JP6629158B2 - X線ct装置 - Google Patents

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Description

本発明は、X線CT装置に関するものである。
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載のCBCT(Cone BeamComputed Tomography)装置が知られている。この装置は、粒子線治療装置に搭載されたものであり、患者を挟んで配置され当該患者を中心にして回転するX線源及びX線検出器を備えている。X線源からX線が照射され、患者を通過したX線がX線検出器で検出される。CBCT装置は、X線検出器で検出されたX線に基づいて、患者のCT画像を再構成する。
特開2014-124206号公報
工藤博幸、「新方式コンピュータトモグラフィーと圧縮センシング」、精密工学会誌/Journal of the Japan Society for Precision Engineering、2016年、Vol.82、No.6、p.506-512
X線検出器で検出されたX線に基づいて患者のCT画像を再構成する手法として、解析的手法と逐次近似法(代数的手法)とが存在する。解析的手法が採用される場合には、鮮明な画像を得られるものの、この手法はノイズに敏感であるため、照射するX線の強度を高くする必要があり、患者に対して過剰にX線を照射しかねない。一方、逐次近似法が採用される場合にはX線の強度は低くすることができるが、鮮明な画像を得られない。このような問題に鑑み、本発明は、逐次近似法によって鮮明なCT画像を得ることができるX線CT装置を提供することを目的とする。
本発明のX線CT装置は、被照射体にX線を照射するX線源と、被照射体を載置する載置部と、載置部を挟んでX線源と反対側に配置され、被照射体を通過したX線を検出するX線検出器と、X線源及びX線検出器を載置部の周りで回転可能に支持する支持部と、X線源及びX線検出器を載置部の周りで所定の角度回転させながらX線検出器で検出したX線に基づいて、被照射体の断層の画像を生成する画像生成部と、を備え、X線源とX線検出器の各々の検出画素とを結ぶすべての線分を含む領域である被検出領域を、X線源及びX線検出器の回転経路に対応させて回転させたときに、すべての回転させた被検出領域が互いに重複する領域を第1領域とし、第1領域の外側に規定される領域を第2領域としたときに、画像生成部は、断層に含まれる各ボクセルの線減弱係数を算出するときに、第2領域に位置するボクセルの線減弱係数に平滑化処理を施して平滑化データを得る平滑化処理部と、平滑化データに基づいて、第1領域に位置するボクセルの線減弱係数を算出する線減弱係数算出部を有する。
また、平滑化処理は、第2領域の所定の対象ボクセルの周囲のボクセルの線減弱係数を平均化して、対象ボクセルの線減弱係数を算出する演算を含むようにしてもよい。
本発明によれば、逐次近似法によって鮮明なCT画像を得ることができるX線CT装置を提供することができる。
本実施形態に係るX線CT装置が組み込まれた陽子線治療システムを示す図である。 陽子線治療システムの回転ガントリを示す斜視図である。 X線CT装置の機能的な構成要素を示すブロック図である。 回転軸線に直交する断面上においてX線管とX線検出器との位置関係を示す図である。 領域R1及び領域R2の一例を示す図である。 (a)は、本発明者らによるシミュレーションに用いる対象物のデータであり、(b),(c)はシミュレーションで得られた上記対象物のCT画像である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係るX線CT装置の実施形態について詳細に説明する。図1及び図2に示されるように、本実施形態のX線CT装置1は、荷電粒子線治療システムの一種である陽子線治療システム51に組み込まれている。陽子線治療システム51は、例えば、患者P(被照射体)の内部の病巣(例えば、腫瘍等)に対して、陽子線を照射して治療を行う装置である。陽子線治療システム51は、荷電粒子(水素イオン)を加速して荷電粒子線(陽子線)を出射する加速器52と、陽子線を患者Pに照射する照射部(照射ノズル)3と、照射部3を患者Pが載置される治療台7の周囲で回転軸線A周りに回転させる回転ガントリ13と、加速器52と照射部3とを接続して加速器52から出射された陽子線を照射部3まで輸送する輸送ライン54と、を備えている。
