JP6631132B2 - イオン化合物のイオン変換方法及びイオン変換装置 - Google Patents

イオン化合物のイオン変換方法及びイオン変換装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6631132B2
JP6631132B2 JP2015194741A JP2015194741A JP6631132B2 JP 6631132 B2 JP6631132 B2 JP 6631132B2 JP 2015194741 A JP2015194741 A JP 2015194741A JP 2015194741 A JP2015194741 A JP 2015194741A JP 6631132 B2 JP6631132 B2 JP 6631132B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ion
ions
column
ionic compound
detector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015194741A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017067659A (ja
Inventor
真治 佐藤
真治 佐藤
芳光 多田
芳光 多田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2015194741A priority Critical patent/JP6631132B2/ja
Publication of JP2017067659A publication Critical patent/JP2017067659A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6631132B2 publication Critical patent/JP6631132B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)

Description

本発明は、イオン化合物のイオン変換方法およびイオン変換装置に関する。
イオンクロマトグラフィーはイオン成分を分析する方法として各種公定法に採用され、多くの場合、サプレッサー方式による電気伝導度検出法に基づく分析装置として広く利用されている。
その分析装置は、電解質を含む溶離液及び分離媒体を使用したクロマトグラフィーによる分離工程、溶離液の電解質に由来した電気伝導度を抑制するサプレッション工程、分離、溶出したイオン成分を電気伝導度検出器により検出する検出工程により構成されている。
有機酸などの弱酸性イオンの分析のための対策として、サプレッサーから溶出した液を第1電気伝導検出器へ導入して強酸性イオンを検出した後、弱酸性イオンを含む流出液からアルカリ金属イオンを対イオンとする陽イオン交換樹脂を含む塩変換器へ通じ、対イオンを水素イオンからアルカリ金属イオンへ変換してから第2の電気伝導度検出器へ導入し、弱酸性のイオン成分を高感度に検出する方法が開示されている(特許文献1および特許文献2)。
サプレッサー方式による電気伝導度検出法では、通常、サプレッション工程において、対イオンの変換が行われる。例えば、陰イオン分析では、溶離液の電解質として使用される水酸化ナトリウムは水へ、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムは炭酸へ変換され、測定対象であるイオン化合物AXはHXへ変換される。その結果、溶離液の導電率は低下し、変換後生成したイオン化合物HXの導電率が増加することから、ノイズレベルの低下およびシグナル強度の増大という両面での変化により高感度なイオン成分の検出が可能となる。しかしながら、イオン化合物HXはその解離特性(pKa)に基づき、濃度により解離状態が変動することから、イオン種によっては検量線に曲がりが生じ、その定量精度に影響を与えることが知られている。特に弱酸性,弱塩基性のイオン成分においてはこの傾向が顕著に現れ、同時に検出感度の低下も引き起こす課題があった(非特許文献1)。
サプレッサー法−電気伝導度検出法以外の検出法として、吸光光度検出法、電気化学検出法、蛍光検出法なども利用されている。これらの検出方法は、濃度変化による解離状態の影響を受けにくいため、検量線の直線性に優れ、定量精度も高い。しかしながら、検出原理に合致した特定のイオン種を選択的に検出する方法であり、一般的に利用されるには課題があった。
