JP6630598B2 - 曲げ加工システム及び曲げ加工方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、ロボット装置のグリッパでワークを把持して曲げ加工を行い、その際のワークの跳ね上がりに対し、グリッパが円弧補間による移動経路でワークを把持したまま追従する(以下追従動作とも称する)ことが記載されている。
一般に、グリッパは、この追従動作を、ワークを厚さ方向に加圧して掴みながら行う場合(以下、加圧追従と称する)と、ワークに対し加圧せずに単に接触して又は微小距離離隔して追従する場合(以下、不加圧追従と称する)と、のいずれか、或いはそれらを組み合わせて行う。
以下の説明において、グリッパの追従動作におけるワークの把持は、便宜的に、この加圧追従と不加圧追従とを含むものとする。
すなわち、追従動作におけるグリッパの移動は、曲げ加工装置側の3次元座標系を基準とした円弧補間とされる。
従って、曲げ加工装置の3次元座標系とロボット装置の3次元座標系とが軸方向で一致していないと、跳ね上がるワークとグリッパとの間で位置ずれが生じ得る。
また、ロボット装置は多軸の腕部を有するため、部品の組み付け状態や仕上がり精度にも依存して個々の装置毎に軸方向がわずかに異なる場合がある。
1) 板材の曲げ加工を行う曲げ加工装置と、
グリッパ及び前記グリッパの位置及び動作を制御するロボット制御部を有し前記板材を前記グリッパで把持して前記曲げ加工に供すると共に前記曲げ加工で跳ね上がる前記板材の把持を円弧補間による追従動作で維持するロボット装置と、を含んで構成され、
前記ロボット制御部は、
予め定められた、前記曲げ加工装置の基準線と前記グリッパの基準部位との間の、前記グリッパが基準状態にあるときの距離及び追従動作状態にあるときの距離に基づいて、前記曲げ加工装置における動作方向の基準となる第1の座標系に対する前記ロボット装置の動作方向の基準となる第2の座標系の軸のずれを求める座標軸補正部を有し、
前記ずれを相殺して前記円弧補間による追従動作を実行することを特徴とする曲げ加工システムである。
2) 前記距離は、前記第1の座標系における水平面からの鉛直距離と鉛直面からの水平距離とを含み、前記座標軸補正部は、前記鉛直距離及び前記水平距離に基づいて前記ずれを求めることを特徴とする1)に記載の曲げ加工システムである。
3) ロボット装置のグリッパで把持した板材を曲げ加工装置の曲げ加工に供すると共に、前記曲げ加工で跳ね上がる前記板材の前記グリッパによる把持を、円弧補間による追従動作で維持する曲げ加工方法であって、
予め、前記曲げ加工装置の基準線と前記グリッパの基準部位との間の距離を、前記グリッパが基準状態にあるときの第1距離及び追従動作状態にあるときに第2距離として測定し、
測定した前記第1及び第2距離に基づいて、前記曲げ加工装置における動作方向の基準となる第1の座標系に対する前記ロボット装置の動作方向の基準となる第2の座標系の軸のずれを求め、
前記ずれを相殺して前記円弧補間による追従動作を実行することを特徴とする曲げ加工方法である。
4) 前記距離を、前記第1の座標系における水平面からの鉛直距離と鉛直面からの水平距離とし、前記鉛直距離及び前記水平距離に基づいて前記ずれを求めることを特徴とする3)に記載の曲げ加工方法である。
プレスブレーキ51は、左右の側板1L,1Rと、側板1L,1Rの前上部に昇降可能に設けられた上部テーブル2と、上部テーブル2を昇降させるテーブル駆動部3と、を有する。
側板1L,1Rの前下部には、固定して設けられた下部テーブル4を有する。
上部テーブル2の下面部には、パンチPが着脱自在に取り付けられている。
下部テーブル4の上面部には、パンチPと組をなすダイDが着脱自在に取り付けられている。
プレスブレーキ51は、また、全体の動作を制御するNC装置11を有する。
