JP6640619B2 - 蒸気タービン弁駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、蒸気タービン弁駆動装置に関する。
一般に、汽力タービン発電施設においては、蒸気タービンの回転数や出力の制御は、当該蒸気タービンへ流入する駆動用蒸気の流量を調整する各種の蒸気タービン弁(蒸気加減弁や蒸気止め弁など)の開度を各種の蒸気タービン弁駆動装置で制御することによって行われる。汽力タービン発電施設が異常現象もしくは故障の他などの現象に陥った際には、事故を未然に防止するため或いは事故による損傷を最小限に抑えるために、各種の蒸気タービン弁駆動装置により各種の蒸気タービン弁を急閉止・全閉させ、駆動用蒸気の蒸気タービンへの流入を遮断するようにしている。
蒸気タービン弁駆動装置は、油圧系統を備え、蒸気タービン弁を開閉するピストンを収納したシリンダと、位置制御信号により当該シリンダ内へ作動油を導入・排油する電磁弁と、緊急信号により当該シリンダ内の作動油を急速に廃油する電磁弁とを備えている。各種弁駆動装置の作動油の導入・排油は、高圧な流体ポンプを有する1つの集油装置から各種弁駆動装置へ配管を通して行われる。
一方で、上記集油装置を取り払い、蒸気タービン弁毎に油タンクを設けることによって建設コストの低減を図った蒸気タービン弁駆動装置が知られている(例えば、特許文献1)。この蒸気タービン弁駆動装置は、蒸気タービン弁毎にそれぞれ独立した流体ポンプ、モータ、および油タンクを油送系統に備え、流体ポンプを駆動するモータを制御することによりシリンダ位置を制御し、モータに連結されたギアを介してボールねじを回転させることによりその移動量で蒸気タービン弁の位置制御を行うものである。
特開平8−170503号公報
しかしながら、上記蒸気タービン弁駆動装置は、油を貯えるリザーバ(油タンク)を有することから、油漏れに対する処置とタンク内の気体及び湿気の除去が必要となるばかりか、装置全体が大型化・重量化する。
さらに、上記蒸気タービン弁駆動装置では、リセット動作の際にディスクダンプ弁の上部室と下部室の双方に作動油が流入するため、ディスクダンプ弁の両側の圧力バランスが不安定になり、ディスクダンプ弁がチャタリングを起こす可能性がある。そのため、安定したリセット動作を行うことが難しい。この点について、図12〜図15を参照して、よりわかりやすく説明する。
図12に示されるように、蒸気タービン弁駆動装置においては、流体ポンプ2PUがモータ2Mにより駆動され、油タンク2Tに貯えられた作動油の一部が流体ポンプ2PUによりシリンダ2CY側へ供給される。具体的には、流体ポンプ2PUからの作動油は、シリンダ2CYの制御油ポート2CPに流れ込み、ポンプ吐出圧力に応じてピストン2PIを押し上げ且つディスクダンプ弁2Dを押下げるとともに、励磁されたソレノイド弁2SVを通じて導入口2DDに流れ込み、スプリング2DSのばね力と共にディスクダンプ弁2Dを押し上げる。ディスクダンプ弁2Dの上部室の圧力(上部圧)が下部室の圧力(下部圧)よりも大きければ、ディスクダンプ弁2Dは開き、ドレンポート2DPから作動油が排出され、油タンク2Tに回収される。また、ディスクダンプ弁2Dが開くことにより、ディスクダンプ弁2Dの上部圧が降下する。下部圧が上部圧よりも大きくなれば、ディスクダンプ弁2Dは閉まり、ディスクダンプ弁2Dの上部圧は上昇する。以降、同様な動作を繰り返す。
<ポンプ停止時(トリップ状態)>
図13に示されるように、蒸気タービン弁の閉止の際には、流体ポンプ2PUが停止され、ソレノイド弁2SVが無励磁にされ、トリップ状態に対応した油路が形成される。このとき、ディスクダンプ弁2Dの上部圧は下がり、ディスクダンプ弁2Dは閉の状態となる。また、ディスクダンプ弁2Dの下部圧はスプリング2DSのばね力およびタンクヘッド圧に相当するが、タンクヘッド圧はごくわずかなため、ディスクダンプ弁2Dは着座の状態となり、ディスクダンプ弁2Dの下部室の作動油が導入口2DDからソレノイド弁2SVを通じて油タンク2Tに回収される。
<ポンプ運転時(トリップ状態)>
図14に示されるように、蒸気タービン弁の駆動を再開する際には、流体ポンプ2PUが起動される。このとき、ソレノイド弁2SVは無励磁の状態にあり、ディスクダンプ弁2Dは着座したまま、ポンプ圧力が上昇する。ディスクダンプ弁2Dの上部圧が下部圧に打ち勝つと、ディスクダンプ弁2Dが開く。このとき、制御油ポート2CPがドレンポート2DPと繋がるため、ポンプ圧力は下がる。ポンプ圧力が下がり、ディスクダンプ弁2Dの下部圧が上部圧よりも大きくなると、ディスクダンプ弁2Dが閉まる。以降、同様な動作を繰返す。
<ポンプ運転時(リセット時)>
図15に示されるように、トリップ状態からリセット状態に移行する際、ソレノイド弁2SVが励磁され、リセット状態に対応した油路が形成される。流体ポンプ2PUは運転中の状態にあり、制御油ポート2CPに作動油が供給される一方で、ディスクダンプ弁2Dの下部室の導入口2DDにも作動油が供給される。導入口2DD側の油路にはソレノイド弁2SVがあるため、管路抵抗は制御油ポート2CP側の油路よりも導入口2DD側の油路の方が大きく、制御油ポート2CP側の方に制御油が一瞬早く流入する。すると、ディスクダンプ弁2Dが開き、ディスクダンプ弁2Dの上部室がドレンポート2DPに繋がる。一方、導入口2DDへは制御油が一瞬遅れて流入し、ディスクダンプ弁2Dの下部圧が上昇する。また、ディスクダンプ弁2Dの下部室の方が上部室よりも面積が大きいため、下部室の圧力の上昇は上部室と比べて遅れがちとなる。その結果、ディスクダンプ弁2Dの上部室と下部室との圧力バランスが不安定になり、ディスクダンプ弁2Dがチャタリングを起こす可能性がある。そのため、安定したリセット動作を行うことが困難となる。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で安定した動作を実現できる蒸気タービン弁駆動装置を提供することを目的とする。