一方、分析対象イオンに対し塩変換処理後、吸光度検出を行う方法が森らにより開示されている(特許文献3および4)。この方法では水を溶離液とするイオン排除クロマトグラフィーによりイオン成分を分離後、カラムからの流出液をUVの吸収を有するイオンを固定化したイオン交換樹脂へ導入し、分析対象イオンあるいはその対イオンをUVの吸収を有する塩へ変換後、吸光度検出を行っている。この方法は、分離可能なイオン化合物に対し、吸光度検出法を幅広く適用できる利点を有するが溶離液が水に限定されることから、水のみで分離できるカラムを用いたクロマトグラフィーへの適用に限定されており、一般的なイオン分析に利用されているイオン交換クロマトグラフィーへの適用には課題があった。
近年では、定性能を有する高感度な検出方法として、質量分析計を用いた検出方法もHPLCに多く利用されているが、溶離液や試料中のマトリックスに起因した検出ノイズによる妨害のため、無機イオンの検出においては、適用できる分子量の制限を受け、ナトリウムイオンや塩化物イオンのような低分子量のイオン検出の検出には適していないという課題があった。
特表平7−505960号公報 特許第4122228号公報 特許第3924618号公報 特許第3924622号公報
岡田ら, クロマトグラフィーによるイオン性化学種の分離分析、2002、pp.69−104、135−151
本発明は、従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、イオン化合物を構成するイオン成分を変換し、最終的に質量検出器にて検出可能なイオン種へ変換する方法及びその分析装置を提供することにある。
前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]から[4]である。
[1]
イオンを変換する方法であって、
イオン化合物AB(式中、AとBの一方はカチオン、他方はアニオン)を塩変換器により変換してDB(式中、Dは質量検出器で検出可能なイオン)を得ることを特徴とするイオン変換方法。
[2]
[1]に記載のイオンを変換する方法において、
イオン化合物ABをイオン交換媒体により変換して、CB(式中、CはH+イオン又はOH−イオンを表す)とした後に塩変換器により変換してDBを得る方法。
[3]
前記イオン交換媒体及び/または前記塩変換器がイオン交換カラムまたはイオン交換膜である[1]または[2]に記載の方法。
[4]
イオンを検出器で検出する装置であって、
イオン化合物AB(式中、AとBの一方はカチオン、他方はアニオン)をDB(式中、Dは質量検出器で検出可能なイオン)に変換する手段及び質量検出器を備えたことを特徴とするイオン検出装置。
[5]
イオン化合物ABをDBに変換する手段が、
イオン化合物ABを変換して、CB(式中、CはH+イオン又はOH−イオンを表す)とするイオン交換媒体及びCBをDBに変換する塩変換器を含むことを特徴とする[4]に記載の装置。
[6]
前記イオン交換媒体及び/または前記塩変換器がイオン交換カラムまたはイオン交換膜である[4]又は[5]に記載のイオン検出装置。
本発明において、イオン化合物ABとは、特に限定されるものではないが塩化ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、りん酸2水素カリウム等などを例示できる。
本発明で用いられるイオン交換媒体とは、イオン化合物ABをCBへ一次変換する工程の際に使用する。具体的には、陰イオン分析においては、強塩基陽イオン交換カラム、弱塩基性陰イオン交換カラム、陽イオン分析では、強酸性陽イオン交換カラム、弱酸性陽イオン交換カラムを例示することができる。またその他に、陰イオン交換基と陽イオン交換基を併せ持つ両性イオン交換カラム、逆相クロマトクロマトグラフィー用分離カラム、親水性相互作用クロマトグラフィー用分離カラムなどを例示することができる。
また一次変換とは、後述する塩変換器により更にイオンを変化させる工程を区別するために本発明では定義している。また公知の方法によって前記一次変換前に他の変換工程を有することを妨げるものではない。
本発明で用いられる塩変換器とは、質量検出可能なイオンDが固定化されておりイオン化合物CBをDBへ変換する際に使用する。ここで質量検出可能なイオンDはテトラブチルアンモニウムイオンやピリジウムイオン等の、イオンBと対になるイオンを例示することができるが、この限りではない。また、一次変換の後に例えばイオン化合物CBのうち、イオンCを他のイオンに変換し、前記他のイオンを最終的に質量検出可能なイオンDに変換する場合にも使用することもできる。
