図1は、実施形態にかかる入出金システム100の外観斜視図である。入出金システム100は、釣銭機1と、POS端末2とを備えている。
POS端末2は、客が購入する商品の商品情報に基づいて、売上データ(販売データ)を登録する販売データ処理装置である。図1に示すように、POS端末2は制御部40(図5参照)を内蔵した筐体20を備える。筐体20の上部にはキーボード25が設けられている。また、POS端末2は、筐体20の上部でキーボード25より奥側に、表面にタッチパネル28を配設した店員用表示器27を備えている。さらに店員用表示器27の上方には、筐体20の上面から突出して、客用表示器29が設けられている。また、POS端末2は、店員用表示器27の左隣に、レシートやジャーナルを印字するためのプリンタ21を備えている。また、POS端末2には、レーザ式のハンドスキャナ、あるいは、光学読取式の縦型スキャナ等のスキャナ26(図5参照)が接続されて用いられる。
POS端末2は、スキャナ26(図5参照)が読み取った情報と、商品マスタ61(図5参照)とに基づいて売上商品の商品情報を読み込む。そしてPOS端末2は、売上個数や売上金額や値引率等に基づいて小計および合計金額等を含む売上データを生成し、売上ファイル62(図5参照)に登録する。また、店員がキーボード25で客からの預り金額を入力すると、POS端末2は売上合計金額から預り金額を差し引いて釣り金額を算出し、この釣り金額を出金するよう釣銭機1に出金指示(出金コマンド)を出力する。また、POS端末2は、売上合計金額、釣り金額を店員用表示器27、客用表示器29に表示する。尚、客からの預り金額の入力については、釣銭機1が計数した入金額をPOS端末2に通知し、POS端末2がこの入金額に基づいて釣り金額を算出してもよい。
釣銭機1は、客からの預り金などを金種別に収納し、入金額をPOS端末2に通知する入金処理を制御する。また、釣銭機1は、POS端末2から釣銭の出金指示を受けると、金種ごとの出金枚数を決定し、各金種の紙幣または硬貨を出金する出金処理を制御する。また、釣銭機1は自装置が収納している在高を第1在高情報として自装置内で管理し、入金額、出金額により第1在高情報を更新する。
図1に示すように釣銭機1は、紙幣入出金ユニット110と、硬貨入出金ユニット120とを備えている。尚、釣銭機1は紙幣入出金ユニット110または硬貨入出金ユニット120のいずれか一方を備える構成でもよい。
紙幣入出金ユニット110は、その筐体19の上面にディスプレイ11と、操作部12と、入金口13と、出金口14とを備えている。ディスプレイ11は、動作モード、エラー通知などの情報を表示する。操作部12は、動作モードを選択するための操作ボタンや、エラー通知を解除するための操作ボタン等を備えている。
硬貨入出金ユニット120は、その筐体39の上面にディスプレイ15と、操作部16とを備えている。筐体39の上面の右手前端部には、複数枚の硬貨を一度に投入できる入金口17が設けられている。筐体39の左手前端部には、硬貨を装置内から出金する出金口18が設けられている。
次に、紙幣入出金ユニット110の筐体19内部に設けられた構成、硬貨入出金ユニット120の筐体39内部に設けられた構成、および各部の電気的接続例について図2を用いて説明する。
図2は、釣銭機1の各部の電気的接続例を示すブロック図である。紙幣入出金ユニット110は、制御部として機能するCPU31、ROM32、RAM33を備えている。図2に示すように、紙幣入出金ユニット110のCPU31はバスラインにより、ディスプレイ11、操作部12、通信I/F(Interface)36、接続I/F37に接続されている。また、CPU31はバスラインにより、入金センサ131、識別センサ132、収納センサ133、払出センサ134、出金センサ135等の各種センサに接続されている。また、CPU31はバスラインにより、入金機構111、選別機構112、紙幣収納部113、払出機構114、出金機構115に接続されている。通信I/F36は、POS端末2と接続するためのインタフェースである。
入金センサ131は、入金口13(図1参照)に差し込まれた紙幣を検出する。入金機構111は、入金センサ131が紙幣を検出すると、入金口13(図1参照)に差し込まれた紙幣を筐体19内部の紙幣搬入経路に取り込む機構である。
識別センサ132は、紙幣搬入経路に取り込まれた紙幣の金種や正偽を識別し、紙幣以外の異物を検出する。選別機構112は、識別センサ132の識別結果に応じて、偽貨を選別してリジェクト部(不図示)に排出する。また、選別機構112は、識別センサ132の識別結果に応じて、正貨を金種別に選別し、金種ごとの収納庫に収納する機構である。
紙幣収納部113は、金種別の収納庫を備えている。収納センサ133は、紙幣収納部113に設けられた金種ごとの収納庫に収納される紙幣を検出し、金種ごとの入金枚数を計上する。選別機構112により選別された各金種の紙幣は、該当する金種用の収納庫に収納される。
