JP6630506B2 - 水中油型乳化組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水中油型乳化組成物の製造方法に関する。
従来、ベントナイト等の水膨潤性粘土鉱物は、系を増粘し、なめらかな使用感を付与し、乳化安定性を向上させるなどの観点から乳化化粧料に広く応用されている。
例えば、さっぱりとした使用感触をもち耐水性にも優れた安定な水中油型乳化組成物として、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルと、特定の多価アルコールと、水膨潤性粘土鉱物と、水とを含有した組成物(特許文献1)や、べたつき感のなさやしっとり感、凍結復元安定性を目的とした、特定量の炭化水素油とオリゴ糖を含有し、且つ水膨潤性粘土鉱物とポリグリセリン脂肪酸エステルを特定の比率で含有した水中油型皮膚化粧料(特許文献2)等が報告されている。また、水膨潤性粘土鉱物の層間にモノグリセリン脂肪酸エステルをインターカレーションさせることで、高い安全性と乳化安定性を有するO/Wエマルションが報告されている(非特許文献1)。
特開2003−192532号公報 特開2012−184167号公報
12TH IFSCC CONGRESS.RARIIS,Vol.1,195−214(1982)
しかしながら、従来の水膨潤性粘土鉱物を配合した水中油型乳化組成物の経日安定性、熱安定性は十分でなく、また使用時にはベントナイトによるなめらかな被膜感が得られるものの、油相によるべたつきや油っぽさ(油性感)、きしみ感が十分低減されず、保湿感や浸透感といった効果の点においても満足できるものではなかった。
従って、本発明の課題は、経日安定性、熱安定性等の安定性に加えて、上記べたつき等の使用感が良好な、粘土鉱物含有水中油型乳化組成物の製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者は、前記の水膨潤性粘土鉱物及び水に加えて乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを配合した水中油型乳化組成物の経日及び熱安定性について種々検討したところ、一定量比のポリグリセリン脂肪酸エステルと水膨潤性粘土鉱物と水とをポリグリセリン脂肪酸エステルの融解温度以上で混合し水相を得た後で、この水相に油剤を混合し、水中油型乳化組成物とすれば、乳化粒子が合一しにくくなると考えられ、経日安定性及び熱安定性に優れ、かつべたつき感等の使用感も良好であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、水中油型乳化組成物の製造方法であって、
工程1:(A)水膨潤性粘土鉱物、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルを70質量%以上含む界面活性剤、及び(C)水を含む組成物を、成分(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの融解温度以上の加熱下で混合して水相を得る工程、
工程2:工程1で得られた水相と(D)油剤を含む油相とを混合して乳化液を得る工程、
を有し、前記水相中の成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の質量比[A/(A+B)]が0.3〜0.9である水中油型乳化組成物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記製造方法により得られる水中油型乳化組成物を提供するものである。
本発明の製造方法により得られる水中油型乳化組成物は、乳化粒子が合一しにくくなると考えられ、経日安定性及び熱安定性に優れており、かつなめらかな被膜感を有しながら、べたつき感や油性感、きしみ感がなく、保湿感や浸透感が得られ、良好な使用感となる。
本発明の水中油型乳化組成物の製造方法は、
工程1:(A)水膨潤性粘土鉱物、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルを70質量%以上含む界面活性剤、及び(C)水を含む組成物を、成分(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの融解温度以上の加熱下で混合して水相を得る工程、
工程2:工程1で得られた水相と(D)油剤を含む油相とを混合して乳化液を得る工程、
を有し、前記水相中の成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の質量比[A/(A+B)]が0.3〜0.9である水中油型乳化組成物の製造方法である。
<工程1>
工程1は、(A)水膨潤性粘土鉱物、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルを70質量%以上含む界面活性剤、及び(C)水を含む組成物を、成分(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの融解温度以上の加熱下で混合して水相を得る工程である。
工程1では、水で膨潤した水膨潤性粘土鉱物の層間にポリグリセリン脂肪酸エステルがインターカレーションしたポリグリセリン脂肪酸エステル変性水膨潤性粘土鉱物が形成されると考えられる。水膨潤性粘土鉱物の層間にポリグリセリン脂肪酸エステルがインターカレーションされることで、水膨潤性粘土鉱物によるカードハウス構造が強固になり、かつ油/水界面へ配向するため、水中油型乳化組成物中の乳化粒子が合一しにくくなると考えられ、経日安定性及び熱安定性に優れており、かつべたつき感や油性感、きしみ感がなく、一方なめらかな被膜感や保湿感、浸透感を有する等、使用感も良好となる乳化組成物が得られると考えられる。
成分(A)水膨潤性粘土鉱物としては、ベントナイト(天然、または合成ベントナイトを含む)、モンモリロナイト(天然又は合成モンモリロナイトを含む)、バイデライト、ノントロナイト、ラポナイト、ソーコナイト、ヘクトライト(天然又は合成ヘクトライトを含む)、スチブンサイト等のスメクタイト族の粘土鉱物、バーミキュライト、膨潤性合成フッ素雲母(Na型、Li型合成マイカ)、膨潤性の雲母等が挙げられる。このうち、被膜感及びきしみ感等の使用感を向上させる観点から、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ラポナイト、及びヘクトライトから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
具体的には水膨潤性粘土鉱物としては、ポーラゲル(アメリカンコロイド社製)、ラポナイト(日本シリカ社製)、ベンゲル(豊順鉱業社製)、ルーセンタイト(コープケミカル社製)、クニピア(クニミネ工業社製)、ベンクレイ(水澤化学工業社製)、ビーガム(バンダービルト社製)等の商品名で市販されているものを使用することができる。これらは、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
「水膨潤性」とは、第15改正日本薬局方に定められたベントナイトの試験方法を準用し、粘土鉱物2gの膨潤体積(cm)で表される膨潤力が、20cm/g以上であるものをいう。
水膨潤性粘土鉱物の平均粒径は、水で分散させたとき、1〜5000nmが好ましく、5〜3000nmがより好ましく、10〜1500nmがさらに好ましい。なお、水膨潤性粘土鉱物の平均粒径は、50質量倍の水で分散させた水膨潤性粘土鉱物をレーザー回折法により測定したメディアン径(積算粒子量が50体積%になる粒子径)であり、測定機器:島津レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−2200で測定することができる。
