JP6634797B2 - 開閉部材制御装置 - Google Patents
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Description
よって、正確な挟み込み及び巻き込みを検知するために、駆動源起動時において、駆動源の回転が安定するまでは、挟み込み及び巻き込みの検知を行わない初動マスク期間が設定されている(例えば、特許文献1参照)。
当該技術では、モータ起動時からのモータ回転数変化におけるピークに着目し、起動キャンセル期間(初動マスク期間)が設定される。
つまり、ピークが検出されたときには、モータ回転数の低下の割合を随時計測して、起動時からモータ回転数の低下の割合が最大となる時点までの時間Taを計測し、この時間Taにドアの振動周期の所定倍時間Tbを加算することにより、起動キャンセル期間(初動マスク期間)を設定している。
これにより、ウインドウの建て付け精度が悪く、ウインドウが多方向に搖動して、ウインドウと駆動系との間にクリアランスができ、モータが無負荷に近い状態で高速回転する状態となり、モータ回転数のピークが複数になるような場合においても、適切なキャンセル期間(マスク期間)を設定することができる。
このような状態は、例えば、周囲環境が低温時であるとき等に生起するが、これを検知して補正し、適切なマスク期間を設定することは、従来技術によってはできなかった。
このため、駆動源(モータ)が高負荷となる状態においても、適正なマスク期間を設定し、安全面に配慮した中で、誤反転及び誤停止等が発生することを防止するための技術の開発が求められていた。
このため、モータに高い負荷がかかる状態(例えば、低温時等)においても、当該高負荷を考慮した初動マスク期間を設定することができるため、まだモータの回転速度が安定しない状態において、挟み込み・巻き込み検出が開始されることを防止することができる。
具体的には、請求項3のように、前記初動マスク期間の変更は、所定の作動負荷を超えることにより実行されると好適である。
上記の構成であれば、簡易にモニタリングを行い、初動マスク期間を設定することが可能である。
そして、請求項5に記載のように、前記期間補正値により補正された前記第3パルスエッジ数に達したことを条件に、前記初動マスク期間が終了され、挟まれた異物の有無の判定が許可されるよう構成されている。
モータに負荷がかかると、モータの回転速度が変化し、よって、所定のパルスエッジ数がカウントされるまでの時間が変化する。よって、モータの作動負荷として評価される回転速度に依存する指標として所定のパルスエッジ数のカウント時間を選択した。
よって、第1初動マスク期間において、第1パルスエッジ数がカウントされるまでの時間に応じて、第2初動マスク期間を補正することで、第2初動マスク期間に対し、モータの作動負荷を反映した補正を行うことができる。
具体的には、モータに高い作動負荷がかかった場合には、かからない場合よりも、期間補正値分、長い初動マスク期間が設定されることとなる。
これにより、適正な初動マスク期間を設定でき、まだモータの回転速度が安定しない状態において、挟み込み・巻き込み検出が開始されることを防止することができる。
そして、適正な初動マスク期間終了後には、挟み込み・巻き込み検出が許可されることから、以後、挟み込み・巻き込み検出を実行することができる。
具体的には、初動マスク期間を、第1初動マスク期間と第2初動マスク期間とに分割構成し、第1初動マスク期間においては、作動負荷の程度を把握し、当該情報をフィードバックして第2初動マスク期間を決定するようにした。
よって、柔軟に初動マスク期間を設定することができる。
このように、本発明の開閉部材制御装置によれば、駆動源が高負荷となるような状態であっても、適正なマスク期間を設定し、誤反転及び誤停止を有効に回避することができる。
なお、ウインドウガラス11の出入箇所及びウインドウ回りには、合成樹脂弾性体から構成されたウェザーストリップ(図示せず)が配設されており、ウインドウガラス11閉塞状態においては、ウインドウガラス11回りのシーリングを行うよう構成されている。そして、ウインドウガラス11は、ウインドウガラス11の出入箇所配設されたウェザーストリップに摺動しながら昇降を行う構成となっている。
また、制御ユニット3には、タイマ34が備えられており、コントローラ31に対して、データ処理やデータ演算等に使用するためのクロックを送信できるよう構成されている。