払出機構114は、操作部12またはPOS端末2から受けた出金指示(出金コマンド)に応じて、紙幣収納部113から必要な金種の紙幣を必要枚数分だけ払い出し、筐体19内部に設けられた紙幣搬出経路に搬出する機構である。払出センサ134は、紙幣収納部113に設けられた金種ごとの収納庫が払い出す紙幣を検出し、金種ごとの払出枚数を計上する。
出金機構115は、紙幣搬出経路の終端、すなわち、出金口14近傍に設けられている。出金機構115は、紙幣搬出経路により出金口14に向けて送り出されてきた紙幣を重ねて、出金口14に送り出す機構である。出金センサ135は、出金口14に設けられ、出金口14に払い出された紙幣の取り残しを検出する。
紙幣入出金ユニット110の接続I/F37は、硬貨入出金ユニット120の接続I/F38と接続するためのインタフェースである。紙幣入出金ユニット110のCPU31は、接続I/F37、接続I/F38および各種バスラインを介して、硬貨入出金ユニット120の各部と接続し、これら各部の動作を制御する。
CPU31は、硬貨入出金ユニット120のディスプレイ15、操作部16に接続されている。また、CPU31は、入金センサ141、識別センサ142、収納センサ143、払出センサ144、出金センサ145等の各種センサに接続されている。また、CPU31は、入金機構121、選別機構122、硬貨収納部123、払出機構124、出金機構125に接続されている。
入金センサ141は、入金口17に投入された硬貨を検出する。入金機構121は、入金センサ141が硬貨を検出すると、入金口17に投入された硬貨を筐体39内部の硬貨搬入経路に取り込む機構である。
識別センサ142は、入金された硬貨の金種や、硬貨の正偽を識別し、硬貨以外の異物を検出する。選別機構122は、識別センサ142の識別結果に応じて、偽貨を選別してリジェクト部(不図示)に排出する。また、選別機構122は、正貨については金種別に選別して、金種ごとの収納庫に収納する機構である。
硬貨収納部123は、金種別の収納庫を備えている。収納センサ143は、硬貨収納部123に設けられた金種ごとの収納庫に収納される硬貨を検出し、金種ごとの入金枚数を計上する。選別機構122により選別された各金種の硬貨は、該当する金種用の収納庫に収納される。
払出機構124は、操作部16またはPOS端末2から受けた出金指示(出金コマンド)に応じて、硬貨収納部123から必要な金種の硬貨を必要枚数分だけ払い出し、筐体39内部に設けられた硬貨搬出経路に搬出する機構である。払出センサ144は、硬貨収納部123に設けられた金種ごとの収納庫が払い出す硬貨を検出し、金種ごとの払出枚数をカウントする。
出金機構125は、硬貨搬出経路の終端、すなわち、出金口18近傍に設けられている。出金機構125は、硬貨搬出経路により出金口18に向けて送り出されてきた硬貨をまとめて出金口18に送り出す機構である。出金センサ145は、出金口18に設けられ、出金口18に払い出された硬貨の取り残しを検出する。
尚、図2では、紙幣入出金ユニット110が制御部として機能するCPU31、ROM32、RAM33を備えて、硬貨入出金ユニット120を制御する構成とした。但し、制御部の構成はこれに限定されない。例えば、硬貨入出金ユニット120に制御部を設け、硬貨入出金ユニット120と紙幣入出金ユニット110とを制御する構成でもよい。あるいは、紙幣入出金ユニット110、硬貨入出金ユニット120のそれぞれに制御部を設け、各制御部が各ユニットの動作をそれぞれ制御してもよい。
次に、釣銭機1の機能構成について説明する。図3は、釣銭機1の機能構成例を示すブロック図である。ROM32は、図3に示すように、動作モード設定部71と、エラーコード設定部72と、第1在高記憶部73と、第2在高記憶部74とを有している。また、ROM32は、本実施形態の釣銭機1が実行するプログラム75を格納している。
動作モード設定部71は、釣銭機1の動作モードを設定するための記憶領域である。動作モードには、通常モード、トレーニングモードなどがある。通常モードとは、POS端末2側で実際の決済処理(販売登録処理)が行われる際に、釣銭機1が当該処理に要する入出金動作を実行するモードのことである。トレーニングモードとは、入出金業務を練習したり、貨幣詰まりへの対処方法を練習したりするモードのことである。
エラーコード設定部72は、トレーニング時に発生させるエラーの種類を示すエラーコードを設定するための記憶領域である。
第1在高記憶部73は、第1在高情報を記憶し、管理するための記憶領域である。第1在高情報とは、釣銭機1の在高(即ち、紙幣収納部113および硬貨収納部123が収納している貨幣の在高)について、釣銭機1自身が管理している在高を示した情報である。
