図4に示すように、遊技盤2の右側中央には表示器類40が配置されている。表示器類40には、図6に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器41b、および、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留、第1保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留、第2保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄(第1図柄)ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄(識別情報)を可変表示したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当たり遊技)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(入賞情報)は、特図保留記憶部85(図11参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(図11参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(図11参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ4個となっている。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には特図保留表示器43は、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄(第2図柄)の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図6参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(図11参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そして、このような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。
2.上側装飾ユニットの構成
次に図1,図3,図7〜図9に基づいて、上側装飾ユニット200の構成を説明する。上側装飾ユニット200は、図9に示すように、外側カバー300と内側カバー400と左側可動体600Lと右側可動体600Rとを備えている。
外側カバー300は、図9に示すように、上方と後方とが開口している略箱型形状をしていて、内側カバー400と左側可動体600Lと右側可動体600Rとを収容するものである。外側カバー300が本発明の「取付部」に相当する。
図9に示すように、外側カバー300の左上部後方の内側には、左側タッチセンサ321が取付けられている。また、外側カバー300の左上端には、長尺状の左側タッチ電極322が取付けられている(図9参照)。
左側タッチセンサ321は、左側タッチ電極322に対する人体の接触を検出するものであり、具体的には高周波発振回路を利用する静電容量式のタッチセンサである。つまり、人体が左側タッチ電極322に接触すると、人体の大地に対する静電容量(人体容量)に基づいて高周波発振回路が発振する高周波正弦波電圧が減少する。左側タッチセンサ321は、この高周波正弦波電圧の減少を検出して、人体が左側タッチ電極322に接触したか否かを検出するようになっている。左側タッチ電極322は、左側タッチセンサ321の検出範囲を広くするために、外側カバー300の上側の縁部のほぼ左半分で広範囲に配されている。
さらに、外側カバー300の右上部後方の内側には、右側タッチセンサ331が取付けられている(図9参照)。また、外側カバー300の右上端には、長尺状の右側タッチ電極332が取付けられている(図9参照)。
右側タッチセンサ331は、上記左側タッチセンサ321と同様、右側タッチ電極332に対する人体の接触を検出する静電容量式のタッチセンサである。右側タッチセンサ331が人体を検出する方法は、上述した左側タッチセンサ321が人体を検出する方法と同様であるため、説明を省略する。右側タッチ電極332は、右側タッチセンサ331の検出範囲を広くするために、外側カバー300の上側の縁部のほぼ右半分で広範囲に配されている。なお、左側タッチ電極322の右端322aと右側タッチ電極332の左端332aとは、接触しないように左右方向に離間している。左側タッチセンサ321と右側タッチセンサ331、および、左側タッチ電極322と右側タッチ電極332が、本発明の「接触検出手段」に相当する。
本形態では、左側タッチセンサ321が左側タッチ電極322に対する人体の接触を検出した場合、又は、右側タッチセンサ331が右側タッチ電極332に対する人体の接触を検出した場合には、後述する左側可動体600Lおよび右側可動体600Rが移動(回転)しないようになっている。すなわち、人体が左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332に接触しているときには、後述する左側可動体600Lおよび右側可動体600Rが移動することができない。
また、人体が左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332に所定時間(本形態では3秒)接触し続けている場合には、後述する報知演出が実行され得る。
また図9に示すように、外側カバー300の左側には、可動体復帰ボタン323が設けられている。可動体復帰ボタン323は、遊技者の操作により後述する左側可動体600Lおよび右側可動体600Rをそれぞれの回転待機位置に復帰させるためのボタンである。
内側カバー400は、図9に示すように、上方と後方が開口している略箱型形状をしていて、左側可動体600Lと右側可動体600Rとを収容するものである。
左側可動体600Lは、図7,8に示すように、表面部601Lの形状が犬の顔の左半分を模したものになっている。また、右側可動体600Rは、図8に示すように表面部601Rの形状が、犬の顔の右半分を模したものになっている。左側可動体600Lおよび右側可動体600Rは「可動体」に相当し、これらをまとめて枠可動体600や、可動体600L,600Rと称することとする。
左側可動体600Lは、図7(A)に示した状態で内側カバー400内に収容されている。左側可動体600Lは、図7(A)に示した状態から回転軸441周りに時計方向に90度回転可能になっている。そこで、左側可動体600Lの図7(A)に示した位置を、「左側回転待機位置」と呼ぶこととする。つまり、左側可動体600Lが内側カバー400内に収容されている位置が、左側回転待機位置(待機位置、下方待機位置)である。一方、左側可動体600Lが図7(A)に示した状態から時計方向に90度回転した位置(図7(C)(D)参照)を、「左側回転動作位置」と呼ぶこととする。
右側可動体600Rは、上述の左側可動体600Lと同じく、図1に示す状態から回転軸441周りに反時計方向に90度回転可能になっている。そこで、右側可動体600Rの図1に示した位置を、「右側回転待機位置」と呼ぶこととする。つまり、右側可動体600Rが内側カバー400内に収容されている位置が、右側回転待機位置(待機位置、下方待機位置)である。一方、右側可動体600Rが図1に示した状態から反時計方向に90度回転した位置を、「右側回転動作位置」と呼ぶこととする。こうして、本形態では、左側可動体600Lが左側回転動作位置(上方動作位置)にあるとともに、右側可動体600Rが右側回転動作位置(上方動作位置)にあるとき、左側可動体600Lの表面部601Lと右側可動体600Rの表面部601Rとによって、犬の顔(一つの装飾形態)が形成されるようになっている(図8参照)。
なお本形態では、左側可動体600Lと右側可動体600Rとは、位置が異なること以外、左右対称で同様の構成である。そのため、以下では左側可動体600Lの構成について説明し、右側可動体600Rの構成については説明を適宜省略する。なお以下の説明において、左側可動体600Lの構成部材と左右一対になっている右側可動体600Rの構成部材について述べる場合、その構成部材の名称を「左側」から「右側」に替えて述べることとし、符号を「L」から「R」に替えて述べることとする。
左側可動体600Lは、図7,8に示すように、左側顔部610Lと左側鬣部620Lとを備えている。左側顔部610Lは、図7,8に示すように、前方側(正面側)に上述した表面部601Lを形成する顔カバー611と、略三角錐形状の耳部材614とを備えている。顔カバー611は、犬の顔の左半分を形成するために凹凸を有する立体形状になっていて、一部で光を透過可能になっている。左側鬣部620Lは、鬣を模した形状の鬣部材623を備えている。
なお、左側顔部610L(左側可動体600L)が左側回転待機位置にあるとともに右側顔部610R(右側可動体600R)が右側回転待機位置にあるとき、言い換えると左側顔部610Lおよび右側顔部610Rが内側カバー400内に収容されているときには、左側顔部610Lのベース板612と右側顔部610Rのベース板612とが、遊技機枠50の上壁面の一部を形成している。
続いて、図7(A)〜(D)に示す正面図に基づいて、左側可動体600Lの一連の動作について説明する。図7(A)に示すように、左側可動体600Lが左側回転待機位置にあるときには、鬣部材623が顔カバー611の内側(図7(A)の上方)へ揺動されている。そのため、鬣部材623の一部のみが顔カバー611の外側へ露出している。
そして、図7(A)に示す状態から、左側回転用モータ521L(図12参照)が駆動し始めると、鬣部材623が顔カバー611の外側へ揺動し始める。これにより、図7(B)に示すように、左側可動体600Lが左側回転待機位置から回転軸441周りに反時計方向へ45度回転しているときには、鬣部材623の大部分が顔カバー611の外側へ露出している。
続いて、図7(C)に示すように、左側可動体600Lが左側回転動作位置に到達したときには、未だ耳部材614が顔カバー611内に位置している。その後、左側直動用モータ641L(図12参照)が駆動し始めると、耳部材614が顔カバー611から上方へ突出し始めて、図7(D)に示すように、顔カバー611の外側へ最も突出する。以上、左側可動体600Lの動作について説明したが、左側可動体600Lの動作と右側可動体600Rの動作とは左右対称であること以外同様であるため、右側可動体600Rの動作については説明を省略する。
本形態では、遊技機枠50(上側装飾ユニット200)に設けられている可動体600L,600Rが、図3に示すように遊技機枠50(前枠53)の上縁50Uよりも下方に位置する回転待機位置(単に「待機位置」ともいう)から、図8に示すように遊技機枠50の上縁50Uよりも上方に位置する回転動作位置(単に「動作位置」ともいう)に変位(移動)可能となっている。そのため、従来に比べて遊技機枠50に設けられている可動体による演出のインパクトを強めることが可能となり、遊技者に驚きを与えることが可能となる。なお遊技機枠50(前枠53)の上縁50Uとは、遊技機枠50の外郭を構成する上下左右の枠縁(上縁50U,下縁50D,左縁50L,右縁50R)のうち、遊技機枠50の上端で左右方向に延びる縁を意味する。
そして遊技機1がホールに設置された状態において、遊技機枠50よりも上方は、遊技機枠50よりも下方、左方、右方に比べて大きなスペースがあって、比較的遊技を邪魔し難い場所である。従って、可動体600L,600Rを遊技機枠50よりも上方へ大きく突出させることが可能となり、可動体600L,600Rとして比較的大きくてインパクトを与えるものになっている。
一方、可動体600L,600Rは、遊技機枠50の上縁50Uよりも下側である回転待機位置で待機することができるため、遊技機枠50としての外形寸法を従来と同じにすることができる。そのため、遊技機枠50を生産する際に既存の生産ラインを使用することが可能であり、且つ遊技機枠50を輸送する際にコンテナ等も現行のものを使用することが可能となる。よって、生産時や輸送時に不具合が生じるのを防止することが可能である。
また本形態では、図3に示すように、可動体600L,600Rが外側カバー300および内側カバー400内に収容されているときには、可動体600L,600Rの各ベース板612が上側装飾ユニット200(前枠53)の上壁面の一部を形成している。これに対して、図8に示すように、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときには、各ベース板612が係合して、可動体600L,600Rの各顔カバー611によって一つの装飾形態(犬の顔)が形成される。そのため、上側装飾ユニット200の上壁面が変形するかのような斬新な演出を行うことが可能となり、遊技機枠50(上側装飾ユニット200)が変形しないと考えている遊技者にとって、強いインパクトを与えることが可能となる。
また本形態では、2つの可動体600L,600Rが、回転動作位置にあるときには一つの装飾形態(犬の顔)を形成し、回転待機位置にあるときにはその装飾形態を形成しない。つまり、一つの装飾形態を形成する2つの可動体600L,600Rが回転動作位置から回転待機位置へ変位する際には、左側可動体600Lを回転軸441周りに反時計方向へ90度回転させるのに対して、右側可動体600Rを回転軸441周りに時計方向へ90度回転させる。そのため、回転待機位置では2つの可動体600L,600Rを外側カバー300および内側カバー400内にコンパクトに収容することが可能となる。
すなわち、仮に本形態のような大きな装飾形態を一つの可動体で構成すると、その可動体を外側カバー300および内側カバー400内に収容することが難しくなる。これに対して本形態のように2つの可動体600L,600Rを独立して移動(回転)させることにより、外側カバー300および内側カバー400内にコンパクトに収容することができる。よって、遊技機枠50という配置スペースの限られた構成部品に可動体を設ける場合に、独立して移動可能な2つの可動体600L,600Rを用いることにより、回転待機位置では2つの可動体600L,600Rをコンパクトに待機させつつ、回転動作位置では大きな装飾形態を形成することが可能となる。
また本形態では、可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置まで回転した後、耳部材614が、顔カバー611の内側である非突出位置から、顔カバー611の外側である突出位置まで突出する(図7(A)〜(D)参照)。つまり、可動体600L,600Rは2段階で上方に向かって移動する。そのため、可動体600L,600Rは、より大きな一つの装飾形態を形成することができ、装飾効果を高めることが可能となる。そして耳部材614は、非突出位置では顔カバー611内に収納可能になっているため、可動体600L,600Rをコンパクトにしつつ、突出位置では大きな装飾形態を形成できるようになっている。
