JP6629080B2 - 樹脂製拡開アンカー - Google Patents

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Description

この発明は、石膏ボード等を用いた壁面に各種部材をねじ止め固定する場合に用いる樹脂製拡開アンカーに関する。
例えば、石膏ボードのような脆弱な材質の壁面に各種部材をねじ止め固定する場合に用いるアンカーとして、壁面へねじ込んで取付けた後、部材固定用ねじをねじ込むことにより先端側を複数に開脚させ、耐引抜き強度の向上と緩み止め効果が得られるようにした自穿孔式の拡開アンカーがある。
上記した自穿孔式の拡開アンカーとしては、軽量化や材料コストの低減等の要望から、使用材料の樹脂化が行われ、合成樹脂を用いたアンカー本体の先端側に金属製の穿孔具を取付けたものと、アンカー全体を合成樹脂で形成した製品が提案されている。
前者の穿孔具を取付けた拡開アンカーは、合成樹脂を用いたアンカー本体が、外面にねじ山を設けた中空固定部と、この中空固定部の先端に設けた先鋭端及び後端に設けた頭部を有し、前記先鋭端から中空固定部の途中までが割り溝で二分されて拡開可能な脚部となり、前記割り溝を利用して脚部間に金属板製の穿孔具を、その刃先となる先端が前記先鋭端から突出するように嵌め込んで取付けた構造になっている(例えば、特許文献1参照)。
後者の全体を合成樹脂で形成した拡開アンカーは、外面にねじ山を設けた中空固定部の先端側に導入部と後端に頭部を設け、前記導入部を割り溝で複数に分割して拡開可能な脚部とし、一組の対向する脚部の先端にわたって、両脚部を開脚時に切断可能となるよう連結すると共に導入部の軸心上前方に向けて突出し、先鋭で周囲に切削刃を有する穿孔部を設けた構造になっている(例えば、特許文献2や3参照)。
上記した自穿孔式の拡開アンカーは、何れの場合も使用方法は同じように行え、穿孔具又は穿孔部の先端を壁面に押し当てながら全体をねじ込み回転させ、前記穿孔具又は穿孔部で壁面に下孔を明けながらこの下孔に導入部に続いて中空固定部をねじ込み、頭部が壁面に当接する状態でねじ込みを終了し、これによって拡開アンカーは導入部が壁面の裏側に突出する状態で壁面にねじ込み固定される。
次に、壁面に固定するための各種部材に挿通したねじを上記拡開アンカーの中空固定部内に頭部側からねじ込むと、導入部に進入した前記ねじが脚部を押し広げることで穿孔具が脱落もしくは穿孔部が破断し、押し広げられた前記脚部が壁面の裏側で開脚して抜け止め状態となり、これにより、壁面に拡開アンカーを介して各種部材をねじ止め固定することができ、前記脚部の開脚によって壁面に各種部材を固定するねじの耐引抜き強度を確保することになる。
特開平11−140992号公報 特開2007−100810号公報 特開2010−156438号公報
ところで、合成樹脂を用いた上記のような拡開アンカーの場合、以下に述べるように、合成樹脂のもつ特性が要因となる新たな問題が発生し、金属製の拡開アンカーと同等の性能や使い勝手を有する製品が得られていないのが現状である。
即ち、自穿孔式の拡開アンカーは、壁面に対するねじ込み時に前記表面の壁紙及び壁面を回転しながら貫通するため、壁紙及び壁面との間で摩擦が生じることで穿孔部や脚部に摩擦熱が加わり、この摩擦熱が上昇すると穿孔部及び脚部に軟化や溶損が生じ、脚部による穿孔具の保持力低下又は穿孔部による下孔の削孔機能の低下が発生し、拡開アンカーのねじ込みが失敗に終わることがある。
ここで、前者の金属板製穿孔具を組み合わせ使用する拡開アンカーは、アンカー本体と別に穿孔具を製作しなければならず、これをアンカー本体に組み込む作業が別途発生し、材料コストが高くつくと共に組み立てコストがかかるので、全体を合成樹脂で一体成形した拡開アンカーの方が経済的に有利となり、従って、この発明は全体を合成樹脂で製作した拡開アンカーを対象とし、全体の樹脂化によって生じた拡開アンカーの問題点と構造の関係について、鋭意研究を重ねることにより問題の発生メカニズムを解明し、これを基に導入部と穿孔部の構造に工夫を加え、実用的に問題の発生がない樹脂製アンカーを得ることに到ったものである。