実施形態によれば、蒸気タービン弁を駆動する蒸気タービン弁駆動装置であって、前記蒸気タービン弁の開閉動作を行うピストンを収納し、当該ピストンを挟んで両側に作動油が充満する第1の室および第2の室を有するシリンダと、前記第1の室と前記第2の室とを繋ぐ密閉された閉油圧回路を構成する油送系統であって、当該密閉された閉油圧回路内にて作動油の双方向の移動を可能とする流体ポンプを有する流体ポンプ油路と、非常時に当該密閉された閉油圧回路内にて電磁弁の開放により前記第1の室の作動油を前記第2の室に移動させる非常用油路とを含む、油送系統とを具備することを特徴とする蒸気タービン弁駆動装置が提供される。
本発明によれば、簡易な構成で安定した動作を実現できる蒸気タービン弁駆動装置を提供することができる。
第1の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図。 同実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の別の構成の例を示す図。 第2の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図。 第3の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図。 第4の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図。 第5の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置に備えられるシリンダの一部の構成の例を示す図。 第6の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図。 第7の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図。 第8の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図。 第9の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図。 第10の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図。 従来の蒸気タービン弁駆動装置の動作の一部を説明するための図。 従来の蒸気タービン弁駆動装置の動作の一部を説明するための図。 従来の蒸気タービン弁駆動装置の動作の一部を説明するための図。 従来の蒸気タービン弁駆動装置の動作の一部を説明するための図。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1を参照して、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図である。
蒸気タービン弁1は、例えば蒸気止め弁であり、起動時等の蒸気流量を開閉動作により制御する。この蒸気タービン弁1は、弁体(弁ディスク)1a、弁座1b、バックシート1c等を備えており、弁体1aが取り付けられた弁棒2の弁棒止め部2aがバックシート1cに接触して拘束される位置にあるときに全開となり、弁体1aが弁座1bに接触して拘束される位置にあるときに全閉となる。
蒸気タービン弁1を駆動する蒸気タービン弁駆動装置は、スプリング機構4、シリンダ5、開度検出器6、油送系統7、急速作動電磁弁8、流体ポンプ9、モータ10、制御装置11等を備えている。
スプリング機構4は、スプリングハウジング4aに収納され、蒸気タービン弁1の閉方向に付勢するようにピストンロッド5dに取り付けられている。ピストンロッド5dは、カップリング3介して弁棒2に接続されている。
シリンダ5は、ピストン5cとこれに取り付けられるピストンロッド5dの一部とを収納し、ピストン5cを挟んで両側に作動油が充満するシリンダ下部室5aおよびシリンダ上部室5bを有する。
開度検出器6は、蒸気タービン弁1の弁開度を検出し、検出した弁開度を示す弁開度信号を出力する。この弁開度信号は制御装置11へ送られる。図1の例では、ピストンロッド5dをシリンダ5から下方に貫通させ、貫通したピストンロッド5dの下端部に開度検出器6を設けた場合が例示されているが、この配置例に限られるものではない。例えば、開度検出器6の設置の変形例として、弁棒2とピストンロッド5dとを直結するカップリング3の間にプレート取り付け、当該プレートに検出用ロッドを取り付け、当該検出用ロッドに開度検出器6を取り付けるようにしてもよい。また、スプリングハウジング4a内のスプリング受けに検出用ロッドを設け、当該検出用ロッドに開度検出器を設けるようにしてもよい。上記のいずれの配置例の場合も、蒸気タービン弁1の弁開度を正確に検出することができる。
油送系統7は、バイパス絞り流路7a、非常用油路7b、流体ポンプ油路7cを含み、シリンダ下部室5aとシリンダ上部室5bとを繋ぐ密閉された閉油圧回路(閉回路油圧回路)を構成しており、当該油圧回路内にて作動油の双方向の移動を可能とする流体ポンプ9を備えている。流体ポンプ9が設置される流体ポンプ油路7cは、一方はシリンダ下部室5aに通じており、もう一方はシリンダ上部室5bに通じている。作動油としては、例えば、直接加熱による劣化が僅少で毒性が低く、耐酸化性が高く、耐圧性に優れる難燃性作動油である脂肪酸エステル油を使用する。
