JP6641561B2 - 調理器 - Google Patents

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本発明は、主に一般家庭でパンなどを製造できる自動製パン機能を備えた調理器と、パンの製造方法に関する。
従来のパンの製法では、原料に強力粉を使うのが一般的で、近年は米を粉状にした米粉を使うパンの製法も知られている。さらに、米からパンを製造する調理器として、米粒を粉砕した後に、パン原料を練ってパン生地を作り、焼き上げてパンに仕上げる製パン器(特許文献1を参照)や、ご飯を使ったパンの製法が知られている。
また別な特許文献2,3には、パンケースと,パンケースの略中央或いは中央よりも下に備えた加熱手段と、焼成室内の温度を検知する温度検知手段と、加熱手段の加熱量を制御する制御手段を備えた製パン器が開示されている。
特開2011−161215号公報 特開2011−172723号公報 特開2007−175321号公報
しかし、従来の調理器では、次のような問題点があった。
米類(うるち米,もち米,玄米,麦,雑穀米など)をパンケース内で炊飯して柔らかくし、柔らかくなった米類を混練具で練って固めたパン生地に、イーストや小麦粉を混ぜ合せてさらに煉ってパン生地を作る調理器では、米類を柔らかくするために、水を加熱して糊化などで軟化させる際に蒸気が発生する。しかしその蒸気は、投入ケースと蓋内面の隙間や、本体と蓋の隙間や、パンケースと加熱室との間に侵入して、投入ケース内に蒸気が侵入して粉体が固まったり、蒸気口以外の本体と蓋の隙間から蒸気が漏れたり、加熱室内に蒸気が結露して水が溜まって汚れたり、構造によっては本体内の制御用電子部品に蒸気が侵入して電子部品の温度上昇を招いたり、表示部内に蒸気が侵入して表示部を曇らせてしまったりする虞があり、蒸気漏れ防止構造が調理器としての重要な改善点となっている。
特許文献1では、米を粉砕するのに音が大きいという問題があり、またご飯を利用してパンにするには、ご飯を残しておく必要がある他、ご飯の量が多すぎたり、少なすぎたりする場合もあり、さらにはご飯の水分が少なく、おいしいパンを作るには不適切であった。
従来の製パン器では、パンを焼成する際に、加熱手段の熱が焼成室内で自然対流するだけで、焼成室の上下では温度差があり、焼きムラの原因となっていた。また、パンを作る工程の発酵や焼き具合、或いは食材を入れたかどうかを、蓋を開けずに確認する手段として、容器の中が視認できるような透明部材を蓋に設けた製パン器も知られているが、透明部材を設けると外気の影響でパンの焼き色が薄くなる焼きムラの原因となっていた。
パンは焼き上がり後、容器から外してパンを冷まさなければならないが、焼き上がり後はすぐに取り出せない場合があり、予熱で焼き過ぎることがあった。さらに、パンを焼き上がり後にすぐに取り出すためには、容器や蓋,焼成室が熱いので注意を要していた。
製パン器で米を糊化させる際には、被調理物が加熱手段よりも下方に位置することが多く、効率よく加熱ができなかった。一方、炊飯を行なうために、加熱手段を容器内の被調理物よりも下方に位置させると、パンを焼き上げる際に、パンの下部が加熱過多となるのに対して、パンの上部は加熱不足となり、焼きムラの原因となる。こうした焼きムラを防ぐには、加熱手段を2つ備えることも考えられるが、コストの上昇を招く。
製パン器は、例えばすぐに製パンを開始する即調理モードと、予約時刻を設定して、その予約時刻にパンを焼き上げるタイマー調理モードを備えたものが知られている。この場合、タイマー調理モードでは、例えば「こね1」−「ねかし」−「こね2」−「発酵」−「焼成」の各工程からなる複数の製パン工程に沿って各部が制御され、且つ室温によってパンを焼き上げるまでの製パン時間が変動するが、決められた時刻に決められた工程(例えば、「こね2」の工程)を開始させると、室温が変わった時の室温変動を考慮しづらい面があった。
投入ケースに小麦粉(強力粉)やイーストのような粉体を入れてパンを製造する場合、被調理物の炊飯に伴い投入ケース内の粉体の温度が上昇すると、小麦粉が固まったり、イーストが死滅して発酵しなくなったりする虞があった。
被調理物を炊飯してパンを仕上げる場合、甘みのあるパンを得ることが求められていた。
もち米は本来うるち米よりも吸水率が高く、被調理物として容器に水と共に入れた場合には、もち米が水よりも上に出てしまい、炊飯後に芯が残ってしまう問題があった。
被調理物を発酵させる際に、被調理物の膨らみを向上させ、ネチの発生を防止することが求められていた。
被調理物としてご飯や米粉を含む場合、タイマー調理で室温を考慮せずに被調理物を混練すると、室温の低い場合には被調理物が硬くなって混錬が不十分になる虞がある。したがって、タイマー調理の際に室温が低い場合でも、被調理物を混錬し易くすることが求められていた。
タイマー調理で室温を考慮せずに、一定の発酵時間で容器内の被調理物をイーストにより発酵させる場合、特にイーストの発酵が活発な温度では、粉体であるイーストが過発酵する虞がある。
この種の製パン器では、複数の調理コースの中から一つの調理コースを選択して、被調理物の調理を行なう構成となっている。しかし、選択できる調理コースの数が多い場合、所望の調理コースを選ぶのに手間が掛かり、特に被調理物を炊飯加熱してパンを焼き上げる調理器として、その調理コースを簡単に選べない使い勝手上の不満があった。
容器にご飯を入れて炊飯を行ない、パンを焼き上げる場合、室温が低いと混錬しにくくなる。また、室温が高い場合には、ご飯が腐敗する虞があり、仕上がったパンの食味も低下する。つまり、ご飯を混錬し易く、且つ腐敗を防止して、パンに仕上げる工夫が求められていた。
加熱手段が短絡すると、焼成室内の温度が異常に上昇した状態になり、この温度上昇を感知してヒューズが溶断する。しかし、ヒューズが溶断するまで送風装置が焼成室内に風を送風していると、異常な状態が継続して安全性が損なわれる懸念を生じていた。
本発明の第1の目的は、焼成室内の温度差を低減し、焼きムラの少ないパンを作ることが可能な調理器を提供することにある。
本発明の第2の目的は、パンの焼き上がり後に、予熱でパンを焼き過ぎることがなく、しかも容器や蓋,焼成室を速やかに冷却可能な調理器を提供することにある。
本発明の第3の目的は、加熱手段を2つ備えることなく、加熱手段よりも下方に被調理物が位置していても、容器内の被調理物を均一に加熱できる調理器を提供することにある。
本発明の第4の目的は、タイマー調理を行なう場合に室温の変動を加味し、安定した仕上がりのパンを得ることが可能な調理器を提供することにある。
本発明の第5の目的は、投入ケースに収納した小麦粉が固まったり、イーストが死滅したりするのを防止できる調理器を提供することにある。
本発明の第6の目的は、甘みのあるパンを得ることが可能な調理器を提供することにある。
本発明の第7の目的は、芯を残さずに、おいしいもちに仕上げることが可能な調理器を提供することにある。
本発明の第8の目的は、被調理物の膨らみを向上させ、ネチの発生を防止し得る調理器を提供することにある。
本発明の第9の目的は、タイマー調理の際に室温が低い場合でも、被調理物を混錬し易くすることが可能な調理器を提供することにある。
本発明の第10の目的は、タイマー調理の際に粉体の過発酵を防止することが可能な調理器を提供することにある。
本発明の第11の目的は、被調理物を炊飯加熱してパンを焼き上げる調理器としての使い勝手を高めることにある。
本発明の第12の目的は、ご飯を混錬し易く、且つ腐敗を防止して、パンに仕上げることが可能な調理器を提供することにある。
本発明の第13の目的は、加熱手段の短絡時における安全性を高めることが可能な調理器を提供することにある。
請求項1の発明では、予約時刻を設定してタイマー調理を行なうと、先ず最長の製パン時間を要する製パン工程の中で、特定の工程の開始時刻前に室温を取得し、このときの室温に応じて特定の工程の開始時刻を決定し、その時刻から特定の工程を開始させる。したがって、室温がタイマー調理設定開始時と特定の工程の開始時で異なった場合でも、予約時刻に近い時刻にパンを焼き上げることが可能になる。
請求項の発明では、例えばタイマー調理の開始時に室温を取得すれば、特定の工程のみならず、それ以外の工程についても、室温を考慮してその開始時刻を決定でき、パンの食味を良くすることが可能になる。
請求項の発明では、調理器周辺の室温が予約時刻を設定してタイマー調理の開始を指示する予約開始時時と特定の工程の開始時で異なった場合でも、予約時刻に近い時刻にパンを焼き上げることが可能になる
請求項10の発明では、タイマー調理の際に室温が低い状況であっても、被調理物を所定時間加熱し、且つその加熱時間を長くすることで、被調理物を混錬し易くすることができる。
請求項11の発明では、タイマー調理の際に室温に応じて発酵時間を最適に調整することで、粉体の過発酵を防止することができる。
請求項12の発明では、予熱により粉体を含む被調理物が加熱される前に、粉体の発酵時間を適切に調整することで、粉体の過発酵をより確実に防止できる。
請求項1の発明によれば、タイマー調理を行なう場合に室温の変動を加味し、安定した仕上がりのパンを得ることが可能な調理器を提供することができる。
請求項の発明によれば、特定の工程のみならず、それ以外の工程についても、室温を考慮してその開始時刻を決定でき、パンの食味を良くすること可能になる。
請求項の発明によれば、タイマー調理を行なう場合に室温の変動を加味し、安定した仕上がりのパンを得ることが可能な調理器を提供することができる
請求項10の発明によれば、タイマー調理の際に室温が低い場合でも、被調理物を混錬し易くすることが可能な調理器を提供できる。
請求項11の発明によれば、粉体の過発酵を防止することが可能な調理器を提供できる。
請求項12の発明によれば、粉体の過発酵をより確実に防止できる。
本実施形態における調理器の全体縦断面図である。 同上、本体の外郭部材を外した状態の正面図である。 同上、パンケースの上面開口より見た斜視図である。 同上、パン羽根単体の斜視図である。 同上、投入ケースの開閉板が閉じている状態の要部の断面図である。 同上、投入ケースの開閉板が開いている状態の要部の断面図である。 同上、投入ケースのケース部断面を示した要部の断面図である。 同上、本体蓋に対し上蓋を開けた状態の蓋の斜視図である。 同上、本体蓋と上蓋を共に開けた状態の蓋の斜視図である。 同上、蓋の要部分解斜視図である。 同上、上蓋の断面斜視図と、その一部を拡大した図である。 同上、投入ケースの斜視図である。 同上、投入ケースの要部断面を示した斜視図である。 同上、投入ケースの要部断面を示した斜視図である。 同上、投入ケースの要部斜視図である。 同上、投入ケースの要部断面を示した斜視図である。 同上、投入ケースの要部断面図である。 同上、蓋を開けた状態の調理器の概要構成を示す図である。 同上、調理器を背面から見た一部分解斜視図である。 同上、調理器の別な変形例を示す概略説明図である。 同上、調理器のさらに別な変形例を示す概略説明図である。 同上、電気的構成を示すブロック図である。 同上、操作部の正面図である。 同上、調理器の概略構成を模式的に示す説明図である。 従来例におけるパンケース内各部の温度と時間との関係を示すグラフである。 本実施形態における、パンケース内各部の温度と時間との関係を示すグラフである。 同上、予約開始から焼成工程終了までの手順を示すフローチャートである。 同上、予約開始から保温までの製パン工程で、各工程における室温に応じた所要時間を示す説明図である。 同上、予約時刻の設定例を示す説明図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における調理器の好ましい実施形態を説明する。
図1および図2は、本実施形態における自動製パン機能を有する調理器の全体縦断面図である。
これらの各図において、1は箱状の本体で、この本体1の上面前部には操作部2が設けられる。操作部2には、各種の操作キーを含む操作体3と、LEDや液晶パネルなどの表示体4が、それぞれ設けられている。
本体1は、有底筒状に形成された外装体としての外郭部材5の内部に、同じく有底筒状に形成された焼成室としての収容室6を設けて構成される。収容室6は上面が開口しており、ここから容器であるパンケース7が入れられる。パンケース7は金属製で、本体1に対して着脱可能に備えられ、収容室6と同様に、上面が開口した有底筒状に形成される。収容室6の内部には、収容室6に収容されたパンケース7を包囲するように加熱手段8が配置される。加熱手段8は例えばシーズヒータにより構成され、パンケース7の側部に臨んで一乃至複数本配設される。