本発明の工程1で得られる水相中における成分(A)の配合量は、特に限定されないが、経日及び熱安定性、並びに使用感を向上させる観点から、0.1〜4.5質量%が好ましく、0.3〜4質量%がより好ましく、0.5〜3.5質量%がさらに好ましい。
成分(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルを70質量%以上含む界面活性剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを70〜100質量%含有し、他の界面活性剤を30質量%未満含有していてもよい。ここで、他の界面活性剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外のノニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。なお、界面活性剤中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、経日及び熱安定性、並びに使用感の向上の観点から、HLB3.5〜16のものが好ましく、HLB5〜12のものがより好ましく、HLB6〜12のものがさらに好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは1種又は2種以上使用することができる。本発明において、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBとは、個々のポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBの加重平均による。
HLB値は下記の川上式(I)により算出されるものが好ましい。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo)・・・(I)
ここで式(I)においてMwは親水性基部の分子量、Moは親油性基部の分子量をそれぞれ表す。
ポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン平均重合度は、経日及び熱安定性、並びに使用感を向上させる観点から、2〜20が好ましく、4〜15がより好ましい。また、構成脂肪酸としては、炭素数2〜22の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数12〜18の飽和又は不飽和脂肪酸がより好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率(全ヒドロキシ基に対するエステル化率)は使用感を向上させる観点から4〜75%が好ましく、5〜60%がより好ましく、8〜50%がさらに好ましい。
具体的なポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸ポリグリセリル−10、ジステアリン酸ポリグリセリル−10、トリステアリン酸ポリグリセリル−10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル−10、オレイン酸ポリグリセリル−10、イソステアリン酸ポリグリセリル−10、ミリスチン酸ポリグリセリル−10、ラウリン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸ポリグリセリル−4、ステアリン酸ポリグリセリル−6、ステアリン酸ポリグリセリル−2等が挙げられ、これらの中では、べたつき感やきしみ感、浸透感等の使用感を向上させる観点から、ジステアリン酸ポリグリセリル−10、トリステアリン酸ポリグリセリル−10、イソステアリン酸ポリグリセリル−10から選ばれる少なくとも1種以上がより好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの融点は、経日安定性及び熱安定性を向上させる観点から、50〜85℃であるものが好ましく、55℃〜82℃であるものがより好ましく、60〜80℃であるものがさらに好ましい。
また、2種以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを含む場合は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの混合物としての融点を意味する。
なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルの融解温度の測定方法は、化粧品原料基準(薬事日報社、平成11年8月30日発行)に記載されている融点測定法の第2法に従って測定を行う。
本発明の製造法における工程1で得られる水相中における成分(B)の配合量は、特に限定されないが、経日及び熱安定性や使用感を向上させる観点から、0.1〜4.5質量%が好ましく、0.2〜4質量%がより好ましく、0.3〜3.5質量%がさらに好ましい。
本発明の製造法における工程1で得られる水相中における成分(C)水の配合量は、特に限定されないが、1〜95質量%が好ましく、3〜93質量%がより好ましく、5〜90質量%がさらに好ましい。
本発明の製造法における工程1の組成物中における成分(A)の水膨潤性粘土鉱物の配合量は、本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物の経日安定性やべたつき感や保湿感などの使用感を向上させる観点から、成分(A)と成分(B)の合計量(A+B)に対する成分(A)の質量比[A/(A+B)]は、0.3〜0.9が好ましく、0.3〜0.8がより好ましく、0.4〜0.6がさらに好ましい。
また、工程1の組成物中の成分(A)と成分(B)の合計量(A+B)の割合は、本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物の経日安定性、浸透感や被膜感などの使用感を向上させる観点から、0.6〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましく、1.5〜3.5質量%がさらに好ましい。
本発明の製造法における工程1の組成物中には、経日及び熱安定性を向上させる観点から、pH調整剤の量は1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましく、実質0質量%がさらに好ましい。
本発明の製造法における工程1における水相組成物を加熱する温度は、乳化安定性を向上させる観点からのポリグリセリン脂肪酸エステルが融解する温度以上に加熱することが好ましく、50〜85℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。なお、融点の測定方法は、前記の通りである。
本発明の製造法における工程1において、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む組成物を混合する順序は、特に限定されないが、経日及び熱安定性に優れた水中油型乳化組成物を得る観点から、成分(C)の水の全部又は一部を成分(A)と混合する工程1−1、工程1−2を有することが好ましい。
工程1−1:成分(A)と成分(C1)を混合し混合液を得る工程
工程1−2:工程1−1で得られた混合液と成分(B)とを混合する工程
さらに、工程1−2は、経日及び熱安定性を向上させる観点から、工程1−1で得られた混合液、成分(B)とさらに成分(C2)とを混合する工程を含むことが好ましい。
