JP6629505B2 - 発光素子およびそれを備えた表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発光素子およびそれを備えた表示装置に関し、特に青色発光素子において、ミラー電極と発光層と、ハーフミラー電極とを備え、発光層とハーフミラー電極との間の距離が二次キャビティを示す距離に設定されたものに関する。
近年、デジタルテレビなどの表示装置に用いられる表示パネルとして、有機材料の電界発光現象を利用した有機EL(Electro Luminescence)パネルが実用化されている。フルカラー表示の有機ELパネルには、発光素子として、赤、緑、青の各色の有機EL素子が配列されている。
有機EL素子は、ミラー電極とハーフミラー電極との間に、少なくとも発光層が設けられた構成を有している。そして、有機EL素子では、多くの場合、ミラー電極と発光層との間に正孔注入層や正孔輸送層などが設けられており、ハーフミラー電極と発光層との間に電子注入層や電子輸送層などが設けられている。正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、および電子輸送層は、それぞれ、電荷の注入、電荷の輸送などの機能を果たす。このような有機EL素子として、例えば、特許文献1には、基板上に、ミラー電極、発光層、正孔輸送層、ハーフミラー電極を順に積層した有機EL素子が開示されている(段落0027)。ミラー電極は、光反射性材料で構成されている。ハーフミラー電極は、銀マグネシウム合金(MgAg)層と銀(Ag)層との二層構造であり、その厚みは光の一部が透過できる程度の厚みである。
一方、有機ELパネルでは、消費電力低減などの観点から、有機EL素子の光取り出し効率を向上させることが重要である。これに対して、有機EL素子の光学設計の工夫、例えば、二次キャビティにより光取り出し効率を向上させる技術が提案されている。ミラー電極およびハーフミラー電極を備える構成における二次キャビティを採用する場合、発光層から出射され様々な光路を経て外部に出射される光が干渉して強めあうようなミラー電極およびハーフミラー電極の間の光学距離のうち、二次キャビティを示す光学距離(光の取り出し効率が極大値を示す距離のうち最小の距離の次に小さい光学距離)を採用する。二次キャビティを用いることにより、有機EL素子の光取り出し効率を向上することができる。
特開2009−59584号公報
しかしながら、ミラー電極およびハーフミラー電極を備え、二次キャビティを用いた発光素子を実際に作製すると、発光素子からの出射光の色純度が良好でない場合があることがわかった。また、青色発光素子について、特にこの問題が顕著となることがわかった。色純度が良好な青色光のスペクトルは、最大の発光強度を示す第1ピークを波長465nm付近の領域に有するのみである。一方、青色光の色純度が良好でない青色光のスペクトルでは、第1ピークが現れることに加えて、第1ピークよりも長波長側の波長480nm以上530nm以下の領域で、ショルダーピークが現れる。当該ショルダーピークは、例えば、その一次微分値が波長480nm以上500nm以下において波長が大きくなるに従って一次微分値が単調増加し、波長が500nmより大きく530nm以下の領域で波長が大きくなるに従って一次微分値が単調減少する曲線形状を有する。なお、本明細書では、450nm以上480nm未満の領域を青色発光領域と称する。
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、二次キャビティを採用しつつ、青色発光素子の光取り出し効率および色純度の両方を向上させることができる発光素子、およびそれを用いた表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る発光素子は、ミラー電極と、前記ミラー電極と対向するように設けられたハーフミラー電極と、前記ミラー電極と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、青色波長域に発光ピークを有する青色発光材料を含む発光層と、を備え、前記ミラー電極と前記ハーフミラー電極との間の距離が、二次キャビティを示す距離に設定され、縦軸を発光強度とし横軸を波長としたグラフにおいて、出射光のスペクトルは、波長が480nm以上530nm以下の領域全体において、波長が大きくなるに従ってその強度が漸減し、且つ、その一次微分値が単調増加する弧状をなしている。
また、上記発光素子において、前記ハーフミラー電極は、銀または銀マグネシウム合金の単層構造、または銀および銀マグネシウム合金の積層構造で構成され、前記ハーフミラー電極の厚みは、17nm以上43nm以下であってもよい。
また、上記発光素子において、前記ハーフミラー電極は、銀または銀マグネシウム合金の単層構造、または銀および銀マグネシウム合金の積層構造で構成され、前記ハーフミラー電極の厚みは、19nm以上37nm以下であってもよい。
前記発光層と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である第1金属のフッ化物を含む第1中間層と、
また、上記発光素子において、前記発光層と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である第1金属のフッ化物を含む第1中間層と、前記第1中間層と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、前記第1金属のフッ化物における前記第1金属とフッ素との結合を切る性質を有する第2金属を含む第2中間層と、前記第2中間層と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、電子輸送性および電子注入性のうち少なくとも一方の性質を有する機能層と、をさらに備えてもよい。