また本形態では、大きな装飾形態を形成する可動体600L,600Rを外側カバー300および内側カバー400内に収容することができる。そのため、可動体600L,600Rが、輸送時の衝撃や遊技時の悪戯等によって破損するのを防止することが可能となる。特に、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rは悪戯され易いものであるところ、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rを外側カバー300および内側カバー400内に完全に隠れるように収容することができる。すなわち、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rを外側へ露出させないことができる。そのため、可動体600L,600Rの表面部601L,601Rで悪戯され難くすることが可能となる。
また本形態では、比較的大きな可動体600L,600Rが遊技機枠50の上縁50Uよりも上向きに突出することになるが、以下の新たな問題点が起こり得る。即ち、図8に示すように、可動体600L,600Rは回転動作位置にあるとき、データカウンタ150のデータ表示装置152と遊技者との間に、大きな可動体600L,600Rが位置するため、遊技者がデータ表示装置152に表示されている大当たり遊技状態の発生回数や高確率状態の発生回数等をほとんど視認できなくなる。そのため、回転動作位置にある大きな可動体600L,600Rを遊技者が邪魔に感じることが起こり得る。
そこで、外側カバー300には可動体復帰ボタン323が設けられている。そのため、図8に示すように、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときに遊技者が可動体復帰ボタン323を操作(押圧)すると、可動体600L,600Rが回転動作位置から回転待機位置に向かって90度回転し、回転待機位置に復帰する。
このように、回転動作位置にある大きな可動体600L,600Rを遊技者が邪魔に感じたとしても、可動体復帰ボタン323の操作により、データ表示装置152と遊技者との間に大きな可動体600L,600Rが位置しないようにできる。こうして、遊技者の意向に応じて、データ表示装置152を視認することが可能となる。なお本形態では、可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置へ至る途中や、耳部材614が非突出位置から突出位置に至る途中で、可動体復帰ボタン323が操作された場合でも、可動体600L,600Rを回転待機位置へ復帰させるように構成している。但し、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときに可動体復帰ボタン323が操作された場合に限って、可動体600L,600Rを回転待機位置へ復帰させるように構成してもよい。
また本形態では、上述したように外側カバー300に左側タッチセンサ321(図9参照)および右側タッチセンサ331(図9参照)が設けられている。そこで、左側タッチセンサ321による検出又は右側タッチセンサ331による検出の効果について説明する。先ず遊技者が外側カバー300を触っている状況で、仮に可動体600L,600Rが回転待機位置から回転動作位置へ移動しようとすると、可動体600L,600Rが遊技者の手等に当たってしまうおそれがある。
また、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるときには、内側カバー400で可動体600L,600Rを収容していた内部空間SP(図9参照)が露出するため、遊技者が内部空間SPを覗き込もうとして、遊技者の手が外側カバー300を触る状況が考えられる。この状況において、仮に可動体600L,600Rが回転動作位置から回転待機位置へ移動しようとすると、移動する可動体600R,600Lと内側カバー400の内側とで遊技者の手が挟まれるおそれがある。
そこで本形態では、左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331の少なくとも一方が人体による接触を検出したときには、可動体600L,600Rの両方が移動できないようになっている。特に、上述したように遊技者が外側カバー300を触っている状況とは、遊技者の手が外側カバー300の上側の縁部に触っている状況が考えられる。そのため本形態では、図9に示すように、遊技者が比較的触り易い外側カバー300の上側の縁部に、左側タッチ電極322および右側タッチ電極332が配されている。
これにより、遊技者が左側タッチ電極322を触っている状況では、左側タッチセンサ321が、左側タッチ電極322に人体が接触していることを検出して、可動体600L,600Rの両方が移動しない。同様に、遊技者が右側タッチ電極332を触っている状況では、右側タッチセンサ331が、右側タッチ電極332に人体が接触していることを検出して、可動体600L,600Rの両方が移動しない。こうして、遊技者が左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332に触っているとき、回転動作位置へ移動しようとする可動体600L,600Rが遊技者の手等に当たってしまうのを防ぐことが可能となる。また、回転待機位置へ移動しようとする可動体600R,600Lと内側カバー400の内側とで遊技者の手が挟まれるのを防ぐことが可能となる。
なお、タッチセンサ321,331による人体の接触が検出されていないときに、万一遊技者の手が、左側回転動作位置へ移動しようとする左側可動体600Lと右側回転動作位置へ移動しようとする右側可動体600Rとの間に挟まれても、左側回転用モータ521Lの回転トルクおよび右側回転用モータ521Rの回転トルクは、挟まれた遊技者の手が痛くない程度の大きさに予め設定されている。つまり、左側可動体600Lと右側可動体600Rとの間に遊技者の手が挟まれると、左側回転用モータ521Lおよび右側回転用モータ521Rが空回りして、遊技者が痛いと感じないようになっている。
また本形態では、可動体600L,600Rが回転動作位置又は回転待機位置で停止している場合に限られず、回転動作位置と回転待機位置との間で移動している場合に、左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331の少なくとも一方が人体による接触を検出したときには、可動体600L,600Rの両方が移動できないようになっている。そのため、可動体600L,600Rの移動中であっても、可動体600L,600Rが遊技者等に当たってしまうのを防いで、高い安全性を確保している。
3.遊技機の電気的構成
次に図10〜図12に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図10〜図12に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御手段に相当)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、ランプ制御基板107および音声制御基板106とともにサブ制御部を構成する。なお、サブ制御部は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(画像表示装置7や盤ランプ5、枠ランプ66、スピーカ67、盤可動体15等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。
またパチンコ遊技機1は、電源基板160を備えている。電源基板160は、主制御基板80、サブ制御基板90および払出制御基板110に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板160には、バックアップ電源回路161が設けられている。バックアップ電源回路161は、本パチンコ遊技機1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に対して電力を供給する。従って、主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に記憶されている情報は、パチンコ遊技機1の電断時であっても保持される。また、電源基板160には、電源スイッチ165が接続されている。電源スイッチ165のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切り換えられる。なお、主制御基板80のRAM84に対するバックアップ電源回路を主制御基板80に設けたり、サブ制御基板90のRAM94に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けたりしてもよい。
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。なお、ROM83は外付けであってもよい。
RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)と普図保留記憶部86とが設けられている。
また主制御基板80には、図10に示すように、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70aおよび普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて、第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて、第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第1大入賞口30内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第1大入賞口30内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内に設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の羽根部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第1大入賞装置31の振分部材71を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、特別図柄表示器41(第1特別図柄表示器41a,第2特別図柄表示器41b)、普通図柄表示器42、特図保留表示器43(第1特図保留表示器43a,第2特図保留表示器43b)および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。また払い出される貸球は、その計数のため球貸センサ132により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図11に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)97が含まれている。なお、ROM93は外付けであってもよい。
サブ制御基板90には、図11に示すように、枠中継基板99、画像制御基板100、音声制御基板106およびランプ制御基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107を介して、遊技機枠50に設けられている枠ランプ66、および遊技盤2に設けられている盤ランプ5の点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ66や盤ランプ5などのランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に接続された盤可動体15(図4参照)を動作させる。盤可動体15は、センター装飾体10の上部に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。盤可動体15は、表示画面7aの周辺部(本形態では上部)でコンパクトに折り畳まれて格納されている格納状態(図4参照)から、その折り畳みを解除されて表示画面7aの中央部を含む略全域の前方で露出している露出状態(図示省略)に変位可能なものである。
詳細には演出制御用マイコン91は、盤可動体15の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って盤可動体15の動作を制御する。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や盤可動体15の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
図12に示すように、枠中継基板99には、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出する演出ボタン検出SW(スイッチ)63aが接続されるとともに、可動体復帰ボタン323(図8参照)が押下操作されたことを検出する可動体復帰ボタン検出スイッチ323aが接続されている。従って、演出ボタン63が押下されると、演出ボタン検出SW63aから枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に対してスイッチ信号が出力され、可動体復帰ボタン323が押下されると、可動体復帰ボタン検出スイッチか323aから枠中継基板99の入出力回路96を介してサブ制御基板90に対してスイッチ信号が出力される。
また枠中継基板99には、上述した上側装飾ユニット200の外側カバー300に設けられている左側タッチセンサ321(図9参照)および右側タッチセンサ331が接続されている。従って、左側タッチ電極322(図9参照)に人体が接触すると、左側タッチセンサ321から枠中継基板99を介してサブ制御基板90に検出信号が出力され、右側タッチ電極332に人体が接触すると、右側タッチセンサ331から枠中継基板99を介してサブ制御基板90に検出信号が出力される。
また枠中継基板99には、上述した上側装飾ユニット200に設けられているモータ類が接続されている。このモータ類とは、上述したように可動体600L,600Rを回転させる左側回転用モータ521Lおよび右側回転用モータ521Rと、耳部材614を直動させる左側直動用モータ641Lおよび右側直動用モータ641Rである。そのため、サブ制御基板90から枠中継基板99を介してモータ類に駆動信号が出力されると、モータ類が駆動する。
また枠中継基板99には、上述した上側装飾ユニット200に設けられているフォトセンサ類(左側第1フォトセンサ531L、左側第2フォトセンサ532L、左側第3フォトセンサ661L、左側第4フォトセンサ662L、右側第1フォトセンサ531R、右側第2フォトセンサ532R、右側第3フォトセンサ661Rおよび右側第4フォトセンサ662R)が接続されている。そのため、フォトセンサ類の検出信号は、枠中継基板99を介してサブ制御基板90に出力される。