本発明の方法によってイオン化合物ABからDBに変換されたイオンDは、質量検出器へ導かれ、イオンDの分子量に応じたm/zを設定することにより、イオンDを検出することができる。つまり、質量検出器で検出されたイオンDのピーク面積あるいはピーク高さから、間接的にイオンAの定量値が算出され、濃度の分析結果を得ることができる。
以下本発明をイオンクロマトグラフィーシステムに適用した場合を例にして図1に基づいて説明する。
分析のため、オートサンプラ3より注入された試料中の各イオン成分は、溶離液1とともに分離媒体5へ導入され、前記各イオン成分はイオンクロマトグラフィー原理により分離される。
本願発明において溶離液1は電解質を含む溶離液を分離媒体5へ通液することにより、分離媒体5へ導入された分析対象である各イオン成分は、前記分離媒体5との相互作用の違いにより、前記分離媒体5内での移動速度に差が生じることになる。その結果、前記各イオン成分は、分離媒体5によって分離され、前記イオン成分のうち、移動速度の早い順に分離媒体出口より流出する。その際、前記分離媒体5から流出する流出液には、溶離液1由来の電解質およびイオンA及びBが含まれる。
ここで使用される分離媒体とは、具体的には、陰イオン分析においては、強塩基陽イオン交換カラム、弱塩基性陰イオン交換カラム、陽イオン分析では、強酸性陽イオン交換カラム、弱酸性陽イオン交換カラムを例示することができる。またその他に、陰イオン交換基と陽イオン交換基を併せ持つ両性イオン交換カラム、逆相クロマトクロマトグラフィー用分離カラム、親水性相互作用クロマトグラフィー用分離カラムなどを例示することができる。
イオン交換媒体6はイオン化合物ABをCBへ一次変換する工程の際に使用する。その際、イオン交換媒体6内で、イオン交換媒体6から流出する液体に存在する溶離液由来の電解質が、質量検出の妨害とならないようにすることができる。具体的には、溶離液の解離度が極めて小さく、前記溶離液と同一物質である水へ変換される。
この「電解質を含む溶離液」の「電解質」の意味は、水へ変換可能な電解質を意味し、例えば溶離液の電解質に水酸化ナトリウムを使用した場合、陽イオン交換樹脂の水素イオンにより、HとNaがイオン交換してH+OH=HOで水に変換する事を意味する。また溶離液の電解質としてHClを使用する場合、陰イオン交換樹脂の水酸化物イオンにより、OHとClがイオン交換してH+OH=HOで水に変換する事を意味する。
塩変換器7では、イオンCを質量検出可能なイオン種へ変換する際に使用する。この塩変換器7は、質量検出可能なイオン種が固定されており、具体的にはイオンCがイオンDに変換される。つまり、本発明において塩変換器は、一次変換によって得られたイオン化合物CBが質量検出可能なイオンDによって変換され、質量検出可能なDBに変換することができる。また、最終的に質量検出可能なイオンに変換されれば何度塩変換器によってイオン化合物中のイオンが変換されてもよく、特に制限はない。塩変換器によって変換された後、塩変換器から流出したイオン種は、質量検出器8へ導かれ、イオン種の分子量に適応したm/zを設定することにより、検出される。検出されたイオン種のピーク高さあるいはピーク面積から、イオン種はイオンAとして定量値が算出され、イオン成分の濃度の分析結果を得ることができる。また、この様にイオンCを質量分析可能なイオン種に変換する前に、イオンAをイオンCに変換する際にも塩変換器を使用することができる。
また、本発明を採用した分析装置は、使用する試料溶液中の異なる複数の分析対象イオンを同時に分析する方法に適用することが可能となる。具体的には実施例にて後述するが、例えば試料中のイオン成分ごとの前記分離媒体5との相互作用の違いにより、前記分離媒体5内で、試料中のイオン成分ごとの移動速度に差が生じさせる。次いで、試料中のイオン成分ごとに移動速度に差を生じさせたまま例えばNO3及びClを同時に一次変換し、塩変換器でイオンCを検出可能なイオンDへ変換することができる。その結果、各イオン成分を移動速度の差によって分離させたまま、検出器で各イオン成分を検出することができる。
本発明において一次変換及び/又は塩変換器について何種類使用しても制限はない。例えばNaClをイオン化合物として用いた場合、一次変換によってHClに変換後、次いで塩変換器を3種類採用することによって塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウムに変換し、前記カリウムイオンを質量検出器等の検出器で検出可能なイオン種に変換することによって検出器で検出することができる。