X線CT装置1は、CBCT装置(コーンビームCT装置)と呼ばれるタイプのCT装置であり、陽子線治療システム51の治療台7上での患者Pの位置を正確に合わせる目的で使用される。具体的には、陽子線照射治療に先立ち、治療台7にセッティングされた状態における患者Pの断層画像(CT画像)がX線CT装置1を用いて作成され、このCT画像に基づいて患者Pの病巣等の位置が認識される。このX線CT装置1によるCT画像が、事前に別のCT装置で作成された患者Pの治療計画CT画像と比較されて、治療台7上における患者Pの位置合わせが行われる。なお、治療台7上における患者Pの位置合わせが、X線CT装置1によるCT画像に基づいて直接行われてもよい。
X線CT装置1は、患者PにX線を照射するX線管5(X線源)と、患者Pを載置する治療台7(載置部)と、X線を検出するX線検出器9と、を備えている。図2に示されるように本実施形態のX線CT装置1はX線管5とX線検出器9との組を2組備えているが、X線管5とX線検出器9との組は1組であってもよい。更に、X線CT装置1は、X線検出器9で検出したX線に基づいて、患者Pの内部のCT画像を生成する画像生成部17と、を備えている。また、図3に示されるように、X線CT装置1は、X線管5、X線検出器9、回転ガントリ13(支持部)、及び画像生成部17を制御する制御部10を備えている。また、画像生成部17は、平滑化処理部17aと線減弱係数算出部17bとを有する。平滑化処理部17aと線減弱係数算出部17bとの機能については後述する。
図2に示されるように、X線管5とX線検出器9とは上記の回転ガントリ13によって支持され回転可能に構成されており、X線管5及びX線検出器9が一体として回転軸線A周りに回転する。なお、本実施形態では、X線管5及びX線検出器9が回転軸線Aを中心とする円軌道で回転する場合を例として説明する。X線管5は、当該X線管5を頂点とする円錐状のX線のビーム(コーンビーム)を治療台7に向けて照射する。X線検出器9は、FPD(Flat Panel Ditector)であり、X線管5からのX線を検出する多数の検出画素9aを有する。検出画素9aは、X線検出器9において上記の円錐の軸に直交する平面上で2次元に配置されている。
X線管5とX線検出器9とは、回転ガントリ13上において、治療台7を挟んで互いに反対側の位置に配置されている。X線管5からX線が照射され、治療台7上の患者Pを通過したX線がX線検出器9に検出され、X線検出器9には患者PのX線画像データが取得される。このとき回転ガントリ13が所定の角度(例えば約180°)回転することで、投射角度を変えながら、各投射角度に対応するX線画像データを収集することができる。またこのとき、患者Pが載置される治療台7は、建物の床に固定された支持装置7aにより支持されており、回転ガントリ13の回転とは無関係に患者Pは回転軸線Aの近傍に配置される。そして、画像生成部17は、X線検出器9で収集された上記のX線画像データに基づいて、所定の演算による画像再構成処理を実行し、患者Pの内部のCT画像を生成する。
続いて、X線CT装置1の画像生成部17が、X線検出器9で収集されたX線画像データに基づいて患者PのCT画像(断層画像)を生成する画像再構成処理について説明する。ここでは、回転軸線Aに直交する平断面に沿った断層のCT画像が生成されるものとする。X線検出器9は、各検出画素9aで検出されたX線強度を示す検出データを電気信号として画像生成部17に出力し、画像生成部17は入力された上記検出データに基づいて所定の画像再構成処理を行い、患者PのCT画像を得る。例えば、画像生成部17は、予め準備された画像再構成処理プログラムに従って動作するコンピュータで構成される。画像生成部17が備える前述の平滑化処理部17aと線減弱係数算出部17bは、上記のようなコンピュータの動作により実現される構成要素である。この画像再構成処理では逐次近似法が用いられる。逐次近似法による画像再構成は、代数的手法または統計的手法とも呼ばれる。
この種のCBCT装置においては、投射角度を変えながら(すなわち、回転ガントリ13を回転しながら)X線管5からX線検出器9にX線を照射する場合に、すべての投影角度においてX線検出器9の検出データが取得される領域R1が、X線管5とX線検出器9との間に存在する(図4参照)。
ここで、X線検出器9の検出データが取得されるためのX線の経路は、X線管5とX線検出器9の各々の検出画素9aとを結ぶ線分で表される。これらの線分のすべてを含む領域が、ある投射角度において検出データが取得可能な被検出領域Tである。図4に示されるように、CT画像の対象となる断層に沿った平断面上で考えると、上記の被検出領域Tは、X線管5を頂点とし線分9sを底辺とする三角形で表される。なお、上記の線分9sは、X線検出器9上においてX線管5からのX線を検出する検出画素9aが存在する範囲に相当する。
そして、回転軸線Aを中心として被検出領域Tを回転させたときに、すべての回転させた被検出領域Tが互いに重複する領域は、回転させた上記三角形のすべてに内接する円Cで表される。CT画像の対象となる断層に沿った平断面上においては、この円Cで囲まれる内側の領域が上記の領域R1に相当する。なお、このような領域R1は、可視化領域、又はFOV(Field of View)などと呼ばれる場合もある。
