本発明の実施形態に係る電子機器を、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明においては、同様の構成要素に同一の符号を付すことがある。さらに、重複する説明は適宜簡略化又は省略することがある。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、及び実質的に同一のものなど、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
以下説明する本発明の実施形態に係る電子機器は、例えば、いわゆるスマートフォンのような端末とすることができる。しかしながら、本発明の実施形態に係る電子機器は、スマートフォンに限定されるものではない。本発明の実施形態に係る電子機器は、例えばフィーチャーフォン、ノートPC、ゲーム端末、リモコン端末など、ユーザが入力操作を行うことができる各種の電子機器とすることができる。本発明の実施形態に係る電子機器をスマートフォンとする場合、この電子機器は、例えば、筐体と、ディスプレイと、タッチパネルと、操作用ボタンなどを備えるものとすることができる。
図1は、電子機器1の機能ブロック図である。図1に示すように、電子機器1は、ディスプレイ2と、タッチパネル3と、タッチパネルコントローラ31と、記憶部4、コントローラ5と、ボタン6と、カメラ7と、気圧センサ8と、通信部9と、を有する。
ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro−Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro−Luminescence Display)等の表示デバイスを備える。ディスプレイ2は、文字、画像、記号、及び図形等を表示する。ディスプレイ2は、コントローラ5から出力される画像信号に基づいて、文字、画像、記号、及び図形等を表示する。
以下、本実施形態に係る電子機器1のタッチパネル3は、静電容量方式であるものとして説明する。タッチパネル3は、X軸方向に一列に配置される透明電極群が直列接続されてなるX軸ラインと、Y軸方向に一列に配置される透明電極群が直列接続されてなるY軸ラインと、を有する。タッチパネル3には、Y軸方向に並列して配置される複数のX軸ラインと、X軸方向に並列して配置される複数のY軸ラインと、が設けられる。複数のX軸ライン及び複数のY軸ラインは、タッチパネルコントローラ31に接続される。
図1の例では、ディスプレイ2及びタッチパネル3は、それぞれ略長方形状であるが、ディスプレイ2及びタッチパネル3の形状はこれに限定されない。ディスプレイ2及びタッチパネル3は、それぞれ正方形状、円形状、曲面形状、等のどのような形状も取り得る。図1の例では、ディスプレイ2及びタッチパネル3は互いが重ねられて配置されているが、ディスプレイ2及びタッチパネル3の配置はこれに限定されない。例えば、ディスプレイ2及びタッチパネル3は、互いの主面が重ならないように並べられて配置されてもよし、互いが離間して配置されてもよい。図1の例では、ディスプレイ2の長辺はタッチパネル3の長辺に沿っており、ディスプレイ2の短辺はタッチパネル3の短辺に沿っているが、ディスプレイ2及びタッチパネル3の重ね方はこれに限定されない。ディスプレイ2とタッチパネル3とが重ねられて配置される場合、例えば、ディスプレイ2の1ないし複数の辺がタッチパネル3のいずれの辺とも沿っていなくてもよい。
電子機器1は、タッチパネル3に対する接触の有無、接触の位置、当該接触の位置の変化、接触の回数、及び複数の接触の間隔の少なくとも1つ(以後、接触の態様と総称することもある)に基づいてジェスチャの種別を判定する。ここで、ジェスチャとは、タッチパネル3に対して行われる操作である。電子機器1によって判別されるジェスチャは、例えば、タッチ、ロングタッチ、リリース、スワイプ、タップ、ダブルタップ、ロングタップ、フリック、ピンチイン、及びピンチアウトを含むがこれらに限定されない。電子機器1は、判別したジェスチャに従って、所定の動作を実行する。このため、ユーザにとって直観的で使いやすい操作が実現される。
タッチパネルコントローラ31は、一定期間毎に、Y軸ラインのそれぞれに対して駆動電圧を印加し(駆動(Drive))、それぞれの印加時におけるX軸ラインのそれぞれにおける電位を検出する(走査(Scan))。ここで検出された電位は、タッチパネル3の検出値と称することもある。タッチパネルコントローラ31は、タッチパネル3の各位置で検出される電位(タッチパネル3の検出値)をコントローラ5へ出力する。
記憶部4は、プログラム及びデータを記憶できる。記憶部4は、コントローラ5の処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用してもよい。記憶部4は、記録媒体を含む。記録媒体は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non−transitory)な記憶媒体を含んでよい。記憶部4は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。記憶部4は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組合せを含んでよい。記憶部4は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。
記憶部4は、電子機器1を稼働させるための各種制御に関する機能を提供する制御プログラム41と、設定データ42と、気圧データ43と、を少なくとも記憶している。制御プログラム41には、タッチパネル3の検出値に基づき、該タッチパネル3への接触を検出する機能を提供する接触検出プログラム411が含まれる。また、接触検出プログラム411は、タッチパネル3に対する接触の態様に基づき、該タッチパネル3に対するジェスチャの種類を検出する機能を提供する。制御プログラム41は、タッチパネル3に対するジェスチャに応じて、ディスプレイ2に表示されている情報を変更する等の各種制御を行う機能を提供する。
