以下、本発明のリークゼロエマージェンシーベントの複数の実施形態について説明する。まず、各実施形態の説明に先立って、複数の実施形態のリークゼロエマージェンシーベントが共通に適用される貯蔵タンクについて説明する。
(共通の貯蔵タンク)
図1は、本発明の複数の実施形態のリークゼロエマージェンシーベントが共通に適用される貯蔵タンクを示す模式図である。
図1に示されている貯蔵タンクT11は、例えば石油等の可燃性の貯蔵液L11を貯蔵するタンクである。その内部には、貯蔵液L11から揮発した内部気体Ar11が存在している。
この貯蔵タンクT11の上面には、ブリザーバルブV11と、リークゼロエマージェンシーベントV12と、が搭載されている。ブリザーバルブV11は、通常時における気温変動等に応じて、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11を外部に逃がしたり、外部の大気を貯蔵タンクT11の内部に取り入れたりする通気装置である。一方、リークゼロエマージェンシーベントV12は、例えば貯蔵タンクT11周辺の火災やブリザーバルブV11の故障等により、貯蔵タンクT11の内圧が閾値を超えて異常昇圧した際に緊急開放する緊急時の通気装置である。ブリザーバルブV11は、貯蔵タンクT11の上面から突出した小口径の導入筒T11aの上端に固定されている。また、リークゼロエマージェンシーベントV12は、貯蔵タンクT11の上面から突出した大口径の導入筒T11bの上端に固定されている。
以下に説明する本発明の各実施形態のリークゼロエマージェンシーベントは、何れも、この図1に示されているリークゼロエマージェンシーベントV12としてこの貯蔵タンクT11に搭載されるものである。
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。この図2には、図中上段に、通常時で後述の蓋部102が閉じられた閉塞状態が示され、図中下段に、緊急時で蓋部102が開かれた開放状態が示されている。
本実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10は、筒状ボディ101、蓋部102、圧力検知管103、遮断弁104、圧力検知弁105(内圧検知部)、逆止弁106、復帰弁107、及び開閉機構110を備えている。
筒状ボディ101は、円筒状に形成され、その下部フランジ101aが、図1に示されている大口径の導入筒T11bの上端に固定される。蓋部102は、この筒状ボディ101の上端の円形開口101cを開閉自在に塞ぐことで、図1に示されている貯蔵タンクT11におけるエマージェンシー用の大口径の開口を塞ぐ円板状の部材となっている。この蓋部102は、筒状ボディ101の上端縁に取り付けられたOリング101bを介して筒状ボディ101の円形開口101cに後述するように押圧されて閉じられる。また、蓋部102は、この円形開口101cから後述するように離隔されることで開かれる。尚、ここでは、蓋部102と筒状ボディ101との密閉のために間に介在する部材の一例としてOリング101bが例示されている。しかしながら、このような部材は、Oリングに限るものではなく、例えば成形パッキン等であってもよい。
圧力検知管103は、筒状ボディ101の内部気体、即ち図1に示されている貯蔵タンクT11の内部気体Ar11を、遮断弁104を介して圧力検知弁105へと導入する配管である。遮断弁104は、通常は開いて内部気体Ar11を通し、作業者から所定の導入遮断操作を受けると内部気体Ar11の導入を遮断する。圧力検知弁105は、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が導入され、当該内部気体Ar11の圧力が緊急開放のための閾値を超えると開くように構成されている。
ここで、本実施形態では、不図示の気体供給源から、開閉機構110に、蓋部102を筒状ボディ101の円形開口101cへと押圧して閉じるための閉塞用作動気体や、蓋部102をその円形開口101cから離隔して開くための開放用作動気体が供給される。尚、本実施形態では、閉塞用作動気体及び開放用作動気体として共通の作動気体Ar12が供給される。
圧力検知弁105には、この作動気体Ar12の一部が導入され、内部気体Ar11の圧力が緊急開放のための閾値を超える圧力超過が生じると、圧力検知弁105が開いてこの作動気体Ar12を開閉機構110へと導入する。また、圧力検知弁105から開閉機構110への作動気体Ar12の導入は逆止弁106を介して行われる。この逆止弁106は、開閉機構110から圧力検知弁105への作動気体Ar12の逆流を規制する。
また、逆止弁106から開閉機構110へと至る配管108aの途中には復帰弁107を介して枝配管108bが連結されている。圧力検知弁105から開閉機構110に導入される作動気体Ar12は、後述するように開閉機構110に蓋部102を開放させるための開放用作動気体である。復帰弁107は、閉じられると逆止弁106と開閉機構110との間にこの作動気体Ar12を閉じ込めることで、開閉機構110に蓋部102の開放状態を維持させる開放維持部の役割を果たす。作業者がこの復帰弁107を開くと、閉じ込められていた作動気体Ar12が枝配管108bから外部に排出される。この排出により、後述するように開閉機構110が蓋部102を筒状ボディ101の円形開口101cへと押圧して閉じ、このリークゼロエマージェンシーベント10が、通常状態に復帰する。尚、ここでは、復帰時の作動気体Ar12の排出が枝配管108bから行われる形態が例示されている。しかしながら、このような枝配管108bは特に設けずに、復帰弁107から直に作動気体Ar12の排出が行われるように構成してもよい。
開閉機構110は、上記の圧力超過の発生により圧力検知弁105が開かれて作動気体Ar12が導入されるまでは蓋部102を筒状ボディ101の円形開口101cに押圧して閉じ続ける。圧力検知弁105が開かれて作動気体Ar12が導入されると蓋部102を円形開口101cから離隔して開く。開閉機構110は、開放バネ111と、気圧作動式の閉塞機構112と、同じく気圧作動式の制御弁113と、を備えている。
開放バネ111は、筒状ボディ101の内部に配置され、所定のバネ力で押し上げて筒状ボディ101の円形開口101cから離隔して開く付勢方向D11に蓋部102の中央を付勢している。
閉塞機構112は、制御弁113からバネ力よりも大きな圧力の閉塞用の作動気体Ar12の導入を受けて蓋部102を円形開口101cに押圧して閉じる気圧シリンダである。閉塞機構112は、円筒状のボディ112aの内部に一端が蓋部102の外周縁寄りに固定されたピストン112bが収容されたものである。円筒状のボディ112aの内部は、ピストン112bによって2つの空間に区画されており、本実施形態では、蓋部102の側の空間が、作動気体Ar12の導入を受ける作動空間112cとなっている。この作動空間112cに作動気体Ar12が導入されると、その作動気体Ar12が開放バネ111のバネ力よりも大きな圧力によって、付勢方向D11とは逆向きにピストン112bを押し下げる。これにより、蓋部102が円形開口101cに押圧されて閉じられる。一方、作動空間112cから作動気体Ar12が排出されると、ピストン112bを押し下げる圧力が消失し、開放バネ111が、そのバネ力により蓋部102を円形開口101cから離隔して開くこととなる。この閉塞機構112が、筒状ボディ102の周壁に複数固定されている。蓋部102は、これら複数の閉塞機構112と、開放バネ111と、によって開閉される。
制御弁113は、圧力検知弁105での検知結果に応じて閉塞機構112に対する上述した閉塞用の作動気体Ar12の導入と排出とを制御する。制御弁113は、円筒状のボディ113aの内部に作動片113bが収容されたものである。ボディ113aには、作動気体Ar12の導入配管109aと、閉塞機構112との連結配管109bが接続されている。導入配管109aは不図示の供給源からの作動気体Ar12をボディ113aの内部に導く配管であり、連結配管109bはこの制御弁113と閉塞機構112における作動空間112cとを連結する配管である。また、ボディ113aには、作動気体Ar12の排出口113a−1が設けられている。更に、ボディ113aの内部には作動片113bの動きに応じて連結配管109bを導入配管109aに連通させたり排出口113a−1に連通させたりする連通部材113cが収容されている。尚、ここにいう作動片113bの一例としては、空気圧式切換え弁におけるピストンが挙げられ、連通部材113cの一例としては、空気圧式切換え弁におけるスプールが挙げられる。また、作動片113bと連通部材113cとは、ここでは特定しないが、一部品として一体成形されたものであってもよく、あるいは、2部品として形成され、互いに連動するように連結されたもの等であってもよい。
この制御弁113では、圧力検知弁105で圧力超過が検知されず、この圧力検知弁105からの作動気体Ar12の導入がない通常時には、連通部材113cが閉塞機構112との連結配管109bを作動気体Ar12の導入配管109aに連通させている。これにより、通常時には、閉塞機構112に作動気体Ar12が導入され、その作動気体Ar12の圧力により蓋部102が閉じられる。連結配管109bが導入配管109aに連通されている限り、作動気体Ar12が閉塞機構112に導入され続け、蓋部102の閉塞状態が維持される。