第2在高記憶部74は、トレーニングモードの開始時にPOS端末2から読み込んだ第2在高情報を格納するための記憶領域である。第2在高情報とは、POS端末2側が管理している釣銭機1の在高を示した情報のことである。
次に、釣銭機1が実行するプログラム75について説明する。図3に示すように、釣銭機1が実行するプログラム75は、操作受付部51、モード切替部52、表示制御部53、入金制御部54、出金制御部55を含むモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしてはCPU31(プロセッサ)がROM32からプログラム75を読み出して実行することにより、上記各部を主記憶装置上にロードして各部の機能を実現する。
尚、図3では、本実施形態の釣銭機1が実行するプログラム75が、ROM32等に予め組み込まれて提供されるとした。尚、本実施形態の釣銭機1で実行されるプログラム75は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施形態の釣銭機1で実行されるプログラム75を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の釣銭機1で実行されるプログラム75をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
操作受付部51は、紙幣入出金ユニット110の操作部12、および、硬貨入出金ユニット120の操作部16(ともに図1参照)に対する操作を受付ける。
モード切替部52は、操作受付部51が受付けた操作に応じて、釣銭機1の動作モードを切り替える。例えば、モード切替部52は、操作部12においてトレーニングモードへ移行するための操作ボタンが操作されると、動作モードをトレーニングモードに切り替える。モード切替部52は、動作モード設定部71に現在の動作モードがトレーニングモードであることを示すフラグ値を設定する。また、モード切替部52は、操作部12において通常モードへ移行するための操作ボタンが操作されると、動作モードを通常モードに切り替える。モード切替部52は、動作モード設定部71に現在の動作モードが通常モードであることを示すフラグ値を設定する。
また、モード切替部52は、トレーニングモードの開始時に、POS端末2の在高記憶部63(図5参照)が記憶している第2在高情報を読み込み、第2在高記憶部74に格納する。
モード切替部52は、動作モードをトレーニングモードから通常モードに切り替える際に、第1在高記憶部73が記憶している第1在高情報と、第2在高記憶部74が記憶している第2在高情報とが一致しているか否かを判定する。そして、両者が一致していれば、モード切替部52はトレーニングモードを終了し、動作モードを通常モードに切り替える。一方、第1在高情報と第2在高情報とが一致していなければ、通常モードには切り替えず、トレーニングモードを終了させない。
尚、POS端末2と連動してトレーニングを行うような形態においては、モード切替部52は、第1在高情報と第2在高情報とが一致していればトレーニングモードを終了可能な状態にすればよい。そして、モード切替部52は、POS端末2からトレーニングの終了を制御するモード切替コマンド等の指示を受けて、釣銭機1の動作モードを通常モードに切替ればよい。
表示制御部53は、紙幣入出金ユニット110のディスプレイ11、および、硬貨入出金ユニット120のディスプレイ15に各種表示データを出力し、各表示画面での表示処理を制御する。例えば、表示制御部53は、モード切替部52が動作モードを切り替えると、切替後の動作モードをディスプレイ11に表示する。無論、表示制御部53は、ディスプレイ11に加えディスプレイ15にも併せて切替後の動作モードを表示してもよい。
また、表示制御部53は、エラー発生時に、当該エラー内容をディスプレイ11またはディスプレイ15に表示し、オペレータにエラー発生を報知する。尚、エラー報知は、エラーメッセージ等の表示報知に限定されず、ブザー出力、音声出力、外部へのエラー出力など、その他の出力方法を用いてもよい。外部のエラー出力先の例としては、POS端末2や、POS端末2に接続されたストアコンピュータ、サポート店員用のアテンダント端末等とすることができる。
例えば、表示制御部53は、上述のようにモード切替部52が第1在高情報と第2在高情報とが一致していないと判定すると、在高に違算が生じている旨を示すエラーメッセージをディスプレイ11に表示する。
