以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
以下の実施形態には、硬貨および紙葉類を処理する出納機に通信線で接続された貨幣管理装置に本発明を適用した例が示されている。
本実施形態において、ドロア24a〜24dが特許請求の範囲に記載の「収納庫」に対応し、紙幣収納容器100および硬貨収納容器150が特許請求の範囲に記載の「収納部」に対応する。また、入力部21および通信部205が特許請求の範囲に記載の「受付部」に対応する。さらに、対象容器報知部120、170が特許請求の範囲に記載の「第1の報知部」に対応する。表示灯121、171が特許請求の範囲に記載の「表示部」に対応する。
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。また、特許請求の範囲の構成と後述する変更例の構成の対応付けについても同様である。
図1は、本実施形態に係る貨幣処理システム1の外観を示す斜視図である。
貨幣処理システム1は、出納機10と貨幣管理装置20とを備えている。通常、貨幣管理装置20は、出納機10の近辺に配置される。出納機10で出金できない大量現金の支払いが貨幣管理装置20から行われ、出納機10に収納しきれなくなった硬貨や紙幣が貨幣管理装置20に移される。また、出納機10に貨幣が少なくなった場合は、貨幣管理装置20から紙幣や硬貨が取り出されて出納機10に戻される。出納機10と貨幣管理装置20は、通信線により接続され、互いに通信可能である。
出納機10は、束紙幣を処理する束紙幣処理ユニット11と、バラ紙幣を処理するバラ紙幣処理ユニット12と、包装硬貨を処理する包装硬貨処理ユニット13と、バラ硬貨を処理するバラ硬貨処理ユニット14とを備えている。束紙幣処理ユニット11には、束紙幣を出金する束紙幣出金口11aと束紙幣を入金する束紙幣入金口11bが設けられている。バラ紙幣処理ユニット12には、バラ紙幣を出金するバラ紙幣出金口12aとバラ紙幣を入金するバラ紙幣入金口12bが設けられている。また、包装硬貨処理ユニット13には、包装硬貨を出金する包装硬貨出金口13aが設けられ、バラ硬貨処理ユニット14には、バラ硬貨を出金するバラ硬貨出金口14aが設けられている。
さらに、出納機10は、入力部15と、出納機モニター16と、カードリーダ17と、プリンタ18を備えている。入力部15と出納機モニター16は、それぞれ、機械式のキーボードおよびモニタであり、出納機10に対する操作者のインタフェースとして利用される。カードリーダ17は、操作者が所持するIDカードを読み取る。プリンタ18は、レシート発行装置として機能する。本実施形態では、後述のように、出納機10から貨幣管理装置20に貨幣を移す際に、連動番号(4桁の数字)が印字されたレシートがプリンタ18により発行され、操作者に渡される。
図2は、本実施形態に係る貨幣管理装置20の外観を示す斜視図である。
貨幣管理装置20は、入力部21と、貨幣管理装置モニター22と、カードリーダ23と、4つのドロア24a〜24dと、を備えている。入力部21と貨幣管理装置モニター22は、それぞれ、機械式のキーボードおよびモニタであり、貨幣管理装置20に対する操作者のインタフェースとして利用される。カードリーダ23は、IDカードを読み取って操作者のID情報を取得する。カードリーダ23はIDカードを走査させるためのスリットを備えている。
4つのドロア24a〜24dは、それぞれ、装置本体20aから前方に引き出された開放位置と装置本体20aの内部に収納された閉塞位置の間を水平方向に移動可能に装置本体20aに支持されている。図2には、ドロア24a〜24dが閉塞位置にある状態が示されている。
4つのドロア24a〜24dは、それぞれ、収納する貨幣の金種が決まっている。本実施形態では、最上段のドロア24aは1万円紙幣の収納に用いられ、2段目のドロア24bはその他の金種の紙幣の収納に用いられる。また、3段目のドロア24cは100円、10円および1円の硬貨の収納に用いられ、最下段のドロア24dは500円、50円および5円の硬貨の収納に用いられる。ドロア24a〜24dは、ロック機構201(図1には図示せず、図5参照)によって、それぞれ個別に、閉塞位置にロックされている。ドロア24a〜24dは、バネ等の付勢手段によって開放方向に付勢されている。したがって、ドロア24a〜24dは、それぞれ、ロック機構201によるロックが解除されると、付勢手段による付勢によって、僅かに引き出される。