一般的に、CBCT装置による対象物の断層を示すCT画像は、当該断層に含まれるボクセルごとの線減弱係数μを算出することにより、各ボクセルの線減弱係数μをCT画像上のピクセルの濃淡に対応させることで、得ることができる。例えば、従来の逐次近似型画像再構成法においては、当該断層に含まれるj番目のボクセル(jは自然数)の線減弱係数μは、下式(1)で算出される。
但し、式(1)中の各変数の意味は次の通りである。
nは繰返し計算回数を示し、nをインクリメントしながら式(1)の計算を予め設定された回数(例えば、100回程度)繰返すことにより、μが決定される。
sはサブセット数であり、データの分割数とも言う。s=1としてもよい。
は、測定対象物を置かない場合におけるi番目の検出画素の投射データ(ブランクデータ)である。
は、j番目のボクセルに測定対象物を置いた場合におけるi番目の検出画素の投射データである。
ijは、i番目の検出画素に対するj番目のボクセルの透過長(システムマトリクス、検出確率データとも言う)である。
k=1〜Bが、領域R1内のボクセルの全部に対応する。
i=1〜Dが、X線検出器9上でX線管5からのX線を検出する検出画素9aの全部に対応する。
ここで、CBCT装置によるCT画像の撮影において、患者Pの断面が領域R1内に納まることが好ましいが、例えば患者Pの胴囲が大きい場合などは、患者Pの断面が領域R1からはみ出すことになる。この場合、従来の逐次近似法においては、実際には領域R1の外側にはみ出した部分にX線の減弱が存在するにも関わらず、この減弱の効果を領域R1内のみで反映させようとする。従って患者Pの断面が領域R1からはみ出す場合には、従来の逐次近似法では、アーチファクトが発生するなどCT画像が不鮮明になってしまう。なお、解析的手法による特殊な画像再構成処理(例えば、微分逆投影法)であれば上記の問題は発生しない。
上記の問題の対策として、本実施形態の画像生成部17による画像再構成処理では、図5に示されるように、上記の領域R1(第1領域)の外周を囲む領域R2(第2領域)を設定し、領域R1の線減弱係数μと領域R2の線減弱係数μとを異なる演算式で算出する。領域R2は、例えば、領域R1を完全に含む所定の矩形から領域R1の円形を除いた形状の領域として設定される。また領域R2は、X線管5及びX線検出器9の回転軌道の内側に納まる大きさに設定される。領域R2の外縁は、例えば患者Pを完全に囲むような大きさに設定されるようにしてもよい。また、本実施形態では、領域R2の外縁の形状を矩形としているが他の形状にしてもよい。
画像生成部17の機能として、前述の平滑化処理部17aは、領域R2に位置するボクセルの線減弱係数に平滑化処理を施して平滑化データを得る。また、前述の線減弱係数算出部17bは、上記の平滑化データに基づいて、領域R1に位置するボクセルの線減弱係数を算出する。本実施形態の画像生成部17による画像再構成処理では、上記の式(1)を改良し、断層の領域R1に含まれるj番目のボクセルの線減弱係数μは、線減弱係数算出部17bによって、下式(2)で算出される。また、断層の領域R2に含まれるj番目のボクセルの線減弱係数μBufferjは、平滑化処理部17aによって、下式(3)で推定される。

式(2)、式(3)中においてk=1〜(B+Buf)が、領域R1内のボクセルと領域R2内のボクセルとを合わせたボクセルの全部に対応する。
また、式(3)中のFは平滑化フィルタを示す。式(3)中の平滑化フィルタFの存在により領域R2の線減弱係数には平滑化処理が施される。すなわち、領域R2のある対象のボクセルの線減弱係数は、当該対象のボクセルの周囲のボクセルの線減弱係数にも基づいて平滑化処理されて得られる。例えば、平滑化フィルタFとしては5×5×5の平滑化フィルタが用いられる。つまり、平滑化フィルタFとしては、例えば、領域R2の所定の対象ボクセルの周囲のボクセルの線減弱係数を平均化して、対象ボクセルの線減弱係数が算出されるようなフィルタであってもよい。また、平滑化フィルタFとしては、移動平均フィルタ、荷重平均フィルタ、ガウシアンフィルタ等の公知のフィルタを採用することができる。
上式(2)によって領域R1のCT画像が得られ、上式(3)によって領域R2のCT画像が推定される。このうち、領域R2のCT画像は比較的信頼性が低いために不採用とし、上式(2)による領域R1のCT画像のみを採用してもよい。