バイパス絞り流路7aは、流体ポンプ9が設置された流体ポンプ油路7cをバイパスし、流量を制限しつつ作動油を双方向に通過させるオリフィスを含む。例えば蒸気タービン弁1を開弁している状態ではピストン5cを蒸気タービン弁1の開方向に加勢する一定流量の作動油の流れを要するが、流体ポンプ9を駆動することによりバイパス絞り油路7aを通じて一定流量の作動油の流れを簡単に形成することができる。また、流量指令の変化が少なければ流体ポンプ9を一定方向に一定速度で回転させ続けることが可能となるため、流体ポンプ9の安定した吐出圧力を維持することができる。
また、シリンダ5の表面積は一般に大きいので拡散放熱量が大きいものの、通常運転中の蒸気タービン弁1は頻繁に大きな開閉動作を行わないのでモータ10の消費動力だけでは作動油の温度を適正運転温度に維持することが難しい。そこで、常時一定の作動油が循環するように流体ポンプ9からピストン5cまでの間にシリンダ上部室5bとシリンダ下部室5aとを接続するバイパス絞り油路を設けることにより、作動油の温度を適正運転温度にすることができる。バイパス絞り油路の具体例としては、上述したオリフィスを有するバイパス絞り油路7aが一例として挙げられるが、代わりに図2に示されるように、ピストン5cに流量を制限しつつ作動油を双方向に通過させる連通孔7d(オリフィス)を設けるようにしてもよい。
一方、非常用油路7bには、急速作動電磁弁8が設置される。この急速作動電磁弁8は、非常時(例えば蒸気タービンの異常発生時)に、蒸気タービン弁1を全閉させる方向に作動油を急速に移動させる電磁弁である。急速作動電磁弁8は、蒸気タービン1の通常運転中は、常時、励磁状態にされている。一方、蒸気タービン1の異常発生時には、図示しないタービン保護回路装置から出力される電気信号により、急速作動電磁弁8は無励磁状態にされる。
常時励磁状態の急速作動電磁弁8が無励磁状態になると、シリンダ下部室5aとシリンダ上部室5bとの圧力差とスプリング機構4の閉鎖力の助勢により、作動油が閉方向側に急速に移動してピストン5cを押し下げる。このときシリンダ5やピストン5cの破損を防止するためには、ピストン5cが全閉位置に移動する際に、閉鎖速度を緩慢にすることが望ましい。そこで、全閉位置の手前で急速作動電磁弁8を励磁状態に切り替えることにより、作動油の移動にブレーキをかけ、シリンダの閉鎖速度を低下させる。その後、再び急速作動電磁弁8を無励磁状態に印加する。これにより、シリンダ5やピストン5cの破損させることなく、蒸気タービン弁1を安全かつ確実に全閉させることができる。
流体ポンプ9は、駆動軸の回転方向を変えることで流れ方向を反転することができる可逆回転式容積型ポンプであり、例えばギアポンプやアキシャルピストンポンプが使用される。この流体ポンプ9は、回転方向を切り替えることによって蒸気タービン弁1の開弁・閉弁の動作を切り替えることができ、回転速度を変えることによって開弁・閉弁の速度を調整することができる。
モータ10は、流体ポンプ9を駆動するものであり、モータ10の駆動軸と流体ポンプ9の駆動軸とはカップリングで直結されている。このモータ10は、駆動軸の回転方向や回転速度を変えることにより流体ポンプ9の吐出方向や吐出力を変えることができる。モータ10は、可逆回転式容積型ポンプである流体ポンプ9を通じて蒸気タービン弁1の弁位置制御を行うため、インバータモータもしくはサーボモータであることが望ましい。なお、モータ10のトルク制御により、流体ポンプ9のポンプ吐出圧力を可変制御でき、サージ圧も吸収できるため、リリーフ弁(安全弁)は不要である。
なお、上述した流体ポンプ9およびモータ10の組合せは、予備の分を含めて複数、並列に設置するようにしてもよい。このようにすると、通常動作している流体ポンプ9またはモータ10が故障した場合に、予備の流体ポンプ9およびモータ10の組合せを起動させれば、蒸気タービン弁1の運転を継続して行うことができる。
制御装置11は、プラント内の各種の検出信号を取り込むとともに、蒸気タービン弁1の弁位置を制御する制御信号をモータ10へ送る。例えば、制御装置11は、開度検出器6により検出される蒸気タービン弁1の弁開度を示す弁開度信号を取り込み、この弁開度信号に示される弁開度から弁位置を求め、この弁位置と目標とする弁位置と偏差が無くなるように蒸気タービン弁1の弁位置を制御する信号をモータ10へ送る。また、制御装置11は、非常時には、急速作動電磁弁8を通じて蒸気タービン弁1を全閉させる方向に作動油を急速に移動させることができる。
このような構成において、蒸気タービン弁1を開弁させる場合、制御装置11からモータ10へ弁開指令を送ることにより、蒸気タービン弁1の閉方向に付勢するスプリング機構4のばね力および蒸気圧力に打ち勝つように流体ポンプ9によりシリンダ上部室5bからシリンダ下部室5aへ作動油を導入させ、ピストン5cを上方に移動させる。一方、蒸気タービン弁1を閉弁させる場合は、制御装置11からモータ10へ弁閉指令を送ることにより、流体ポンプ9を逆回転させることでシリンダ下部室5aからシリンダ上部室5bへ作動油を導入させ、ピストン5cを下方に移動させる。
また、非常時、例えばプラントが異常状態に陥った際には、蒸気流路を急速に遮断する必要がある。その場合、急速作動電磁弁8によりシリンダ下部室5aの作動油をシリンダ上部室5bに急速に導入させ、ピストン5cを下方に急速に移動させることにより、蒸気タービン弁1を急閉止させる。その後、プラントの異常状態が解除されたら、制御装置11から急速作動電磁弁8へ弁開許可指令を送ることにより、リセット動作が行われ、蒸気タービン弁1はスタンバイ状態になる。リセット動作は、例えば急速作動電磁弁8を励磁状態に印加することで実現される。