樹脂製拡開アンカーにおいて、本発明者は、壁面へのねじ込み時に壁紙及び壁面との間で摩擦が生じた場合に、穿孔部や脚部に過度の摩擦熱を発生させるのは、穿孔部での下孔切削によって生じた切粉が、穿孔部や脚部と壁紙及び壁面の接触面間に食い込み、これがねじ込み時の抵抗となって摩擦を増大させることが原因であることを見出し、従って、切粉の前記接触面間への食い込みを減少させることで摩擦熱の上昇発生を抑え、穿孔部や脚部の軟化や溶損を防げるという考えに到った。
ところで、全体を樹脂化した従来の拡開アンカーにおける穿孔部は、先鋭状としたアンカー本体の先端から導入部を割溝で複数の脚部に分割し、対向する脚部の途中を可破壊部で連結し、前記穿孔部における割溝のねじ込み回転方向の前側縁を切削刃とした構造(特許文献2)又は、アンカー本体の導入部を先端から割溝で四分割した脚部とし、対向する位置関係にある一組の脚部間の先端に先鋭状の切削刃を設けた構造(特許文献3)になっている。
上記のような穿孔部は、何れの構造においても、表面の壁紙から壁面にねじ込んで下孔を削孔する機能を備えているが、前記下孔を削孔したときに生じる切粉が穿孔部や脚部と壁面又は壁紙の接触面間に食い込まないようにしようとする考えや、当然ながら切粉の処理に対する構造的な配慮がなされていないので、上記したように、従来の穿孔部の構造と発生した切粉の関係が樹脂製拡開アンカーに問題を生じさせている。
即ち、樹脂製拡開アンカーにおいて、摩擦熱の上昇で穿孔部や脚部に過度の軟化や溶損が生じると、穿孔部による下孔の削孔機能の低下や不能が発生し、拡開アンカーの円滑なねじ込み性能が得られないと共に、ねじ込み後の脚部に変位や変形が生じると、アンカーに対するねじのねじ込み時に所定の開脚状態が得られず、アンカーとしての耐引き抜き強度が低下することになる。
そこで、この発明の課題は、アンカーの穿孔部や脚部に生じる摩擦熱の上昇要因が切粉であるので、壁面へのねじ込み時に生じる切粉を有効に処理することができ、穿孔部や脚部が過度の摩擦熱によって軟化や溶損することのないようにし、樹脂製拡開アンカーに生じた問題点をことごとく解決することで、ねじ込みの失敗の発生がなく、金属製と同等の性能や使い勝手を有する樹脂製の開脚アンカーを提供することにある。
上記のような課題を解決するため、この発明は、外周にねじ山が設けられた内部中空の固定部と、前記固定部の先端側に軸方向に沿って前方に突出するように連ねて設けられ、軸方向に沿う割り溝で一対の脚部に二分割された導入部と、前記導入部の脚部先端に設けられた穿孔部と、前記固定部の後端側に設けられた頭部からなり、前記穿孔部は、前記両脚部の先端部をこの両脚部の開脚時に破断可能となるよう連結する状態で、先鋭端部が前記固定部の軸線延長線上に位置する中央カッターと、前記両脚部のそれぞれの先端部に前記中央カッターを挟む配置で設けられ、この中央カッターの先鋭端部よりも前記固定部側寄りに位置する外カッターで形成され、前記外カッターは、脚部の先端部におけるねじ込み回転方向の前側になる面に設けられた外側傾斜刃と内側傾斜刃で先鋭となって前方に突出するように形成され、この外カッターにおける前記外側傾斜刃は外端が脚部の先端部外周面よりも外方に突出し、前記外側傾斜刃と内側傾斜刃の前記ねじ込み回転方向の後方部分が脚部の先端に向けて下がる切粉誘導面に形成されている構成としたものである。
上記中央カッターは、両脚部間の割り溝に臨む部分で二分された状態で両脚部の先端に設けた一対のカッター部材で形成され、両カッター部材の先端に設けた先鋭端部が両脚部の開脚時に破断可能となるよう連結され、各カッター部材のねじ込み回転方向の後方部分が脚部の先端に向かう切粉排出面に形成されているようにしたものである。