直接検出によっても各陽イオンの質量検出が可能であることを示唆した。
具体的には、硝酸イオンや塩化物イオンのような低分子量のイオン検出や、試料溶液中の異なる複数の分析対象イオンを同時に分析することが可能となった。
従来使用されているサプレッサー法−電気伝導度検出に基づくイオンクロマトグラフィー法では、イオン成分の解離特性により、検出感度、定量精度に問題がみられるケースがあるが、本発明による質量検出法によれば、すべて同じイオン種として、そのm/zにより検出されることから、検出感度が向上し、高精度の定量分析結果が得られる効果が期待できる。
このように水に変換可能な電解質を用いたイオンクロマトグラフィーによりイオンの分離・検出が可能なことから、イオン交換カラムをはじめとする各種の分離カラムを用いたイオンの分析に適用可能である。また、電解質濃度を自在に調整して分離を制御することにより、環境試料、化学品、食品、医薬品など幅広い実試料のイオン分析に適用することができる。
本発明を実施する装置の模式的な流れ図である。 実施例1において得られたMSクロマトグラムを示す図である。 実施例2において得られたMSクロマトグラムを示す図である。 実施例3において得られたMSクロマトグラムを示す図である。 実施例4において得られたMSクロマトグラムを示す図である。 比較例1において得られたMSクロマトグラムを示す図である。 比較例1において得られたMSクロマトグラムを示す図である。
図1に本発明の様態を実施するために単純化した装置構成を示す。
図1において1は溶離液を示す。溶離液に使用する電解質は、イオン交換媒体6へ通液することにより水へ変換可能なものを用いる。
陰イオン分析であれば、水酸化物イオンを対イオンとするアルカリ水溶液を使用することが可能であり、具体的には、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化アンモニウム,水酸化リチウム,水酸化テトラアルキルアンモニウム等の電解質を例示することができる。陽イオン分析では、水へ変換可能な水素イオンを対イオンとする酸水溶液を使用することが可能であり、具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、りん酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の電解質を例示することができる。溶離液1の電解質の濃度は、0.01mmol/L以上500mmol/L以下の濃度であることが好ましく、さらには、0.1mmol/L以上200mmol/L以下が好ましい。溶離液1は単一の組成のもの、あるいは2種類以上の濃度が異なる組成のものを段階的あるいは連続的に混合したものを使用することができる。また、溶離液1には、水溶性の有機溶媒を含有していてもよく、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどを例示することができる。
溶離液1は送液ポンプ2により送液され、オートサンプラ3を経て、カラムオーブン4の中の分離媒体5へ導入される。分離媒体5には、電解質を利用するクロマトグラフィー用の分離カラムを使用することができる。具体的には、陰イオン分析においては、強塩基性陰イオン交換カラム,弱塩基性陰イオン交換カラム、陽イオン分析では、強酸性陽イオン交換カラム,弱酸性陽イオン交換カラムを例示することができ、その他に、陰イオン交換基と陽イオン交換基を併せ持つ両性イオン交換カラム、逆相クロマトグラフィー用分離カラム、親水性相互作用クロマトグラフィー用分離カラムなどを例示することができる。分析のため、オートサンプラ3より注入された試料は、溶離液1とともに分離媒体5へ導入される。導入された各イオン成分はイオンクロマトグラフィー原理より分離される。
イオン交換媒体6は、溶離液由来のイオン成分が塩変換器を通過したとしても検出器で検出した際に影響を与えないようにするために使用する。従って、溶離液がH2O等の検出に影響を与えない溶離液を使用した場合にはこの限りではない。
また、イオン交換樹脂を充てんしたカラムタイプのものあるいはイオン交換膜を使用した膜タイプのものを使用することができる。具体的には、陰イオン分析では、溶離液に含まれる陽イオンを水素イオンへ変換することができる水素イオン型の陽イオン交換樹脂を充填したカラムあるいは水素イオンを供給し、陽イオンを除くことが可能である陽イオン交換膜を有する膜型サプレッサーを例示することができる。陽イオン分析では、溶離液に含まれる陰イオンを水酸化物イオンへ変換することができる水酸化物イオン型の陰イオン交換樹脂を充填したカラムあるいは水酸化物イオンを供給し、陰イオンを除くことが可能である陽イオン交換膜を有する膜型サプレッサーを例示することができる。
