以下、図面を参照して、実施形態に係るX線診断システムを説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、X線CT(Computed Tomography)装置10、画像保管装置20及び医用情報処理装置30を含んだX線診断システム1について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るX線診断システム1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断システム1は、X線CT装置10と、画像保管装置20と、医用情報処理装置30とを備える。図1に示すように、X線CT装置10、画像保管装置20及び医用情報処理装置30は、ネットワークNWを介して相互に接続される。
X線CT装置10は、X線を用いて被検体に対するスキャンを実行する装置である。例えば、X線CT装置10は、ボリュームスキャンを実行することで、複数のビューそれぞれについて投影データセットを取得する。また、X線CT装置10は、取得した投影データセットを使用した画像再構成を実行することで、画像データを取得する。また、X線CT装置10は、取得した画像データを画像保管装置20に対して送信する。
ここで、スキャンを実行する際に不具合が生じた場合、X線CT装置10は、医用情報処理装置30により選択された処理を実行する。即ち、複数のビューそれぞれについて取得された投影データセットの一部が欠損し、或いは画像再構成に適さないものになっている場合、X線CT装置10は、医用情報処理装置30により選択された処理を実行する。なお、医用情報処理装置30により選択される処理、及び、X線CT装置10の構成については後述する。
画像保管装置20は、X線診断システム1に含まれる装置により取得された各種のデータを保管する装置である。例えば、画像保管装置20は、X線CT装置10により取得された投影データセットや画像データを受け付けて、装置内又は装置外に設けられたメモリに記憶させる。例えば、画像保管装置20は、サーバ装置等のコンピュータ機器によって実現される。
医用情報処理装置30は、X線CT装置10において実行されたスキャンにおける複数のビューの中から不具合が生じたタイミングに対応するビューを特定し、特定したビューの角度及び数に基づいて、画像再構成に関する処理を選択する。また、医用情報処理装置30は、ネットワークNWを介して、選択した処理を示す情報をX線CT装置10に対して送信する。なお、医用情報処理装置30が行なう処理については後述する。例えば、医用情報処理装置30は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
なお、図1においては、X線を用いて被検体に対するスキャンを実行する装置の例としてX線CT装置10を示すが、実施形態はこれに限定されるものではない。以下、X線を用いて被検体に対するスキャンを実行する装置については、X線画像診断装置とも記載する。即ち、X線診断システム1は、X線CT装置10に代えて、他のX線画像診断装置を備えてもよい。
また、ネットワークNWを介して接続可能であれば、X線CT装置10、画像保管装置20及び医用情報処理装置30が設置される場所は任意である。例えば、医用情報処理装置30は、X線CT装置10と異なる病院に設置されてもよい。即ち、ネットワークNWは、院内で閉じたローカルネットワークにより構成されてもよいし、インターネットを介したネットワークでもよい。また、図1においてはX線CT装置10を1つ示すが、X線診断システム1は複数のX線CT装置10を含んでもよい。また、X線診断システム1は、X線CT装置10以外の他のX線画像診断装置を更に含んでもよい。
図1に示すように、医用情報処理装置30は、入力インターフェース31と、ディスプレイ32と、記憶回路33と、処理回路34とを有する。
入力インターフェース31は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路34に出力する。例えば、入力インターフェース31は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行なうタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース31は、医用情報処理装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース31は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用情報処理装置30とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路34へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース31の例に含まれる。
ディスプレイ32は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ32は、入力インターフェース31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ32は、デスクトップ型でもよいし、医用情報処理装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
記憶回路33は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、記憶回路33は、医用情報処理装置30に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、記憶回路33は、医用情報処理装置30とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
処理回路34は、特定機能341、選択機能342及び制御機能343を実行することで、医用情報処理装置30全体の動作を制御する。ここで、特定機能341は、特定部の一例である。また、選択機能342は、選択部の一例である。
例えば、処理回路34は、特定機能341に対応するプログラムを記憶回路33から読み出して実行することにより、X線CT装置10において実行されたスキャンにおける複数のビューの中から不具合が生じたタイミングに対応するビューを特定する。また、例えば、処理回路34は、選択機能342に対応するプログラムを記憶回路33から読み出して実行することにより、特定したビューの角度及び数に基づいて、画像再構成に関する処理を選択する。なお、特定機能341及び選択機能342による処理については後述する。
また、例えば、処理回路34は、制御機能343に対応するプログラムを記憶回路33から読み出して実行することにより、ネットワークNWを介したデータの送受信、及び、ディスプレイ32における表示の制御を行なう。例えば、制御機能343は、選択機能342が選択した処理を示す情報をX線CT装置10に対して送信する。
図1に示す医用情報処理装置30においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路33へ記憶されている。処理回路34は、記憶回路33からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路34は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
なお、図1においては単一の処理回路34にて、特定機能341、選択機能342及び制御機能343が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路34を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路34が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
次に、図2を用いて、X線CT装置10について説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線CT装置10の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、X線CT装置10は、架台装置110と、寝台装置130と、コンソール装置140とを有する。
図2においては、非チルト状態での回転フレーム113の回転軸又は寝台装置130の天板133の長手方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とする。なお、図2は、説明のために架台装置110を複数方向から描画したものであり、X線CT装置10が架台装置110を1つ有する場合を示す。
架台装置110は、X線管111と、X線検出器112と、回転フレーム113と、X線高電圧装置114と、制御装置115と、ウェッジ116と、コリメータ117と、DAS(Data Acquisition System)118とを有する。
X線管111は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管111は、X線高電圧装置114からの高電圧の印加により、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することで、被検体Pに対して照射するX線を発生する。
X線検出器112は、X線を検出する検出素子を複数有する。X線検出器112における各検出素子は、X線管111から照射されて被検体Pを通過したX線を検出し、検出したX線量に対応した信号をDAS118へと出力する。X線検出器112は、例えば、X線管111の焦点を中心とした1つの円弧に沿ってチャンネル方向(チャネル方向)に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。X線検出器112は、例えば、チャンネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向(スライス方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
例えば、X線検出器112は、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。なお、X線検出器112は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
回転フレーム113は、X線管111とX線検出器112とを対向支持し、制御装置115によってX線管111とX線検出器112とを回転させる円環状のフレームである。例えば、回転フレーム113は、アルミニウムを材料とした鋳物である。なお、回転フレーム113は、X線管111及びX線検出器112に加えて、X線高電圧装置114やウェッジ116、コリメータ117、DAS118等を更に支持することもできる。更に、回転フレーム113は、図2において図示しない種々の構成を更に支持することもできる。以下では、架台装置110において、回転フレーム113、及び、回転フレーム113と共に回転移動する部分を、回転部とも記載する。
X線高電圧装置114は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管111に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管111が発生するX線に応じた出力電圧の制御を行なうX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。なお、X線高電圧装置114は、回転フレーム113に設けられてもよいし、図示しない固定フレームに設けられても構わない。また、以下では、X線CT装置10の構成のうち、X線の照射に係る構成を、X線照射部とも記載する。X線照射部には、例えば、X線管111、及び、X線高電圧装置114が含まれる。
制御装置115は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置115は、入力インターフェース143からの入力信号を受けて、架台装置110及び寝台装置130の動作制御を行なう。例えば、制御装置115は、回転フレーム113の回転や架台装置110のチルト、寝台装置130及び天板133の動作等について制御を行なう。なお、制御装置115は架台装置110に設けられてもよいし、コンソール装置140に設けられてもよい。
ウェッジ116は、X線管111から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ116は、X線管111から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管111から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ116は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工したフィルタである。
コリメータ117は、ウェッジ116を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ117は、X線絞りと呼ばれる場合もある。また、図2においては、X線管111とコリメータ117との間にウェッジ116が配置される場合を示すが、X線管111とウェッジ116との間にコリメータ117が配置される場合であってもよい。この場合、ウェッジ116は、X線管111から照射され、コリメータ117により照射範囲が制限されたX線を透過して減衰させる。
DAS118は、X線検出器112が有する各検出素子によって検出されるX線の信号を収集する。例えば、DAS118は、各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行なう増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS118は、例えば、プロセッサにより実現される。
DAS118が生成したデータは、回転フレーム113に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置110の非回転部分(例えば、固定フレーム等。図2での図示は省略している)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置140へと転送される。ここで、非回転部分とは、例えば、回転フレーム113を回転可能に支持する固定フレーム等である。なお、回転フレーム113から架台装置110の非回転部分へのデータの送信方法は、光通信に限らず、非接触型の如何なるデータ伝送方式を採用してもよいし、接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
寝台装置130は、スキャン対象である被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台131と、寝台駆動装置132と、天板133と、支持フレーム134とを有する。基台131は、支持フレーム134を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置132は、被検体Pが載置された天板133を、天板133の長軸方向に移動する駆動機構であり、モータ及びアクチュエータ等を含む。支持フレーム134の上面に設けられた天板133は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置132は、天板133に加え、支持フレーム134を天板133の長軸方向に移動してもよい。
