JP6637557B1 - ドアの開き保持構造及びドアのストッパー - Google Patents
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Abstract
Description
なお、ドアは、大別して、ドア支持体に蝶番などを介して取り付けられ且つ回転させて開閉するタイプ(いわゆる、開き戸)、ドア支持体に車輪を介して取り付けられ且つスライドさせて開閉するタイプ(いわゆる、引き戸)がある。
引き戸タイプのドアについて、それを開いた状態を保持するためのストッパーが知られている。
例えば、特許文献1には、ドアの下部に取り付けた取付基板と、この取付基板に上下揺動自在に枢着され且つ床面に当接する当接部を有する突っ張り脚と、を備えたドアストッパーが開示されている。
また、特許文献2には、可動体を誘導する誘導部と、可動体を保持する保持部と、前記誘導部と前記保持部との間を移動する可動体に設けられる回転機構と、を備え、前記回転機構は、前記可動体が前記誘導部に誘導されるときに突出位置の端部を退避位置へ制動しながら付勢により変位させ、前記可動体が前記誘導部から前記保持部へ移動するときに前記退避位置の端部を前記突出位置へ変位させる可動体保持装置が開示されている。
特許文献2の可動体保持装置は、構造が複雑である上、開状態のドアを壁面に沿った位置でしか保持できない。
本発明のドアのストッパーは、ドア支持体及びドアパネルのいずれか一方に枢着される枢着部を有するアーム部材と、ドア支持体及びドアパネルの他方に固定されるレール部材と、調整部材と、を有し、前記レール部材には、長状案内溝が形成されており、前記アーム部材には、その枢着部の反対側に、前記長状案内溝に遊びを有して挿入されるピン部が突設されており、前記長状案内溝の先端部と後端部の間には、前記ピン部を係止する係止段部が形成されており、前記調整部材が、ドアパネルを開方向へ回転させたときに前記ピン部が前記係止段部に係止されることを許容し且つドアパネルを閉方向に回転させたときに前記ピン部が前記係止段部に係止されることを防止する部材であって、前記長状案内溝の長手方向に移動可能な本体と、前記本体に形成され且つ前記ピン部が挿入される孔部と、を有し、前記孔部が、先端部側に配置され、且つ前記ピン部を長状案内溝の中心線上に維持する規制部と、後端部側に配置され且つ前記ピン部を係止段部側へ移動することを許容する許容部と、を有する。
なお、本明細書において、用語の前に、「第1」や「第2」などを付す場合があるが、この第1などは、用語を区別するために付記されたものであり、用語の優劣や順序など特別な意味を有さない。「先端部」と「後端部」は、長手方向において対向する端部をいい、「先端側」は、ドアパネルに組み込まれた状態で、ドアパネルの第1軸部とは反対側であり、「後端側」は、ドアパネルに組み込まれた状態で、ドアパネルの第1軸部側である。「下限値X〜上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値〜任意の上限値」を設定できるものとする。
図1及び図2を参照して、本発明のドアの開き保持構造10は、ドア支持体1と、前記ドア支持体1に枢着されたドアパネル2と、前記ドアパネル2の開状態を保持するストッパー3と、を有する。
前記ストッパー3は、アーム部材4と、長状案内溝51を有するレール部材5と、を有し、好ましくは調整部材6及び付勢部材7をさらに有する。
本実施形態では、アーム部材4が、前記ドア支持体1に枢着され、レール部材5が、前記ドアパネル2に設けられている。
以下、ドア支持体1、ドアパネル2、アーム部材4、レール部材5、調整部材6及び付勢部材7をそれぞれ説明した後、開き保持構造10及びストッパー3について具体的に説明する。
ドアパネル2は、いわゆる開き戸である。
ドア支持体1は、ドアパネル2を回転可能に支持するものである。