コントローラ5は、演算処理装置である。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System−on−a−chip)、MCU(Micro Control Unit)、及びFPGA(Field−Programmable Gate Array)を含むが、これらに限定されない。コントローラ5は、電子機器1の動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。
具体的には、コントローラ5は、記憶部4に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、記憶部4に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。そして、コントローラ5は、データ及び命令に応じて機能部を制御し、それによって各種機能を実現する。機能部は、例えば、ディスプレイ2、通信部9の少なくとも1つを含んでもよいが、これらに限定されない。また、コントローラ5は、例えば、ボタン6、カメラ7、気圧センサ8等の検出結果に応じて、制御を変更する。
ボタン6は、利用者によって操作される。コントローラ5は、ボタン6と協働することによって、ボタン6に対する操作を検出する。ボタン6に対する操作は、例えば、1ないし複数回の押下を含むが、これらに限定されない。
カメラ7は、例えば、電子機器1のディスプレイ2が設けられた側の面とは反対側の面に設けられ、当該面に面した物体を撮像する。カメラ7は、CCD(Charge Coupled Device Image Sensor)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを用いて電子的に画像を撮像する。そして、カメラ7は、撮像した画像を信号に変換してコントローラ5へ送信する。
気圧センサ8は、電子機器1の外側の気圧(大気圧)を検出する。気圧センサ8は、電子機器1の筐体内部に配置するのが好適である。また、電子機器1は、空気を通過させる穴で筐体の内部と外部の気圧が連動している構造にしつつ、水等の液体は通過させない構造にするのが好適である。このような構成によれば、電子機器1の外側の気圧を検出することができる。気圧センサ8は、検出結果をコントローラ5へ送信する。
通信部9は、無線により通信できる。通信部9は、近距離無線通信方式をサポートできる。近距離無線通信方式には、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(IEEE802.11)、ZigBee(登録商標)、赤外線通信、可視光通信、NFC(Near Field Communication)等を含む。通信部9は、複数の通信方式をサポートしてもよい。通信部9は、例えば、2G、3G、4G等のセルラーフォンの通信規格をサポートしてもよい。通信部9は、有線による通信をサポートしてもよい。有線による通信は、例えば、イーサネット(登録商標)、ファイバーチャネル等を含む。
図1において記憶部4が記憶するプログラム及びデータの一部又は全部は、通信部9による通信で他の装置からダウンロードされてもよい。図1において記憶部4が記憶するプログラム及びデータの一部又は全部は、記憶部4に含まれる読み取り装置が読み取り可能な非一過的な記憶媒体に記憶されていてもよい。図1において記憶部4が記憶するプログラム及びデータの一部又は全部は、電子機器1に設けられるコネクタに接続される読み取り装置が読み取り可能な非一過的な記憶媒体に記憶されていてもよい。非一過的な記憶媒体は、例えば、CD(登録商標)、DVD(登録商標)、Blu−ray(登録商標)等の光ディスク、光磁気ディスク、磁気記憶媒体、メモリカード、及びソリッドステート記憶媒体を含むが、これらに限定されない。
図2は、本発明の一実施形態に係る電子機器1の外観を示す図である。図3は、図2に示した電子機器1のA−A’における断面図である。
図2は、電気機器1を、タッチパネル3の主面と対向する方向を向いて見た状態を表す図である。すなわち、図2は、電子機器1(及びタッチパネル3)がX−Y平面に平行な平面上に置かれた状態で、Z軸負方向に向いてタッチパネル3を見た状態を示している。なお、図2において、Z軸とは、図2に示すX軸及びY軸と直交する軸である。また、標準的な右手系(正系)の三次元直交座標系と同様に、図2の表面側を向く方向を、Z軸の正方向とする。
図2に示すように、電子機器1は、外枠を構成する筐体10を備えている。また、図3に示すように、電子機器1は、筐体10の上面側(Z軸正方向側)に、タッチパネル3を備えている。また、電子機器1は、タッチパネル3の背面側(Z軸負方向側)に、ディスプレイ2を重ねて配置してもよい。
本発明の実施形態に係る電子機器1の筐体10は、封止構造を備えるものとする。筐体10は、封止構造によって内部への水の侵入が妨げられた空間となっている。電子機器1は、封止構造を実現するために、筐体10に形成された開口部を、気体は通すが液体は通さない機能性部材、およびキャップ等によって閉塞している。気体は通すが液体は通さない機能性部材は、例えば、Gore−Tex(登録商標)、Drytec、eVent、BERGTECH、HyventDなどを用いて実現される。本実施形態において、筐体10には、タッチパネル3が設けられている。この場合、電子機器1は、筐体10とタッチパネル3との隙間への水の侵入を、気体は通すが液体は通さない機能性部材等によって妨げるのが好適である。電子機器1は、封止構造を備えることで、例えば、水場での使用や、水中での使用が可能となる。また、本実施形態において、筐体10には、機械式のスイッチにより構成されるボタン6を設けることもできる。ボタン6を設ける場合、電子機器1は、筐体10とボタン6との隙間への水の侵入を、気体は通すが液体は通さない機能性部材等によって妨げるのが好適である。
図2及び図3に示すように、電子機器1は、タッチパネル3の上方(Z軸正方向)において、接触部材12を備えている。図2に示す電子機器1は、接触部材12a,12b,12cをはじめとして合計12個の接触部材12を備えている。しかしながら、接触部材12を設置する数は1つ以上の任意の個数とすることができる。