これにより、モータ20の駆動開始から、後述する第1初動マスク期間T1のパルスエッジ数到達までの時間が計測される。
このマスク期間機能とは、パワーウインドウ装置1の起動時において、モータ20の回転が安定する期間、挟み込み及び巻き込みの検知機能を無効とする機能である。
図4に示すように、本実施形態においては、モータ20にかかる作動負荷の度合をモータ20の回転速度の値を指標として評価している。
このように、モータ20は、起動直後である区間Aでは、回転速度が安定せず、2個のピークを有する形状となり、次の区間Bにおいては、徐々に安定状態に近づいていく。
そして、区間Bが終わる時点で、回転速度が安定し、この地点からの区間Cでは、初動マスク期間機能が解除され、通常の挟み込み及び巻き込み検知が機能することとなる。
第1初動マスク期間T1は、モータ20起動時(t=0)の地点から、時間t1までの区間(区間A)である。
当該第1初動マスク期間T1(t0〜t1の区間)は、所定のパルスエッジ数に到達するまでの期間として設定される固定値である。
前述の通り、制御ユニット3(コントローラ31)では、パルスエッジをカウントしており、当該パルスエッジ数が所定数(p1)に到達した時点で、第1初動マスク期間T1は終了する。この終了時の時間をt1とする。
このパルスエッジ数p1が「第1初動パルスエッジ数」に相当する。
この第2初動マスク期間T2には、基準となる第2初動マスク期間基本値T21(パルスエッジ数p2が経過する期間)が設定されている。
第2初動マスク期間T2は、第1初動マスク期間T1の情報をフィードバックすることにより、所定の条件が成立した場合には、補正されてパルスエッジ数p3が経過する期間として設定される。なお、所定の条件が成立しない場合には、第2初動マスク期間基本値T21(パルスエッジ数p2が経過する期間)が、そのまま第2初動マスク期間T2として設定される。
つまり、第2初動マスク期間T2は、条件により変動する変動値(パルスエッジ数p2若しくはパルスエッジ数p3)である。
このパルスエッジ数p2が「第2初動パルスエッジ数」に相当し、パルスエッジ数p3が「第3初動パルスエッジ数」に相当する。
これらの、条件と制御の流れについて、以下説明する。
まず、パワーウインドウ装置1を稼働するスイッチがオンされたことを受け、処理はスタートする。
スタートすると、ステップS1で、モータ20の作動が開始され、ステップS2で、パルスエッジ数のカウントを開始するとともにタイマ34がオンされる。
次いで、ステップS3で、第1初動マスク期間T1として設定されたパルスエッジ数p1に到達したか否かを判定する。
ステップS3で、第1初動マスク期間T1として設定されたパルスエッジ数p1に到達していない場合(ステップS3:NO)は、ステップS3に戻り、第1初動マスク期間T1として設定されたパルスエッジ数(p1)に到達するまで監視を行う。
そして、ステップS3で、第1初動マスク期間T1として設定されたパルスエッジ数p1に到達したと判定された場合(ステップS3:YES)、ステップS4でその時点でのタイマ34の値t1を取得する(つまり、パワーウインドウ装置1が作動してから第1初動マスク期間T1が終了するまでの経過時間を取得する)。
この取得したタイマ34の値t1が所定時間よりも大きくない場合(ステップS5:NO)、ステップS6で、第2初動マスク期間T2として、第2初動マスク期間基本値T21(パルスエッジ数p2)を第2初動マスク期間T2として設定し、ステップS9で、第2初動マスク期間T2の領域を確定して処理を終了する。前述の通り、この第2初動マスク期間基本値T21は、パルスエッジ数p2が経過する期間として決定されている。
この第2初動マスク期間補正値αは、第1初動マスク期間T1の所要時間によって決定される。
つまり、実際にかかった第1初動マスク期間T1の所要時間t1と、基準値である所定時間との差分(Δt)をとり、その差分時間Δtが何パルスエッジ分に相当するかを算出して第2初動マスク期間補正値αとする。
つまり、以下のように算出される。
第2初動マスク期間補正値α=パルスエッジ数p1×(差分時間Δt/所要時間t1)
つまり、以下のように算出したパルスエッジ数p3を第2初動マスク期間T2として設定し、処理を終了する。
パルスエッジ数p2+第2初動マスク期間補正値α=パルスエッジ数p3
換言すれば、第1初動マスク期間T1は固定値であるが、第2初動マスク期間T2は変動値となっており(本実施形態では、パルスエッジ数p2若しくはパルスエッジ数p3経過までの期間)、よって、柔軟な制御を行うことができる。