なお、演出制御用マイコン91は、盤可動体15や、枠可動体600(可動体600L,600R)の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って盤可動体15や枠可動体600の動作を制御する。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御を実行させてもよい。また、ランプ制御基板107に枠可動体600を接続して、ランプ制御基板107に枠可動体600の動作制御をさせてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
4.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技は、特別遊技の一例である。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別については図13および図14に示す通りである。図13および図14に示すように、本形態では大当たりの種別としては、大きく分けて2つ(Vロング大当たりとVショート大当たり)ある。「Vロング大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が可能な第1開放パターン(Vロング開放パターン)で開閉部材32および羽根部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は、その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が不可能な第2開放パターン(Vショート開放パターン)で開閉部材32および羽根部材37を作動させる大当たりである。
より具体的には、「Vロング大当たり」は、総ラウンド数が16Rである。1Rから13Rまでと15Rは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。14Rと16Rは第2大入賞口35を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する。この14Rおよび16Rでは、第2大入賞口35内の特定領域39への通過が容易に可能である。
これに対して、「Vショート大当たり」は、総ラウンド数は16Rであるものの、実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり、1Rから13Rまでは第1大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放するが、15Rでは第1大入賞口30を1R当たり0.1秒しか開放せず、また、14Rと16Rでも第2大入賞口35を1R当たり0.1秒しか開放しない。従って、このVショート大当たりでは14Rから16Rまでは、大入賞口の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。つまり、Vショート大当たりは実質13Rの大当たりとなっている。
また、Vショート大当たりにおける14Rと16Rでは第2大入賞口35が開放されるものの、その開放時間が極めて短く、第2大入賞口35内の特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。なお、Vショート大当たりにおける14Rおよび16Rでは、第2大入賞口35の開放時間が短いことだけでなく、第2大入賞口35の開放タイミングと振分部材71の作動タイミング(第2の状態(図5(B)参照)から第1の状態(図5(A)参照)に制御されるタイミング)との関係からも、特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能となっている。
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当たり遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、上記のVロング大当たりに当選した場合には、大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して、Vショート大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができないため、その大当たり遊技後の遊技状態は、後述の通常確率状態(非高確率状態)となる。
なお、図13に示すように、第1特別図柄(特図1)の抽選における大当たりの振分率は、Vロング大当たりが50%、Vショート大当たりが50%となっている。これに対して、第2特別図柄(特図2)の抽選において当選した大当たりは、全てVロング大当たりとなっている。すなわち、後述の電サポ制御の実行により入球可能となる第2始動口21への入賞に基づく抽選により大当たりに当選した場合には、必ずVロング大当たりとなる。このように本パチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第1特別図柄の抽選)よりも、第2始動口21に遊技球が入賞して行われる大当たり抽選(第2特別図柄の抽選)の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「大当たり種別乱数」に基づいて行われる。図15(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。大当たり種別乱数は、0〜9までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および大当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄(装飾図柄)のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていてもよい。このリーチ乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜127までの範囲で値をとる。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図15(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
5.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図16(A)参照)。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図17参照)。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
ここで図17に示すように、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。また、リーチになる場合にそのリーチがノーマルリーチとなるのかスーパーリーチ(SPリーチ)となるのかも決まる。スーパーリーチとは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチである。本形態では、スーパーリーチはノーマルリーチを経て発展的に実行される。
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図16(C)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図16(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図18参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図18参照)。すなわち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。
高ベース状態(電サポ制御状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態(電サポ制御状態)は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39への通過がなされていれば、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では160回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また、Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、その大当たり遊技中に特定領域39の通過がなされていなければ(なされることは略ない)、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態(非電サポ制御状態)である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特定遊技状態」という。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
6.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に図19〜図28に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM83から図19に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(ステップS001)。なお初期設定(S001)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、CPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定や、各種のフラグ、ステータス、カウンタおよびタイマ等のリセット等を行う。特に本形態では、後述のエラーフラグのリセットも行う。具体的に例えば、先回の電源ON時に、エラーフラグが「2」となり、後述の磁気検知報知が行われていた場合には、電源が再度ONされた初期設定(S001)でエラーフラグが「0」に更新される。これにより、磁気検知報知が停止する。
初期設定(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、図15に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。この場合、ソフトウェアによる乱数の更新処理は必要ない。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。本形態ではメイン側タイマ割り込み処理(S005)は、4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。つまり、4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。図20に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まずエラーフラグの値が「1」又は「2」かどうかを判定する(S101)。なお、エラーフラグの値が「1」とは、異常入賞(特定領域39への不正通過)を検出したことを意味する。また、エラーフラグの値が「2」とは、不正な磁気(通常とは異なる磁気)を検出したことを意味する。なお、エラーフラグがOFFとは、エラーフラグの値が「0」のときである。
エラーフラグの値が「1」でも「2」でもない場合には(S101でNO)、入力処理(S102)に進む。入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図10参照))が検知した検出信号を読み込む。また、この入力処理(S102)では、下皿62の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。
次に、後述するセキュリティ制御処理(S103)を実行する。続いてタイマ更新処理(S104)を実行する。タイマ更新処理(S104)では、作動中の各種タイマの値の更新(減算)を行う。次いで賞球制御処理(S105)を行う。賞球制御処理(S105)では、入力処理(S102)で読み込んだ各種センサの検出信号に基づいて、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払出コマンドをRAM84の出力バッファにセットする。払出コマンドは、払出制御基板110に対して出力されるコマンドである。
次に普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S106)を行う。普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S106)は、図19の主制御メイン処理で行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。すなわち、図15に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S106)に次いで、始動口センサ検出処理(S107)および普通動作処理(S108)を実行する。始動口センサ検出処理(S107)では、第1始動口センサ20a又は第2始動口センサ21aがONしていれば、ONした始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、大当たり図柄乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数)を取得する。また、ゲートセンサ28aがONしていれば、すでに記憶されている当たり乱数が4個未満であることを条件に普通図柄乱数を取得する。また、普通動作処理(S108)では、始動口センサ処理にて取得した普通図柄乱数を所定の判定テーブルを用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示および停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通図柄当たりに当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターンに従って電チュー22を開放させる補助遊技を行う。
次いで、後述の特別動作処理(S109)および特定領域センサ検出処理(S110)を実行する。そして、出力処理(S111)を行う。出力処理(S111)では、上述した各処理において主制御基板80のRAM84に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。
その後、その他の処理(S112)を実行して、本処理を終える。その他の処理(S112)としては、後述の特図2保留球数に基づいて第2特図保留表示器43bをその数を示す表示態様に制御したり、後述の特図1保留球数に基づいて第1特図保留表示器43aをその数を示す表示態様に制御したりする。また、後述の普図保留球数に基づいて普図保留表示器44をその数を示す表示態様に制御したりする。
なお、上記ステップS101でエラーフラグの値が「1」又は「2」の場合には(S101でYES)、後述のエラー処理(S113)を行い、本処理を終える。