上記固定部は、先端から頭部側の途中までが導入部の切り割に連なる切れ目によって二つ割りに形成され、内部に位置するねじのねじ込み孔の前記切れ目で二分された先端側が先端に向けて浅くなるテーパー面に形成されている構造としたものである。
ここで、上記固定部と導入部の外径は、頭部側が大径で先端の穿孔部に向けて小径となる連続した緩いテーパー状となり、前記導入部を脚部に形成する割り溝は、円軸体を軸心と交差する径方向の中心線に沿って半円体に二分する切れ目と、前記切れ目と直角の径方向中心線に対して、軸心から少し外側寄りの内側位置とねじ込み回転の後方に位置する外周位置を結ぶ傾斜切れ目からなり、これにより、脚部は半円体のねじ込み回転方向の後半部分を切除することによって鈍角の扇形となる断面形状を有し、両脚部は内側コーナが傾斜切れ目の間隔を挟んで対峙するように配置され、傾斜切れ目に沿う切除部分によってその対向面間に切粉を収納するための十分な空間を形成していると共に、固定部に設けた切れ目は、両脚部の傾斜切れ目に沿う配置で固定部を二分し、この二分された部分が両側に拡開可能となっている。
また、上記中央カッターを形成するカッター部材は、脚部のねじ込み回転方向の前方に位置する面の内側コーナから前方に突出し、前記回転方向の前方に位置する面において、脚部の先端から連なって前方にハ字状となって延びるベース部と、このベース部の先端から一定の幅で前方に延びる中間部と、この中間部の先端に位置する先鋭端部とで形成され、一対のカッター部材は、前記先鋭端部の先端部が両脚部の開脚時に破断可能となるよう連結されている。
上記カッター部材において、先鋭端部から中間部及びベース部は、導入部の半径方向の外側に位置する部分が、上記外カッターの外側傾斜刃と内側傾斜刃における切粉誘導面の終端から連なってねじ込み回転方向に円弧状となる階段状になり、切粉誘導面からの切粉をねじ込み回転方向の後方へ逃がすことができるようになっている。
この発明によると、外カッターにおける外側傾斜刃と内側傾斜刃のねじ込み回転方向の後方部分を脚部に向けて下がる切粉誘導面に形成したので、壁面へのねじ込み時に、外カッターで下孔を穿孔することにより発生した切粉を、前記切粉誘導面でねじ込み回転の後方へ導いて脚部間の空間へ速やかに収納させることができ、このため、外カッターの切削で発生した切粉が、穿孔部及び導入部と壁面の接触面間に食い込まないようにし、切粉の食い込みによる抵抗の増大で摩擦熱が過度に上昇するのを防ぎ、摩擦熱によって穿孔部や脚部が軟化や溶融するのを防止することで、樹脂製拡開アンカーのねじ込みの失敗発生をなくすことができ、金属製拡開アンカーと同等の性能や使い勝手を有する樹脂製開脚アンカーとなる。
また、導入部の先端に設けた穿孔部を中央カッターとその両側に設けた外カッターで形成し、この外カッターにおける外側傾斜刃の外端を脚部の先端部外周面よりも外方に突出させたので、壁面に対するアンカーのねじ込み時に、外カッターによって導入部の先端側外径より大径の下孔を穿孔することができ、壁面へのねじ込み時において導入部及び固定部が進入する際の抵抗の発生を少なくし、これによっても穿孔部及び導入部の摩擦熱が過度に上昇するのを防げるので、樹脂製拡開アンカーのねじ込み作業を円滑に能率良く行えるようにすることができる。
この発明に係る樹脂製開脚アンカーの正面を先端側から見上げた斜視図 この発明に係る樹脂製開脚アンカーの一部切り欠き正面図 この発明に係る樹脂製開脚アンカーの先端に設けた穿孔部の構造を拡大した底面図 この発明に係る樹脂製開脚アンカーにおける脚部の横断面形状を示す拡大横断面図 この発明に係る樹脂製開脚アンカーの使用状態を示す縦断面図