以上説明したX線CT装置1による作用効果について説明する。X線CT装置1の画像生成部17によれば、式(2)及び式(3)により、領域R1のCT画像と領域R2のCT画像とが得られる。ここで、式(2),(3)中のΣを含む各項を参照して理解されるように、各ボクセルの線減弱係数μには、領域R2のボクセルの線減弱係数が平滑化処理を経た上で反映される。従って、従来の逐次近似法による画像再構成に比べて、領域R1の外側の領域の影響を適切に反映させた鮮明なCT画像が取得される。例えば患者Pが領域R1の外側にはみ出す場合、逐次近似法によれば、実際には存在しない高周波成分がノイズとしてCT画像上に現れる場合がある。これに対し、式(3)の線減弱係数μBufferjには平滑化フィルタF処理が施されるので、上記のような高周波成分のノイズが適切に除去される。
また、画像生成部17による画像再構成処理は、逐次近似法を用いるので、解析的手法による画像再構成に比べてノイズが抑えられる。従って、照射するX線量が抑えられ、解析的手法の場合に比べて患者Pの被爆量が抑えられる。
なお、前述の非特許文献1においても、逐次近似法で鮮明なCT画像を得ようとする技術が提案されている。しかし、この非特許文献1の技術では、画像の中に既知の部分が存在することを必要とする。これに対し、X線CT装置1ではこのような既知の情報も不要である。
続いて、上述した本実施形態の画像再構成処理による作用効果を確認すべく、本発明者らが行ったシミュレーションの結果について説明する。
図6(a)は、CT撮影の対象となる撮影対象物101の断層を示すシミュレーションデータである。図6(b)は、従来の式(1)を用いて撮影対象物101の画像再構成処理を行うシミュレーションで得られたCT画像である。図6(c)は、本実施形態の式(2),(3)を用いて撮影対象物101の画像再構成処理を行うシミュレーションで得られたCT画像である。
シミュレーション条件は次の通りとした。撮影対象物101は、回転軸線Aを中心として半径150mmの円形断面を有するものとした。領域R1は、回転軸線Aを中心とする直径170mmの円とした。領域R2の外縁は、回転軸線Aを中心とする一辺230.4mmの正方形とした。
シミュレーションの結果、図6(b)では、特に高周波のノイズが発生しCT画像が不鮮明であるのに対し、図6(c)では、高周波のノイズも抑えられて画像が鮮明になり、図6(a)の撮影対象物101が正確に再現されていることが判る。以上より、上述した画像再構成処理によれば、鮮明なCT画像が得られることが判った。
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、実施例の変形例を構成することも可能である。各実施形態の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。例えば、上述の実施形態では、陽子線治療システム51に組み込まれたX線CT装置1を例として説明したが、陽子線治療システムに限られず、例えば、重粒子(重イオン)線、パイ中間子線等の荷電粒子線を用いた治療システムに対しても、本実施形態に係るX線CT装置1を適用することができる。また、X線CT装置1は、陽子線治療システム51等の放射線治療システムに取り付けられる構成に限らず、X線CT装置単体として設けられた構成としてもよい。
1…X線CT装置、5…X線管(X線源)、7…治療台(載置部)、9…X線検出器、9a…検出画素、13…回転ガントリ(支持部)、17…画像生成部、51…陽子線治療システム、R1…第1領域、R2…第2領域、T…被検出領域、P…患者(被照射体)。

Claims (2)

  1. 被照射体にX線を照射するX線源と、
    前記被照射体を載置する載置部と、
    前記載置部を挟んで前記X線源と反対側に配置され、前記被照射体を通過した前記X線を検出するX線検出器と、
    前記X線源及び前記X線検出器を前記載置部の周りで回転可能に支持する支持部と、
    前記X線源及び前記X線検出器を前記載置部の周りで所定の角度回転させながら前記X線検出器で検出した前記X線に基づいて、前記被照射体の断層の画像を生成する画像生成部と、を備え、
    前記X線源と前記X線検出器の各々の検出画素とを結ぶすべての線分を含む領域である被検出領域を、前記X線源及び前記X線検出器の回転経路に対応させて回転させたときに、すべての回転させた前記被検出領域が互いに重複する領域を第1領域とし、前記第1領域の外側に規定される領域を第2領域としたときに、
    前記画像生成部は、
    前記断層に含まれる各ボクセルの線減弱係数を算出するときに、前記第2領域に位置する前記ボクセルの線減弱係数に平滑化処理を施して平滑化データを得る平滑化処理部と、
    前記平滑化データに基づいて、前記第1領域に位置する前記ボクセルの線減弱係数を算出する線減弱係数算出部を有する、X線CT装置。
  2. 前記平滑化処理は、
    前記第2領域の所定の対象ボクセルの周囲のボクセルの線減弱係数を平均化して、前記対象ボクセルの線減弱係数を算出する演算を含む、請求項1に記載のX線CT装置。
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