尚、表示制御部53は、第1在高情報と第2在高情報とに基づき、その差額(違算金額)をエラーメッセージに含めて表示してもよい。例えば、第1在高情報の示す在高が第2在高情報の示す在高より少なければ、「トレーニング開始時より(違算金額)が不足しています。釣銭機に(違算金額)を入金して下さい」等のメッセージを表示すればよい。一方、第1在高情報の示す在高が第2在高情報の示す在高より多ければ、「トレーニング開始時より(違算金額)分多く入金されています。釣銭機から(違算金額)分出金して下さい」等のメッセージを表示すればよい。これにより店員は、表示に従って入金または出金すれば違算を簡便に解消することができる。従って従来のように、メモ書き等を参照して違算が無いように入出金額を計算し、トレーニング終了時に違算を自ら解消する労力を省くことができる。
入金制御部54は、紙幣収納部113または硬貨収納部123への入金動作を制御し、その入金額により第1在高記憶部73が記憶する第1在高情報を更新する。例えば、入金制御部54は、収納センサ133、143がカウントした金種ごとの入金枚数に基づいて、入金合計額を算出する。そして入金制御部54は、入金合計額を第1在高記憶部73の第1在高情報に加算して、第1在高情報を更新する。
出金制御部55は、紙幣収納部113または硬貨収納部123からの出金動作を制御し、その出金額により第1在高記憶部73が記憶する第1在高情報を更新する。例えば、出金制御部55は、POS端末2から受信した出金コマンド、または、自装置の操作部12、16から入力された出金額に基づいて、各金種の出金枚数を決定する。そして、出金制御部55は、出金機構115、125に各金種の出金枚数を指示する。出金機構115は、出金指示に基づいて各金種の紙幣を出金口14に送り出す。出金機構125は、出金指示に基づいて各金種の硬貨を出金口18に送り出す。また、出金制御部55は、出金額を第1在高記憶部73の第1在高情報から減算して、第1在高情報を更新する。
このように、入金制御部54および出金制御部55は、紙幣収納部113および硬貨収納部123が収納する貨幣の在高を示す第1在高情報を管理する在高管理手段として機能する。
次に、釣銭機1の動作例について説明する。図4は、釣銭機1が実行する在高照合処理の手順例を示すフローチャートである。
まず、操作受付部51は、操作部12においてトレーニングモードへ移行するための操作ボタンが操作されたか否かを判定する(ステップS1)。トレーニングモードが選択されなければ(ステップS1:No)、ステップS1に戻る。トレーニングモードが選択されると(ステップS1:Yes)、モード切替部52はPOS端末2の在高記憶部63(図5参照)から第2在高情報を読み込む(ステップS2)。そしてモード切替部52は、読み込んだ第2在高情報を第2在高記憶部74に保存する(ステップS3)。
次に、モード切替部52は、動作モード設定部71の動作モードを通常モードからトレーニングモードに切り替えて設定し、トレーニングを開始する(ステップS4)。そして、操作受付部51が操作部12を介して、トレーニングの内容に対応するエラーコードの選択操作を受付けると、当該エラーコードに対応する各種設定をエラーコード設定部72から読み込む。そしてモード切替部52は、選択されたエラーコードに対応するトレーニング用のプログラムを実行する(ステップS4)。
次に、操作受付部51は、操作部12において通常モードへ移行するための操作ボタンが操作されたか否かを判定する(ステップS5)。通常モードが選択されなければ(ステップS5:No)、ステップS4に戻る。通常モードが選択されると(ステップS5:Yes)、モード切替部52は、第1在高記憶部73の第1在高情報と、第2在高記憶部74の第2在高情報とが一致しているか照合する(ステップS6)。
第1在高情報と第2在高情報が一致していれば(ステップS7:Yes)、トレーニング前後で在高に違算が無いことを示しているので、モード切替部52はトレーニングモードを終了する。即ち、モード切替部52は、動作モード設定部71に設定されている設定フラグを、トレーニングモードから通常モードに変更し、動作モードを通常モードに切り替える(ステップS8)。
一方、第1在高情報と第2在高情報が一致していない場合(ステップS7:No)、トレーニング中の入出金によりトレーニング前後で違算が生じたこととなる。この場合には、表示制御部53は、違算が発生したことを示すエラーメッセージをディスプレイ11に表示出力する(ステップS9)。なお、表示制御部53は、エラーメッセージに第1在高情報と第2在高情報との間の違算金額を含めて表示する。店員は、メッセージ内容に従い、違算を解消するように違算額を入金または出金する。入金制御部54または出金制御部55は、入金額または出金額に応じて第1在高情報を更新する。