本体1の内部には、収容室6の中心にあたる箇所に、パンケース支持部9が固定されている。パンケース支持部9は下方に落ち込んだ凹状をなし、その内部は収容室6の内部に露出している。パンケース支持部9は、パンケース7の底面に固定された筒状の台座(図示せず)を受け入れて、パンケース7を支えるものであり、パンケース7の台座はパンケース支持部9に嵌り込む構成となっている。パンケース支持部9の中心には、回転自在なステンレス製の羽根軸12が垂直に支持されている。羽根軸12の下端はパンケース支持部9の下面から突き出ており、ここにプーリやベルトで構成される回転伝達機構13が連結される。
図3や図4にも示すように、パンケース7の底部中心には、前述した羽根軸12の上端が、シール対策を施した上で垂直に支持されている。円筒状をなす羽根軸12の上端には、混練具としてのパン羽根14を羽根軸12に対して着脱可能に設けるために、断面を非円形でD形状に形成した装着部15が設けられる。パン羽根14は羽根軸12とは異なる材質のアルミニウム製で、板状の羽根部16と、装着部15に取付けまたは取外し可能なキャップ状の嵌合部17とを有しており、この嵌合部17に開口形成したD形状の孔18に、前記羽根軸12の装着部15を差し込むことで、羽根軸12に対して決められた方向に羽根部16が向くようにパン羽根14が嵌合される。また、この嵌合時にパン羽根14が擦れたとしても、パン羽根14からの小片は、段差を付けた装着部15に留まり、パンケース7内のパン生地に付着しにくくなる。
羽根軸12の上端に位置する装着部15は、パンケース7の内底面中心より上方に突き出しており、パンケース7の上面開口から手を差し入れることで、パン羽根14を容易に取付けまたは取外しすることができる。そして、パン羽根14を羽根軸12に取付けた状態で羽根軸12が回転すると、パンケース7の内部で羽根軸12を中心として羽根部16が旋回するようになっている。
前記本体1の下部には、羽根軸12の駆動源となるモータ21が取付け固定される。モータ21の下面からは、回転する出力軸22が突出しており、この出力軸22に前述の回転伝達機構13が連結される。したがって、これらのモータ21,回転伝達機構13,羽根軸12,パン羽根14は、パンケース7内に入れられたパン原料をパン生地に練り上げる混練手段23として設けられている。
本体1の内部には、収容室6の外面に取り付けられたヒューズ25や、2つの送風器、即ち冷却ファン26,27がそれぞれ設けられる。ヒューズ25は、加熱手段8の短絡時に収容室6内の温度が異常に上昇したときに溶断して、調理器各部への通電を遮断する安全装置として設けられている。また、一方の冷却ファン26は、後述する蓋31に風を送り出すもので、前記操作部2の直下に設けられている。さらに、他方の冷却ファン27は、パンケース7を収容した収容室6内に風を送り出すもので、収容室6の外側面に取付け固定されている。冷却ファン26,27自体の構成は周知のように、モータにより回転するファンと、そのファンを取り囲んで風洞を形成するケーシングとにより構成され、当該ケーシングには空気の取入口と排出口がそれぞれ設けられる。また、冷却ファン27からの風を、収容室6内に送り込んで循環させるために、収容室6の側面には孔65が設けられる。
その他、収容室6の外側面には、収容室6内ひいてはパンケース7内の被調理物の温度を検出する第1温度検知手段としての温度センサ28と、調理器周辺の外気温を検出する第2温度検知手段としての温度センサ29がそれぞれ設けられる。なお、これらの冷却ファン26,27や温度センサ28,29は、同様の目的が達せられれば、図1や図2に示す以外の位置に装着しても構わない。また、操作体3からの各種操作信号や、温度センサ28,29からの検出温度に応じて、加熱手段8の加熱量や、冷却ファン26,27からの送風量や、モータ21などの動作を制御する制御手段として、例えばマイコンなどの制御部30が設けられる。
図5〜図9にも示すように、前記操作部2から後ろの本体1上面は、蓋31で覆われる。蓋31は、軸32で本体1の背面側に取付けられており、その軸32を支点として、本体1上面の開口部を開閉自在に回動する構成となっている。
蓋31は、軸32を介して本体1に取付けられる本体蓋34と、この本体蓋34の上面を覆う上蓋35とを組み合わせて構成される。上蓋35は、ヒンジ体36で本体蓋34の背面側に取付けられており、このヒンジ体36を支点として、本体蓋34上面の開口部を開閉自在に回動する構成となっている。また、上蓋35の前側には、本体蓋34に係脱可能な上蓋開閉レバー37が手動操作可能に配設される。そして、上蓋開閉レバー37を押すと、本体蓋34と上蓋35との係合が外れ、この状態から上蓋35の手前側を持ち上げることで、本体蓋34に対して上蓋35を開けることが可能になる。図8は、上蓋35を開けた状態を示している。
また、本体蓋34の前方両側面には、外方に突出した開閉つまみ38が設けられており、上蓋35を本体蓋34に係合させた状態で、開閉つまみ38を持つことにより、本体蓋34と上蓋35を含む蓋31全体を開閉できるようになっている。図9は、蓋31全体を開けた状態を示している。
蓋31には、調理中にイーストや小麦粉などの粉体をパンケース7内に投入する投入ケース41が設けられる。投入ケース41は、パンケース7の直上に位置して本体蓋34に設けた中空状のケース取付け部42に装着され、上蓋35を開けた状態で、本体蓋34の上面側から着脱できる構造となっている。また、上蓋35を閉めたときに、本体蓋34に装着された投入ケース41の開口上面側から、投入ケース41内の粉体を視認できるように、投入ケース41の上面に対向して、上蓋35には板状の透明部材であるガラス窓44が配設される。ガラス窓44は、その周縁にゴムなどの弾性体からなるパッキン45を介在させて、上蓋35に密着固定される。
図10にも示すように、本体蓋34は、本体蓋34の骨格をなす投入ケースベース47と、投入ケースベース47の下側に取付け固定され、蓋31を閉じたときに収容室6の上面に臨む内蓋48と、投入ケースベース47の上面を覆う蒸気口カバー49とにより、その外郭を構成している。また、本体蓋34の内部後方には、後述する蒸気通路50を形成する筒状の蒸気口ユニット51が配設される。蒸気口ユニット51の一端は、ゴムなどの弾性体からなるパッキン52を介して投入ケースベース47の蒸気取入孔53に取付け固定され、蒸気口ユニット51の他端は、蒸気口カバー49に設けた蒸気口54に臨んで設けられる。また、投入ケースベース47の蒸気取入孔53は、内蓋48の後方に形成した開口部55と連通する。前述したように、本体蓋34の略中央には開口したケース取付け部42が設けられるが、投入ケース41と本体蓋34との隙間から、本体蓋34の内部に蒸気が侵入しないように、ケース取付け部42の側壁には投入ケース41に密着する別なパッキン56が配設される。
図11にも示すように、上蓋35は、上蓋35の骨格をなす上蓋ベース58と、上蓋ベース58の上面を覆う上蓋カバー59とにより、その外郭を構成している。ここで、調理器の外面を形成する上蓋カバー59は、上蓋ベース58よりも耐熱性の劣る樹脂材料で形成されるため、投入ケース41に対向するガラス窓44の温度上昇が、上蓋ベース58に及ばないようにするために、ガラス窓44はその周縁をパッキン45で保持した状態で、空間60を隔てて配置された上蓋ベース58と上蓋カバー59との間に挟持される。
また、上蓋35の境界部分近傍に位置するガラス窓44の上面周縁には、蓋31内部の内容物を目隠しするための印刷部61が印刷形成される。印刷部61は平坦なガラス窓44の表面に若干の凸部を形成するが、ここで注目すべきは、印刷部61をガラス窓44の下面にではなく、上面に設けるということである。つまり、印刷部61を投入ケース41に対向するガラス窓44の下面に形成すると、そのガラス窓44の下面に固着した粉体と共に、印刷部61を剥す虞がある。この点、ガラス窓44の上面は投入ケース41からの粉体が固着しにくく、そこにだけ印刷部61を設けていれば、印刷部61を剥す虞を自ずと回避できる。
次に、図12に示す投入ケース41の構成を説明する。投入ケース41は、上面および下面を開口したケース本体71と、ケース本体71の下面開口を塞ぐ開閉板72とにより構成される。投入ケース41の底壁をなす開閉板72は、第1下蓋73と第2下蓋74を並設した二重板構造となっており、第1下蓋73と第2下蓋74との間には、前記冷却ファン26からの風を通過させる空気層としての冷却風路75が形成される。また、第1下蓋73と第2下蓋74の一側は、ヒンジ軸76でケース本体71の一側下部に取付けられており、そのヒンジ軸76を支点中心として、ケース本体71の下面開口を開閉自在に回動できる構成となっている。ここでは、第1下蓋73と第2下蓋74のヒンジ軸76を共用にすることで、部品点数を削減してコストの低減を図っている。
本実施形態では、加熱手段8への通電に伴い収容室6ひいては蓋31が温度上昇したときの熱影響を避けるために、本体1の上面開口を覆う蓋31にではなく、本体1に冷却ファン26を設けている。そして、図7や図9にも示すように、冷却ファン26からの風を冷却風路75へ導くために、冷却ファン26の排出口に繋がる風路開口78を、本体1の上部に配設すると共に、この風路開口78に臨んで内蓋48の側面に導風口79を設け、投入ケースベース47と内蓋48との間の空間を利用して、導風口79と本体蓋34のケース取付け部42に装着される投入ケース41の冷却風路75とを連通させている。また、冷却風路75は前記投入ケースベース47の蒸気取入孔53を介して蒸気通路50に連通しており、これにより冷却ファン26からの風を風路開口78から導風口79に取り入れて冷却風路75に導いた後、その冷却風路75から蒸気の排気通路である蒸気通路50を通して調理器の外部に排出させる構成となっている。
前述したように、開閉板72の基端側はヒンジ軸76でケース本体71の一側下部に取付けられるが、開閉板72の先端側はケース本体71に設けた可動部81で係止され、開閉板72の上面がケース本体71の下面開口周縁に設けたゴムなどの弾性体からなるパッキン82を押し付けることで、ケース本体71の下面開口が開閉板72で密封される構成となっている。
蓋31を閉じた状態で、投入ケース41の可動部81を可動させる構成として、本実施形態では本体1の内部にソレノイド63(図22参照)が配設される。このソレノイド63は、開閉板72を閉状態から開状態に切り替える駆動源となるもので、調理中に制御部30からの駆動信号を受けて、ソレノイドが通電されると、可動部81が押されて可動部81と開閉板72との係止が解除され、開閉板72は自重でヒンジ軸76を中心に開放するようになっている。また、この開閉板72の開放動作により、開閉板72が完全に開いたときの開放の勢いで、開閉板72がバタつかないように、開閉板72が開く際に開閉板72へブレーキ力を発生させるブレーキばね83が、ヒンジ軸76に配設される。これにより、投入ケース41内の粉体は、開放した開閉板72の下面開口を通して、パンケース7の周辺に飛散することなく、その直下に位置するパンケース7内に落下投入される。
前記第2下蓋74は、第1下蓋73に対して固定部材84により係脱可能に設けられる。固定部材84は、第1下蓋73および第2下蓋74の一方を係止部とし、他方を被係止部とすることで構成され、投入ケース41単体の状態で、第1下蓋73を可動部81に係止させたまま、第2下蓋74だけを第1下蓋73から開放することができる。これにより、第1下蓋73と第2下蓋74との間の冷却風路75を容易に清掃できる。
前記ケース本体71は、粉体を収納する部材であるケース部85と、投入ケース41の外面をなす部材である外面部86との間に断熱空間87を設けて構成される。また、ケース本体71の一端である下端は、断熱空間87とケース本体71の外部とを連通する隙間88が形成される。断熱空間87と隙間88は、粉体71の収納領域を規定するケース本体71の側壁89を取り囲むように、側壁89の外側全周に形成される。このように、投入ケース41に断熱空間87を設けることによって、投入ケース41内の粉体の温度上昇を抑制することが可能になる。
本実施形態では、投入ケース41の底壁に対する側壁89の角度が、垂直よりも大きく形成される。つまり、投入ケース41の側壁89は、上方よりも下方を拡張した逆テーパー状に形成される。また、ここでは図示しないが、投入ケース41の底壁に対する側壁89の角度を垂直に形成してもよい。何れにせよ、このように側壁89の角度を規定すれば、開閉板72を開放する際に、投入ケース41の側壁89から粉体が付着せずに落下し、ブレーキばね83によって開閉板72に対してブレーキ力が加わることと相俟って、投入ケース41からパンケース7内に粉体を確実に投入できる。