また、図2及び図3に示すように、個々の接触部材12の両端部には、適度な弾性を有する弾性部材14が設けられる。具体的には、例えば接触部材12aの両端部には、弾性部材14a及び14bが設けられる。また、接触部材12bの両端部には、弾性部材14b及び14cが設けられる。また、接触部材12cの両端部には、弾性部材14c及び14dが接続される。図2及び図3に示す例においては、各接触部材12は、それぞれ横方向(X軸方向)のみに弾性部材14を設けてある。しかしながら、各接触部材12は、それぞれ縦方向(Y軸方向)のみに弾性部材14を設けてもよい。さらに、各接触部材12は、それぞれ横方向及び縦方向(X軸方向及びY軸方向)の双方に弾性部材14を設けてもよい。弾性部材14は、例えばゴムなどの適度な弾性を有する材料で構成することができる。
図3に示すように、各弾性部材14は、筐体10又は支持部16に支持される。具体的には、弾性部材14aは、筐体10の左側の内壁に支持される。弾性部材14bは、支持部16aに支持される。弾性部材14cは、支持部16bに支持される。弾性部材14dは、筐体10の右側の内壁に支持される。各弾性部材14が筐体10又は支持部16に支持されることにより、図3(A)に示すように、各接触部材12は、タッチパネル3に接触しない状態で保持される。図2及び図3において、支持部16は、各接触部材12同士の間に介在する弾性部材14をそれぞれ支持するような構成として示してある。しかしながら、支持部16は、図2及び図3に示すような構成に限定されず、各接触部材12がタッチパネル3に接触しない状態で保持されるような任意の構成とすることができる。
一方、各接触部材12は、上方から(Z軸負方向に向けて)押されると、図3(B)に示すように、弾性部材14が伸張することにより、タッチパネル3に接触することができる。図3(B)は、例として、接触部材12bが上方からZ軸負方向に(図3(B)に示す矢印の方向に)向けて押圧された様子を示している。この押圧力に起因して弾性部材14b及び14cが伸張し、接触部材12bの底面がタッチパネル3の上面に接触している。接触部材12a若しくは12c又は他の接触部材12が押された際も同様に、それぞれの接触部材12は、タッチパネル3の上面に接触することができる。このように、電子機器1において、ユーザが指などで接触部材12を押すと、当該接触部材12はタッチパネル3に接触する。接触部材12のタッチパネル3に接触する部分、すなわち接触部材12の底面部分は、比誘電率が例えば水などの所定の液体の比誘電率よりも低い部材で構成する。ここで、所定の液体とは、タッチパネル3が液体に覆われた状態、又は電子機器1が液体中で使用される際の当該液体を意味する。接触部材12の底面以外の部分は、例えばゴム又はプラスチックのような、形状を保持することができる任意の材料で構成することができる。
弾性部材14は、適度な弾性を有することにより、接触部材12に復元力を与えるように構成される。したがって、電子機器1において、ユーザが指などで押していた接触部材12に対する押圧力を弱めると、当該接触部材12はタッチパネル3に接触しなくなる。例えば、図3(B)に示すように接触部材12bが押圧された状態から、当該押圧を解除すると、図3(A)に示すように、接触部材12bがタッチパネル3の上面に接触していない状態に復元する。このように、接触部材12は、タッチパネル3に接触している状態からタッチパネル3に接触していない状態に戻る復元力を有するように構成してもよい。
図2及び図3においては、各接触部材12同士の間に弾性部材14が介在するような構成を示した。しかしながら、接触部材12及び弾性部材14は、図2及び図3に示すような構成に限定されない。例えば、接触部材12と弾性部材14とが一体として形成されるような構成にしたり、同一の部材が接触部材12として機能すると共に弾性部材14としても機能するような構成にしてもよい。
上述したように、電子機器1の筐体10は封止構造を備えるため、筐体10の内部への水の侵入は妨げられる。特に、電子機器1は、筐体10とタッチパネル3との隙間に水が侵入することを阻止できる。このため、電子機器1において、タッチパネル3の表面が水に覆われたり、電子機器1全体が水没したりしても、筐体10とタッチパネル3との隙間から電子機器1内部に水が侵入することは阻止される。
電子機器1に水などの液体がかかったり、電子機器1全体が水などの液体中に浸されたりすると、タッチパネル3の表面は水に覆われる。すなわち、図2及び図3に示す箇所α(以下、液体侵入部αと記す)及び当該箇所に連通する箇所には、水などの液体が自由に侵入することができる。このように、電子機器1において、接触部材12とタッチパネル3との間には、例えば水などの所定の液体が浸入可能であるように構成してもよい。電子機器1は、液体侵入部αに液体が侵入して、タッチパネル3の表面が液体で覆われたとしても、タッチパネル3と筐体10との隙間すなわち電子機器1内部に水が侵入することを阻止できる。
例えば水などの液体中において、電子機器1に対する操作を行う場合、図3(A)に示すように、各接触部材12とタッチパネル3との間には、水などの液体が介在することになる。具体的には、この場合、接触部材12a,12b,12cのそれぞれとタッチパネル3との間に、水などの液体が介在することになる。この状態で、ユーザが例えば接触部材12bを押圧すると、図3(B)に示すように、接触部材12bの底面がタッチパネル3の上面に接触する。この時、接触部材12bとタッチパネル3との間に介在していた水などの液体は、接触部材12bにより押しのけられるため、接触部材12bとタッチパネル3との間に(ほとんど)介在しなくなる。接触部材12a若しくは12c又は他の接触部材12が押圧された際も同様に、当該接触部材12とタッチパネル3との間に水などの液体は(ほとんど)介在しなくなる。
押圧力により押下される押しボタンスイッチのような部材は、水などの液体中に沈められると、スイッチの表面に加わる水圧又は液体の圧力によって、オンになってしまうことが懸念される。すなわち、ユーザが押しボタンスイッチに全く触れていない状態でも、勝手にオンになるという不都合が生じる懸念がある。この不都合を回避するためには、スイッチをオンにする際に大きな押圧力を求める措置を講じる等して、スイッチに加わる水圧又は液体の圧力に対抗する必要がある。例えば、スイッチに復元力を生じさせるスプリングを強化するなどの措置が考えられる。ところが、このような措置を講じると、スイッチをオンにする際に大きな押圧力が必要になり、ユーザに与える負担を増大させてしまう。