入出金動作が無い間(ステップS10:No)は、待機する。違算を解消するための入出金動作が為され、入金制御部54または出金制御部55が第1在高記憶部73の第1在高情報を更新すると(ステップS10:Yes)、ステップS6に移行する。モード切替部52は、更新後の第1在高情報と、第2在高記憶部74の第2在高情報とを照合する(ステップS6)。入出金により違算が解消して第1在高情報と第2在高情報とが一致すれば(ステップS7:Yes)、モード切替部52は上述と同様にトレーニングモードを終了し、通常モードに切り替える(ステップS8)。一方、違算が解消されていなければ(ステップS7:No)、再びステップS9に移行する。
尚、POS端末2と釣銭機1とが連携してトレーニングを実行する形態では、例えば以下のような手順とすればよい。釣銭機1は、POS端末2と釣銭機1とが連携してトレーニングモードを開始する旨の通知をPOS端末2から受信すると、ステップS1:Yesと同様にステップS2に移行する。また、POS端末2からトレーニングモードの終了を通知されると、釣銭機1はステップS5:Yesと同様にステップS6に移行する。
以上のように、本実施形態の釣銭機1は、トレーニング開始時にPOS端末2から読み込んだ第2在高情報と、トレーニング終了時の第1在高情報とが一致していなければエラー出力し、一致していればトレーニングを終了可能とする。従って、トレーニング前後で釣銭機1の在高を一致させることができる。
また、本実施形態の釣銭機1は、トレーニング終了時の第1在高情報と、トレーニング開始時の第2在高情報との差額をエラー通知に含めて出力する。これにより店員は、表示に従って差額分を入金または出金させれば違算を解消することができる。即ち店員は、逐一トレーニング時の入出金額を記録し、トレーニング終了時に整合がとれるよう在高を調整せずともよいので、トレーニング時の在高調整にかかる労力を省くことができる。
次に、POS端末2について説明する。上述のように、釣銭機1がトレーニング前後の在高を確認する機能を有するのであれば、POS端末2側で在高を確認する構成は必須ではない。無論、POS端末2側で在高確認をさらに行い、釣銭機1およびPOS端末2の双方にてダブルチェックする入出金システム100を構成してもよい。あるいは、釣銭機側は従来構成とし、POS端末2側で在高確認を行ってもよい。
この点を踏まえ、以下では在高確認を行うことができるPOS端末2の構成について説明する。
図5は、POS端末2の機能構成例を示すブロック図である。図5に示すように、POS端末2は、CPU、ROM、RAMを有するコンピュータ構成の制御部40を備えている。制御部40は、バス22により、通信I/F23と、HDD60と、I/O機器制御部24と接続している。I/O機器制御部24は、各種インタフェースやバスラインにより、キーボード25と、スキャナ26と、店員用表示器27と、タッチパネル28と、客用表示器29と、プリンタ21と、接続I/F20とに接続している。
通信I/F23は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介してストアサーバ(不図示)などの上位機種と接続するためのインタフェースである。接続I/F20は、釣銭機1と接続するためのインタフェースである。
HDD60は、商品マスタ61と、売上ファイル62と、在高記憶部63とを格納している。商品マスタ61は、商品コードと、商品名、価格等の商品情報を対応付けたマスタファイルである。売上ファイル62は、POS端末2が登録した売上データを格納するためのデータファイルである。在高記憶部63は、第2在高情報を記憶するための記憶領域である。第2在高情報とは、釣銭機1が収納している在高についてPOS端末2側が管理している在高を示した情報である。
次に、POS端末2が実行するプログラムについて説明する。本実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムは、制御部40のROMまたはHDD60等の記憶装置に予め組み込まれて提供される。但し、POS端末2で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、本実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のPOS端末2で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
図5に示すように、POS端末2が実行するプログラムは、入力受付部41、登録部42、在高管理部43、エラー出力部44を含むモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしては制御部40のCPU(プロセッサ)がROMからプログラムを読み出して実行することにより、上記各部を主記憶装置上にロードして各部の機能を実現する。