他方、圧力検知弁105で圧力超過が検知され、この圧力検知弁105から作動気体Ar12が導入される緊急時には、ボディ113aの内部の作動片113bが作動気体Ar12の圧力により押下げられる。この作動片113bの動きに応じて連通部材113cが閉塞機構112との連結配管109bを作動気体Ar12の排出口113a−1に連通させる。すると、閉塞機構112の作動空間112cから作動気体Ar12が排出され、開放バネ111が蓋部102を円形開口101cから離隔して開く。
このように、制御弁113は、圧力検知弁105で圧力超過が検知されるまでは閉塞機構112へと閉塞用の作動気体Ar12を導入し、圧力超過が検知されると閉塞機構112から作動気体Ar12を排出させるものとなっている。
また、本実施形態では、蓋部102が開いた後、その開放状態が、逆止弁106と制御弁113との間に作動気体Ar12が閉じ込められることで維持される。そして、この開放状態を解消し、リークゼロエマージェンシーベント10を、再度、蓋部102を閉じた通常状態に復帰させる処理が、作業者が復帰弁107を開く手動操作によって行われる。この手動操作により、閉じ込められていた作動気体Ar12が枝配管108bから外部に排出される。この排出により、制御弁113の作動片113bが復位し、連通部材113cが連結配管109bを導入配管109aに連通させる。その結果、閉塞機構112に作動気体Ar12が導入されて蓋部102が閉じられ、リークゼロエマージェンシーベント10が、通常状態に復帰する。
尚、本実施形態では、復帰弁107の使用形態の一例として、リークゼロエマージェンシーベント10を通常状態に復帰させるとき以外は完全に閉じるという形態が例示されている。しかしながら、復帰弁107の使用形態はこれに限るものではない。復帰弁107の使用形態は、例えば、作動気体Ar12の供給量よりも少ない微量の作動気体Ar12が常時排出されるように僅かに開いた状態で使用する形態であってもよい。この場合、圧力超過により圧力検知弁105から作動気体Ar12が供給されるときには、復帰弁107からの排出量が微量なので、圧力検知弁105から作動気体Ar1によって制御弁113が動作して蓋部102が開く。圧力超過が解消されて圧力検知弁105からの作動気体Ar12の供給が無くなると、閉じ込められていた作動気体Ar12が徐々に排出され、やがて制御弁113の作動片113bが復位して蓋102が閉じる。つまり、復帰弁107をこのような形態で使用することで、リークゼロエマージェンシーベント10を、通常状態に自動的に復帰させることもできる。
以上に説明した第1実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10によれば、貯蔵タンクT11の内圧が閾値以下であって蓋部102が閉じている通常時にあっては、開閉機構110による蓋部102の閉塞により気密性が高められる。そして、その高い気密性が、貯蔵タンクT11の内圧が閾値を超えた緊急時に開閉機構110が蓋部102を開くまでは維持される。これにより、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができる。
ここで、本実施形態では、開閉機構110が蓋部102を開くと、復帰弁107が所定の復帰操作を受けるまでは、開閉機構110における制御弁113と逆止弁106との間に作動気体Ar12が閉じ込められる。この作動気体Ar12の閉じ込めにより、蓋部102の開放状態が維持される。これにより、緊急時における蓋部102の開放状態が維持される。緊急時における開放状態は、例えば作業者により周辺の状況等が確認されるまでは維持されることが望ましく、本実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10は、この点において好適なものとなっている。
また、本実施形態では、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の圧力超過が、この内部気体Ar11が導入される圧力検知弁105という機械構造部品によって行われる。このため、本実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10は、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が可燃性の貯蔵液L11から揮発した可燃性の気体であって周辺での通電を嫌う場合等における圧力超過の検知に有利である。
また、本実施形態では、圧力検知弁105から開閉機構110への作動気体Ar12の導入が、当該開閉機構110から圧力検知弁105への作動気体Ar12の逆流を規制する逆止弁106を介して行われる。これにより、圧力検知弁105からの作動気体Ar12を、逆止弁106を設けることで逆流による損失を抑えて開閉機構110へと導入することができる。
また、本実施形態では、貯蔵タンクT11から圧力検知弁105への内部気体Ar11の導入が、所定の導入遮断操作を受けると当該内部気体Ar11の導入を遮断する遮断弁104を介して行われる。一般的に、貯蔵タンクT11については、例えば耐圧試験や清掃等のように貯蔵タンクT11の内圧上昇を伴うメンテナンス作業が行われることがある。本実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10によれば、遮断弁104で圧力検知弁105への内部気体Ar11の導入を遮断することで、蓋部102の不要な開閉動作を生じさせることなくメンテナンス作業を行うことができる。
また、本実施形態では、開閉機構110が、開放バネ111、気圧作動式の閉塞機構112、及び、圧力検知弁105での検知結果に応じて閉塞機構112に対する閉塞用の作動気体Ar12の導入と排出とを制御する制御弁113、を備える。制御弁113は、圧力検知弁105で圧力超過が検知されるまでは閉塞機構112へと作動気体Ar12を導入し、圧力検知弁105で圧力超過が検知されると閉塞機構112から作動気体Ar12を排出させる。このリークゼロエマージェンシーベント10は、圧力超過が検知されたときの、バネ力による即応性の高い蓋部102の開放と、制御弁113における構造の簡単さの点で有利である。
尚、本実施形態では、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント10への作動気体Ar12の供給形態として、作動気体Ar12が直に供給される形態が例示されている。しかしながら、作動気体Ar12の供給形態はこれに限るものではない。作動気体Ar12の供給形態は、例えば気体供給源から逆止弁を介してリークゼロエマージェンシーベント10に作動気体Ar12を供給する形態であってもよい。このような供給形態によれば、仮に、何らかの原因により気体供給源からの作動気体Ar12の供給量が極端に減少するような事態が生じたとしても、開閉機構110と逆止弁との間に作動気体Ar12が保持されて、蓋部102の閉塞状態を維持することができる。また、このような作動気体Ar12の供給形態においても、圧力超過時には、制御弁113によって開閉機構110から作動気体Ar12が排出されるので蓋部102を開くことができる。
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
図3に示されている第2実施形態のリークゼロエマージェンシーベント15は、開閉機構150において緊急時に蓋部102を開く開放バネ151が、図2に示されている第1実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10と異なっている。一方で、他の構成要素は第1実施形態と同等である。図3では、図2に示されている構成要素と同等な構成要素には図2と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を割愛し、第1実施形態との相違点に注目して説明を行う。
本実施形態における開放バネ151は、図1に示されている第1実施形態の開放バネ111とは異なり、気圧シリンダである閉塞機構112における円筒状のボディ112aの内部に収容されている。本実施形態の開放バネ151は、ピストン112bによって区画されたボディ112aの内部の2つの空間のうち、作動気体Ar12が導入される閉塞用の作動空間112cとは反対側の空間に収容されている。
通常時には、作動空間112cに導入される作動気体Ar12の、開放バネ151のバネ力よりも大きな圧力により、ピストン112bが押下げられて蓋部102が閉じられる。このときには、開放バネ151はピストン112bによって押し縮められている。この開放バネ151は、所定のバネ力で筒状ボディ101の円形開口101cから離隔して開く付勢方向D11に蓋部102を付勢している。
圧力検知弁105で圧力超過が検知される緊急時には、作動空間112cから作動気体Ar12が排出され、開放バネ151がピストン112bを介して蓋部102を押し上げて開く。このような開放バネ151が、複数設けられた閉塞機構112それぞれに1つずつ収納されている。