また、次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002〜S004の処理が繰り返し実行され(図19参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再び本処理が実行される。
[セキュリティ制御処理]図21に示すように、セキュリティ制御処理(S103)ではまず、普通電役不正入賞処理(S120)を行う。この処理では、電チュー22(つまり普通電役)への不正な入賞の有無を検知して、不正入賞が検知されればその旨を報知するための異常入賞報知と、異常が検出されたことを示す異常検出の設定とを行う。
続いて、第2大入賞口不正入賞処理(S121)を行う。この処理では、第2大入賞口35への不正な入賞の有無を検知する。不正入賞が検知された場合には、異常入賞報知と異常検出の設定とを行う。次いで、第1大入賞口不正入賞処理(S122)を行う。この処理では、第1大入賞口30への不正な入賞の有無を検知する。不正入賞が検知された場合には、異常入賞報知と異常検出の設定とを行う。
次いで、後述する特定領域不正通過処理(S123)を行い、第1大入賞口排出確認処理(S124)を行う。第1大入賞口排出確認処理(S124)では、第1大入賞口30を通過した遊技球の数(検知数)と、非特定領域70又は特定領域39を通過した遊技球の数とが異なる場合には、第1大入賞口30からの不正な排球があったことになるため、異常入賞の報知を行うとともに、異常検出の設定を行う。
続いて、後述する磁気検出処理(S125)を行う。そして、扉開放処理(S126)を行う。扉開放処理(S126)では、前枠53や内枠52の開放を検知する扉開放検知センサ(不図示)からの入力信号を読み取り、前枠53又は内枠52が開放されていると判定されると、扉開放の報知を行う。
次いで、不正電波検出処理(S127)を行う。不正電波検出処理(S127)では、電波を利用した不正行為を検知するための電波検知センサ(不図示)からの入力信号を読み取り、電波による不正行為がなされたと判定されると、不正行為の検出報知および異常検出の設定を行う。その後、衝撃検出処理(S128)を行って、本処理を終える。衝撃検出処理(S128)では、パチンコ遊技機1を振動させる不正行為を検知するための振動検知センサ(不図示)からの入力信号を読み取り、振動による不正行為がなされたと判定されると、不正行為の検出報知および異常検出の設定を行う。
[特定領域不正通過処理]図22に示すように、特定領域不正通過処理(S123)ではまず、実行中の大当たり遊技が「Vショート大当たり」のものであるか否かを判定する(S141)。「Vショート大当たり」の大当たり遊技ではないと判定した場合には(S141でNO)本処理を終えるが、「Vショート大当たり」の大当たり遊技であると判定した場合には(S141でYES)、ステップS142に進む。
続いて、特定領域39の有効期間中(V有効期間中)か否かを判定する(S142)。特定領域39の有効期間中であれば(S142でYES)、不正通過はないため本処理を終える。一方、特定領域39の有効期間中でなければ(S142でNO)、特定領域39への通過が検知されたか否か(特定領域センサ39aによる遊技球の通過検知があったか否か)を判定する(S143)。
特定領域への通過検知がなければ(S143でNO)、本処理を終える。一方、通過検知があれば(S143でYES)、V無効期間中の特定領域39への通過であるため、異常入賞(異常通過)の報知を行うための異常入賞報知の設定を行う(S144)。具体的には、異常入賞報知コマンドをRAM84の出力バッファにセットする。なお、セットされた異常入賞報知コマンドは、上記メイン側タイマ割り込み処理(図20)の出力処理(S111)でサブ制御基板90に出力されることになる。異常入賞報知については、後ほど詳述する。
次いで、異常検出の設定を行う(S145)。具体的には、上述したエラーフラグの値を「1」に変更する。その後、エラータイマに「2500」をセットして(S146)、本処理を終える。エラータイマとは、上記異常入賞に伴って遊技の進行を停止させる期間を計測するためのタイマ(カウンタ)である。本形態では、上記異常入賞の発生から10秒間、遊技を停止する。上述したように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)は4ms周期であるため、10秒間に相当する「2500」を、エラータイマの値にセットする。これにより、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行毎(具体的には、後述のエラー処理(S113)のステップS3002の処理の実行毎)にエラータイマの値が減算されて、セットから10秒後にエラータイマの値が「0」になる。
[磁気検出処理]図23に示すように、磁気検出処理(S125)では遊技制御用マイコン81は、まず磁気センサからの出力値に基づき、不正な磁気を検出したか否かを判定する(S151)。本形態では、電源投入時に各種電動役物を動作させてオフセット設定(オフセット値(オフセット電圧)の設定)を行う磁気センサを用いている。磁気センサの出力値からオフセット値を差し引いた補正値が所定の閾値を超える場合には、不正な磁気を検出したと判定する。一方、補正値が所定の閾値以下の場合には、不正な磁気の存在がないと判定する。
不正な磁気を検出していないと判定した場合には(S151でNO)、そのまま本処理を終えるが、不正な磁気を検出したと判定した場合には(S151でYES)、磁気検出の報知を行うための磁気検出報知の設定を行う(S152)。具体的には、磁気検出報知コマンドをRAM84の出力バッファにセットする。なお、セットされた磁気検出報知コマンドは、上記異常入賞報知コマンドと同じく、上記メイン側タイマ割り込み処理(図20)の出力処理(S111)でサブ制御基板90に出力されることになる。磁気検出報知については、後ほど詳述する。
次いで、異常検出の設定を行う(S153)。具体的には、上述したエラーフラグの値を「2」に変更する。
[特別動作処理]図24に示すように特別動作処理(S105)では、特別図柄表示器41および大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4」を割り当てている。そして、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S1301でYES)、特別図柄待機処理(S1302)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S1301でNO、S1303でYES)、特別図柄変動中処理(S1304)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S1301,S1303で共にNO、S1305でYES)、特別図柄確定処理(S1306)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S1301,S1303,S1305の全てがNO)、大当たり遊技としての特別電動役物処理(S1307)を行う。なお特別動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[特別電動役物処理]図25に示すように、特別電動役物処理(S1307)ではまず、大当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2201)。大当たり終了フラグは、実行中の大当たり遊技において大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)の開放が全て終了したことを示すフラグである。
大当たり終了フラグがONでなければ(S2201でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中か否か(すなわち大入賞装置の開放中か否か)を判定する(S2202)。開放中でなければ(S2202でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる時間に至ったか否か、すなわち大当たりのオープニングの時間が経過して初回のラウンド遊技における開放開始の時間に至ったか、又は、一旦閉鎖した大入賞口を再び開放させるまでのインターバル時間(閉鎖時間)が経過して開放開始の時間に至ったか否かを判定する(S2203)。
ステップS2203の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2203の判定結果がYESであれば、現在実行中の大当たり遊技がVロング大当たりとしての大当たり遊技か否かを判定する(S2204)。そして、Vロング大当たりでなければステップS2207に進むが、Vロング大当たりであれば、第2大入賞口35を開放させる第14ラウンド若しくは第16ラウンドを開始するタイミングであるか否か、すなわちラウンドカウンタの値が「3」若しくは「1」であるか否かを判定する(S2205)。第2ラウンドを開始するタイミングでなければ(S2205でNO)、そのままステップS2207に進む。これに対して、第2ラウンドを開始するタイミングであれば(S2205でYES)、V有効期間設定処理(S2206)を行う。
V有効期間設定処理(S2206)では、Vロング大当たりの第14ラウンドおよび第16ラウンドにおける第2大入賞口35の開放中および第2大入賞口35の閉塞後の数秒間を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するV有効期間に設定する。なお本形態ではこれ以外の期間(大当たり遊技を実行していないときも含む)を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定するV無効期間に設定している。ここで、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知に基づいてVフラグをONする(後述の特定領域センサ検出処理(図27)を参照)ということである。また、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があってもVフラグをONしないということである。
すなわち本形態では、V有効期間中のV通過(特定領域39への遊技球の通過)の検知時のみVフラグをONし、V有効期間外(V無効期間中)のV通過検知時にはVフラグをONしないこととしている。なお、VフラグがONである場合には、確変フラグがONされて、大当たり遊技後の遊技状態が高確率状態に設定される(後述の遊技状態設定処理(図26)を参照)。このようにすることで、不正行為によるV通過に基づいてVフラグがONされることのないように、すなわち高確率状態に設定されることのないようにしている。
しかも本形態では、V有効期間外(V無効期間中)のV通過検知時には、画像表示装置7の表示画面7a上に、後述の異常入賞報知(図38参照)が10秒間表示されて、遊技の進行が停止することになっている。よって、V有効期間外(V無効期間中)において遊技球をV通過させる不正行為を抑制することが可能となっている。
ステップS2207では、大当たりの種類に応じた開放パターン(図13および図14参照)に従って大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる。なお、振分部材71は、大当たり遊技(又はラウンド遊技)の開始から常に一定の動作で動いている。Vロング大当たりの開放パターン(Vロング開放パターン)では、第14ラウンドおよび第16ラウンドにおいて、第2大入賞口35に入賞した遊技球が余裕をもって特定領域39を通過できるように羽根部材37が開放される。これに対して、Vショート大当たりの開放パターン(Vショート開放パターン)では、第14ラウンドおよび第16ラウンドにおいて、第2大入賞口35に入賞することがほぼできないように羽根部材37が開放される。また、Vショート開放パターンにおいては、仮に遊技球が第2大入賞口35に入賞できたとしても特定領域39を通過することができないように、振分部材71の動作に対する羽根部材37の開放タイミングが設定されている。
続くステップS2208では、ラウンド指定コマンド送信判定処理を行う。ラウンド指定コマンド送信判定処理(S2208)では、ステップS2207での大入賞口の開放が1回のラウンド遊技中での初めての開放か否かを判定し、そうであれば、実行中の大当たり遊技のラウンド数の情報を含むラウンド指定コマンド(図13参照)を、RAM84の出力バッファにセットする。なお本形態では、1回のラウンド遊技中に複数回の大入賞口の開放がなされることはない。そのため、このステップS2208では、必ずラウンド指定コマンドがセットされることとなる。
上記ステップS2202において、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中であれば(S2202でYES)、大入賞口の閉鎖条件が成立しているか否かを判定する(S2209)。本形態では、閉鎖条件は、そのラウンド遊技における大入賞口への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では1ラウンド当たり8個)に達したこと、又は、大入賞口を閉鎖させる時間に至ったこと(すなわち大入賞口を開放してから所定の開放時間(図14参照)が経過したこと)のいずれかが満たされていることである。そして、大入賞口の閉鎖条件が成立していなければ(S2209でNO)、本処理を終える。
これに対して、大入賞口の閉鎖条件が成立している場合(S2209でYES)には、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を閉鎖(閉塞)する(S2210)。そして、ステップS2210の閉鎖によって1回のラウンド遊技が終了する場合には(S2211でYES)、ラウンドカウンタの値を1ディクリメントし(S2212)、ラウンドカウンタの値が「0」であるか否か判定する(S2213)。「0」でなければ(S2213でNO)、次のラウンド遊技を開始するためにそのまま本処理を終える。
一方、「0」であれば(S2213でYES)、大当たり遊技を終了させる大当たり終了処理として、大当たりのエンディングコマンド(図13参照)をセットするとともに(S2214)、大当たりのエンディングを開始する(S2215)。そして、大当たり終了フラグをセットして処理を終える(S2216)。
またステップS2201において大当たり終了フラグがONであれば(S2201でYES)、最終ラウンドが終了しているので、大当たりのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2217)、エンディング時間が経過していなければ(S2217でNO)処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2217でYES)、大当たり終了フラグをOFFするとともに(S2218)、大当たりフラグをOFFし(S2219)、特別動作ステータスを「1」にセットする(S2220)。これにより、次回のメイン側タイマ割り込み処理において、特別動作処理(図24)として再び特別図柄待機処理(S1302)が実行されることになる。その後、後述の遊技状態設定処理(S2221)を行って本処理を終える。