図示例では、ドア支持体1として、正面視矩形状のドア枠を例示している。なお、ドア支持体1は、ドアパネル2を回転可能に支持できるものであればドア枠に限られず、例えば、壁面、天井面、ベランダ柵、支柱などであってもよい。
図示例のようなドア枠は、通常、その枠内にドアパネル2が嵌まり込むように、縦方向に一対の上桟11及び下桟12と、横方向に一対の右縦桟13及び左縦桟14と、からなる。
ドアパネル2は、例えば、左縦桟14の縦方向に配置された一対の蝶番15を介して取り付けられている。前記一対の蝶番15は、それぞれ縦方向に平行に延びる軸をそれぞれ有する。一対の蝶番15の軸を結ぶと、1つの軸を成している。ドアパネル2は、この1つの軸の周りに回転可能にドア枠に取付けられている。以下、ドアパネル2の回転中心となる前記蝶番15の軸を、第1軸部J1という。
アーム部材4は、図3に示すように、長状のアーム本体41と、アーム本体41から突設されたピン部42と、を有する。
アーム部材4は、例えば、細長い板状体からなる。アーム部材4は、例えば、平面視で細長い略長方形状であり、その長さは、ドアパネル2の横方向長さ(正面から見たドアパネル2の横幅)よりも小さく、例えば、ドアパネル2の横方向長さの1/5倍〜2/3倍である。アーム部材4の幅は、特に限定されず、ドアパネル2の厚みよりも大きい若しくは小さくてもよく、又は、ドアパネル2の厚みと略同じでもよい。ドアパネル2の上端面から側方にはみ出さなくなることから、アーム部材4の幅はドアパネル2の厚みよりもやや小さいことが好ましい。
本実施形態では、アーム部材4の長手方向後端部寄りに、枢着部として挿入孔43が設けられ、好ましくは、アーム部材4の長手方向後端部に、前記挿入孔43(枢着部)が設けられている。
ピン部42は、長状案内溝51に遊びを有して挿入される遊挿部421を有し、好ましくは、前記遊挿部421の端部に設けられた頭部422をさらに有する。遊挿部421は、例えば、円柱状であり、頭部422は、遊挿部421よりも大径の円柱状である。ただし、遊挿部421及び頭部422は、それぞれ独立して、円柱状に限られず、四角柱状などであってもよい。頭部422は、ピン部42が長状案内溝51から不用意に外れることを防止する機能を有する。なお、頭部422は、必要に応じて省略してもよい。
ピン部42は、アーム部材4に固着されている。ピン部42は、アーム部材4から位置ずれしないように設けられていればよいので、例えば、ピン部42自体が自転可能な状態でアーム部材4に取り付けられていてもよい。
アーム部材4の材質は、特に限定されず、通常、金属製又は硬質プラスチック製の板体が用いられる。
付勢部材7としては、例えば、図4に示すように、バネが用いられる。バネとしては、ねじりコイルバネや圧縮コイルバネなどのコイルバネ類、板バネ類などが挙げられる。
図示例では、付勢部材7としてねじりコイルバネが用いられている。図示例では、一対のコイル部71とそのコイル部71からそれぞれ延設された一対の腕部72とからなる、ねじりコイルバネが用いられている。
レール部材5は、図5に示すように、ピン部42の移動通路となる長状案内溝51を有する。前記長状案内溝51の一部分には、前記ピン部42を係止する係止段部52が形成されている。係止段部52は、少なくとも1箇所形成され、好ましくは2箇所以上形成される。
レール部材5は、例えば、長状の板体53と、その板体53の面内に形成された長状案内溝51及び係止段部52と、を有する。
長状の板体53は、例えば、平面視で細長い略長方形状であり、その長さは、ドアパネル2の横方向長さ(正面から見たドアパネル2の横幅)よりも小さくてもよく、或いは、同じでもよい。図示例では、長状の板体53は、アーム部材4よりも短い。長状の板体53の幅は、特に限定されず、ドアパネル2の厚みよりも大きい若しくは小さくてもよく、又は、ドアパネル2の厚みと略同じでもよい。ドアパネル2の上端面から側方にはみ出さなくなることから、板体53の幅はドアパネル2の厚みよりもやや小さいことが好ましい。
板体53(レール部材5)の材質は、特に限定されず、通常、金属製又は硬質プラスチック製の板体が用いられる。