また、本実施形態でも、通常状態への復帰は、作業者が復帰弁107を開く手動操作によって行われる。
尚、本実施形態においても、復帰弁107を常に僅かに開いた状態で使用することで、通常状態への復帰を自動的に行なうようにしてもよい。また、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント15への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行い、作動気体Ar12の供給量が極端に減少したときに蓋部102の閉塞状態を維持することとしてもよい。
以上に説明した第2実施形態のリークゼロエマージェンシーベント15によっても、上述した第1実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
図4に示されている第3実施形態のリークゼロエマージェンシーベント20は、開閉機構210において緊急時に蓋部102を開くために第1開放バネ211及び第2開放バネ212の2種類のバネを備えている。一方で、他の構成要素は第1実施形態と同等である。図4では、図2に示されている構成要素と同等な構成要素には図2と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を割愛し、第1実施形態との相違点に注目して説明を行う。
第1開放バネ211は、図2に示されている第1実施形態の開放バネ111と同等なバネであり、筒状ボディ101の内部に配置されている。そして、第1開放バネ211は、所定のバネ力で押し上げて筒状ボディ101の円形開口101cから離隔して開く付勢方向D11に蓋部102の中央を付勢している。
一方、第2開放バネ212は、図3に示されている第2実施形態の開放バネ151と同等なバネであり、複数の閉塞機構112それぞれの内部に1つずつ収容されている。
緊急時には、閉塞機構112の作動空間112cから作動気体Ar12が排出され、第1開放バネ211及び第2開放バネ212が協働して蓋部102を押し上げて開く。
また、本実施形態でも、通常状態への復帰は、作業者が復帰弁107を開く手動操作によって行われる。
尚、本実施形態においても、復帰弁107を常に僅かに開いた状態で使用してもよく、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント20への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第3実施形態のリークゼロエマージェンシーベント20によっても、上述した第1実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
図5に示されている第4実施形態のリークゼロエマージェンシーベント25は、開閉機構250の構造が第1実施形態と異なっている。一方で、他の構成要素は第1実施形態と同等である。図5では、図2に示されている構成要素と同等な構成要素には図2と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を割愛し、第1実施形態との相違点に注目して説明を行う。
開閉機構250は、蓋部102の開放と閉塞との両方を行う復動機構251、及び、この復動機構251に対する作動気体Ar12の導入と排出とを制御する復動制御弁252、を備える。
復動機構251でも、ピストン251bによって円筒状のボディ251aの内部が第1空間251c及び第2空間251dの2つの空間に区画されている。そして、この復動機構251は、第1空間251cへの閉塞用の作動気体Ar12の導入を受けて蓋部102を閉じるとともに、第2空間251dへの開放用の作動気体Ar12の導入を受けて蓋部102を開く。
復動制御弁252は、圧力検知弁105での検知結果に応じて第1空間251cに対する作動気体Ar12の導入と排出とを制御するとともに第2空間251dに対する作動気体Ar12の導入と排出とを制御する。復動制御弁252は、円筒状のボディ252aの内部に作動片252bが収容されたものである。ボディ252aには、作動気体Ar12の導入配管109aと、復動機構251との第1連結配管259a及び第2連結配管259bが接続されている。導入配管109aは不図示の供給源からの作動気体Ar12をボディ252aの内部に導く配管であり、第1連結配管259aは復動制御弁252と復動機構251における第1空間251cとを連結する配管である。第2連結配管259bは復動制御弁252と復動機構251における第2空間251dとを連結する配管である。また、ボディ252aには、第1空間251cの作動気体Ar12排出するための第1排出口252a−1と、第2空間251dの作動気体Ar12排出するための第2排出口252a−2と、が設けられている。更に、ボディ252aの内部には、次のような連通部材252cが収容されている。この連通部材252cは、通常時の作動片252bに応じて第1連結配管259aを導入配管109aに連通させて第2連結配管259bを第2排出口252a−2に連通させる。また、緊急時の作動片252bに応じて第1連結配管259aを第1排出口252a−1に連通させて第2連結配管259bを導入配管109aに連通させる。尚、ここにいう作動片252bも、その一例として、空気圧式切換え弁におけるピストンが挙げられ、連通部材252cも、その一例として、空気圧式切換え弁におけるスプールが挙げられる。また、本実施形態においても、作動片252bと連通部材252cとは、ここでは特定しないが、一部品として一体成形されたものであってもよく、あるいは、2部品として形成され、互いに連動するように連結されたもの等であってもよい。
この復動制御弁252では、圧力検知弁105で圧力超過が検知されず、この圧力検知弁105からの作動気体Ar12の導入がない通常時には、第1連結配管259aを導入配管109aに連通させて第2連結配管259bを第2排出口252a−2に連通させる。これにより、通常時には、復動機構251の第1空間251cに作動気体Ar12が導入され、第2空間251dからは作動気体Ar12が排出される。その結果、第1空間251cの作動気体Ar12の圧力によりピストン251bが押下げられて蓋部102が閉じられる。第1連結配管259aが導入配管109aに連通されて第2連結配管259bが第2排出口252a−2に連通されている限り、蓋部102の閉塞状態が維持される。
このように、復動制御弁252は、圧力検知弁105で圧力超過が検知されるまでは、第1空間251cに閉塞用の作動気体Ar12を導入するとともに第2空間251dから開放用の作動気体Ar12を排出させるものとなっている。
他方、圧力検知弁105で圧力超過が検知され、この圧力検知弁105から作動気体Ar12が導入される緊急時には、ボディ252aの内部の作動片252bが作動気体Ar12の圧力により押下げられる。この作動片252bの動きに応じて連通部材252cが第1連結配管259aを第1排出口252a−1に連通させ、第2連結配管259bを導入配管109aに連通させる。すると、第1作動空間251cから作動気体Ar12が排出されるとともに第2作動空間251dに作動気体Ar12が導入される。これにより、第2空間251dの作動気体Ar12の圧力によりピストン251bが押し上げられて蓋部102が開かれる。
このように、復動制御弁252は、圧力検知弁105で圧力超過が検知されると、第1空間251cから閉塞用の作動気体Ar12を排出させるとともに第2空間251dに開放用の作動気体Ar12を導入するものとなっている。
また、本実施形態でも、通常状態への復帰は、作業者が復帰弁107を開く手動操作によって行われる。
尚、本実施形態においても、復帰弁107を常に僅かに開いた状態で使用してもよく、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント25への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第4実施形態のリークゼロエマージェンシーベント25によっても、上述した第1実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
また、本実施形態のリークゼロエマージェンシーベント25では、蓋部102の閉塞と開放との双方が作動気体Ar12の圧力によって行われる。このリークゼロエマージェンシーベント25は、閉塞用の作動気体Ar12や開放用の作動気体Ar12の圧力調節により、開閉機構250における蓋部102の閉塞力や開放力の双方を適宜に調節することができる点で有利である。
(第5実施形態)
図6は、第5実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
まず、第5実施形態では、図1に示されている貯蔵タンクT11の貯蔵液L11を不燃性の液体とし、内部気体Ar11も、その不燃性の貯蔵液L11から揮発した不燃性の気体とする。