図5および図6には、調理時における空気の流れFが矢印で示されている。図5に示すように、投入ケース41からパンケース7に粉体が投入されるまでは、制御部30が冷却ファン26を作動させることにより、冷却ファン26から排出される風が、本体1の風路開口78から内蓋48の導風口79に入り込み、投入ケース41の底部に形成される冷却風路75を通過する。これにより、パンケース7内のパン原料が加熱手段8で加熱され、それにより収容室6や蓋31が温度上昇しても、冷却ファン26からの風が強制的に流れる冷却風路75によって、投入ケース41内に収納した粉体への熱影響を極力回避することができる。
また、パンケース7内のパン原料が加熱されるのに伴い、パンケース7から収容室6に蒸気が発生するが、その蒸気は内蓋48に形成した開口部55から蒸気通路50に入り込む際に、冷却風路75を通過した冷却ファン26からの風と混合する。そのため、蒸気通路50を通過する蒸気の温度を低下させながら、本体1内から調理器の外部に蒸気を安全に排出させることができる。
一方、図6に示すように、投入ケース41からパンケース7に粉体が投入された後は、投入ケース41の開閉板72が開放した状態となる。この場合、パンケース7から収容室6に発生した蒸気は、前述した内蓋48の導風口79だけでなく、冷却風路75や、開口した投入ケース41の底部から、蒸気通路50を通過して調理器の外部に排出される。また、冷却ファン26から蒸気通路50に向けて風を送り込むことで、蒸気通路50を通過する蒸気の温度を低下させることが可能になる。
次に、図13〜図17に基づいて、上述した投入ケース41の細部構成を説明する。
図13に示すように、パッキン82は、ケース本体71の隙間88に取付けられる取付部91と、ケース本体71の隙間88から外方に突出し、開閉板72を閉じたときにその開閉板72に押圧される耳部92とにより構成される。また、ここでのケース部85は、上下に分割される金型(図示せず)で成形される際に形成される突起状のパーティングライン93が、その側壁89に形成される。このパーティングライン93は、投入ケース41にセットする粉体量の目安となる位置に設けられており、これにより工数を増やすことなく、使用者に粉体量の目安を示すことが可能になる。
図14は、投入ケース41の下端を上に向けた状態の断面を示している。同図において、ここでは、中空部としての断熱空間87に入り込むパッキン82の高さH(取付部91の上端の高さ)より近傍までで、且つその高さHよりも高い位置に、断熱空間87と投入ケース41の外部とを連通する液抜き穴94を複数設けている。液抜き穴94はケース本体71の外面部86に設けているが、ケース部85に設けてもよい。このような液抜き孔94があれば、投入ケース41を本来の方向に向けたときに、隙間88から断熱空間87に侵入した液体が、断熱空間87内に留まることなく液抜き孔94から投入ケース41の外部に排出される。
図15は、前述した可動部81周辺の構成を、投入ケース41の下端を上に向けた状態で示している。可動部81は、図示しないソレノイドにより押動操作されるソレノイド操作体95の他に、使用者が手動で開閉板72を開放できるスライド可能なフック部96を設けている。このフック部96は小さく、且つ手の触れる位置に配置されるが、投入ケース41の下側からしかスライド操作できない位置に設けられていて、通常時には容易に手が触れない構造となっている。つまり、フック部96を設けることで、投入ケース41の清掃時にはフック部96を利用して開閉板72の開閉が可能になるが、通常時にはフック部96が下側からしか操作できない位置にあって容易に手に触れないので、誤使用による粉体の落下を防止できる。
図16は、ケース本体71とパッキン82との間を密閉するために、投入ケース41に収納した粉体に近い位置、即ち隙間88の開放端の近傍の位置で、パッキン82にシール部としての突起97を設けている。ここでの突起97は、パッキン82と一体に形成されているが、代わりにRTV(Room Temperature Vulcanizing:室温硬化)ゴムのようなパッキン82とは別体の接着剤を、シール部として使用しても構わない。これにより、ケース本体71とパッキン82との間の液体の浸み出しを突起97により効果的に防いで、ケース本体71とパッキン82との間の密閉性を高めることができる。
図17は、パッキン82と、ヒンジ部であるヒンジ軸76を中心として回動可能に設けられる開閉板72の第1下蓋73との位置関係を示している。同図において、Sは開閉板72の開閉に伴う軌跡を示している。ここでは、パッキン82の耳部92の変形を防止するために、ケース本体71の下端にリブ98を形成している。このリブ98は、開閉板72を閉じてパッキン82が開閉板72に押し付けられたときに、耳部92が側壁89側に入り込むまで変形し、開閉板72とパッキン82との間で密閉不足になる部分が発生するのを防止するために設けられている。つまり、図17に示すリブ98を設けていれば、開閉板72を閉じてパッキン82が開閉板72に押し付けられたときに、耳部92はリブ98に突き当たってそれ以上の変形が防止され、開閉板72とパッキン82との間を確実に密閉させることができる。なお、この耳部92の変形は、特にヒンジ軸76の近傍の開閉板72に強く押し付けられる部分で顕著になるため、少なくともこのヒンジ軸76側に位置するケース本体71の一側にリブ98を設けておけば、そうした開閉板72とパッキン82との間の密閉不足を確実に解消できる。
図18は、投入ケース41を含む蓋31の細部構成を説明する図である。前述したように、蓋31を構成する本体蓋34と上蓋35は、上蓋開閉レバー37を含む嵌合部99により嵌合され、軸32を中心に共に回動するようになっている。図18は、嵌合部99により本体蓋34と上蓋35とを嵌合させて、本体1の開口より蓋31が開いた状態を示している。
ここで、本体蓋34と上蓋35との嵌合力が、投入ケース41の下蓋である開閉板72を開放するのに要する力よりも小さいと、図18の状態で使用者が開閉板72を開けたときに、本体蓋34から上蓋35が外れて開いてしまい、本体1が転倒するなどの虞を生じる。そこで本実施形態では、本体蓋34と上蓋35との嵌合力を、開閉板72を開放する力よりも大きくすることにより、使用者が開閉板72を開けたときに、本体蓋34から上蓋35が外れて開いてしまうことがなく、本体1が転倒するなどの不具合を防ぐことができる。
図19は、上述した本体1の細部構成を説明する図である。同図において、101は本体1の背面に設けられた凹状のコードボックスであり、ここには例えば制御部30などの調理器の各部に給電を行なう可撓性の電源コード102が収納可能に設けられる。また、103はコードボックス101の内部に設けられた電池ケースで、この電池ケース103は扁平状のボタン電池104を保持する保持部105が着脱自在に設けられる。106は、コードボックス101の開口を開閉可能に塞ぐコードボックスカバーであるが、このコードボックスカバー106の開閉に拘らず、電池ケース103はコードボックス101から露出しており、電池ケース103からボタン保持部105を取り出してボタン電池104を交換できるようになっている。なお、一次電池としてのボタン電池104は、電源コード102による調理器への給電が途絶えた場合でも、必要最小限の電力を調理器に供給するもので、例えば制御部30の計時機能や、各種設定の記憶保持機能などに用いられる。
そしてこの場合は、電源コード102を収納するコードボックス101を本体1に配設し、コードボックス101の中にボタン電池104を収納する電池ケース103を設けることで、電池ケース103をわざわざ調理器の別な部位に設ける必要がなく、安価で簡単な構造を実現できる。
以上の投入ケース41や蓋31や本体1の細部構成は、その中の一乃至複数だけを採用してもよいし、それらの全てを採用しても構わない。また、後述する変形例に適用させても構わない。
図20および図21は、投入ケース41の取付け位置に関する別な変形例を示している。図20では、ここに図示しないパンケース7が上面を開口した収容庫である収容室6に収容され、この収容室6の上面に対向しないように、蓋31内に投入ケース41を配置させている。この場合、投入ケース41からの粉体をパンケース7に導くために、傾斜した導入管111が調理器内に配設され、さらに導入管111の下端開口を開閉する開閉蓋112が配設される。開閉蓋112は、粉体の重みで開閉するものでもよいし、開閉手段を設けて電気的な駆動信号で開閉させてもよい。
このように、熱源となる収容室6の直上を避けて、収納室6の上面の脇に投入ケース41を配置することで、投入ケース41内における粉体温度の上昇を抑制することができる。しかも、この場合は投入ケース41の配置部位を工夫するだけでよく、冷却構造の簡素化とコストの抑制を達成できる。
図21は、図20に示す投入ケース41を、収容室6の上面を覆う蓋31の内部にではなく、蓋31の外部に単体で設置している。したがって、蓋31の内部に投入ケース41を設ける必要がなく、蓋の構造を簡素化してコンパクトにできる。また、投入ケース41は調理器による熱の影響を受けず、上述した本体1内の冷却ファン26や、それに伴う投入ケース41の冷却構造を不要にできる。
そしてここでも、投入ケース41からの粉体をパンケース7に導くために、傾斜した導入管111が調理器内に配設される。その他、113は導入管111を開閉する弁、114は弁113に連結する例えばソレノイドなどの開閉手段であり、制御部30から開閉手段114に駆動信号が与えられると、開閉手段114が動作して弁113が導入管11を開放し、投入ケース41からの粉体が導入管111を通ってパンケース7に投入されるようになっている。なお、図で並べて示してあるように、弁113と開閉手段114に代わり、前述の開閉蓋112を組み込んでもよいし、図20に示した変形例で、開閉蓋112を弁113と開閉手段114に変更してもよい。
次に、上記調理器に関する制御系統について、図22を参照しながら説明する。同図において、制御部30は、操作体3,温度センサ28,29がそれぞれ入力ポートに電気的に接続される。温度センサ28は、容器7に入れられた被調理物の温度を検出する温度検知手段として設けられ、温度センサ29は、調理器外部の室温を検知し取得する室温検知手段として設けられている。また、ヒータである加熱手段8を駆動するためのヒータ駆動回路121と、モータ21を駆動するためのモータ駆動回路122と、ソレノイド63を駆動するためのソレノイド駆動回路123と、蓋31用の冷却装置である冷却ファン26を駆動するためのファン駆動回路124と、本体1用の冷却装置である冷却ファン27を駆動するためのファン駆動回路125と、表示体4を駆動するための表示駆動回路126が、制御部62の出力ポートにそれぞれ接続される。
制御部30は、操作体3からの操作信号と、温度センサ28,29からの検出信号とに基づき、記憶部(図示せず)に内蔵する調理工程に係るプログラムを読み出して、ヒータ駆動回路121,モータ駆動回路122,ソレノイド駆動回路123,ファン駆動回路124,ファン駆動回路125および表示駆動回路126に制御信号を送出して、制御対象となる加熱手段8や、モータ21や、ソレノイド63や、冷却ファン26,27や、表示体4をそれぞれ制御するものである。また制御部30は、前記記憶部に内蔵するプログラムの中で、特にパンケース7内で被調理物からパンを生成するパン生成制御手段131の他に、パンケース7内で被調理物からパン生地やピザ生地を生成する生地生成制御手段132と、パンケース7内でもち米粒などの米粒を原料としてもちを生成するもち生成制御手段133と、パンケース7内でうどん生地を生成するこね生成制御手段134と、前述のパン生成制御手段131と連携して、予約時刻にパンケース7内のパンを焼き上げるタイマー調理制御手段135と、をそれぞれ備えている。
