以下、添付図面を参照して、実施形態に係る医用画像診断システムについて詳細に説明する。医用画像診断システムが医用画像を取得する手段として、以下ではX線CT装置を用いる場合について説明する。
X線CT装置には、X線管とX線検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotateタイプ、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotateタイプ等様々なタイプがあるが、いずれのタイプでも本実施形態は適用可能である。さらに、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転フレームに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態においては、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれも適用可能である。以下の実施形態では、一管球型でかつ、Rotate/RotateタイプのX線CT装置を一例として説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る医用画像診断システムの各部分について概略を説明する。図1は、第1の実施形態に係る医用画像診断システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る医用画像診断システムは、架台装置1、第1画像処理装置(コンソール装置)2、第2画像処理装置3C、3D等を備える。
架台装置1は、天板に載置された被検体にX線を照射するX線管10と、X線を検出するX線検出器15とを支持すると同時に、被検体にX線を照射し、被検体を透過したX線の検出データから投影データを収集する装置である。架台装置1は、例えば、X線管10及びX線検出器15を支持するのに十分な強度を持った素材により構成される。架台装置1は、X線管10と、X線検出器15と、データ収集回路16と、選択回路5Aと、送受信装置11Aとを有する。
架台装置1は、撮影開始前において、被検体が載置される板である天板を、天板の長手方向に移動することにより、被検体を回転フレーム内(撮影空間内)に移動する。また、架台装置1は、撮影開始後において、天板を天板の長手方向に移動することにより、被検体を撮影開始前の位置に移動する。
架台装置1は、本撮影時において、例えば、天板を移動させながら回転フレームを回転させて被検体をらせん状にスキャンするヘリカルスキャンを実行する。この場合、架台装置1は、回転フレームを回転駆動させることによって、被検体を中心とした円軌道上でX線管10とX線検出器15とを対向させながら旋回させながら本撮影を行う。
X線管10は、被検体にX線を照射する装置である。X線管10は、陰極であるフィラメントと、陽極であるターゲットとを備え、フィラメント及びターゲットの素材としては、例えば高融点のため大電流にも耐えうるタングステンが使われる。
フィラメントに電流が流れると、加熱されたフィラメントから飛び出した熱電子が、陽極に向かって加速し、ターゲットに衝突して運動エネルギーを失うと、ターゲットは、熱電子の失った運動エネルギーに相当するエネルギーのX線を発生する。このようにして、
X線管10は、X線を照射する。回転フレームの回転に伴い、X線管10は、被検体に対して照射方向(管球位置)を変えながら、X線を照射する。
架台装置1は、X線管10付近に備えられたウェッジを制御することにより、照射されるX線の量を制御する。架台装置1は、X線管10付近に備えられたコリメータを制御することにより、照射されるX線の範囲(照射角度)を制御する。架台装置1は、X線管10に供給される管電流や管電圧を制御することで、被検体に対して照射されるX線の量やスペクトルを制御する。
X線検出器15は、X線管10から照射され被検体を透過したX線を検出する検出器である。X線検出器15は、例えばセラミック素材のシンチレータと、シンチレーション信号検出用のフォトダイオードとの組み合わせである。また、X線検出器15は、例えば2次元状に配列されたX線検出素子によりX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)である。この場合、例えば、天板の短手方向に配列された複数のX線検出素子(検出素子列)が、天板の長手方向(すなわち被検体の体軸方向)に沿って複数列配列される。例えば、X線検出器15は、天板の長手方向に沿って320列に配列された検出素子列を有し、被検体を透過したX線強度分布データを広範囲に検出する。
データ収集回路16は、DAS(Data Acqusition System)であり、X線検出器15が検出したX線の検出データから、投影データ(以下、必要に応じて「純生データ」と称する)を収集する回路である。データ収集回路16は、X線検出器15により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理、チャネル間の感度補正処理等を行なって純生データを生成し、生成した純生データを、送受信装置11Aを通じて画像処理装置(第1画像処理装置2、第2画像処理装置3C,3D…)に送信する。なお、チャネル間の感度補正処理は、画像処理装置側(例えば画像処理装置2の有する処理回路5B)で行なっても良い。
送受信装置11Aは、架台装置1と第1画像処理装置2、第2画像処理装置3C及び3D等との間でデータの送受信を行う装置である。送受信装置11Aの一例としては、例えば光ケーブルや同軸ケーブルなどを通じて伝送される情報を制御する所定の電子回路であり、例えば所定の回路素子の組み合わせにより構成される。送受信装置11Aは、一例として、架台装置1から、データ収集回路16が生成した純生データを、第1画像処理装置2等に送信する。また、送受信装置11Aは、一例として、第1画像処理装置2等から、当該画像処理装置が故障した旨の識別信号を受信する。
選択回路5Aは、データの送信先の装置を選択する回路である。選択回路5Aの一例としては、例えば所定の回路素子の組み合わせからなる電子回路である。送受信装置11Aは、一例として、架台装置1から、選択回路5Aが選択した画像処理装置に、データ収集回路16が生成した純生データを送信する。選択回路5Aの処理については後述する。
以上のように、架台装置1の構成について説明したが、架台装置1の行うスキャンとしては、ヘリカルスキャンに限られない。例えば、架台装置1は、本撮影時において、天板を移動させた後に被検体の位置を固定したままで回転フレームを回転させて被検体を円軌道にてスキャンするコンベンショナルスキャンを実行してもよい。又は、架台装置1は、本撮影時において、天板の位置を一定間隔で移動させてコンベンショナルスキャンを複数のスキャンエリアで行なうステップアンドシュート方式を実行してもよい。