本発明の製造法における工程1の水相中における成分(A)に対する成分(C)(または(C1とC2の合計量(C1+C2))の質量比(C/A)(または(C1+C2)/A)は、成分(A)の経日及び熱安定性を向上させる観点から10以上とすることが好ましく、12〜90がより好ましく、15〜70がさらに好ましい。
また、工程1−1の混合液における成分(A)に対する成分(C1)の質量比(C1/A)成分(A)は、経日及び熱安定性を向上させる観点から、10以上とすることが好ましく、12〜60がより好ましく、15〜30がさらに好ましい。
本発明の製造法における工程1において、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む組成物を混合する時間は、特に制限されず、30秒〜50分であればよく、本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物の経日及び熱安定性を向上させる観点から、1分〜30分であればより好ましく、3分〜20分であればさらに好ましい。
本発明の製造方法において、工程1で得られた水相中には、成分(A)の水膨潤性粘土鉱物の層間に、成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルがインターカレーションした構造を有する変性物、すなわちポリグリセリン脂肪酸エステル変性水膨潤性粘土鉱物が生成すると考えられる。
成分(A)水膨潤性粘土鉱物の層間にインターカレーションする成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルの層は、単層でも複数層でもよく、単層と複数層の混合であってもよい。このようなインターカレーションの構造はX線回折法により解析することができる。そして、X線回折により得られるポリグリセリン脂肪酸エステル変性水膨潤性粘土鉱物の層間距離d(001)Åは、水中油型乳化組成物の経日及び熱安定性を向上させる観点から、13.5〜170Åが好ましく、14.3〜170Åがより好ましく、16〜170Åがさらに好ましい。
本発明の製造法における工程1では、さらに、経日及び熱安定性、並びに使用感を向上させる観点から、成分(E)多価アルコール及び水溶性高分子から選ばれる1種又は2種以上を添加することが好ましい。
具体的な水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリルアミド、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、ポリアクリレート−13、及びヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩からなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく挙げられる。さらに、使用感の観点から、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリルアミド、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、及びヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
これらの成分は市販されており、SEPPIC社から販売されているSEPIGEL 305(ポリアクリルアミド、水添ポリイソブテン(または(C13,14)イソパラフィン)、ラウレス−7、水)、SEPINOV EMT 10((アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)、SIMULGEL NS((アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、スクワラン、ポリソルベート 60、水)、SIMULGEL FL((アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、イソヘキサデカン、ポリソルベート60、水)、SEPIPLUS S((アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリイソブテン、PEG−7トリメチロールプロパンヤシ油アルキルエーテル、水)、SIMULGEL EG((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、イソヘキサデカン、ポリソルベート 80、水)、SEPIPLUS 265((アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、ポリイソブテン、ポリソルベート20、水)、SEPIPLUS 400(ポリアクリレート−13、ポリイソブテン、ポリソルベート20、水)、CPケルコ社から販売されているケルトロール(キサンタンガム)が挙げられる(括弧内は、含有成分)。
また具体的な多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量650未満)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(平均分子量650未満)、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンが挙げられる。このうち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールが好適に使用でき、特に好ましくはジプロピレングリコールである。これらの多価アルコールは、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
本発明の製造法における工程1で得られる水相における成分(E)の配合量は、特に限定されないが、経日及び熱安定性や使用感を向上させる観点から、水溶性高分子は0.01〜1質量%が好ましく、0.02〜0.8質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%がさらに好ましく、また多価アルコールは、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
成分(E)は、工程1の水相を得る工程のいずれかの時点において、添加して、他の成分と混合すればよい。
より具体的には、工程1に成分(E)を導入する具体的な方法として、例えば以下のような方法が挙げられる。
(1)成分(A)、成分(B)、成分(E)と成分(C)を含む組成物を、成分(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの融解温度以上の加熱下で混合して水相を得る工程。
(2)成分(A)、成分(C)及び成分(E)を含む組成物を混合し、得られた混合物と成分(B)とを混合し、成分(A)、(B)、(C)、(E)を含む組成物を、成分(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの融解温度以上の加熱下で、混合して水相を得る工程。
(3)成分(A)、成分(B)及び(C)水を含む組成物を、成分(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの融解温度以上の加熱下で混合し、得られた混合物と成分(E)とを混合して水相を得る工程。
なお、上記(1)及び(2)のように工程1において加熱工程の前の時点で成分(E)を導入する場合は、成分(E)の添加量は、成分(C)に対して50質量%以下となるように調整することが好ましい。
本発明の製造方法において、工程1で水中油型乳化組成物に成分(E)を導入させる方法の中でも、経日及び熱安定性を向上させる観点から、上記方法のうち(3)がより好ましい。