パン生成制御手段131は、小麦粉,イースト,液体(水,牛乳,卵など)および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてパンを焼き上げる「小麦食パン」コースと、小麦粉,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れて、「小麦食パン」コースよりも短時間でパンを焼き上げる「小麦食パンお急ぎ」コースと、全粒粉,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてパンを焼き上げる「全粒粉パン」コースと、米粒,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてパンを焼き上げる「炊パン」コースと、小麦粉,ライ麦粉,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてパンを焼き上げる「ライ麦パン」コースと、小麦粉,ご飯,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてパンを焼き上げる「小麦ごはんパン」コースと、小麦グルテン入り米粉,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてパンを焼き上げる「米粉パン」コースと、小麦グルテンなし米粉,片栗粉,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてパンを焼き上げる「小麦ゼロパン」コースの中から、操作体3の操作により選択された特定のコースに対応して、前述した制御対象の動作を制御する機能を有する。
生地生成制御手段132は、小麦粉,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてパン生地を生成する「小麦パン生地」コースと、小麦粉,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてピザ生地を生成する「小麦ピザ生地」コースと、米粒,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてパン生地を生成する「炊パン生地」コースと、小麦粉,ライ麦粉,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてパン生地を生成する「ライ麦パン生地」コースと、米粉,イースト,液体および塩を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてパン生地を生成する「米粉パン生地」コースの中から、操作体3の操作により選択された特定のコースに対応して、前述した制御対象の動作を制御する機能を有する。
もち生成制御手段133は、もち米および液体を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてもちを生成する「もち」コースに対応して、前述した制御対象の動作を制御する機能を有する。
こね生成制御手段134は、強力粉,薄力粉,塩水を含む原料を用い、パンケース7にこれらの原料を入れてうどん生地を生成する「こね」コースに対応して、前述した制御対象の動作を制御する機能を有する。
上記パン生成制御手段131により行われる各調理コースの中で、「炊パン」コースを除く各調理コースでは、最初に全ての原料をパンケース7に入れた状態から、「こね」→「発酵」→「焼き」→「保温」の各工程が連続して行なわれる。但し、イーストを「小麦パン」コースより増量する「小麦食パンお急ぎ」コースでは、半量の小麦粉と液体をパンケース7に入れ、「こね」工程でグルテンを生成してから、投入ケース41に入れた残りの小麦粉とイーストを後でパンケース7内に投入させる。これにより、特にタイマー調理制御手段135によるタイマー調理を行なう際に、最初にパンケース7に入れたイーストが過発酵してしまうのを防ぐようにしている。
また「小麦ゼロパン」コースでは、半量の片栗粉をパンケース7に入れて、「こね」工程で米粉を加熱しながら撹拌することで、片栗粉と液体による糊を生成し、その後で投入ケース41に入れた残りの片栗粉をパンケース7内に投入させる。これにより、片栗粉で糊を作る手間を、米粉を撹拌する工程で行なって、その手間を省くことができる。
一方、「炊パン」コースでは、最初に米粒,液体及び塩をパンケース7に入れると共に、投入ケース41にイーストと、必要に応じて強力粉または上新粉を入れた状態から、「加熱」→「冷却」→「こね」→「発酵」→「焼き」→「保温」の各工程が連続して行なわれる。
また、生地生成制御手段132により行われる各調理コースの中で、「炊パン生地」コースを除く各調理コースでは、最初に全ての原料をパンケース7に入れた状態から、「こね」→「発酵」の各工程が連続して行なわれる。但し、「炊パン生地」コースでは、最初に米粒,液体及び塩をパンケース7に入れると共に、投入ケース41にイーストと、必要に応じて強力粉または上新粉を入れた状態から、「加熱」→「冷却」→「こね」→「発酵」の各工程を連続して行なうように、生地生成制御手段132を構成する。
その他、もち生成制御手段133が行なう「もち」コースは、最初に全ての原料をパンケース7に入れた状態から、「加熱」→「こね」の各工程が連続して行なわれる。さらに、こね生成制御手段134が行なう「こね」コースは、最初に全ての原料をパンケース7に入れた状態から、「こね」の工程が行なわれるようになっている。
図23は、操作部2の構成を示している。同図において、本実施形態の操作体3は、スタートキー3Aと、切キー3Bと、時刻進むキー3Cと、時刻戻るキー3Dと、予約キー3Eと、コース進むキー3Fと、コース戻るキー3Gと、焼き色選択キー3Hと、炊パンキー3Iとにより構成される。また表示体4は、操作部2の略中央に設けたLCDの内部にそれぞれ配置されるコース番号表示部4Aや、焼き色表示部4Bや、コース名表示部4Cや、時刻/時間表示部4Dや、工程表示部4Eの他に、スタートキー3Aの内部に配置されるスタートランプ4Fと、予約キー3Eの内部に配置される予約ランプ4Gとにより構成される。これらの操作体3や表示体4の構成はあくまでも一例であって、操作性や表示性を考慮して適宜変更しても構わない。
コースキーとなるコース進むキー3Fとコース戻るキー3Gは、制御部30が備える上述した複数の調理コースの中から、特定の調理コースを選択するためのものである。本実施形態では、個々の調理コースとコース番号(数字)がそれぞれ関連付けて記憶されており、電源コード102をコンセントに差し込んだ直後の初期状態では、コース番号「01」の「小麦食パン」コースが制御部30により自動的に選択され、コース番号表示部4Aにコース番号である「01」が表示されると共に、コース名表示部4Cにコース名を示す「小麦」と「パン」が表示される。そして、コース進むキー3Fを押すと、コース番号を1つ増加した別の調理コースが選択され、逆にコース進むキー3Fを押すと、コース番号を1つ減少した別の調理コースが選択され、そのコース番号とコース名が、コース番号表示部4Aとコース名表示部4Cにそれぞれ表示される。なお、初期状態で表示される調理コースは、上記「小麦食パン」コース以外であってもよく、またコース番号を文字や記号で表してもよい。
本実施形態では、全ての調理コースの中から、一つの調理コースを順番に選択できるコース進むキー3Fやコース戻るキー3Gの他に、特定の調理コースである「炊パン」コースを、ワンタッチで選択できる炊パンキー3Iキーを備えた点が注目される。この炊パンキー3Iキーを押動操作すると、それまで選択されていた調理コースに拘らず、制御部30により「炊パン」コースが優先的に選択され、コース番号表示部4Aにコース番号である「04」が表示されると共に、コース名表示部4Cにコース名を示す「小麦」と「炊パン」が表示される。
スタートキー3Aは、制御部30による調理開始を指示するもので、スタートキー3Aを押動操作すると、制御部30は選択された調理メニューに従って調理の工程を開始し、スタートランプ4Fを点灯表示させる。また調理中は、これから行われる工程が工程表示部4Eで点灯表示されると共に、現在行われている工程が工程表示部4Eで点滅表示される。これにより、使用者は選択した調理メニューに関して、どのような工程が現在と今後に行われるのかを、共通する工程表示部4Eで直ちに確認できる。そして、パン生成制御手段131では、「焼き」の工程が完了すると、スタートランプ4Fを点滅表示させてパンの焼き上がりを使用者に知らせると共に、工程表示部4Eで「保温」を点灯表示させて、パンケース7内のパンを所定温度に保温する。一方、その他の生地生成制御手段132,もち生成制御手段133,こね生成制御手段134では、スタートランプ4Fを消灯させて調理の完了を使用者に知らせると共に、工程表示部4Eの全てを消灯させ、表示体4以外の全ての制御対象をオフにするようになっている。
時刻キーとなる時刻進むキー3Cと時刻戻るキー3Dは、制御部30の計時手段(図示せず)で計時される現在時刻や、タイマー調理制御手段135に設定記憶される予約時刻を変更するためのものである。現在時刻を調整変更するには、電源コード102をコンセントに差し込んだ直後の初期状態で、時刻進むキー3Cまたは時刻戻るキー3Dを一定時間押し続けると、制御部30が時刻/時間表示部4Dに時刻を点滅表示させて、現在時刻を調整可能な状態にすることができる。ここで時刻進むキー3Cを押すと、時刻/時間表示部4Dに点滅表示される時刻を進めることができる一方で、時刻戻るキー3Dを押すと、時刻/時間表示部4Dに点滅表示される時刻を戻すことができ、最終的に切キー3Bを押すことにより、制御部30はその変更した時刻を現在時刻として設定し、時刻/時間表示部4Dの点滅表示が点灯表示に変更される。
一方、パンを焼き上げる時刻である予約時刻を変更するには、前述したコース進むキー3Fとコース戻るキー3Gで、パン生成制御手段131に関係する調理コースを選択した後に、予約キー3Eを押動操作すると、タイマー調理制御手段135は予約ランプ4Gを点滅させ、かつ設定記憶されていた予約時刻を呼び出し、その時刻を時刻/時間表示部4Dに点滅表示させて、予約時刻を調整可能な状態にすることができる。ここで時刻進むキー3Cを押すと、時刻/時間表示部4Dに点滅表示される時刻を進めることができる一方で、時刻戻るキー3Dを押すと、時刻/時間表示部4Dに点滅表示される時刻を戻すことができ、最終的にスタートキー3Aを押すことにより、タイマー調理制御手段135はその変更した時刻を予約時刻として設定し、当該予約時刻にパンが焼き上がるようにパン生成制御手段131を制御する。また、タイマー調理の設定が完了してから、パン生成制御手段131が設定した調理コースでの調理を開始するまでは、タイマー調理制御手段135により予約ランプ4Gを点灯させ、スタートランプ4Fを消灯させて、タイマー調理を行なう旨を使用者に知らせている。
その他、焼き色選択キー3Hは、パン生成制御手段131が行なう「焼成」工程で、パンの焼き色を例えば「薄」,「標準」,「濃」の何れかに選択設定させるためのもので、切キー3Bは、調理中または調理完了後に、表示体4以外の制御対象を全てオフにし、且つ表示体4を初期状態に戻す切状態に移行させる際に押動操作されるものである。
図24は、前述した調理器の主な構成を模式的に示したものである。同図において、加熱室となる収容室6は、例えばアルミニウム鋼板などの耐熱性に優れた鋼板で構成される。収容室6内にはパン焼き用の容器であるパンケース7が備えてあるが、このパンケース7は、アルミニウム製の部材内面にフッ素コーティングを施して構成される。パンケース7の内底部には混錬用のパン羽根14が備えてあり、パン羽根14は電動機であるモータ21で回転駆動する構成となっている。パン羽根14はアルミニウム製で、外面にはフッ素コーティングが施されている。
パンケース7と収容室6との間には、パンケース7内の被調理物である例えばパン生地を輻射加熱して焼き上げるシーズヒータとしての加熱手段8が配設される。この加熱手段8は、パンケース7の外側下方に備えてある。パンケース7の側面には、内部にサーミスタ素子を内蔵した温度センサ28が当接され、パンケース7の温度を検出する構成となっている。収容室6の上側には蓋31が設けられており、蓋31の内部には、パンケース7内へイースト菌や小麦粉の他に、フルーツなどの副材料を投入する粉ケースとしての投入ケース41が配設される。
図1に示す調理器に加えて、ここではヒンジ軸141を中心として投入ケース41の上面開口を回動可能に開閉する投入ケース蓋142と、外郭部材5と収容室6にそれぞれ対向して設けた水抜孔143,144とを備えている。また、回転伝達機構13は、混錬具駆動軸である羽根軸の下端と、電動機軸である出力軸22の下端に、伝動プーリ146,147をそれぞれ接続し、伝動プーリ146,147の間に無端状の伝動ベルト148を懸架することで構成される。それ以外の構成は、図1〜図21で示した調理器の構成を、適宜採用すればよい。