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図示のように、この発明の拡開アンカー1は、内部中空の円筒状となる固定部2と、前記固定部2の先端側に軸方向に沿って前方に突出するように連ねて設けられた導入部3と、前記導入部3の先端に設けられた穿孔部4と、前記固定部2の後端側に設けられた頭部5からなり、硬質の合成樹脂、例えば、ポリカーボネートやガラス繊維混入ナイロン等の材料を用いて全体が一体成形されている。
上記固定部2は、円筒状となって外周にねじ山6が設けられ、後端側に設けられた頭部5は、前記ねじ山6の最大外径よりも少し大径になっており、この固定部2の内部が壁面に部材を固定するねじ7のねじ込み孔8になり、該ねじ込み孔8の頭部5側端部が回転工具の係合孔9になっていると共に、上記導入部3は、固定部2の先端側に軸方向の前方に向けて突出するように連ねて設けられ、前記固定部2とこの導入部3の外径は頭部5の側が大径で先端側が少し小径となる連続したテーパー状となり、固定部2に設けたねじ山6の外径は前記テーパーに合わせて頭部5側が大径で導入部3の側が小径になっている。
上記導入部3は、固定部2の先端に連なる円軸体を軸心と交差する直径方向の割り溝で長さ方向の全長にわたって二分割した一対の脚部10と10で形成され、この導入部3を脚部10と10に形成する割り溝は、図4に示すように、円軸体を軸心と交差する径方向の中心線に沿って半円体に二分するための切れ目aと、前記切れ目aと直角の径方向中心線に対して、軸心から少し外側に寄った内側位置とねじ込み回転方向の後方の外周位置を結ぶ二本の傾斜切れ目b、bの組み合わせからなり、これにより、両脚部10と10は、切れ目aに沿う割り溝面10aと傾斜切れ目bに沿う欠除面10bが鈍角となる扇形の断面形状を有し、両脚部10と10は内側コーナが傾斜切れ目bとbの間隔を挟んで対峙する配置となるので、互いの割り溝面10aと欠除面10b間に切粉を収納するための十分な空間cとcを形成している。
上記固定部2の先端におけるねじ込み孔8の先端部が両脚部10と10間の根本部分に臨んでいると共に、両脚部10と10の円弧状となる外周面には固定部2のねじ山6よりも小径となる分断ねじ山11が設けられ、各脚部10と10は割り溝面10aと外周面のなすコーナ縁が切削刃10cになり、図1のように、この切削刃10cは途中から根本側の部分がねじ込み回転の前方へ上り傾斜縁に形成されている。
また、上記固定部2は、先端部から頭部側の途中までが、脚部10と10の欠除面10bに沿って導入部3の軸心と交差する直径方向の切れ目12によって二分された二股部2aとなり、前記固定部2に設けたねじ山5の二股部2aにおいては切れ目12に該当する部分が分断されていると共に、この切れ目12は両脚部10と10の欠除面10b間の空間cとcと固定部2の先端で互いに連なっている。
上記のような導入部3は、拡開アンカー1の壁面Xへのねじ込み時に、穿孔部4で形成された下孔に進入するとき分断ねじ山11が下孔に食い付き、この誘導部3によって固定部2の下孔に対する進入を誘導すると共に、両脚部10と10はそれぞれ鈍角で扇形の断面形状となり、両脚部10と10間の外径円内に十分な容積の空間cとcを確保することができ、この空間cとcは前記穿孔部4が壁紙Yから壁面Xを切削して下孔を形成するときに生じる切粉の収納部分となる。
上記固定部2に設けたねじ込み孔8の二股部2aにおける内周は、図2のように、前記固定部2の先端で両側に対向する先端部分が先端に向けて浅くなるテーバー部8aとなり、固定部2のねじ込み孔8にねじ込んだ部材固定用のねじ7が前記テーバー部8a間に進入すると、このねじ7によって固定部2の二股部2aが切れ目12の部分から両側に押し広げられ、前記二股部2aの各先端にそれぞれ分離して設けられている両脚部10と10も、二股部2aの広がりによって外側へ一体に開脚することになる。