さらに、上記発光素子において、前記機能層は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属がドープされた有機材料で構成されてもよい。
さらに、上記発光素子において、前記ドープされたアルカリ金属またはアルカリ土類金属の前記機能層中の濃度は、5wt%以上40wt%以下であってもよい。
さらに、上記発光素子において、前記ドープされたアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、前記第2金属と同じ種類の金属であってもよい。
さらに、上記発光素子において、前記第2金属および、前記ドープされたアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、バリウムであってもよい。
さらに、上記発光素子において、前記第1金属は、ナトリウムであってもよい。
さらに、上記発光素子において、前記機能層と前記ハーフミラー電極との間には、透光性導電層が設けられていてもよい。
また、上記発光素子において、前記発光層と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である第1金属のフッ化物を含む中間層と、前記中間層と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、前記第1金属のフッ化物における前記第1金属とフッ素との結合を切る性質を有する第2金属がドープされた有機材料で構成され、電子輸送性および電子注入性のうち少なくとも一方の性質を有する機能層と、をさらに備えてもよい。
さらに、上記発光素子において、前記第2金属は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、前記第2金属の前記機能層中の濃度は、5wt%以上40wt%以下であってもよい。
さらに、上記発光素子において、前記第2金属は、バリウムであってもよい。
さらに、上記発光素子において、前記第1金属は、ナトリウムであってもよい。
さらに、上記発光素子において、前記機能層と前記ハーフミラー電極との間には、透光性導電層が設けられていてもよい。
本発明の一態様に係る表示装置は、上記発光素子において、青色光を出射する発光素子と、緑色光を出射する発光素子と、赤色光を出射する発光素子とを備える表示装置であって、前記青色光を出射する発光素子が、上記発光素子である。
本発明の一態様に係る発光素子において、出射光のスペクトルは、波長480nm以上530nm以下の領域の全体において波長が大きくなるに従ってその強度が漸減し、且つ、一次微分値が単調増加する弧状をなしている。そのため、この構成では、波長450nm以上480nm未満の青色波長域よりも長波長側の波長480nm以上530nm以下の領域の光の成分を低減できている。一方、発光素子では、二次キャビティが採用されている。従って、二次キャビティを採用しつつ、青色発光素子の光取り出し効率および色純度の両方を向上させた発光素子が実現できる。
実施の形態に係る表示装置の模式断面図である。 図1に示した表示装置における青色発光素子の光学設計を説明する模式断面図である。 図1に示した表示装置における青色発光素子に関し、横軸を上層の厚みTUとし、縦軸を下層の厚みTLとして、輝度Lとxy色度のy値との比をマッピングした図である。 ハーフミラー電極の厚みが9nm以上21nm以下の場合における青色発光素子のスペクトルを示す図である。 ハーフミラー電極の厚みが23nm以上31nm以下の場合における青色発光素子のスペクトルを示す図である。 ハーフミラー電極の厚みが33nm以上49nm以下の場合における青色発光素子のスペクトルを示す図である。 ハーフミラー電極の厚みを変化させたときの第1ピークの発光強度を示す表である。 ハーフミラー電極の厚みを変化させたときの青色光の色度x値と色度y値とを示すグラフである。 発光スペクトルにおける発光強度0.5の幅WBおよび発光強度0.25の幅WC等示す図である。 ハーフミラー電極の厚みを変化させたときの、発光強度0.5の幅WBおよび発光強度0.25の幅WC等を示す表である。 図1に示す表示装置の製造方法を示す図であって、(a)は基板上にミラー電極を形成する工程、(b)は発光層を形成する工程、(c)はバンクなどを形成する工程、(d)は電子輸送層を形成する工程をそれぞれ示す。 図1に示す表示装置の製造方法を示す図であって、(a)は電子注入層および透明導電層を形成する工程、(b)はハーフミラー電極を形成する工程、(c)は薄膜封止層および樹脂封止層を形成する工程をそれぞれ示す。
<<本発明に到った経緯>>
二次キャビティを用いた青色発光素子では、青色光について発光効率を向上することができる。一方、ミラー電極およびハーフミラー電極を備え、二次キャビティを用いた青色発光素子において、出射光のスペクトルが、青色波長域内の波長465nm付近の領域に発光強度が最大となる第1ピークを有するとともに、それより長波長側の波長480nm以上530nm以下の領域においてショルダーピークを有することがある。この場合、青色光の色純度が低下する。