また、架台装置1は、必要に応じて、本撮影の前に、位置決め撮影(スキャノグラム収集)を行っても良い。この場合、典型的には、架台装置1は、回転フレームを固定させた状態で、X線管10からX線を照射しながら天板を移動させることで、位置決め撮影を行う。例えば、架台装置1は、管球位置が「0度」の方向(天井方向)、及び、管球位置が「90度」の方向(天井方向から時計回りに90度回転させた方向)の直交する2方向から、位置決め撮影を行う。
第1画像処理装置2は、画像を処理する画像処理装置であり、ユーザと情報をやり取りするコンソール装置である。第1画像処理装置2は、例えば電子計算機と所定の表示端末とで構成される。第1画像処理装置2は、一例として、ユーザによるX線CT装置の操作を受け付けるとともに、架台装置1から受信した純生データから医用画像を生成しユーザに生成した医用画像を表示する。第1画像処理装置2は、処理回路5Bと、記憶回路13Bと、入力装置12と、ディスプレイ8と、送受信装置11Bとを有する。処理回路5Bは、前処理機能6Bと、再構成機能7Bとを有する。ここで、通常、架台装置1と、第1画像処理装置2とは組み合わされてX線CT装置を構成し、第2画像処理装置3C及び3D等は、典型的には院内LAN(Local Area Network)に接続された外部サーバである。
第1の実施形態では、前処理機能6B、再構成機能7Bにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路13Bへ記憶されている。処理回路5Bはプログラムを記憶回路13Bから読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読みだした状態の処理回路5Bは、図1の処理回路5B内に示された各機能を有することになる。なお、図1においては単一の処理回路5Bにて、前処理機能6B及び再構成機能7Bにて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路5Bを構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
換言すると、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路が各プログラムを実行する場合であってもよいし、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD),複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路13Bに保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路13Bにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
また、前処理機能6C、6D再構成機能7C、7Dについても同様である。
処理回路5Bは、架台装置1から受信した純生データより医用画像を生成する等の各種処理を行う回路である。処理回路5Bは、例えば所定の回路素子の組み合わせにより構成される。
処理回路5Bは、第1画像処理装置2が送受信装置11Bを通じて架台装置1から純生データを受信すると、前処理機能6Bにより、受信した純生データに対して、対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の補正処理を行なって、補正済みの投影データ(以下、必要に応じて「生データ」と称する)を生成する。また、必要に応じて、処理回路5Bは、前処理機能6Bにより、位置決め撮影に係る純生データに対して、同様の処理を行なって、位置決め撮影に係る生データを生成する。なお、生データのデータサイズは、純生データのデータサイズより、若干小さくなる。
続いて、処理回路5Bは、再構成機能7Bにより、前処理機能6Bにより生成された生データ(又は記憶回路13Bから取り出された生データ)を用いて医用画像を生成(再構成)する。再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法に代表される逆投影処理や逐次近似法が挙げられる。生成される医用画像としては、2次元医用画像であってもよいし、3次元医用画像であってもよい。また、処理回路5Bは、3次元医用画像を生成した場合、生成した3次元医用画像から、各種レンダリング処理を行なって、表示用の2次元医用画像を生成してもよい。レンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planar Reconstruction)、ボリュームレンダリング(Volume Rendering)処理や、最大値投影法(MIP:Maximum Intensity Projection)等がある。
また、処理回路5Bは、再構成機能7Bにより、位置決め撮影に係る生データを用いて位置決め撮影に係る医用画像を生成してもよい。
また、処理回路5Bは、架台装置1の全体制御その他所定の制御を行ってもよい。処理回路5Bが架台装置1の全体制御を行う場合、第1画像処理装置2は、架台装置1の制御をするための信号を、送受信装置11Bを通じて架台装置1に送信する。
記憶回路13Bは、送受信装置11Bを通じて架台装置1等から受信した純生データ、処理回路5Bが前処理機能6Bにより生成する等の方法により生成された生データ、処理回路5Bが再構成機能7Bにより生成する等の方法により生成された医用画像等を記憶する回路である。また、記憶回路13Bは、架台装置1の制御に係る各種パラメータや、撮影条件、画像再構成条件などの所定のパラメータを記憶してもよい。
入力装置12は、例えばマウスやキーボード、ボタン、ペダル(フットスイッチ)等の装置である。入力装置12は、ユーザからの操作を受け付ける。
ディスプレイ8は、ユーザに医用画像等を表示する装置である。ディスプレイ8の構成例としては、ディスプレイであるが、実施形態はこれに限られず、その他の形態でユーザに医用画像を表示する装置であってよい。ディスプレイ8は、処理回路5Bが生成した医用画像等をユーザに表示する。ディスプレイ8は、入力装置12を介してユーザから各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示してもよい。
送受信装置11Bは、第1画像処理装置2から架台装置1や、第2画像処理装置3C、3D等に、所定のデータを送信する装置である。また、送受信装置11Bは、架台装置1や、第2画像処理装置3C、3D等から所定のデータを受信する装置である。送受信装置11Bは、前述した送受信装置11Aと同様のハードウェア構成を有する。
送受信装置11Bは、一例として、架台装置1から、データ収集回路16が生成した純生データを受信する。また、送受信装置11Bは、第1画像処理装置2が故障したとき、第1画像処理装置2が故障した旨の識別信号を、架台装置1に送信する。
また、送受信装置11Bは、マウスやキーボード、ボタン、ペダル(フットスイッチ)等の入力装置を通じて、ユーザから受け付けた指示やX線CT装置の設定の情報を架台装置1に転送する。