腕部52bの先端には、グリッパ21、又は複数のグリッパ21を有するグリップユニット21U、が取り付けられている。
グリッパ21は、下ジョー21aと、下ジョー21aに対して上下方向に離接し、下ジョー21aとの間に板材のワーク(図1では不図示)を挟持する上ジョー21bと、を有する。
ロボット装置52は、モータ群MG及びジョー用モータMjの動作を含む全体動作を制御するロボット制御装置22を有する。
制御部12は、中央処理装置であるCPU12aと、動作指令生成部12bと、コントローラ12cと、を有する。
出力部14は、制御部12からの出力用情報を、画像,音声,印刷などによって外部に出力する。
記憶部15は、制御部12から出力された記憶すべき情報を記憶する。制御部12は、記憶部15に記憶された情報を参照或いは取得する。
R制御部23は、中央処理装置であるR−CPU23a,R動作指令生成部23b,Rコントローラ23c,及び座標軸補正部23dを有する。
各名称の「R」は、ロボット装置に属することを意味し、理解容易のために付加したものである。
ロボット動作情報JR1は、R入力部24からR制御部23に送られ、適宜R記憶部26に記憶される。
R記憶部26は、R制御部23から出力された記憶すべき情報を記憶し、R制御部23は、R記憶部26に記憶された情報を参照或いは取得する。
ワークWは、グリッパ21の上ジョー21bと下ジョー21aとにより上下方向に挟まれて把持されている。 また、グリッパ21の追従動作におけるワークWの把持は、既述のように、ワークWを厚さ方向に加圧して掴みながら行う加圧追従と、ワークWに対し加圧せずに単に接触して又は微小距離離隔して追従する不加圧追従と、のいずれか、或いはそれらの組み合わせで行う。
追従動作では、円弧補間の基準となる中心位置を、例えばワークWの下面の折り曲げ位置である位置P1(0,0,0)とする。
また、グリッパ21側の基準部位を、下ジョー21aの下面後方側の端部21a1とする。端部21a1は、基準状態で位置P2(x2,y2,z2)にある。
この跳ね上がりに追従して把持を維持するため、グリッパ21は、端部21a1を、位置P1を中心として反時計まわり方向に円弧補間して移動させる。
円弧補間は、ワークWのダイDに対するすべりや、ワークWとダイDとの接触点の位置移動なども考慮して設定する場合もあるが、ここでは、便宜的に位置P1と、次に説明する曲げの進行に伴う位置P1の下降のみを考慮する場合について説明する。
そのため、制御部12は、グリッパ21の端部21a1を、位置P1を中心とする円弧よりも距離z1の分だけ下方に位置するようZ軸値を補正して円弧補間し、位置P3(x3,y3,z3)に移動させる。制御部12は、この制御を、パンチの押し込みの進行に伴いリアルタイムで行う。
これにより、グリッパ21は、板材であるワークWの跳ね上がりに追従してワークWの把持を維持することができる。
座標系CSは、プレスブレーキ51の動作方向の基準となる座標系であり、座標系CSRは、ロボット装置52の動作方向の基準となる座標系である。
従って、円弧補間の基準となる位置P1及び位置P1−2は、プレスブレーキ51の座標系CSに基づいて設定され、図3で説明したグリッパ21における基準部位となる端部21a1の位置は、ロボット装置52の座標系CSRに基づいて制御される。
詳しくは、図4に示されるように、位置P1を座標系CSの原点とし、位置PR1を座標系CSRの原点とし、位置P1と位置PR1との3次元的偏倚量が(a,b,c)であれば、位置P1(0,0,0)に対し(a,b,c)を加算して位置PR1(a,b,c)を一対一で定義づけできる。
例えば、プレスブレーキ及びロボット装置を設置後の、最初の曲げ加工の前、メンテナンス後の最初の曲げ加工の前、長期間稼動を停止した後に行う最初の曲げ加工の前、連続稼動時の所定期間毎、エラー停止後の加工再開前、などである。