これに対して、青色発光素子から出射される青色光の色純度を高めるために、ハーフミラー電極の基板と反対側にカラーフィルタを設けて、出射光に対してカラーフィルタを透過させることが行われている。一方、青色光の色純度を高くすることのできるカラーフィルタは光透過率が低い。そのため、カラーフィルタを透過させた後の青色光の発光強度が低下するおそれがある。これにより、青色発光素子の発光効率が低下することになる。
これらの点に着目し、発明者らは、カラーフィルタを用いずに、二次キャビティを採用した発光素子から出射される青色光のスペクトルが、波長480nm以上530nm以下の領域において上に凸な形状を有することを抑制する方法を検討した。その結果、ハーフミラー電極の厚みを変化させることによって、当該青色光のスペクトルのうち青色波長域より長波長側の波長480nm以上530nm以下の領域の形状が変化することが分かった。また、上部電極の厚みを適切に選択すると、当該青色光のスペクトルの長波長側の領域の全体が、波長が大きくなるに従ってその強度が漸減し、且つ、一次微分値が単調増加する弧状となることがとわかった。このような知見に基づき、発明者らは、二次キャビティを採用しつつ、青色発光素子の光取り出し効率および色純度の両方を向上させることができた。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、表示装置として有機EL表示パネルを例示する。
<実施の形態>
1.表示装置の全体構成
図1は、表示装置100の模式断面図である。同図には、1画素を形成する3色(左から青色、緑色、赤色)の発光素子が示されている。
青色発光素子は、基板1、バンク2、ミラー電極3、第1透明導電層4、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層7b、電子輸送層8、第2透明導電層9、ハーフミラー電極10、薄膜封止層11、樹脂封止層12を、備える。緑色発光素子は、発光層7gを除き、青色発光素子と同様の部材を備える。赤色発光素子も、発光層7rを除き、青色発光素子と同様の部材を備える。基板1、電子輸送層8、第2透明導電層9、ハーフミラー電極10、薄膜封止層11、および樹脂封止層12は、複数の発光素子に共通に形成されている。
以下、基板1及び各部構成について具体的に説明する。
2.各部構成
<基板>
基板1は、例えば、TFT基板上に、層間絶縁膜が積層されたものである。TFT基板は、例えば、プラスチック基板とその上に形成されたTFTおよび配線とを有する。TFT基板上に層間絶縁膜を配置することにより、基板1の上面は平坦化される。層間絶縁膜を構成する材料は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル系樹脂材料である。
<バンク>
バンク2は、隣り合う発光層7b、7g、7rを区画するように形成されている。バンク2の材料は、樹脂などの有機材料であっても、ガラスなどの無機材料であっても良い。有機材料としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などを使用することができる。また、無機材料としては、シリコンオキサイド(SiO2)、シリコンナイトライド(Si3N4)などを使用することができる。
<ミラー電極>
ミラー電極3は、基板1に配されたTFTに電気的に接続されており、発光素子の陽極として機能する。また、ミラー電極3は、発光層7b、7g、7rからミラー電極3に向けて出射された光を反射する機能を有する。ミラー電極3の材料は、例えば、ACL(アルミニウム、コバルト、ランタンの合金)である。ミラー電極3の厚みは、例えば、200nmである。
<第1透明導電層>
第1透明導電層4は、ミラー電極3と正孔注入層5との間に介在してこれらの接合性を良好にするとともに、製造過程においてミラー電極3の形成直後にミラー電極3が自然酸化するのを防止する保護層として機能する。第1透明導電層4の材料は、発光層7b、7g、7rで発生した光に対して十分な透光性を有する導電性材料であり、例えば、IZO(Indium Zinc Oxide)である。第1透明導電層4の厚みは、例えば、5nmである。
<正孔注入層>
正孔注入層5は、ミラー電極3からの発光層7b、7g、7rへの正孔注入性を向上させる機能を有する。正孔注入層5の材料は、例えば、酸化タングステン(WOx)、酸化モリブデン(MoOx)、酸化モリブデンタングステン(MoxWyOz)などの遷移金属の酸化物である。正孔注入層5の厚みは、例えば、20nmである。なお、正孔注入層5の材料は、有機材料であってもよい。
<正孔輸送層>
正孔輸送層6は、ミラー電極3から注入された正孔を発光層7b、7g、7rにそれぞれ輸送する機能を有する。正孔輸送層6の材料は、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、ブタジエン化合物、ポリスチレン誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、テトラフェニルベンジン誘導体である。正孔輸送層6の材料として特に好ましくは、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物である。正孔輸送層6の厚みは、例えば、15nmである。
<発光層>
R,G,B各色の発光層7b、7g、7rが、ミラー電極3とハーフミラー電極10との間に設けられている。発光層7b、7g、7rは、正孔と電子とが注入されて再結合されることにより励起状態が生成され、各色に発光する機能を有する。発光層7b、7g、7rの材料としては、一般的に、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物などを用いることができる。青色発光層7bの厚みは、例えば、40nmである。緑色発光層7gの厚みは、例えば、50nmである。赤色発光層7rの厚みは、例えば、60nmである。