第2画像処理装置3C、第2画像処理装置3D等は、画像を処理する画像処理装置であり第1画像処理装置2と同様の画像処理機能を有する。相違点として、第2画像処理装置3C、第2画像処理装置3D等は、コンソール装置としての機能を有しなくても良い。また、第2画像処理装置3C、第2画像処理装置3D等は、第1画像処理装置2と比べて、画像処理機能に特化し、画像処理機能に適した演算処理性能や、ストレージ容量を備えても良い。
処理回路5C、処理回路5Dは、処理回路5Bと同様の処理を行う。しかしながら、処理回路5C、処理回路5Dは、処理回路5Bに比べて高い演算処理能力を備えていてもよい。また、処理回路5Cの有する前処理機能6Cは、前処理機能6Bと同様の機能である。しかしながら、前処理機能6Cは、前処理機能6Bに比べて、より多くの演算回数を必要とするが高精度の生データが得られる機能であってもよい。また、処理回路5Cの有する再構成機能7Cは、再構成機能7Bと同様の機能である。しかしながら、再構成機能7Cは、再構成機能7Bに比べて、より多くの演算回数を必要とするが高精度の生データが得られる機能であってもよい。前処理機能6D、再構成機能7D等についても同様である。
また、記憶回路13C、記憶回路13D等は、記憶回路13Bと同様の回路である。しかしながら、記憶回路13C、記憶回路13D等は、記憶回路13Bと比べて、より多くの記憶容量を有していても良い。また、送受信装置11C、送受信装置11D等は、送受信装置11Bと同様の装置である。しかしながら、送受信装置11C、送受信装置11D等は、送受信装置11Bと比べて、単位時間あたりの通信可能データ量がより大きい装置であってもよい。
なお、図1では、2以上の第2画像処理装置が存在する例が示されているが、第2画像処理装置の個数は、1個であってもよい。
次に、従来技術に係る医用画像診断システムについて簡単に説明する。従来技術に係る医用画像診断システムでは、架台装置が、生成した純生データをコンソール装置に送信し、純生データを受信したコンソール装置が前処理を行って生データを生成する。続いてコンソール装置は、生成した生データを基に画像再構成処理を行って医用画像を生成する。
別の例として、従来技術に係る医用画像診断システムでは、架台装置が、生成した純生データを専用の画像処理装置に送信し、純生データを受信した画像処理装置が前処理を行って生データを生成する。続いて画像処理装置は、生成した生データを基に画像再構成処理を行って医用画像を生成する。その後、画像処理装置は、医用画像をコンソール装置に送信し、コンソール装置は医用画像をユーザに表示する。
いずれの例でも、従来技術に係る医用画像診断システムは、架台装置が撮影で取得したデータの性質や、撮影で取得したデータに対する処理プロトコルに応じて柔軟な処理ができない。例えば、コンソール装置で画像処理装置を行う前者の医用画像診断システムの構成で、高い空間分解能が得られる高精細CT撮影を行う場合、コンソール装置に要求される記憶容量が膨大になり、また処理負荷も大きくなる。コンソール装置は、大規模計算に適した設計になっていないため、コンソール装置で高精細CT撮影の画像処理を可能にしようと考えると、コストが増加する。また、専用の画像処理装置で画像処理を行う後者の医用画像診断システムの構成で、低い空間分解能で十分なCT撮影を行う場合、専用の画像処理装置が、小規模計算のために占有されるため、計算機資源の浪費につながる。
なお、「高精細CT撮影」とは、例えば通常よりデータサイズが大きく、従って空間分解能を、通常のCT撮影より大きくすることができるCT撮影のことを言う。高精細CT撮影においては、通常のCT撮影に比べて、一般的に撮影に使用される検出器素子より微細な検出器素子が高密度に配列されたX線検出器15が用いられる。また、検出器素子の数が同じであっても、画素をどのくらいの間隔で束ねるかにより、高精細CT撮影をするか、通常のCT撮影をするかを可変にすることも可能である。
かかる背景のもと、第1の実施形態に係る医用画像診断システムは、架台装置1が、純生データのデータサイズや、画像に要求される精度などの処理プロトコルに応じて、純生データの送信先の画像処理装置(第1画像処理装置2、第2画像処理装置3C、3D等)を切り替える選択回路5Aを有する。
より詳細には、第1の実施形態に係る医用画像診断システムは、複数の画像処理装置(例えば、第1画像処理装置2、第2画像処理装置3C,3D等)と、架台装置1とを備える。複数の画像処理装置は、被検体に対して撮影を行うことにより生成された純生データに基づいて、画像データを生成する(医用画像を生成する)処理を行う。また、当該複数の画像処理装置は、互いに異なる記憶容量又は処理能力を有する2以上の画像処理装置を含む。架台装置1は、被検体に対して撮影を行って純生データを生成する。架台装置1は、生成された純生データに対して、複数の画像処理装置のうち1以上の画像処理装置を、純生データの性質又は純生データに対する処理プロトコルに応じて選択する。架台装置1は、選択した画像処理装置に、純生データのうち全部又は一部を送信する。
この場合において、架台装置1は、被検体に対して(X線CT)撮影を行って純生データを生成する架台装置である。また、架台装置1は、純生データに基づいて画像データを生成する(医用画像を生成する)処理を行う。また、架台装置1は、複数の画像処理装置のうち1以上の画像処理装置を、純生データの性質又は純生データに対する処理プロトコルに応じて選択する。また、架台装置1は、選択した画像処理装置に、純生データのうち全部又は一部を送信する。ここで、当該複数の画像処理装置は、互いに異なる記憶容量又は処理能力を有する2以上の画像処理装置を含む。
より具体的には、架台装置1は、1以上の画像処理装置を、純生データのサイズに応じて又は、処理プロトコルが、画像データ(医用画像)をユーザに撮影と同時進行で提示するために生成するプロトコル(リアルタイム処理プロトコル)であるか否かに応じて選択する。
更に具体的には、複数の画像処理装置は、ユーザへ画像データを表示するクライアント端末としての機能を有する第1画像処理装置2と、第1画像処理装置2とは異なる記憶容量又は処理能力を有する、第1画像処理装置2以外の少なくとも1以上の第2画像処理装置(第2画像処理装置3C,3D等)とからなる。架台装置1は、被検体に対してX線CT撮影を行って純生データを生成し、純生データのサイズが所定の閾値を下回る場合又は純生データに対する処理プロトコルがリアルタイム処理プロトコルである場合には、純生データの送信先の1以上の画像処理装置として、第1画像処理装置2を含んで選択する。架台装置1は、純生データのサイズが所定の閾値を下回らない場合であって純生データに対する処理プロトコルがリアルタイム処理プロトコルでない場合には、純生データの送信先の1以上の画像処理装置として、第2画像処理装置のうち少なくとも一つを含んで選択する。
ここで、架台装置1は、純生データに対する処理プロトコルがリアルタイム処理プロトコルである場合には、純生データのうち第1画像処理装置2に送信する送信対象データを選択し、選択した送信対象データを第1画像処理装置2に送信してもよい。