[遊技状態設定処理]図26に示すように、遊技状態設定処理(S2221)ではまず、VフラグがONか否かを判定する(S2301)。VフラグがONでなければ(S2301でNO)、時短フラグをONするとともに(S2302)、時短カウンタに「100」をセットして(S2303)、ステップS2309に進む。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が非高確率状態且つ時短状態且つ高ベース状態(すなわち低確高ベース状態)になる。この低確高ベース状態は、特別図柄の可変表示が100回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する。
一方、ステップS2301においてVフラグがONであれば、確変フラグをONするとともに(S2304)、確変カウンタに「160」をセットする(S2305)。その後、VフラグをOFFする(S2306)。続いて、時短フラグをONするとともに(S2307)、時短カウンタに「160」をセットして(S2308)、ステップS2309に進む。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が、高確率状態且つ時短状態且つ高ベース状態(すなわち高確高ベース状態)になる。この高確高ベース状態は、特別図柄の可変表示が160回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する。
ステップS2309では、遊技制御用マイコン81は、今設定した遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM84の出力バッファにセットする。そして、遊技状態設定処理を終える。
[特定領域センサ検出処理]遊技制御用マイコン81は、特別動作処理(S109)に次いで特定領域センサ検出処理(S110)を行う。特定領域センサ検出処理(S110)では図27に示すように、まず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2401)。ステップS2401にて検知なしと判定した場合には(S2401でNO)本処理を終了する。一方、検知ありと判定した場合には(S2401でYES)、続いて、V有効期間中か否かを判定する(S2402)。V有効期間中でなければ(S2402でNO)、本処理を終える。これに対して、V有効期間中であれば(S2402でYES)、VフラグをONするとともに(S2403)、V通過コマンドをセットして(S2404)、本処理を終える。V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過があったことを通知するためのコマンドである。
[エラー処理]図28に示すように、エラー処理(S113)では遊技制御用マイコン81は、まずエラーフラグの値が「1」か否かを判定する(S3001)。エラーフラグの値が「1」と判定した場合には(S3001でYES)、ステップS3002に進むが、エラーフラグの値が「1」ではないと判定した場合(S3001でNO)、つまり「2」と判定した場合には、磁気による不正行為が検出されたこととなり、以後、電源の再投入がなされるまで遊技は停止される。なおこのとき、画像表示装置7の表示画面7aには、図37に示すような磁気検出報知が表示される。磁気検出報知については、後ほど説明する。
ステップS3002では、上述したエラータイマの値を減算する。そして、減算後のエラータイマの値が「0」か否かを判定する(S3003)。エラータイマの値が「0」ではないと判定した場合には(S3003でNO)、そのまま本処理を終えるが、エラータイマの値が「0」と判定した場合には(S3003でYES)、エラーフラグの値を「0」に変更して(S3004)、本処理を終える。これにより、以降、遊技が再開されることになる。
7.演出制御用マイコン91の動作
以上の遊技制御用マイコン81における処理と並行して、演出制御用マイコン91は図29〜図36に示す処理を行う。以下、演出制御用マイコン91の動作について説明する。
[サブ側タイマ割り込み処理]演出制御用マイコン91は、図29に示すようなサブ側タイマ割り込み処理を所定の時間(本形態では、10ms)毎に繰り返す。サブ側タイマ割り込み処理ではまず、後述する受信コマンド解析処理(S4001)、枠可動体任意復帰処理(S4002)、タッチセンサ処理(S4003)およびタイマ更新処理(S4004)を行う。
次いで、コマンド送信処理(S4005)および駆動制御処理(S4006)を行う。コマンド送信処理(S4005)では、受信コマンド解析処理等でRAM94の出力バッファにセットした各種コマンドを画像制御基板100に送信する。コマンド送信処理が実行されると、各種コマンドを受信した画像制御基板100は、画像表示装置7を用いて各種の演出(変動演出や、大当たり遊技に伴う大当たり演出(オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出)や、客待ち演出など)を実行する。なお、画像制御基板100による各種の演出の実行に伴ってサブ制御基板90は、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力したり、ランプ制御基板107を介して盤ランプ5や枠ランプ66を発光させたりする。
駆動制御処理(S4006)では、演出に合うタイミングで枠可動体600や盤可動体15を駆動させるべく、駆動データ(枠可動体600や盤可動体15の駆動のためのデータ)の作成や出力を行う。後述の受信コマンド解析処理(S4001)および枠可動体任意復帰処理(S4002)でセットした枠可動体駆動データに従って枠可動体600の駆動を行う。例えば、実行中の変動演出等の演出に合うタイミングで可動体600L,600Rを回転待機位置から回転動作位置に変位させる。
さらに駆動制御処理(S4006)では、後述のタッチセンサ処理(S4003)でセットした枠可動体駆動停止データに従って枠可動体600の駆動の停止を行う。例えば、枠可動体600が回転待機位置から回転動作位置に変位する途中で枠可動体駆動停止データがセットされれば、枠可動体600の移動が停止する。枠可動体600が停止しているとき枠可動体駆動停止データがセットされれば、枠可動体600がその位置で停止し続ける。
[受信コマンド解析処理]図30に示すように、受信コマンド解析処理(S4001)では演出制御用マイコン91はまず、遊技制御用マイコン81から変動開始コマンドを受信しているか否かを判定する(S4101)。受信していなければ(S4101でNO)、ステップS4103に進むが、受信していれば(S4101でYES)、後述の変動演出開始処理(S4102)を行う。
ステップS4103では、遊技制御用マイコン81から異常入賞報知コマンドを受信しているか否かを判定する。受信していなければ(S4103でNO)ステップS4105に進むが、受信していれば(S4103でYES)、異常入賞報知処理(S4104)を行う。
異常入賞報知処理(S4104)では、例えば図37に示す画像、すなわち、表示画面7aの中央に文字列EM1(「異常入賞エラー(エラーコード○○)」)を配した画像を用いた異常入賞報知を行う。なおその画像は、異常入賞報知の実行が遠方からでもわかるよう、文字列EM1以外の部分が、有色(例えば、赤色)で塗りつぶされた画像になっている(図37参照)。
また、異常入賞報知を行う場合には、図37に示す画像が、表示画面7aの最前面に描画される。すなわち、表示画面7aの最前面をなすレイヤに描画される。よって、異常入賞報知の実行中に、その他の画像を遊技者等が視認することは困難である。例えば、表示画面7a上で後述の指示報知が行われているときに異常入賞報知を開始したら、図37に示すように、異常入賞報知の文字列EM1は遊技者等にとって視認可能である一方、指示報知の文字列EN(後述)は視認困難である(図37中の破線)。かくして本形態では、指示報知の実行中に異常入賞報知を行う場合には、指示報知よりも遊技者等に視認させ易い態様で異常入賞報知を行っている。
本形態で、異常入賞報知は10秒間連続して行う。なお上述したように、異常入賞報知を実行している間は遊技の進行が停止する。具体的には、遊技制御用マイコン81は、異常入賞報知の実行に並行してエラータイマを作動し、エラータイマの値が「0」になるまで、上記メイン側タイマ割り込み処理(図20)でエラー処理(S113)だけを行っている。
ステップS4105では、遊技制御用マイコン81から磁気検出報知コマンドを受信しているか否かを判定する。受信していなければ(S4105でNO)、ステップS4107に進むが、受信していれば(S4105でYES)、磁気検出報知処理(S4106)を行う。
磁気検出報知処理(S4106)では、例えば図38に示す画像、すなわち、表示画面7aの中央に文字列EM2(「磁気検出エラー(エラーコード○○)」)と、文字列EM3(「※係員を呼んで下さい。」)とを配した画像を用いた磁気検出報知を行う。なおその画像は、異常入賞報知と同じく、磁気検出報知の実行が遠方からでもわかるよう、文字列EM2以外の部分が有色(例えば、赤色)で塗りつぶされた画像になっている(図38参照)。
また、磁気検出報知を行う場合には、図38に示す画像が、表示画面7aの最前面に描画される。すなわち、表示画面7aの最前面をなすレイヤに描画される。よって、磁気検出報知の実行中に、その他の画像を遊技者等が視認することは困難である。例えば、表示画面7a上で後述の指示報知が行われているときに磁気検出報知を開始したら、図38に示すように、磁気検出報知の文字列EM2,EM3は遊技者等にとって視認可能である一方、指示報知の文字列EN(後述)は視認困難である(図38中の破線)。かくして本形態では、指示報知の実行中に磁気検出報知を行う場合には、指示報知よりも遊技者等に視認させ易い態様で磁気検出報知を行っている。
本形態では、異常入賞報知とは異なり、電源の再投入がなされるまで磁気検出報知を行う。そして、上述したように、磁気検出報知を行っている間は遊技の進行が停止する。
ステップS4107では、その他の処理を行う。すなわち、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、普通図柄変動開始コマンドや普通図柄変動停止コマンドに基づく処理等)を行って、本処理を終える。
[変動演出開始処理]図31に示すように、変動演出開始処理(S4102)では演出制御用マイコン91は、まず変動演出パターンを選択する(S4201)。具体的には、変動演出パターン決定用乱数を取得するとともに、変動開始コマンドの解析結果等に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン決定用乱数を判定することによって変動演出パターンを選択する。これにより、枠可動体600や盤可動体15の駆動の有無やそのタイミングといった詳細まで含めて変動演出の内容が決定される。つまり、変動演出パターンが決まれば、変動演出の時間、演出図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、演出展開構成、演出図柄の背景の種類等からなる変動演出の内容の詳細が決まることとなる。
次に演出制御用マイコン91は、選択した変動演出パターンが、枠可動体600の駆動を伴う変動演出パターンであるか否かを判定する(S4202)。枠可動体600の駆動を伴うものでなければ(S4202でNO)、ステップS4204に進む。これに対して枠可動体600の駆動を伴うものであれば(S4202でYES)、枠可動体600を駆動させるための枠可動体駆動データをRAM94の駆動データバッファにセットして(S4203)、ステップS4204に進む。ステップS4204では、ステップS4201で選択した変動演出パターンで変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。その後、本処理を終える。
なお、ステップS4204でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4005)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aにて変動演出を行う。また、ステップS4203で枠可動体駆動データがセットされると、演出制御用マイコン91は、駆動制御処理(S4006)にてその枠可動体駆動データに従った枠可動体600の駆動を行う。
[枠可動体任意復帰処理]図32に示すように、枠可動体任意復帰処理(S4002)では演出制御用マイコン91は、まず枠可動体600の駆動中か否かを判定する(S4301)。この判定は、枠可動体600の原点位置(待機位置)を検知する左側第1フォトセンサ531Lおよび右側第1フォトセンサ531R(図12参照)の検知信号を確認することで行えばよい。枠可動体600の駆動中でなければ(S4301でNO)本処理を終えるが、枠可動体600の駆動中であれば(S4301でYES)、続いて、可動体復帰ボタン検出スイッチ323aがONされたか否かを判定する(S4302)。
可動体復帰ボタン検出スイッチ323aがONされていなければ(S4302でNO)本処理を終えるが、ONされていれば(S4302でYES)、枠可動体600を待機位置に復帰させる枠可動体駆動データ(退避駆動データ)を、RAM94の所定の駆動データバッファにセットする(S4303)。
ステップS4303でセットされた枠可動体駆動データに従って駆動制御処理(S4006)がなされると、待機位置になかった枠可動体600の待機位置への復帰が行われる。本形態では、図8に示すように、枠可動体600(左側可動体600Lおよび右側可動体600R)が遊技機枠50の上縁50Uよりも上方に突出するため、ホール内に設置されているデータカウンタ150(データ表示装置152)の前方に位置することとなってしまい、遊技者がデータ表示装置152を視認することができなくなることがある。しかしながら、このように可動体復帰ボタン323の操作を行えば、遊技者はデータ表示装置152を良好に視認することが可能となる。
なお可動体復帰ボタン323の操作は、遊技機枠50が開放されている状態(前枠53や内枠52が開放されている状態)であっても可能である。つまり、前枠53の開放を検知する前枠開放スイッチ(不図示)や内枠52の開放を検知する内枠開放スイッチ(不図示)によって枠開放が検知されている場合であっても、枠可動体600が待機位置にない場合に可動体復帰ボタン323の操作がなされれば、枠可動体600は待機位置に復帰される。つまり、枠可動体任意復帰処理(S4002)は実行される。
[タッチセンサ処理]図33に示すように、タッチセンサ処理(S4003)では演出制御用マイコン91は、まずタッチセンサ321,331がONされたか否かを判定する(S4401)。具体的には、左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331の何れか一方から枠中継基板99を介して演出制御用マイコン91に検出信号が出力されたか否かが判定される。タッチセンサ321,331がONであると判定した場合には(S4401でYES)、後述の接触時処理(S4402)を行って、本処理を終える。一方、タッチセンサ321,331がONでない、つまり、いずれもOFFであると判定した場合には(S4401でNO)、後述の非接触時処理(S4403)を行って、本処理を終える。