次に塩変換を行うための塩変換器7は、分離媒体5内で、試料中のイオン成分ごとの移動速度に差が生じさせたイオン成分を質量検出器等の検出器で検出可能なイオン種に変換することによって検出器で検出することができる。また塩変換器に使用する材としては、イオン交換樹脂を充てんしたカラムまたはイオン交換膜を使用することが可能である。具体的には、イオン交換樹脂であれば、質量検出器により検出可能なイオン種を対イオンとするものであり、ヨウ化物型陰イオン交換樹脂、臭素酸イオン型陰イオン交換樹脂、ヨウ素酸型陰イオン交換樹脂、脂肪族及び/または芳香族の官能基を有するスルホン酸イオン型陰イオン交換樹脂、金属−金属配位子錯イオン型陰イオン交換樹脂、アルキルアンモニウムイオン型陽イオン交換樹脂、ピリジニウムイオン型陽イオン交換樹脂、スルホニウムイオン型陽イオン交換樹脂、金属−金属配位子錯イオン型陽イオン交換樹脂などを例示することができる。
使用方法として、イオン交換媒体6から流出したイオン成分を塩変換器内で直接イオン交換反応により、質量検出可能なイオン種への変換が困難な場合、塩変換器の前に、予備的な塩変換器を接続して使用することができる。予備的な塩変換器としてイオン交換媒体を含むイオン交換樹脂を充填したカラムまたはイオン交換膜を使用することができ、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、塩変換器を複数個使用することも可能である。
また、溶離液中のイオン成分の変換を行なうイオン交換媒体6の機能とイオン成分を質量検出器等の検出器で検出可能なイオン種に変換する機能を兼ねた塩変換器を採用することも可能である。
質量検出器8は、m/zは50〜1000の範囲で設定可能なものを使用することができる。
この質量検出器8には、データ処理機9は具備されており、質量検出器8で検出された各m/zの強度のデータが処理されてクロマトグラムとして出力される。
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を記載するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例では、塩変換処理を利用した分析例を示す。
実施例1
図1の概略図により、質量検出法により分析した。
陰イオン分析を行うための測定条件として、1の溶離液には、2mmol/L水酸化ナトリウムを用い、流速0.2mL/minで送液した。2の送液ポンプには、DP−8020型ポンプ(東ソー(株)製)、3のオートサンプラには、AS−8020型オートサンプラ(東ソー(株)製)、4のカラムオーブンには、CO−8020C型カラムオーブン(東ソー(株)製)を使用した。
5の分離カラムにTSKgel SuperIC−AZ(内径4.6mm,長さ1cm)を使用し、6のイオン交換媒体として、水素イオンを対イオンとする強酸性イオン交換樹脂(TSKgel Suppress IC−A,東ソー(株)製)を内径4.6mm,長さ5cmのカラムに充てんしたものを使用した。7の塩変換器には強酸性イオン交換樹脂(TSKgel Suppress IC−A,東ソー(株)製)の対イオンをナトリウムイオン,1−エチルピリジニウムイオンとし、それぞれ内径4.6mm,長さ1cmのカラムに充填したカラムを使用し、これら2つの塩変換器をナトリウム型、1−エチルピリジニウム型の順に直列に接続して使用した。
8の質量検出器には高速液体クロマトグラフ質量分析計LCMS−8030((株)島津製作所製)を使用し、9のデータ処理機として、専用ワークステーションLabSolution LCMSを使用し、機器制御およびクロマトグラムに関するデータ収集・解析を実施した。
測定温度は25℃とし、質量検出ではESIのポジティブモードにて、−4.5kVのインタフェース電圧、DL温度250℃、ヒートブロック温度400℃にてイオン化し、プリカーサイオンのm/zを108.15,プロダクトイオンのm/zを108.15に設定し、MRMモードにて検出を行った。試料として塩化ナトリウム、硝酸ナトリウムの混合液(濃度はそれぞれ塩化物イオン、硝酸イオンとして各10mg/L)をオートサンプラより20μL注入して得られたMSクロマトグラムを図2に示す。