コンソール装置140は、記憶回路141と、ディスプレイ142と、入力インターフェース143と、処理回路144とを有する。なお、コンソール装置140は架台装置110とは別体として説明するが、架台装置110にコンソール装置140又はコンソール装置140の各構成要素の一部が含まれてもよい。
記憶回路141は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。記憶回路141は、例えば、投影データセットや、投影データセットに基づいて再構成された画像データを記憶する。また、例えば、記憶回路141は、X線CT装置10に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。記憶回路141は、クラウドにより実現されることとしてもよい。
ディスプレイ142は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ142は、処理回路144によって生成された各種の画像を表示したり、操作者から各種の操作を受け付けるためのGUIを表示したりする。例えば、ディスプレイ142は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。ディスプレイ142は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置140本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
入力インターフェース143は、操作者から各種の入力操作を受け付けて、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路144に出力する。例えば、入力インターフェース143は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行なうタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース143は、架台装置110に設けられてもよい。また、入力インターフェース143は、コンソール装置140本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース143は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置140とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路144へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース143の例に含まれる。
処理回路144は、システム制御機能144a、前処理機能144b、生成機能144c及び制御機能144dを実行することで、X線CT装置10全体の動作を制御する。
例えば、処理回路144は、システム制御機能144aに相当するプログラムを記憶回路141から読み出して実行することにより、被検体Pに対するスキャンを実行する。例えば、システム制御機能144aは、X線高電圧装置114を制御することにより、X線管111に高電圧を供給する。これにより、X線管111は、被検体Pに対し照射するX線を発生する。また、システム制御機能144aは、寝台駆動装置132を制御することにより、被検体Pを架台装置110の撮影口内へ移動させる。また、システム制御機能144aは、コリメータ117の開口度及び位置を調整する。また、システム制御機能144aは、制御装置115を制御することにより回転部を回転させる。なお、システム制御機能144aによってスキャンが実行される間、DAS118は、X線検出器112における各検出素子からX線の信号を収集し、検出データを生成する。
また、処理回路144は、前処理機能144bに相当するプログラムを記憶回路141から読み出して実行することにより、DAS118から出力された検出データに対し前処理を施す。例えば、前処理機能144bは、DAS118から出力された検出データに対して、対数変換処理やオフセット補正処理、チャンネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施す。なお、前処理を施した後のデータについては生データとも記載する。また、前処理を施す前の検出データ及び前処理を施した後の生データを総称して、投影データとも記載する。
以下では、X線CT装置10の構成のうち、X線の検出に係る構成を、X線検出部とも記載する。X線検出部には、例えば、X線検出器112及びDAS118が含まれる。ここで、投影データは、X線検出器112における検出素子ごと、且つ、ビューごとに生成される。即ち、X線検出部は、複数のビューそれぞれについて、複数の投影データを発生する。1つのビューについて発生した複数の投影データについては、投影データセットとも記載する。
即ち、前処理機能144bは、X線検出部により発生した投影データセットに対して、各種の前処理を施す。また、処理回路144は、生成機能144cに相当するプログラムを記憶回路141から読み出して実行することにより、前処理機能144bによって前処理が施された投影データセットを使用した画像再構成を実行し、画像データを生成する。例えば、生成機能144cは、投影データセットに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行なって画像データを生成する。
また、例えば、処理回路144は、制御機能144dに対応するプログラムを記憶回路141から読み出して実行することにより、ネットワークNWを介したデータの送受信、及び、ディスプレイ142における表示の制御を行なう。例えば、制御機能144dは、選択機能342が選択した処理を示す情報を、ネットワークNWを介して受信する。また、例えば、制御機能144dは、入力インターフェース143を介して操作者から受け付けた入力操作等に基づいて、生成機能144cにより生成された画像データを、公知の方法により表示用画像(任意断面の断層像データや3次元画像データ等)に変換する。そして、制御機能144dは、変換した表示用画像をディスプレイ142に表示させる。
図2に示すX線CT装置10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路141へ記憶されている。処理回路144は、記憶回路141からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路144は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
なお、図2においては単一の処理回路144にて、システム制御機能144a、前処理機能144b、生成機能144c及び制御機能144dが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路144を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路144が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路33又は記憶回路141に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
なお、図1及び図2においては、単一の記憶回路33又は記憶回路141が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数の記憶回路33を分散して配置し、処理回路34は、個別の記憶回路33から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。同様に、複数の記憶回路141を分散して配置し、処理回路144は、個別の記憶回路141から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、記憶回路33及び記憶回路141にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
また、処理回路34及び処理回路144は、ネットワークNWを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路34は、記憶回路33から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、医用情報処理装置30とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、図1に示す各機能を実現する。
以上、X線CT装置10、画像保管装置20及び医用情報処理装置30を含んだX線診断システム1について説明した。かかる構成のもと、X線診断システム1は、処理回路34による処理によって、被ばく量を低減しつつ、画像再構成を適切に実行する。
まず、X線CT装置10において実行されるスキャンの一例について、図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係るスキャンの一例を示す図である。なお、図3は、スキャンの最中に不具合が生じなかった場合を示す。
図3においては、X線CT装置10においてボリュームスキャンが実行されるものとして説明する。ボリュームスキャンとは、Z軸方向に天板133又は架台装置110を移動させることなく、回転部を回転させて実行される撮影方式である。なお、X線検出器112における複数の検出素子のうち少数の検出素子列(例えば、1列分の検出素子列や、4列分の検出素子列等)のみを用いて実行されるボリュームスキャンについては、シングルスキャンとも記載する。シングルスキャンの場合、X線のコーン角が小さくなることに起因して、シングルスキャン以外のボリュームスキャンと再構成条件が異なる場合がある。
例えば、システム制御機能144aは、まず、寝台駆動装置132を制御することにより、被検体Pを架台装置110の撮影口内へ移動させる。また、システム制御機能144aは、コリメータ117の開口度及び位置を調整する。また、システム制御機能144aは、制御装置115を制御することにより、X線照射部を含む回転部を回転させる。また、システム制御機能144aは、X線高電圧装置114を制御してX線管111に高電圧を供給することで、X線管111から被検体Pに対してX線を照射させる。即ち、X線照射部は、システム制御機能144aによる制御の下、被検体Pの周囲を回転しながら、被検体Pに対してX線を照射する。
また、X線検出器112における各検出素子は、X線照射部から照射されて被検体Pを通過したX線を検出する。また、DAS118は、X線検出器112における各検出素子からX線の信号を収集し、投影データを生成する。即ち、X線検出部は、X線照射部から照射されて被検体Pを通過したX線を検出して、投影データを発生する。例えば、X線検出部は、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間に、複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生する。
一例を挙げると、システム制御機能144aは、回転部を回転させつつ、図3に示すビューV101において、X線管111に対する高電圧の供給を開始する。これにより、ビューV101において、X線照射部から被検体Pに対するX線の照射が開始される。また、X線照射部からの出力は、立ち上がり期間を経て、ビューV102において設定値に到達する。なお、X線照射部からの出力とは、例えば、X線管111から照射されるX線の線量である。
また、X線検出部は、ビューV102においてX線の検出を開始する。例えば、X線検出器112の各検出素子は、DAS118による制御の下、検出したX線量に応じた電荷の蓄積をビューV102において開始する。そして、X線検出器112の各検出素子は、ビューV102以降、蓄積した電荷をDAS118に対して出力する。例えば、DAS118が同時収集方式である場合、X線検出器112の各検出素子は、電荷を蓄積すると同時に出力する。また、DAS118が逐次収集方式である場合、X線検出器112の各検出素子は、蓄積した電荷を、検出素子ごとにタイミングをずらしながら逐次出力する。
図3に示す場合、X線照射部は、ビューV102からビューV103までの間に、被検体Pの周囲を1回転する。従って、図3に示すビューV102とビューV103とで、被検体Pに対するX線照射部の位置は同じである。即ち、ビューV102及びビューV103の角度は同じである。そして、X線検出部は、ビューV102からビューV103までの複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生する。例えば、X線検出部は、図3に示すように、ビューV102からビューV103までの「800ビュー」それぞれについて、投影データセットを発生する。
図3に示す場合、スキャンの最中に不具合が生じておらず、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間の全ビュー(ビューV102からビューV103までの「800ビュー」)について、適切な投影データセットを取得することができる。即ち、図3に示す場合、「360°」分の適切な投影データセットを使用したフル再構成が可能である。そこで、スキャンの最中に不具合が生じなかった場合、選択機能342は、フル再構成を行なう処理A1を選択する。
次に、図4を用いて、スキャンの最中に不具合が生じた場合について説明する。図4は、第1の実施形態に係るスキャンの一例を示す図である。図4においては、X線CT装置10においてボリュームスキャンが実行されるものとして説明する。
ここで、不具合とは、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間に、X線照射部又はX線検出部において生じる不具合である。X線照射部において生じる不具合の例としては、X線管111における放電現象が挙げられる。放電現象とは、金属ガスやチリ、ホコリなどの不純物によってX線管111内の真空度が低下し、X線管111内に高電流が流れる現象である。即ち、放電現象とは、フィラメントから発生した熱電子以外の不純物がキャリアとなって、X線管111内に高電流が流れる現象である。また、X線検出部において生じる不具合の例としては、DAS118におけるオーバーフロー(Overflow)が挙げられる。オーバーフローとは、X線検出器112の各検出素子から出力された信号値が、DAS118が収集することのできる数値範囲(ダイナミックレンジ)を超えることをいう。
図4においては一例として、スキャンの最中に放電現象が生じた場合について説明する。例えば、システム制御機能144aは、回転部を回転させつつ、ビューV201においてX線管111に対する高電圧の供給を開始する。これによって、図4に示すように、ビューV201においてX線照射部から被検体Pに対するX線の照射が開始される。また、X線照射部からの出力は、立ち上がり期間を経て、ビューV202において設定値に到達する。なお、図4に示す場合、X線照射部は、ビューV202からビューV207までの間に被検体Pの周囲を1回転する。図4においては、ビューV202からビューV207までのビューの数が「800ビュー」であるものとして説明する。