<電子輸送層>
電子輸送層8は、ハーフミラー電極10から注入された電子を、発光層7b、7g、7rにそれぞれ輸送する機能を有する。電子輸送層8の材料は、例えば、バリウムを20%の濃度でドープした有機材料である。電子輸送層8の厚みは、例えば、20nmである。
<第2透明導電層>
第2透明導電層49は、電子輸送層8とハーフミラー電極10との間に介在してこれらの接合性を良好にするとともに、発光層7bとハーフミラー電極10との間の距離を調節する機能を有する。第2透明導電層9の材料は、発光層7b、7g、7rで発生した光に対して十分な透光性を有する導電性材料であり、例えば、IZO(Indium Zinc Oxide)である。第2透明導電層9の厚みは、例えば、95nmである。なお、第2透明導電層を構成する材料は、透明導電膜に限らず、透光性を有する材料であればよい。
<ハーフミラー電極>
ハーフミラー電極10は、発光素子の陰極として機能し、発光層7b,7g,7rで発生した光のうち一部を反射し、残りを透過して外部に出射する機能を有する。ハーフミラー電極10の材料は、銀(Ag)である。ハーフミラー電極10の厚みは、例えば、17nm以上43nm以下である。
<薄膜封止層>
薄膜封止層11は、各層が水分や空気に晒されることを防止する機能を有する。薄膜封止層11の材料は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)である。薄膜封止層11の厚みは、例えば、890nmである。
<樹脂封止層>
樹脂封止層12は、各層が水分や空気に晒されることを防止する機能を有する。樹脂封止層12の材料は、例えば、樹脂などである。
3.光学設計
ところで、各色の発光素子において、以下のように、発光層7b、7g、7rからの出射光を干渉させて、ハーフミラー電極10側から出射させる二次キャビティの光学設計が採用されている。ミラー電極3およびハーフミラー電極10を備えた構成では、発光層7b、7g、7rにおける光が発生する箇所である発光層7bと正孔輸送層6との界面から下層(第1透明導電層4、正孔注入層5、正孔輸送層6)の光学厚み、および当該箇所から上層(発光層7b、7g、7r、電子輸送層8、第2透明導電層9)の光学厚みの両方が、二次キャビティの発光強度に影響する。また、ここでいう各層の光学厚みとは、各層の厚みと屈折率との積である。
以下、当該光学設計について、図2の模式断面図を用いて具体的に説明する。同図では青色発光層7bを備える青色発光素子を示しているが、二次キャビティの光学設計については、赤色発光素子、および緑色発光素子においても同様である。
発光層7bで発生した光は、主に、ハーフミラー電極10を透過して外部へ出射される。出射光は、主に、直接光C1と、反射光C2と、反射光C3とを含む。直接光C1は、発光層7b、7g、7rからミラー電極3側に進行することなくハーフミラー電極10に向けて直接外部に出射される(第1光路を通る)。反射光C2は、発光層7bからミラー電極3に向けて出射されミラー電極3で反射されてからハーフミラー電極10を透過して外部に出射される(第2光路を通る)。反射光C3は、発光層7bからハーフミラー電極10に向けて出射され、ハーフミラー電極10で反射されてミラー電極3側に進行しミラー電極3で反射され、ハーフミラー電極10を透過して外部に出射される(第3光路を通る)。なお、発光層7bからの出射光には、他の光路を通るものもあるが、主に、第1光路、第2光路、および第3光路を通る光が光取り出し効率に関係する。そのため、発光素子100では、下層および上層に関して、それぞれ直接光C1と反射光C2との干渉および反射光C2と反射光C3との干渉によって、青色光に対応する光の成分(波長465nm付近の光の成分)が強め合うように、下層および上層の光学厚みを設定する。青色光に対応する光の成分が強めあう光学厚みとして、上層の厚みを変化させる毎に周期的に発光効率が極大値を示すもののうちいずれかを選択することができる。当該極大値のうち、対応する上層の厚みが小さい順に、一次キャビティ、二次キャビティ等と称する。なお、二次キャビティを示す光学厚みは、一つの値のみならず、極大値を示す光学厚みの値の75〜125%であっても二次キャビティを採用したものと考える。
4.青色発光素子の各層の厚み
ところで、光学設計として二次キャビティを採用することで青色発光素子の発光効率は向上するが、場合によって色度(特にxy色度のy値)が目標値からずれてしまうことがある。これに対して、発光効率および色純度の向上を両立させた青色発光素子を実現するため、さらに検討を行った。
図3は、縦軸を下層の厚みTLとし、横軸を上層の厚みTUとして、青色発光素子の出射光の輝度Lとxy色度のy値との比L/yをマッピングした図である。各升目は、それぞれ縦が5nmを示し横が5nmを示している。上層および下層を構成する各層の屈折率は、厚みが変化してもそれぞれ一定である。図1で示した発光素子では、上述のように、下層は第1透明導電層と正孔注入層と正孔輸送層とで構成され、上層は発光層と電子輸送層と第2透明導電層とで構成される。ところで、青色発光素子が発光効率および色純度の向上を両立させているか否かを評価するには、これらを1つの指標を用いて評価する必要がある。輝度は大きいほど望ましく、y値は小さいほど望ましいため、例えば、輝度とy値との比L/yは、色度のずれを抑える効果と輝度を高める効果のバランスを評価するために有効な指標である。また、輝度とy値との比は、大きいほど好ましい。輝度とy値との比L/yを検討することで、出射光の色度ずれを抑えながら輝度を高めることができる。なお、輝度とy値との比L/yは、A1〜A8の8段階で示しており、添え字の数字が大きくなるほど輝度とy値との比L/yが大きい。