長状案内溝51の長手方向の長さは、適宜設定できるが、後述するように、ドアパネル2を全閉状態から全開状態に開閉できるように十分に長く設定することが好ましい。この長状案内溝51の長さは、アーム部材4の長さやピン部42の位置などに応じて可変であるため、それらを含めて設計すればよい。
係止段部52は、少なくとも1箇所設けられていればよいが、好ましくは、長状案内溝51の長手方向に間隔を開けて2箇所以上設けられる。
図示例では、長状案内溝51の両側方にそれぞれ、3つの係止段部52が長手方向に間隔を開けて形成されている。以下、説明上、3つの係止段部52を区別する必要がある場合に、長状案内溝51の先端部から後端部に向かって順に、第1係止段部52、第2係止段部52、第3係止段部52という場合がある。
係止段部52は、平面視で、内側壁に対して略鈍角状に連成された非係止側壁52aと、内側壁に対して略直角状に連成された係止側壁52bと、を有する。好ましくは、非係止側壁52aは、長状案内溝51の内側壁53a,53bに連続してなだらかな円弧を描いた略鈍角状に形成されている。前記非係止側壁52aは、係止側壁52bよりも後端側に形成されている。係止段部52に嵌まり込んだピン部42は、前記係止側壁52bに係止されて先端側に動かなくなるが、非係止側壁52aに係止されないので、後端側に移動可能である。
図示例では、第1係止段部52は、ドアパネル2を約30度開いた状態で保持できる位置に形成され、第2係止段部52は、ドアパネル2を約45度開いた状態で保持できる位置に形成され、第3係止段部52は、ドアパネル2を約60度開いた状態で保持できる位置に形成されている。
後述するように、後方領域の長さを適宜設定することにより、ドアパネル2の開き度合いを設定できる。
また、板体53の先端部及び後端部には、レール部材5をドアパネル2に取り付ける固定具を挿入するための挿入孔55が設けられている。
調整部材6は、前記ドアパネル2を開方向へ回転させたときに前記ピン部42が前記係止段部52に係止されることを許容し且つ前記ドアパネル2を閉方向に回転させたときに前記ピン部42が前記係止段部52に係止されることを防止する部材である。
調整部材6は、図6に示すように、レール部材5に組み込まれた状態で長状案内溝51の長手方向に移動可能な本体61と、前記本体61に形成され且つ前記ピン部42が挿入される孔部62と、を有する。前記孔部62は、閉鎖孔であるが、一部に開放箇所を有する非閉鎖孔であってもよい。孔部62が非閉鎖孔である場合、その開放箇所は、挿入されたピン部42が孔部62内から抜け出ることがない程度の大きさ及び/又は形状にすることが好ましい。
本体61の面内に形成された孔部62は、その孔部62に挿入されるピン部42を長状案内溝51の中心線上に維持する規制部621と、前記ピン部42を係止段部52側へ移動することを許容する許容部622と、を有する。規制部621と許容部622は連成され、規制部621と許容部622とから1つの孔部62が構成されている。前記規制部621は、本体61の先端側に配置され、前記許容部622は、本体61の後端側に配置されている。
本体61(調整部材6)の材質は、特に限定されず、通常、金属製又は硬質プラスチック製の板体が用いられる。
規制部621は、ピン部42が規制部621から許容部622(レール部材5の長手方向に対応する方向)へと移動できるように、ピン部42の遊挿部421の直径よりもやや大きな形状に形成されている。後述するように調整部材6がレール部材5に組み込まれた状態で、規制部621の中心点が長状案内溝51の中心線上に略一致するように、規制部621は配置されている。換言すると、調整部材6がレール部材5に組み込まれた状態で、規制部621は、長状案内溝51のみが規制部621から覗き出るような形状及び配置とされている。