X線検出部は、ビューV202においてX線の検出を開始する。図4に示す場合、X線検出部は、ビューV202から、放電現象が発生するビューV203までの複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生することができる。即ち、図4に示す場合、ビューV202からビューV203までの複数のビューそれぞれについて適切な投影データセットを取得することができる。
次に、ビューV203において放電現象が発生する。放電現象が生じた場合、X線管111内に大電流が流れることにより、X線照射部からの出力は増加する。例えば、図4に示すように、放電現象が発生したビューV203以降、X線照射部からの出力は増加する。また、システム制御機能144aは、放電現象を検出した場合にはX線の照射を停止させる。例えば、ビューV204において放電現象を検出した場合、システム制御機能144aは、X線管111に対する高電圧の供給を停止することで、ビューV204においてX線の照射を停止させる。
なお、放電現象については、例えば、X線高電圧装置114からの出力に基づいて検出することが可能である。例えば、放電現象が生じた場合、大電流が流れることで、X線管111に印加されていた電圧が降下する。そして、この電圧降下を検出した場合、X線高電圧装置114は、放電現象を検出した旨の情報を処理回路144に対して出力する。また、システム制御機能144aは、X線高電圧装置114からの出力に基づいて、X線の照射を停止させる。
別の例を挙げると、X線検出部が比較検出器を更に備える場合、比較検出器からの出力に基づいて放電現象を検出することが可能である。ここで、比較検出器は、被検体Pを透過していないX線を検出するよう、例えば、X線管111のX線照射口付近や、X線検出器112からチャンネル方向に所定の距離だけ離れた位置に設けられる。即ち、X線検出器112が被検体Pを透過したX線を検出するのに対して、比較検出器は、被検体Pを透過していないX線を検出する。従って、比較検出器からの出力は、放電現象が生じない場合はビューによらず略一定となる一方で、放電現象が生じた場合には増加する。例えば、システム制御機能144aは、比較検出器からの出力が閾値を超えた場合、放電現象を検出したものとして、X線の照射を停止させる。なお、比較検出器については、リファレンス検出器とも記載する。
これまで、X線高電圧装置114からの出力、又は、比較検出器からの出力に基づいて放電現象を検出する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、システム制御機能144aは、X線検出器112からの出力に基づいて放電現象を検出してもよい。また、例えば、X線管111やウェッジ116、コリメータ117、天板133等にセンサを設け、センサからの出力に基づいて放電現象を検出することとしてもよい。
ここで、X線検出部は、放電現象が発生したビューV203から、X線の照射が停止するビューV204までの複数のビューそれぞれについて、投影データセットを発生することができる。しかしながら、ビューV203からビューV204までの投影データセットは、放電現象中に取得された投影データセットであり、通常、画像再構成には適さない。
例えば、画像再構成を実行する際には、前処理として、所定のスペクトル形状に基づく補正が実行される。また、システム制御機能144aは、この所定のスペクトル形状を有するX線を発生するように、X線照射部を制御する。しかしながら、放電現象が生じている間はスペクトル形状が変化してしまうため、ビューV203からビューV204までの投影データセットについては、所定のスペクトル形状に基づく補正を適切に実行することができない。そして、ビューV203からビューV204までの投影データセットを画像再構成に使用することで、再構成される画像データにアーチファクトが生じる場合がある。即ち、図4に示す場合、ビューV203からビューV204までの複数のビューそれぞれについては、適切な投影データセットを取得することができない。
次に、システム制御機能144aは、ビューV205において、X線照射部から被検体Pに対するX線の照射を再開させる。また、X線照射部からの出力は、立ち上がり期間を経て、ビューV206において設定値に到達する。
ここで、X線検出部は、X線の照射が停止したビューV204から、X線の照射が再開されるビューV205までの複数のビューそれぞれについては、X線を検出することができない。即ち、ビューV204からビューV205までの複数のビューについては、投影データセットが欠損する。
また、X線検出部は、X線の照射が再開されたビューV205から、X線照射部からの出力が立ち上がるビューV206までの複数のビューそれぞれについて、投影データセットを発生することができる。しかしながら、ビューV205からビューV206までの投影データセットは、立ち上がり期間中に取得された投影データセットであり、通常、画像再構成には適さない。例えば、立ち上がり期間中にはスペクトル形状が順次変化するため、ビューV205からビューV206までの投影データセットについては、所定のスペクトル形状に基づく補正を適切に実行することができない。即ち、図4に示す場合、ビューV205からビューV206までの複数のビューそれぞれについては、適切な投影データセットを取得することができない。
また、X線検出部は、ビューV206からビューV207までの複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生することができる。即ち、図4に示す場合、ビューV206からビューV207までの複数のビューそれぞれについて、適切な投影データセットを取得することができる。なお、ビューV202とビューV207とで、被検体Pに対するX線照射部の位置は同じである。即ち、ビューV202及びビューV207の角度は同じである。
ここで、図4に示す場合、スキャンの最中に放電現象が生じたことにより、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間の全ビューのうち、一部のビューについて、適切な投影データセットを取得することができていない。即ち、図4に示す場合、適切な投影データセットを「360°」取得することができていないため、フル再構成を適切に実行することはできない。
例えば、図4に示したスキャンにより取得された投影データセットを使用してフル再構成を実行する場合、再構成される画像データには、シャワー状アーチファクト等のアーチファクトが生じる可能性がある。また、適切な投影データセットを取得するために被検体Pに対するスキャンを再度実行すれば、被検体Pの被ばく量が増加する。
そこで、医用情報処理装置30における処理回路34は、図4に示したスキャンにより取得された投影データセットを使用した画像再構成に関する処理を選択することで、被ばく量を低減しつつ、画像再構成を適切に実行することを可能とする。具体的には、特定機能341は、図4に示したスキャンにおける複数のビューの中から放電現象が生じたタイミングに対応するビューを特定する。また、選択機能342は、特定したビューの角度及び数に基づいて、画像再構成に関する処理を選択する。また、制御機能343は、選択機能342が選択した処理を示す情報をX線CT装置10に対して送信する。
より具体的には、まず、特定機能341は、図4に示したスキャンにおける複数のビューの中から放電現象が生じたタイミングに対応するビューを特定する。例えば、特定機能341は、X線高電圧装置114からの出力に基づいて、放電現象が生じたタイミングに対応するビューを特定する。
例えば、X線高電圧装置114は、ビューV204において放電現象を検出した場合、放電現象が検出された旨の情報を処理回路144に対して出力する。ここで、システム制御機能144aは、X線高電圧装置114からの出力に基づいて、X線の照射を停止させる。また、制御機能144dは、ビューV204において放電現象が検出された旨の情報を、ネットワークNWを介して、医用情報処理装置30に送信する。即ち、特定機能341は、X線高電圧装置114からの出力に基づいて、放電現象を検出したビューV204を特定する。
次に、特定機能341は、放電現象が生じたタイミングに対応するビューとして、放電現象を検出したタイミングから所定の時間範囲に含まれるビューを特定する。例えば、図4に示したように、ビューV204に放電現象を検出した場合において、放電現象が発生したのはビューV204より前のビューV203である。従って、特定機能341は、ビューV204のみならず、ビューV203からビューV204までの複数のビューについても、放電現象が生じたタイミングに対応するビューとして特定する。
また、図4に示したように、ビューV204に放電現象を検出した場合において、ビューV204からビューV205までの間は、X線の照射が停止する。また、ビューV205からビューV206までの間は、X線照射部からの出力の立ち上がり期間に対応する。即ち、図4に示す場合、ビューV204からビューV206までの複数のビューそれぞれについて、適切な投影データセットを取得することができていない。従って、特定機能341は、ビューV204のみならず、ビューV204からビューV206までの複数のビューについても、放電現象が生じたタイミングに対応するビューとして特定する。
なお、ビューV203からビューV204までの間に対応する所定の時間範囲については、経験則に基づいて取得することができる。例えば、特定機能341は、放電現象が生じた過去のスキャンに基づいて、放電現象が発生してから検出されるまでの間の平均的な時間範囲を事前に算出する。ここで、時間範囲とは、例えば、秒数やビュー数である。以下では、時間範囲の例としてビュー数について説明する。一例を挙げると、特定機能341は、放電現象が発生してから検出されるまでの間の平均的なビュー数を、FOVのサイズやビューレートごとに算出し、記憶回路33に記憶させる。なお、ビューレートとは、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間のビュー数である。そして、特定機能341は、事前に算出したビュー数と、放電現象が検出されたビューV204とに基づいて、ビューV203からビューV204までの複数のビューを特定する。
また、ビューV204からビューV206までの間に対応する所定の時間範囲については、スキャン条件に基づいて取得することができる。例えば、X線の照射の停止及び再開は、システム制御機能144aが制御するものである。即ち、X線の照射を停止させてからX線の照射を再開するまでのビュー数は、システム制御機能144aによって制御されるスキャン条件である。また、X線照射部からの出力の立ち上がり期間の長さは、管電圧値及び管電流値に基づいて算出することができる。以上より、特定機能341は、スキャン条件に基づいて、ビューV204からビューV206までのビュー数を取得することができる。
上述したように、特定機能341は、X線高電圧装置114からの出力に基づいて、放電現象を検出したタイミングに対応するビューV204を特定する。また、特定機能341は、放電現象が生じたタイミングに対応するビューとして、ビューV204から所定の時間範囲に含まれる、ビューV203からビューV206までの複数のビューを特定する。なお、特定機能341は、X線高電圧装置114に代えて、比較検出器からの出力に基づいてビューV204を特定してもよいし、他の手法によりビューV204を特定してもよい。
或いは、特定機能341は、X線発生部により発生した投影データセットに基づいて、放電現象が生じたタイミングに対応するビューを特定してもよい。例えば、特定機能341は、ネットワークNWを介して、X線CT装置10から、ビューV202からビューV207までの複数のビューの投影データセットを取得する。次に、特定機能341は、取得した複数の投影データセットに基づいて、放電現象が生じたタイミングに対応するビューを特定する。
例えば、特定機能341は、取得した複数の投影データセットそれぞれについて、平均画素値を算出する。ここで、ビューV203からビューV204までの複数のビューの投影データセットにおいては、放電現象によってX線量が増大したことにより、ビューV202からビューV203までの複数のビュー及びビューV206からビューV207までの複数のビューの投影データセットと比較して、平均画素値が大きく異なる。また、ビューV204からビューV205までの複数のビューについては、投影データセットが欠損している。また、ビューV205からビューV206までの複数のビューの投影データセットにおいては、立ち上がり期間であってX線量が低いことにより、ビューV202からビューV203までの複数のビュー及びビューV206からビューV207までの複数のビューの投影データセットと比較して、平均画素値が大きく異なる。以上より、特定機能341は、X線発生部により発生した投影データセットに基づき、放電現象が生じたタイミングに対応するビューとして、ビューV203からビューV206までの複数のビューを特定することができる。
別の例を挙げると、特定機能341は、対向するビューの投影データセットの対を相互に比較する。即ち、特定機能341は、「180°」異なるビューの投影データセットの対について比較を行なう。ここで、放電現象が生じなかった場合、対向するビューの投影データセットは、反転している点を除いて略同一のデータとなる。例えば、放電現象が生じなかった場合、対向するビューの投影データセットの間で平均画素値は略同じになる。以上より、特定機能341は、X線発生部により発生した投影データセットのそれぞれについて、対向するビューの投影データセットとの比較を行なうことにより、放電現象が生じたタイミングに対応するビューを特定することができる。
次に、特定機能341は、放電現象が生じたタイミングに対応するビューとして特定したビューを識別できるように、特定したビューの投影データセットに対してラベル付けを行なう。例えば、特定機能341は、ビューV203からビューV206までの複数のビューそれぞれの投影データセットに対して、放電現象が生じたタイミングに対応するビューとして特定されたことを示す付帯情報を付加する。
次に、選択機能342は、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューが、ハーフ再構成の条件を満たすか否かを判定する。例えば、選択機能342は、ビューV202からビューV207までの複数のビューのうち、ビューV202からビューV203までの複数のビュー又はビューV206からビューV207までの複数のビューが、ハーフ再構成の条件を満たすか否かを判定する。ここで、ハーフ再構成は、「180°+ファン角」分の投影データセットがあれば実行可能である。即ち、ハーフ再構成の条件とは、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューが「180°+ファン角」を超えることである。
なお、ファン角は、例えば、XY平面におけるX線の広がりを示す角度であり、FOV(Field of View)のサイズに応じて決定される。例えば、選択機能342は、図5Aに示すように、C-FOV(Calibration-FOV)のサイズに応じた角度θ1をファン角として取得する。なお、図5Aは、第1の実施形態に係るファン角の一例を示す図である。