当該マッピングにより、上層の厚みTUと下層の厚みTLとを変化させると、輝度Lとxy色度のy値との比L/yが変化することがわかった。上層の厚みTUが0nmより大きく90nm以下であり、且つ、下層の厚みTLが0nm以上95nm以下の領域が一次キャビティに対応する。また、上層の厚みTUが105nm以上200nm以下であり、且つ、下層の厚みTLが0nmより大きく95nm以下の領域が二次キャビティに対応する。二次キャビティを採用する場合に、輝度とy値との比L/yが最も良好であるのは、A6で示される領域、例えば、上層の厚みTUが145nm以上150nm以下であり、下層の厚みTLが40nm以上45nm以下である。また、ミラー電極とハーフミラー電極との間の距離が、約195nmであることが好ましい。なお、上層を構成する発光層の厚みが小さいと発光層に印加される電圧が大きくなり、継続して発光素子を利用する際に、発光層の厚みが大きい場合と比べて発光層が劣化しやすく、結果として発光素子の寿命が短くなるおそれがある。そのため、発光層の厚みは、例えば、40nm以上であることが好ましい。
この場合、例えば、第1透明導電層4の厚みを5nmとし、正孔注入層5の厚みを20nmとし、正孔輸送層6の厚みを15nmとすることで、下層の厚みを40nm確保することが考えられる。また、発光層7bの厚みを40nmとし、電子輸送層8の厚みを20nmとし、第2透明導電層9の厚みを95nmとすることで、上層の厚みを155nm確保することが考えられる。これにより、ミラー電極3とハーフミラー電極10との間の距離を、195nmとすることができ、その結果、L/yを良好な値とすることができる。
なお、第1透明導電層4、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層7b、電子輸送層8、第2透明導電層9の厚みは、各青色発光素子における中央部の厚みを指すこととする。すなわち、図1、図2においては、各青色発光素子内で、第1透明導電層4などの厚みは均一に図示されているが、各層の厚みは各発光素子内で均一とは限らず、バンク2に近い周辺部では中央部よりも厚みが大きくなっている場合や、逆に周辺部で厚みが小さくなっている場合もあり得る。そのような場合でも、中央部には厚みがほぼ均一な領域が存在するので、各層の厚みは、その層の中央部の厚みを指すこととする。
5.シミュレーション
発明者らは、ミラー電極とハーフミラー電極との距離を二次キャビティに最適化した青色発光素子に関して、さらに発光効率と色純度との関係を検討した。その結果、ハーフミラー電極の厚みを変化させることで、青色光の発光効率および色純度が変化することを見出した。これは、以下に示すようなシミュレーションを行うことにより見出すことができた。
当該シミュレーションでは、青色発光素子において、それぞれハーフミラー電極の厚みが異なる点以外は等しい構成の複数のサンプルを想定して、スペクトルを求めた。各サンプルにおけるハーフミラー電極の厚みは、9nm以上49nm以下の範囲で2nm刻みに変化させた。ここで用いる「スペクトル」は、青色発光素子の構造に起因するスペクトルであり、青色発光材料のPLスペクトルは考慮していない。なお、ここで用いる「スペクトル」と青色発光材料のPLスペクトルを掛け合わせたものが、ELスペクトルである。
(1)発光効率について
各サンプルのシミュレーションを行った結果、図4〜図6の各曲線で示すスペクトルが得られた。図4〜図6は、便宜上、ハーフ電極の厚みが9nm以上21nm以下、23nm以上31nm以下、33nm以上49nm以下の各範囲で図面を分けている。図7は、図4〜図6で示したスペクトルの第1ピークの発光強度を数値で示す表である。なお、第1ピークとは、青色波長域(波長450nm以上480nm未満の領域)に現れる発光強度が最大になるピークをいう。図4〜図6におけるスペクトルは、いずれも波長465nm付近において、第1ピークが現れている。図7に示すように、ハーフミラー電極の厚みが27nm以上29nm以下において、第1ピークの発光強度は最大値をとる。ハーフミラー電極の厚みは、第1ピークの発光強度を最大値で規格化した時に0.77以上となる範囲、すなわち、13nm以上43nm以下であることが好ましく、第1ピークの発光強度を最大値で規格化した時に0.91以上となる範囲、すなわち、19nm以上37nm以下であることがより好ましい。
なお、ハーフミラー電極の厚みが29nm以上の場合、ハーフミラー電極の厚みが大きくなるほど第1ピークの発光強度が小さくなる理由は、発光層からの出射光のうちハーフミラー電極で反射される光の割合が大きくなるためと考えられる。ハーフミラー電極で反射される光の割合が大きくなると、ミラー電極とハーフミラー電極との間に設けられた各層において光が吸収される量も増えるため、ハーフミラー電極を透過して外部に出射する光の量が小さくなると考えられる。
また、ハーフミラー電極の厚みが25nm以下の場合、ハーフミラー電極の厚みが小さくなるほど第1ピークの発光強度が小さくなる理由は、ハーフミラー電極の厚みが25nmの場合が青色の光の成分が最も強めあう光学厚みであるためと考えられる。
(2)色純度について
以下、ハーフミラー電極の厚みの変化と、発光素子から出射される青色光の色純度とについて、図4〜図6および図8〜図10を用いて検討する。一般に、青色光の色純度が良好であるといえるy値の範囲は、0.08以下である。y値の好適範囲の上限値である0.08はNTSC(全米テレビジョン放送方式標準化委員会)の目標値である。