許容部622は、ピン部42よりも十分に大きい形状に形成されている。例えば、許容部622の幅は、長状案内溝51の幅方向において向かい合った係止段部52の間隔と略同じ又はそれよりも少し大きい。後述するように調整部材6がレール部材5に組み込まれた状態で、許容部622は、長状案内溝51及び係止段部52が許容部622から覗き出るような形状に形成されている。
本発明のストッパー3は、上記アーム部材4、付勢部材7、レール部材5及び調整部材6を組み込むことによって構成される。また、本発明のドアの開き保持構造10は、前記ストッパー3をドア支持体1及びドアパネル2に組み込むことによって構成される。
図7は、ドアの開き保持構造10の正面を拡大した図(図1の、ドアパネル2の上端面付近を拡大した図)であり、図8は、図7をさらに拡大した図であり、図9は、図7の矢印D方向(先端側)から見た拡大図である。なお、図9では、紙面手前のスペーサーと、紙面奥側のワッシャーを図示していない。
また、図10は、ストッパー3を含む開き保持構造10を分解し、下側から見た斜視図であり、図11は、その上側から見た斜視図である。なお、図11は、ドアパネル2とレール部材5の分解図であり、ドア支持体1、アーム部材4、付勢部材7及び調整部材6を図示していない。
例えば、一対のガイド壁81,81を有する略コの字状のチャンネル鋼材を、ドアパネル2の上端面に固着することにより、ドアパネル2の上方に一対のガイド壁81,81が立ち上げられている。
一対のガイド壁81,81の高さ(立ち上げ高さ)は、後述するレール部材5及び付勢部材7付きアーム部材4が組み込まれた状態で、付勢部材7の腕部72がガイド壁81に当たり且つアーム部材4がガイド壁81に干渉しないように設定される。
なお、軸部材がアーム部材4から突出する場合には、その突出した軸部材がガイド壁81に干渉しないように、ガイド壁81の一部分に切り欠き部82が形成されている。
また、アーム部材4のピン部42の頭部422が、レール部材5とドアパネル2の上端面の間を移動できるようにするため、レール部材5とドアパネル2の上端面の間には、前記頭部422の肉厚よりも大きい隙間が確保されている。この隙間を確保するため、レール部材5とドアパネル2の間にはスペーサー84が介在されている。スペーサー84は、レール部材5の先端部及び後端部にそれぞれ介在され、例えば、前記固定具83を介してレール部材5とドアパネル2の上端面の間に固定されている。
付勢部材7が取り付けられたアーム部材4のピン部42は、調整部材6の孔部62及び長状案内溝51に挿入されている。ピン部42には抜け止め用の頭部422が設けられているので、組み込み時には、調整部材6の許容部622から長状案内溝51の差し入れ口54を通じてピン部42の頭部422を挿入する。挿入されたピン部42の頭部422は、レール部材5とドアパネル2の隙間に位置し、ピン部42の遊挿部421が、調整部材6の孔部62及びレール部材5の長状案内溝51に遊びを有して挿入される。
ピン部42が長状案内溝51に挿入され且つ枢着部がドア枠1に枢着されたアーム部材4は、ガイド壁81とドア枠1の上面の間に位置している。また、アーム部材4から突出された軸部材86の周辺は、ガイド壁81の切り欠き部82に位置している。従って、アーム部材4は、ガイド壁81に干渉することなく、軸部材86の軸(第2軸部J2)の周りに回転するようになる。なお、アーム部材4に取り付けられた付勢部材7の腕部72は、ガイド壁81の内側に位置している。
上記ストッパー3がドア支持体1とドアパネル2の間に具備された開き保持構造10は、ドアパネル2の開状態を保持できる。例えば、本発明の開き保持構造10は、次のような方法で、開いたドアパネル2の状態を保持でき、さらに、開状態に保持されたドアパネル2を再び閉じることができる。
図12は、ドアパネル2を開いたときの状態を上方から見た平面図である。