質量検出器において塩化物イオン,硝酸イオンに由来したピークが観測され、イオン交換媒体から溶出した直後は、塩酸,硝酸として存在して各イオンが、塩変換器により、それぞれ、塩化1−エチルピリジニウム、硝酸1−エチルピリジニウムへ変換され、分離された各陰イオンに由来した1−エチルピリジニウムイオンが質量検出器において検出されたことを示す。
実施例2
図1のシステムを用いて、塩変換器として1−エチルピリジニウムイオンを対イオンとするイオン交換樹脂(TSKgel Suppress IC−A,東ソー(株)製)を内径4.6mm,長さ1cmのカラムに充填したカラムを使用した。
その他は実施例1記載の条件と同様にして陰イオン分析を行い、得られたMSクロマトグラムを図3に示す。
1つの塩変換器のみの使用においても、実施例1と同様に、分離された各陰イオンに由来した1−エチルピリジニウムイオンが質量検出器において検出されたことを示す。
実施例3
図1のシステムを用いて、塩変換器としてナトリウムイオン,テトラブチルアンモニウムイオンを対イオンとするイオン交換樹脂(TSKgel Suppress IC−A,東ソー(株)製)を、それぞれ、内径4.6mm,長さ1cmのカラムに充填したカラムを使用し、これら2つの塩変換器をナトリウム型、テトラブチルアンモニウム型の順に直列に接続して使用した。
質量検出ではESIのポジティブモードにて、−4.5kVのインタフェース電圧、DL温度250℃、ヒートブロック温度400℃にてイオン化し、プリカーサイオンのm/zを242.45,プロダクトイオンのm/zを242.45に設定し、MRMモードにて検出を行った。
その他は実施例1記載の条件と同様にして陰イオン分析を行い、得られたMSクロマトグラムを図4に示す。
質量検出器において塩化物イオン,硝酸イオンに由来したピークが観測され、イオン交換媒体から溶出した直後は、塩酸,硝酸として存在して各イオンが、塩変換器により、それぞれ塩化テトラブチルアンモニウム、硝酸テトラブチルアンモニウムへ変換され、分離された各陰イオンに由来したテトラブチルアンモニウムイオンが質量検出器において検出されたことを示す。
実施例4
図1のシステムを用いて、塩変換器としてテトラブチルアンモニウムイオンを対イオンとするイオン交換樹脂(TSKgel Suppress IC−A,東ソー(株)製)を内径4.6mm,長さ1cmのカラムに充填したカラムを使用した。
その他は実施例1記載の条件と同様にして陰イオン分析を行い、得られたMSクロマトグラムを図5に示す。
1つの塩変換器のみの使用においても、実施例3と同様に、分離された各陰イオンに由来したテトラブチルアンモニウムイオンが質量検出器において検出されたことを示す。
比較例1
図1のシステムを用いて、イオン交換媒体として強酸性イオン交換樹脂(TSKgel Suppress IC−A,東ソー(株)製)の対イオンを水素イオンとし、内径4.6mm,長さ1cmのカラムに充てんしたもののみを使用した。なお塩変換器は使用しなかった。
質量検出ではESIのネガティブモードにて、−3.5kVのインタフェース電圧、DL温度250℃、ヒートブロック温度400℃にてイオン化し、塩化物イオンの直接検出用としてプリカーサイオンのm/zを35.45,プロダクトイオンのm/zを35.45に設定し、硝酸イオンの直接検出用としてプリカーサイオンのm/zを62.00,プロダクトイオンのm/zを46.15に設定し、MRMモードにて検出を行った。試料として塩化ナトリウム、硝酸ナトリウムの混合液(濃度はそれぞれ塩化物イオン、硝酸イオンとして各10mg/L)をオートサンプラより20μL注入した。
その他は実施例1記載の条件と同様にして陰イオンの分析を行い、得られたMSクロマトグラムを図6および図7に示す。
その結果、図6では塩化物イオンが他のイオン成分に変換されることなく、塩化物イオンそのもののピークが質量検出によって直接検出された。実施例1〜4と比較してノイズが大きく検出感度の低いクロマトグラムとなった。
また、図7では硝酸イオンも他のイオン成分に変換されることなく硝酸イオンそのもののピークが質量検出によって直接検出された。しかしながら塩化イオンは硝酸イオン等と比較して質量数が小さいため、質量検出器で直接検出した場合、実施例1〜4の結果と比較して検出感度が低い結果となった。つまり、塩化物イオン等の質量数が小さいイオンを検出したい場合には、質量数がより大きい他のイオン種に変換することで質量分析法においてより十分な感度が得られることが示された。
1 溶離液
2 送液ポンプ
3 オートサンプラ
4 カラムオーブン
5 分離媒体
6 イオン交換媒体
7 塩変換器
8 質量検出器
9 データ処理機
10 塩化物イオン由来のピーク
11 硝酸イオン由来のピーク