また、上述の実施形態の変形例として、第1の実施形態に係る医用画像診断システムは、複数の画像処理装置と、架台装置1とを備える。複数の画像処理装置は、被検体に対して撮影を行うことにより生成された生データに基づいて、画像データを生成する(医用画像を生成する)処理を行う。当該複数の画像処理装置は、互いに異なる記憶容量又は処理能力を有する2以上の画像処理装置を含む。架台装置1は、被検体に対して撮影を行って生データを生成し、生成された生データに対して、複数の画像処理装置のうち1以上の画像処理装置を、純生データ若しくは生データの性質又は純生データ若しくは生データに対する処理プロトコルに応じて選択し、選択した画像処理装置に、生データのうち全部又は一部を送信してもよい。
なお、架台装置1、第1画像処理装置2、第2画像処理装置3C及び3D等の間の純生データ、生データ、又は画像データ等のデータの送受信経路としては、送信装置と受信装置との間で直接データが送受信される場合であってもよく、また、他の装置を中継してデータが送受信される場合であってもよい。
第1の実施形態に係る医用画像診断システムの行う処理について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。図2は、第1の実施形態に係る医用画像診断システムの行う処理の手順の一例を示すフローチャートである。また、図3は、第1の実施形態に係る医用画像診断システムの行う処理について説明した図である。
図3では、第2画像処理装置として、1つの第2画像処理装置3Cのみが存在する場合を例にとって、第1の実施形態に係る処理について説明する。図3の架台装置1、第1画像処理装置2、第2画像処理装置3Cは、それぞれ図1の架台装置1、第1画像処理装置2、第2画像処理装置3Cに対応する。
なお、図3は一例であり、実施形態はこれに限られない。第2画像処理装置が2以上存在する場合においても、同様の処理を考えることができる。
以下、必要に応じて適宜図3を参照しながら、図2のフローチャートについて説明する。第1画像処理装置2は、被検体に対する撮影条件や、純生データ、生データ、画像データなどの保存先について設定する。例えば、初期値としては、通常CTに係るデータの場合データの保存先は第1画像処理装置2(コンソール装置)であり、高精細CTに係るデータの保存先は第2画像処理装置である。
架台装置1は、被検体に対して撮影を行って純生データを生成する(ステップS101)。具体的には、架台装置1は、X線管10から被検体にX線を照射し、透過したX線をX線検出器15を通じて検出する。架台装置1は、データ収集回路16を通じてX線検出器15が検出した検出データから、純生データを収集する。
続いて、架台装置1は、選択回路5Aにおいて、純生データの種類が何かを識別し、識別した純生データの種類に応じて、複数の画像処理装置(第1画像処理装置2及び第2画像処理装置3C,3D等)のうち純生データの送信先となる1以上の画像処理装置を、純生データの性質又は純生データに対する処理プロトコルに応じて選択する(ステップS102)。ここで、例えば純生データの性質とは、例えば純生データのデータサイズである。また、純生データに対する処理プロトコルとは、例えばリアルタイム処理プロトコルであるか否かである。ここで、リアルタイム処理プロトコルとは、画像データをユーザに撮影と同時進行で提示するために生成するプロトコルである。この点については後述する。
ユーザは、これらの条件について予め設定することができる。例えば、ユーザは、撮影開始前に、「高精細CT」「通常CT」「リアルタイム再構成」等、どのような条件で撮影又は画像データ生成を行うのか、予め設定することもできる。
また、例えば、第1の実施形態に係る医用画像診断システムは、重複する条件の入力をユーザから受け付けることができる。例えば、第1の実施形態に係る医用画像診断システムは、「通常CT」と「リアルタイム再構成」と、重複する条件の入力を受け付けることができる。この場合、医用画像診断システムは、ユーザに、通常CTに係る画像データを提供しつつ、リアルタイム再構成に係る画像データをも提供することができる。図2のフローチャートでは、純生データの性質に応じて処理がステップS102において分岐するが、例えば、通常CTに係るデータに関する処理と、リアルタイム再構成に係るデータに関する処理が、同時並列的に行われても良い。
ここで、ステップS102の処理についてより詳細に説明する。選択回路5Aは、純生データのサイズが所定の閾値を下回る場合(すなわち、通常CTに係るデータの場合)、当該1以上の画像処理装置として、第1画像処理装置2を含んで選択する。また、選択回路5Aは、純生データの処理プロトコルがリアルタイム処理プロトコルである場合(すなわち、リアルタイム再構成に係るデータである場合)には、当該1以上の画像処理装置として、第1画像処理装置2を含んで選択する。また、選択回路5Aは、純生データのサイズが所定の閾値を下回らない場合であって純生データの処理プロトコルがリアルタイム処理プロトコルでない場合(すなわち、高精細CTに係るデータの場合)には、当該1以上の画像処理装置として、第2画像処理装置(第2画像処理装置3C、第2画像処理装置3D等)のうち少なくとも一つを含んで選択する。
ここで、リアルタイム処理(リアルタイム再構成)とは、撮影を行うのと同時並列的に、大まかな医用画像を再構成しユーザに表示する処理のことを言う。或いは、撮影を行うのと同時並列的に、すべてのビュー(管球位置)のデータが出そろうのを待たずに、得られたビューのデータを基に、順次医用画像を再構成しユーザに表示する処理のことを言う。リアルタイム再構成は、例えば、撮影が正常に行われておらず再度の撮影が必要な場合を検出する目的で、或いは、医用画像のうち定性的な情報がわかれば十分な場合等に用いられる。また、リアルタイム再構成を行う場合、架台装置1は、必要に応じて純生データを間引き、間引かれたデータを画像処理装置に送信してもよい。この場合、例えば、架台装置1は、全体でデータが1000ビューであった場合、5個おきにデータを取り出して全部で200ビューのデータを取り出し、200ビューのデータを画像処理装置に送信する。
リアルタイム再構成を行う場合、画像再構成のために使用することのできる計算時間が限られるので、処理回路5Bは、再構成機能7Bとして、計算時間がかかるが精密な再構成手法を用いる代わりに、精度の面では不利であるが演算回数が節約できる再構成手法を用いる。リアルタイム再構成においては、演算回数が少ない再構成手法が選ばれることが多くコンソール装置で十分な場合も多い。また、リアルタイム再構成においては、画像処理装置を多段階経由するより表示インターフェースに近いコンソール装置にデータを直接送信してそこで画像再構成するほうが、各通信ノード間のデータ通信のオーバヘッドを抑制することができ望ましい。従って、選択回路5Aは、純生データの種類がリアルタイム再構成用データであると判断した場合、送信先として、コンソール装置として機能する第1画像処理装置を選択する。