図12において、(1)は、ドアパネル2の全閉状態(ドアパネル2の全体がドア枠1に嵌まっている状態)を示し、(2)は、ドアパネル2を第1位置まで開いたときの状態(第1開状態)を示し、(3)は、ドアパネル2を第2位置まで開いた状態(第2開状態)を示し、(4)は、ドアパネル2を第3位置まで開いた状態(第3開状態)を示し、(5)は、ドアパネル2を全開した全開状態を示す。図13は、全閉状態のときのストッパー3周辺を拡大した平面図であり、図14は、第2開状態のときのストッパー3周辺を拡大した平面図であり、図15は、全開状態のときのストッパー3周辺を拡大した平面図である。
また、アーム部材4のピン部42の遊挿部421は、調整部材6の規制部621及び長状案内溝51の先端部に位置している。
ピン部42の遊挿部421が第1係止段部52に嵌まり込むことにより、ピン部42が第1係止段部52に係止される。係止段部52は、レール部材5の後端側に非係止側壁52aを有し、先端側に係止側壁52bを有するので、第1係止段部52に係止されたピン部42は、後端側へ移動することが許容された状態で、先端側へ移動することができなくなる。
ピン部42が第1係止段部52に係止されて先端側へ移動不能になることにより、アーム部材4が突っ張り棒の役割を果たし、ドアパネル2の開状態が保持される。係止段部52にピン部42が一旦係止されると、アーム部材4が開状態のドアパネル2とドア支持体1の間で強固に突っ張るので、人力でドアパネル2を閉めることは非常に困難である。図12(2)の第1開状態では、ドアパネル2が約30度に開いた状態で保持されている。
ピン部42が第1係止段部52と第2係止段部52の間の第1内側壁53aに接しながら移動し、図12(3)及び図14に示すように、ピン部42が第2係止段部52に至ると、遊挿部421が第2係止段部52に嵌まり込む。第2係止段部52に係止されたピン部42は、第1係止段部52と同様に、後端部側へ移動することが許容された状態で、先端部側へ移動することができなくなるので、ドアパネル2の開状態が保持される。図12(3)の第2開状態では、ドアパネル2が約45度に開いた状態で保持されている。
図示例では、レール部材5に3箇所の係止段部52が設けられているので、ドアパネル2を3段階で保持できるが、係止段部52を4箇所以上に設けてよく、また、係止段部52を1箇所又は2箇所に設けてもよい。
具体的には、第3開状態に保持されたドアパネル2をさらに開方向へ回転させると、ピン部42が第3係止段部52から離脱し、長状案内溝51の後方領域に至るようになる。後方領域は、係止段部52を有さず、長状案内溝51本来の直線状の溝のみからなるので、ピン部42は、長状案内溝51の中心線上に沿って移動する。ピン部42が後端部側に移動するときには、調整部材6の許容部622にピン部42が存在するので、ピン部42は、何ら支障なく長状案内溝51の中心線上に沿って後端部側へと移動できる。
また、調整部材6を有するストッパー3を用いた場合には、開状態に保持されたドアパネル2を、容易に元の閉状態へ閉じることができる。特に、調整部材6は、極めて簡易な構造であるにも拘わらず、その効果は絶大である。
第1側に開閉するドアパネル2に対しては、少なくとも第1側に係止段部52が設けられているレール部材5を用いればよく、第2側に開閉するドアパネル2に対しては、少なくとも第2側に係止段部52が設けられているレール部材5を用いればよい。
例えば、非常口に用いられるドアパネル2やベランダの仕切りとして用いられるドアパネル2などは、通常、開けられることはない。換言すると、これらのドアパネル2は、非常時に開けられる又は悪戯などによる異常時に開けられる。このようなドアパネル2に、調整部材6を有さないストッパー3を具備させると、上述のように、一旦開いたドアパネル2を人力で戻すことが非常に困難である。このため、何者かが、非常時又は異常時にドアパネル2を開けたことを容易に判別できる。