前述したように、シリンダ5はピストン5cを挟んで両側に作動油が充満するシリンダ下部室5aおよびシリンダ上部室5bを有しており、また、油送系統7はシリンダ下部室5aとシリンダ上部室5bとを繋ぐ密閉された閉油圧回路を構成している。このような構成において、制御装置11の制御のもと、例えばモータ10により駆動される流体ポンプ9のポンプ吐出圧力で油圧回路内の作動油がシリンダ下部室5aとシリンダ上部室5bとの間で移動することにより、シリンダ5内のピストン5cが全開位置から全閉位置までの蒸気タービン弁1の駆動範囲内で移動する。ピストン5cの移動によりシリンダ下部室5aの容積とシリンダ上部室5bの容積は共に変化するが、シリンダ下部室5aとシリンダ上部室5bとを合わせた容積は、ピストンロッド5dの一部およびピストン5cを収納するシリンダ5のシリンダ容積に相当し、不変である。
本実施形態によれば、作動油を回収したり供給したりするためにリザーバ(油タンク)を別途設置せずとも、油送系統7を通じてピストン5cの安定した動作を実現することができ、蒸気タービン弁1の安定した開閉動作を実現することができる。また、リセット動作を行う場合においても同様、安定したリセット動作を実現することができる。また、密閉された閉油圧回路(閉回路油圧回路)が形成されているため、作動油の酸化劣化や水分の混入による白濁に対し高い耐劣化性を発揮させることができる。また、密閉された閉油圧回路(閉回路油圧回路)が形成されているため、例えば装置を設置する際に、傾けた姿勢にしても作動油が漏洩することがない。
なお、図1の例では、開度検出器6が1台だけの場合が例示されているが、これに限定されるものではない。開度検出器6は蒸気タービン弁1の弁開度を検出するために重要な機器である。このため、弁開度検出の信頼性や精度を高めるために複数の開度検出器6を並列もしくは直列に配置してもよい。この場合、各開度検出器6からの開度信号はそれぞれ制御装置11へ伝達される。例えば2台の開度検出器6が設けられる場合、制御装置11は各々の開度信号のうち低い値を示す方、あるいは2つ値の平均値を、弁位置を示すものとして採用する。また、例えば3台の開度検出器6が設けられる場合、制御装置11は各々の開度信号のうち中間の値を示す方、あるいは3つ値の平均値を、弁位置を示すものとして採用する。
また、プラント内に同じ開度制御を必要とする複数の蒸気タービン弁1がある場合、これらをそれぞれ駆動する複数の蒸気タービン弁駆動装置は、1つの制御装置11を共有化して使用することができる。このようにすると、製作コストを低減できるだけでなく、制御の安定化を図ることができ、信頼性を向上させることができる。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図である。なお、以下では、図1と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、急速作動電磁弁8を複数個設けた点である。前述した第1の実施形態(図1参照)では、急速作動電磁弁8が1個だけの場合を例示したが、この第2の実施形態では、予備の急速作動電磁弁を含む複数個の急速作動電磁弁8を設置している。具体的には、急速作動電磁弁8を備えた非常用油路7bが複数本、例えば2本が並列に配置された構成となっている。
タービン保護回路装置から複数個の急速作動電磁弁8へ電気信号を伝える電気信号線の結線方式としては、2種類が挙げられる。一つは並列結線方式であり、タービン保護回路装置からの電気信号が複数個の急速作動電磁弁8に同時に印加されるように、複数個の急速作動電磁弁8を電気信号線で並列に接続する方式である。もう一つは直列結線方式であり、タービン保護回路装置からの電気信号が複数個の急速作動電磁弁8に順次印加されるように、複数個の急速作動電磁弁8を電気信号線で直列に接続する方式である。
並列結線方式では、複数個の急速作動電磁弁8に同時に電気信号を印加するようにしてもよいし、あるいは交互に電気信号を印加するようにしてもよいし、あるいは互いにわずかに時間差を設けて交互に印加するようにしてもよい。また、予め決めておいた1台目の急速作動電磁弁8のみに電気信号を印加するようにしてもよい。ただし、電気信号が印加されても動作しない急速作動電磁弁8がある場合、残りの急速作動電磁弁8に電気信号を印加するようにする。3台以上の急速作動電磁弁8がある形態では、故障等の不具合発生時に電気信号を印加する急速作動電磁弁8の順番を予め決めておいてもよい。
直列結線方式では、複数個の急速作動電磁弁8のそれぞれに順次電気信号が印加される構成であるため、例えば1台の急速作動電磁弁8が故障により動作しなくても、残りの急速作動電磁弁8が動作する。
また、急速作動電磁弁8に内蔵される駆動用コイルを複数個、例えば2個としてもよい。このように2個を内蔵する場合は、2個の駆動用コイルを直列に接続して直列結線にしてもよいし、個々の駆動用コイルに同一信号を同時に印加できるよう並列結線としてもよい。並列結線の場合は、複数個の駆動用コイルに同時に電気信号を印加するようにしてもよいし、あるいは交互に電気信号を印加するようにしてもよいし、あるいは互いにわずかに時間差を設けて交互に印加するようにしてもよい。また、予め決めておいた1つ目の駆動用コイルのみに電気信号を印加するようにしてもよい。ただし、電気信号が印加されても動作しない駆動用コイルがある場合、残りの駆動用コイルに電気信号を印加するようにする。
さらに、駆動用コイルの結線に関しては、通常運転中は常時励磁であることから、印加電圧値(または電流値)を100%とした場合、2つの駆動用コイルにそれぞれ例えば50%等分割した印加電圧値(または電流値)を与えることで、駆動用コイルの長寿命化を図ることができる。
本実施形態によれば、1つの急速作動電磁弁8もしくは駆動用コイルが故障しても、残りの急速作動電磁弁8もしくは駆動用コイルが動作するため、全閉動作などの信頼性を一層高めることができる。