さらに、工程1では、成分(A)、(B)及び(C)以外に、本発明の効果を損しない範囲で、例えば油剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、pH調整剤等他の成分を含有することができるが、経日及び熱安定性、並びに使用感を向上させる観点から、水相中には、油剤(後述の(D)成分)の含有量は1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましく、実質0質量%がさらにより好ましい。
<工程2>
工程2は工程1で得られた水相と(D)油剤を含む油相とを混合して乳化液を得る工程である。
成分(D)油剤としては、液状油が好ましく、IOB値が0.35以下の25℃で液状の炭素系油剤、及びシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上がべたつき感や浸透感などの使用感を向上させる観点でより好ましい。
ここでIOB値とは、有機概念図(甲田善生 著、「有機概念図−基礎と応用−」11頁〜17頁、三共出版 1984年発行 参照)に基づき求められる無機性値及び有機性値の比(Inorganic Organic Balance)を表わすもので、IOB値=無機性値/有機性値として表される。
シリコーン油としては、1気圧下、25℃の環境下で液状のシリコーン油であればよく、例えばジメチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられる。
IOB値が0.35以下の25℃で液状の炭素系油剤としては、炭化水素油、トリグリセリド、エステル油、高級アルコールが挙げられる。具体的には、α−オレフィンオリゴマー、流動イソパラフィン、流動パラフィン、イソヘキサデカン、水添ポリイソブテン、スクワラン等の炭化水素油;トリグリセリド;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ジオレイン酸プロピレングリコール、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル等のエステル油;2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の分岐又は不飽和の高級アルコールを挙げることができる。なお、これらはアボカド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、ダイズ油、トウモロコシ油、ナタネ油、綿実油、ミンク油等の植物由来であってもよい。
これらのうち、浸透感、べたつき感等の使用感を向上させる観点から、シリコーン油、炭化水素油、トリグリセリド及びエステル油から選ばれるすくなくとも1種又は2種がより好ましく、シリコーン油、炭化水素油及びエステル油から選ばれるすくなくとも1種又は2種がさらに好ましい。
本発明の工程2で得られる乳化液における成分(D)油剤の配合量は、特に限定されないが、経日及び熱安定性や使用感を向上させる観点から、0.5〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、2.5〜35質量%がさらに好ましい。
本発明において、工程2では、乳化液が得られる条件であれば特に限定されないが、経日及び熱安定性を向上させる観点から、非転相での乳化が好ましい。
本発明において、工程2における乳化温度は、乳化液が得られる温度条件であればよく、工程1の加熱温度と同様、ポリグリセリン脂肪酸エステルが融解する温度以上であることが好ましく、具体的には50〜85℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
また、経日及び熱安定性、並びに使用感を向上させる観点から、前述の成分(E)を、工程2で得られた乳化液に添加して、成分(E)と乳化液とを混合する工程(工程3)を含む方法も好ましい製造方法である。成分(E)の具体例や、好ましい種類は、前記の通りである。
本発明の工程2で得られる乳化液における成分(E)の配合量は、乳化液中、特に限定されないが、経日及び熱安定性や使用感を向上させる観点から、水溶性高分子は0.01〜1質量%が好ましく、0.02〜0.8質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%がさらに好ましい。また多価アルコールは、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
さらに、工程2では、成分(D)以外に、本発明の効果を損しない範囲で、例えば保湿剤、増粘剤、防腐剤、pH調整剤等他の成分を含有することができる。
<水中油型乳化組成物>
本発明の水中油型乳化組成物は、上記の工程1及び工程2を有する製造方法で得られるものである。
本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、経日及び熱安定性、並びに使用感を向上させる観点から、0.1〜4.5質量%が好ましく、0.3〜4質量%がより好ましく、0.5〜3.5質量%がさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物における成分(B)の含有量は、特に限定されないが、経日及び熱安定性、並びに使用感を向上させる観点から、0.1〜4.5質量%が好ましく、0.2〜4質量%がより好ましく、0.3〜3.5質量%がさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物における成分(C)の含有量は、特に限定されないが、0.1〜95質量%が好ましく、1〜90質量%がより好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物における成分(D)の含有量は、特に限定されないが、経日及び熱安定性、並びに使用感を向上させる観点から、0.5〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、2.5〜35質量%がさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物における成分(E)の含有量は、特に限定されないが、経日及び熱安定性、並びに使用感を向上させる観点から、水溶性高分子は0.01〜1質量%が好ましく、0.02〜0.8質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%がさらに好ましく、また多価アルコールは、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物は、油剤を含む油相が、水相中に前記ポリグリセリン脂肪酸エステル変性水膨潤性粘土鉱物によって乳化分散している。かかる構造を有することにより、長期間、乳化粒子が安定であると考えられるため、べたつき感や油性感、きしみ感がなく、被膜感や保湿感、浸透感は得られ、良好な使用感を発揮するものと考えられる。
本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物の水相と油相の質量比は、特に限定されないが、経日及び熱安定性、並びに使用感を向上させる観点から、水相に対する油相の比(O/W比)で1/99〜40/60が好ましく、5/95〜20/80がより好ましい。
本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、前記成分の他、通常、医薬品、医薬部外品、化粧品等に配合される他の成分、例えば油剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、pH調整剤、アルコール類、薬剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。なお、これら任意成分のうち、水性である成分については、加熱混合前の水相成分、または乳化液に添加するのが好ましい。また油性である成分については、油相成分または乳化液に添加するのが好ましい。