Claims (6)

  1. イオンを変換する方法であって、
    イオン化合物AB(式中、Aはカチオン、Bはアニオン)を塩変換器により変換してDB(式中、Dは金属−金属配位子錯イオンであって陽イオンのもの、アルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン又はスルホニウムイオンのいずれか)を得ることを特徴とするイオン変換方法。
  2. 請求項1に記載のイオンを変換する方法において、
    イオン化合物ABをイオン交換媒体により変換して、CB(式中、CはH+イオンを表す)とした後に塩変換器により変換してDBを得る方法。
  3. 前記イオン交換媒体及び/または前記塩変換器がイオン交換カラムまたはイオン交換膜である請求項に記載の方法。
  4. イオンを検出器で検出する装置であって、
    イオン化合物AB(式中、Aはカチオン、Bはアニオン)をDB(式中、Dは金属−金属配位子錯イオンであって陽イオンのもの、アルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン又はスルホニウムイオンのいずれか)に変換する手段及び質量検出器を備えたことを特徴とするイオン検出装置。
  5. イオン化合物ABをDBに変換する手段が、
    イオン化合物ABを変換して、CB(式中、CはH+イオンを表す)とするイオン交換媒体及びCBをDBに変換する塩変換器を含むことを特徴とする請求項4に記載の装置。
  6. 前記イオン交換媒体及び/または前記塩変換器がイオン交換カラムまたはイオン交換膜である請求項に記載のイオン検出装置。
JP2015194741A 2015-09-30 2015-09-30 イオン化合物のイオン変換方法及びイオン変換装置 Active JP6631132B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015194741A JP6631132B2 (ja) 2015-09-30 2015-09-30 イオン化合物のイオン変換方法及びイオン変換装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015194741A JP6631132B2 (ja) 2015-09-30 2015-09-30 イオン化合物のイオン変換方法及びイオン変換装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017067659A JP2017067659A (ja) 2017-04-06
JP6631132B2 true JP6631132B2 (ja) 2020-01-15