そして、図6に示されている第5実施形態のリークゼロエマージェンシーベント30は、図2に示されている第1実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10の変形例となっている。第5実施形態のリークゼロエマージェンシーベント30は、圧力超過の検知に圧力センサ301が用いられ、開閉機構310において閉塞機構112の制御に電磁駆動式の制御弁311が用いられている。一方で、他の構成要素は第1実施形態と同等である。図6では、図2に示されている構成要素と同等な構成要素には図2と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を割愛し、第1実施形態との相違点に注目して説明を行う。
圧力センサ301は、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が導入され、当該内部気体Ar11の圧力が緊急開放のための閾値を超えると、その旨を表す電気信号S11を開閉機構310の制御弁311へと有線で送信する。制御弁311は、圧力センサ301から電気信号S11を受信すると次のような動作を行う。
制御弁311は、円筒状のボディ311aに作動片311b及び連通部材311cが収容されたものである。尚、ここにいう作動片311bの一例としては、いわゆるソレノイド式電磁弁におけるソレノイド部が挙げられる。また、連通部材311cの一例としては、ソレノイド式電磁弁におけるスプールが挙げられる。ボディ311aには、作動気体Ar12の導入配管109aと、閉塞機構112との連結配管109bが接続されている。また、ボディ311aには、作動気体Ar12の排出口311a−1が設けられている。更に、ボディ311aの内部には作動片311bの動きに応じて連結配管109bを導入配管109aに連通させたり排出口311a−1に連通させたりする連通部材311cが収容されている。
圧力センサ301で圧力超過が検知されず、この圧力センサ301からの電気信号S11の送信がない通常時には、連通部材311cが閉塞機構112との連結配管109bを作動気体Ar12の導入配管109aに連通させている。これにより、通常時には、閉塞機構112に作動気体Ar12が導入され、その作動気体Ar12の圧力により蓋部102が閉じられる。連結配管109bが導入配管109aに連通されている限り、作動気体Ar12が閉塞機構112に導入され続け、蓋部102の閉塞状態が維持される。
他方、圧力センサ301で圧力超過が検知され、この圧力センサ301から電気信号S11が送信される緊急時には、制御弁311においてこの電気信号S11の受信を受けて作動片311bが動作する。この作動片311bの動きに応じて連通部材311cが閉塞機構112との連結配管109bを作動気体Ar12の排出口311a−1に連通させる。すると、閉塞機構112から作動気体Ar12が排出され、開放バネ111が蓋部102を付勢方向D11に押し上げて開く。
また、本実施形態では、蓋部102が開いた後、再度、蓋部102を閉じた通常状態に復帰させる処理が、作業者が復帰弁107を開く手動操作によって行われる第1実施形態と異なり自動的に行なわれる。即ち、本実施形態では、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の圧力が低下し、圧力センサ301で圧力超過が検知されなくなると、制御弁311から電気信号S11が送られてこなくなる。その結果、制御弁311の作動片311b及び連通部材311cが復位し、この連通部材311cが閉塞機構112との連結配管109bを作動気体Ar12の導入配管109aに連通させる。これにより、作動気体Ar12が閉塞機構112に導入されるようになり、蓋部102が閉じられてリークゼロエマージェンシーベント30が通常状態に復帰する。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント30への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第5実施形態のリークゼロエマージェンシーベント30によっても、上述した第1実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
また、本実施形態のリークゼロエマージェンシーベント30では、圧力超過の検知が、構造がシンプルで小型化が可能な圧力センサ301によって行われる。このリークゼロエマージェンシーベント30は、本実施形態のように貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が不燃性の気体であって周辺での通電に問題が無い場合等における圧力超過の検知に有利である。
(第6実施形態)
図7は、第6実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
第6実施形態でも、図1に示されている貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が、不燃性の貯蔵液L11から揮発した不燃性の気体とする。
そして、図7に示されている第6実施形態のリークゼロエマージェンシーベント35は、図3示されている第2実施形態のリークゼロエマージェンシーベント15を、図6に示されている第5実施形態のリークゼロエマージェンシーベント30の一部の構成要素を用いて変更した変形例となっている。図7では、図3示されている構成要素と同等な構成要素については図3と同じ符号が付され、図6に示されている構成要素と同等な構成要素については図6と同じ符号が付されている。
第6実施形態のリークゼロエマージェンシーベント35は、図3に示されている圧力検知弁105を図6に示されている圧力センサ301に置き換え、図3に示されている気圧作動式の制御弁113を図6に示されている電磁駆動式の制御弁311に置き換えたものである。本実施形態では、開閉機構350が、閉塞機構112、この閉塞機構112に収容された開放バネ151、及び電磁駆動式の制御弁311を備えている。
また、本実施形態でも、通常状態への復帰は、圧力センサ301から電気信号S11が送信されなくなることを受けて自動的に行われる。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント35への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第6実施形態のリークゼロエマージェンシーベント35によっても、上述した第2実施形態のリークゼロエマージェンシーベント15と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
また、このリークゼロエマージェンシーベント35も、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が不燃性の気体であって周辺での通電に問題が無い場合等における圧力超過の検知に有利である。
(第7実施形態)
図8は、第7実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
第7実施形態でも、図1に示されている貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が、不燃性の貯蔵液L11から揮発した不燃性の気体とする。
そして、図8に示されている第7実施形態のリークゼロエマージェンシーベント40は、図4に示されている第3実施形態のリークゼロエマージェンシーベント20を、図6に示されている第5実施形態のリークゼロエマージェンシーベント30の一部の構成要素を用いて変更した変形例となっている。図8では、図4に示されている構成要素と同等な構成要素については図4と同じ符号が付され、図6に示されている構成要素と同等な構成要素については図6と同じ符号が付されている。
第7実施形態のリークゼロエマージェンシーベント40は、図4に示されている圧力検知弁105を図6に示されている圧力センサ301に置き換え、図4に示されている気圧作動式の制御弁113を図6に示されている電磁駆動式の制御弁311に置き換えたものである。本実施形態では、開閉機構410が、筒状ボディ101に収容された第1開放バネ211、閉塞機構112、この閉塞機構112に収容された第2開放バネ212、及び電磁駆動式の制御弁311を備えている。
また、本実施形態でも、通常状態への復帰は、圧力センサ301から電気信号S11が送信されなくなることを受けて自動的に行われる。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント40への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第7実施形態のリークゼロエマージェンシーベント40によっても、上述した第3実施形態のリークゼロエマージェンシーベント20と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
また、このリークゼロエマージェンシーベント40も、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が不燃性の気体であって周辺での通電に問題が無い場合等における圧力超過の検知に有利である。