ここで、純生データの種類がリアルタイム再構成に係るデータである場合、選択回路5Aは、全ての純生データを当該1以上の画像処理装置に送信する旨設定されているか否かを判定する(ステップS107)。全ての純生データを当該1以上の画像処理装置に送信する旨設定されている場合(ステップS107 Yes)、選択回路5Aは、純生データに対して間引き処理を行わない。
これに対して、全ての純生データを当該1以上の画像処理装置に送信しない設定がされている場合(ステップS107 No)、架台装置1は、純生データのうち第1画像処理装置2に送信する送信対象データを選択する。換言すると、架台装置1は、純生データを間引く処理を行う(ステップS108)。ここで、「間引く」とは、例えば全ビューの純生データから必要最小限のビューをピックアップすることを意味する。
選択回路5Aが送信先を選択すると、架台装置1は、送受信装置11Aを通じて、選択した画像処理装置に、リアルタイム再構成用データである場合かつ間引きを行う場合は純生データのうち一部を、それ以外の場合は純生データのうち全部を、送信する。
例えば、送受信装置11Aは、高精細CTデータに係るデータを、第2画像処理装置に(又は第2画像処理装置を含んで)送信する(ステップS103)。この具体例は、図3に矢印101として示されている。矢印101は、高精細CTに係るデータの流れを示している。すなわち、純生データが高精細CTに係るデータである場合、架台装置1は、送受信装置11Aを通じて、第2画像処理装置3Cに、純生データを送信する。
続いて、第2画像処理装置で、画像再構成が行われる(ステップS104)。具体的には、処理回路5Cは、まず、前処理機能6Cにより、純生データより生データを生成する。続いて、処理回路5Cは、再構成機能7Cにより、生データから画像データ(医用画像)を生成する。
ここで、第2画像処理装置は、必要に応じて、純生データ、生データ、及び画像データを、自身若しくは他の第2画像処理装置の有する記憶回路に保存してもよい。典型的には、第2画像処理装置は、生データや画像データを、自身の有する記憶回路に保存する。例えば、第2画像処理装置3Cは、生データ又画像データを、記憶回路13Cに保存する。
処理回路5Cが再構成機能により画像データを生成すると、第2画像処理装置は、送受信装置を通じて、画像データを、第1画像処理装置2に送信する(ステップS105)。この具体例は、例えば図3の矢印103として示されている。矢印103は、高精細CTに係るデータの流れを示している。例えば、高精細CTデータに係るデータの場合、処理回路5Cが再構成機能7Cにより画像データを生成すると、第2画像処理装置3Cは、送受信装置11Cを通じて、画像データを、第1画像処理装置2に送信し、処理はステップS110へと進む。
ステップS102に戻って、送受信装置11Aは、通常CTに係るデータ又はリアルタイム再構成に係るデータの場合、純生データを第1画像処理装置2に(又は第1画像処理装置2を含んで)、送信する(ステップS106)。この点については、図3の矢印100及び矢印102として示されている。ここで、矢印100は、通常CTに係るデータの流れを、矢印102は、リアルタイム再構成に係るデータの流れを示している。通常CTに係るデータである場合又はリアルタイム再構成に係るデータである場合、送受信装置11Aは、データ送信を第1画像処理装置2に対して行う。なお、ステップS108で純生データを間引いた場合は、間引かれたデータである送信対象データが、それ以外の場合は、純生データの全部が送信される。
続いて、処理回路5Bは、画像再構成を行う(ステップS109)。具体的には、処理回路5Bは、前処理機能6Bにより、純生データより生データを生成する。続いて、処理回路5Bは、再構成機能7Bにより、生成された生データから画像再構成を行って画像データを生成する。また、第1画像処理装置2は、リアルタイム再構成を行う場合において架台装置1で純生データを間引かなかった場合(ステップS107 Yesの場合)、ステップS109において第1画像処理装置2内で純生データを間引いたのちに、前処理機能6B及び再構成機能7Bにより、画像データを生成する。また、第1画像処理装置2は、リアルタイム再構成を行う場合において架台装置1で純生データを間引いた場合(ステップS107 Noの場合)、架台装置1において間引いた純生データから、前処理機能6B及び再構成機能7Bにより、画像データを生成する。
また、必要に応じて、第1画像処理装置2は、記憶回路13Bに、純生データ、生データ、画像データ等を保存してもよい。典型的には、第1画像処理装置2は、記憶回路13Bに、生データ及び画像データを保存する。
第1画像処理装置2は、第1画像処理装置2の有するモニタ(ディスプレイ8)上に画像を表示し、(ステップS110)処理は終了する。この画像は、ステップS109において再構成機能7Bにより生成された画像データ又はステップS105で第2画像処理装置から送信された画像データである。
なお、リアルタイム再構成を行う場合、ステップS101からステップS110までの処理は、逐次的ではなく同時進行的に処理される。
これまでの実施形態では、画像処理装置側で前処理機能が実装されている場合について説明したが、実施形態はそれに限られない。例えば、架台装置1が、前処理機能6Bと同様の機能を備えてもよい。かかる場合、架台装置1は、前処理機能6Bと同様の機能により生データを生成する。送受信装置11Aは、生データを、当該1以上の画像処理装置に送信する。
このように第1の実施形態に係る医用画像診断システムでは、架台装置1が、純生データのデータサイズや、画像に要求される精度などの処理プロトコルに応じて、純生データの送信先の画像処理装置を切り替える。これにより、架台装置1が撮影で取得した純生データの性質や、撮影で取得した純生データに対する処理プロトコルに応じた処理を行うことができる。
例えば、待ち行列の理論等で示されるように、計算機のパフォーマンスは、処理負荷が所定の臨界量を超えると急激に低下する。従って、コンソール装置のパフォーマンスを低下させない処理負荷の値を閾値として、架台装置1側でデータ送信先を切り替えることで、コンソール装置のパフォーマンスの低下を防止することができる。他方、第2画像処理装置は、計算速度には優れるものの一般に高価であることから、コンソール装置で対応可能な計算処理についてはコンソール装置で対応するのが望ましい。このように、架台装置1側で純生データの送信先を振り分けることで、負荷を最適化することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、選択回路5Aが、通常CTに係るデータ及びリアルタイム再構成に係るデータについては送信先をコンソール装置である第1画像処理装置2とし、高精細CTに係るデータについては送信先を第2画像処理装置とする場合について説明した。第2の実施形態においては、選択回路5Aは、リアルタイム再構成に係るデータについては送信先をコンソール装置である第1画像処理装置2とし、通常CTに係るデータ及び高精細CTに係るデータについては送信先を第2画像処理装置とする。これにより、第1画像処理装置2の処理負荷を減少させることができ、その結果、リアルタイム再構成用データに対する処理を加速することができる。