Family

ID=58494541

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015194741A Active JP6631132B2 (ja) 2015-09-30 2015-09-30 イオン化合物のイオン変換方法及びイオン変換装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6631132B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06194357A (ja) * 1992-12-24 1994-07-15 Kao Corp 液体クロマトグラフ分析法および分析装置
US6752927B2 (en) * 2001-03-01 2004-06-22 Dionex Corporation Suppressed chromatography and salt conversion system
US8293099B2 (en) * 2008-02-28 2012-10-23 Dionex Corporation Ion detector and system
JP2012002534A (ja) * 2010-06-14 2012-01-05 Tokyo Metropolitan Univ 電離定数の測定方法
US10395913B2 (en) * 2013-12-30 2019-08-27 Purdue Research Foundation Mass spectrometry probes and systems for ionizing a sample transport

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017067659A (ja) 2017-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Chen et al. Application of nanoring amino-functionalized magnetic polymer dispersive micro-solid-phase extraction and ultra fast liquid chromatography–tandem mass spectrometry in dicyandiamide residue analysis of powdered milk
Sano et al. Analysis of triorganotin compounds in water samples by hydrophilic interaction liquid chromatography–electrospray ionization-mass spectrometry
Fan et al. Determination of alkyl ammonium ionic liquid cations by hydrophilic interaction liquid chromatography and its application in analysis of environmental water
Zhang et al. Analysis of glyoxal and related substances by means of high-performance liquid chromatography with refractive index detection
JP5696787B2 (ja) 酸化ハロゲン酸分析方法
JP6631131B2 (ja) イオン化合物のイオン変換方法及びイオン変換装置
CN104833761B (zh) 一种快速分析样品中的糖类化合物的方法
JP6597138B2 (ja) イオン化合物のイオン変換方法及びイオン変換装置
Skoglund et al. Monolithic packed 96‐tips set for high‐throughput sample preparation: determination of cyclophosphamide and busulfan in whole blood samples by monolithic packed 96‐tips and LC‐MS
Muscarella et al. Measurement of histamine in seafood by HPLC, CE, and ELISA: comparison of three techniques
JP6631132B2 (ja) イオン化合物のイオン変換方法及びイオン変換装置
JP6578863B2 (ja) イオン化合物のイオン変換方法及びイオン変換装置
JP6379594B2 (ja) イオン化合物のイオン変換方法及びイオン変換装置
Guan et al. Hydrophilic interaction liquid chromatography for separation and determination of pyrrolidinium ionic liquid cations
Zhong et al. Multi-channel purge and trap system coupled with ion chromatography for the determination of alkylamines in cosmetics
JP6379593B2 (ja) イオン化合物のイオン変換方法およびイオン変換装置
JP2005127739A (ja) 高濃度試料中のイオン分離分析方法
Takeuchi et al. Indirect photometric detection of monovalent cations via postsuppressor ion replacement in microcolumn ion chromatography
Wille et al. IC–MS coupling—Theory, concepts and applications
Kocic et al. A new approach to live reaction monitoring using active flow technology in ultra‐high‐speed HPLC with mass spectral detection
Rodriguez et al. Application of capillary ion chromatography and capillary ion chromatography coupled with mass spectrometry to determine methanesulfonate and inorganic anions in microliter sample volumes of Antarctic snow and ice
Iancu et al. Analytical strategy based on new chromatographic method for pharmaceutical residues in seawater
Mori et al. Ion-exclusion chromatography with the direct UV detection of non-absorbing inorganic cations using an anion-exchange conversion column in the iodide-form
Song et al. A pretreatment free method for the determination of seven natural products in a high-salt matrix by online guard column extraction coupled with tandem mass spectrometry
JP4431708B2 (ja) ケイ酸イオンの高感度分離計測方法及びその装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180806

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190108

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190806

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190808

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191125

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6631132

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151