入力受付部41は、キーボード25、スキャナ26、タッチパネル28を介して入力された情報を受付ける。例えば入力受付部41は、キーボード25を介して、客からの預り金の金額入力を受付ける。また、入力受付部41は、接続I/F20を介して接続されている釣銭機1から、釣銭機1が計上した入金額を受信する。また、入力受付部41は、キーボード25、または、表示画面上に設けられた在高確認キーが操作された際に、釣銭機1の在高を確認する旨の在高確認指示を受付ける。
また、入力受付部41は、キーボード25またはタッチパネル28を介してトレーニングモードの開始指示および終了指示を受付ける。尚、釣銭機1がトレーニングモードを開始した旨を通知した際には、入力受付部41は当該通知を受付ける。また、入力受付部41は、接続I/F20を介して接続されている釣銭機1から、釣銭機1で発生したエラーを示したエラー情報等を受信する。
登録部42は、商品の売上データを売上ファイル62に登録する処理を制御する。例えば売上データには、商品名、単価、個数、小計、合計金額、客からの預り金額、釣り金額等の情報が含まれる。また、登録部42は、合計金額から預り金額を減算して釣り金額を算出する。そして登録部42は、釣り金額を釣銭機1から出金させるための出金コマンドを、釣銭機1に出力する。
在高管理部43は、預り金額、釣り金額に基づき、在高記憶部63の第2在高情報を管理する。即ち、在高管理部43は、上述のように入力受付部41が受付けた入金額(例えば、預り金額)を、在高記憶部63の第2在高情報に加算して第2在高情報を更新する。また、在高管理部43は、出金コマンドに含めた出金額(釣り金額)を、在高記憶部63の第2在高情報から減算して第2在高情報を更新する。
在高管理部43は、釣銭機1が管理する第1在高情報とPOS端末2が管理する第2在高情報との間に違算が無いか確認する。即ち、在高確認指示を受付けると在高管理部43は、釣銭機1の第1在高記憶部73から第1在高情報を読み込む。また、在高管理部43は、HDD60の在高記憶部63から第2在高情報を読み込む。そして、在高管理部43は、読み込んだ第1在高情報と第2在高情報とを比較し、違算の有無を判定する。
在高管理部43が在高確認を行うタイミングは、例えば以下の2つである。
(1)入力受付部41が在高確認指示を受付けた場合
(2)POS端末2または釣銭機1がトレーニングモードを終了する場合
エラー出力部44は、在高管理部43により第1在高情報と第2在高情報との間に違算が有ると判定された際に、エラー出力を行う。エラー出力は例えば、店員用表示器27にエラーメッセージを表示したり、音声出力によりエラー内容を報知したりすればよい。その他にも、ブザー音を動作させたり、LED(Light Emitting Diode)を発光させたりしてもよい。
エラー出力部44は、トレーニング実行中は第1在高情報と第2在高情報とに違算があってもエラー出力しない。
釣銭機1がPOS端末2からのコマンドによってではなく、操作部12、16からの操作によって単独で入出金動作を行うと、釣銭機1自身が管理する第1在高情報と、POS端末2が管理する第2在高情報との間には違算が生じることとなる。従ってPOS端末2が違算を検出してエラー出力する構成であると、店員はトレーニング用に釣銭機1単独で入出金を行う度に、逐次エラーを解消または解除しなければならない。そこで本実施形態において、エラー出力部44は、違算が生じていてもトレーニング中はエラー出力を行わない構成とした。即ち、具体的には、上記(1)(2)のタイミングで行われる在高確認に対して、以下のような設定とする。
(1)在高確認指示により違算確認が行われた場合
(1−1)釣銭機1およびPOS端末2が通常モードである場合
エラー出力部44は、第1在高情報と第2在高情報との間に違算が生じていれば、エラー出力する。
(1−2)釣銭機1またはPOS端末2がトレーニングモードである場合
エラー出力部44は、第1在高情報と第2在高情報とが一致せず両者間に違算が生じてもエラーメッセージを出力しない。
(2)トレーニングモード終了時に違算確認が行われた場合
エラー出力部44は、第1在高情報と第2在高情報との間に違算が生じていれば、エラー出力する。
尚、上述したように釣銭機1側で違算確認ならびにエラー出力が為された場合、POS端末2は単に釣銭機1のエラー出力に応じてエラーを報知してもよい。
このように本実施形態のPOS端末2は、釣銭機1またはPOS端末2がトレーニングモードであれば、釣銭機1が管理する第1在高情報とPOS端末2が管理する第2在高情報とに違算が生じてもエラー出力しない。従って例えば、トレーニング中にPOS端末2からの入出金指示とは関係なく釣銭機1が単独で入出金動作を行っても、トレーニング終了時に最終的に第1在高情報が第2在高情報と一致していれば、POS端末2は釣銭機1における入出金動作の度にエラー出力をしない。従って店員は、エラー解除や在高合わせなどを頻繁に行わずとも済むこととなり、トレーニングモードの使用感を向上させることができる。