次に、上記パン生成制御手段131により行われる「炊パン」コースの動作について、図25のグラフを参照しながら詳しく説明する。なお、「炊パン」コースを選択して、調理を開始させるまでの操作手順は上述した通りなので、説明を省略する。
うるち米を使ってパンを焼き上げる「炊パン」コースでは、米粒と、イーストと、水や牛乳などの液体と、塩などを原料として用い、米粒に水や牛乳などの液体を加える。具体的には、パンケース7内に米粒の他に、塩や所定量の水を加えて入れ、投入ケース41にドライイーストと強力粉または上新粉を入れて、最初の「加熱」工程で加熱手段8でパンケース7を加熱することで、パンケース7内の水を昇温させる。米粒に加える水などの液体は、米粒の質量(重量)の1.3倍以上、好ましくは2倍以上で、2.3倍を目安にしてパンケース7内に入れる。これは、「加熱」工程で、パンケース7内の被調理物を柔らかいご飯状或いは硬めの粥状にするためである。また、「加熱」工程では、温度センサ28で検知したパンケース7の温度をパン生成制御手段131が管理して、加熱手段8への加熱量を調整する。
スタートキー3Aの操作によって、「炊パン」コースの調理開始が指示されると、パン生成制御手段131は、パンケース7内の被調理物を炊飯する「加熱」工程を行なう。ここでは先ず、約60℃以下を目安にしてパンケース7内の水温を上げ、米粒に水を15〜20分程度吸水させる。炊飯時のひたしにより米類の吸水を促進することで、還元糖量を増加させて甘みのあるパンを得ることができる。
その後、加熱手段8に対する加熱量を増加させ、パンケース7内の被調理物を沸騰付近の温度にまで加熱する。この米粒に水を吸水させるひたし時から、沸騰付近の温度にまで加熱する途中までの間に、パン生成制御手段131はモータ21に駆動信号を供給してパン羽根14を回転させ、パンケース7内の被調理物を緩やかに撹拌する。パン羽根14による攪拌をどのようにして行わせるのかは、例えば5分間隔で10秒間撹拌を行なわせたり、或いはパンケース7の温度が所定温度になったら撹拌を行なわせたりして、実機に応じた調整が可能である。また撹拌は、パンケース7内が沸騰温度近傍になる前の米の糊化が十分に進まない状態の時に行ない、パンケース7内が沸騰温度近傍になった以降は、撹拌しない構成となっている。このような撹拌を行なうことで、パンケース7内の水の飛び散りを防止しつつ、ひたし時における被調理物の加熱ムラを低減できる。
「加熱」工程では、パンケース7内の水温が90℃〜沸点(100℃)以下で、気圧条件に応じて上限温度を下げ、好ましくは96℃〜沸点以下になるように、パン生成制御手段131が加熱手段8の加熱量を調整して温度管理する。特に、沸点である100℃を超えた温度にならないように、パンケース7内の水温を温度管理する。
また、「加熱」工程中は、パン生成制御手段131が冷却ファン27を構成するファンモータにパルス駆動信号を出力して、当該冷却ファン27のファンモータを低速で回転させる。これにより、加熱手段8がパンケース7内の米よりも上方に位置していても、収容室6内に風を送り込むことで、加熱ムラが少なく芯のない炊飯を行なうことができる。なお、冷却ファン27のファンモータの回転速度は、パン生成制御手段131によりPWM(パルス幅変調)されたパルス駆動信号のデューティに応じて、容易に可変可能である。
やがて、パンケース7内の水がなくなって、パンケース7の温度が急激に上昇するか、或いは温度センサ28が沸騰温度近傍を検知してから所定時間である10〜15分が経過するか、調理開始の指示から所定時間である50分を経過したら、加熱手段8による炊飯加熱を中止して、「加熱」から「冷却」の工程に移行し、所定時間である10分程度のむらしを行なう。これらの管理温度や時間は実機に応じて、任意の温度と時間に管理すればよく、ここで示した具体的な数値に限定されるものではない。
「冷却」工程では、パンケース7内のご飯を素早く冷却するために、加熱手段8への通電を行なわないようにし、且つ冷却ファン27のファンモータを最高速で回転させる。これにより、パンケース7内で糊化した米粒を冷ます。また、パンケース7内でご飯粒をつぶして、芯残りのない状態を生成するために、パン生成制御手段131がモータ21に駆動信号を供給してパン羽根14を回転させ、パンケース7内のご飯を撹拌する。
パンケース7内の被調理物が所定の管理温度にまで低下すると、「冷却」工程を終了して「こね」工程に移行する。「こね」工程では、引き続きパン生成制御手段131によりモータ21に駆動信号を供給してパン羽根14を回転させ、パンケース7内のご飯を混錬する。パンケース7内において、炊飯により糊化して軟化した米粒は、ご飯状に柔らかくなっており、パン羽根14で練ることによってパン生地状に練り上げる。
また、パンケース7内のご飯を練る前か、或いはご飯を練る途中で、パン生成制御手段131は糊化した米粒が60℃以下、好ましくは40℃以下に冷めたところで、ソレノイド63に駆動信号を供給して、投入ケース71の開閉板72を開放させる。これにより、投入ケース71に入れられたイーストや小麦粉がパンケース7に投入され、パンケース7内の被調理物と混ぜ合わせて練り上がり、パンケース7内でパン生地が仕上げる。投入する小麦粉としては、強力粉などのグルテンを成分に含む材料を加えてもよいし、上新粉などのグルテンを成分に含まない材料を加えてもよいが、いずれの場合も、パンケース7内の被調理物の温度が60℃以下に下がった後に投入する。このようにすれば、「加熱」工程でパンケース7内の米粒を糊化させた後、米粒以外のでんぷん質の材料を、米粒の糊化温度以下で加えることにより、米粒以外のでんぷん質を糊化させないでこねることができる。また、40℃などの室温より高い温度でイーストを投入すると、発酵時間が短くなる効果がある。
モータ21ひいてはパン羽根14の回転数は、投入ケース71の開閉板72を開放する前よりも、投入ケース71の開閉板72を開放した後で遅くするように、パン生成制御手段131からモータ21に駆動信号を供給する。これにより、回転するパン羽根14によって、投入ケース71からパンケース7に落下するイーストや小麦粉が周辺に飛び散るのを防止できる。また、投入ケース71の開閉板72を開放した後で、モータ14への駆動信号の供給を一定時間停止させてもよい、これにより、イーストや小麦粉を投入した後に、パン羽根14の動作を一定時間停止させてイーストや小麦粉が飛び散るのを確実に防止できる。また、パン羽根14の動作が停止している間に、副材料を手動投入することも可能になる。
さらに、パン生成制御手段131は、「こね」工程でモータ21を連続回転させている間は、モータ21に熱によりパン生地の温度が上がらないようにするために、冷却ファン27のファンモータにもパルス駆動信号を供給して、当該ファンモータを低速で回転させる。
なお、パンケース7の上面開口部には、パンケース7に接触して開口部を塞ぐ内蓋を設けないようにしているが、その理由は、炊飯後に投入ケース41からイーストおよび小麦粉のような粉体や、フルーツなどの副材料などを投入する際に、内蓋を設けてあるとパンケース7に粉体や副材料を落下させるのが困難になるからである。
こうして、所定時間の「こね」工程が終了すると、被調理物中に混ぜ合わされたイーストを発酵させるための「発酵」工程に移行する。「発酵」工程では、イーストの発酵を促進するために、温度センサ28で検知したパンケース7の温度に基づいて加熱手段8を通断電制御し、且つガス抜きを行なうために、冷却ファン26により収容室6内に風を送り込む動作が繰り返される。これにより、パン生成制御手段131が「発酵」工程中に、一次発酵,二次発酵および成形発酵の動作を順に行なうことで、イーストは次第に発酵が進み、炭酸ガスが発生してパン生地を膨らませる。
「発酵」工程の仕上げとなる成形発酵に移行すると、パン生成制御手段131は、温度センサ28からの検知温度を管理して、被調理物であるパン生地の温度を60℃にまで緩やかに上昇させる。このように、被調理物を焼成する直前で、イースト菌が死滅しない温度範囲内にパン生地の温度を緩やかに上昇させることで、パン生地の膨らみを向上させることができると共に、パン生地におけるネチ(ダマ)の発生を防止できる。
「発酵」工程が終了すると、次にパン生成制御手段131は「焼成」工程に移行して、パンケース7内の被調理物をパンに焼き上げるように、加熱手段8の加熱量を調節する。この「焼成」工程中も、前述の「加熱」工程と同様に、パン生成制御手段131が冷却ファン27を構成するファンモータにパルス駆動信号を出力して、当該冷却ファン27のファンモータを低速で回転させる。これにより、収容室6内に風を送り込んで熱循環させ、焼きムラの少ないパンに仕上げることが可能になる。「焼成」工程が完了すると、次の「保温」工程に移行するが、「焼成」工程で焼き上げたパンを速やかに冷却するために、「保温」工程では冷却ファン27で収容室6内に風を送り込む。これにより、焼き上げたパンはもとより、パンケース7や蓋31を冷却することができる。
ところで、うるち米は約60℃以上で糊化(β澱粉がα澱粉に変化)するが、白米として食する場合には、98℃以下の低温糊化であると米粒の内部まで十分に糊化せず、硬い部分が残るいわゆる芯残りご飯となって、食味に適さない。よって、被調理物の温度を98℃以上で20分間保持することが、白米を食する条件とされている。したがって、実際の炊飯器は、鍋の上部開口部に内蓋を被せ、鍋の内部が常圧よりも高くなるように工夫されており、通常の大気圧下では、鍋の内部が100℃〜101℃程度になっている。また、圧力式の炊飯器では鍋内をさらに高温にして、粘り向上など食味の改善を図っている。つまり白米として食する場合は、沸点を超えた水温となり、大量の蒸気が発生する炊飯が基本となっている。
一方、本実施形態のようなご飯からパンを作り上げる調理器では、白米をご飯として食べる炊飯ではなく、パン生地として炊飯後に練り上げることを前提に、生の米粒を柔らかくして練るための炊飯加熱を行なうことで、蒸気の発生を極力抑制できる。このように、蒸気の発生を抑制してパン生地生成用の炊飯を行なうことにより、投入ケース41と蓋31の内面との隙間(図24に示す矢印S1)や、外郭部材5と蓋31との隙間(図24に示す矢印S2)や、収容室6とパンケース7との隙間(図24に示す矢印S3)から蒸気が漏れたり、収容室6内に蒸気が結露して水が溜まって汚れたり、制御用電子部品を搭載する制御部30に蒸気が回って電子部品の温度上昇を招いたり、操作部2を構成する表示体4に蒸気が回って表示体4を曇らせてしまうなどの不具合を改善でき、収容室6内の蒸気を蓋3の開口部55から蒸気口54を通して、調理器の外部に全て排出できる(図24に示す矢印S)。
一方、本実施形態のような加熱構成では、被調理物に対する加熱が弱く、パンケース7内の水温上昇にムラが生じる場合がある、という欠点を有する。これを図24に基づき具体的に説明すると、炊飯時における「加熱」工程でのパンケース7内の水温は、加熱手段に近接した(1)下方側部が先ず昇温し、次に水中の熱伝導により、(2)中間側部→(3)上方側部→(4)上方中部→(5)中心→(6)下方中部、の順に昇温する。米は水温の上昇に従い吸収して糊化するため、弱加熱の場合は、(1)→(6)の熱伝導時間が長くなり、(1)から(6)に熱が移動するのに従って米が水を吸って少なくなるので、(5)中心や(6)下方中部では糊化のための高温時間が短くなると共に、糊化のための水が不足して、ご飯が硬くなる問題がある。特にパンケース7内の(5)中心は、水が少なくなって水位が下がり、しかも吸水不足でご飯が硬くなり、場合によっては芯が残り、またパンケース7内の(6)下方中部は、水はあるもものの水温の昇温が遅く、加熱が不足して糊化不足になる場合がある。したがって、従来のパンケース7内各部の温度と時間の関係は、図25に示すようになる。
一方、本実施形態では、炊飯中にパン生成制御手段131がパン羽根14を回転させて、パンケース7内の水と米とを撹拌することにより、パンケース7内の水温の昇温時間差に伴う吸水と糊化のムラを抑制するので、パンケース7内が沸騰近傍温度になって加熱を弱くしても、糊化ムラによる硬さのムラを低減し、その後の「こね」工程で、パン生地に練る場合に硬くて米粒の残りが多くなり、パンの食味を低下させるような不具合を改善できる。
図26は、図25との比較のために、本実施形態におけるパンケース7内各部の温度と時間の関係を示しているが、この場合は、「加熱」工程の開始時から沸騰近傍になるまでの間に、パン羽根14を回転させる撹拌を複数回行なうことで、パンケース7内の(1)下方側部と(6)下方中部との間の昇温温度差が縮まっているのがわかる。