図8はハーフミラー電極の厚みと青色光の色純度との関係を示している。同図の縦軸の一方は色度x値を示し、色度x値はハーフミラー電極の厚みの変化に対して大きな変化はなくほぼ一定であることがわかる。一方、同図の縦軸の他方は色度y値を示し、色度y値はハーフミラー電極の厚みに対して変化することがわかる。同図により、青色光の色純度を検討する際には、色度y値の検討が必要であると考えられる。
図4に戻って、ハーフミラー電極の厚みが9nm以上15nm以下の場合には、青色光のスペクトルは、波長480nm以上530nm以下の領域αにおいて第1ピークに対するショルダーピークが現れている。当該ショルダーピークが現れるということは、すなわち、スペクトルが、領域αにおいて波長が大きくなるに従って強度が漸減するものの、一次微分値が単調増加する弧状ではない形状である。具体的には、スペクトルの一次微分値が、波長480nm以上530nm以下の領域αにおいて、波長が大きくなるに従って単調増加してから、波長が大きくなるに従って単調減少している。なお、領域αにおけるスペクトルの一次微分値は、青色光に関しては、負の値をとる。そのため、一次微分値が増加するとは一次微分値が0に近づくことであり、一次微分値が減少するとは一次微分値が0から遠ざかることである。一方、図4〜6に示すように、ハーフミラー電極の厚みが17nm以上の場合には、青色光のスペクトルは、波長480nm以上530nm以下の領域αの全体において、波長が大きくなるに従って強度が漸減し、且つ、一次微分値が単調増加する弧状をなしている。
スペクトルが、領域αの全体において波長が大きくなるに従って一次微分値が単調増加する弧状をなしていると、領域αの全体において波長が大きくなるに従って一次微分値が単調増加してから単調減少する場合と比べて、領域αにおける光の成分が小さいといえる。一方、領域αは青色波長域(450nm以上480nm)よりも長波長側に位置するため、領域αにおける光の成分は青緑色を示す。そのため、領域αにおける光の成分が大きいほど、青色光が青緑寄りとなりその色純度が低下する。そのため、領域αの全体において波長が大きくなるに従って一次微分値が単調増加する弧状である場合には、領域αにおける光の成分が小さいことにより、青色発光素子の色純度が向上できると考えられる。実際に、図8には、ハーフミラー電極の厚みが大きいほど、青色光の色度のy値が小さくなることが現れている。
このように、ハーフミラー電極の厚みが17nm以上であれば、青色光のスペクトルは、波長480nm以上530nm以下の領域αの全体において、波長が大きくなるに従って強度が漸減し、且つ、一次微分値が単調増加する弧状をなしているため、青色光の色純度が向上できると考えられる。
なお、ハーフミラー電極の厚みが大きいほど青色光のスペクトルが、波長480nm以上530nm以下の領域αにおいて一次微分値が、波長が大きくなるに従って強度が漸減し、且つ、一次微分値が単調増加する弧状をなすとなる理由は、ハーフミラー電極の内部において波長480nm以上530nm以下の光成分の一部が吸収されるためと考えられる。ハーフミラー電極の厚みが大きいほど、ハーフミラー電極の内部において波長480nm以上530nm以下の光成分のうち吸収される量が大きくなると考えられる。
以上、波長480nm以上530nm以下の領域αにおける青色光のスペクトルの形状に着目して検討した。当該領域αにおける青色光のスペクトルが、波長が大きくなるに従って強度が漸減し、且つ、一次微分値が単調増加する弧状になるということは、青色波長域に存在する第1ピークが鋭いことと同等である。そこで、発明者らは、青色光の第1ピークの形状の鋭さについて具体的に数値化できるよう図9、図10を用いて検討した。図9は、青色光のスペクトルの形状を示す図である。波長Aに存在する青色光のスペクトルの第1ピークの発光強度を1.0とすると、スペクトルの発光強度が0.5となる波長がB、B´であり、スペクトルの発光強度が0.5となる波長域の幅がWBである。同様に、スペクトルの発光強度が0.25となる波長がC、C´であり、スペクトルの発光強度が0.25となる波長域の幅がWcである。このとき、幅WBおよび幅Wcは小さいほど、青色光の第1ピークの形状の鋭くなるといえる。図4〜図6で示した構造由来のスペクトルと、青色発光材料のPLスペクトルとを掛け合わせたELスペクトルにおいて、幅WBおよび幅Wcを計算した表を図10に示す。
同図に示すように、ハーフミラー電極の厚みを11nm以上49nm以下で変化させても、第1ピークの波長は450nm以上455nm以下の範囲でほぼ変化しない。一方、ハーフミラー電極の厚みが大きくなるほど、幅WBおよび幅Wcは小さくなる傾向がみられる。ここで、第1ピークの形状について幅WBが45nm以下、幅Wcが70nm以下であれば、第1ピークの形状が鋭いものとする。この場合、ハーフミラー電極の厚みが17nm以上であれば、第1ピークの形状が鋭くなり、青色光の色純度が向上できると考えられる。
(3)ハーフミラー電極の厚みの好適範囲
青色光の発光効率を向上させる場合、ハーフミラー電極の厚みは、27nm以上29nm以下の範囲を含む一定の範囲に含まれることが好ましい。具体的には、青色光の発光効率を向上させる場合、(1)で記載したように、ハーフミラー電極の厚みは、13nm以上43nm以下であることが好ましく、19nm以上37nm以下であることがより好ましい。一方、青色光の色純度を向上させる場合、(2)で記載したように、ハーフミラー電極の厚みが17nm以上であればよい。且つ、ハーフミラー電極の厚みがより大きいことが好ましい。発光効率の向上と色純度の向上とを両立するためには、ハーフミラー電極の厚みは、17nm以上43nm以下であることが好ましく、さらに、19nm以上37nm以上であることがより好ましい。