第2の実施形態に係る医用画像診断システムについて、図4及び図5を用いて説明する。図4は、第2の実施形態に係る医用画像診断システムの行う処理の手順の一例を示すフローチャートである。また、図5は、第2の実施形態に係る医用画像診断システムの行う処理について説明した図であり、図3に対応する図である。
図5における架台装置1、第1画像処理装置2、第2画像処理装置3Cの構成については、図3と同様である。図5において、矢印106及び矢印107は、高精細CTに係るデータの流れを、矢印104及び矢印105は、通常CTに係るデータの流れを、矢印108は、リアルタイム再構成に係るデータの流れを示している。
以下、必要に応じて適宜図5を参照しながら、図4のフローチャートについて説明する。図2で説明した第1の実施形態と共通する処理については、詳しい説明を省略する。例えば、通常CTに係るデータである場合の処理及びリアルタイム再構成に係るデータである場合の処理は第1の実施形態と同様であるから、詳しい説明は省略する。
第2の実施形態と第1の実施形態とでは、通常CTに係るデータの流れが異なり、その余については共通する。第1の実施形態では、ステップS102において、選択回路5Aは、通常CTに係るデータの場合、純生データを、第1画像処理装置2に送信した。これに対して、第2の実施形態では、ステップS102−2において、選択回路5Aは、通常CTに係るデータの場合、純生データを、第2画像処理装置に送信する。
この結果、送受信装置11Aは、通常CTに係るデータの場合、第2画像処理装置に(又は第2画像処理装置を含んで)純生データを送信する(ステップS103)。この具体例は、図5に矢印104として示されている。すなわち、通常CTに係るデータの場合、架台装置1は、送受信装置11Aを通じて、第2画像処理装置3Cに、純生データを送信する。以下のステップS104、ステップ105及びステップ110については、通常CTデータである場合と、高精細CTデータである場合とで同様である。
このように、第2の実施形態では、リアルタイム再構成に係るデータについては第1画像処理装置2に純生データを送信し、通常CTに係るデータ及び高精細CTに係るデータの場合については第2画像処理装置に純生データを送信する。第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、負荷を最適化できるが、相違点としては、第1画像処理装置2側の処理負荷を減少させることができる。この結果、第1画像処理装置2はリアルタイム再構成処理に集中することができ、結果、リアルタイム再構成処理を加速することができる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態では、画像処理装置が通常の動作状態である場合における送信先の切替えについてについて説明した。第3の実施形態では、画像処理装置に故障等異常が生じた場合に、架台装置1及び画像処理装置が、送信先を自動的に切り替える例について説明する。これにより、これまでの実施形態における効果に加えて、実施形態に係る医用画像診断システムは、故障に対する頑強性を獲得することができる。
第3の実施形態では、架台装置1は、画像処理装置のいずれかに異常が生じている旨の信号を受信した場合には、純生データの送信先を、異常が生じている画像処理装置以外の画像処理装置に切り替える。さらに、送信先の画像処理装置は、画像処理装置に生じていた異常が解消された旨の信号を受信した場合、異常が生じていた画像処理装置に対して、純生データのうち全部若しくは一部又は画像データのうち少なくとも一方を送信する。
かかる点について、図6A〜図6D及び図7A〜図7Cを用いて説明する。図6A〜図6D及び図7A〜図7Cは、第3の実施形態に係る医用画像診断システムの行う処理について説明した図である。まず、図6A〜図6Dにおいて、第2画像処理装置が一つである場合の処理について説明し、次に、図7A〜図7Cにおいて、第2画像処理装置が複数個の場合の処理の例として、第2画像処理装置が二個ある場合の例について説明する。
第3の実施形態に係る医用画像診断システムは、画像処理装置のいずれにも異常が生じていない場合は、第1の実施形態態と同様の処理を行う。高精細CTに係るデータ、通常CTに係るデータ、及びリアルタイム再構成に係るデータの流れは、図3で説明したとおりである。すなわち、架台装置1は、高精細CTに係るデータの場合、矢印101で示されるように第2画像処理装置3Cに純生データを送信する。また、架台装置1は、通常CTに係るデータの場合は、矢印100で示されるように第1画像処理装置2に純生データを送信する。また、架台装置1は、リアルタイム再構成に係るデータの場合は、矢印102で示されるように第1画像処理装置2に純生データを送信する。
第2画像処理装置3Cは、処理回路5Cにより純生データを用いて生データを経由して画像データを生成する。続いて、第2画像処理装置3Cは、画像データを、送受信装置11Cを通じて、矢印103で示されるように、第1画像処理装置2に送信する。
第3の実施形態に係る医用画像診断システムは、例えば、画像処理装置のいずれかに異常が生じた場合、異常を検知し、異常が生じている旨の信号を他の画像処理装置に送信する。ここでいう異常は、例えば装置の故障、機能の停止、通信の輻輳、或いは通信経路の切断等である。
異常の検知として、例えば、各画像処理装置は、自らが正常に動作しているか否かを定期的に確認し、自らが正常に動作していないと判断した場合、異常が生じている旨の信号を他の画像処理装置に送信してもよい。また、例えば、各画像処理装置は、他の画像処理装置との通信経路が正常か否かを、所定の信号を他の画像処理装置に定期的に送信することにより確認してもよい。この場合、各画像処理装置は、所定の信号を他の画像処理装置に送信し、一定時間経過後に当該信号に対する応答信号が返ってこなかった場合には、当該他の画像処理装置または通信経路のどこかに異常が生じていると判断する。以下の例では、簡便のため、通信経路の異常ではなく、画像処理装置に故障が生じている場合について説明する。
図6Aは、第2画像処理装置3Cに異常(故障)が生じている場合を示している。第2画像処理装置3Cに異常が生じると、第2画像処理装置3Cは、送受信装置11Cを通じて、第2画像処理装置3Cに異常が生じている旨の信号を、架台装置1及び第1画像処理装置2に送信する。架台装置1は、第2画像処理装置3Cに異常が生じている旨の信号を受信した場合には、純生データの送信先を、異常が生じている画像処理装置以外の画像処理装置である第1画像処理装置2に切り替える。矢印111、矢印110、矢印112は、それぞれ、第2画像処理装置3Cに異常が生じている場合における、高精細CTに係るデータの流れ、通常CTに係るデータの流れ、リアルタイム再構成に係るデータの流れを示している。異常が生じていない場合では、架台装置1は、送受信装置11Aを通じて、通常CTに係るデータの場合及び、リアルタイム再構成に係るデータの場合に第1画像処理装置2に純生データを送信する。異常が生じている場合には、架台装置1は、これに加えて、高精細CTデータの場合にも、送受信装置11Aを通じて、第1画像処理装置2に純生データを送信する。