本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物の用途は任意であるが、化粧料、医薬品、医薬部外品等に好適に用いることができる。具体的には、ローション、乳液、美容クリーム、下地化粧料、日焼け止め化粧料、パック、マッサージ化粧料などの皮膚化粧料;各種薬剤を含有するクリーム等の外用医薬品として好適に利用できる。
本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物を皮膚化粧料として使用する場合は、該水中油型乳化組成物を皮膚、好ましくは、頭皮を除く、より好ましくは、顔、身体、手足等のいずれかに塗布することにより、使用することができる。
本発明の製造方法で得られる水中油型乳化組成物の剤形は任意であり、液状、エマルション、ジェル状、スプレー状、ムース状等のものとして調製される。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の実施態様を開示する。
<1>水中油型乳化組成物の製造方法であって、
工程1:(A)水膨潤性粘土鉱物、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルを70質量%以上含む界面活性剤、及び(C)水を含む組成物を、成分(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの融解温度以上の加熱下で混合して水相を得る工程
工程2:工程1で得られた水相と(D)油剤を含む油相とを混合して乳化液を得る工程
を有し、前記水相中の成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の質量比[A/(A+B)]が0.3〜0.9である水中油型乳化組成物の製造方法。
<2>成分(A)が、好ましくはベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ラポナイト、ソーコナイト、ヘクトライト、スチブンサイト等のスメクタイト族の粘土鉱物、バーミキュライト、膨潤性合成フッ素雲母(Na型、Li型合成マイカ)及び膨潤性の雲母から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ラポナイト、及びヘクトライトから選ばれる1種又は2種以上である<1>記載の製造方法。
<3>成分(A)の平均粒径が、水で分散させたとき、好ましくは1〜5000nm、より好ましくは5〜3000nm、さらに好ましくは10〜1500nmである<1>又は<2>記載の製造方法。
<4>成分(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%、さらに好ましくは100質量%である<1>〜<3>のいずれかに記載の製造方法。
<5>成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBが、好ましくは3.5〜16のもの、より好ましくは5〜12のもの、さらに好ましくは6〜12のものである<1>〜<4>のいずれかに記載の製造方法。
<6>成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン平均重合度が、好ましくは2〜20、より好ましくは4〜15のものである<1>〜<5>のいずれかに記載の製造方法。
<7>成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、好ましくは炭素数2〜22の飽和又は不飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数12〜18の飽和又は不飽和脂肪酸である<1>〜<6>のいずれかに記載の製造方法。
<8>成分(B)の融点が、好ましくは50〜85℃、より好ましくは55〜82℃、さらに好ましくは60〜80℃である<1>〜<7>のいずれかに記載の製造方法。
<9>工程1の組成物中における成分(A)の配合量が、成分(A)と成分(B)の合計量(A+B)に対する成分(A)の質量比[A/(A+B)]で、好ましくは0.3〜0.9、より好ましくは0.3〜0.8、さらに好ましくは0.4〜0.6である<1>〜<8>のいずれかに記載の製造方法。
<10>工程1の組成物中における成分(A)と成分(B)の合計量(A+B)の割合が、好ましくは0.6〜5質量%、より好ましくは1〜4質量%、さらに好ましくは1.5〜3.5質量%である<1>〜<9>のいずれかに記載の製造方法。
<11>前記<1>〜<10>のいずれかに記載の製造方法であって、工程1が、成分(A)と成分(C1)を混合して混合液を得る工程(工程1−1)、工程1−1で得られた混合液と成分(B)とを混合する工程(工程1−2)を有する水中油型乳化組成物の製造方法。
<12>前記工程1における、成分(A)に対する成分(C)の質量比(C/A)が、好ましくは10以上、より好ましくは12〜90、さらに好ましくは15〜70である<11>に記載の製造方法。
<13>工程1における組成物を加熱する温度が、好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステル脂肪酸エステルが融解する温度以上、より好ましくは50〜85℃、さらに好ましくは60〜80℃である<1>〜<12>のいずれかに記載の製造方法。
<14>工程1において、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む組成物を混合する時間が、好ましくは30秒〜50分、より好ましくは1分〜30分、さらに好ましくは3分〜20分である<1>〜<13>のいずれかに記載の製造方法。
<15>成分(D)が、液状油である<1>〜<14>のいずれかに記載の製造方法。
<16>成分(D)が、好ましくはIOB値が0.35以下の25℃で液状の炭素系油性成分、及びシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上、より好ましくはシリコーン油、炭化水素油、トリグリセリド及びエステル油から選ばれる1種又は2種以上、さらに好ましくはシリコーン油、炭化水素油及びエステル油から選ばれる1種又は2種以上である<1>〜<15>のいずれかに記載の製造方法。
<17>成分(D)の油剤の含有量が、好ましくは0.5〜50質量%、より好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは2.5〜35質量%である<1>〜<16>のいずれかに記載の製造方法。
<18>乳化液を得る工程が、非転相乳化である<1>〜<17>のいずれかに記載の製造方法。
<19>水相に対する油相の質量比(O/W比)が、好ましくは1/99〜40/60、より好ましくは5/95〜20/80である<1>〜<18>のいずれかに記載の製造方法。
<20>前記<1>〜<19>のいずれかに記載の製造方法であって、成分(E)多価アルコール及び水溶性高分子から選ばれる1種又は2種以上を、工程1で得られた水相、または工程2で得られた乳化液のいずれかに添加する工程を有する水中油型乳化組成物の製造方法。