一方、本実施形態に係る電子機器1は、液体侵入部α及び当該箇所αに連通する箇所には水などの液体が自由に侵入するため、各接触部材12とタッチパネル3との間には、水などの液体が介在する。このため、電子機器1においては、各接触部材12の表面に加わる水圧又は液体の圧力によって、接触部材12が勝手にタッチパネル3に接触することは防止される。したがって、電子機器1においては、ユーザが操作していないにもかかわらず勝手にオンになるという不都合が生じない。
電子機器1が例えば水などの液体中で操作される場合、接触部材12は、接触部材12が例えば水などの液体から受ける圧力よりも小さい復元力を有するように構成してもよい。この場合、接触部材12は、その復元力によって、タッチパネル3に接触している状態からタッチパネル3に接触していない状態に戻るように構成してよい。このようにすれば、ユーザが接触部材を押す際に大きな押圧力が必要になることはなく、ユーザに与える負担を増大させないようにできる。また、接触部材12は、タッチパネル3に接触した状態からタッチパネル3に接触していない状態に復元し易くするために、タッチパネル3に接触する部分すなわち接触部材12の底面部分に例えば溝などを形成して、当該溝などに水などの液体が侵入するようにしてもよい。同様に、接触部材12は、タッチパネル3に接触する部分すなわち接触部材12の底面部分が例えば凹凸を含むように形成して、当該凹凸の隙間に水などの液体が侵入するようにしてもよい。
本実施形態において、コントローラ5は、接触検出プログラム411を実行する。このプログラムの実行により、コントローラ5は、タッチパネルコントローラ31から出力されるタッチパネル3の検出値に基づいて、当該タッチパネル3の静電容量を検出する。コントローラ5は、タッチパネル3のY軸ラインを構成する一の透明電極(第1電極)と、X軸ラインを構成する一の透明電極(第2電極)との間の静電容量(以後、第1静電容量と称することもある)を検出する。この第1静電容量は、タッチパネルコントローラ31によって実行される駆動電圧の印加によって発生する。そして、コントローラ5は、第1電極と第2電極との間に発生する第1静電容量に基づいて、ユーザの指などの接触物とタッチパネル3との間に生成される静電容量(以後、第2静電容量と称することもある)を算出する。ここで、タッチパネル3と接触物との間に生成される第2静電容量が増大する程、第1電極と第2電極との間に発生する第1静電容量は減少する。言い換えると、コントローラ5は、より大きい第1静電容量を検出すると、同時に、より小さい第2静電容量を検出することとなる。タッチパネルコントローラ31は、タッチパネル3の各透明電極に対応したそれぞれの検出値を出力する。コントローラ5は、タッチパネルコントローラ31から出力されるそれぞれの検出値に基づいて、当該タッチパネル3における他の領域よりも第2静電容量が大きい領域を接触領域として検出することができる。また、コントローラ5は、タッチパネル3において第2静電容量が所定値以上となる領域を接触領域として検出してもよい。この所定値は、タッチパネル3に接触物が実際に接触している時に検出される測定値と、タッチパネル3に接触物が接触していない時に検出される測定値とに基づいて定めることができる。
このように、電子機器1は、上記のような静電容量方式(特に投影型静電容量方式)による検出方法(第1の検出方法と称する)によって、タッチパネル3に対する接触物(指、ペン、又はスタイラスペン等)の接触を検出することができる。しかしながら、第1の検出方法では、電子機器1が例えば水中のように液体の中に在る状態においては、タッチパネル3への接触物の接触を検出することができない。
そこで、本実施形態に係る電子機器1において、コントローラ5は、第1の検出方法とは異なり、タッチパネル3における他の領域よりも第2静電容量が小さい領域(第1領域)を接触領域として検出する構成を有する。また、代わりに、本実施形態に係る電子機器1において、コントローラ5は、タッチパネル3における、第2静電容量が所定値以下の領域(第1領域)を前記接触物の接触領域として検出する構成を有していてもよい。この所定値も、タッチパネル3に接触物が実際に接触している時に検出される測定値と、タッチパネル3に接触物が接触していない時に検出される測定値とに基づいて定めることができる。このような構成において行う検出方法を、以下、第2の検出方法と称する。
従来の電子機器は、第1の検出方法により、比誘電率が高い(すなわちタッチパネルとの容量結合が容易な)所定物のタッチパネルに対する接触に基づく第2静電容量の増加に基づいて、該増加した位置を接触の位置として検出することができる。このような電子機器は、例えば、水中に在る状態においては、タッチパネル3の主面全体が水に曝されると、水との静電容量結合によってタッチパネル3の各位置の第2静電容量が一様に増加する。従って、水中において、比誘電率が高い所定物がタッチパネルに接触したとしても、当該接触に基づく第2静電容量の増加を検出することができない。したがって、この場合、従来の電子機器は、タッチパネルにおける接触位置を検出することができない。
一方、本実施形態に係る電子機器1は、上述の第2の検出方法により、タッチパネル3における接触領域の検出が可能になる。上述したように、タッチパネル3と所定物とが接触した領域には、水が接触し難くなる。このため、例えば、水の比誘電率(εr=80.4)よりも低い比誘電率の物質からなる所定物を水中でタッチパネル3に接触させると、他の接触していない領域よりも、タッチパネル3と水との容量結合が起き難い領域を生成することができる。したがって、電子機器1は、タッチパネル3における他の領域よりも第2静電容量が小さくなる領域(第1領域)を接触領域として検出することができる。また、電子機器1は、タッチパネル3における第2静電容量が所定値以下となる領域(第1領域)を接触領域として検出することもできる。すなわち、本実施形態に係る電子機器1は、上述の第2の検出方法を有することにより、静電容量方式であっても、例えば水中など液体中でのタッチ操作が可能となる。