ここで説明するロボット装置52は、図6に示されるように、腕部52bの先端に取り付けられ一方向に延びるグリップフレーム21cと、グリップフレーム21cの両端部と、中間部の2ヶ所と、に設けられた複数(四つ)のグリッパ21と、を有するグリップユニット21Uを備えている。
水平把持姿勢FAにおける、左下端KLの位置を位置P2Aとし右下端KRの位置を位置P2Bとする。
跳ね上がり把持姿勢FBにおける、左下端KLの位置を位置P3Aとし右下端KRの位置を位置P3Bとする。
ロボット装置52のR制御部23は、水平X軸線LRx1が、ロボット装置52の座標軸CSRのX軸と一致する線又はX軸に平行となるようにグリップユニット21Uの姿勢を制御する。
この跳ね上がり把持姿勢FBにおける左下端KLと右下端KRとを通る直線を、跳ね上がりX軸線LRx2(図7参照)と称する。
併せて、左下端KLと右下端KRとのX軸方向の距離L1を把握しておく。
併せて、左下端KLと右下端KRとのX軸方向の距離L2を把握しておく。
水平X軸線LRx1の方向と跳ね上がりX軸線LRx2の方向とが角度ずれした状態(非平行状態)にあるかないか、が、図8及び図9に示されるように把握される。
図9は、図8に示された水平X軸線LRx1及び跳ね上がりX軸線LRcx2を、それぞれ平行移動して交線Lx1上の一つの点Paで交わるようにした図である。すなわち、位置P2B及び位置P3Bを、交線Lx1の点Paで交わるようにしている。
この角度φ,θ,ψが、プレスブレーキ51の座標系CSに対するロボット装置52の座標系CSRの傾き方向及び傾き量を特定する変換パラメータとなる。
これについて図10を参照して詳述する。
R制御部23は、座標系CSの座標系CSRへの変換を、図4を参照して説明した原点位置の平行移動に加え、3軸の方向を補正する軸方向補正も含めて行う。
軸方向補整は、座標軸補正部23dにより行われる。
次に、中間座標系CS1(X1,Y1,Z1)を、図9の投影線LT1に対する水平X軸線LRx1のなす角度である角度θだけX軸まわりに回転した中間座標系CS2(X2,Y2,Z2)に変換する。
中間座標系CS2以降の変換は、図10(b)に示される。
すなわち、図10(b)に一点鎖線(一部実線)で示される中間座標系CS2(X2,Y2,Z2)を、角度ψだけZ2軸まわりに回転して座標系CSR(XR,YR,ZR)とする。
このように、R制御部23の座標軸補正部23dは、座標系CSを、中間座標系CS1及び中間座標系CS2を経て座標系CSRと変換する。
R制御装置22のR動作指令生成部23bは、入来した座標系CSによる追従動作情報J2に対し、座標軸補正部23dによって上述の平行移動及び軸方向補正を行い、座標系CSRとしての追従動作指令であるR追従動作指令SR2を変換生成してRコントローラ23cに送出する。
これにより、従来行われなかったプレスブレーキ51側の座標系CSの座標軸(X,Y,Z)と、ロボット装置52側の座標系CSRの座標軸(XR,YR,ZR)と、の各軸の方向が高精度に一致する。
そのため、追従動作において、グリッパ21のワークWに対する把持が加圧追従の場合、跳ね上がるワークWとグリッパ21との間のすべりが実質的にない状態となり、把持が不加圧追従の場合、跳ね上がるワークWとグリッパ21とが付勢当接することがなくその状態が維持される。
従って、ワークWの跳ね上がりに対するグリッパ21の追従動作が良好となる。
距離を測定する測定器は、ダイヤルゲージに限定されない。レーザ距離計など種々の測定器を用いることができる。
ロボット装置52によっては、円弧補間の動きに伴って座標系CSRの軸方向が変化する場合もあり得る。すなわち、座標系CSRの軸方向が、腕部52bの姿勢や位置によって変化する場合である。
この場合は、円弧補間の移動経路に沿って複数箇所での測定を行い、腕部52bの姿勢や位置に応じた座標系CSRの変化状態を把握し、その変化を補整するようにしてよい。