しかしながら、第1初動マスク期間T1経過に係る時間、すなわち、第1初動マスク期間T1として設定されたパルスエッジ数p1がカウントされる時間が、所定時間を超えた場合においては、通常の起動状態ではなく、パワーウインドウ装置1に大きな作動負荷が生じている状態であると考えられるため(安定するまでに余分の期間が必要となるため)、あらかじめ設定されたパルスエッジ数p2を補正して、第2初動マスク期間基本値T21(パルスエッジ数p2)を第2初動マスク期間補正値α分延長する。
これにより、第2初動マスク期間T2内において、モータ20が確実に安定化する。
よって、第2初動マスク期間T2内において、モータ20が確実に安定化し、誤反転及び誤停止を防止することができる。
なお、パワーウインドウ装置1に大きな作動負荷が生じる状態とは、例えば、低温環境や、作動負荷の大きい車両用ドアに設置された状態等が想定される。
2 昇降機構(駆動機構)
3 制御ユニット(制御部)
4 操作スイッチ
5 バッテリ
6 ドア開閉信号
10 ドア
11 ウインドウガラス(開閉部材)
20 モータ
21 昇降アーム
21a ギヤ
22 従動アーム
23 固定チャンネル
24 ガラス側チャンネル
25 回転検出装置
31 コントローラ
32 駆動回路
33 リレー
34 タイマ
S 車両
Claims (5)
- 車両のドアに設けられた開閉部材を開閉移動させる駆動源となるモータを備えた駆動機構と、
前記開閉部材を開移動させる際には前記駆動機構に第一動作を行わせ、前記開閉部材を閉移動させる際には前記駆動機構に第二動作を行わせる制御部と、を備え、
該制御部により、前記駆動機構の動作状態の変化に基づいて、前記開閉部材と前記ドアにおいて前記開閉部材周辺に位置する周辺部材との間に挟まれた異物の有無を判定し、有判定の場合に、前記駆動機構の動作を中断する中断処理を行うとともに、前記モータの起動時から前記モータの回転速度が安定状態に達するまでの期間である初動マスク期間においては、挟まれた異物の有無の判定を行わないよう制御される開閉部材制御装置であって、
前記初動マスク期間は、前記モータにかかる作動負荷に応じて変更され、
前記制御部は、前記モータの回転に対応したパルスエッジ数をカウントするとともに、起動時からの経過時間をタイマによりモニタしており、
前記初動マスク期間は、作動時から中継点までの期間である第1初動マスク期間と、前記中継点から前記モータの回転速度が安定する付近までの期間である第2初動マスク期間と、に分割されて構成されており、
前記第1初動マスク期間は、前記モータ特有の所定のパルスエッジ数である第1パルスエッジ数がカウントされるまでの期間として設定され、
前記第2初動マスク期間は、前記第1初動マスク期間の作動負荷の状態をフィードバックすることにより補正される値であって、前記モータの起動時から前記第1初動マスク期間が終了するまでの時間が所定時間を超えない場合には、前記モータ特有の所定のパルスエッジ数である第2パルスエッジ数がカウントされるまでの期間として設定されるとともに、前記第1初動マスク期間が終了するまでの時間が前記所定時間を超えた場合には、前記第2パルスエッジ数に期間補正値として算出されるパルスエッジ数を加算した第3パルスエッジ数がカウントされるまでの期間として設定されることを特徴とする開閉部材制御装置。 - 前記作動負荷は、前記モータの回転速度として評価されることを特徴とする請求項1に記載の開閉部材制御装置。
- 前記初動マスク期間の変更は、所定の作動負荷を超えることにより実行されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の開閉部材制御装置。
- 前記期間補正値は、前記第1パルスエッジ数がカウントされるまでの実測時間と、前記所定時間と、の差分時間内に含まれるべきパルスエッジ数を算出した値であることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか一項に記載の開閉部材制御装置。
- 前記期間補正値により補正された前記第3パルスエッジ数に達したことを条件に、前記初動マスク期間が終了され、挟まれた異物の有無の判定が許可されることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか一項に記載の開閉部材制御装置。
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