また、加熱手段8は「加熱」工程のみならず、「焼き」工程におけるパンの焼き上げでも兼用され、従来の製パン器と同様にパンケース7の外側下部に加熱手段8を配置している。通常の炊飯器では、鍋の底面と側面下部を加熱し、鍋の底面を加熱することで前記パンケース7内の(6)下方中部の水温上昇が遅くなる欠点を補う構成となっているが、本実施形態では、加熱手段8を炊飯だけでなく、パンの焼き上げと兼用する構成となっており、パンヒータ7の側面下部が主たる加熱源となるため、炊飯器に比べて、特にパンケース7内の(5)中心や(6)下方中部の糊化が難しくなるが、上述した撹拌によって、より加熱ムラを改善する実用的な効果を得ることが可能になる。
なお、パンケース7の上部開口部は、当該開口部を塞ぐ内蓋を設けていないが、内蓋が存在しない構成のために、蒸気の発生量を抑制する構成は、より実用的な効果がある。また、内蓋が存在しないことで、パンケース7内部の炊飯時における圧力上昇が難しく、加熱ムラになりやすい構造であることから、この点でも上述した撹拌を行なうことは、より実用的な効果がある。
図1に戻り、本実施形態では、収容室6内に風を送る送風装置として、本体1内にあって収容室6の外にある冷却ファン27を備え、冷却ファン27からの風を、収容室6内に送り込んで循環させる循環装置として、当該冷却ファン27と共に、収容室6の側面に孔65を設けた構成を採用している。この孔65は冷却ファン27の吹出し口となるもので、加熱の際の収容室6内の温度を均一化し、且つ加熱後の冷却を行なうには、収容器6のほぼ真ん中よりも下方に設けるのが好ましい。さらに、加熱手段8からの熱を効率よく循環させるのに、好ましくは加熱手段8、若しくは加熱手段8の下方に配設される。孔65は、本体1にではなく蓋31に設けても構わない。
次に、タイマー調理制御手段135による動作の詳細を、図27〜図29の各図を参照しながら詳しく説明する。図27は、予約キー3Eに引き続いてスタートキー3Aを押動操作することで、予約時刻をセットしてタイマー調理を開始する予約開始時から、焼成工程である「焼き」工程が終了するまでのフローチャートを示している。また図28は、予約開始から保温までの製パン工程で、各工程における室温に応じた所要時間を示している。
本実施形態の制御部30は、パンを焼き上げるための制御を行なう同じ調理コースの中で、2つの調理モード、すなわちスタートキー3Aを押すとすぐに製パンを開始する即調理モードと、予約時刻を設定して、その予約時刻にパンを焼き上げるタイマー調理モードを備えている。即調理モードは、パン生成制御手段131だけで制御対象を制御し、タイマー調理モードは、パン生成制御手段131とタイマー調理制御手段135が連携して制御対象を制御する。
図28に示すように、タイマー調理モードの製パン工程では、例えば前述の「小麦食パン」コースにおいて、こね1→ねかし→こね2→発酵→焼成→保温の順でパンを焼き上げる制御が、パン生成制御手段131により行われる。ここで、こね1,ねかし,こね2は、前記「こね」工程に対応し、こね1とこね2ではパン羽根14を所定時間回転させるが、ねかしではパン羽根14を一定時間回転停止させる。また、パン生成制御手段131は、温度センサ29で検知される室温を取得して、こね1,こね2,発酵,焼成の各工程の所要時間を、室温に応じて変化させるように、制御対処を制御する。具体的には、例えば室温が低い場合(例えば10℃)では、室温が高い場合(例えば30℃)に比べて、こね1,こね2,発酵,焼成の各工程の所要時間が延びるように設定される。
図27に示すように、タイマー調理モードでは、予約開始になると次のステップS1に移行して、温度センサ29で検知される室温をタイマー調理制御手段135が直ちに取得する。そして、パン生成制御手段131は、ステップS1で取得した室温に応じたこね1以降の各工程の所要時間から、こね1の開始時刻を決定して、その開始時間に実際のこね1工程の制御を開始する(ステップS2)。
こね1の動作が終了すると、タイマー調理制御手段135はステップS3に移行して、予約時刻よりも、こね2から完了(焼成完了)までが最長となる時間前のこね2開始時刻に、温度センサ29で検知される室温を再度取得する。そして、パン生成制御手段131は、ステップS3で取得した室温に応じたこね2以降の各工程の所要時間から、こね2の開始時刻を決定し(ステップS4)、その開始時間に実際のこね2工程の制御を開始する(ステップS5)。これ以降は、ステップS3で取得した室温に応じたこね2以降の各工程の所要時間に従って、こね2,発酵,焼成の各工程による制御を実行し(ステップS6)、「保温」工程でパン生成制御手段131による一連の調理制御を完了する。
図29は、使用者が0:00に予約時刻を7:00にセットして、図28に示す「小麦食パン」コースによるタイマー調理を開始させた場合の、具体的な調理所要時間の設定例を示している。タイマー調理を開始させた予約開始時に、室温が23℃であったとすると、タイマー調理制御手段135はこのときの温度センサ29で検知される室温を取得し、図28に示す所要時間の中から、「20〜25℃未満」に対応する合計140分の所要時間に設定して、パンケース7内の被調理物に対する調理制御をパン生成制御手段131に開始させる。
ここで使用者が、調理器と共に室内に設置されるエアコン(図示せず)を、0:00にオンからオフに切替えたとする。室温は、0:00の23℃から徐々に上昇する。
その後、パン生成制御手段131は、最も調理の所要時間が長い室温が10度未満の条件で、こね2の工程が開始する時刻よりも前に、こね1とねかしの工程が完了するタイミングで、こね1の動作を開始させる。この場合のこね1の所要時間は、予約開始時に温度センサ29から取得した室温に基づくものなので、室温が「20〜25℃未満」に対応する10分間行なわれる。
次に、タイマー調理制御手段135は、最も調理の所要時間が長い室温が10度未満の条件で、こね2の工程が開始する時刻である4:00になると、温度センサ29で検知される室温を再度取得する。この時の室温は、エアコンをオフにしている関係で30℃に上昇しているので、図28に示す所要時間の中から、「30℃以上」に対応する合計120分の所要時間に設定して、これ以降のパンケース7内の被調理物に対する調理制御をパン生成制御手段131に行なわせる。したがて、実際にこね2が開始する時刻は、予約時刻から「30℃以上」に対応する所要時間(120分)を差し引いた5:00になり、以後、25分間のこね2工程と、65分間の発酵工程と、30分間の発酵工程が行われて、予約時刻である7:00にパンが焼き上がる。
図29に示す例で、室温が低い場合(例えば10℃)は、室温が高い場合(例えば30℃)と比べて、パン生成制御手段131が行なう発光や焼成の時間が共に延びる傾向があるため、室温を考慮せずに、予約時刻である製パン完了時刻の一定時間前に特定の工程を開始させてしまうと、パンのできあがりを製パン完了時刻に一致させる必要があるので、室温が高い場合にはパンが早く調理でき、製パン完了時刻まで保温して待つなどすることになり、その間に食味が低下する。
また、予約時刻を設定してタイマー調理の開始を指示する予約開始時の室温を取得して、特定の工程の開始時刻を変動させてしまうと、室温が予約開始時と特定の工程の開始時で異なる場合(例えば予約開始時の室温が25℃で、特定の工程の開始時における室温が10℃)、工程時間が延びてしまって予約時刻にパンを焼き上げることができない。
しかし本例では、例えば「こね1」の工程を除く複数の製パン工程による製パン時間の最長が、室温10℃未満の場合で180分、最短が室温30℃以上の場合で120分であった場合、予約時刻を7:00に設定してタイマー調理を行なうと、先ず最長の製パン時間を要する製パン工程の中で、「こね2」の工程の開始時刻前の4:00に温度センサ29から室温を取得し、このときの室温に応じて、例えば室温が0〜10℃であるならば、「こね2」の工程を直ちに開始させ、室温が30〜35℃であるならば、「こね2」の工程を1時間後の5:00に決定して、その時刻から「こね2」の工程を開始させるように、制御部30のパン生成制御手段131やタイマー調理制御手段135を構成している。
これにより、調理器周辺の室温が予約時刻を設定してタイマー調理の開始を指示する予約開始時時と特定の工程の開始時で異なった場合でも、予約時刻に近い時刻にパンを焼き上げることが可能になり、タイマー調理を行なう場合に室温の変動を加味し、安定した仕上がりのパンを得ることが可能な調理器を提供することができる。
以上のように、本実施形態の調理器である製パン器は、糊化前の米類と水が入れられる容器としてのパンケース7を備えると共に、加熱手段8からの加熱量を調整して、パンケース7内の水を沸点以下で加熱させ、その水を加熱することで米類を軟化させ、軟化させた後にパンケース7内に備えた混練具としてのパン羽根14でパン生地として練り上げさせる制御手段としてのパン生成制御手段131を備えている。
この場合、パンケース7内の水を沸点以下で加熱して、米類を糊化など軟化させることで、粉にする前の米類を柔らかくしてパン生地として加工可能にし、且つ加熱時における蒸気の発生を抑えることができる。
また、上記パン生成制御手段131は、加熱手段8からの加熱量を調整して、パンケース7内の水を沸点以下で加熱させ、その加熱中にパン羽根14を回転させて水の中の米類を撹拌し、水を加熱することで米類を軟化させ、軟化させた後にパン羽根14でパン生地として練り上げさせる構成を有している。
この場合は特に、パンケース7内の水を沸点以下で加熱し、また加熱中に米類を撹拌して糊化など軟化させることで、粉にする前の米類の軟化ムラを抑制しながら、米類を柔らかくしてパン生地として練り加工可能にし、且つ加熱時における蒸気の発生を抑えることができる。
また、上記パン生成制御手段131は、加熱手段8からの加熱量を調整して、パンケース7内の水を沸点以下で加熱させ、加熱中の沸騰近傍前にパン羽根14を回転させて水の中の米類を撹拌し、水を加熱することで米類を軟化させ、軟化させた後にパン羽根14でパン生地として練り上げさせる構成を有している。
この場合は特に、パンケース7内の水を沸点以下で加熱し、また加熱中に米類を撹拌して糊化など軟化させることで、粉にする前の米類の軟化ムラを抑制しながら、米類を柔らかくしてパン生地として練り加工可能にし、且つ加熱時における蒸気の発生を抑えることができる。また、水が沸騰近傍に昇温する前に撹拌を行なうことで、米が吸水して容器内の水位が大幅に低下する前の水が存在する状態で撹拌され、撹拌による加熱ムラを効果的に抑制できる。
また本実施形態では、パンケース7の上面開口を直接閉じる内蓋が存在しない構成となっている。
この場合、パンケース7の上面開口には内蓋が存在しないので、炊飯後に投入ケース41から粉体や具材である副材料などをそのまま落下させることができ、蒸気の発生量を抑制しつつも、調理器として実用的な効果を高めることができる。また、内蓋が存在しないことで、炊飯時におけるパンケース7内の圧力が上昇しにくく、加熱ムラになりやすくなるので、撹拌を行なうことでそうした加熱ムラを防ぐ実用的な効果がある。
また本実施形態では、パンケース7の外側面下部にシーズ式ヒータによる加熱手段8を備え、パンケース7内の水の加熱を加熱手段8で行なう構成となっている。
この場合、パンケース7の外側面下部に加熱手段8を備えることで、パン生地を焼成するためのパン焼き上げ用に加熱手段8を兼用させることができる。また、パンケース7の外側面下部が主な加熱源となるものの、撹拌を行なうことで、より加熱ムラを防ぐ実用的な効果を得ることができる。
本実施形態の調理器は、米粒,イースト,液体および塩を含む原料を用い、米粒に液体を加えて加熱し、米粒を含水率60%以上にして糊化させてから、ご飯の温度が60℃以下に下がった後にイーストを加え、こね,発酵および焼成を行なってパンにすることが可能なパンの製造方法を提供している。
この場合、糊化したご飯に液体を加えるのではなく、糊化前に必要な液体を最初から加えるため、柔らかいご飯となり、こねたときに米粒残りが少ないパンを作ることができる。また、米粒を粉砕する必要が無いので、静かな音でおいしいパンを作り上げることができる。さらに、小麦を含まない場合でも、炊飯したご飯を利用して、パンとしての膨らみを向上させることができる。
また、本実施形態におけるパンの製造方法では、強力粉などのグルテンを成分に含む材料を、米粒が糊化した後、ご飯の温度が60℃以下に下がった後に加えている。
米粒が糊化した後、米粒以外のでんぷん質の材料を糊化温度以下で加えることにより、米粒以外のグルテンを含んだでんぷん質を糊化させないでこねることができる。