その場合、ドライバーやペンチなどの一般工具を用いて、係止段部52のピン部42に対する係止を解除できるが、例えば、図19に示すような解除部材9を用いることにより、係止段部52の係止を簡単に解除できる。かかる解除部材9は、図19に示すように、調整部材6と同様に一対のガイド壁81,81の間に嵌め入れ可能で且つレール部材5上を移動させることができる本体91と、前記本体91に形成され且つ前記ピン部42が挿入される開放孔部92と、を有する。前記開放孔部92は、幅方向中央部に形成され且つピン部42がレール部材5の幅方向に動くことを防止する規制部921と、この規制部921に連成され且つ長手方向後端側に向かうに従って次第に広がった一対のテーパ部922a,922aを有する受入れ部922と、を有する。
かかる解除部材9を、図20に示すように、先端側からレール部材5上に載せ、長手方向後端側にレール部材5上をスライドさせて係止段部52に係止されているピン部42へと押し込むことにより、ピン部42の遊挿部421がテーパ部922aの傾斜に従い係止段部52から外れ始め、さらに、解除部材9を押し込むことにより、ピン部42の遊挿部421が解除部材9の規制部921に位置するようになる。解除部材9の規制部921にピン部42が保持されることにより、上記調整部材6の作用と同様に、ピン部42が係止段部52に係止されることがなく、ドアパネル2を全閉状態に閉じることができる。
なお、図20では、便宜上、図14の第2開状態のときの解除を例に取って示している。
上記第1実施形態では、ドアパネル2にレール部材5を固定し且つドア支持体1にアーム部材4を枢着しているが、例えば、図21に示すように、ドアパネル2の上端面にアーム部材4を枢着し且つドア支持体1にレール部材5を固定してもよい。なお、レール部材5は、長状案内溝51の長手方向をドア支持体1の横方向に平行にして固定される。
かかる開き保持構造10は、レール部材5とアーム部材4が上記第1実施形態とは天地逆向きになっただけである。すなわち、第2実施形態の開き保持構造10は、ドア支持体1、ドアパネル2及びストッパー3を有し、前記ストッパー3が、ドアパネル2に枢着され且つ第1軸部J1と平行な第2軸部J2の周りに回転可能なアーム部材4と、ドア支持体1の横方向に延びる長状案内溝51を有するレール部材5と、を有し、アーム部材4には、長状案内溝51に挿入されたピン部42が突設されており、前記ドアパネル2の開方向への回転に従動して、前記ピン部42が前記長状案内溝51の長手方向先端側から後端側へ移動すると共に前記アーム部材4が第2軸部J2を中心に回転し、長状案内溝51の先端部と後端部の間には、前記ピン部42を係止する係止段部52が形成されている。
第2実施形態の開き保持構造10の動作は、第1実施形態と同様であるため、その動作の説明は省略する。
上記第1及び第2実施形態において、係止段部52は、平面視で、長状案内溝51の内側壁53a,53bに対して略鈍角状に凹んだ非係止側壁52aと、内側壁53a,53bに対して略直角状に凹んだ係止側壁52bと、を有するが、例えば、図22に示すように、係止側壁52bが、平面視で、長状案内溝51の内側壁53a,53bに対して略鋭角状に凹んだ形状に形成されていてもよい。また、係止側壁52bは、ピン部42を係止できればよいので、上記のような略直角状や略鋭角状以外に形成することも可能である。
上記実施形態では、アーム部材4は、ドアパネル2が全閉状態のときのドアパネル2の上方におけるドア支持体1に枢着されているが、アーム部材4は、例えば、ドアパネル2よりも第1側又は第2側に位置ずれして枢着されていてもよい。また、レール部材5は、ドアパネル2の上端面に固定されているが、例えば、ドアパネル2の上方部から第1側又は第2側に出張るようにレール部材5が固定されていてもよい。
その他、上記様々な実施形態から選ばれる2つ以上の構成を適宜組み合わせてもよく、或いは、上記様々な実施形態から選ばれる1つ又は2つ以上の構成を、それ以外の実施形態に置換してもよい。
1 ドア支持体
2 ドアパネル
3 ストッパー
4 アーム部材
42 ピン部
5 レール部材
51 長状案内溝
52 係止段部
6 調整部材
62 孔部
621 規制部
622 許容部
7 付勢部材
J1 第1軸部
J2 第2軸部
Claims (4)