上記導入部3の先端に連ねて設けた穿孔部4は、図1から図3に示すように、両脚部10と10の先端部を互いに連結する状態で、先鋭端部が前記固定部2の軸心延長線上に位置する中央カッター13と、前記両脚部10と10のそれぞれの先端部に前記中央カッター13を挟む配置で設けられ、この中央カッター13の先鋭端部よりも前記固定部側寄りに位置する一対の外カッター14、14で形成され、前記中央カッター13は両脚部10と10の開脚時に破断可能となるような状態で両脚部10と10の先端部を連結している。
上記中央カッター13は、両脚部10と10間の切れ目aで二分された対向状態で両脚部1と010の先端中心部に設けた一対の多段刃13aと13aによって形成され、この多段刃13aは、脚部10の割り溝面10aに臨む面が該割り溝面10aと同一面となり、全体形状が先端側から見て固定部2の軸心延長線上から外広がりの三角形となるねじ込み回転方向の幅を有し、外径が脚部10の外周から先端側に向けて小径のテーパー弧状面となるベース部15と、このベース部15の先端面で半径方向の途中から外径が先端側に向けて小径のテーパー弧状面となって突出する中間部16と、この中間部16の先端から前方に位置する先鋭端部17からなり、両多段刃13aは互いの先鋭端部17の先端が接近して両脚部10と10の開脚時に切断可能となる可破壊部18で連結されている。
図1と図3のように、上記多段刃13aは、中間部16の途中からベース部15において、脚部10の欠除面10b側に位置する側面がねじ込み回転方向の後方に延び、この延びた部分の全面が脚部10に向けて弧状の下がり傾斜となる切粉排出面19になっている。
上記外カッター14は、各脚部10の先端部でこの脚部10のねじ込み回転方向の前側になる割り溝10a面の外側縁寄りの位置に設けられ、前記割り溝面10aと同一面となるよう位置する外側傾斜刃14aと内側傾斜刃14bで先鋭となって前方にV字状となって突出する形状を有し、この外カッター14における前記外側傾斜刃14aの後端部が脚部10の先端部外径面よりも径方向外方に突出し、前記外側傾斜刃14aと内側傾斜刃14bの前記ねじ込み回転方向の後方部分は、該後方に向けて多段刃13aに向かう移行部分になっている。
図3のように、上記移行部分において、外側傾斜刃14aのねじ込み回転方向の後方部分は、弧状の突部となって後退しながらベース部15のテーパー外周面の側縁に達する切粉通過面20になり、内側傾斜刃14bのねじ込み回転方向の後方部分は、ベース部15のテーパー外周面の側縁に達する傾斜状の切粉誘導面21に形成され、上記外カッター14の外側傾斜刃14aと内側傾斜刃14bでの切削によって生じた切粉を、前記切粉通過面20と切粉誘導面21でねじ込み回転方向の後方へ速やかに移行させることができることになる。
また、中央カッター13の多段刃13aは、先鋭端部17が上記外カッター14における外側傾斜刃14aと内側傾斜刃14bによって形成される先端よりも前方に突出し、この先鋭端部17を壁面に突き刺すようにすることでねじ込み時の回転センターを確保して心振れの発生を防ぐことができ、更に、中間部16とベース部15は前記外側傾斜刃14aと内側傾斜刃14bの先端よりも後方に位置する配置になっているので、前記外カッター14によって発生した切粉がねじ込み回転方向の後方へ通過するのを阻害しないことになる。
上記のように、両脚部10と10の先端にそれぞれ設けた外カッター14は、外側傾斜刃14aと内側傾斜刃14bによって形成される先端が多段刃13aを挟んで径方向の両側に位置し、壁面Xへのねじ込み時に両外カッター14と14が壁面Xの表面に貼られている壁紙Yを、導入部3の外径寄りも少し大径の円形に切り抜くことになり、これにより、壁面Xへのねじ込み時における穿孔部4及び導入部3の壁紙Yとの摩擦発生を極力少なくし、穿孔部4と導入部3の温度上昇の発生を抑えることができ、このとき、壁紙Yを効率よく切り抜くために、外側傾斜刃14aと内側傾斜刃14bによって形成される刃先の角度は直角もしくは鋭角に設定するのが好ましい。