異常が生じていない場合、第1画像処理装置2は、処理回路5Bの有する前処理機能6Bと再構成機能7Bにより、画像データを生成し、それらの画像データを、記憶回路13Bに保存する。
これに加えて、異常が生じている場合、第1画像処理装置2は、データ損失に備えて、生データも、記憶回路13Bにあわせて保存する。すなわち、処理回路5Bは、前処理機能6Bにより、純生データから、生データを生成し、記憶回路13Bに保存する。また、第1画像処理装置2は、処理回路5Bにより、高精細CTデータに係る画像データも生成する。すなわち、処理回路5Bは、前処理機能6Bにより、高精細CTデータに係る純生データから、高精細CTデータに係る生データを生成し、記憶回路13Bに保存する。続いて、処理回路5Bは、再構成機能7Bにより、高精細CTデータに係る生データから、高精細CTデータに係る画像データを生成し、記憶回路13Bに保存する。
すなわち、第2画像処理装置3Cに異常が生じると、記憶回路13Bは、通常CTデータに係る生データ、高精細CTデータに係る生データ、リアルタイム再構成に係る生データ、通常CTデータに係る画像データ、高精細CTデータに係る画像データ、リアルタイム再構成に係る画像データを保存する。
図6Bは、第2画像処理装置3Cが異常から復旧したときの動作について示した図である。第2画像処理装置3Cが異常から復旧すると、第2画像処理装置3Cは、送受信装置11Cを通じて、第2画像処理装置3Cに生じていた異常が解消された旨の信号を、架台装置1及び第1画像処理装置2に対して送信する。
ここで、切り替え先である送信先の画像処理装置は、画像処理装置に生じていた異常が解消された旨の信号を受信した場合、異常が生じていた画像処理装置に対して、バックアップデータを送信する。切り替え先である送信先の画像処理装置は、バックアップデータとして、純生データのうち全部若しくは一部又は画像データのうち少なくとも一方を送信する。
具体的には、第2画像処理装置3Cに異常が生じていたとき、切り替え先である送信先の画像処理装置は、第1画像処理装置2であった。切り替え先である送信先である第1画像処理装置2は、第2画像処理装置3Cに生じていた異常が解消した旨の信号を受信した場合、異常が生じていた第2画像処理装置3Cに対して、バックアップデータを送信する。第1画像処理装置2は、バックアップデータとして、純生データ、画像データのうち少なくとも一方を第2画像処理装置3Cに対して送信する。また、第1画像処理装置2は、バックアップデータとして、矢印113に示されるように、高精細CTデータに係る生データ及び画像データを第2画像処理装置3Cに対して送信してもよい。
典型的には、第1画像処理装置2は、送受信装置11Bを通じて、高精細CTデータに係る純生データ、生データ、画像データ、またはそれらの組み合わせを、バックアップデータとして第2画像処理装置3Cに送信する。これにより、第2画像処理装置3Cは、異常が生じていたことが原因で失っていたデータを、第1画像処理装置2から再び取得することができる。
次に、コンソール側に異常が生じた場合の動作について説明する。図6Cは、第1画像処理装置2に異常(故障)が生じている場合を示している。第1画像処理装置2に異常が生じると、第1画像処理装置2は、送受信装置11Bを通じて、第1画像処理装置2に異常が生じている旨の信号を、架台装置1及び第2画像処理装置3Cに送信する。架台装置1は、第1画像処理装置2に異常が生じている旨の信号を受信した場合には、純生データの送信先を、異常が生じている画像処理装置以外の画像処理装置である第2画像処理装置3Cに切り替える。矢印121、矢印120、矢印122は、それぞれ、第1画像処理装置2に異常が生じている場合における、高精細CTに係るデータの流れ、通常CTに係るデータの流れ、リアルタイム再構成に係るデータの流れを表している。異常が生じていない場合では、架台装置1は、送受信装置11Aを通じて、高精細CTに係るデータの場合には、第2画像処理装置3Cに純生データを送信する。
一方、第1画像処理装置2に異常が生じている場合には、架台装置1は、通常CTに係るデータ及びリアルタイム再構成に係るデータの場合にも、送受信装置11Aを通じて、第2画像処理装置3Cに純生データを送信する。
異常が生じていない場合では、第2画像処理装置3Cは、処理回路5Cの有する前処理機能6Cと再構成機能7Cにより、高精細CTに係る画像データを生成し、それらの画像データを、中途で生成した生データと共に記憶回路13Cに保存する。
これに加えて、異常が生じている場合、第2画像処理装置3Cは、処理回路5Cにより、通常CTに係るデータ及びリアルタイム再構成に係るデータに関して画像データも生成する。すなわち、処理回路5Bは、前処理機能6Bにより、純生データから、生データを生成し、記憶回路13Bに保存する。続いて、処理回路5Bは、再構成機能7Bにより、生データから、画像データを生成し、記憶回路13Cに保存する。
すなわち、第1画像処理装置2に異常が生じると、記憶回路13Cは、通常CTデータに係る生データ、高精細CTデータに係る生データ、リアルタイム再構成に係る生データ、通常CTデータに係る画像データ、高精細CTデータに係る画像データ、リアルタイム再構成に係る画像データを保存する。
図6Dは、第1画像処理装置2が異常から復旧したときの動作について示した図である。第1画像処理装置2が異常から復旧すると、第1画像処理装置2は、送受信装置11Bを通じて、第1画像処理装置2に生じていた異常が解消された旨の信号を、架台装置1及び第2画像処理装置3Cに対して送信する。
ここで、切り替え先である送信先の画像処理装置は、画像処理装置に生じていた異常が解消された旨の信号を受信した場合、異常が生じていた画像処理装置に対して、バックアップデータを送信する。切り替え先である送信先の画像処理装置は、バックアップデータとして、純生データのうち全部若しくは一部又は画像データのうち少なくとも一方を送信する。
具体的には、第1画像処理装置2に異常が生じていたとき、切り替え先である送信先の画像処理装置は、第2画像処理装置3Cであった。切り替え先である送信先である第2画像処理装置3Cは、第1画像処理装置2に生じていた異常が解消した旨の信号を受信した場合、異常が生じていた第1画像処理装置2に対して、バックアップデータを送信する。第2画像処理装置3Cは、バックアップデータとして、純生データ、画像データのうち少なくとも一方を第1画像処理装置2に対して送信する。例えば、第2画像処理装置3Cは、バックアップデータとして、矢印131、矢印130、矢印132に示すように、高精細CT、通常CT、リアルタイム再構成に係る生データ及び画像データを第1画像処理装置2に対して送信してもよい。