コントローラ5は、第1の検出方法又は第2の検出方法により検出される接触の態様に基づいて、タッチパネル3に対してなされるジェスチャの種類を検出してもよい。コントローラ5は、制御プログラム41を実行することにより、タッチパネル3に対してなされるジェスチャの種類に応じて、ディスプレイ2に表示されている情報を変更する等の各種制御を実行してもよい。なお、本実施形態に係る電子機器1は、第1の検出方法を有さず、第2の検出方法のみを有する、すなわち、水中など液体中でのタッチ操作のみを可能とするものであってもよい。
上述のように、電子機器1は、第2の検出方法により、水の比誘電率(εr=80.4)よりも低い比誘電率の物質からなる所定物を水中でタッチパネル3に接触させることで、水中でのタッチ操作が可能となる。したがって、本実施形態に係る電子機器1においては、当該所定物を上述の接触部材12とすることにより、各接触部材12がタッチパネル3に接触したことを検出することができる。電子機器1を例えば水中でタッチ操作可能にする際は、各接触部材12のタッチパネル3に接触する部分の比誘電率が、水の比誘電率(εr=80.4)よりも低くなるように構成する。
本出願の発明者は、水の比誘電率(εr=80.4)よりも低い比誘電率の物質を備える接触部材12を電子機器1のタッチパネル3に水中で接触させる実験を行い、実験結果より、水中におけるタッチ操作の検出が可能であることを見出した。当該実験では、接触部材12においてタッチパネル3に接触する部分に、水の比誘電率よりも低い非誘電率の物質として、ゴム製の部材を採用した。接触部材12においてタッチパネル3に接触する部分の素材は、ゴムのような素材に限定されず、水の比誘電率よりも小さい比誘電率の物質からなるものであれば、如何なる素材であってもよい。
図4は、水中でのタッチ操作を行った際に検出される第2静電容量の大きさの分布を示す図である。上述のような条件下で、接触部材12がタッチパネル3に接触したときの第2静電容量の分布は図4に示す通りであり、他の領域よりも静電容量が低いピーク位置P1が確認された。図4は、例として、タッチパネル3の中央付近に配置された接触部材12が押されてタッチパネル3に接触した際に検出される第2静電容量の大きさの分布を示している。図4に示すように、接触部材12がタッチパネル3に接触した位置には、第2静電容量が低くなるピークP1が検出されている。また、接触部材12がタッチパネル3に接触していない位置には、全体として高い第2静電容量が検出されている。
このように、ピーク位置P1における第2静電容量と他の領域における第2静電容量との差は、当該ピーク位置を他の領域と区別するのに十分であることが確かめられた。したがって、このような方式により、水中でのタッチ操作が検出可能であることが見出された。ゴム製の接触部材12がタッチパネル3に接触する領域は、水が接触し難く、かつ、実験者の指先とも容量結合し難い領域となる。この領域は、タッチパネルコントローラ31によって実行される駆動電圧の印加により、タッチパネル3上に形成される表面電荷が水中に離散され難い領域となる。
通常の電子機器を用いて、大気中でタッチパネルに対するタッチ操作を行う場合には、タッチパネルに対して、空気よりも比誘電率が高い物質(例えば、指)が接触する。この場合、該接触の位置にて指とタッチパネルとの間に容量結合が生じ、接触していない他の領域よりも第2静電容量が増大する。このような現象に基づいて、通常の電子機器は、接触の位置を検出することができる(第1の検出方法)。すなわち、第1の検出方法では、図4における上方(ピークP1とは逆方向)のピークを接触の位置として検出する。このため、第1の検出方法による検出は、本実施形態に係る電子機器1の構成において行う第2の検出方法による検出とは全く異なることが理解される。
次に、図5を参照して、電子機器1が実行する機能について説明する。図5は、実施形態に係る電子機器1が実行する処理の例を示すフローチャートである。電子機器1は、コントローラ5で記憶部4に記憶されている制御プログラム41を実行することで、図5に示す処理を実行することができる。
図5に示す処理が開始すると、電子機器1のコントローラ5は、タッチパネルコントローラ31から出力されるタッチパネル3の検出値に基づき、タッチパネル3の各位置に対応する第2静電容量を取得する(ステップS11)。ここで、第2静電容量とは、上述のように、タッチパネル3と接触物(接触部材12)との間に生成される静電容量である。
ステップS11において第2静電容量を取得すると、コントローラ5は、タッチパネル3における他の領域よりも第2静電容量が小さい領域(第1領域)があるか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において第1領域がないと判定された場合(No)、コントローラ5は、図5に示す処理を終了する。一方、ステップS12において第1領域があると判定された場合(Yes)、コントローラ5は、処理をステップS13に移す。
ステップS13においては、コントローラ5は、第1領域の大きさが所定の大きさよりも大きいか否かを判定する。ここで、第1領域の所定の大きさは、タッチパネル3に対する接触物として、接触部材12が触れたものと見なせる程度の大きさ(例えば、5mm四方)としてよい。
ステップS13において、第1領域の大きさが所定の大きさよりも小さいと判定された場合(No)、コントローラ5は、当該第1領域は接触領域としては検出せず(すなわち、第1領域の検出を無効にし)、処理を終了する。一方、ステップS13において、第1領域の大きさが所定の大きさよりも大きいと判定された場合(Yes)、コントローラ5は、当該第1領域を、接触部材12がタッチパネル3に接触したことによる接触領域として検出する(ステップS14)。
コントローラ5は、接触部材12による接触の検出に基づき、当該接触の態様に基づくジェスチャの種別を推定し、当該ジェスチャに従って、所定の動作を実行する。例えば、コントローラ5は、接触部材12がユーザによって短押しされたか、又は長押しされたかを判定してもよい。また、例えば、コントローラ5は、接触部材12がユーザによって1度だけ押された、又はダブルクリックのように2回連続で押されたか等を判定してもよい。コントローラ5は、所定の動作を実行した後、処理を終了する。
このように、本実施形態に係る電子機器1において、コントローラ5は、タッチパネル3における静電容量が他の領域よりも小さい領域を接触領域と判定する。この場合、接触部材12がタッチパネル3に接触すると、当該接触した領域の静電容量が他の領域の静電容量よりも小さくなる。