[接触時処理]接触時処理(S4402)は、左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331の少なくとも一方がONであることに伴う処理である。図34に示すように、接触時処理(S4402)では演出制御用マイコン91は、まず第2タイマの値が「0」よりも大きいかどうかを判定する(S4501)。第2タイマとは、タッチセンサ321,331がONからOFFになってからの時間を測定するためのタイマ(カウンタ)である。第2タイマには、タッチセンサ321,331がONからOFFになったタイミングで、所定の値(本形態では「300」)がセットされる。そして、タイマ更新処理(S4004)の実行毎に第2タイマの値が減算されて、セットから3秒後に第2タイマの値が「0」になる。
第2タイマの値が「0」よりも大きくないと判定した場合(S4501でNO)、つまり、第2タイマの値が「0」、すなわち第2タイマが作動していない場合には、ステップS4503に進む。一方、第2タイマの値が「0」よりも大きいと判定した場合(S4501でYES)、すなわち第2タイマが作動している場合には、第2タイマの値に「0」をセットして(S4502)、第2タイマの作動を停止する。
次いで、第1タイマの値が「0」よりも大きいかどうかを判定する(S4503)。第1タイマとは、タッチセンサ321,331がOFFからONになってからの時間を測定するためのタイマ(カウンタ)である。第1タイマには、左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331の少なくとも一方がONになったタイミングで、所定の値(本形態では「300」)がセットされる。そして、タイマ更新処理(S4004)の実行毎に第1タイマの値が減算されて、セットから3秒後に第1タイマの値が「0」になる。
第1タイマの値が「0」よりも大きいと判定した場合(S4503でYES)、つまり第1タイマが既に作動している場合には、そのままステップS4505に進む。一方、第1タイマの値が「0」よりも大きくないと判定した場合(S4503でNO)、つまり第1タイマの値が「0」、すなわち第1タイマが作動していない場合には、第1タイマの値に「300」をセットする(S4504)。これにより、第1タイマの作動が開始する。
次いで、枠可動体駆動停止データが既にセットされているかどうかを判定する(S4505)。枠可動体駆動停止データは、枠可動体600の駆動を停止させるためのものである。枠可動体駆動停止データが既にセットされていると判定した場合には(S4505でYES)、そのまま本処理を終えるが、枠可動体駆動停止データがセットされていないと判定した場合には(S4505でNO)、その枠可動体駆動停止データを、RAM94の所定の駆動停止データバッファにセットする(S4506)。
枠可動体駆動停止データがセットされた状態で駆動制御処理(S4006)がなされると、枠可動体600の駆動が停止する、又は、枠可動体600の駆動制御が実行されないことになる。
具体的に、受信コマンド解析処理(S4001)で、変動演出パターンが枠可動体600の駆動を伴う変動演出パターンであることにより、枠可動体駆動データ(出現駆動データ)がRAM94の所定の駆動データバッファにセット(S4203)されていても、枠可動体駆動停止データが所定の駆動停止データバッファにセットされれば(S4506)、枠可動体600は移動しない。従って、枠可動体600が待機位置から動作位置へ変位する途中で、枠可動体駆動停止データがセットされる、すなわち、タッチセンサ321,331による人体の接触が検出されると、枠可動体600の駆動は停止することとなる。
また、枠可動体任意復帰処理(S4002)で、枠可動体600が駆動中である(S4301でYES)とともに可動体復帰ボタン検出スイッチ323aがONであることにより(S4302でYES)、枠可動体駆動データ(退避駆動データ)がRAM94の所定の駆動データバッファにセット(S4303)されていても、枠可動体駆動停止データが所定の駆動停止データバッファにセットされれば(S4506)、枠可動体600は移動しない。従って、枠可動体600が待機位置にないときに、可動体復帰ボタン323の操作によって枠可動体600が待機位置へ復帰しようとしても、タッチセンサ321,331による人体の接触が検出されていると、枠可動体600は移動しない。
かくして、枠可動体駆動データ(出現駆動データ又は退避駆動データ)がRAM94の所定の駆動データバッファにセットされた後に、枠可動体駆動停止データが所定の駆動停止データバッファにセットされれば、枠可動体600は移動中に拘わらず停止する。
また、枠可動体駆動停止データがRAM94の所定の駆動停止データバッファにセットされた後に、枠可動体駆動データが所定の駆動データバッファにセットされても、枠可動体600は移動しない。よって、枠可動体駆動データおよび枠可動体駆動停止データの両方がセットされているときには、枠可動体駆動データによる駆動制御が実行されないようになっている。
[非接触時処理]非接触時処理(S4403)は、左側タッチセンサ321も右側タッチセンサ331もOFFであることに伴う処理である。図35に示すように、非接触時処理(S4403)では演出制御用マイコン91は、まず第1タイマの値が「0」よりも大きいかどうかを判定する(S4601)。
第1タイマの値が「0」よりも大きくないと判定した場合(S4601でNO)、つまり第2タイマが作動していない場合には、ステップS4603に進む。一方、第1タイマの値が「0」よりも大きいと判定した場合(S4601でYES)、すなわち第1タイマが作動している場合には、第1タイマの値に「0」をセットして(S4602)、第1タイマの作動を停止する。
次いで、ステップS4603では、指示報知を実行しているかどうかを判定する。指示報知を実行していないと判定した場合には(S4603でNO)そのままステップS4606に進む。一方、指示報知を実行していると判定した場合には(S4603でYES)、ステップS4604に進む。
ステップS4604では、第2タイマの値が「0」よりも大きいかどうかを判定する。第2タイマの値が「0」よりも大きいと判定した場合(S4604でYES)、つまり第2タイマが既に作動している場合には、そのままステップS4606に進む。一方、第2タイマの値が「0」よりも大きくないと判定した場合(S4604でNO)、つまり第2タイマが作動していない場合には、第2タイマの値に「300」をセットする(S4605)。これにより、第2タイマの作動が開始する。
次に、ステップS4606では、枠可動体駆動停止データが既にセットされているかどうかを判定する。枠可動体駆動停止データが既にセットされていない判定した場合には(S4606でNO)、枠可動体駆動停止データのクリアが必要ないため、そのまま本処理を終える。一方、枠可動体駆動停止データがセットされていると判定した場合には(S4606でYES)、RAM94の所定の駆動停止データバッファにセットしてある枠可動体駆動停止データをクリアする(S4607)。
つまり、枠可動体駆動停止データが一旦セットされていても、タッチセンサ321,331による人体の接触が検出されなくなると、枠可動体駆動停止データはクリアされることになる。よって、セットされた枠可動体駆動停止データがクリアされると、枠可動体600の駆動が可能となる。
具体的に例えば、枠可動体600が待機位置と動作位置との間で移動中に、人体がタッチ電極322,332(図1参照)に接触すると、枠可動体600の移動が停止し、その後に人体がタッチ電極322,332に接触しなくなると、枠可動体600がセットされていた枠可動体駆動データ(出現駆動データ、退避駆動データ)に従って、動作位置又は待機位置への移動を再開することとなる。
また例えば、枠可動体600が変位するタイミングの前に、人体がタッチ電極322,332に接触すると、枠可動体駆動停止データが一旦セットされるけれども、その後の、枠可動体600が変位するタイミングの前に人体がタッチ電極322,332に接触しなくなると、枠可動体駆動停止データがクリアされることになる。そして、セットされていた枠可動体駆動データに従って、枠可動体600が変位可能である。つまり、枠可動体600の変位のタイミングの前に、人体がタッチ電極322,332に接触しなくなった場合には、枠可動体600を用いた駆動演出をキャンセルすることなく実行可能となっている。従って、枠可動体600を用いた演出の機会が減ってしまうのを防ぐことが可能となっている。
特に本形態では、人体がタッチ電極322,332に接触しているときには後述の指示報知(図39)を実行し得る構成である。指示報知を行うことで、タッチ電極322,332に接触がなくなったにもかかわらず、その後に、枠可動体駆動データによる枠可動体600の駆動がないと、遊技興趣が低下してしまうおそれがある。これに対し本形態では、指示報知の実行後に、枠可動体600を用いた演出の機会の減少を防いで、遊技興趣の低下を防ぐことが可能となっている。
[タイマ更新処理]図36に示すように、タイマ更新処理(S4004)では演出制御用マイコン91は、まず第1タイマの値が「0」よりも大きいかどうかを判定する(S4701)。第1タイマの値が「0」よりも大きくないと判定した場合(S4701でNO)、つまり第1タイマが作動していない場合には、ステップS4706に進む。一方、第1タイマの値が「0」よりも大きいと判定した場合(S4701でYES)、つまり第1タイマが作動している場合には、第1タイマの値を減算する(S4702)。
その後、減算した第1タイマの値が「0」か否かを判定する(S4703)。第1タイマの値が「0」でないと判定した場合には(S4703でNO)、ステップS4706に進むが、第1タイマの値が「0」と判定した場合には(S4703でYES)、続いて、指示報知が実行中かどうかを判定する(S4704)。
指示報知が実行中であると判定した場合には(S4704でYES)、指示報知の実行を改めて開始する必要がないため、ステップS4706に進むが、指示報知が実行中でないと判定した場合には(S4704でNO)、指示報知開始コマンドをRAM94の所定のバッファにセットする(S4705)。
なお、ステップS4705でセットされた指示報知開始コマンドが、コマンド送信処理(S4005)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、図39に示す画面を用いた指示報知を行う。すなわち、表示画面7aの上部中央に文字列EN(「枠上部は動きますので触れないで下さい。」)を配した画像を用いた報知である。つまり、この指示報知は、左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332への接触を止めるよう指示する報知である。従って、左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332に接触している者(遊技者等)に対して、接触を止めるよう促すことが可能となっており、変位によって可動体600L,600Rがその者に当たってしまうのを防ぐことが可能となっている。
なお、この指示報知の実行中に、異常入賞報知、又は、磁気検出報知が行われる場合には、これら異常入賞報知および磁気検出報知の方が、指示報知よりも表示画面7a上の前面側に画像が表示される(図37および図38参照)。よって、異常入賞報知、又は、磁気検出報知の実行中でも指示報知は実行されるけれども、そのときの指示報知の画像は遊技者等にとって視認し難い態様で表示されることになっている。よって本形態では、指示報知よりも、不正行為があったことを優先して遊技者やホール関係者に知らせることが可能となっている。
図36に戻り、ステップS4706では、第2タイマの値が「0」よりも大きいかどうかを判定する。第2タイマの値が「0」よりも大きくないと判定した場合(S4706でNO)、つまり第2タイマが作動していない場合には、そのまま本処理を終えるが、第2タイマの値が「0」よりも大きいと判定した場合(S4706でYES)、つまり第2タイマが作動している場合には、第2タイマの値を減算する(S4707)。
続いて、減算した第2タイマの値が「0」か否かを判定する(S4708)。第2タイマの値が「0」でないと判定した場合には(S4708でNO)本処理を終えるが、第2タイマの値が「0」と判定した場合には(S4708でYES)、指示報知終了コマンドをRAM94の所定のバッファにセットする(S4709)。
なお、ステップS4708でセットされた指示報知終了コマンドが、コマンド送信処理(S4005)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、実行中の上記指示報知を終了する。
続いて、本形態の指示報知の流れについて、図40および図41を用いて説明する。図40および図41には、指示報知に関し、サブ制御基板90および画像制御基板100における各処理を時系列で並べたタイミングチャートを示す。
まず、指示報知の実行開始について説明する。図40(A)、(B)、(C)に示すように、指示報知の実行がないときに、左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332への接触がなされて左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331の少なくとも一方がONになると、上述の第1タイマが作動する。そして、図40(A)、(B)、(D)に示すように、第1タイマの作動中、タッチセンサ321,331がONのままであれば第1タイマの終了時、つまりタッチセンサ321,331がONになってから3秒後に指示報知の実行が開始される。
なお、このときの演出制御用マイコン91の動作としては、以下の通りである。すなわち、上記タッチセンサ処理(図33)で、左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331の少なくとも一方がONになったのを判定した場合には(S4401でYES)、接触時処理(図34)のステップS4504で第1タイマに「300」をセットする。そして、非接触時処理(図35)を行うことなく、タイマ更新処理(図36)で第1タイマの値が「0」であることを判定した場合には(S4703でYES)、指示報知開始コマンドをROM93にセットする(S4705)。
以上のように、本形態では、左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332への接触を検出してから3秒後に指示報知を開始する。つまり、タッチセンサ321,331がONになってからすぐに指示報知の実行を開始させない。そのため、左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332への瞬間的な接触に伴って指示報知をいちいち実行するのを防ぐことが可能となっている。