本実施形態において、紙幣は、100枚が結束された小束紙幣および10束の小束紙幣が結束された大束紙幣の形態で、ドロア24a、24bに収納される。また、硬貨は、50枚ごとに包装された包装硬貨の形態で、ドロア24c、24dに収納される。操作者は、小束紙幣または大束紙幣を出納機10の束紙幣出金口11aから取出して、ドロア24a、24bに収納し、また、包装硬貨を出納機10の包装硬貨出金口13aから取出して、ドロア24c、24dに収納する。
図3(a)、(b)は、それぞれ、小束紙幣および大束紙幣を模式的に示す図、図3(c)、(d)は、それぞれ、包装硬貨の構成を模式的に示す図である。図3(b)に示すように、大束紙幣は、10束の小束紙幣を重ねた状態で、長手方向と短手方向に紙帯で結束した構成となっている。また、図3(d)に示すように、10個の包装硬貨が輪ゴム等で束状に纏められてドロア24c、24dに収納される場合もある。
図4(a)、(b)は、それぞれ、2段目のドロア24bの構成を示す平面図および右側面図であり、図4(c)、(d)は、それぞれ、3段目のドロア24cの構成を示す平面図および右側面図である。
ドロア24bには、3種類の金種の紙幣の束が、規則正しく収納保管される。図4(a)、(b)の例では、ドロア24bの上面に、合計10個の紙幣収納容器100が、左右2列、前後5列となるように配置されており、紙幣収納容器100ごとに、収納保管される紙幣の金種が決められている。本実施形態では、最前列から3列目までの6個の紙幣収納容器100に1千円の金種が割り当てられており、4列目の2個の紙幣収納容器100に5千円の金種が割り当てられており、5列目の2個の紙幣収納容器100に2千円の金種が割り当てられている。金種の割り当ては、所定の設定操作により、紙幣収納容器100の単位で設定することができる。
紙幣収納容器100は、上面が開放された長方形状の収納凹部100aを有する容器であり、合計20束の小束紙幣または合計2束の大束紙幣を2段積みにて収納することができる。紙幣収納容器100の左右の縁部には、その紙幣収納容器100に収納される紙幣の金種名が表示された金種ラベル101が貼り付けられている。
紙幣収納容器100の下方には、ロードセル110が配置され、このロードセル110によって紙幣収納容器100に収納された紙幣の総重量が計測される。
ドロア24bの上面には、対象容器報知部120が備えられている。対象容器報知部120は、紙幣収納容器100ごとに設けられた、合計10個の表示灯121を含む。表示灯121は、たとえば、LEDで構成される。左側の列の5個の紙幣収納容器100には、各々に対応する表示灯121が、各々の左方近傍に設けられており、右側の列の5個の紙幣収納容器100には、各々に対応する表示灯121が、各々の右方近傍に設けられている。
対象容器報知部120は、表示灯121を点滅させることにより、その表示灯121に対応する紙幣収納容器100が、後述の取引情報によって特定される金種の紙幣が収納または取出されるべき紙幣収納容器100であることを操作者に報知する。
ドロア24aもドロア24bと同様の構成となっている。ただし、ドロア24aでは、全て(10個)の紙幣収納容器100に1万円の金種が割り当てられている。
ドロア24cには、3種類の金種の包装硬貨が、規則正しく収納保管される。図4(c)、(d)の例では、ドロア24cの上面に、合計12個の硬貨収納容器150が、左右2列、前後6列となるように配置されており、硬貨収納容器150ごとに、収納保管される硬貨の金種が決められている。本実施形態では、最前列と2列目の4個の硬貨収納容器150に100円の金種が割り当てられており、3列目と4列目の4個の硬貨収納容器150に10円の金種が割り当てられており、5列目と6列目の4個の硬貨収納容器150に1円の金種が割り当てられている。金種の割り当ては、所定の設定操作により、硬貨収納容器150の単位で設定することができる。
硬貨収納容器150は、上面が開放された横に延びた菱形状の収納凹部150aを有する容器であり、合計10本の包装硬貨を収納することができる。硬貨収納容器150の左右の縁部には、その硬貨収納容器150に収納される硬貨の金種名が表示された金種ラベル151が貼り付けられている。