C-FOVは、X線の照射領域に対応し、システム制御機能144aによる制御の下、コリメータ117の開口度によって制御される。即ち、C-FOVのサイズはスキャン条件である。従って、選択機能342は、X線CT装置10におけるスキャン条件を参照することにより、C-FOVのサイズを取得し、C-FOVのサイズに基づいて角度θ1を算出することができる。或いは、スキャン条件としてファン角が設定されている場合、選択機能342は、X線CT装置10におけるスキャン条件を参照することにより、角度θ1を取得することができる。なお、C-FOVのサイズ及び角度θ1は、装置固有のものであってもよいし、スキャン条件として任意に変更可能なものであってもよい。
そして、選択機能342は、角度θ1に基づいて、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たすか否かを判定する。即ち、選択機能342は、ビューV202からビューV203までの複数のビュー、又は、ビューV206からビューV207までの複数のビューが「180°+角度θ1」を超えるか否かを判定する。
ここで、画像再構成においては、C-FOVの全体が対象となる場合もあれば、C-FOVの一部のみが対象となる場合もある。即ち、図5Bに示すように、X線の照射領域に対応するC-FOVと、画像再構成の対象領域に対応するD-FOV (Display-FOV)とは一致しない場合がある。この場合、選択機能342は、図5Bに示すように、D-FOVのサイズに応じた角度θ2をファン角として取得する。なお、図5Bは、第1の実施形態に係るファン角の一例を示す図である。
D-FOVは、再構成条件である。従って、選択機能342は、X線CT装置10における再構成条件を参照することにより、D-FOVのサイズを取得し、D-FOVのサイズに基づいて角度θ2を算出することができる。或いは、再構成条件としてファン角が設定されている場合、選択機能342は、X線CT装置10における再構成条件を参照することにより、角度θ2を取得することができる。
そして、選択機能342は、角度θ2に基づいて、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たすか否かを判定する。即ち、選択機能342は、ビューV202からビューV203までの複数のビュー、又は、ビューV206からビューV207までの複数のビューが「180°+角度θ2」を超えるか否かを判定する。
次に、図6Aを用いて、ハーフ再構成の条件を満たすか否かの判定処理の一例を説明する。図6Aは、第1の実施形態に係る投影データセットの一例を示す図である。なお、図6Aにおいては、ファン角が「45°」であるものとして説明する。即ち、選択機能342は、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューが「180°+45°」を超えるか否かを判定することにより、ハーフ再構成の条件を満たすか否かの判定処理を実行する。
なお、図6Aにおいては、X線検出部により発生した投影データセットを、サイノグラムの形式で示す。サイノグラムとは、ビューごと且つ検出素子ごとに生成される投影データを、ビュー方向とチャンネル方向に対応付けて示すデータである。なお、X線検出器112における1つの検出素子列のみを用いてシングルスキャンを実行した場合、1つのスキャンに対して1つのサイノグラムを生成することができる。また、X線検出器112における複数の検出素子列を用いてボリュームスキャンを実行した場合、1つのスキャンに対して複数のサイノグラムを生成することができる。
図6Aに示すように、ビューV202からビューV207までのビュー数は「800ビュー」である。ここで、「800ビュー」は、「360°」に対応する。また、ビューV202からビューV203までのビュー数は「276ビュー」であり、ビューV203からビューV206までのビュー数は「248ビュー」であり、ビューV206からビューV207までのビュー数は「276ビュー」である。ここで、「276ビュー」は「124.2°」に対応し、「248ビュー」は「111.6°」に対応する。
即ち、図6Aに示す場合、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューである、ビューV202からビューV203までの「276ビュー」は、「180°+45°」を超えておらず、ハーフ再構成の条件を満たしていない。ビューV206からビューV207までの「276ビュー」も同様に、「180°+45°」を超えておらず、ハーフ再構成の条件を満たしていない。従って、図6Aに示す場合、選択機能342は、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たさないと判定する。なお、図6Aに示したように中心ビューの付近で不具合が発生した場合には、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たさない状態となりやすい。
次に、選択機能342は、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えた場合に、並び替え後のビューがハーフ再構成の条件を満たすか否かを判定する。例えば、選択機能342は、図6Bに示すように、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替える。即ち、選択機能342は、ビューV202とビューV207とが連続するように、ビューV202からビューV203までの「276ビュー」と、ビューV206からビューV207までの「276ビュー」とを並び替える。このようなビューの並び替え処理については、ワインディング(Winding)とも記載する。図6Bは、第1の実施形態に係るワインディングの一例を示す図である。
図6Bに示す場合において、ビューV206からビューV203までの「552ビュー」は、「248.4°」に対応する。即ち、ビューV206からビューV203までの「552ビュー」は、「180°+45°」を超えており、ハーフ再構成の条件を満たす。従って、図6Bに示す場合、選択機能342は、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えると、ハーフ再構成の条件を満たすと判定する。
図6Aに示したように、選択機能342は、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えない場合にハーフ再構成の条件を満たすか否かを判定する。即ち、選択機能342は、ワインディングを行なわない状態において、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たすか否かを判定する。ここで、ワインディングを行なわない状態においてハーフ再構成の条件を満たす場合、選択機能342は、ワインディングを行なわずにハーフ再構成を行なう処理A2を選択する。換言すると、選択機能342は、ビューの並び替えを伴わずにハーフ再構成を行なう処理A2を選択する。なお、処理A2は、第1の処理の一例である。
また、図6Bに示したように、ワインディングを行なわない状態においてハーフ再構成の条件を満たさない場合、選択機能342は、ワインディングを行なった状態において、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たすか否かを判定する。ここで、ワインディングを行なった状態においてハーフ再構成の条件を満たす場合、選択機能342は、ワインディングを行なってハーフ再構成を行なう処理A3を選択する。換言すると、選択機能342は、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えるとハーフ再構成の条件を満たす場合、ビューの並び替えを伴ってハーフ再構成を行なう処理A3を選択する。なお、処理A3は、第2の処理の一例である。
ここで、ワインディングを行なった状態においてもハーフ再構成の条件を満たさない場合も想定される。例えば、図7Aに示すように、スキャンの最中に放電現象が複数回生じた場合、投影データセットが欠損したり画像再構成に適さないものになってしまったりするビュー数が増加し、ワインディングを行なってもハーフ再構成の条件を満たさなくなる可能性がある。なお、図7Aは、第1の実施形態に係るスキャンの一例を示す図である。図7Aにおいては、X線CT装置10においてボリュームスキャンが実行されるものとして説明する。
以下、図7Aについて詳細に説明する。まず、システム制御機能144aは、回転部を回転させつつ、ビューV301においてX線管111に対する高電圧の供給を開始する。これにより、ビューV301においてX線照射部から被検体Pに対するX線の照射が開始される。また、X線照射部からの出力は、立ち上がり期間を経て、ビューV302において設定値に到達する。なお、図7Aに示す場合、X線照射部は、ビューV302からビューV311までの間に被検体Pの周囲を1回転する。図7Aにおいては、ビューV302からビューV311までのビューの数が「800ビュー」であるものとして説明する。
X線検出部は、ビューV302においてX線の検出を開始する。図7Aに示す場合、X線検出部は、ビューV302から、放電現象が発生するビューV303までの「30ビュー」それぞれについて投影データセットを発生することができる。即ち、図7Aに示す場合、ビューV302からビューV303までの「30ビュー」それぞれについて適切な投影データセットを取得することができる。
次に、ビューV303において、放電現象が発生する。次に、システム制御機能144aは、X線管111に対する高電圧の供給を停止することで、ビューV304においてX線の照射を停止させる。ここで、X線検出部は、ビューV303からビューV304までの複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生することができるが、これらの投影データセットは画像再構成には適さない。
次に、システム制御機能144aは、ビューV305において、X線照射部から被検体Pに対するX線の照射を再開させる。また、X線照射部からの出力は、立ち上がり期間を経て、ビューV306において設定値に到達する。ここで、X線検出部は、X線の照射が停止したビューV304から、X線の照射が再開されるビューV305までの複数のビューそれぞれについては、X線を検出することができない。即ち、ビューV304からビューV305までの複数のビューについては、投影データセットが欠損する。また、X線検出部は、ビューV305からビューV306までの複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生することができるが、これらの投影データセットは画像再構成には適さない。
また、X線検出部は、ビューV306からビューV307までの「30ビュー」それぞれについて投影データセットを発生することができる。即ち、図7Aに示す場合、ビューV306からビューV307までの「30ビュー」それぞれについて適切な投影データセットを取得することができる。
次に、ビューV307において、再度、放電現象が発生する。次に、システム制御機能144aは、X線管111に対する高電圧の供給を停止することで、ビューV308においてX線の照射を停止させる。ここで、X線検出部は、ビューV307からビューV308までの複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生することができるが、これらの投影データセットは画像再構成には適さない。
次に、システム制御機能144aは、ビューV309において、X線照射部から被検体Pに対するX線の照射を再開させる。また、X線照射部からの出力は、立ち上がり期間を経て、ビューV310において設定値に到達する。ここで、X線検出部は、X線の照射が停止したビューV308から、X線の照射が再開されるビューV309までの複数のビューそれぞれについては、X線を検出することができない。即ち、ビューV308からビューV309までの複数のビューについては、投影データセットが欠損する。また、X線検出部は、ビューV309からビューV310までの複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生することができるが、これらの投影データセットは画像再構成には適さない。
また、X線検出部は、ビューV310からビューV311までの「300ビュー」それぞれについて投影データセットを発生することができる。即ち、図7Aに示す場合、ビューV310からビューV311までの「300ビュー」それぞれについて適切な投影データセットを取得することができる。なお、図7Aに示すビューV302とビューV311とで、被検体Pに対するX線照射部の位置は同じである。即ち、ビューV302及びビューV311の角度は同じである。
図7Aに示す場合において、特定機能341は、複数のビューの中から放電現象が生じたタイミングに対応するビューを特定する。例えば、特定機能341は、X線高電圧装置114からの出力に基づいて、放電現象を検出したタイミングに対応するビューV304及びビューV308を特定する。また、例えば、特定機能341は、比較検出器からの出力に基づいて、放電現象を検出したタイミングに対応するビューV304及びビューV308を特定する。そして、特定機能341は、放電現象が生じたタイミングに対応するビューとして、ビューV304に対応するタイミングから所定の時間範囲に含まれるビューV303からビューV306までの複数のビュー、及び、ビューV308に対応するタイミングから所定の時間範囲に含まれるビューV307からビューV310までの複数のビューを特定する。
或いは、特定機能341は、X線発生部により発生した投影データセットに基づいて、放電現象が生じたタイミングに対応するビューを特定してもよい。例えば、特定機能341は、ネットワークNWを介して、X線CT装置10から、ビューV302からビューV311までの複数のビューの投影データセットを取得する。そして、特定機能341は、取得した投影データセットに基づき、放電現象が生じたタイミングに対応するビューとして、ビューV303からビューV306までの複数のビュー、及び、ビューV307からビューV310までの複数のビューを特定する。
次に、特定機能341は、放電現象が生じたタイミングに対応するビューとして特定したビューを識別できるように、特定したビューの投影データセットに対してラベル付けを行なう。例えば、特定機能341は、ビューV303からビューV306までの複数のビューそれぞれの投影データセット、及び、ビューV307からビューV310までの複数のビューそれぞれの投影データセットに対して、放電現象が生じたタイミングに対応するビューとして特定されたことを示す付帯情報を付加する。
次に、選択機能342は、特定機能341が特定したビューの角度及び数に基づいて、各種の画像再構成が可能か否かを判定する。ここで、図7Aに示す場合、適切な投影データセットを「360°」取得することができていないため、フル再構成を適切に実行することはできない。