また、本実施形態におけるパンの製造方法では、上新粉などのグルテンを成分に含まない材料を、米粒が糊化した後、ご飯の温度が60℃以下に下がった後に加えている。
米粒が糊化した後、米粒以外のでんぷん質の材料を糊化温度以下で加えることにより、米粒以外のグルテンを含まないでんぷん質を糊化させないでこねることができる。
また、本実施形態における調理器は、本体1に着脱可能に備えた有底筒状の金属製容器としてのパンケース7と、パンケース7の外側面を加熱する加熱手段8と、パンケース7の外面温度を直接的または間接的に検出する温度検知手段としての温度センサ28と、パンケース7を入れる焼成室としての収容室6と、パンケース7の中を視認可能にする透明部材としてのガラス窓44を備え、収容室6を覆う蓋31と、収容室6内に風を送る送風装置としての冷却ファン27と、を備え、収容室6内の空気を循環させる循環装置として、加熱手段8の下方に設けた孔65と前述の冷却ファン27を本体1内に備えている。
この場合、収容室6内に風を送り込むと共に、収容室6内の空気を強制的に循環させることができる。また、加熱手段8の下方に循環装置を構成する孔65を設けることで、加熱手段8の熱を効率よく循環させることができる上に、蓋31にのぞき窓として設けたガラス窓44の結露も防止できる。したがって、収容室6内の温度差を低減し、焼きムラの少ないパンを作ることが可能であり、蓋31に備えたガラス窓44の結露も防止可能な調理器を提供できる。
また本実施形態では、加熱手段8による加熱中に、循環装置である冷却ファン27を動作させる構成を有している。
この場合、循環装置である冷却ファン27と孔65が加熱手段8からの熱風を収容室6内で循環させることにより、いわゆるコンベクション方式での加熱を行なうことが可能になる。
また本実施形態では、パンケース7内のパン生地を加熱手段8で焼成した後に、循環装置である冷却ファン27を動作させる構成となっている。
この場合、パンケース7内のパンを焼成した後に、加熱装置による加熱を終了させ、循環装置によりすぐにパンを冷やすことができる。また、パンケース7や蓋3,収容室6を速やかに冷却することもできる。したがって、パンの焼き上がり後に、予熱でパンを焼き過ぎることがなく、しかもパンケース7や蓋3,収容室6を速やかに冷却可能な調理器を提供できる。
また本実施形態では、パンケース7の内底面に回転混練用具の装着部15を備え、この装着部15が動作している間、或いは装着部15が動作し終えた後に、冷却ファン27を動作させる構成を採用している。
このようにすると、パンケース7内の被調理物をこねる際に、装着部15を動作させるモータ21の回転により発生した熱を拡散できる。また、発酵により生地の温度が上昇しすぎないようにすることができる。
また本実施形態では、装着部15が動作する前に、冷却ファン27を動作させる構成となっている。
例えば予約時刻に製パンを行なう場合、外気温が高いと過度に発酵が進む虞があるため、装着部15が動作する前に冷却ファン27を動作させることにより、パンケース7の温度を下げて過度な発酵を止めることができる。また、パンケース7の外面を予め水で湿らせておけば、気化熱によりさらにパンケース7の温度を効果的に下げることができる。
さらに、循環装置である冷却ファン27や孔65は、本体1にではなく蓋31に備えてもよい。この場合も、収容室6内に風を送り込むと共に、収容室6内の空気を強制的に循環させることができる他に、蓋31に設けた循環装置としての冷却ファン27や孔65により、加熱手段8の上方から加熱手段8の熱を効率よく循環させることができる上に、蓋31にのぞき窓として設けたガラス窓44の結露も防止できる。したがって、収容室6内の温度差を低減し、焼きムラの少ないパンを作ることが可能であり、蓋31に備えたガラス窓44の結露も防止可能な調理器を提供できる。
本実施形態では、本体1に着脱可能に備えたパンケース7と、パンケース7の内底面に備えた回転混練用具の装着部15と、パンケース7の外側面を加熱する加熱手段8と、パンケース7の外面温度を直接的または間接的に検知する温度検知手段としての温度センサ28と、温度センサ28の検出温度に応じて加熱手段8の加熱量を調節する制御手段としての制御部30と、パンケース7を入れる収容室6と、収容室6を覆う蓋31と、収容室6内に風を送る冷却ファン27と、を備え、パンケース7に入れられた被調理物を加熱手段8で加熱させ、加熱中に冷却ファン27で収容室6を送風させながら、パンケース7内の被調理物をほぼ沸騰させて調理を行なわせるように、制御部30を構成している。
この場合、パンケース7の外側面に備えた加熱手段8は、パンケース7内でパンを焼くには適した位置であるものの、加熱手段8よりも下方に位置する被調理物を加熱するには非効率であるが、冷却ファン27により収容室6内を送風することで、加熱手段8を2つ備えることなく、加熱手段8よりも下方に被調理物が位置していても、パンケース7内の被調理物を均一に加熱できる。
また本実施形態では、パンケース7内の被調理物が加熱手段8よりも下方に位置するように構成している。
この場合、本来は加熱手段8の下方に位置するとか熱効率が悪かった被調理物も、冷却ファン27により収容室6内を送風することで、効率よく加熱ができ、加熱手段8もパンを焼き上げるのに適した位置に配置できる。
また本実施形態では、加熱後に被調理物を60℃以下にするために、冷却ファン27を使用して収容室6を送風する構成となっている。
この場合、被調理物を60℃以下に冷却する際にも冷却ファン27を利用することで、冷却ファン27を被調理物の冷却と、収容室6への送風に兼用させることができる。
また、本実施形態の冷却ファン27は、パンケース7に入れられた被調理物を加熱し、60℃以下に冷却した後、イーストと粉である小麦粉などを投入し、イースト投入後に混練を行なった後、所定の温度で発酵させ、その後に加熱手段8でパンケース7を加熱して被調理物をパン状に焼き上げる際に動作され、収容室6内の空気を循環させながらパンを焼く構成となっている。
この場合、冷却ファン27により、被調理物の炊飯および冷却と、収容室6内の循環を兼用させることができる。また、通常の強力粉で作る小麦パンよりも、米を含むパンは、パンケース7の上端よりも低い位置までしかパン生地が膨らまないこともあり、焼成の際に収容室6内の空気を循環させることで、パンの上面の加熱不足を解消でき、パンケース7内の被調理物をさらに均一に加熱できる。
本実施形態では、設定した予約時刻にパンが焼き上がるように制御を行なうタイマー調理制御手段135と、室温を検知する温度検知手段として温度センサ29と、を備え、タイマー調理制御手段135は、前記室温により何れかの工程時間が変動する複数の製パン工程に基づき、パンを焼き上げるようにパン生成制御手段131を制御して、パンを焼き上げるまでの製パン時間が最も長い複数の製パン工程の中で、特定の工程である例えばこね2工程の開始時刻前に、温度センサ29で検知した室温を取得し、その取得した室温に基づいて、実際のこね2工程の開始時刻を決定するように構成している。
この場合のタイマー調理制御手段135は、予約時刻を設定してタイマー調理を行なうと、先ず最長の製パン時間を要する製パン工程の中で、特定の工程である例えばこね2工程の開始時刻前に室温を取得し、このときの室温に応じてこね2工程の開始時刻を決定し、その時刻から実際にこね2工程を開始させる。したがって、室温がタイマー調理設定開始時と特定の工程の開始時で異なった場合でも、予約時刻に近い時刻にパンを焼き上げることが可能になる。
また、本実施形態におけるタイマー調理制御手段135は、温度センサ29で検知した室温を複数回取得して、室温を取得する度に、特定の工程以外の各工程の開始時刻を決定するように構成している。
この場合、例えばタイマー調理の開始時(予約開始時)に室温を取得すれば、特定の工程のみならず、それ以外の工程についても、室温を考慮してその開始時刻を決定でき、パンの食味を良くすること可能になる。
本実施形態では、本体1に備えたパンケース7と、パンケース7を加熱する加熱手段8と、パンケース7を入れる収容室6と、パンケース7内に粉体を投入する投入ケース41と、投入ケース41に送風する冷却ファン26と、を備え、加熱手段8によりパンケース7内の被調理物を炊飯し、この炊飯を行なう時点から、冷却ファン26により投入ケース41を冷却させる構成となっている。
被調理物の炊飯中は、冷却ファン26により投入ケース41を強制的に冷やすため、投入ケース41に収納した小麦粉が固まったり、イーストが死滅したりするのを防止することができる。
本実施形態では、パンケース7と、パンケース7を加熱する加熱手段8と、パンケース7を入れる収容室6と、収容室6内に風を送る冷却ファン27と、を備え、冷却ファン27のファンモータをパルス幅変調制御する構成となっている。
収容室6内に風を送り込むことにより、収容室6内の温度差を低減し、焼きムラの少ないパンを作ることが可能になる。また、共通する1つのファンモータで、収容室6内に送り込む風の量を可変することができる。したがって、冷却ファン27の数を減らしてコストダウンを図ることが可能になる。
また、本実施形態では、加熱手段8によりパンケース7内の被調理物を炊飯し、この炊飯中は冷却ファン27のファンモータの速度を、収容室6を冷却する場合よりも低速で動作させる構成としている。
この場合、加熱手段8がパンケース7内の被調理物よりも上方に位置していても、収容室6内に風を送り込むことで被調理物の加熱ムラを少なくして、芯のない炊飯を行なうことができる。また、冷却ファン27のファンモータの回転数が少ないので、加熱手段8の温度を下げることなく収容室6内の空気を循環させることができる。さらに、収容室6を塞ぐ蓋を冷却する別な冷却ファン27が動作している場合でも、収容室6内の熱風は逆流せず、制御部30を構成する基板の温度も上昇しないという効果も得られる。
また本実施形態では、加熱手段8によりパンケース7内の被調理物を炊飯した後に、冷却ファン27のファンモータを最高速で動作させる構成としている。
この場合、冷却ファン27からの強い風により、パンケース7内のご飯を素早く冷ますことができる。
また本実施形態では、モータ21からの駆動力により、前記パンケース7内の被調理物を混錬する混錬手段23を備え、モータ21の回転中は、冷却ファン27のファンモータを炊飯時と同様に低速で動作させるように構成している。
この場合、混錬手段23を構成するモータ21の熱により、パンケース7内の生地の温度が上がらないようにすることができる。
また本実施形態では、加熱手段8によりパンケース7内の被調理物を焼成し、この焼成中は冷却ファン27のファンモータを炊飯時や混錬時と同様に低速で動作させるように構成している。
この場合、焼成中に収容室6内に風を送り込むことで、収容室6内を熱循環させて焼きムラの少ないパンに仕上げることができる。また、冷却ファン27のファンモータの回転数が少ないので、加熱手段8の温度を下げることなく収容室6内の空気を循環させることができる。
本実施形態では、パンケース7に入れた米類や水を含む被調理物を加熱手段8で炊飯し、パンに仕上げる調理器において、加熱手段8によりパンケース7内の被調理物を炊飯する時に、加熱手段を制御して米の吸水を促進するひたしを行なわせるように構成している。
この場合、炊飯時のひたしにより米類の吸水を促進することで、還元糖量を増加させて甘みのあるパンを得ることができる。
本実施形態では、撹拌手段としての混錬手段23を備え、ひたしは炊飯の途中に行ない、そのひたし時に混錬手段23によりパンケース7内の被調理物を緩やかに撹拌する構成となっている。
この場合、炊飯途中のひたし時に、パンケース7内の被調理物を緩やかに撹拌することで、パンケース7内の水の飛び散りを防止しつつ、ひたし時における被調理物の加熱ムラを低減できる。
また本実施形態では、パンケース7内の被調理物を炊飯した後に冷却し、このパンケース7内に粉体を投入する前に、混錬手段23による撹拌を行なわせるように構成している。
この場合、パンケース7内のご飯粒を混練手段23で潰して、芯残りのない状態にすることができる。
また本実施形態では、粉体を投入する前の混錬手段23の回転数よりも、粉体を投入した後の混錬手段23の回転数が遅くなるように、混錬手段23の動作を制御する制御部30を構成している。
この場合、粉体を投入した後に、混錬手段23により粉体が飛び散るのを防止できる。
また本実施形態では、粉体を投入した後に、混錬手段23を一定時間停止させるように構成している。