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図である。なお、以下では、図1と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、シリンダ5内にピストン5cの閉鎖速度を制限させるダッシュポット機構12を設けた点である。また、ダッシュポット機構12の設置に伴い、開度検出器6の配置場所を変更している。具体的には、弁棒2とピストンロッド5dとを直結するカップリング3の間にプレート取り付け、当該プレートに検出用ロッドを取り付け、当該検出用ロッドに開度検出器6を取り付けている。
ダッシュポット機構12は、シリンダ5内の底部に配置されており、蒸気タービン弁1の位置制御を行うピストンロッド5dの端部と直結するダッシュポットピストン12aと、このダッシュポットピストン12aの進入を受け入れるダッシュポットピストン室12bとを含む。
ダッシュポットピストン12aが、全閉位置手前でダッシュポットピストン室12bに進入すると、ダッシュポットピストン12aの最小経路断面積(ダッシュポットピストン12aの外周側の作動油が充満する空間の断面積)は小さくなる。すなわち、ダッシュポットピストン12aとシリンダ5との間隙の断面積から、ダッシュポットピストン12aとダッシュポットピストン室12bとの間隙の断面積へと変わる。その際、ダッシュポットピストン室12b内の作動油の油圧によりダッシュポットピストン12aの移動に対する抵抗力が増大し、ピストン5cの閉鎖速度が低下する。
なお、ピストン5cの閉鎖速度を調整するために、例えばダッシュポットピストン12aに連通孔(オリフィス)を設けたり、ダッシュポットピストン12aの口径を変えたり、ダッシュポットピストン室12bの口径を変えたり、あるいはダッシュポットピストン室12bを構成する部材の一部に、ダッシュポットピストン室12b内の作動油をダッシュポットピストン室12bの上側へ逃がす油路を設けたりしてもよい。
また、ピストン5cの閉鎖速度の変化を緩慢にするために、例えばダッシュポットピストン室12bの口径が下方に向かうにつれて段階的にもしくは連続的に小さくなるように構成してもよい。
本実施形態によれば、シリンダ5やピストン5cの破損させることなく、蒸気タービン弁1を安全かつ確実に全閉させることができる。また、ダッシュポット機構12により全閉時にピストン5cの閉鎖速度を緩慢にすることができるため、前述したように全閉位置の手前で急速作動電磁弁8を励磁状態に切り替えるような操作を行う必要がない。
(第4の実施形態)
図5は、第4の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図である。なお、以下では、図1と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第4の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、前記蒸気タービン弁が所定の位置にあるときの状態を検出するリミットスイッチ装置13を設けた点である。なお、図5の例では、開度検出器6が図示されていないが、図1乃至図4の構成のように開度検出器6を設けてもよい。
リミットスイッチ装置13は、蒸気タービン弁1が全閉位置にあるときの状態を検出する全閉位置検出用リミットスイッチ13aと、蒸気タービン弁1が全開位置にあるときの状態を検出する全開位置検出用リミットスイッチ13bとを備えるほか、蒸気タービン弁1が特定の位置にあるときの状態を検出する特定位置検出用リミットスイッチ13cとを含む。特定位置検出用リミットスイッチ13cは、例えば蒸気タービン弁1を繰り返し動作させる試験・検査等において、弁棒止め部2aとその摺動部にスケールが堆積したり蒸気タービン弁1がスティックしたりすることを防ぐ観点から、全開に至る前の所定の位置を検出するために使用される。
また、リミットスイッチ装置13は、全閉位置検出用リミットスイッチ13a、全開位置検出用リミットスイッチ13b、および特定位置検出用リミットスイッチ13cがそれぞれ対応する位置を検出するために使用する全閉位置検出用部材13d、全開位置検出用部材13e、および特定位置検出用部材13fをさらに含む。
具体的には、ピストンロッド5dをシリンダ5から下方に貫通させ、貫通したピストンロッド5dの下端部に、全閉位置検出用リミットスイッチ13a、全開位置検出用リミットスイッチ13b、および特定位置検出用リミットスイッチ13cがそれぞれ対応する位置を検出できるように上述の全閉位置検出用部材13d、全開位置検出用部材13e、および特定位置検出用部材13fを配置する。
全閉位置検出用リミットスイッチ13aは、全閉位置検出用部材13dの上下移動に応じてオンオフし、全閉位置検出時にオン状態となり、全閉位置の検出を示す検出信号を図示しないシーケンス保護装置や制御装置11へ送る。
全開位置検出用リミットスイッチ13bは、全開位置検出用部材13eの上下移動に応じてオンオフし、全開位置検出時にオン状態となり、全開位置の検出を示す検出信号を図示しないシーケンス保護装置や制御装置11へ送る。
特定位置検出用リミットスイッチ13cは、特定位置検出用部材13fの上下移動に応じてオンオフし、特定位置検出時にオン状態となり、特定位置の検出を示す検出信号を図示しないシーケンス保護装置や制御装置11へ送る。
制御装置11は、全閉位置検出用リミットスイッチ13a、全開位置検出用リミットスイッチ13b、および特定位置検出用リミットスイッチ13cから送られる検出信号に応じて、蒸気タービン弁1の弁位置を認識したり、蒸気タービン弁1の弁位置を制御する制御信号をモータ10へ送ったりする。例えば、制御装置11は、例えば蒸気タービン弁1を繰り返し動作させる試験・検査等において、特定位置検出用リミットスイッチ13cから検出信号が送られてきた時には、それ以上の開度の増大を抑止する。これにより、弁棒止め部2aとその摺動部にスケールが堆積したり蒸気タービン弁1がスティックしたりすることを防ぐことができる。また、制御装置11は、非常時に、急速作動電磁弁8を通じて蒸気タービン弁1を全閉させる方向に作動油を急速に移動させ、全閉位置検出用リミットスイッチ13aから検出信号が送られてきた時には、蒸気タービン弁1が全閉位置に達したことを認識することができる。