また、図7Aに示す場合、適切な投影データセットを取得することができたビューは、ビューV302からビューV303までの「30ビュー」、ビューV306からビューV307までの「30ビュー」及びビューV310からビューV311までの「300ビュー」である。ここで、「30ビュー」は「13.5°」に対応し、「300ビュー」は「135°」に対応する。従って、ビューV302からビューV303までの「30ビュー」、ビューV306からビューV307までの「30ビュー」及びビューV310からビューV311までの「300ビュー」のいずれも、「180°+45°」を超えず、ハーフ再構成の条件を満たさない。即ち、図7Aにおいて特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えない場合、ハーフ再構成の条件を満たさない。
また、図7Aに示す場合、適切な投影データセットを取得することができたビューは、合計で「360ビュー」である。ここで、「360ビュー」は「162°」に対応し、「180°+45°」を超えないため、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えても、ハーフ再構成の条件を満たさない。
この場合、選択機能342は、特定機能341が特定したビューの投影データセットを再取得する処理を選択する。即ち、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合、選択機能342は、ビューV303からビューV306までの複数のビュー、及び、ビューV307からビューV310までの複数のビューの投影データセットを再取得する処理を選択する。なお、特定機能341が特定したビューの投影データセットを再取得する処理については、オーバースキャンとも記載する。
例えば、オーバースキャンは、図7Aに示したスキャンと連続して行なわれる。例えば、オーバースキャンは、図7Bに示すように、ビューV311からビューV312までの「500ビュー」を追加で取得するスキャンである。なお、図7Bは、第1の実施形態に係るオーバースキャンの一例を示す図である。図7Bに示すビューV312は、被検体Pに対するX線照射部の位置がビューV310と同じビューある。即ち、ビューV310及びビューV312の角度は同じである。また、ビューV311からビューV312までの「500ビュー」は、それぞれ、ビューV302からビューV310までの「500ビュー」に対応する。
図7Bのオーバースキャンを実行した場合、ビューV310からビューV312までの「800ビュー」について投影データセットを取得することができる。即ち、図7Bに示すオーバースキャンを実行することにより、投影データセットを「360°」取得して、フル再構成を可能とすることができる。
なお、オーバースキャンにおいては、特定機能341が特定したビューの投影データセットのみを再取得してもよい。即ち、オーバースキャンにおいては、ビューV302からビューV310までの「500ビュー」の全部について投影データセットを再取得するのではなく、ビューV303からビューV306までの複数のビュー、及び、ビューV307からビューV310までの複数のビューの投影データセットのみを再取得してもよい。この場合、画像再構成の際には、ビューV302からビューV303までの「30ビュー」、ビューV306からビューV307までの「30ビュー」及びビューV310からビューV311までの「300ビュー」と、オーバースキャンにより再取得された投影データセットとを用いて、フル再構成を実行することが可能である。
また、これまで、特定機能341が特定したビューの投影データセットの全部を再取得し、フル再構成を実行する処理について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、オーバースキャンにおいては、特定機能341が特定したビューの投影データセットの一部を再取得してもよい。例えば、オーバースキャンにおいては、ビューV307からビューV310までの複数のビューの投影データセットのみを再取得してもよい。この場合、画像再構成の際には、ビューV306からビューV307までの「30ビュー」及びビューV310からビューV311までの「300ビュー」と、オーバースキャンにより再取得された投影データセットとを用いて、ハーフ再構成を実行することが可能である。
以下では、特定機能341が特定したビューの投影データセットの全部を再取得してフル再構成を実行する処理を、処理A4と記載する。また、特定機能341が特定したビューの投影データセットの一部を再取得してハーフ再構成を実行する処理を、処理A5と記載する。そして、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合、選択機能342は、処理A4又は処理A5を選択する。
なお、処理A4及び処理A5のいずれを選択するかについては、例えば、ユーザからの入力操作に応じて判定することができる。例えば、選択機能342は、ユーザからの入力操作に応じて、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合に処理A4又は処理A5のいずれを選択するかの設定をプリセットする。そして、被検体Pに対するスキャンを実行している最中に特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさないと判定した場合、選択機能342は、プリセットされた設定に従って、処理A4及び処理A5のいずれかを選択する。或いは、選択機能342は、被検体Pに対するスキャンを実行している最中にユーザからの入力操作を受け付けて、処理A4及び処理A5のいずれかを選択してもよい。
また、選択機能342は、ユーザからの入力操作に応じて、処理A4又は処理A5を選択するか否かを判定してもよい。即ち、処理A4又は処理A5を選択した場合、被検体Pに対するスキャンを再度実行する場合と比較すれば程度は小さいものの、オーバースキャンによって被検体Pの被ばく量が増加する。そこで、ユーザは、オーバースキャンによる被検体Pの被ばくを許容するか否かに応じて、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合に処理A4又は処理A5を選択するか否かを判断する。また、選択機能342は、ユーザからの入力操作に応じて、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合に処理A4又は処理A5を選択するか否かの設定をプリセットする。そして、被検体Pに対するスキャンを実行している最中に特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさないと判定した場合、選択機能342は、プリセットされた設定に従って、処理A4又は処理A5を選択するか否かを判定する。或いは、選択機能342は、被検体Pに対するスキャンを実行している最中にユーザからの入力操作を受け付けて、処理A4又は処理A5を選択するか否かを判定してもよい。
選択機能342が処理A1、処理A2、処理A3、処理A4又は処理A5を選択した後、制御機能343は、選択機能342が選択した処理を示す情報をX線CT装置10に対して送信する。また、X線CT装置10は、受信した情報に基づく処理を実行する。
例えば、選択機能342が処理A1を選択した場合、X線CT装置10は、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間にX線検出部によって発生した、複数のビューそれぞれの投影データセットに基づいて、フル再構成を実行する。具体的には、前処理機能144bは、複数のビューそれぞれの投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したフル再構成を実行し、画像データを生成する。
また、例えば、選択機能342が処理A2を選択した場合、X線CT装置10は、ビューの並び替えを伴わずにハーフ再構成を実行する。具体的には、前処理機能144bは、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューそれぞれの投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したハーフ再構成を実行し、画像データを生成する。
また、例えば、選択機能342が処理A3を選択した場合、X線CT装置10は、ビューの並び替えを伴ってハーフ再構成を実行する。具体的には、前処理機能144bは、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えるとともに、並び替え後のビューそれぞれの投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、並び替え及び前処理が施された後の投影データセットを使用したハーフ再構成を実行し、画像データを生成する。
また、例えば、選択機能342が処理A4を選択した場合、X線CT装置10は、特定機能341が特定したビューの投影データセットの全部を再取得し、フル再構成を実行する。具体的には、システム制御機能144aは、オーバースキャンを実行して、特定機能341が特定したビューの投影データセットの全部を再取得する。また、前処理機能144bは、オーバースキャンにより再取得された投影データセットと、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューそれぞれの投影データセットとに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したフル再構成を実行し、画像データを生成する。
また、例えば、選択機能342が処理A5を選択した場合、X線CT装置10は、特定機能341が特定したビューの投影データセットの一部を再取得し、ハーフ再構成を実行する。具体的には、システム制御機能144aは、オーバースキャンを実行して、特定機能341が特定したビューの投影データセットの一部を再取得する。また、前処理機能144bは、オーバースキャンにより再取得された投影データセットと、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューそれぞれの投影データセットとに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したハーフ再構成を実行し、画像データを生成する。
また、制御機能144dは、生成機能144cが生成した画像データに基づいて表示用画像を生成し、生成した表示用画像をディスプレイ142に表示させる。また、制御機能144dは、生成機能144cが生成した画像データを画像保管装置20に送信する。
次に、X線診断システム1による処理の手順の一例を、図8を用いて説明する。図8は、第1の実施形態に係るX線診断システム1の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
ステップS101、ステップS103及びステップS104は、特定機能341に対応するステップである。ステップS102、ステップS105、ステップS106、ステップS107、ステップS108、ステップS109、ステップS110及びステップS111は、選択機能342に対応するステップである。ステップS112は、制御機能343に対応するステップである。
まず、処理回路34は、スキャンの最中に、X線照射部又はX線検出部のうち少なくともいずれかにおいて不具合が生じたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、不具合が生じなかった場合(ステップS101否定)、処理回路34は、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間にX線検出部によって発生した、複数のビューそれぞれの投影データセットを使用してフル再構成を実行する処理A1を選択する(ステップS102)。
一方で、不具合が生じた場合(ステップS101肯定)、処理回路34は、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間の複数のビューの中から、不具合が生じたタイミングに対応するビューを特定する(ステップS103)。次に、処理回路34は、特定したビューの投影データセットに対してラベル付けを行なう(ステップS104)。
次に、処理回路34は、ステップS103にて特定したビュー以外の残りのビューについて、ビューの並び替えを伴わずにハーフ再構成可能か否かを判定する(ステップS105)。ここで、ハーフ再構成可能である場合(ステップS105肯定)、処理回路34は、ビューの並び替えを伴わずに、特定したビュー以外の残りのビューそれぞれの投影データセットを使用してハーフ再構成を実行する処理A2を選択する(ステップS106)。
一方で、ビューの並び替えを伴わずにハーフ再構成可能でない場合(ステップS105否定)、処理回路34は、ステップS103にて特定したビュー以外の残りのビューについて、ビューの並び替えによってハーフ再構成可能か否かを判定する(ステップS107)。ここで、ハーフ再構成可能である場合(ステップS107肯定)、処理回路34は、ビューの並び替えを伴って、特定したビュー以外の残りのビューそれぞれの投影データセットを使用してハーフ再構成を実行する処理A3を選択する(ステップS108)。
一方で、ビューを並び替えてもハーフ再構成可能でない場合(ステップS107否定)、処理回路34は、特定したビューの投影データセットを再取得すると判定するとともに、フル再構成を実行するかハーフ再構成を実行するかを判定する(ステップS109)。ここで、フル再構成を実行する場合(ステップS109肯定)、処理回路34は、特定したビューの投影データセットの全部を再取得し、再取得した投影データセット、及び、特定したビュー以外の残りのビューそれぞれの投影データセットを用いてフル再構成を実行する処理A4を選択する(ステップS110)。
一方で、ハーフ再構成を実行する場合(ステップS109否定)、処理回路34は、特定したビューの投影データセットの一部を再取得し、再取得した投影データセット、及び、特定したビュー以外の残りのビューそれぞれの投影データセットを用いてハーフ再構成を実行する処理A5を選択する(ステップS111)。そして、処理回路34は、ステップS102、ステップS106、ステップS108、ステップS110又はステップS111にて選択した処理を示す情報をX線CT装置10に対して送信し、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態によれば、X線照射部は、被検体Pの周囲を回転しながら、被検体Pに対してX線を照射する。X線検出部は、被検体Pを透過したX線を検出し、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間に、複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生する。特定機能341は、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間の複数のビューの中から、X線照射部及びX線検出部のうち少なくともいずれかにおいて不具合が生じたタイミングに対応するビューを特定する。選択機能342は、特定機能341が特定したビューの角度及び数に基づいて、投影データセットを使用した画像再構成に関する処理を選択する。例えば、選択機能342は、処理A1、処理A2、処理A3、処理A4及び処理A5を含む複数の選択肢の中から、1つの処理を選択する。従って、第1の実施形態に係るX線診断システム1は、被検体Pの被ばく量を低減しつつ、画像再構成を適切に実行することができる。