典型的には、第2画像処理装置3Cは、送受信装置11Cを通じて、通常CT及びリアルタイム再構成に係る純生データ、生データ、画像データ、またはそれらの組み合わせを、バックアップデータとして第1画像処理装置2に送信する。これにより、第1画像処理装置2は、異常が生じていたことが原因で失っていたデータを、第2画像処理装置3Cから再び取得することができる。
次に、図7A〜図7Cを用いて、第2画像処理装置が複数個の場合の処理の例を、第2画像処理装置が二個ある場合の例を用いて説明する。
図7Aにおいて、第3の実施形態に係る医用画像診断システムは、架台装置1と、第1画像処理装置2と、2つの第2画像処理装置3C及び3Dを有している。今までと同様に、矢印140は、通常CTに係るデータの流れを、矢印144は、リアルタイム再構成に係るデータの流れを、矢印141,142,143は、高精細CTに係るデータを表している。架台装置1は、通常CTに係るデータの場合は、矢印140で示されるように第1画像処理装置2に純生データを送信する。また、架台装置1は、リアルタイム再構成に係るデータの場合は、矢印144で示されるように第1画像処理装置2に純生データを送信する。
架台装置1は、高精細CTに係るデータの場合、矢印141で示されるように第2画像処理装置3Cに純生データを送信する。第2画像処理装置3Cは、処理回路5Cにより純生データを用いて生データを経由して画像データを生成する。続いて、第2画像処理装置3Cは、画像データを、送受信装置11Cを通じて、矢印142で示されるように、第1画像処理装置2に送信する。同時に、第2画像処理装置3Cは、矢印143で示されるように、生データ及び画像データを、送受信装置11Cを通じて、第2画像処理装置3Dに送信する。第2画像処理装置3Dは、予備の画像処理装置であり、送受信装置11Dにおいて第2画像処理装置3Dから生データ及び画像データを受信すると、それらを記憶回路13Dに保存する。
図7Bは、第2画像処理装置3Cに異常(故障)が生じている場合を示している。第2画像処理装置3Cに異常が生じると、第2画像処理装置3Cは、送受信装置11Cを通じて、第2画像処理装置3Cに異常が生じている旨の信号を、架台装置1、第1画像処理装置2及び第2画像処理装置3Dに送信する。架台装置1は、第2画像処理装置3Cに異常が生じている旨の信号を受信した場合には、純生データの送信先を、異常が生じている画像処理装置以外の画像処理装置である第2画像処理装置3Dに切り替える。この時、架台装置1は、通常CTに係るデータの場合は、矢印150で示されるように第1画像処理装置2に純生データを送信する。また、架台装置1は、リアルタイム再構成に係るデータの場合は、矢印153で示されるように第1画像処理装置2に純生データを送信する。
第1画像処理装置2は、高精細CTに係るデータの場合は、矢印151で示されるように第2画像処理装置3Dに純生データを送信する。第2画像処理装置3Dは、処理回路5Dの有する前処理機能6D及び再構成機能7Dにより、純生データより生データを経由して画像データを生成する。第2画像処理装置3Dは、送受信装置11Dを用いて、矢印152に示されるように第1画像処理装置2に画像データを送信する。
ここで、第2画像処理装置3Cが異常から回復すると、第2画像処理装置3Dは、今までと同様の処理を行って第2画像処理装置3Cにバックアップデータを送信する。
図7Cは、第1画像処理装置2に異常(故障)が生じている場合を示している。第1画像処理装置2に異常が生じると、第1画像処理装置2は、送受信装置11Bを通じて、第1画像処理装置2に異常が生じている旨の信号を、架台装置1、第2画像処理装置3C及び第2画像処理装置3Dに送信する。架台装置1は、第1画像処理装置2に異常が生じている旨の信号を受信した場合には、純生データの送信先を、異常が生じている画像処理装置以外の画像処理装置である第2画像処理装置3Dに切り替える。この時、架台装置1は、高精細CTに係るデータの場合は、矢印161で示されるように第2画像処理装置3Cに純生データを送信する。架台装置1は、通常CTに係るデータの場合は、矢印160で示されるように第2画像処理装置3Dに純生データを送信する。また、架台装置1は、リアルタイム再構成に係るデータの場合は、矢印162で示されるように第2画像処理装置3Dに純生データを送信する。
第2画像処理装置3Dは、処理回路5Dの有する前処理機能6D及び再構成機能7Dにより、純生データより生データを経由して画像データを生成する。第2画像処理装置3Dは、記憶回路13Dに、通常CT及びリアルタイム再構成に係る画像データを記憶する。
ここで、第1画像処理装置2が異常から回復すると、第2画像処理装置3C及び3Dは、今までと同様の処理を行って第1画像処理装置2にバックアップデータを送信する。
このように、第3の実施形態では、画像処理装置に故障等異常が生じた場合に、架台装置1及び画像処理装置が、送信先を自動的に切り替える。また、異常が回復した場合に、切り替え先の画像処理装置が、故障が生じていた画像処理装置にバックアップデータを送信する。これにより、これまでの実施形態における効果に加えて、実施形態に係る医用画像診断システムは、故障に対する頑強性を獲得することができる。
(その他の実施形態)
これまでの実施形態では、医用画像診断システムが、X線CT装置を用いて医用画像を取得する場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、医用画像診断システムは、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置を用いて医用画像を取得してもよい。
例えば、MRI装置においては、印加するパルスシーケンスに応じて画像生成処理に係る負荷の違いがある。また、例えばパラレルイメージングなどでは、再構成手法に応じて画像生成処理に係る負荷の違いがある。従って、MRIの架台装置の有する選択回路は、例えば、「低負荷パルスシーケンス」の場合は、第1画像処理装置2を純生データの送信対象として選択し、「高負荷パルスシーケンス」の場合には、第2画像処理装置を純生データの送信対象として選択してもよい。また、MRIの架台装置の有する選択回路は、例えば、「低負荷再構成手法」の場合は、第1画像処理装置2を純生データの送信対象として選択し、「高負荷再構成手法」の場合には、第2画像処理装置を純生データの送信対象として選択してもよい。
なお、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、架台装置1、第1画像処理装置2、第2画像処理装置3C、3Dそれぞれの有する各装置、回路等の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって、実施形態に係る医用画像診断システムが行う画像処理を実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上述べた少なくとも一つの実施形態によれば、架台装置が撮影で取得したデータの性質や、撮影で取得したデータに対する処理プロトコルに応じた処理を行うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。