<21>成分(E)が、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリルアミド、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、及びヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上である<1>〜<20>のいずれかに記載の製造方法。
<22><1>〜<21>のいずれかに記載の製造方法によって得られる水中油型乳化組成物。
次に製造例、及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜4及び比較例1〜4
表1の組成に従い、以下の各製造例及び比較製造例の手順で、各例の水中油型乳化組成物を製造した。
<製造方法>
製造例1
工程1:成分(A)としてベントナイト(クニミネ社製、商品名:クニピアG4)と成分(C)として純水(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1−1)。次いで、成分(C)純水(c2)に、成分(B)としてトリステアリン酸ポリグリセリル −10(b1)(日光ケミカルズ社製、商品名NIKKOL Decaglyn−3SV)及び先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合した。続いて、成分(E)として1,3−ブチレングリコール(e1)及びキサンタンガム(e2)を投入し水相を調製した(工程1−2)。
工程2:工程1で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)スクワランからなる油相を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行い、乳化液を得た。
工程3:工程2で得られた乳化液に、成分(C)純水(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
なお、成分(E)は工程1で導入する前記(3)の方法に相当する。
製造例2
工程1:成分(A)ベントナイトと成分(C)純水(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1−1)。次いで成分(C)純水(c2)に、成分(B)トリステアリン酸ポリグリセリル −10(b1)及び先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合し、水相を調製した(工程1−2)。
工程2:工程1で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)スクワランからなる油相を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行い、乳化液を得た。
工程3:工程2で得られた乳化液に、成分(E)1,3−ブチレングリコール(e4)及びキサンタンガム(e5)を投入した後に均一になるまで撹拌を行い、さらに成分(C)純水(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
なお、成分(E)は工程3で導入する方法に相当する。
製造例3
工程1:成分(A)ベントナイトと成分(C)純水(c1)、及び成分(E)として1,3−ブチレングリコール(e1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1−1)。次いで成分(C)純水(c2)に成分(B)トリステアリン酸ポリグリセリル−10(b1)及び先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合し、水相を調製した(工程1−2)。
工程2:工程1で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)スクワランからなる油相を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行い、乳化液を得た。
工程3:工程2で得られた乳化液に、成分(E)1,3−ブチレングリコール(e4)及びキサンタンガム(e5)を投入した後に均一になるまで撹拌を行い、さらに成分(C)純水(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
なお、成分(E)は工程1で導入する前記(2)の方法、及び工程3で導入する方法に相当する。
製造例4
工程1:成分(A)ベントナイトと成分(C)純水(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1−1)。次いで成分(C)純水(c2)に、成分(B)トリステアリン酸ポリグリセリル−10(b1)及びモノステアリン酸グリセリル(b2)(ミヨシ油社製、商品名:モンテックスMA)、及び先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合した。続いて、成分(E)1,3−ブチレングリコール(e1)及びキサンタンガム(e2)を投入し水相を調製した(工程1−2)。
工程2:工程1で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)スクワランからなる油相を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行い、乳化液を得た。
工程3:工程2で得られた乳化液に、成分(C)純水(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
なお、成分(E)は工程1で導入する前記(3)の方法に相当する。
比較製造例1
工程1’:成分(A)ベントナイトと成分(C)純水(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1’−1)。次いで成分(C)純水(c2)に、先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合し、水相を調製した(工程1’−2)。
工程2:工程1’で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)スクワラン及び成分(B)としてトリステアリン酸ポリグリセリル−10(b4)を含む油相を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行い、乳化液を得た。
工程3:工程2で得られた乳化液に、成分(E)1,3−ブチレングリコール(e4)及びキサンタンガム(e5)を投入した後に均一になるまで撹拌を行い、さらに成分(C)純水(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、バルクが均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
比較製造例2
工程1’:成分(A)ベントナイトと成分(C)純水(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1’−1)。次いで成分(C)純水(c2)に、先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合し、水相を調製した(工程1’−2)。
工程2:工程1’で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)スクワラン、成分(B)トリステアリン酸ポリグリセリル−10(b4)、及び成分(E(e3))1,3−ブチレングリコールを投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行い、乳化液を得た。