なお、図5に示す例では、コントローラ5が、タッチパネル3における他の領域よりも第2静電容量が小さい領域を第1領域として検出する構成を示した。しかしながら、このような構成に限定されず、コントローラ5は、タッチパネル3における、第2静電容量が所定値以下になる領域を第1領域として検出する構成であってもよい。この所定値は、タッチパネル3に接触部材12が実際に接触している時に検出される測定値と、タッチパネル3に接触部材12が接触していない時に検出される測定値とに基づいて定めてもよい。
このように、本実施形態に係る電子機器1において、コントローラ5は、タッチパネル3における静電容量が所定値以下の領域を接触領域と判定してもよい。この場合、接触部材12がタッチパネル3に接触すると、当該接触した領域の静電容量が前記所定値以下となる。
また、上述した実施形態を組み合わせて実施してもよい。すなわち、コントローラ5が接触領域と判定するのは、タッチパネル3における第2静電容量が他の領域よりも小さい領域であって、さらに、第2静電容量が所定値以下となる領域としてもよい。このように、本実施形態に係る電子機器1において、コントローラ5は、タッチパネル3における静電容量が所定値以下でかつ他の領域の静電容量よりも小さい領域を接触領域と判定してもよい。この場合、接触部材12がタッチパネル3に接触すると、当該接触した領域の静電容量が所定値以下でかつ他の領域の静電容量よりも小さくなる。
上述のように、本実施形態に係る電子機器1において、接触部材12がタッチパネル3に接触すると、当該接触した領域の静電容量が他の領域の静電容量よりも小さくなる、または、当該接触した領域の静電容量が前記所定値以下となる。このように、本実施形態に係る電子機器1は、静電容量方式のタッチパネル3と、タッチパネル3に接触する部分の比誘電率が液体の比誘電率よりも低い部材(接触部材12)と、接触部材12がタッチパネル3に接触したことに起因する当該タッチパネル3の静電容量の変化に基づき、接触部材12の接触を検出するコントローラ5と、を少なくとも含むものと特徴づけられてもよい。
上述のように、本実施形態に係る電子機器1において、コントローラ5は、検出した第1領域が所定の大きさよりも小さい場合、接触部材12の接触による接触領域でないと判定してよい。この場合、コントローラ5は、当該第1領域が所定の大きさよりも大きい場合には当該第1領域を接触部材12の接触による接触領域として検出してよい。
水中には、電荷が自由に移動できる状態で多数存在しているため、このような電荷が電子機器1のタッチパネル3の表面近傍に移動すると、当該電荷により第1静電容量が増加したと見なされる局所的な領域が形成されることがある。第1静電容量が増加した領域は、すなわち、第2静電容量が減少した領域であるため、このような局所的な領域が、第2の検出方法において、接触領域として誤検出されてしまう場合がある。したがって、検出した第1領域が所定の大きさよりも小さい場合に接触領域でないと判定し、当該第1領域が所定の大きさよりも大きい場合には当該第1領域を接触領域として検出する構成とするのが好適である。このような構成によれば、水中を自由に移動する電荷に起因する第2静電容量の変化に基づいて接触領域を誤検出してしまうことを防止できる。
このように、本実施形態に係る電子機器1によれば、タッチパネル3が水に覆われた状態、または、電子機器1の本体が水中にあるような状態においても、タッチパネル3を使用して接触を検出することができる。したがって、本実施形態に係る電子機器1によれば、電子機器1の用途を拡張することができる。
以上の説明した実施形態においては、電子機器1は、例えば水などの液体中で使用されることを想定して記述した。しかしながら、電子機器1は、所定の状況において使用されることを想定して構成することもできる。
電子機器1において記憶部4に記憶される制御プログラム41は、電子機器1(自機)が所定の状況に在るか否かを推定するための機能を提供できる。制御プログラム41は、設定データ42を参照することによって、タッチパネル3の検出値に基づき、電子機器1が所定の状況に在るか否かを推定してよい。この場合、設定データ42は、タッチパネル3の検出値に基づいて検出される当該タッチパネル3における静電容量の分布に基づいて、電子機器1が所定の状況に在るか否かを推定するための条件データを含んでいてよい。或いは、設定データ42は、電子機器1が所定の状況に在ると推定され得るタッチパネル3の検出値と、電子機器1が所定の状況に無いと推定され得るタッチパネル3の検出値と、を条件データとして含んでいてよい。或いは、設定データ42は、電子機器1が所定の状況に無い状態から所定の状況に在る状態に遷移したと推定され得るタッチパネル3の検出値の変化条件を条件データとして含んでいてもよい。同様に、設定データ42は、電子機器1が所定の状況に在る状態から所定の状況に無い状態に遷移したと推定され得るタッチパネル3の検出値の変化条件を条件データとして含んでいてもよい。
また、制御プログラム41は、設定データ42として、気圧データ43を参照してもよい。気圧データ43を参照することによって、圧力センサの検出値に基づき、コントローラ5は、電子機器1が所定の状況に在るか否かを推定してもよい。この場合、電子機器1内の気圧センサ8を圧力センサとして用いて、電子機器1外からかかる圧力値を検出してもよい。具体的には、例えば図6に示すように、コントローラ5は、まず、電子機器1内の圧力センサの検出値が例えば所定値以上であるか否かを判定してもよい(ステップS21の(1))。そして、ステップS21において圧力センサの検出値が例えば所定値以上である場合、コントローラ5は、図5に示したフローチャートにおけるステップS11以降の処理を実行してもよい(ステップS22)。
ここで、圧力センサの検出値の所定値とは、例えば電子機器1が大気中に在る状況とは区別できるような値とすることができる。この場合、気圧データ43は、圧力センサの検出結果と電子機器1の状態との関係に関する情報を含む。気圧データ43は、予め試験やシミュレーション等によって検出した、圧力センサの検出結果と電子機器1が所定の状況に在るか否かの状態との関係に関する情報を記憶している。