なお、全閉位置検出用リミットスイッチ13a、全開位置検出用リミットスイッチ13b、および特定位置検出用リミットスイッチ13cのほかに、複数の弁位置を検出するために複数のリミットスイッチを設けてもよい。このようにすると、制御装置11は、蒸気タービン弁1の複数の状態をより詳細に認識することができ、より精度の高い制御を行うことができる。
本実施形態によれば、リミットスイッチ13を設けることにより、蒸気タービン弁1の各種の状態を把握することができるので、蒸気タービン弁1を状態に応じて適切な制御を行うことができる。
(第5の実施形態)
図6は、第5の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置に備えられるシリンダの一部の構成の例を示す図である。なお、以下では、図1と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第5の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、シリンダ5もしくは油送系統7に堆積する空気の除去を可能にする機構を設けた点である。
蒸気タービン弁駆動装置に作動油を初充填する際にはシリンダ5の最上位置部に空気溜まりが生じる可能性がある。また、経年的な作動油のリークにより油圧回路内の作動油量が減少するにつれ、油圧回路内の空気はピストン5cの繰返動作および時間経過により油路7a,7cあるいはシリンダ5とピストン5cとの間隙からシリンダ5の最上位置部に空気溜まりとして堆積する可能性がある。このような空気溜まりを除去できるようにするためには、例えばシリンダ5(もしくは油送系統7)の最上位置部に図6(a)に示す機構、もしくは図6(b)に示す機構を設ける。
図6(a)は、シリンダ5の最上位置部に、プラグ止めピン30をプラグ座33の開口部に挿入してO-リング31を介してボルト34で固定した機構を設ける例を示している。O-リング31を設けることにより、プラグ止めピン30とプラグ座33の間から作動油が漏洩することを防止することができる。
このような機構において、蒸気タービン弁駆動装置に作動油を初充填する際には、プラグ止めピン30を固定しているボルト34を外し、プラグ止めピン30を引き抜き、作動油を充填し、プラグ止めピン30を再挿入する。これにより、プラグ座33とプラグ止めピン30の間隙から油圧回路内の残留空気を短時間で簡単に除去できる。また、ピストン5cを繰返し駆動した後、定期的に上記と同様の作業を行うことにより、油圧回路内に堆積した残留空気を短時間で簡単に除去することができる。
一方、図6(b)のように、O-リング31の代わりにガスケット32を設けるようにしてもよい。この場合も、O-リング31の場合と同様、プラグ止めピン30とプラグ座33の間から作動油が漏洩することを防止することができるとともに、図6(a)の機構と同様の効果が得られる。
また、上述した機構に加えて、ピストン5cに対して図2で説明した連通孔7d(オリフィス)を設けるようにしてもよい。このようにすると、ピストン5cの下側に集まった気泡を上側に容易に逃がすことができ、シリンダ5最上位部へ気泡を容易に集めることができる。
また、上述した機構に加えて、シリンダ5や油送系統7の最上位値部に、空気抜き用の配管を取り付け、その先端をプラグ止めした機構を設けてもよい。このようにすれば、この配管を通じて作動油の充填および空気抜きの両方を容易に行える。
本実施形態によれば、油圧回路内の残留空気を短時間でかつ簡単に除去することができる。
(第6の実施形態)
図7は、第6の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図である。なお、以下では、図1と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第6の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、シリンダ5内の作動油に熱を与えるヒータ20を設けた点と、ヒータ20の熱を間接的にシリンダ5内の作動油に伝えるヒーティング室21を設けた点である。
寒冷地に設置したプラントの起動および運転に際しては、ヒーティングにより作動油の粘度が十分に低下する使用温度まで温度上昇させる必要があるが、バイパス絞り油路7aにより常時流れを形成でき、流体ポンプ9で常に一定の流量を吐出できることから、流体ポンプ9で作動油をある程度暖気することができる。しかしながら、寒冷地ではプラント起動前の作動油温度はかなり低いため、作動油の粘度が高く、流体ポンプ9の保護の観点からポンプを駆動することができない。そこで、起動前に暖気を行えるよう、シリンダ5外周面に設置したヒータ20(電熱線を含む)により作動油の粘性が十分に低下する使用温度までヒーティングする。
また、必ずしも設ける必要はないが、直接にシリンダ5内の作動油をヒーティングするのではなく間接的にヒーティングするヒーティング室21を設けてもよい。ヒーティング室21は、例えば脂肪酸エステル油を充満したものであり、ヒータ20の熱を脂肪酸エステル油を介して間接的にシリンダ5内の作動油に伝達する。ヒーティング室21は、高圧であるシリンダ5内に直接配置したものではないため、油漏れに対する心配がなく、信頼性を向上させることができる。
一方で、ヒーティング室21を設けずに、上述したヒータ20をシリンダ5の外周面に直接設置してもよく、また、流体ポンプ9近傍の配管に直接設置してもよい。このようにすると、伝熱の損失を抑えて効率を高めることができる。