次に、POS端末2の在高照合処理に関する動作例について説明する。まず、(1)のタイミングでPOS端末2が実行する在高照合処理の手順例について説明する。図6は、在高確認指示を受付けた際にPOS端末2が実行する在高照合処理の手順例を示すフローチャートである。
入力受付部41が在高確認指示を受付けると(ステップS21:Yes)、在高管理部43は、釣銭機1の第1在高記憶部73から第1在高情報を読み込む。また、在高管理部43は、HDD60の在高記憶部63から第2在高情報を読み込む(ステップS22)。在高確認指示を受付けなければ(ステップS21:No)、ステップS21で待機する。そして、在高管理部43は、読み込んだ第1在高情報と第2在高情報とを比較し、両者が一致しているか否かを判定する(ステップS23)。両者が一致していれば(ステップS23:Yes)、在高管理部43は、ステップS22で読み込んだ第1在高情報および第2在高情報を店員用表示器27に表示する(ステップS24)。尚、第1在高情報として、釣銭機1に収納されている貨幣合計額とともに、金種ごとの収納枚数を数値や図を用いて表示してもよい。
一方、第1在高情報と第2在高情報とが一致していなければ(ステップS23:No)、エラー出力部44は、釣銭機1またはPOS端末2がトレーニングモードであるか否かを判定する(ステップS25)。トレーニングモードであれば(ステップS25:Yes)ステップS24に移行する。トレーニングモードでなければ(ステップS25:No)、エラー出力部44は違算が生じている旨のエラーメッセージを店員用表示器27に表示する(ステップS26)。
次に、(2)のタイミングでPOS端末2が実行する在高照合処理の手順例について説明する。図7は、トレーニングモード終了時にPOS端末2が実行する在高照合処理の手順例を示すフローチャートである。
入力受付部41は、釣銭機1またはPOS端末2がトレーニングモードを終了する旨を受付けると(ステップS31:Yes)、ステップS32に移行する。トレーニングモードの終了を受付けなければ(ステップS31:No)ステップS31で待機する。在高管理部43は、釣銭機1の第1在高記憶部73から第1在高情報を読み込む。また、在高管理部43は、HDD60の在高記憶部63から第2在高情報を読み込む(ステップS32)。そして、在高管理部43は、読み込んだ第1在高情報と第2在高情報とを比較し、両者が一致しているか否かを判定する(ステップS33)。両者が一致していれば(ステップS33:Yes)処理を終了する。第1在高情報と第2在高情報とが一致していなければ(ステップS33:No)、エラー出力部44は、第1在高情報と第2在高情報とに違算が生じている旨のエラーメッセージを店員用表示器27に表示する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
その他の態様として、釣銭機1およびPOS端末2の機能構成を備えた1台構成の装置に、上述した本実施形態を適用してもよい。装置の例としては、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗で用いられるセルフチェックアウト装置(以降、単にセルフPOSと称する)を利用することができる。
図8は、その他の態様であるセルフPOS200の概略的構成を示した外観斜視図である。図8に示すように、セルフPOS200の本体202は、タッチパネル105が表面に配設された表示デバイス106や、商品の種別等を認識(検出)するために商品画像を読み取る商品読取部107を備えている。
表示デバイス106としては例えば液晶表示器が用いられる。表示デバイス106は、客にセルフPOS200の操作方法を知らせるための案内画面や、各種の入力画面や、商品読取部107で読み込んだ商品情報を表示する登録画面、商品の合計金額や預かり金額、釣銭額等を表示し、支払い方法の選択をする精算画面等を表示する。
商品読取部107は、客が商品に付されたコードシンボルを商品読取部107の読取窓103にかざすことで商品画像を読取窓103内部に設けられた撮像部により読み取る。
また、本体202の右側にはかごに入った未清算の商品を置くための商品載置台203が設けられている。本体202の左側には精算済みの商品を置くための商品載置台204が設けられている。商品載置台204の奥側の上面には、精算済みの商品を袋に入れる前に一時的に置いておくための一時置き台206が突出して設けられている。一時置き台206の手前側端部には、精算済みの商品を入れるための袋を掛けるための袋掛けフック205が一対、設けられている。商品載置台203および204はそれぞれ計量器を備えており、精算の前後で商品の重量が同じであることを確認する機能を有している。
また、セルフPOS200の本体202には、精算用の紙幣の入金や釣り紙幣の受け取りを行うための釣銭機201が設けられている。