6.表示装置の製造方法
以下、表示装置の製造方法について、図11および図12を用いて説明する。
まず、基板1上に、ミラー電極3を蒸着法やスパッタ法を用いて形成する(図11(a))。次に、ミラー電極3上に、第1透明導電層4を形成する(図11(b))。第1透明導電層4は、例えば、スパッタリング法を用いて透明導電性材料を基板1の全面に積層し、その後、透明導電性材料を画素毎にパターニングすることにより得られる。
第1透明導電層4上に、例えば、蒸着法やスパッタ法を用いて正孔注入層5を形成し、バンク2を形成し、さらに、正孔注入層5上に正孔輸送層6を形成する(図11(c))。
正孔輸送層6上に、例えば、インクジェット法などの印刷法により発光層7b、7g、7rを形成する(図11(d))。
発光層7b、7g、7r上に電子輸送層8を形成し、さらに、第2透明導電層9を形成する(図12(a))。
第2透明導電層9上に、蒸着法やスパッタリング法を用いてハーフミラー電極10を形成する(図12(b))。
ハーフミラー電極10上に、蒸着法やスパッタリング法を用いて薄膜封止層11を形成し、さらに、樹脂封止層12を形成する。
以上の工程により、表示装置を製造することができる。
7.変形例
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、本発明は上記実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。なお、上記示した各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
(1)材料
上記実施の形態では、ミラー電極の材料をACLとしていたが、他に、Ag(銀)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、Al(アルミニウム)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等であってもよい。また、ミラー電極に反射機能を持たせる手法としては構成する材料によるに限らない。例えば、ミラー電極の表面部分に反射コーティングを施すことにより、ミラー電極に反射性を発揮させてもよい。
上記実施の形態では、正孔注入層の材料を遷移金属の酸化物としていたが、従来から知られているPEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料を用いてもよい。
上記実施の形態では、電子輸送層の材料を、バリウムを20%の濃度でドープした有機材料としていたが、例えば、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ジフェキノン誘導体、ペリレンテトラカルボキシル誘導体、アントラキノジメタン誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリノン誘導体、キノリン錯体誘導体である。例えば、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ジフェキノン誘導体、ペリレンテトラカルボキシル誘導体、アントラキノジメタン誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリノン誘導体、キノリン錯体誘導体であってもよい。
上記実施の形態では、ハーフミラー電極は銀(Ag)の単層構造であった。しかしながら、これに限らず、銀マグネシウム合金の単層構造、または銀および銀マグネシウム合金の積層構造等で構成してもよい。
(2)各部構成
上記実施の形態で示した表示装置に、カラーフィルタを備えてもよい。青色用のカラ―フィルタは、青色発光素子から出射されてカラーフィルタ通過した後の青色光の純度が一定基準を満たすように、すなわち、カラーフィルタ透過後の青色光のy値が、要求される基準以下となるように選択される。緑色用のカラーフィルタ、赤色用のカラーフィルタについても同様に、カラーフィルタ通過後の光の色度が要求される基準の範囲に含まれるよう選択される。カラーフィルタを備えることにより、さらに色純度を向上させた青色発光素子を実現することができる。
また、上記実施の形態では、表示装置は機能層として正孔輸送層と発光層と電子輸送層とを備えた。しかしながら、これに限らず、有機機能層を発光層のみで構成してもよい。また、有機機能層を正孔輸送層および発光層に電子ブロック層やバッファ層を追加して構成してもよい。その場合でも、発光層とミラー電極との間に挟まれる機能層の光学厚みの合計が上述した条件を満たすように設定することによって、一次キャビティに最適化した発光素子を実現することができる。
例えば、発光層とハーフミラー電極との間に、発光層側から順に、フッ化ナトリウム(NaF)を含む第1中間層と、フッ化ナトリウムにおけるナトリウムとフッ素との結合を切る性質を有するバリウム(Ba)を含む第2中間層と、バリウムがドープされた有機材料で構成されるバッファ層とをさらに備えてもよい。第1中間層は、発光層側からの不純物をブロックする性質を有する。第2中間層によりフッ素との結合を切られたナトリウムは電子注入性が高いため、発光層への電子注入を効率良く行うことができる。バッファ層においてドープされるバリウムの濃度は、例えば、5wt%以上40wt%以下である。第1中間層はフッ化ナトリウムを含むに限らず、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である第1金属のフッ化物を含めばよい。また、第1中間層に含まれるフッ化物における第1金属とフッ素との結合を切る性質を有する第2金属を含めばよい。また、バッファ層は、電子輸送性および電子注入性のうち少なくとも一方の性質を有すればよい。なお、バリウムを含む第2中間層が無い構成であってもよい。