工程3:工程2で得られた乳化液に、成分(E)1,3−ブチレングリコール(e4)及びキサンタンガム(e5)を投入した後に均一になるまで撹拌を行い、さらに成分(C)純水(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
比較製造例3
工程1’:成分(A)ベントナイトと成分(C)純水(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1’−1)。次いで成分(C)純水(c2)に、成分(B)トリステアリン酸ポリグリセリル−10(b1)及びモノステアリン酸グリセリル(b2)、及び先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合した。続いて、成分(E)1,3−ブチレングリコール(e1)及びキサンタンガム(e2)を投入し、水相を調製した(工程1’−2)。
工程2:工程1’で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)スクワランからなる油相を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行い、乳化液を得た。
工程3:工程2で得られた乳化液に成分(C)純水(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
なお、成分(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、50質量%であった。
比較製造例4
工程1’:成分(A)ベントナイトと成分(C)純水(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1’−1)。次いで成分(C)純水(c2)に、成分(B)トリステアリン酸ポリグリセリル−10(b1)及びジメチルステアリルアンモニウムクロリド(b3)、及び先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合した。続いて、成分(E)1,3−ブチレングリコール(e1)及びキサンタンガム(e2)を投入し、水相を調製した(工程1’−2)。
工程2:工程1’で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)スクワランからなる油相を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で、乳化を行い、乳化液を得た。
工程3:工程2で得られた乳化液に成分(C)純水(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
なお、成分(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、50質量%であった。
<熱安定性試験>
各実施例および比較例を記載の方法により作製された乳化物を透明な試験管に充填し、45℃で1500rpmの回転速度で遠心試験を行い、遠心30分後及び60分後に、目視による外観の変化及び流動性の有無を評価した。
○:60分の試験後も分離などの外観変化がなく、流動性がある。
△:30分の試験後も分離などの外観変化がなく、流動性があるが、60分の試験では分離などの外観変化があるか流動性がない。
×:30分の試験後に分離(油浮き・クリーミング)が観察される。または、ゲル化により流動性が著しく損なわれる。
Figure 0006630506
上記製造例、及び表1より、本発明の方法で製造していない比較例1及び2は、油浮きやクリーミングが見られた。また本発明の成分(B)の条件を満たさない比較例3及び4は結晶化やゲル化が見られた。一方、本発明の条件を満たした方法で製造した実施例1〜4では、分離などの外観変化がなく、また光学顕微鏡観察(倍率250倍)により乳化粒子状態を観察したところ、乳化粒子の合一は見られず、熱安定性に優れた水中油型乳化組成物が得られることがわかった。なお、本発明で調製された実施例1の水相成分を、X線回折法による分析に供したところ、粘土鉱物の層間にポリグリセリン脂肪酸エステルがインターカレーションしていることが確認された。
実施例1、5〜6及び比較例5〜7
表2の成分を用いて下記製造方法にて水中油型乳化組成物を製造し、経日安定性及び官能評価を行った。その結果を表2に示す。
<製造方法>
工程1:成分(A)と成分(C)22.8質量%相当量(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1−1)。次いで成分(C)の残部(c2)に、成分(B)及び先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合した。続いて、成分(E)を投入した(工程1−2)。
工程2:工程1で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行った。
工程3:最後に、成分(C)1質量%相当量(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
実施例1、5及び6と比較例5〜7とは〔A/A+B〕の質量比が表2のように相違する。
<経日安定性試験>
各実施例および比較例を記載の方法により作製して得られた乳化物を透明なガラス瓶に充填し、45℃で6か月間保管した。保管中、3か月後及び6カ月後に、目視による外観の変化及び流動性の有無を評価した。
外観観察による経日安定性基準
○:6カ月の保存後も分離などの外観変化がなく、流動性がある。
△:3カ月の保存後も分離などの外観変化がなく、流動性があるが、6カ月の保存では分離などの外観変化があるか、流動性がない。
×:3カ月の保存後に分離(油浮き・クリーミング)が観察される。または、ゲル化により流動性が著しく損なわれる。
<官能評価>
化粧品専門評価者6名により、各実施例および比較例の水中油型乳化組成物を実際に使用し、その時のべたつき感・きしみ感・油性感(油っぽい感じ)・被膜感(肌上に製剤の塗膜が均一に覆ったなめらかな感じ)・保湿感・浸透感(水分が肌に浸透していく感じ)の有無について下記の官能評価を行い、その平均点を下記の評価基準とした。
評価基準
○:各項目の官能評価試験の平均点が3.5点〜5点である。
△:各項目の官能評価試験の平均点が2点〜3.4点である。
×:各項目の官能評価試験の平均点が1点〜1.9点である。
<べたつき感>
5点:べたつき感が非常に少ない
4点:べたつき感が少ない
3点:普通
2点:べたつき感が多い
1点:べたつき感が非常に多い
<きしみ感>
5点:きしみ感が非常に弱い
4点:きしみ感が弱い
3点:普通
2点:きしみ感が強い
1点:きしみ感が非常に強い
<油性感>
5点:油性感が非常に少ない
4点:油性感が少ない
3点:普通
2点:油性感が強い
1点:油性感が非常に強い
<被膜感>
5点:被膜感が非常にある
4点:被膜感がある
3点:普通
2点:被膜感が少ない
1点:被膜感が非常に少ない
<保湿感>
5点:保湿感が非常にある
4点:保湿感がある
3点:普通
2点:保湿感が少ない
1点:保湿感が非常に少ない
<浸透感>
5点:浸透感が非常にある
4点:浸透感がある
3点:普通
2点:浸透感が少ない
1点:浸透感が非常に少ない
Figure 0006630506
表2より、本発明において[A/(A+B)]が0.3〜0.9の質量比の範囲である実施例1、5、6は、経日安定性に優れ、かつべたつき感がなく、保湿感が良好であった。
実施例1、7〜9
表3の成分を用いて下記製造方法にて水中油型乳化組成物を製造し、前述した評価方法に従い経日安定性及び官能評価を行った。その結果を表3に示す。
<製造方法>