このような構成のセルフPOS200において、上述した釣銭機1(図1ないし図3参照)の機能構成を、釣銭機201に適用すればよい。また、上述したPOS端末2(図1、図5参照)の機能構成を、セルフPOS200に適用すればよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、トレーニングモードの終了時の釣銭機1の在高情報(第1在高情報)が、トレーニングモード開始時のPOS端末2の在高情報(第2在高情報)と一致していなければエラー出力し、一致していればトレーニングモードを終了可能とする。これにより、違算を解消してエラーが解除されるまで在高を合わせてからトレーニングモードを終了することとなるので、トレーニング前後で釣銭機1の在高を一致させることができる。
(付記1)
貨幣収納部が収納する貨幣の在高を示す第1在高情報を管理する在高管理手段と、
トレーニングモードの開始時に、自装置に接続された販売データ処理装置が前記貨幣収納部に収納されている在高として記憶している第2在高情報を前記販売データ処理装置から読み込む在高読込手段と、
前記トレーニングモードにおいて、前記貨幣収納部に貨幣を入金する動作を制御し、その入金額により、前記第1在高情報を更新する入金制御手段と、
前記トレーニングモードにおいて、前記貨幣収納部から貨幣を出金する動作を制御し、その出金額により、前記第1在高情報を更新する出金制御手段と、
前記トレーニングモードの終了時の前記第1在高情報が、前記トレーニングモードの開始時の前記第2在高情報と一致していなければ、前記トレーニングモードを終了せずにエラー出力するエラー出力手段と、
前記トレーニングモードの終了時の前記第1在高情報が、前記トレーニングモードの開始時の前記第2在高情報と一致していれば、前記トレーニングモードを終了可能とするモード制御手段と、
を備えた入出金装置。
(付記2)
前記エラー出力手段は、前記トレーニングモードの終了時の前記第1在高情報と、前記トレーニングモードの開始時の前記第2在高情報との差額を表示出力する、付記1に記載の入出金装置。
(付記3)
前記モード制御手段は、前記トレーニングモードとして、前記販売データ処理装置における商品の販売登録処理に伴う入出金業務またはエラー対処業務をトレーニング対象として含むトレーニングモードを開始する、付記1または2に記載の入出金装置。
(付記4)
入出金装置と、当該入出金装置と接続された販売データ処理装置とを有する入出金システムであって、
前記販売データ処理装置は、
前記入出金装置の貨幣収納部に収納されている在高として第2在高情報を記憶した在高記憶手段を備え、
前記入出金装置は、
貨幣収納部が収納する貨幣の在高を示す第1在高情報を管理する在高管理手段と、
トレーニングモードの開始時に、前記販売データ処理装置から前記第2在高情報を読み込む在高読込手段と、
前記トレーニングモードにおいて、前記貨幣収納部に貨幣を入金する動作を制御し、その入金額により、前記第1在高情報を更新する入金制御手段と、
前記トレーニングモードにおいて、前記貨幣収納部から貨幣を出金する動作を制御し、その出金額により、前記第1在高情報を更新する出金制御手段と、
前記トレーニングモードの終了時の前記第1在高情報が、前記トレーニングモードの開始時の前記第2在高情報と一致していなければ、前記トレーニングモードを終了せずにエラー出力するエラー出力手段と、
前記トレーニングモードの終了時の前記第1在高情報が、前記トレーニングモードの開始時の前記第2在高情報と一致していれば、前記トレーニングモードを終了可能とするモード制御手段と、
を備えた入出金システム。
(付記5)
入手金装置を制御するコンピュータを、
貨幣収納部が収納する貨幣の在高を示す第1在高情報を管理する在高管理手段と、
トレーニングモードの開始時に、自装置に接続された販売データ処理装置が前記貨幣収納部に収納されている在高として記憶している第2在高情報を前記販売データ処理装置から読み込む在高読込手段と、
前記トレーニングモードにおいて、前記貨幣収納部に貨幣を入金する動作を制御し、その入金額により、前記第1在高情報を更新する入金制御手段と、
前記トレーニングモードにおいて、前記貨幣収納部から貨幣を出金する動作を制御し、その出金額により、前記第1在高情報を更新する出金制御手段と、
前記トレーニングモードの終了時の前記第1在高情報が、前記トレーニングモードの開始時の前記第2在高情報と一致していなければ、前記トレーニングモードを終了せずにエラー出力するエラー出力手段と、
前記トレーニングモードの終了時の前記第1在高情報が、前記トレーニングモードの開始時の前記第2在高情報と一致していれば、前記トレーニングモードを終了可能とするモード制御手段と、
として機能させるプログラム。