例えば、不具合が生じなかった場合、選択機能342は、処理A1を選択する。この場合、X線CT装置10は、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間にX線検出部によって発生した複数のビューそれぞれの投影データセットを使用して、フル再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、不具合が生じた場合において、ビューの並び替えを伴わずにハーフ再構成可能である場合、選択機能342は、処理A2を選択する。この場合、X線CT装置10は、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューそれぞれの投影データセットを使用して、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、ハーフ再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、不具合が生じた場合において、ビューを並び替えるとハーフ再構成可能である場合、選択機能342は、処理A3を選択する。この場合、X線CT装置10は、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューそれぞれの投影データセットを使用して、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、ビューの並び替えを伴うハーフ再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、不具合が生じた場合において、ビューを並び替えてもハーフ再構成可能でない場合、選択機能342は、処理A4を選択する。この場合、X線CT装置10は、特定機能341が特定したビューの投影データセットの全部を再取得する。そして、X線CT装置10は、再取得した投影データセット、及び、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットを使用して、被検体Pの被ばく量の増加を抑制しつつ、フル再構成を適切に実行することができる。
或いは、不具合が生じた場合において、ビューを並び替えてもハーフ再構成可能でない場合、選択機能342は、処理A5を選択する。この場合、X線CT装置10は、特定機能341が特定したビューの投影データセットの一部を再取得する。そして、X線CT装置10は、再取得した投影データセット、及び、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットを使用して、被検体Pの被ばく量の増加をより抑制しつつ、ハーフ再構成を適切に実行することができる。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合に選択する処理として、特定したビューの投影データセットを再取得する処理A4又は処理A5について説明した。これに対して、第2の実施形態では、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合に選択する処理として、学習済みモデルを使用して、特定したビューの投影データセットを推定する処理について説明する。
第2の実施形態に係るX線診断システム1は、図1に示したX線診断システム1と同様の構成を有する。また、第2の実施形態に係るX線診断システム1は、図9に示すように、医用情報処理装置30がモデル記憶回路35を更に備えるとともに、処理回路34がモデル生成機能344及び推定機能345を更に実行する。なお、図9は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置30の構成の一例を示すブロック図である。以下、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、図1及び図2と同一の符号を付し、説明を省略する。
モデル生成機能344は、少なくとも2つのビューの投影データセットの入力を受け付けて、当該少なくとも2つのビューの間のビューの投影データセットを推定するように機能付けられた学習済みモデルM1を生成する。また、モデル記憶回路35は、モデル生成機能344が生成した学習済みモデルM1を記憶する。また、推定機能345は、モデル記憶回路35が記憶する学習済みモデルM1に少なくとも2つのビューの投影データセットを入力することにより、当該少なくとも2つのビューの間のビューの投影データセットを推定させる。なお、モデル記憶回路35は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。或いは、モデル記憶回路35は、クラウドにより実現されることとしてもよい。
以下、図10A及び図10Bを用いて、学習済みモデルM1の生成処理の一例について説明する。図10A及び図10Bは、第2の実施形態に係る学習済みモデルM1の学習データの一例を示す図である。例えば、モデル生成機能344は、X線CT装置10において過去に実行され、X線照射部及びX線検出部において不具合が生じなかったスキャンにおいて取得された投影データセットを、X線CT装置10又は画像保管装置20から取得する。一例を挙げると、モデル生成機能344は、図10A及び図10Bに示すように、ビューV401からビューV418までの「18ビュー」を含む複数のビューの投影データセットを取得する。
次に、モデル生成機能344は、取得した投影データセットの一部を入力側データ、他の一部を出力側データとする機械学習を実行することにより、学習済みモデルM1を生成する。ここで、学習済みモデルM1は、例えば、ニューラルネットワーク(Neural Network)により構成することができる。ニューラルネットワークとは、層状に並べた隣接層間が結合した構造を有し、情報が入力層側から出力層側に伝播するネットワークである。例えば、モデル生成機能344は、図10A及び図10Bに示した学習データを用いて、多層のニューラルネットワークについて深層学習(ディープラーニング)を実行することで、学習済みモデルM1を生成する。なお、多層のニューラルネットワークは、例えば、入力層と、複数の中間層(隠れ層)と、出力層とにより構成される。
一例を挙げると、モデル生成機能344は、図10Aに示すように、ビューV402からビューV404までの「3ビュー」の投影データセット、及び、ビューV415からビューV417までの「3ビュー」の投影データセットを入力側データとしてニューラルネットワークに入力する。ここで、ニューラルネットワークにおいては、例えば、入力層側から出力層側に向かって一方向に隣接層間でのみ結合しながら情報が伝播し、出力層からは、ビューV405からビューV414までの「10ビュー」の投影データセットの推定結果が出力される。即ち、出力層からは、ビューV402~V404及びビューV415~V417の間の投影データセットを推定した投影データセットが出力される。
そして、モデル生成機能344は、入力側データを入力した際にニューラルネットワークが好ましい結果を出力することができるよう、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。例えば、モデル生成機能344は、投影データセット間の近さを表す関数(誤差関数)を用いて、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。一例を挙げると、モデル生成機能344は、出力側データとして入力した投影データセットとニューラルネットワークが推定した投影データセットとの間の誤差関数をビューV406~ビューV414のそれぞれについて算出し、算出した誤差関数の和が極小となるようにパラメータを調整する。即ち、モデル生成機能344は、誤差関数の和が極小となるようにニューラルネットワークを学習させる。
また、モデル生成機能344は、図10Bに示すように、ビューV403からビューV405までの「3ビュー」の投影データセット、及び、ビューV416からビューV418までの「3ビュー」の投影データセットを入力側データとして使用し、ビューV406からビューV415までの「10ビュー」の投影データセットを出力側データとして使用して、ニューラルネットワークを学習させる。
更に、モデル生成機能344は、入力側データとして使用する投影データセットのビュー数、及び、出力側データとして使用する投影データセットのビュー数を変更しながら、ニューラルネットワークを学習させる。例えば、図10A及び図10Bは、入力側データとして「6ビュー」の投影データセットを使用する場合を示すが、モデル生成機能344は、入力側データとして、「10ビュー」の投影データセットや「2ビュー」の投影データセットを使用して、ニューラルネットワークを学習させる。一例を挙げると、モデル生成機能344は、ビューV404の投影データセット及び、ビューV415の投影データセットを入力側データとして使用し、ビューV406からビューV415までの「10ビュー」の投影データセットを出力側データとして使用して、ニューラルネットワークを学習させる。
また、例えば、図10A及び図10Bは、出力側データとして「10ビュー」の投影データセットを使用する場合を示すが、モデル生成機能344は、入力側データとして、「8ビュー」の投影データセットや「16ビュー」の投影データセットを使用して、ニューラルネットワークを学習させる。一例を挙げると、モデル生成機能344は、ビューV401の投影データセット、及び、ビューV418の投影データセットを入力側データとして使用し、ビューV402からビューV417までの「16ビュー」の投影データセットを出力側データとして使用して、ニューラルネットワークを学習させる。
上述したように、モデル生成機能344は、入力側データとして選択する投影データセット、及び、出力側データとして選択する投影データセットを変更しながらニューラルネットワークを学習させる。これにより、モデル生成機能344は、少なくとも2つのビューの投影データセットの入力を受け付けて、その間のビューの投影データセットを推定するように機能付けられた学習済みモデルM1を生成する。また、モデル生成機能344は、生成した学習済みモデルM1をモデル記憶回路35に記憶させる。
なお、学習済みモデルM1がニューラルネットワークにより構成されるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。即ち、モデル生成機能344は、ニューラルネットワーク以外の機械学習手法により、学習済みモデルM1を生成してもよい。例えば、モデル生成機能344は、SVM(サポートベクターマシン)等のデータの分類を行なう機械学習手法によって、学習済みモデルM1を生成してもよい。
モデル生成機能344が学習済みモデルM1を生成してモデル記憶回路35に記憶させた後、X線CT装置10は、被検体Pに対するスキャンを実行する。即ち、X線照射部は、被検体Pの周囲を回転しながら、被検体Pに対してX線を照射する。また、X線検出部は、被検体Pを透過した被検体Pを透過したX線を検出し、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間に、複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生する。例えば、X線検出部は、図11に示すビューV501からビューV518までの「18ビュー」を含む複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生する。なお、図11は、第2の実施形態に係る投影データセットの一例を示す図である。
次に、特定機能341は、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間の複数のビューの中から、X線照射部及びX線検出部のうち少なくともいずれかにおいて不具合が生じたタイミングに対応するビューを特定する。例えば、特定機能341は、不具合が生じたタイミングに対応するビューとして、図11に示すビューV505からビューV514までの「10ビュー」を特定する。また、特定機能341は、特定したビューの投影データセットに対してラベル付けを行なう。なお、図11においては、特定機能341が特定したビューの投影データセットをラベル「×」で示し、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットをラベル「○」で示す。
次に、選択機能342は、特定機能341が特定したビューの角度及び数に基づいて画像再構成に関する処理を選択する。例えば、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの並び替えを伴わずにハーフ再構成の条件を満たす場合、選択機能342は、処理A2を選択する。また、ビューを並び替えるとハーフ再構成の条件を満たす場合、選択機能342は、処理A3を選択する。また、ビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合、選択機能342は、学習済みモデルM1を使用して投影データセットを推定する処理A6を選択する。
より具体的には、処理A6は、特定機能341が特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能341が特定したビューの投影データセットを推定する処理である。例えば、図11に示す場合、処理A6は、少なくともビューV504及びビューV515を含む複数のビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、ビューV505~ビューV515の投影データセットを推定する処理である。なお、以下では、ビューを並び替えてもハーフ再構成可能でない場合について説明する。即ち、以下では、選択機能342が処理A6を選択した場合について説明する。
次に、制御機能343は、選択機能342が選択した処理A6を示す情報をX線CT装置10に対して送信する。この場合、X線CT装置10は、例えば、特定機能341が特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを、医用情報処理装置30に対して送信する。一例を挙げると、X線CT装置10は、図11に示したビューV502からビューV504までの「3ビュー」の投影データセットと、ビューV515からビューV517までの「3ビュー」の投影データセットとを医用情報処理装置30に対して送信する。
次に、推定機能345は、モデル記憶回路35から学習済みモデルM1を読み出し、特定機能341が特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能341が特定したビューの投影データセットを推定させる。一例を挙げると、推定機能345は、図12に示すように、ビューV502からビューV504までの「3ビュー」の投影データセットと、ビューV515からビューV517までの「3ビュー」の投影データセットとを学習済みモデルM1に入力することで、ビューV505からビューV514までの「10ビュー」の投影データセットを推定させる。なお、図12は、第2の実施形態に係る学習済みモデルM1の使用例を示す図である。