(第8実施形態)
図9は、第8実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
第8実施形態でも、図1に示されている貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が、不燃性の貯蔵液L11から揮発した不燃性の気体とする。
そして、図9に示されている第8実施形態のリークゼロエマージェンシーベント45は、図5に示されている第4実施形態のリークゼロエマージェンシーベント25を、図6に示されている第5実施形態のリークゼロエマージェンシーベント30の一部の構成要素を用いて変更した変形例となっている。図9では、図5に示されている構成要素と同等な構成要素については図5と同じ符号が付され、図6に示されている構成要素と同等な構成要素については図6と同じ符号が付されている。
第8実施形態のリークゼロエマージェンシーベント45は、図5に示されている圧力検知弁105を図6に示されている圧力センサ301に置き換えたものとなっている。
更に、第8実施形態のリークゼロエマージェンシーベント45は、図5に示されている気圧作動式の復動制御弁252を、次のような電磁駆動式の復動制御弁451に置き換えたものとなっている。
本実施形態では、開閉機構450が、復動機構251及び電磁駆動式の復動制御弁451を備えている。
本実施形態における復動制御弁451は、円筒状のボディ451aの内部に作動片451bが収容されたものである。ボディ451aには、作動気体Ar12の導入配管109aと、復動機構251の第1空間251cとの第1連結配管259a、及び第2空間251dとの第2連結配管259bが接続されている。また、ボディ451aには、第1空間251cの作動気体Ar12排出するための第1排出口451a−1と、第2空間251dの作動気体Ar12排出するための第2排出口451a−2と、が設けられている。更に、ボディ451aの内部には、次のような連通部材451cが収容されている。この連通部材451cは、通常時の作動片451bに応じて第1連結配管259aを導入配管109aに連通させて第2連結配管259bを第2排出口451a−2に連通させる。また、緊急時の作動片451bに応じて第1連結配管259aを第1排出口451a−1に連通させて第2連結配管259bを導入配管109aに連通させる。尚、ここにいう作動片451bについても、その一例として、ソレノイド式電磁弁におけるソレノイド部が挙げられる。また、連通部材451cについても、その一例として、ソレノイド式電磁弁におけるスプールが挙げられる。
この復動制御弁451では、圧力センサ301からの電気信号S11の送信がない通常時には、第1連結配管259aを導入配管109aに連通させて第2連結配管259bを第2排出口451a−2に連通させる。これにより、通常時には、復動機構251の第1空間251cに作動気体Ar12が導入され、第2空間251dからは作動気体Ar12が排出される。その結果、第1空間251cの作動気体Ar12の圧力により蓋部102が閉じられる。第1連結配管259aが導入配管109aに連通されて第2連結配管259bが第2排出口451a−2に連通されている限り、蓋部102の閉塞状態が維持される。
他方、圧力センサ301から電気信号S11が送信される緊急時には、復動制御弁451において電気信号S11の受信を受けて作動片451bが動作する。この作動片451bの動きに応じて連通部材451cが第1連結配管259aを第1排出口451a−1に連通させ、第2連結配管259bを導入配管109aに連通させる。すると、第1作動空間251cから作動気体Ar12が排出されるとともに第2作動空間251dに作動気体Ar12が導入される。これにより、第2空間251dの作動気体Ar12の圧力により蓋部102が開かれる。
また、本実施形態でも、通常状態への復帰は、圧力センサ301から電気信号S11が送信されなくなることを受けて自動的に行われる。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント45への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第8実施形態のリークゼロエマージェンシーベント45によっても、上述した第4実施形態のリークゼロエマージェンシーベント25と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
また、このリークゼロエマージェンシーベント45も、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が不燃性の気体であって周辺での通電に問題が無い場合等における圧力超過の検知に有利である。
(第9実施形態)
図10は、第9実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
第9実施形態でも、図1に示されている貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が、不燃性の貯蔵液L11から揮発した不燃性の気体とする。
そして、図10に示されている第9実施形態のリークゼロエマージェンシーベント50は、図6に示されている第5実施形態のリークゼロエマージェンシーベント30の変形例となっている。第9実施形態のリークゼロエマージェンシーベント50では、開閉機構510において閉塞機構112の制御に電磁駆動式且つマニュアル復帰式の制御弁511が用いられている。一方で、他の構成要素は第5実施形態と同等である。図10では、図6に示されている構成要素と同等な構成要素には図6と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を割愛し、第5実施形態との相違点に注目して説明を行う。
電磁駆動式且つマニュアル復帰式の制御弁511は、円筒状のボディ511aに連通部材511cが収容されたものである。また、ボディ511aには、圧力センサ301からの電気信号S11を受信して連通部材511cを動作させる駆動部511dが連結されている。さらに、ボディ511aには、圧力センサ301からの電気信号S11の送信がない通常時に、連通部材511cを後述の初期位置にセットするためのリセットノブ511bが取り付けられている。尚、ここにいう連通部材511cの一例として、空気圧式切換え弁やソレノイド式電磁弁におけるスプールが挙げられる。
ボディ511aには、作動気体Ar12の導入配管109aと、閉塞機構112との連結配管109bが接続されている。また、ボディ511aには、作動気体Ar12の排出口511a−1が設けられている。連通部材511cは、上記の通常時には、連結配管109bを導入配管109aに連通させ、圧力センサ301から電気信号S11が送信される緊急時には、連結配管109bを排出口511a−1に連通させる。
通常時に連結配管109bを導入配管109aに連通させる位置が連通部材511cの初期位置であるが、本実施形態では、連通部材511cの初期位置へのセットが、作業者が事前にリセットノブ511bを手動操作することで行われる。まず、ボディ511aの内部において、連通部材511cは、不図示のスプリングによって上記の初期位置から、連結配管109bを排出口511a−1に連通させる動作位置へと向かって付勢されている。さらに、ボディ511aの内部には、連通部材511cを、スプリングが押し縮められる位置に位置決めする不図示のラチェット機構が設けられている。連通部材511cの初期位置へのセットは、作業者が、リセットノブ511bを押し込むことで、連通部材511cがスプリングを押し縮めつつ初期位置にセットされる。そして、その初期位置は、ラチェット機構によって維持される。通常時には、このように初期位置にセットされた連通部材511cが閉塞機構112との連結配管109bを作動気体Ar12の導入配管109aに連通させている。これにより、通常時には、閉塞機構112に作動気体Ar12が導入され、その作動気体Ar12の圧力により蓋部102が閉じられる。連結配管109bが導入配管109aに連通されている限り、作動気体Ar12が閉塞機構112に導入され続け、蓋部102の閉塞状態が維持される。
他方、圧力センサ301で圧力超過が検知され、この圧力センサ301から電気信号S11が送信される緊急時には、駆動部511dが電気信号S11を受信して、連通部材511cを初期位置に留めているラチェット機構を外す。ラチェット機構が外れると、上記のスプリングの付勢力によって、連通部材511cが、連結配管109bを排出口511a−1に連通させる動作位置へと移動する。すると、閉塞機構112から作動気体Ar12が排出され、開放バネ111が蓋部102を付勢方向D11に押し上げて開く。また、このときには、スプリングの付勢力によって、連通部材511cと一緒にリセットノブ511bが所定の突出位置まで飛び出す。