この場合、粉体を投入した後に、混錬手段23を一定時間停止させて粉体が飛び散るのを確実に防止できる。また、混錬手段23が停止している間に、副材料を手動投入することも可能になり、粉体のみならず副材料の飛び散りを確実に防止できる。
本実施形態では、パンケース7に入れたもち米や水を含む被調理物を加熱手段8で炊飯し、もちに仕上げるもち生成制御手段133を備えた調理器において、撹拌手段としての混錬手段23を備え、被調理物を加熱手段8で炊飯する時に、混錬手段23によりパンケース7内の被調理物を撹拌するように、もち生成制御手段133が加熱手段8や混錬手段23を制御している。
この場合、もち米は本来うるち米よりも吸水率が高く、被調理物としてパンケース7に水と共に入れた場合には、もち米が水よりも上に出てしまい芯が残ってしまうが、炊飯時に被調理物を撹拌すれば、そうした芯残りを防止して、おいしいもちに仕上げることができる。
本実施形態では、粉体を投入してパンケース7内の被調理物を発酵させる調理器において、被調理物を焼成する直前の成形発酵の工程で、被調理物の温度を60℃にまで緩やかに上昇させるように、パン生成制御手段131が制御を行なう構成となっている。
この場合、被調理物を焼成する直前の成形発酵の工程で、イースト菌が死滅しない温度範囲内に被調理物の温度を緩やかに上昇させることで、被調理物の膨らみを向上させることができると共に、被調理物におけるネチ(ダマ)の発生を防止できる。
本実施形態では、被調理物を入れたパンケース7と、被調理物を加熱する加熱手段8と、被調理物を混錬する混錬手段23と、室温を検知する温度検知手段としての温度センサ29と、温度センサ29で検知した室温を取得して、時刻進むキー3Cや時刻戻るキー3Dで設定した予約時刻に、被調理物を混錬してパンに焼き上げるように、パン生成制御手段131に対する制御を行なうタイマー調理制御手段135と、を備え、このタイマー調理制御手段135は、被調理物を混錬手段23で混錬している「こね」工程の間に、パンケース7内の被調理物を加熱手段8で所定時間加熱すると共に、温度センサ29から取得した室温から、室温が低い程、所定時間が長くなるように、所定時間を変動させる構成を有している。
この場合、タイマー調理の際に室温が低い状況であっても、被調理物を所定時間加熱し、且つその加熱時間を長くすることで、被調理物を混錬し易くすることができる。
本実施形態では、被調理物およびこの被調理物を発酵させる粉体を入れたパンケース7と、室温を検知する温度センサ29と、温度センサ29で検知した室温を取得して、時刻進むキー3Cや時刻戻るキー3Dで設定した予約時刻に、被調理物をパンに焼き上げるように、パン生成制御手段131に対する制御を行なうタイマー調理制御手段135と、を備え、タイマー調理制御手段135は、温度センサ29から室温を取得して、室温が高くなる程、粉体の発酵時間が短くなるように、粉体の発酵時間を調整する構成を有してしている。
この場合、タイマー調理の際に室温に応じて発酵時間を最適に調整することで、粉体の過発酵を防止することができる。
また、本実施形態のタイマー調理制御手段135は、粉体の発酵時間を、予約時刻を設定してタイマー調理を開始してから、発酵工程で被調理物の予熱が完了するまでの間の時間により調整する構成としている。
この場合、予熱により粉体を含む被調理物が加熱される前に、粉体の発酵時間を適切に調整することで、粉体の過発酵をより確実に防止できる。
本実施形態では、複数の調理コースの中から一つの調理コースを順番に選択可能にする第1操作体としてのコース進むキー3Fやコース戻るキー3Gと、複数の調理コースの中で、被調理物を炊飯加熱してパンを焼き上げる「炊パン」コースだけを常に選択可能にする第2操作体としての炊パンキー3Iと、コース進むキー3Fやコース戻るキー3Gまたは炊パンキー3Iで選択した調理コースに基づき、被調理物を調理する制御手段としての制御部30と、を備えている。
この場合、コース進むキー3Fやコース戻るキー3Gをいちいち操作せずに、炊パンキー3Iをいわゆるショートカットとして操作することで、複数の調理コースの中から「炊パン」コースを直接優先的に選択することができ、被調理物を炊飯加熱してパンを焼き上げる調理器としての使い勝手を高めることができる。
本実施形態では、特にご飯を原料とした「小麦ごはんパン」コースにおいて、パンケース7に入れられたご飯を加熱手段8で加熱してから混錬手段23で混錬し、パンに仕上げるように構成している。
この場合、ご飯をそのまま混錬するのではなく、加熱してから混錬することで、室温が低い場合でもご飯を混錬し易くできる。また、室温が高い場合にはご飯の腐敗を防止することができると共に、食味が向上する。さらに、冷凍ご飯を解凍してパンに仕上げることもできる。
本実施形態では、「小麦ごはんパン」コースによる小麦ゼロのご飯入りパンの製造方法に関し、ご飯,イーストおよび塩を含む原料を用い、ご飯の温度が60℃以下に下がった後にイーストを加え、こね,発酵および焼成を行なってパンにする方法を採用している。
この場合、米粒を粉砕する必要が無いので、静かな音でおいしいパンを作り上げることができる。さらに、小麦を含まないものの、ご飯を利用してパンとしての膨らみを向上させることができる。したがって、音が静かであり、膨らみを向上させたおいしいパンを作ることが可能なパンの製造方法を提供できる。
本実施形態では、「小麦ゼロパン」コースによる小麦ゼロのパンの製造方法に関し、米粉,イースト,液体,片栗粉および塩を含む原料を用い、米粉と半量の片栗粉に液体を加えて加熱撹拌することで糊状の生地を作り、その後で糊状の生地にイーストと半量の片栗粉を投入し、こね,発酵および焼成を行なってパンにする方法を採用している。
この場合、米粒を粉砕する必要が無いので、静かな音でおいしいパンを作り上げることができる。また、米粉と共に片栗粉と液体を加熱撹拌して糊を作るので、片栗粉と液体を混ぜた糊を別に作る手間が低減できる。さらに、小麦を含まないものの、米粉や片栗粉を利用してパンとしての膨らみを向上させることができる。
本実施形態では、タイマー調理を用いた「小麦食パンお急ぎ」コースによる早焼きのパンの製造方法に関し、被調理物,イースト,液体,粉および塩を含む原料を用い、被調理物と半量の粉に液体を加えてグルテンを生成し、その後でグルテンを生成した被調理物にイーストと半量の粉を投入し、こね,発酵および焼成を行なって、予約時刻にパンに焼き上げる方法を採用している。
この場合、米粒を粉砕する必要が無いので、静かな音でおいしいパンを作り上げることができる。また、予約時刻にパンに焼き上げるタイマー調理での過発酵を防止することができる。
本実施形態では、パンケース7と、パンケース7を加熱する加熱手段8と、パンケース7を入れる収容室6と、収容室6内の温度を検知する温度センサ28と、収容室6内に風を送る冷却ファン27と、加熱手段8によりパンケース7内の被調理物を炊飯後、冷却ファン27を動作させる「冷却」工程を行なう制御部30と、を備え、制御部30は、冷却工程で収容室6内の温度が一定時間(例えば15分)以内に一定値(例えば80℃)未満にならなければ、冷却ファン27の動作を停止させるように構成している。
この場合、炊飯後の冷却工程で、温度センサ28により検知される収容室6内の温度が一定時間以内に一定値未満にならなければ、加熱手段8が短絡していると判断して、早くヒューズ25が切れるように、本来は収容室6内の冷却のために動作させる冷却ファン27を強制的に停止させる。これにより、加熱手段8の短絡時における安全性を高めることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。
パンケース(容器)
8 加熱手段
23 混練手段
29 温度センサ(温度検知手段
35 タイマー調理制御手段

Claims (5)

  1. 設定した予約時刻にパンが焼き上がるように制御を行なうタイマー調理制御手段と、
    室温を検知する温度検知手段と、を備え、
    被調理物を混錬する第1のこね工程と、前記混錬を停止させるねかし工程と、前記被調理物を再度混錬する第2のこね工程と、前記被調理物を発酵させる発酵工程と、前記被調理物を焼き上げる焼成工程と、の順でパンを焼き上げる製パン工程が行なわれる調理器において、
    前記タイマー調理制御手段は、前記室温により前記第1および第2のこね工程と、前記発酵工程と、前記焼成工程との工程時間や前記製パン工程の調理の所要時間が変動する複数の前記製パン工程に基づき、前記パンを焼き上げるものであり、前記変動は、前記室温が低い場合では、前記室温が高い場合に比べて、前記工程時間が延びるように設定され、
    前記タイマー調理制御手段は、前記製パン工程を開始する予約開始時と、前記パンを焼き上げるまでの製パン時間が最も長い前記複数の製パン工程の条件における前記第2のこね工程の開始時刻と、で前記室温を取得し、前記予約開始時の室温により前記第1のこね工程の工程時間を決定し、前記開始時刻の室温により前記第2のこね工程と、前記発酵工程と、前記焼成工程と、の開始時刻を決定する構成としたことを特徴とする調理器。
  2. 前記タイマー調理制御手段は、製パン時間が最も長い複数の製パン工程の条件における前記第2のこね工程の開始時刻よりも前に、前記第1のこね工程および前記ねかし工程が完了するタイミングで、前記第1のこね工程を開始させることを特徴とする請求項1記載の調理器。
  3. 被調理物を入れた容器と、
    前記被調理物を加熱する加熱手段と、
    前記被調理物を混錬する混錬手段と、
    室温を検知する温度検知手段と、
    前記室温を取得して、設定した予約時刻に前記被調理物を混錬し、パンに焼き上げるように制御を行なうタイマー調理制御手段と、を備え、
    前記混錬する第1のこね工程と、前記混錬を停止させるねかし工程と、再度前記混錬する第2のこね工程と、前記被調理物を発酵させる発酵工程と、前記被調理物を焼き上げる焼成工程と、の順でパンを焼き上げる製パン工程が行なわれる調理器において、
    前記タイマー調理制御手段は、前記被調理物を混錬している間に前記被調理物を所定時間加熱すると共に、前記室温により前記第1および第2のこね工程と、前記発酵工程と、前記焼成工程との工程時間や前記製パン工程の調理の所要時間を変動させるように構成し、前記変動は、前記室温が低い場合では、前記室温が高い場合に比べて、前記工程時間が延びるように設定され、
    前記タイマー調理制御手段は、前記製パン工程を開始する予約開始時と、前記パンを焼き上げるまでの製パン時間が最も長い前記製パン工程の条件における前記第2のこね工程の開始時刻と、で前記室温を取得し、前記予約開始時の室温により前記第1のこね工程の工程時間を決定し、前記開始時刻の室温により前記第2のこね工程と、前記発酵工程と、前記焼成工程と、の開始時刻を決定する構成としたことを特徴とする調理器。
  4. 被調理物およびこの被調理物を発酵させる粉体を入れた容器と、
    室温を検知する温度検知手段と、
    前記室温を取得して、設定した予約時刻に前記被調理物をパンに焼き上げるように制御を行なうタイマー調理制御手段と、を備え、
    被調理物を混錬する第1のこね工程と、前記混錬を停止させるねかし工程と、前記被調理物を再度混錬する第2のこね工程と、前記被調理物を発酵させる発酵工程と、前記被調理物を焼き上げる焼成工程と、の順でパンを焼き上げる製パン工程が行なわれる調理器において、
    前記タイマー調理制御手段は、前記室温を取得して、前記粉体の発酵時間を調整して前記発酵工程の工程時間を変動させ、かつ、前記室温を取得して、前記第1および第2のこね工程と、前記焼成工程との工程時間や前記製パン工程の調理の所要時間を変動させ、前記変動は、前記室温が低い場合では、前記室温が高い場合に比べて、前記工程時間が延びるように設定され、
    前記タイマー調理制御手段は、前記製パン工程を開始する予約開始時と、前記パンを焼き上げるまでの製パン時間が最も長い前記製パン工程の条件における前記第2のこね工程の開始時刻と、で前記室温を取得し、前記予約開始時の室温により前記第1のこね工程の工程時間を決定し、前記開始時刻の室温により前記第2のこね工程と、前記発酵工程と、前記焼成工程と、の開始時刻を決定する構成としたことを特徴とする調理器。
  5. 前記タイマー調理制御手段は、前記粉体の発酵時間を、前記前記予約開始時から前記発酵工程で前記被調理物の予熱完了するまでの時間により調整するものであることを特徴とする請求項記載の調理器。
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