なお、図12においては、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットのみを学習済みモデルM1に入力するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、モデル生成機能344は、放電現象の発生中や立ち上がり期間中に収集されたことによりスペクトル形状が変化したビューの投影データセットと、スペクトル形状が変化したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットとの入力を受け付けて、スペクトル形状が変化したビューの投影データセットを変形させることにより当該少なくとも2つのビューの間のビューの投影データセットを推定するように機能付けられた学習済みモデルM1を生成する。この場合、推定機能345は、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットのうち、特定機能341が特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットと、特定機能341が特定したビューの投影データセットとを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能341が特定したビューの投影データセットを推定させる。
次に、制御機能343は、推定機能345により推定されたビューV505からビューV514までの「10ビュー」の投影データセットを、X線CT装置10に送信する。この場合、X線CT装置10は、推定機能345により推定された投影データセット及び特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットを使用してフル再構成を実行する。即ち、X線診断システム1は、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、フル再構成を適切に実行することができる。
また、これまで、フル再構成を実行する処理A6について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、選択機能342は、処理A6に代えて、ハーフ再構成を実行する処理を選択してもよい。例えば、選択機能342は、学習済みモデルM1を用いて、特定機能341が特定したビューの投影データセットの一部を推定し、推定した投影データセット、及び、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットを用いてハーフ再構成を実行する処理を選択する。
一例を挙げると、ファン角が「45°」であるスキャンにおいて、スキャンの最中に不具合が2回発生し、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間の「800ビュー」のうち、1回目の不具合によって「100ビュー」の投影データセットが欠損し、2回目の不具合によって「280ビュー」の投影データセットが欠損したとする。この場合、特定機能341は、1回目の不具合が生じたタイミングに対応する「100ビュー」と、2回目の不具合が生じたタイミングに対応する「280ビュー」とを特定する。ここで、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの数は「420ビュー」である。また、「400ビュー」は「189°」に対応し、「180°+45°」を超えないため、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件は満たさない。
ここで、1回目の不具合が生じたタイミングに対応する「100ビュー」の投影データセットを推定した場合、推定した投影データセットのビューの数「100ビュー」と、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの数「420ビュー」との和は「520ビュー」となる。また、「520ビュー」は「234°」に対応し、「180°+45°」を超えるため、ハーフ再構成の条件を満たすこととなる。
また、2回目の不具合が生じたタイミングに対応する「280ビュー」の投影データセットを推定した場合、推定した投影データセットのビューの数「280ビュー」と、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの数「420ビュー」との和は「700ビュー」となる。また、「700ビュー」は「315°」に対応し、「180°+45°」を超えるため、ハーフ再構成の条件を満たすこととなる。
即ち、1回目の不具合が生じたタイミングに対応する「100ビュー」の投影データセットと、2回目の不具合が生じたタイミングに対応する「280ビュー」の投影データセットとのいずれか一方を推定すれば、ハーフ再構成の条件を満たすこととなる。ここで、学習済みモデルM1による投影データセットの推定は、推定の対象となる投影データセットのビュー数が少ないほど精度が向上する。
例えば、「280ビュー」の投影データセットを推定する場合、推定機能345は、「280ビュー」の投影データセットの前後のビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力する。この場合、学習済みモデルM1は、入力された投影データセットから最大で「140ビュー」離れた投影データセットを推定することとなる。一方で、「100ビュー」の投影データセットを推定する場合には、学習済みモデルM1は、入力された投影データセットから最大で「50ビュー」離れた投影データセットを推定することとなる。
従って、2回目の不具合が生じたタイミングに対応する「280ビュー」の投影データセットを推定する場合より、1回目の不具合が生じたタイミングに対応する「100ビュー」の投影データセットを推定する方が、投影データセット推定の精度は向上することとなる。そこで、選択機能342は、特定機能341が特定したビューのうち、1回目の不具合が生じたタイミングに対応する「100ビュー」の投影データセットを推定する処理を選択する。
例えば、選択機能342は、推定した「100ビュー」の投影データセット、及び、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えなくてもハーフ再構成の条件を満たす場合、ビューの並び替えを伴わずにハーフ再構成を実行する処理A7を選択する。処理A7は、より具体的には、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合において、特定機能341が特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能341が特定したビューの投影データセットの一部を推定し、推定した投影データセット及び特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューについて並び替えを行なわずに、ハーフ再構成を実行する処理である。
また、例えば、選択機能342は、推定した「100ビュー」の投影データセット、及び、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えるとハーフ再構成の条件を満たす場合、ビューの並び替えを伴ってハーフ再構成を実行する処理A8を選択する。処理A8は、より具体的には、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合において、特定機能341が特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能341が特定したビューの投影データセットの一部を推定し、推定した投影データセット及び特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットについて並び替えを行なった後に、ハーフ再構成を実行する処理である。
また、これまで、学習済みモデルM1を用いて投影データセットを推定する処理を、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たさない場合に選択するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。即ち、選択機能342は、学習済みモデルM1を用いて投影データセットを推定する処理を、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たす場合に選択してもよい。
一例を挙げると、ファン角が「45°」であるスキャンにおいて、スキャンの最中に不具合が1回発生し、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間の「800ビュー」のうち「100ビュー」の投影データセットが欠損したとする。この場合、特定機能341は、不具合が生じたタイミングに対応する「100ビュー」を特定する。ここで、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの数は「700ビュー」である。また、「700ビュー」は「315°」に対応し、「180°+45°」を超えるため、ハーフ再構成の条件を満たすこととなる。
ここで、選択機能342は、例えば、ユーザからの入力操作に応じて、ビューの並び替えを伴わずにハーフ再構成を行なう処理A2と、特定機能341が特定したビューの全部を推定してフル再構成を行なう処理A9とのいずれか一方を選択する。処理A9は、より具体的には、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たす場合において、特定機能341が特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能341が特定したビューの投影データセットの全部を推定し、推定した投影データセット及び特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットを用いてフル再構成を実行する処理である。
或いは、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えるとハーフ再構成の条件を満たす場合、選択機能342は、ビューの並び替えを伴ってハーフ再構成を行なう処理A3と、特定機能341が特定したビューの全部を推定してフル再構成を行なう処理A9とのいずれか一方を選択する。
上述したように、第2の実施形態によれば、選択機能342は、処理A6、処理A7、処理A8及び処理A9を含む複数の選択肢の中から、1つの処理を選択する。従って、第2の実施形態に係るX線診断システム1は、被検体Pの被ばく量を低減しつつ、画像再構成を適切に実行することができる。
例えば、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合、選択機能342は、処理A6を選択する。この場合、推定機能345は、モデル記憶回路35から学習済みモデルM1を読み出し、特定機能341が特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能341が特定したビューの投影データセットの全部を推定させる。そして、X線CT装置10は、推定された投影データセット、及び、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットを使用して、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、フル再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合、選択機能342は、処理A7を選択する。この場合、推定機能345は、モデル記憶回路35から学習済みモデルM1を読み出し、特定機能341が特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能341が特定したビューの投影データセットの一部を推定させる。そして、X線CT装置10は、推定された投影データセット、及び、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットを使用して、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、ハーフ再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合、選択機能342は、処理A8を選択する。この場合、推定機能345は、モデル記憶回路35から学習済みモデルM1を読み出し、特定機能341が特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能341が特定したビューの投影データセットの一部を推定させる。そして、X線CT装置10は、推定された投影データセット及び特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットについて並び替えを行なった後に、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、ハーフ再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たす場合において、選択機能342は、処理A9を選択する。この場合、推定機能345は、モデル記憶回路35から学習済みモデルM1を読み出し、特定機能341が特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能341が特定したビューの投影データセットの全部を推定させる。そして、X線CT装置10は、推定された投影データセット、及び、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットを使用して、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、フル再構成を適切に実行することができる。
(第3の実施形態)
これまで第1~第2の実施形態について説明したが、上述した第1~第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した実施形態では、画像再構成に関する処理の例として、処理A1~処理A9について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。一例を挙げると、特定機能341は、まず、不具合が生じたタイミングに対応するビューを特定する。ここで、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たす場合において、選択機能342は、特定機能341が特定したビューの投影データセットの一部を再取得する処理A10を選択する。
この場合、X線CT装置10は、オーバースキャンを実行して、特定機能341が特定したビューの投影データセットの全部を再取得し、再取得された投影データセットと、特定機能341が特定したビュー以外の残りのビューそれぞれの投影データセットとを使用してフル再構成を実行する。例えば、選択機能342は、ユーザからの入力操作に応じて、フル再構成に代えてハーフ再構成を実行する際に生じる均一性低下を許容できる場合には処理A2又は処理A3を選択し、許容できない場合には処理A10を選択する。
その他、画像再構成に関する処理については種々の変形が可能である。即ち、選択機能342は、画像再構成に関する処理として、処理A1~処理A10を含む複数の選択肢の中から1つの処理を選択する。