また、本実施形態では、蓋部102が開いた後、再度、蓋部102を閉じた通常状態に復帰させる処理が、上記のように飛び出した状態にあるリセットノブ511bに対する手動操作によって行われる。このときの手動操作は、事前に連通部材511cを初期位置にセットする上述した手動操作と同じ操作となる。即ち、作業者が、リセットノブ511bを押し込むことで、連通部材511cがスプリングを押し縮めつつ初期位置に再度セットされる。この手動操作によって、連通部材511cが閉塞機構112との連結配管109bを作動気体Ar12の導入配管109aに連通させる。これにより、作動気体Ar12が閉塞機構112に導入されるようになり、蓋部102が閉じられてリークゼロエマージェンシーベント30が通常状態に復帰する。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント50への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第9実施形態のリークゼロエマージェンシーベント50によっても、上述した第5実施形態のリークゼロエマージェンシーベント30と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
また、このリークゼロエマージェンシーベント50も、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が不燃性の気体であって周辺での通電に問題が無い場合等における圧力超過の検知に有利である。
そして、このリークゼロエマージェンシーベント50も、作業者が手動操作を行うまでは蓋部102の開放状態が維持される点で有利である。
(第10実施形態)
図11は、第10実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
第10実施形態でも、図1に示されている貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が、不燃性の貯蔵液L11から揮発した不燃性の気体とする。
そして、図11に示されている第10実施形態のリークゼロエマージェンシーベント55は、図7示されている第6実施形態のリークゼロエマージェンシーベント35を、図10に示されている第9実施形態のリークゼロエマージェンシーベント50の一部の構成要素を用いて変更した変形例となっている。図11では、図7に示されている構成要素と同等な構成要素については図7と同じ符号が付され、図10に示されている構成要素と同等な構成要素については図10と同じ符号が付されている。
第10実施形態のリークゼロエマージェンシーベント55は、図7に示されている電磁駆動式且つ自動復帰式の制御弁311を図10に示されている電磁駆動式且つマニュアル復帰式の制御弁511に置き換えたものである。本実施形態では、開閉機構550が、閉塞機構112、この閉塞機構112に収容された開放バネ151、及び電磁駆動式且つマニュアル復帰式の制御弁511を備えている。
また、本実施形態でも、通常状態への復帰は、作業者が制御弁511のリセットノブ511bを押し込む手動操作によって行われる。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント55への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第10実施形態のリークゼロエマージェンシーベント55によっても、上述した第6実施形態のリークゼロエマージェンシーベント35と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
また、このリークゼロエマージェンシーベント55も、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が不燃性の気体であって周辺での通電に問題が無い場合等における圧力超過の検知に有利である。
そして、このリークゼロエマージェンシーベント55も、作業者が手動操作を行うまでは蓋部102の開放状態が維持される点で有利である。
(第11実施形態)
図12は、第11実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
第11実施形態でも、図1に示されている貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が、不燃性の貯蔵液L11から揮発した不燃性の気体とする。
そして、図12に示されている第11実施形態のリークゼロエマージェンシーベント60は、図8示されている第7実施形態のリークゼロエマージェンシーベント40を、図10に示されている第9実施形態のリークゼロエマージェンシーベント50の一部の構成要素を用いて変更した変形例となっている。図12では、図8に示されている構成要素と同等な構成要素については図8と同じ符号が付され、図10に示されている構成要素と同等な構成要素については図10と同じ符号が付されている。
第11実施形態のリークゼロエマージェンシーベント60は、図8に示されている電磁駆動式且つ自動復帰式の制御弁311を図10に示されている電磁駆動式且つマニュアル復帰式の制御弁511に置き換えたものである。本実施形態では、開閉機構610が、筒状ボディ101に収容された第1開放バネ211、閉塞機構112、この閉塞機構112に収容された第2開放バネ212、及び電磁駆動式且つマニュアル復帰式の制御弁511を備えている。
また、本実施形態でも、通常状態への復帰は、作業者が制御弁511のリセットノブ511bを押し込む手動操作によって行われる。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント60への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第11実施形態のリークゼロエマージェンシーベント60によっても、上述した第7実施形態のリークゼロエマージェンシーベント40と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
また、このリークゼロエマージェンシーベント60も、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が不燃性の気体であって周辺での通電に問題が無い場合等における圧力超過の検知に有利である。
そして、このリークゼロエマージェンシーベント60も、作業者が手動操作を行うまでは蓋部102の開放状態が維持される点で有利である。
(第12実施形態)
図13は、第12実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
第12実施形態でも、図1に示されている貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が、不燃性の貯蔵液L11から揮発した不燃性の気体とする。
そして、図13に示されている第12実施形態のリークゼロエマージェンシーベント65は、図9示されている第8実施形態のリークゼロエマージェンシーベント45を、図10に示されている第9実施形態のリークゼロエマージェンシーベント50の一部の構成要素を用いて変更した変形例となっている。図13では、図9に示されている構成要素と同等な構成要素については図9と同じ符号が付され、図10に示されている構成要素と同等な構成要素については図10と同じ符号が付されている。
第12実施形態のリークゼロエマージェンシーベント65は、図9に示されている第8実施形態のリークゼロエマージェンシーベント45における電磁駆動式且つ自動復帰式の復動制御弁451を次のような復動制御弁651に置き換えたものとなっている。本実施形態における復動制御弁651は、電磁駆動式且つマニュアル復帰式のものとなっている。
本実施形態における復動制御弁651は、円筒状のボディ651aに連通部材651cが収容されたものである。また、ボディ651aには、圧力センサ301からの電気信号S11を受信して連通部材651cを動作させる駆動部651dが連結されている。さらに、ボディ651aには、圧力センサ301からの電気信号S11の送信がない通常時に、連通部材651cを後述の初期位置にセットするためのリセットノブ651bが取り付けられている。尚、ここにいう連通部材651cも、その一例として、空気圧式切換え弁やソレノイド式電磁弁におけるスプールが挙げられる。
ボディ651aには、作動気体Ar12の導入配管109aと、復動機構251の第1空間251cとの第1連結配管259a、及び第2空間251dとの第2連結配管259bが接続されている。また、ボディ651aには、第1空間251cの作動気体Ar12排出するための第1排出口651a−1と、第2空間251dの作動気体Ar12排出するための第2排出口651a−2と、が設けられている。連通部材651cは、上記の通常時には、第1連結配管259aを導入配管109aに連通させて第2連結配管259bを第2排出口651a−2に連通させる。また、圧力センサ301から電気信号S11が送信される緊急時には、第1連結配管259aを第1排出口651a−1に連通させて第2連結配管259bを導入配管109aに連通させる。