なお、温暖地に配置されるプラントについては、モータ10にファンを設置してもよく、また、シリンダ5の外周面にファンを設置してもよい。
ところで、蒸気タービン弁駆動装置は、各蒸気タービン弁1に一体的に設置できるため、従来は必要とされていた長い給廃油配管、タンクが不要となり、かなりの小形化が可能となる。上述したヒータ20やヒーティング室21を設置した場合でも、従来よりも装置全体を小型化することが可能となる。
また、非常時に動作する急速作動電磁弁8が蒸気圧力に打ち勝つ十分な駆動力を発揮して優れた急閉特性を有するようにするため、油送系統7の作動油を高圧油圧とすることが望ましい。高圧油圧を適用することにより、シリンダ5の容量を少なくでき、更なる小形化が可能となり、ヒータ20やヒーティング室21によるヒーティングの効率を向上させることが可能となる。
なお、油送系統7は密閉された閉油圧回路が形成されており、作動油漏洩のリスクが極めて低いため、油送系統7の作動油を低圧油圧にして使用する場合は、可燃性作動油であるタービン油を使用してもよい。
本実施形態によれば、寒冷地など、気温が低い状況においても、起動前の作動油の粘性を十分に低下させることができ、プラントの安定した起動および運転を実現することができる。
(第7の実施形態)
図8は、第7の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図である。なお、以下では、図1と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第7の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、油送系統7が、流体ポンプ9をバイパスする2つの流路として、流量を制限しつつ作動油を一方向に通過させるバイパス絞り流路14aと、流量を制限しつつ作動油をバイパス絞り流路14aとは逆の方向に通過させるバイパス絞り流路14bとを備えている点である。
一般に、油圧回路においては、長期利用により発生するスラッジ(作動油の炭化物)が流体ポンプ及び電磁弁油路に入ることにより機器性能に大きな影響を与える。スラッジはフィルタの静電気による火花現象や流体ポンプの加圧過程の断熱圧縮、オリフィス等の圧力損失による放熱により作動油が炭化することで発生する。そこで、このようなスラッジを除去するため、本実施形態では、作動油の流れの向きが互いに異なるバイパス絞り油路14a,14bを設ける。バイパス絞り流路14a,14bは、それぞれフィルタ15a,15bを備えている。
フィルタ15a,15bは、メンテナンスを可能とするため、各フィルタの前後に止め弁16a,16bを備えている。さらに空気抜き用のエア抜き弁を備えれば、より安全に容易にメンテナンスを行うことができる。
本実施形態によれば、作動油の清浄度を常に高く維持することができるため、高い清浄度の維持が必要な燐酸エステル油を作動油として使用することができる。
(第8の実施形態)
図9は、第8の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図である。なお、以下では、図1と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第8の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、急速作動電磁弁8を有する非常用油路7bが設置されていない点である。
蒸気タービン弁1の種類によっては、非常時の急閉動作時に急速作動電磁弁8による高速な閉動作を必要とせず、流体ポンプ9の駆動による閉弁速度で十分なものがある。そのような場合は、急速作動電磁弁8を有する非常用油路7bが設置されていない蒸気タービン弁駆動装置を採用してもよい。
このような構成において、制御装置11がモータ10に全閉指令を発すると、モータ10は流体ポンプ9を全閉位置まで全閉させ、閉方向に付勢するスプリング機構4により全閉状態を実現する。リセット動作時は、図示しない保護回路からのリセット指令により、モータ10が駆動許可状態にされる。
本実施形態によれば、急速作動電磁弁8を備えた非常用油路7bを有さない簡易な構成の蒸気タービン弁駆動装置を実現することができる。
(第9の実施形態)
図10は、第9の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図である。なお、以下では、図1と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第9の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、バイパス絞り流路7aが設置されていない点である。
バイパス絞り流路7aが無くても流体ポンプ9の駆動で所望の流量の作動油の流れを形成できるのであれば、バイパス絞り流路7aの設置を省略することが可能である。
本実施形態によれば、バイパス絞り流路7aを有さない簡易な構成の蒸気タービン弁駆動装置を実現することができる。
(第10の実施形態)
図11は、第10の実施形態に係る蒸気タービン弁駆動装置の構成の例を示す図である。なお、以下では、図1と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第10の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、スプリング機構4が設置されていない点である。
例えば加減弁のように、当該加減弁の上流に必ず止め弁が備えられているものは、全閉状態を維持する必要がない。その場合、蒸気力により全閉方向への閉鎖力が働くため、スプリング機構で全閉を保持する必要がない。そのため、蒸気タービン弁駆動装置からスプリング機構を除することができる。