本発明にかかる発光素子を用いた発光装置は、携帯電話用やテレビなどのディスプレイに適している。特に、青色発光素子において高い色純度で青色を発光することが要求されるディスプレイに有用である。
1 基板
2 バンク
3 ミラー電極
4 第1透明導電層
5 正孔注入層
6 正孔輸送層
7b,7g,7r 発光層
8 電子輸送層
9 第2透明導電層
10 ハーフミラー電極
11 薄膜封止層
12 樹脂封止層
α 領域

Claims (14)

  1. ミラー電極と、
    前記ミラー電極と対向するように設けられたハーフミラー電極と、
    前記ミラー電極と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、青色波長域に発光ピークを有する青色発光材料を含む発光層と、
    を備え、
    前記ミラー電極と前記ハーフミラー電極との間の距離が、二次キャビティを示す距離に設定されており
    前記ハーフミラー電極は、銀または銀マグネシウム合金の単層構造、または銀および銀マグネシウム合金の積層構造で構成され、前記ハーフミラー電極の厚みは、30nmより大きく37nm以下であり、
    前記発光層と前記ミラー電極側に隣接する層との界面から前記ミラー電極の反射面までの厚みをTL、前記界面から前記ハーフミラー電極の反射面までの厚みをTUとした場合に、40nm≦TL≦45nm、かつ、145nm≦TU≦150nmであり、
    縦軸を発光強度とし横軸を波長としたグラフにおいて、出射光のスペクトルは、波長が480nm以上530nm以下の領域全体において、波長が大きくなるに従ってその強度が漸減し、且つ、その一次微分値が単調増加する弧状をなしている、
    発光素子。
  2. 前記発光層と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である第1金属のフッ化物を含む第1中間層と、
    前記第1中間層と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、前記第1金属のフッ化物における前記第1金属とフッ素との結合を切る性質を有する第2金属を含む第2中間層と、
    前記第2中間層と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、電子輸送性および電子注入性のうち少なくとも一方の性質を有する機能層と、
    をさらに備える、
    請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記機能層は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属がドープされた有機材料で構成される、
    請求項に記載の発光素子。
  4. 前記ドープされたアルカリ金属またはアルカリ土類金属の前記機能層中の濃度は、5wt%以上40wt%以下である
    請求項に記載の発光素子。
  5. 前記ドープされたアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、前記第2金属と同じ種類の金属である
    請求項に記載の発光素子。
  6. 前記第2金属および、前記ドープされたアルカリ金属またはアルカリ土類金属は、バリウムである
    請求項に記載の発光素子。
  7. 前記第1金属は、ナトリウムである
    請求項に記載の発光素子。
  8. 前記機能層と前記ハーフミラー電極との間に、透光性導電層が設けられている、
    請求項に記載の発光素子。
  9. 前記発光層と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である第1金属のフッ化物を含む中間層と、
    前記中間層と前記ハーフミラー電極との間に設けられ、前記第1金属のフッ化物における前記第1金属とフッ素との結合を切る性質を有する第2金属がドープされた有機材料で構成され、電子輸送性および電子注入性のうち少なくとも一方の性質を有する機能層と、
    をさらに備える、
    請求項1に記載の発光素子。
  10. 前記第2金属は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、
    前記第2金属の前記機能層中の濃度は、5wt%以上40wt%以下である
    請求項に記載の発光素子。
  11. 前記第2金属は、バリウムである
    請求項10に記載の発光素子。
  12. 前記第1金属は、ナトリウムである
    請求項に記載の発光素子。
  13. 前記機能層と前記ハーフミラー電極との間に、透光性導電層が設けられている、
    請求項に記載の発光素子。
  14. 青色光を出射する発光素子と、緑色光を出射する発光素子と、赤色光を出射する発光素子とを備える表示装置であって
    前記青色光を出射する発光素子が、請求項1に記載の発光素子である、
    表示装置。
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