通常時に第1連結配管259aを導入配管109aに連通させて第2連結配管259bを第2排出口651a−2に連通させる位置が連通部材651cの初期位置であるが、本実施形態では、連通部材651cの初期位置へのセットが、作業者が事前にリセットノブ651bを手動操作することで行われる。まず、ボディ651aの内部において、連通部材651cは、上記の初期位置から、第1連結配管259aを第1排出口651a−1に連通させて第2連結配管259bを導入配管109aに連通させる動作位置へと向かって不図示のスプリングによって付勢されている。さらに、ボディ651aの内部には、連通部材651cを、スプリングが押し縮められる位置に位置決めする不図示のラチェット機構が設けられている。連通部材651cの初期位置へのセットは、作業者が、リセットノブ651bを押し込むことで、連通部材651cがスプリングを押し縮めつつ初期位置にセットされる。そして、その初期位置は、ラチェット機構によって維持される。通常時には、このように初期位置にセットされた連通部材651cにより、復動機構251の第1空間251cに作動気体Ar12が導入され、第2空間251dからは作動気体Ar12が排出される。その結果、第1空間251cの作動気体Ar12の圧力により蓋部102が閉じられる。第1連結配管259aが導入配管109aに連通されて第2連結配管259bが第2排出口651a−2に連通されている限り、蓋部102の閉塞状態が維持される。
他方、圧力センサ301から電気信号S11が送信される緊急時には、駆動部651dが電気信号S11を受信して、連通部材651cを初期位置に留めているラチェット機構を外す。ラチェット機構が外れると、上記のスプリングの付勢力によって、連通部材651cが、第1連結配管259aを第1排出口651a−1に連通させて第2連結配管259bを導入配管109aに連通させる動作位置へと移動する。すると、第1作動空間251cから作動気体Ar12が排出されるとともに第2作動空間251dに作動気体Ar12が導入される。これにより、第2空間251dの作動気体Ar12の圧力により蓋部102が開かれる。このときには、スプリングの付勢力によって、連通部材651cと一緒にリセットノブ651bが所定の突出位置まで飛び出す。
そして、本実施形態でも、通常状態への復帰は、上記のように飛び出した状態にあるリセットノブ511bに対する手動操作によって行われる。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント65への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第12実施形態のリークゼロエマージェンシーベント65によっても、上述した第8実施形態のリークゼロエマージェンシーベント45と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
また、このリークゼロエマージェンシーベント65も、貯蔵タンクT11の内部気体Ar11が不燃性の気体であって周辺での通電に問題が無い場合等における圧力超過の検知に有利である。
そして、このリークゼロエマージェンシーベント65も、作業者が手動操作を行うまでは蓋部102の開放状態が維持される点で有利である。
(第13実施形態)
図14は、第13実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
図14に示されている第13実施形態のリークゼロエマージェンシーベント70は、図2に示されている第1実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10の変形例となっている。図14では、図2に示されている構成要素と同等な構成要素には図2と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を割愛し、第1実施形態との相違点に注目して説明を行う。
第13実施形態では、第1実施形態と同様に、図1に示されている貯蔵タンクT11の貯蔵液L11を可燃性の液体とし、内部気体Ar11も、その可燃性の貯蔵液L11から揮発した可燃性の気体とする。
第13実施形態のリークゼロエマージェンシーベント70は、第1実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10から圧力検知弁105、逆止弁106、及び復帰弁107を除き、遮断弁104を介して制御弁113に圧力検知管103を繋いだものである。本実施形態では、制御弁113の作動片113bが、圧力検知管103から導入される貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の圧力が緊急開放のための閾値を超えたら動くように調節されている。即ち、本実施形態では、この作動片113bが、貯蔵タンクT11の内圧が閾値を超える圧力超過を検知する内圧検知部の役割を果たす。本実施形態では、開閉機構710が、このように一部の構成が内圧検知部の役割を果たす制御弁113、閉塞機構112、及び開放バネ111を備えている。
通常時には作動片113bが初期位置にあり、連通部材113cが作動気体Ar12の導入配管109aと閉塞機構112との連結配管109bとを連通させる。これにより、作動気体Ar12が閉塞機構112に導入され、その圧力により蓋部102が閉じられる。
内部気体Ar11の圧力が緊急開放のための閾値を超える緊急時には、作動片113bが動いて、連通部材113cが連結配管109bを排出口113a−1に連通させて、閉塞機構112から作動気体Ar12を排出させる。その結果、開放バネ111のバネ力によって蓋部102がその付勢方向D11に開かれる。
そして、本実施形態では、通常状態への復帰が自動的に行なわれる。即ち、内部気体Ar11の圧力が低下して閾値を下回ると制御弁113における作動片113bが初期位置に復位し、これによって蓋部102が閉じられて通常状態に復帰することとなる。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント70への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第13実施形態のリークゼロエマージェンシーベント70によっても、上述した第1実施形態のリークゼロエマージェンシーベント10と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
(第14実施形態)
図15は、第14実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
図15に示されている第14実施形態のリークゼロエマージェンシーベント75は、図3に示されている第2実施形態のリークゼロエマージェンシーベント15の変形例となっている。図15では、図3に示されている構成要素と同等な構成要素には図3と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を割愛し、第2実施形態との相違点に注目して説明を行う。
この第14実施形態でも、第2実施形態と同様に、図1に示されている貯蔵タンクT11の貯蔵液L11を可燃性の液体とし、内部気体Ar11も、その可燃性の貯蔵液L11から揮発した可燃性の気体とする。
第14実施形態のリークゼロエマージェンシーベント75は、第2実施形態のリークゼロエマージェンシーベント15から圧力検知弁105、逆止弁106、及び復帰弁107を除き、遮断弁104を介して制御弁113に圧力検知管103を繋いだものである。本実施形態でも、制御弁113の作動片113bが、圧力検知管103から導入される貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の圧力が緊急開放のための閾値を超えたら動くように調節されて内圧検知部の役割を果たす。本実施形態では、開閉機構750が、このように一部の構成が内圧検知部の役割を果たす制御弁113、閉塞機構112、及び、閉塞機構112に収容された開放バネ151を備えている。
通常時には作動片113bが初期位置にあり、これにより、作動気体Ar12が閉塞機構112に導入されて蓋部102が閉じられる。緊急時には、作動片113bが動いて閉塞機構112から作動気体Ar12を排出させ、その結果、開放バネ151のバネ力によって蓋部102がその付勢方向D11に開かれる。
そして、内部気体Ar11の圧力が閾値を下回ると制御弁113における作動片113bが初期位置に復位し、これによって蓋部102が閉じられて自動的に通常状態に復帰することとなる。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント75への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第14実施形態のリークゼロエマージェンシーベント75によっても、上述した第2実施形態のリークゼロエマージェンシーベント15と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
(第15実施形態)
図16は、第15実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