また、上述した実施形態では、医用情報処理装置30における処理回路34が、特定機能341及び選択機能342を実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線CT装置10における処理回路144が、特定機能341及び選択機能342に対応する機能を実行する場合であってもよい。
例えば、処理回路144は、図13に示すように、システム制御機能144a、前処理機能144b、生成機能144c及び制御機能144dに加えて、特定機能144e及び選択機能144fを更に実行する。特定機能144eは、特定機能341に対応した機能である。選択機能144fは、選択機能342に対応した機能である。なお、図13は、第3の実施形態に係るX線CT装置10の構成の一例を示すブロック図である。
例えば、X線CT装置10におけるX線照射部は、システム制御機能144aによる制御の下、被検体Pの周囲を回転しながら、被検体Pに対してX線を照射する。また、X線検出部は、被検体Pを透過したX線を検出し、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間に、複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生する。また、特定機能144eは、X線照射部が被検体Pの周囲を1回転する間の複数のビューの中から、X線照射部及びX線検出部のうち少なくともいずれかにおいて不具合が生じたタイミングに対応するビューを特定する。次に、選択機能144fは、特定機能144eが特定したビューの角度及び数に基づいて、X線検出部により発生した投影データセットを使用した画像再構成に関する処理を選択する。
例えば、X線照射部及びX線検出部のいずれにおいても不具合が生じなかった場合、選択機能144fは、処理A1を選択する。この場合、前処理機能144bは、X線検出部により発生した投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したフル再構成を実行し、画像データを生成する。即ち、選択機能144fが処理A1を選択した場合において、X線CT装置10は、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、フル再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、不具合が生じた場合において、ビューの並び替えを伴わずにハーフ再構成可能である場合、選択機能144fは、処理A2を選択する。この場合、前処理機能144bは、特定機能144eが特定したビュー以外の残りのビューそれぞれの投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したハーフ再構成を実行し、画像データを生成する。即ち、選択機能144fが処理A2を選択した場合において、X線CT装置10は、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、ハーフ再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、不具合が生じた場合において、ビューを並び替えるとハーフ再構成可能である場合、選択機能144fは、処理A3を選択する。この場合、前処理機能144bは、特定機能144eが特定したビュー以外の残りのビューを並び替えるとともに、並び替え後のビューそれぞれの投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、並び替え及び各種の前処理が施された後の投影データセットを使用したハーフ再構成を実行し、画像データを生成する。即ち、選択機能144fが処理A3を選択した場合において、X線CT装置10は、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、ビューの並び替えを伴ったハーフ再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、不具合が生じた場合において、ビューを並び替えてもハーフ再構成可能でない場合、選択機能144fは、処理A4を選択する。この場合、システム制御機能144aは、オーバースキャンを実行し、特定機能144eが特定したビューの投影データセットの全部を再取得する。次に、前処理機能144bは、オーバースキャンにより再取得された投影データセット、及び、特定機能144eが特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したフル再構成を実行し、画像データを生成する。即ち、選択機能144fが処理A4を選択した場合において、X線CT装置10は、被検体Pの被ばく量の増加を抑制しつつ、フル再構成を適切に実行することができる。
或いは、不具合が生じた場合において、ビューを並び替えてもハーフ再構成可能でない場合、選択機能144fは、処理A5を選択する。この場合、システム制御機能144aは、オーバースキャンを実行し、特定機能144eが特定したビューの投影データセットの一部を再取得する。次に、前処理機能144bは、オーバースキャンにより再取得された投影データセット、及び、特定機能144eが特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したハーフ再構成を実行し、画像データを生成する。即ち、選択機能144fが処理A5を選択した場合において、X線CT装置10は、被検体Pの被ばく量の増加を抑制しつつ、ハーフ再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、特定機能144eが特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たす場合において、選択機能144fは、処理A10を選択する。この場合、システム制御機能144aは、オーバースキャンを実行し、特定機能144eが特定したビューの投影データセットの全部を再取得する。次に、前処理機能144bは、オーバースキャンにより再取得された投影データセット、及び、特定機能144eが特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したフル再構成を実行し、画像データを生成する。即ち、選択機能144fが処理A10を選択した場合において、X線CT装置10は、被検体Pの被ばく量の増加を抑制しつつ、フル再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、処理回路144は、図13に示すように、モデル生成機能144g及び推定機能144hを更に実行してもよい。ここで、モデル生成機能144gは、モデル生成機能344に対応した機能である。また、推定機能144hは、推定機能345に対応した機能である。また、X線CT装置10は、図13に示すように、モデル記憶回路145を更に備えてもよい。
モデル生成機能144gは、少なくとも2つのビューの投影データセットの入力を受け付けて、当該少なくとも2つのビューの間のビューの投影データセットを推定するように機能付けられた学習済みモデルM1を生成する。また、モデル記憶回路145は、モデル生成機能144gが生成した学習済みモデルM1を記憶する。また、推定機能144hは、モデル記憶回路145が記憶する学習済みモデルM1に少なくとも2つのビューの投影データセットを入力することにより、当該少なくとも2つのビューの間のビューの投影データセットを推定させる。なお、モデル記憶回路145は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。或いは、モデル記憶回路145は、クラウドにより実現されることとしてもよい。
例えば、ビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合において、選択機能144fは、処理A6を選択する。この場合、推定機能144hは、モデル記憶回路145から学習済みモデルM1を読み出し、特定機能144eが特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能144eが特定したビューの投影データセットの全部を推定させる。次に、前処理機能144bは、推定された投影データセット、及び、特定機能144eが特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したフル再構成を実行し、画像データを生成する。即ち、選択機能144fが処理A6を選択した場合において、X線CT装置10は、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、フル再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、ビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合において、選択機能144fは、処理A7を選択する。この場合、推定機能144hは、モデル記憶回路145から学習済みモデルM1を読み出し、特定機能144eが特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能144eが特定したビューの投影データセットの一部を推定させる。次に、前処理機能144bは、推定された投影データセット、及び、特定機能144eが特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したハーフ再構成を実行し、画像データを生成する。即ち、選択機能144fが処理A7を選択した場合において、X線CT装置10は、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、ハーフ再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、ビューを並び替えてもハーフ再構成の条件を満たさない場合において、選択機能144fは、処理A8を選択する。この場合、推定機能144hは、モデル記憶回路145から学習済みモデルM1を読み出し、特定機能144eが特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能144eが特定したビューの投影データセットの一部を推定させる。次に、前処理機能144bは、推定された投影データセット及び特定機能144eが特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットについて並び替えを行なうとともに、並び替え後の投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、並び替え及び各種の前処理が施された後の投影データセットを使用したハーフ再構成を実行し、画像データを生成する。即ち、選択機能144fが処理A8を選択した場合において、X線CT装置10は、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、ビューの並び替えを伴ったハーフ再構成を適切に実行することができる。
また、例えば、特定機能144eが特定したビュー以外の残りのビューがハーフ再構成の条件を満たす場合において、選択機能144fは、処理A9を選択する。この場合、推定機能144hは、モデル記憶回路145から学習済みモデルM1を読み出し、特定機能144eが特定したビューの前後のビューを含む少なくとも2つのビューの投影データセットを学習済みモデルM1に入力することにより、特定機能144eが特定したビューの投影データセットの全部を推定させる。次に、前処理機能144bは、推定された投影データセット、及び、特定機能144eが特定したビュー以外の残りのビューの投影データセットに対して各種の前処理を施す。そして、生成機能144cは、前処理が施された後の投影データセットを使用したフル再構成を実行し、画像データを生成する。即ち、選択機能144fが処理A9を選択した場合において、X線CT装置10は、被検体Pの被ばく量を増加させることなく、フル再構成を適切に実行することができる。
なお、図1、図2、図9及び図13にて説明した構成はあくまで一例であり、適宜の変更が可能である。一例を挙げると、X線CT装置10におけるモデル記憶回路145は、医用情報処理装置30におけるモデル生成機能344により生成された学習済みモデルM1を記憶してもよい。この場合、推定機能144hは、モデル生成機能344により生成された学習済みモデルM1を使用して、投影データセットを推定する処理を実行することとなる。また、一例を挙げると、医用情報処理装置30における選択機能342が処理A6、処理A7、処理A8及び処理A9のいずれかを選択した場合において、X線CT装置10における推定機能144hが、モデル記憶回路145に記憶された学習済みモデルM1を使用して、投影データセットを推定する処理を実行してもよい。その他、図1、図2、図9及び図13に示した各機能は、X線診断システム1に含まれる1つの装置又は複数の装置に適宜に分散させることができる。
また、上述した実施形態では、X線CT装置10により実行されるボリュームスキャンを例として説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態は、Cアームを備えたX線診断装置40により実行される回転撮影についても同様に適用が可能である。なお、Cアームを備えたX線診断装置40とは、例えば、アンギオ装置である。
例えば、X線診断システム1は、X線CT装置10に代えて、又はX線CT装置10に加えて、X線診断装置40を含む。また、X線診断装置40においては、Cアームにより、X線管とX線検出器とが被検体Pを挟んで対向するように保持される。ここで、X線管はX線照射部の一例であり、X線検出器はX線検出部の一例である。被検体Pに対する回転撮影を実行する際、X線管は、Cアームの動作によって被検体Pの周囲を回転しながら、被検体Pに対してX線を照射する。また、X線検出器は、被検体Pを透過したX線を検出し、X線管が被検体Pの周囲を1回転する間に、複数のビューそれぞれについて投影データセットを発生する。
例えば、医用情報処理装置30における特定機能341は、回転撮影の最中に生じた不具合のタイミングに対応するビューを特定する。即ち、特定機能341は、X線管が被検体Pの周囲を1回転する間の複数のビューの中から、X線管及びX線検出器のうち少なくともいずれかにおいて不具合が生じたタイミングに対応するビューを特定する。次に、選択機能342は、特定機能341が特定したビューの角度及び数に基づいて、X線検出器により発生した投影データセットを使用した画像再構成に関する処理を選択する。そして、制御機能343は、選択機能342が選択した処理を示す情報をX線診断装置40に対して送信し、X線診断装置40は、受信した情報に基づく処理を実行する。
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、上述した実施形態で説明した制御方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、被ばく量を低減しつつ、画像再構成を適切に実行することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。