シリンダ下部室5aとシリンダ上部室5bとの圧力差は、図示しない圧力計で当該圧力差を計測しつつモータ10の駆動軸をトルク制御することによって適正に調整できる。これにより、スプリング機構4が無くても、弁位置制御を円滑に行うことができる。
また、他の例として、止め弁をレバー機構で加減弁と連動動作させる形態があるが、その場合においても加減弁ではスプリング機構を除することができる。
本実施形態によれば、スプリング機構4を有さない簡易な構成の蒸気タービン弁駆動装置を実現することができる。
以上詳述したように、各実施形態によれば、簡易な構成で安定した動作を実現できる蒸気タービン弁駆動装置を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…蒸気タービン弁、1a…弁体、1b…弁座、1c…バックシート、2…弁棒、2a…弁棒止め部、3…カップリング、4…スプリング機構、4a…スプリングハウジング、5…シリンダ、5a…シリンダ下部室、5b…シリンダ上部室、5c…ピストン、5d…ピストンロッド、6…開度検出器、7…油送系統、7a…バイパス絞り油路、7b…非常用油路、7c…流体ポンプ油路、7d…ピストン連通孔、7’…非常用油路、8…急速作動電磁弁、9…流体ポンプ、10…モータ、11…制御装置、12a…ダッシュポットピストン、12b…ダッシュポットピストン室、12…ダッシュポット機構、13…リミットスイッチ装置、13a…全閉位置検出用リミットスイッチ、13b…全開位置検出用リミットスイッチ、13c…特定位置検出用リミットスイッチ、13d…全閉位置検出用部材、13e…全開位置検出用部材、13f…特定位置検出用部材、14a,14b…バイパス絞り油路、15a,15b…フィルタ、16a,16b…止め弁、20…ヒータ、21…ヒーティング室、30…プラグ止めピン、31…O−リング、32…ガスケット、33…プラグ座、34…ボルト、35…ナット。

Claims (10)

  1. 蒸気タービン弁を駆動する蒸気タービン弁駆動装置であって、
    前記蒸気タービン弁の開閉動作を行うピストンを収納し、当該ピストンを挟んで両側に作動油が充満する第1の室および第2の室を有するシリンダと、
    前記第1の室と前記第2の室とを繋ぐ密閉された閉油圧回路を構成する油送系統であって、当該密閉された閉油圧回路内にて作動油の双方向の移動を可能とする流体ポンプを有する流体ポンプ油路と、非常時に当該密閉された閉油圧回路内にて電磁弁の開放により前記第1の室の作動油を前記第2の室に移動させる非常用油路とを含む、油送系統と
    を具備することを特徴とする蒸気タービン弁駆動装置。
  2. 前記蒸気タービン弁を閉鎖する方向のばね力を前記蒸気タービン弁へ付与するスプリング機構と、
    前記蒸気タービン弁の弁位置を制御すべく前記油送系統に指令を送る制御装置と、
    をさらに備え、
    前記第1の室は、前記ピストンを挟んで前記スプリング機構による前記ばね力が前記ピストンに付与される側に位置し、
    前記第2の室は、前記ピストンを挟んで前記第1の室と対向する側に位置し、
    前記非常時には、前記制御装置による指令に基づいて、前記電磁弁を開放させることで前記非常用油路を開いた状態にし、前記スプリング機構からの前記ばね力により前記第1の室から前記第2の室に作動油を移動させて前記蒸気タービン弁の弁位置を閉位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の蒸気タービン弁駆動装置。
  3. 前記油送系統は、前記流体ポンプをバイパスする流路として、流量を制限しつつ作動油を双方向に通過させるバイパス絞り流路を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気タービン弁駆動装置。
  4. 前記ピストンは、流量を制限しつつ作動油を双方向に通過させるピストン連通孔を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気タービン弁駆動装置。
  5. 前記非常用油路は、前記電磁弁を複数備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蒸気タービン弁駆動装置。
  6. 前記電磁弁は、複数の駆動用コイルを備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蒸気タービン弁駆動装置。
  7. 前記シリンダは、その底部に前記ピストンの閉鎖速度を低下させるダッシュポット機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蒸気タービン弁駆動装置。
  8. 前記シリンダもしくは前記油送系統に堆積する空気の除去を可能にする機構を更に具備することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蒸気タービン弁駆動装置。
  9. 前記シリンダ内の作動油に熱を与えるヒータを更に具備することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の蒸気タービン弁駆動装置。
  10. 前記油送系統は、前記流体ポンプをバイパスする2つの流路として、流量を制限しつつ作動油を一方向に通過させる第1のバイパス絞り流路と、流量を制限しつつ作動油を前記第1のバイパス絞り流路とは逆の方向に通過させる第2のバイパス絞り流路とを備えていることを特徴とする請求項1、2、乃至9のいずれか1項に記載の蒸気タービン弁駆動装置。
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