図16に示されている第15実施形態のリークゼロエマージェンシーベント80は、図4に示されている第3実施形態のリークゼロエマージェンシーベント20の変形例となっている。図16では、図4に示されている構成要素と同等な構成要素には図4と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を割愛し、第3実施形態との相違点に注目して説明を行う。
この第15実施形態でも、第3実施形態と同様に、図1に示されている貯蔵タンクT11の貯蔵液L11を可燃性の液体とし、内部気体Ar11も、その可燃性の貯蔵液L11から揮発した可燃性の気体とする。
第15実施形態のリークゼロエマージェンシーベント80は、第3実施形態のリークゼロエマージェンシーベント20から圧力検知弁105、逆止弁106、及び復帰弁107を除き、遮断弁104を介して制御弁113に圧力検知管103を繋いだものである。本実施形態でも、制御弁113の作動片113bが、圧力検知管103から導入される貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の圧力が緊急開放のための閾値を超えたら動くように調節されて内圧検知部の役割を果たす。本実施形態では、開閉機構810が、このように一部の構成が内圧検知部の役割を果たす制御弁113、閉塞機構112、筒状ボディ101に収容された第1開放バネ211、及び、閉塞機構112に収容された第2開放バネ212を備えている。
通常時には作動片113bが初期位置にあり、これにより、作動気体Ar12が閉塞機構112に導入されて蓋部102が閉じられる。緊急時には、作動片113bが動いて閉塞機構112から作動気体Ar12を排出させ、その結果、第1開放バネ211及び第2開放バネ212の双方のバネ力によって蓋部102がその付勢方向D11に開かれる。
そして、内部気体Ar11の圧力が閾値を下回ると制御弁113における作動片113bが初期位置に復位し、これによって蓋部102が閉じられて自動的に通常状態に復帰することとなる。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント80への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第15実施形態のリークゼロエマージェンシーベント80によっても、上述した第3実施形態のリークゼロエマージェンシーベント20と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
(第16実施形態)
図17は、第16実施形態のリークゼロエマージェンシーベントを示す模式図である。
図17に示されている第16実施形態のリークゼロエマージェンシーベント85は、図5に示されている第4実施形態のリークゼロエマージェンシーベント25の変形例となっている。図17では、図5に示されている構成要素と同等な構成要素には図5と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素についての重複説明を割愛し、第4実施形態との相違点に注目して説明を行う。
この第16実施形態でも、第4実施形態と同様に、図1に示されている貯蔵タンクT11の貯蔵液L11を可燃性の液体とし、内部気体Ar11も、その可燃性の貯蔵液L11から揮発した可燃性の気体とする。
第16実施形態のリークゼロエマージェンシーベント85は、第4実施形態のリークゼロエマージェンシーベント25から圧力検知弁105、逆止弁106、及び復帰弁107を除き、遮断弁104を介して復動制御弁252に圧力検知管103を繋いだものである。本実施形態でも、復動制御弁252の作動片252bが、圧力検知管103から導入される貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の圧力が緊急開放のための閾値を超えたら動くように調節されて内圧検知部の役割を果たす。本実施形態では、開閉機構810が、このように一部の構成が内圧検知部の役割を果たす復動制御弁252及び復動機構251を備えている。
通常時には作動片252bが初期位置にあり、これにより、復動機構251の第2空間251dから作動気体Ar12が排出され、第1空間251cに作動気体Ar12が導入されて蓋部102が閉じられる。緊急時には、作動片252bが動いて第1空間251cから作動気体Ar12が排出され、第2空間251dに作動気体Ar12が導入されて蓋部102が開かれる。
そして、内部気体Ar11の圧力が閾値を下回ると復動制御弁252における作動片252bが初期位置に復位し、これによって蓋部102が閉じられて自動的に通常状態に復帰することとなる。
尚、本実施形態においても、不図示の気体供給源からリークゼロエマージェンシーベント85への作動気体Ar12の供給を逆止弁を介して行ってもよい。
以上に説明した第16実施形態のリークゼロエマージェンシーベント85によっても、上述した第4実施形態のリークゼロエマージェンシーベント25と同様に、通常時における貯蔵タンクT11の内部気体Ar11の漏れを抑制することができることは言うまでもない。
尚、前述した第1〜第16実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のリークゼロエマージェンシーベントの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
例えば、前述した第1〜第16実施形態では、本発明にいうリークゼロエマージェンシーベントの一例として、円筒状の筒状ボディ101の円形開口101cを円板状の蓋部102で塞ぐリークゼロエマージェンシーベント10〜85が例示されている。これらのリークゼロエマージェンシーベント10〜85では、何れも、筒状ボディ101の円形開口101cを塞ぐことで、貯蔵タンクT11の開口が間接的に塞がれる。しかしながら、本発明にいうリークゼロエマージェンシーベントはこれらに限るものではなく、貯蔵タンクの開口を蓋部で開閉自在に塞ぐものであれば、具体的な形状を問うものではなく、また、筒状ボディ等を介さずに貯蔵タンクの開口を直に蓋部で塞ぐもの等であってもよい。
また、前述した第1〜第16実施形態では、本発明にいうリークゼロエマージェンシーベントの一例として、貯蔵タンクT11の上面側に設置されたリークゼロエマージェンシーベント10〜85が例示されている。しかしながら、本発明にいうリークゼロエマージェンシーベントはこれらに限るものではなく、貯蔵タンクの内部気体の放出が可能であれば、貯蔵タンクの側面側等に設置してもよく、その具体的な設置位置は任意に設定し得る。
また、前述した第1〜第16実施形態では、本発明にいう開閉機構の一例として、筒状ボディ101から分離するように蓋部102を押し上げて開く開閉機構110〜250が例示されている。しかしながら、本発明にいう開閉機構はこれに限るものではない。本発明にいう開閉機構は、例えば開口の縁に一端部がヒンジ接続された蓋部の他端側を押し上げて開くものであってもよく、あるいは蓋部を横方向にスライド移動させて開くもの等であってもよい。本発明にいう開閉機構は、内圧検知部での検知結果に応じて蓋部を開閉可能であれば、具体的な開閉方式を問うものではない。
また、前述した第1〜第16実施形態では、本発明にいう制御弁の一例として、円筒状のボディ113a,311a,511aを有する制御弁113a,311a,511aが例示され、本発明にいう復動制御弁の一例として、円筒状のボディ252a,451a,651aを有する復動制御弁252,451,651が例示されている。しかしながら、本発明にいう制御弁及び復動制御弁は、これらに限るものではなく、そのボディ形状は例えば四角筒状等であってもよく任意の形状に設定し得る。
また、動作に通電を伴う開閉機構310,350,410,450,510,550,610,650を設ける第5〜第12実施形態では、貯蔵タンクにおける貯蔵液の一例として、不燃性の気体を揮発させる不燃性の貯蔵液L11が例示されている。しかしながら、動作に通電を伴う開閉機構を設ける場合であっても、貯蔵タンクにおける貯蔵液が、可燃性の気体を揮発させる可燃性の貯蔵液であってもよい。ただし、この場合には、通電式の圧力センサや電磁駆動式の制御弁等といった電気部品は、防爆タイプの部品であることが望ましい。
また、動作に通電を伴う開閉機構310,350,410,450,510,550,610,650を設ける第5〜第12実施形態では、圧力センサ301からの電気信号S11の送信方法の一例として、有線による送信方法が例示されている。しかしながら、この送信方法は有線に限るものではなく、無線による送信方法であってもよい。
また、前述した第1〜第16実施形態では、本発明にいう制御弁や復動制御弁の各一例として、図2〜図17を参照して説明したように連通部材113c,252c,311c,451c,511c,651cを動かして配管の切換えを行う制御弁113,311,511や復動制御弁252,451,651が例示されている。しかしながら、本発明にいう制御弁や復動制御弁は、これらに限るものではなく、配管の切換えに伴う連通部材の動かし方等は任意に構成し得る。