2 上部テーブル
3 テーブル駆動部
4 下部テーブル
11 NC装置
12 制御部
12a CPU(中央処理装置)、 12b 動作指令生成部
12c コントローラ
13 入力部、 14 出力部、 15 記憶部
21,21L,21R グリッパ
21a 下ジョー、 21a1 端部、 21b 上ジョー
21c グリップフレーム、 21U グリップユニット
22 R制御装置(ロボット制御装置)
23 R制御部(ロボット制御部)
23a R−CPU(中央処理装置)、 23b R動作指令生成部
23c Rコントローラ、 23d 座標軸補正部
24 R入力部(ロボット入力部)
25 R出力部(ロボット出力部)
26 R記憶部(ロボット記憶部)
51 プレスブレーキ(曲げ加工装置)
52 ロボット装置、 52a 本体部、 52b 腕部
CS (プレスブレーキ51の)座標系
CS1,CS2 中間座標系
CSR (ロボット装置52の)座標系
D ダイ
FA 水平把持姿勢、 FB 跳ね上がり把持姿勢
D1,D2,D12,D22,H1,H2,H12,H22,L1,L2 距離
J2 追従動作情報、 JR1 ロボット動作情報
KD 駆動部
KL 左下端、 KR 右下端
M モータ、 MG モータ群、 Mj ジョー用モータ
LRx1 水平X軸線、 LRx2 跳ね上がりX軸線
LT1 投影線、 Lx1 交線
P パンチ
Pa,Pn,PRn 点
P1,P1−2,P2,P2A,P2B,P3,P3A,P3B,PR1 位置
R追従動作指令SR2
Se 検出部
SF1 基準水平面、 SF2 基準鉛直面
SR1 動作指令
ST 加工システム
W ワーク
z1 距離
φ,θ,ψ 角度
Claims (4)
- 板材の曲げ加工を行う曲げ加工装置と、
グリッパ及び前記グリッパの位置及び動作を制御するロボット制御部を有し前記板材を前記グリッパで把持して前記曲げ加工に供すると共に前記曲げ加工で跳ね上がる前記板材の把持を円弧補間による追従動作で維持するロボット装置と、を含んで構成され、
前記ロボット制御部は、
予め定められた、前記曲げ加工装置の基準線と前記グリッパの基準部位との間の、前記グリッパが基準状態にあるときの距離及び追従動作状態にあるときの距離に基づいて、前記曲げ加工装置における動作方向の基準となる第1の座標系に対する前記ロボット装置の動作方向の基準となる第2の座標系の軸のずれを求める座標軸補正部を有し、
前記ずれを相殺して前記円弧補間による追従動作を実行することを特徴とする曲げ加工システム。 - 前記距離は、前記第1の座標系における水平面からの鉛直距離と鉛直面からの水平距離とを含み、前記座標軸補正部は、前記鉛直距離及び前記水平距離に基づいて前記ずれを求めることを特徴とする請求項1記載の曲げ加工システム。
- ロボット装置のグリッパで把持した板材を曲げ加工装置の曲げ加工に供すると共に、前記曲げ加工で跳ね上がる前記板材の前記グリッパによる把持を、円弧補間による追従動作で維持する曲げ加工方法であって、
予め、前記曲げ加工装置の基準線と前記グリッパの基準部位との間の距離を、前記グリッパが基準状態にあるときの第1距離及び追従動作状態にあるときに第2距離として測定し、
測定した前記第1及び第2距離に基づいて、前記曲げ加工装置における動作方向の基準となる第1の座標系に対する前記ロボット装置の動作方向の基準となる第2の座標系の軸のずれを求め、
前記ずれを相殺して前記円弧補間による追従動作を実行することを特徴とする曲げ加工方法。 - 前記距離を、前記第1の座標系における水平面からの鉛直距離と鉛直面からの水平距離とし、前記鉛直距離及び前記水平距離に基づいて前記ずれを求めることを特徴とする請求項3記載の曲げ加工方法。
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