この発明の樹脂製拡開アンカーは、上記のような構成であり、石膏ボードのような脆弱な材料を用いた壁面Xに各種部材をねじ止め固定するには、拡開アンカー1の穿孔部4における中央カッター14の先鋭端部17を壁面Xの所定位置に押し当てた状態で、回転工具によって押し込みとねじ込み方向の回転を与える。
先ず、中央カッター13における先鋭端部17が壁紙Xを突き破り、中心孔を形成してねじ込み時の回転センターを確保しながら壁面X内に進入し、次に、両外カッター14と14の外側傾斜刃14aと内側傾斜刃14bによって形成される鋭角の先端が、壁紙Yを円形に切りながら壁面X内に進入するので、壁紙Yを確実に効率よく切り込むことができ、穿孔部4が壁紙Yとこれに続くXを通過及び進入するときの摩擦発生をできるだけ少なくし、摩擦熱による穿孔部4の温度上昇を抑えることにより、前記穿孔部4の軟化や溶損の発生をなくし、壁面内に対する穿孔機能を維持することができる。
また、両外カッター14が壁紙Yとこれに続く壁面X内を、導入部3の先端外径より少し大径の外径と、中央カッター13の外径に見合う内径の環状溝を切削し、このとき発生した切粉がねじ込み回転方向の後方に移行することになるが、外側傾斜刃14aのねじ込み回転方向の後方は切粉通過面20になり、内側傾斜刃14bのねじ込み回転方向の後方部分は、中央カッター13におけるベース部15のテーパー外周面の側縁に達する弧状の切粉誘導面21になっているので、切削によって生じた切粉はねじ込み回転方向の後方へ抵抗なく速やかに移行し、前記中央カッター13を形成する多段刃13aの外周面から両脚部10間に形成された収納空間Cに誘導される。
このとき、上記中央カッター13は、多段刃13aの先鋭端部17で形成した中心孔を中間部16とベース部15が拡径するが、上記両外カッター14と14の内側傾斜刃14bによる切削範囲と重なることで切削量が少なく、前記多段刃13aの切削によって生じた切粉は、この多段刃13aの外周面が外カッター14の切削範囲内に納まっているので、前記外周面からねじ込み回転方向の後方へ円滑に移行し、両脚部10と10間に形成された収納空間cに誘導される。
上記のように、穿孔部4による切削時の発生した切粉を速やかにねじ込み回転方向の後方へ誘導して収納空間cに納めることにより、穿孔部4と壁紙Y及び壁面Xの接触面間への切粉の食い込み発生を少なくし、切粉の食い込みによるねじ込み回転時の抵抗による摩擦の増大を防ぎ、摩擦熱による穿孔部4の温度上昇を抑えることで、この穿孔部4に軟化や溶損が生じないようにし、従って、壁面Xに対する下孔の切削が確実に行えて穿孔機能の低下を防ぎ、拡開アンカー1のねじ込み不能の事態発生をなくすことができる。
上記穿孔部4が壁紙Yとこれに続く壁面X内に進入して導入部3の先端外径より少し大径の下孔を明けていくと、これに続いて前記導入部3が下孔に進入し、この導入部3における両脚部10と10の外径面に設けた分断ねじ山11が下孔に食い付くことでねじ込まれ、更に、導入部3に続いて固定部2が進入してねじ山6が下孔に食い付き、頭部5が壁紙Yに当接するまでねじ込むようにすればよく、固定部2のねじ山6が壁面Xの下孔に食い付くことで拡開アンカー1を壁面Xに固定化できる。
上記穿孔部4による下孔の切削及び下孔に対する導入部3とこれに続く固定部2のねじ込み時において、前記穿孔部4の切削によって生じた切粉は、導入部3の両脚部10と10間に形成された収納空間cに誘導され、しかも、両脚部10と10の断面形状を鈍角の扇形状とすることで収納空間cの容積を広く確保でき、穿孔部4の切削によって生じた切粉の全量をこの収納空間c内に収納することができるので、導入部3と壁面Xの接触面間への切粉の食い込み発生、導入部3及び固定部2と壁面Xの接触面間への切粉の食い込み発生を少なくし、前記切粉の食い込みによるねじ込み効率の低下発生を防ぐことができる。