また、制御プログラム41は、設定データ42として、第2静電容量のデータを参照してもよい。第2静電容量のデータを参照することによって、タッチパネル3の検出値に基づき、コントローラ5は、電子機器1が所定の状況に在るか否かを推定してもよい。
具体的には、例えば図6に示すように、コントローラ5は、まず、タッチパネル3の検出値(第2静電容量)が大半の領域において所定値以上であるか否かを判定してもよい(ステップS21の(2))。図4で説明したように、例えば電子機器1が水などの所定の液体中にある場合、タッチパネル3の検出値(第2静電容量)は、大半の領域において大きな値になる。そして、ステップS21においてタッチパネル3の検出値が例えば所定値以上である場合、コントローラ5は、図5に示したフローチャートにおけるステップS11以降の処理を実行してもよい(ステップS22)。
ここで、タッチパネル3の検出値の所定値とは、例えば電子機器1が大気中に在る状況とは区別できるような値とすることができる。この場合、第2静電容量のデータは、タッチパネル3の検出結果と電子機器1の状態との関係に関する情報を含む。第2静電容量のデータは、予め試験やシミュレーション等によって検出した、タッチパネル3の検出値の検出結果と電子機器1が所定の状況に在るか否かの状態との関係に関する情報を記憶している。
さらに、コントローラ5は、図6に示すステップS21において、(1)及び(2)双方の条件に基づいて、ステップS22の処理を行うか否かを決定してもよい。
このようにすれば、電子機器1は、自機が所定の状況に在るか否かを推定することができる。例えば、「所定の状況」として、電子機器1のタッチパネル3が水などの液体に覆われた状態、または、電子機器1の本体が水などの液体中にあるような状態にあるか否かを判定することができる。
以上に説明した実施形態では、電子機器1が投影型静電容量方式における相互容量方式によって接触物の接触を検出する構成を示したが、検出の方式はこれに限られず、自己容量方式や、自己容量方式と相互容量方式を組み合わせたデュアル方式であってもよい。
(本実施形態における他の例)
図7は、本実施形態における他の例に係る電子機器1の外観を示す図である。図8は、図7に示した電子機器1のB−B’における断面図である。以下、図2及び図3において説明した実施形態とは異なる点を主として説明し、重複する説明は適宜簡略化又は省略する。
図2及び図3に示した例では、電子機器1は任意の個数の接触部材12を備えるものとして説明した。図7及び図8に示すように、本実施形態における他の例に係る電子機器1において、図2及び図3に示した接触部材12及び弾性部材14は、単一のシート状部材により構成されている。以下、このように単一のシート状部材により構成された接触部材12と弾性部材14とを、まとめて「接触部材12,14」と記す。
接触部材12,14は、弾性部材14としての機能を果たすために、例えばゴムなどの適度な弾性を有する部材で構成する。また、接触部材12,14は、接触部材12としての機能を果たすために、タッチパネル3に接触する部分、すなわち接触部材12,14の底面部分は、比誘電率が例えば水などの所定の液体の比誘電率よりも低い部材で構成する。
図8に示すように、接触部材12,14は、筐体10に支持される。具体的には、接触部材12,14の左端は、筐体10の左側の内壁に支持される。また、接触部材12,14の右端は、筐体10の右側の内壁に支持される。接触部材12,14の両端が筐体10に支持されることにより、図8(A)に示すように、接触部材12,14は、タッチパネル3に接触しない状態で保持される。図7及び図8に示す例において、接触部材12,14は、横方向(X軸方向)のみ筐体10に支持されている。しかしながら、接触部材12,14は、縦方向(Y軸方向)のみ筐体10に支持されてもよい。さらに、接触部材12,14は、それぞれ横方向及び縦方向(X軸方向及びY軸方向)の双方が部分的に筐体10に支持されてもよい。
一方、接触部材12,14は、上方から(Z軸負方向に向けて)押されると、図8(B)に示すように、接触部材12,14自身が伸張することにより、タッチパネル3に接触することができる。図8(B)は、例として、接触部材12,14の中央周辺が上方からZ軸負方向に(図8(B)に示す矢印の方向に)向けて押圧された様子を示している。この押圧力に起因して接触部材12,14は伸張し、接触部材12,14の底面がタッチパネル3の上面に接触している。このように、電子機器1において、ユーザが指などで接触部材12,14を押すと、押された部分の位置において、接触部材12,14はタッチパネル3に接触する。
また、接触部材12,14は、適度な弾性を有することにより、復元力を有するように構成される。したがって、電子機器1において、ユーザが指などで押していた接触部材12,14に対する押圧力を弱めると、当該接触部材12,14はタッチパネル3に接触しなくなる。例えば、図8(B)に示すように接触部材12,14が押圧された状態から、当該押圧を解除すると、図8(A)に示すように、接触部材12,14がタッチパネル3の上面に接触していない状態に復元する。このように、接触部材12,14は、タッチパネル3に接触している状態からタッチパネル3に接触していない状態に戻る復元力を有するように構成してもよい。
電子機器1に水などの液体がかかったり、電子機器1全体が水などの液体中に浸されたりすると、タッチパネル3の表面は水に覆われる。すなわち、図7及び図8に示す液体侵入部α及び当該箇所に連通する箇所には、水などの液体が自由に侵入することができる。このように、電子機器1において、接触部材12,14とタッチパネル3との間には、例えば水などの所定の液体が浸入可能であるように構成してもよい。図7及び図8においては、タッチパネル3の上端部及び下端部、すなわちタッチパネル3の長辺方向の両端部に液体侵入部αが形成されている。しかしながら、液体侵入部αは、タッチパネル3上に位置する接触部材12,14の任意の位置に形成することができる。また、液体侵入部αを形成する個数は、ひとつ以上の任意の数とすることができる。
例えば水などの液体中において、電子機器1に対する操作を行う場合、図8(A)に示すように、接触部材12,14とタッチパネル3との間には、水などの液体が介在することになる。この状態で、ユーザが例えば接触部材12,14を押圧すると、図8(B)に示すように、接触部材12,14の底面がタッチパネル3の上面に接触する。この時、接触部材12,14とタッチパネル3との間に介在していた水などの液体は、接触部材12,14により押しのけられるため、接触部材12,14とタッチパネル3との間に(ほとんど)介在しなくなる。