次に、指示報知の実行終了について説明する。図40(A)、(C)、(D)に示すように、指示報知の実行中に、タッチ電極322,332への人体の接触がなくなり左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331がOFFになると、上述の第2タイマが作動する。そして、第2タイマの作動中、タッチセンサ321,331がOFFのままであれば第2タイマの終了時、つまりタッチセンサ321,331がOFFになってから3秒後に指示報知が終了する。
なお、このときの演出制御用マイコン91の動作としては、上記タッチセンサ処理(図33)で、左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331がONでないことを判定した場合 (S4401でNO)、つまり、いずれもOFFである場合には、非接触時処理(図35)のステップS4604で第2タイマに「300」をセットする。そして、接触時処理(図34)を行うことなく、タイマ更新処理(図36)で第2タイマの値が「0」であることを判定した場合には(S4708でYES)、指示報知終了コマンドをROM93にセットする(S4709)。
以上のように、本形態では、左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332への接触がなくなったのを検出してから3秒後に指示報知を終了する。つまり、タッチセンサ321,331がともにOFFになってからすぐに指示報知を終了させないで、しばらくの間(3秒間)継続させる。よって、外側カバー300のタッチ電極322,332から人体が瞬間的に離れた場合に、その都度、指示演出の実行を終了させるのを防止可能となっている。また、左側タッチ電極322および右側タッチ電極332への接触を止めた直後から3秒経つまでの間、それら左側タッチ電極322および右側タッチ電極332に接触しないよう遊技者等に注意喚起を行うことが可能となっている。
次に、タッチセンサ321,331がOFFになってから3秒経過する前に、タッチセンサ321,331がONになった場合について説明する。具体的に例えば、タッチセンサ321,331がOFFになってから1秒後に、タッチセンサ321,331がONになった場合について以下に説明する。図41(A)、(C)、(D)に示すように、指示報知の実行中に左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331がOFFになると、第2タイマが作動する。そして、図41(A)、(B)、(C)に示すように、第2タイマの作動中(、つまりタッチセンサ321,331がOFFになってから1秒後)に、タッチセンサ321,331がOFFからONになった場合には、第2タイマの作動が停止して第1タイマが作動する。なお、図41(A)、(B)、(C)、(D)に示すように、タッチセンサ321,331がOFFになってからタッチセンサ321,331がONになるまでの期間、および、その後のタッチセンサ321,331がONの間、指示報知の実行が継続される。
なお、このときの演出制御用マイコン91の動作としては、上記タッチセンサ処理(図33)で、左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331がONでないことを判定した場合(S4401でNO)、つまり、いずれもOFFである場合には、非接触時処理(図35)のステップS4604で第2タイマに「300」をセットする。そして、第2タイマが「0」に達する前に、タッチセンサ処理(図33)で左側タッチセンサ321又は右側タッチセンサ331がONであると判定した場合(S4401でYES)には、接触時処理(図34)のステップS4502で第2タイマに「0」をセットするとともに、ステップS4504で第1タイマに「300」をセットする。つまり1回の接触時処理にて、ステップS4501でYESと判定してステップS4502を実行し、続いてステップS4503でNOと判定してステップS4504を実行する。これにより、演出制御用マイコン91は、指示報知の実行中に第1タイマを作動させて第2タイマを停止させることになる。よって、第2タイマの値が「0」に更新されたけれども、その直後のタイマ更新処理(図36)で、演出制御用マイコン91がステップS4709の処理を行うことはない。つまり、第2タイマが「0」になる前にタッチセンサ321,331がONとなったときに指示報知の実行が終了することはない。
また、その後に第1タイマが「0」になった場合に、演出制御用マイコン91は、タイマ更新処理(図36)のステップS4703でYESと判定した後、ステップS4704でYESと判定することになる。よって、その場合に、演出制御用マイコン91がステップS4705の処理を行うことはない。従って、指示演出の実行中にもかかわらず、指示報知開始コマンドがセットされることはない。
以上のように、本形態では、第2タイマが3秒に達する前に、左側タッチ電極322および右側タッチ電極332への接触がなされた場合には、指示報知の実行が継続される。よって、タッチ電極322,332への接触を止めた直後に再び接触が生じた場合には、指示報知の実行を継続することで、引き続きその接触を止めるよう促すことが可能となっている。
8.本形態の効果等
以上詳細に説明したように本形態のパチンコ遊技機1では、タッチセンサ処理(図43)のステップS4401の処理による判定結果に基づいて、指示報知(図39)を実行し得る。よって、外側カバー300に設けたタッチ電極322,332に人体の接触がある場合には、その接触を行っている遊技者等に対し、その接触を止めるよう指示することが可能となっている。従って、変位(移動)に伴って可動体600L,600Rがその遊技者等に当たってしまうのを防ぐことが可能となっている。
また、本形態では、指示報知を実行することで、可動体600L,600Rが変位することを知らない遊技者にそのこと(可動体600L,600Rが変位すること)を知らせることが可能である。指示報知の実行を通じて、可動体600L,600Rが変位することを知った遊技者は、外側カバー300への接触を避け易くなり、可動体600L,600Rによるけがを防ぐことが可能である。
また、指示報知を実行していないときに、第1タイマによって計測される時間(検出時間)が「3秒」に達した場合には指示報知の実行を開始し得る。よって、外側カバー300のタッチ電極322,332への瞬間的な接触に伴って指示報知をいちいち実行してしまうのを防ぐことが可能となっている。
また、指示報知の実行中に第2タイマによって計測される時間(検出後時間)が「3秒」に達した場合には指示報知の実行を終了し得る。よって、外側カバー300のタッチ電極322,332から瞬間的に離れた場合に指示報知をその都度終了するのを防ぐことが可能となっている。
また、第2タイマによる計測時間が「3秒」に達する前に、タッチセンサ処理(図43)のステップS4401の処理でタッチ電極322,332による検出がなされていると判定された場合には、指示報知の実行を継続し得る。よって、接触を止めた直後に再び接触が生じた場合には、指示報知の実行を継続することで、引き続きその接触を止めるよう指示することが可能となっている。
また、指示報知と同じ画像表示装置7を用いて不正行為(磁気検出、および、特定領域への異常入賞)があったことを報知可能であり、指示報知と同時に報知する場合には、表示画面7a上にて、指示報知よりも視認させ易い態様で報知し得る(図37および図38参照)。よって、不正行為があったことを優先して遊技者やホール関係者に知らせることが可能であり、そのような不正行為を抑制することが可能となっている。
また、接触が検出されている場合には、所定条件が成立、すなわち枠可動体駆動データがセットされたとしても左側回転用モータ521Lおよび右側回転用モータ521Rを駆動させず、可動体600L,600Rが変位しない。よって、外側カバー300のタッチ電極322,332への人体の接触がある状況で上記の所定条件が成立したときに、変位する可動体600L,600Rが遊技者等に当たってしまうのを防止可能となっている。
9.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記の第1形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
上記形態では、左側タッチ電極322と右側タッチ電極332を、外側カバー300の上側の縁部(図8,9参照)に配置したが、その配置位置は適宜変更可能であり、外側カバー300の前方側の表面や、外側カバー300の下側の外側面に配置してもよく、内側カバー400の上側の縁部に配置してもよい。これにより、左側タッチセンサ321および右側タッチセンサ331の検出範囲をより広範囲にすることが可能となる。
また、左側タッチ電極322と右側タッチ電極332を可動体600L,600Rに配置してもよく、左側タッチセンサ321と右側タッチセンサ331も可動体600L,600Rに設けてもよい。この場合に、可動体600L,600Rに配置された左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332に人体が接触すると、可動体600L,600Rが移動するのを防ぐことが可能となる。
また上記形態では、2つのタッチセンサ(左側タッチセンサ321と右側タッチセンサ331)を設けたが、タッチセンサの数を1つ又は3つ以上としてもよい。
また上記形態では、指示報知を、画像表示装置7を用いた表示報知とした。しかしながら、スピーカ67を用いた音声報知としてもよい。この場合の音声報知として、例えば「枠上部を触れないで下さい」等、音声アナウンスを繰り返す報知が挙げられる。また例えば、ブザー音などの警告音を発生させる報知が挙げられる。また例えば、ランプ類(盤ランプ5,枠ランプ66)を用いたランプ報知としてもよい。この場合のランプ報知として、例えば、ランプ類を点灯させ続けたり、点滅を繰り返したりする報知が挙げられる。また、表示報知、音声報知およびランプ報知の少なくとも2つのものを組み合わせてもよい。
また上記形態では、所定の第1時間を「3秒」としたが、3秒以外の時間としてもよい。また、所定の第2時間を「3秒」としたが、3秒以外の時間としてもよい。また、第1時間と第2時間を同じ時間としたが、異なる時間としてもよい。
また上記形態では、1種類の指示報知、すなわち文字列ENを配した画像を用いた指示報知を行う構成とした。しかしながら、可動体600L,600Rの状態によって、指示報知を変更可能な構成でもよい。具体的に例えば、可動体600L,600Rが回転動作位置にある場合、又は、可動体600L,600Rが変位(移動)中の場合には、可動体600L,600Rが変位することはわかるので、上記文字列ENに代えて、単に「触らないで下さい」といった文字列を配した画像を用いた指示報知でもよい。
また上記形態では、可動体600L,600Rの状態によらず、第1タイマによって計測される時間(検出時間)が第1時間に達した場合に指示報知を開始する構成とした。しかしながら、可動体600L,600Rの状態によって、検出時間が第1時間に達する前に指示報知を開始可能な構成でもよい。
具体的に例えば、可動体600L,600Rが回転待機位置にある場合には、検出時間が第1時間に達した場合に指示報知を行う一方、可動体600L,600Rが回転動作位置にある場合、又は、可動体600L,600Rが変位(移動)中の場合には、検出時間が「0秒」、つまり、左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332に人体が接触したら速やかに指示報知を開始する構成でもよい。可動体600L,600Rが回転動作位置にある場合、その後に必ず、回転待機位置に変位することになるため、可動体600L,600Rについて、回転動作位置から回転待機位置への変位がなされるまでにその接触を止めるよう確実に促すことが可能である。また、可動体600L,600Rが変位(移動)中の場合には、すぐに指示報知を行うことで、その変位(移動)に伴って可動体600L,600Rが当たってしまうのを防ぐことが可能である。
また例えば、可動体600L,600Rが回転待機位置にある場合には、検出時間が第1時間に達した場合に指示報知を行う一方、可動体600L,600Rが動作位置にある場合、又は、可動体600L,600Rが変位(移動)中の場合には、検出時間が例えば「0.5秒」、「1秒」、「2秒」等、第1時間(「3秒」)よりも短い時間に達したら指示報知を開始する構成でもよい。
また上記形態では、指示報知を実行していないときに検出時間が第1時間に達したら必ず指示報知を実行する構成とした。しかしながら例えば、エラー報知の実行中には指示報知を実行しない構成としてもよい。
また例えば、大当たり遊技の実行中でも特別図柄(特図1,特図2)の変動中でもなく、且つ、各特別図柄の保留球数がともに「0」である場合には、指示報知を実行しない構成としてもよい。このような場合として、例えば客待ち用のデモ演出の実行中や、スピーカ67の出力音量の設定時などが挙げられる。可動体600L,600Rの変位を伴う演出の実行がないため、変位によって可動体600L,600Rに当たることがない期間に、指示報知の実行を抑えることが可能である。
また例えば、可動体復帰ボタン323の操作により、可動体600L,600Rが回転待機位置に戻った場合には、その回転待機位置に戻ってからの所定の期間について、指示報知を行わない構成としてもよい。所定の期間とは、次回の可動体600L,600Rの変位(回転待機位置から回転動作位置への変位)までの期間を指す。つまり、可動体600L,600Rの変位が確実になされない期間を指す。また例えば、可動体600L,600Rの変位中における左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332への接触によって回転待機位置に戻った場合にも、回転待機位置に戻ってからの上記所定の期間について、指示報知を行わない構成としてもよい。
また上記形態では、第2タイマによって計測される検出後時間が第2時間に達した場合に指示報知を終了する構成とした。しかしながら、検出後時間が第2時間に達する前に指示報知を終了可能な構成でもよい。
具体的に例えば、大当たり遊技中の場合には、検出後時間が「0秒」、つまり、左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332への人体の接触が無くなった場合には速やかに指示報知を終了する構成でもよい。タッチ電極322,332への接触が無くなったのであれば、実行中の大当たり遊技に伴う演出(オープニング演出やラウンド演出やエンディング演出など)にいち早く注目させることが可能であり、興趣向上が可能である。
また例えば、計測中の検出後時間が第2時間に達する前に特別図柄(特図1,特図2)の変動が開始した場合には、その開始のタイミングで指示報知を終了する構成でもよい。開始がなされた特別図柄の変動に伴う変動演出に注目させることが可能である。また例えば、計測中の検出後時間が第2時間に達する前に変動演出がSPリーチに切り替わった場合には、その切り替わりのタイミングで指示報知を終了する構成でもよい。遊技者の関心度が比較的高いSPリーチに注目させることが可能であり、興趣向上が可能である。