工程1:成分(A)と成分(C)22.8質量%相当量(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1−1)。次いで成分(C)の残部(c2)に、成分(B)及び先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合した。続いて、成分(E)を投入した(工程1−2)。
工程2:工程1で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行った。
工程3:最後に、成分(C)1質量%相当量(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
実施例1、7〜9は〔A+B〕の量を表3のように変化させたものである。
Figure 0006630506
表3より、本発明において[A/(A+B)]が0.3〜0.9の質量比の範囲であり、且つ(A+B)が0.6〜5質量%の範囲である実施例1、7〜9は、経日安定性に優れ、べたつき感やきしみ感がなく、浸透感に優れるものであった。
実施例1、10〜16及び比較例8
表4の成分を用いて下記製造方法にて水中油型乳化組成物を製造し、前述した評価方法に従い経日安定性及び官能評価を行った。また、X線回折法により、粘土鉱物の層間へのポリグリセリン脂肪酸エステルのインターカレーション(IC)の有無も確認した。結果を表4に示す。
<製造方法>
工程1:成分(A)と成分(C)22.8質量%相当量(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1−1)。次いで成分(C)の残部(c2)に、成分(B)及び先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合した。続いて、成分(E)を投入した(工程1−2)。
工程2:工程1で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行った。
工程3:最後に、成分(C)1質量%相当量(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
実施例1、10〜16は成分(B)として種々のポリグリセリン脂肪酸エステルを使用し、比較例8はモノグリセリン脂肪酸エステルを使用した。
<インターカレーションの有無の確認方法>
インターカレーションの有無は、X線回折測定により求められる層間距離により確認した。具体的には、ベントナイト(クニピアG4)のX線回折による層間距離は(001)面に帰属されるピークのd値が12.6Åである。次に、表4の実施例10の製造工程において得られた水相成分を60℃の条件下で乾燥させた粉末についても、同様にX線回折する。ベントナイトの層間に、成分(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルがインターカレーションされている場合、上記d値が増加するため、インターカレーションの有無を確認できる。
Figure 0006630506
表4より、種々のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて本発明の製造方法により製造された水中油型乳化組成物は、粘土鉱物の層間にポリグリセリン脂肪酸エステルがインターカレーションされており、経日安定性が良好であり、かつ使用感も良好であった。なお、HLB5〜12のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた場合に、特に良好な水中油型乳化組成物が得られた。一方、モノグリセリン脂肪酸エステルを用いた比較例8は、経日安定性が悪かった。
実施例1、17〜19
表5の成分を用いて下記製造方法にて水中油型乳化組成物を製造し、前述した評価方法に従い経日安定性及び官能評価を行った。その結果を表5に示す。
<製造方法>
工程1:成分(A)と成分(C)22.8質量%相当量(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1−1)。次いで成分(C)の残部(c2)に、成分(B)及び先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合した。続いて、成分(E)を投入した(工程1−2)。
工程2:工程1で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行った。
工程3:最後に、成分(C)1質量%相当量(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
実施例1、17〜19は成分(D)を表5のように変更した。
Figure 0006630506
表5より、油剤として種々の油剤を用いた場合でも、同様に経日安定性、かつ使用感は良好であった。
実施例1、20〜22
表6の成分を用いて下記製造方法にて水中油型乳化組成物を製造し、前述した評価方法に従い経日安定性及び官能評価を行った。その結果を表6に示す。
<製造方法>
工程1:成分(A)と成分(C)22.8質量%相当量(c1)を予め混合し、混合液を調製した(工程1−1)。次いで成分(C)の残部(c2)に、成分(B)及び先の混合液を投入し、80℃に加温してホモミキサー(2000rpm)で3分間混合した。続いて、成分(E)を投入した(工程1−2)。
工程2:工程1で得られた水相に、80℃に加温した成分(D)を投入し、ホモミキサー(2000rpm)で乳化を行った。
工程3:最後に、成分(C)1質量%相当量(c3)とともに水性の各成分(クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、EDTA−2Na、フェノキシエタノール)を投入し、均一になるようにホモミキサーで攪拌しながら30℃まで冷却し、水中油型乳化組成物を得た。
実施例1、20〜22は油剤の量を変化させた例である。
尚、ホモミキサーの回転数および攪拌時間は、製造生産量により適宜変更可能である。
Figure 0006630506
表6より、油剤の量を変化させた場合でも、同様に経日安定性、かつ使用感は良好であった。

Claims (3)

  1. 水中油型乳化組成物の製造方法であって、
    工程1:(A)ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ラポナイト及びヘクトライトから選択される1種又は2種以上の水膨潤性粘土鉱物、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルを70質量%以上含む界面活性剤、及び(C)水を含む組成物を、成分(B)中のポリグリセリン脂肪酸エステルの融解温度以上の加熱下で混合して水相を得る工程
    工程2:工程1で得られた水相と、(D)油剤を含む油相とを混合して乳化液を得る工程を有し、前記水相中の成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の質量比[A/(A+B)]が0.3〜0.9である水中油型乳化組成物の製造方法。
  2. 成分(B)のポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBが3.5〜16である請求項1記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
  3. 成分(D)が、液状油を含む請求項1又は2記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
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