このような電子機器1も、液体侵入部α及び当該箇所αに連通する箇所には水などの液体が自由に侵入するため、接触部材12,14とタッチパネル3との間には、水などの液体が介在する。このため、電子機器1においては、接触部材12,14の表面に加わる水圧又は液体の圧力によって、接触部材12,14が勝手にタッチパネル3に接触することは防止される。したがって、この電子機器1においても、ユーザが操作していないにもかかわらず勝手にオンになるという不都合が生じない。
図2、図3、図7、及び図8に示した電子機器1において、それぞれ、接触部材12又は接触部材12,14は、電子機器1の本体から取り外し可能なアタッチメント式に構成してもよい。このように構成すれば、電子機器1が水などの液体中にない状況においては、通常の電子機器のタッチパネルと同様に、ユーザの指などを用いて操作できるとともに、電子機器1が水などの液体中にある状況においても、ユーザは操作を行うことができる。
以上、添付の請求項に係る技術を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施形態に関し記載してきた。しかしながら、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうる全ての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。
静電容量方式であっても水中でのタッチ検出を行うために、上記の実施形態に係る電子機器1において、コントローラ5が、タッチパネル3における他の領域よりも第2静電容量が小さい領域を接触領域として検出する構成を示した。この構成に代えて、又はこの構成とともに、タッチパネル3において第2静電容量(タッチパネル3と接触物との間に生成される静電容量)が所定値以下の領域を接触領域として検出する構成も示した。しかしながら、本実施形態に係る電子機器1は、コントローラ5が、複数の電極間で生成される第1静電容量を検出してもよい。この場合、タッチパネル3における他の領域よりも第1静電容量が大きい領域、又はタッチパネル3における第1静電容量が所定値以上となる領域を接触領域として検出するものと特徴付けられてもよい。
また、本実施形態に係る電子機器1は、上述したように、自機が水中に在る状態で、タッチパネル3の全域において、第2静電容量(タッチパネル3と接触物との間に生成される静電容量)が一様に増加する。例えば、タッチパネル3において水に曝される領域の第2静電容量は最大の検出値になる。そこで、本実施形態において、水の比誘電率よりも低い比誘電率の素材から成る所定物を接触させることによって、当該接触した領域における第2静電容量を他の領域よりも小さくすることによって、接触の検出を可能にすることを説明した。このような構成によれば、本実施形態に係る電子機器1において、コントローラ5は、タッチパネルコントローラ31から出力されるタッチパネル3の検出値に基づき、当該タッチパネル3における静電容量の変化を検出することができる。ここで、タッチパネル3における静電容量の変化とは、上記の第1静電容量と第2静電容量の何れであってもよい。そして、本実施形態においては、タッチパネル3における静電容量の変化量が所定値以下の領域、又は、タッチパネル3における他の領域よりも静電容量の変化量が小さい領域、を接触領域として検出するものと特徴付けられてもよい。
また、上記の本実施形態では、自機が水中にない状態においては、第2静電容量の増加位置を接触領域として検出することができる。一方、上記の本実施形態では、自機が例えば水中に在る状態においては、第2静電容量の減少位置が接触領域として検出されるものと説明した。これによれば、本実施形態に係る電子機器1が水中でのタッチ操作を可能とするためには、コントローラ5が、タッチパネルコントローラ31から出力されるタッチパネル3の検出値に基づき、自機が水中に在るか否かを判定することができる。そして、自機が水中に無い状態から自機が水中に在る状態に遷移したと判定すると、コントローラ5が、タッチパネル3の検出値の正負を反転する処理を実行する構成を有していればよい。また、このような処理は、コントローラ5が実行するのではなく、タッチパネルコントローラ31が実行してもよい。この場合、タッチパネルコントローラ31は、自機が水中に無い状態から自機が水中に在る状態に遷移したと判定すると、タッチパネル3の検出値の正負を反転させた信号をコントローラ5へ出力すればよい。このようにすることで、コントローラ5は、自機が水中に在るか否かに依らず、又は、特別な処理を実行することなく、タッチパネル3に対する接触を検出することができる。
また、上記の本実施形態では、コントローラ5が、タッチパネル3と接触物との間に生成される静電容量(第2静電容量)を検出する構成を示した。また、上記の本実施形態では、タッチパネル3における他の領域よりも第2静電容量が小さい領域、或いは、タッチパネル3において第2静電容量が所定値以下の領域を接触領域として検出する構成を示した。しかしながら、本発明の実施形態において、前述のような検出は、タッチパネルコントローラ31が行ってもよい。
上記の実施形態では、タッチパネル3を備える電子機器1として、スマートフォンを例にとって説明したが、本実施形態に係る電子機器1は、スマートフォンに限定されない。電子機器1は、例えば、モバイルフォン、タブレット、携帯型パソコン、デジタルカメラ、スマートウォッチ、スマートグラス、メディアプレイヤ、電子書籍リーダ、ナビゲータ、ゲーム機等であってもよい。さらに、電子機器1は、ユーザの身体に直接的又は間接的に装着可能なウェアラブル機器(腕時計型、メガネ型、衣服型等)であってもよい。例えば電子機器1は、ダイビング(潜水)用のスーツに備えられるものであってもよい。この場合、スーツに静電容量方式のタッチセンサを設け、第2の検出方式による接触の検出を行うことにより、海中での操作を自由に行うことができる。
上記の実施形態では、電子機器1の構成と動作について説明したが、本発明の実施形態は、これに限定されず、各構成要素を備える方法やプログラムとして構成されてもよい。