また上記形態では、検出後時間が第2時間に達する前に、左側タッチ電極322又は右側タッチ電極332への接触が再び発生した場合には、指示報知の実行を継続し得る構成とした。しかしながら、タッチ電極322,332への接触の再発によらず、検出後時間が第2時間に達したら指示報知の実行を終了する構成でもよい。すなわち、検出後時間の計測の開始から、その検出後時間が第2時間に達するまでの期間について、タッチ電極322,332への接触がなされたか否かを判定しない構成でもよい。
また上記形態では、減算して時間を計測する第1タイマとした。しかしながら、加算して時間を計測するものでもよい。その場合、第1時間に相当する閾値を設けて、第1タイマの値がその閾値に達した場合に、指示報知開始コマンドをセットする構成とする。また、第2タイマについても、第1タイマと同様に、減算して時間を計測するものとした。しかしながら、加算して時間を計測するものでもよい。その場合、第2時間に相当する閾値を設けて、第2タイマの値がその閾値に達した場合に、指示報知終了コマンドをセットする構成とする。
また上記形態では、磁気検出および特定領域39への異常入賞の検出を不正行為の検出とした。しかしながら、それら以外に、例えば、普通電役への不正入賞の検出や、第1大入賞口への不正入賞の検出や、第2大入賞口への不正入賞の検出や、遊技機枠(前枠、中枠)の開放検出や、不正電波の検出や、衝撃の検出を不正行為の検出としてもよい。
また上記形態では、枠可動体駆動停止データが一旦セットされていても、タッチセンサ321,331による人体の接触が検出されなくなると、枠可動体駆動停止データはクリアされる構成とした。しかしながら、枠可動体駆動停止データがセットされたら、タッチセンサ321,331による人体の接触が検出されなくなっても、枠可動体駆動停止データをクリアしない構成でもよい。すなわち、枠可動体駆動データがセットされた後に、枠可動体駆動停止データがセットされた場合には、枠可動体駆動停止データを優先する構成でもよい。
また上記形態では、特定領域不正通過処理(図22)にて、実行中の大当たり遊技が「Vショート大当たり」のものの場合に不正入賞を報知する構成とした。しかしながら、実行中の大当たり遊技が「Vロング大当たり」のものだけの場合に不正入賞を報知する構成でもよい。また、実行中の大当たり遊技の種別によらず不正入賞を報知する構成でもよい。
また上記形態では、タッチセンサ321,331を外側カバー300に配置して、枠可動体600が遊技者等に当接するのを防止できるように構成したが、これらタッチセンサ321,331に換えて、又はタッチセンサ321,331に加えて更にタッチセンサを盤可動体15又は盤可動体15を取付けている遊技盤2に配置してもよい。この場合、遊技盤2が取付部に該当する。このように構成すれば、格納状態(待機位置、図4参照)と露出状態との間で変位可能な盤可動体15が、ホールの従業員や遊技者等に当たるのを防ぐことが可能となる。つまり、ホール従業員等が遊技機枠50(前枠53又は内枠52)を開放させている状態で、ホール従業員の手等がタッチセンサに検出されているときに、盤可動体15を移動させるための所定条件が成立しても、盤可動体15を移動させないことが可能となる。
また上記形態では、左側可動体600Lおよび右側可動体600Rが、単一の部材である外側カバー300に取付けられている。しかしながら、左側可動体600Lが取付けられる部材(第1可動部材取付部)と右側可動体600Rが取付けられる部材(第2可動部材取付部)とが別々の部材であってもよい。
また上記形態では、可動体600L,600Rが前後方向に延びる回転軸441周りに回転することで遊技機枠50の上縁50Uよりも上方へ変位させたが、左右方向に延びる回転軸周りに回転させてもよい。また可動体600L,600Rをスライダ機構等により直動させたり、リンク機構等により2回以上傾動させたりすることによって、遊技機枠50の上縁50Uよりも上方へ変位させてもよい。
また、枠可動体は、遊技機枠50の上部以外の位置に設けてもよい。つまり、上側装飾ユニット200以外の他のユニット(左側装飾ユニット210、右側装飾ユニット220、又は操作機構ユニット230)に設けてもよい。例えば、左側装飾ユニット210に設けた場合には、遊技機枠50の左縁50Lよりも左方へ突出するように構成することができる。
また上記形態では、可動体600L,600Rは、遊技機枠50の上縁50Uよりも上方に突出するものとして構成したが、上側装飾ユニット200から下方へ突出するものであってもよい。つまり、ガラス板55の前方に変位するものであってもよい。また、上側装飾ユニット200の外側カバー300よりも前方に変位するものであってもよい。
また上記形態では、可動体600L,600Rが回転待機位置にあるとき、可動体600L,600Rのうちベース板612が上方に露出していて、これらベース板612が前枠53(遊技機枠50)の上壁面の一部を形成したが、ベース板612が上方に露出しないように可動体全体が上側装飾ユニット200の内部に収容されていてもよい。また、可動体600L,600Rを内側カバー400および外側カバー300内に収容せずに、ベース板612以外も露出するように上側装飾ユニット200に設けてもよい。
また上記形態では、可動体600L,600Rが回転動作位置にあるとき、左側可動体600Lのベース板612と右側可動体600Rのベース板612とが係合して、一つの装飾形態(犬の顔)を形成したが(図8参照)、左側可動体600Lのベース板612と右側可動体600Rのベース板612とが係合しないで一つの装飾形態を形成してもよい。また、形成する装飾形態は犬の顔に限られるものではなく、適宜変更可能であり、例えばキャラクタ、花等の植物、リンゴ等の食物であってもよい。
また上記形態では、可動体600L,600Rは、犬の顔の装飾形態を有するギミックであったが、パトランプや演出用操作ボタンなどを可動体としてもよい。パトランプを可動体とした場合には、待機位置では格納しておき、動作位置にて出現させて発光させるようにするとよい。また、演出用操作ボタンを可動体とした場合には、待機位置では操作不可能な状態で格納しておき、動作位置に出現すると操作可能な状態となるようにするとよい。
また、左側タッチセンサ321と右側タッチセンサ331は、人体がタッチ電極に接触したことを検出する接触センサであるが、人体がタッチ電極に接触しないでもタッチ電極に近づいたことを検出する近接センサであってもよい。近接センサを用いれば、検出範囲をより広範囲にすることが可能となり、安全性を高めることが可能となる。なお、近接センサは、上記のようなタッチ電極を用いる静電容量式のタッチセンサに限られず、超音波センサや赤外線センサで構成してもよい。
また上記形態では、特定領域39への遊技球の通過に基づいて高確率状態に移行させるパチンコ遊技機として説明したが、特別図柄の種類に応じて高確率状態に移行させるパチンコ遊技機や、所謂1種2種混合機、2種タイプの遊技機(羽根物タイプの遊技機)等、他の種類の遊技機として構成してもよい。また、遊技機をパチンコ遊技機1としたが、スロットマシン(回胴式遊技機,パチスロ遊技機)としてもよい。
10.上記した実施の形態に示されている発明
上記した実施の形態には、以下の各手段の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
〈手段A〉
手段A1に係る発明は、
変位可能な可動体(可動体600L,600R)と、
前記可動体を取り付けている取付部(外側カバー300)と、を備える遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
前記可動体又は前記取付部と人体との接触を検出可能な接触検出手段(タッチセンサ321,331およびタッチ電極322,332)と、
前記接触検出手段による検出がなされたか否かを判定する接触検出判定手段(ステップS4401を実行する演出制御用マイコン91)と、
前記可動体又は前記取付部への接触を止めるよう指示する指示報知(図39)を実行可能な指示報知実行手段(ステップS4705を実行する演出制御用マイコン91)と、を備え、
前記指示報知実行手段は、
前記接触検出判定手段による判定結果に基づいて、前記指示報知を実行し得るものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、接触検出判定手段による判定結果に基づいて指示報知を実行し得るので、可動体又は取付部への接触がある場合には、その接触している者に対し、その接触を止めるよう指示することが可能である。よってその者に、可動体の変位によって可動体が当たってしまうのを防止可能である。
手段A2に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機であって、
前記接触検出判定手段によって、前記検出がなされていると判定されてからの検出時間を計測可能な検出時間計測手段(ステップS4504,S4702を実行する演出制御用マイコン91)を備え、
前記指示報知実行手段は、
前記指示報知を実行していないときに、前記検出時間計測手段によって計測される前記検出時間が所定の第1時間(「3秒」)に達した場合には、前記指示報知の実行を開始し得るものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、指示報知を実行していないときに計測される検出時間が第1時間に達した場合には指示報知の実行を開始し得る。よって、可動体又は取付部への瞬間的な接触に伴って指示報知をいちいち実行するのを防ぐことが可能である。
手段A3に係る発明は、
手段A1又は手段A2に記載の遊技機であって、
前記接触検出判定手段による、前記検出がなされているとの判定からなされていないとの判定への切り替わりからの検出後時間を計測可能な検出後時間計測手段(ステップS4605,S4707を実行する演出制御用マイコン91)を備え、
前記指示報知実行手段は、
前記指示報知の実行中に、前記検出後時間計測手段によって計測される前記検出後時間が所定の第2時間(「3秒」)に達した場合には、前記指示報知の実行を終了し得るものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、指示報知の実行中に計測される検出後時間が第2時間に達した場合には指示報知の実行を終了し得る。よって、可動体又は取付部から瞬間的に離れた場合に指示報知をその都度終了するのを防ぐことが可能である。
手段A4に係る発明は、
手段A3に記載の遊技機であって、
前記指示報知実行手段は、
前記検出後時間が前記第2時間に達する前に、前記接触検出判定手段によって、前記接触検出手段による検出がなされていると判定された場合には、前記指示報知の実行を継続し得るものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、検出後時間が第2時間に達する前に、接触検出判定手段によって接触検出手段による検出がなされていると判定された場合には、指示報知の実行を継続し得る。よって、接触を止めた直後に接触が再開された場合には、引き続きその接触を止めるよう指示することが可能である。
手段A5に係る発明は、
手段A1、手段A2、手段A3および手段A4のいずれかに記載の遊技機であって、
特定の種類の不正行為を検出可能な不正行為検出手段(例えば、ステップS151を実行する遊技制御用マイコン81)と、
前記不正行為検出手段により前記不正行為が検出された場合に、不正行為があったことを報知する不正行為報知手段(ステップS4106を実行する演出制御用マイコン91)と、を備え、
前記指示報知実行手段は、
表示画面(7a)を含む表示手段(画像表示装置7)を用いて前記指示報知を実行し得るものであり、
前記不正行為報知手段は、
前記表示手段を用いて不正行為があったことを報知し得るものであり、
前記指示報知と同時に不正行為があったことを報知する場合には、前記表示画面上にて、前記指示報知よりも視認させ易い態様(図38参照)で報知し得るものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、不正行為があったことを指示報知と同時に報知する場合には、表示画面上にて、指示報知よりも視認させ易い態様で報知し得る。よって、不正行為があったことを優先して遊技者やホール関係者に知らせることが可能であり、不正行為を抑制することが可能である。
手段A6に係る発明は、
手段A1、手段A2、手段A3、手段A4および手段A5のいずれかに記載の遊技機であって、
前記可動体を制御可能な演出制御手段(サブ制御基板90)を備え、
前記演出制御手段は、
前記接触検出判定手段によって、前記検出がなされたと判定されている場合には、前記可動体を変位させないものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、接触が検出されている場合には、所定条件が成立しても演出制御手段が駆動源を駆動させず、可動体が変位しない。よって、接触がある状況で所定条件が成立したときに、可動体が遊技者等に当たってしまうのを防止可能となる。
手段A7に係る発明は、
変位可能な可動体(可動体600L,600R)と、
前記可動体を取り付けている取付部(外側カバー300)と、
前記可動体を変位させるための駆動源(回転用モータ521L,521R)と、
遊技に伴う演出を実行可能な演出制御手段(サブ制御基板90)と、を備える遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
前記可動体又は前記取付部と人体との接触を検出可能な接触検出手段(タッチセンサ321,331およびタッチ電極322,332)と、
前記接触検出手段による検出がなされたか否かを判定する接触検出判定手段(ステップS4401を実行する演出制御用マイコン91)と、
前記可動体又は前記取付部への接触を止めるよう指示する指示報知(図39)を実行可能な指示報知実行手段(ステップS4705を実行する演出制御用マイコン91)と、
前記接触検出判定手段によって、前記検出がなされていると判定されてからの検出時間を計測可能な検出時間計測手段(ステップS4504,S4702を実行する演出制御用マイコン91)と、を備え、
前記演出制御手段は、
所定条件の成立に基づいて、前記駆動源を駆動可能なものであり、
前記指示報知実行手段は、
前記指示報知を実行していないときに、前記検出時間計測手段によって計測される前記検出時間が所定の第1時間(「3秒」)に達した場合には、前記指示報知の実行を開始し得るものであることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、所定条件の成立に基づいて変位可能な可動体を備え、指示報知を実行していないときに計時される検出時間が第1時間に達した場合には指示報知の実行を開始し得る。よって、可動体又は取付部への瞬間的な接触に伴って指示報知をいちいち実行するのを防止可能である。