- ドア支持体と、前記ドア支持体に枢着され且つ第1軸部の周りに回転可能なドアパネルと、前記ドアパネルの開状態を保持するストッパーと、を有し、
前記ストッパーが、前記ドア支持体に枢着され且つ前記第1軸部と平行な第2軸部の周りに回転可能なアーム部材と、前記ドアパネルの横方向に延びる長状案内溝を有するレール部材と、調整部材と、を有し、
前記アーム部材の前記第2軸部の反対側には、前記長状案内溝に挿入されたピン部が突設されており、
前記ドアパネルの開方向への回転に従動して、前記ピン部が前記長状案内溝の長手方向に移動すると共に前記アーム部材が第2軸部を中心に回転し、
前記長状案内溝の先端部と後端部の間には、前記ピン部を係止する係止段部が形成されており、
前記調整部材が、前記ドアパネルを開方向へ回転させたときに前記ピン部が前記係止段部に係止されることを許容し且つ前記ドアパネルを閉方向に回転させたときに前記ピン部が前記係止段部に係止されることを防止する部材であって、前記長状案内溝の長手方向に移動可能な本体と、前記本体に形成され且つ前記ピン部が挿入される孔部と、を有し、
前記孔部が、先端部側に配置され、且つ前記ピン部を長状案内溝の中心線上に維持する規制部と、後端部側に配置され且つ前記ピン部を係止段部側へ移動することを許容する許容部と、を有する、ドアの開き保持構造。 - ドア支持体と、前記ドア支持体に枢着され且つ第1軸部の周りに回転可能なドアパネルと、前記ドアパネルの開状態を保持するストッパーと、を有し、
前記ストッパーが、前記ドアパネルに枢着され且つ前記第1軸部と平行な第2軸部の周りに回転可能なアーム部材と、前記ドア支持体の横方向に延びる長状案内溝を有するレール部材と、調整部材と、を有し、
前記アーム部材の前記第1軸部の反対側には、前記長状案内溝に挿入されたピン部が突設されており、
前記ドアパネルの開方向への回転に従動して、前記ピン部が前記長状案内溝の長手方向先端部側から後端部側へ移動すると共に前記アーム部材が第2軸部を中心に回転し、
前記長状案内溝の先端部と後端部の間には、前記ピン部を係止する係止段部が形成されており、
前記調整部材が、前記ドアパネルを開方向へ回転させたときに前記ピン部が前記係止段部に係止されることを許容し且つ前記ドアパネルを閉方向に回転させたときに前記ピン部が前記係止段部に係止されることを防止する部材であって、前記長状案内溝の長手方向に移動可能な本体と、前記本体に形成され且つ前記ピン部が挿入される孔部と、を有し、
前記孔部が、先端部側に配置され、且つ前記ピン部を長状案内溝の中心線上に維持する規制部と、後端部側に配置され且つ前記ピン部を係止段部側へ移動することを許容する許容部と、を有する、ドアの開き保持構造。 - 前記ストッパーが、前記ピン部を前記係止段部側へと付勢する付勢部材をさらに有する、請求項1又は2に記載のドアの開き保持構造。
- ドア支持体及びドアパネルのいずれか一方に枢着される枢着部を有するアーム部材と、
ドア支持体及びドアパネルの他方に固定されるレール部材と、調整部材と、を有し、
前記レール部材には、長状案内溝が形成されており、
前記アーム部材には、その枢着部の反対側に、前記長状案内溝に遊びを有して挿入されるピン部が突設されており、
前記長状案内溝の先端部と後端部の間には、前記ピン部を係止する係止段部が形成されており、
前記調整部材が、ドアパネルを開方向へ回転させたときに前記ピン部が前記係止段部に係止されることを許容し且つドアパネルを閉方向に回転させたときに前記ピン部が前記係止段部に係止されることを防止する部材であって、前記長状案内溝の長手方向に移動可能な本体と、前記本体に形成され且つ前記ピン部が挿入される孔部と、を有し、
前記孔部が、先端部側に配置され、且つ前記ピン部を長状案内溝の中心線上に維持する規制部と、後端部側に配置され且つ前記ピン部を係止段部側へ移動することを許容する許容部と、を有する、ドアのストッパー。
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