上記のように、この発明の拡開アンカー1は、切粉の食い込みによる摩擦が原因となる穿孔部4と導入部3及び固定部2の温度上昇の発生を防ぐことができ、前記各部の温度上昇による軟化や溶損の発生を抑えることで、合成樹脂を用いた拡開アンカーの実用化を可能とすることができる。
図5の場合、拡開アンカー1をねじ込む壁面Xは、固定部2の長さに対応した厚みの場合を示し、ねじ込んだ拡開アンカー1の導入部3が壁面Xの裏面側に突出して開脚するようにしたが、拡開アンカー1の全長が埋まる厚みの壁面Xへの使用も当然可能である。
壁面Xへのねじ込みが完了した拡開アンカー1のねじ込み孔8に、壁面Xへの取付部材Zを貫通させたねじ7をねじ込むと、切れ目12で二分されたねじ込み孔8の先端部はテーパー面8aによって小径になっているので、ねじ込まれたねじ7の先端は前記テーパー面8aを押し開いて固定部2を貫通し、導入部3を形成する一対の脚部10、10間に進入することになり、このため、固定部2の切れ目12で先端から途中までが二分されている部分が、先端側から相反する外側へ押し広げられ、一対の脚部10、10は固定部2の先端で切れ目12により二分された部分にそれぞれ設けられているので、固定部2の先端部開き方向へ一体に広がる力が加わり、両脚部10、10の先端にわたって設けた穿孔部4は、中央カッター13に押し広げ力が加わることで可破壊部18が破断する。
従って、上記固定部2の先端側と導入部3が拡開することで、この拡開部分が壁面Xを押し広げて圧縮させ、壁面Xに対して固定した拡開アンカー1の耐引抜強度と緩み止め効果を向上させることができ、壁面Xに部材Zが重なる状態にねじ7を締め付けることで作業が完了する。
1 拡開アンカー
2 固定部
3 導入部
4 穿孔部
5 頭部
6 ねじ山
7 ねじ
8 ねじ込み孔
9 係合孔
10 脚部
10a 割り溝面
10b 欠除面
10c 切削刃
11 分断ねじ山
12 切れ目
13 中央カッター
13a 多段刃
14 外カッター
15 ベース
16 中間部
17 先鋭端部
18 可破壊部
19 切粉排出面
20 切粉通過面
21 切粉誘導面

Claims (3)

  1. 外周にねじ山が設けられた内部中空の固定部と、前記固定部の先端側に軸方向に沿って前方に突出するように連ねて設けられ、軸方向に沿う割り溝で一対の脚部に二分割された導入部と、前記導入部の脚部先端に設けられた穿孔部と、前記固定部の後端側に設けられた頭部からなり、前記穿孔部は、前記両脚部の先端部をこの両脚部の開脚時に破断可能となるよう連結する状態で、先鋭端部が前記固定部の軸線延長線上に位置する中央カッターと、前記両脚部のそれぞれの先端部に前記中央カッターを挟む配置で設けられ、この中央カッターの先鋭端部よりも前記固定部側寄りに位置する外カッターで形成され、前記外カッターは、脚部の先端部におけるねじ込み回転方向の前側になる面に設けられた外側傾斜刃と内側傾斜刃で先鋭となって前方に突出するように形成され、この外カッターにおける前記外側傾斜刃は外端が脚部の先端部外周面よりも外方に突出し、前記外側傾斜刃と内側傾斜刃の前記ねじ込み回転方向の後方部分が脚部の先端に向けて下がる切粉誘導面に形成されている樹脂製拡開アンカー。
  2. 上記中央カッターは、両脚部間の割り溝に臨む部分で二分された状態で両脚部の先端に設けた一対のカッター部材で形成され、両カッター部材の先端に設けた先鋭端部が両脚部の開脚時に破断可能となるよう連結され、各カッター部材のねじ込み回転方向の後方部分が脚部の先端に向かう切粉排出面に形成されている請求項1に記載の樹脂製拡開アンカー。
  3. 上記固定部は、先端から頭部側の途中までが導入部の切り割に連なる切れ目によって二つ割りに形成され、内部に位置するねじのねじ込み孔の前記切れ目で二分された先端側が先端に向けて浅くなるテーパー面に形成されている請求項1又は2に記載の樹脂製拡開アンカー。
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