硬貨収納容器150の下方には、ロードセル160が配置され、このロードセル160によって硬貨収納容器150に収納された硬貨の総重量が計測される。
ドロア24cの上面には、対象容器報知部170が備えられている。対象容器報知部170は、硬貨収納容器150ごとに設けられた、合計12個の表示灯171を含む。表示灯171は、たとえば、LEDで構成される。左側の列の6個の硬貨収納容器150には、各々に対応する表示灯171が、各々の左方近傍に設けられており、右側の列の6個の硬貨収納容器150には、各々に対応する表示灯171が、各々の右方近傍に設けられている。
対象容器報知部170は、表示灯171を点滅させることにより、その表示灯171に対応する硬貨収納容器150が、後述の取引情報によって特定される金種の硬貨が収納または取出されるべき硬貨収納容器150であることを操作者に報知する。
ドロア24dもドロア24dと同様の構成となっている。ただし、ドロア24aでは、最前列と2列目の4個の硬貨収納容器150に500円の金種が割り当てられており、3列目と4列目の4個の硬貨収納容器150に50円の金種が割り当てられており、5列目と6列目の4個の硬貨収納容器150に5円の金種が割り当てられている。
図5、貨幣管理装置20の要部構成を示すブロック図である。
図5に示すように、貨幣管理装置20は、図1に示す入力部21、貨幣管理装置モニター22およびカードリーダ23、並びに図4に示すロードセル110、160および対象容器報知部120、170の他、ロック機構201、報知部202、制御部203、記憶部204および通信部205を備えている。上記のように、ロック機構201は、ドロア24a〜24dをそれぞれ閉塞状態にロックする。報知部202は、スピーカを備え、貨幣管理装置20に対する貨幣の入出金時に所定のガイダンス、メッセージ、その他の音声を出力する。
制御部203は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部204に記憶されたプログラムに従って、各部を制御する。記憶部204は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部203の動作プログラムを記憶し、また、制御部203の制御処理の際にワーク領域として利用される。記憶部204には、後述の取引操作時の制御プログラムが記憶されている。また、記憶部204には、各紙幣収納容器100および各硬貨収納容器150に割り当てられた金種が記憶される。
通信部205は、通信インタフェースであって、通信回線で出納機10の通信部と接続されている。上記のように、通信部205と出納機10の通信部との間の通信は、有線に限らず、無線で行われても良い。
図6(a)は、貨幣管理装置20の入力部21の構成を模式的に示す図である。
上記のように、入力部21は、機械式のキーボードにより構成されている。図6(a)に示すように、入力部21は、数字を入力するためのテンキーB11と、収納または取出す貨幣の数を束数または本数単位で入力するための束/本キーB12と、処理の指定または入力項目の確定を行うための実行キーB13と、処理の確定および確認を行うための完了キーB14と、カーソルを上下に移動させるためのカーソルキーB15と、を備えている。さらに、入力部21は、収納または取出す硬貨の金種を指定するための硬貨金種キーB16と、収納または取出す紙幣の金種を指定するための紙幣金種キーB17と、表示されているウィンドウを一つ前のウィンドウに戻す切替キーB18と、入力中の数値を訂正する訂正キーB19と、を備えている。硬貨金種キーB16および紙幣金種キーB17には、各キーに金種の表示が付されている。1千円札の紙幣金種キーB17と、1円硬貨の硬貨金種キーB16は、それぞれ、カーソルを左右方向に移動させるためのキーとして共用される。
たとえば、操作者が、貨幣管理装置20に対して、手動で、取引情報を入力する場合、操作者は、図6(a)に示す入力部21を操作して、貨幣管理装置20に収納または取出を行う貨幣の金種と数(小束の束数、包装硬貨の本数)を入力する。このとき、金種の入力は、硬貨金種キーB16または紙幣金種キーB17を用いて行われる。また、小束紙幣の束数や包装硬貨の本数の入力は、テンキーB11と束/本キーB12を用いて行われる。なお、大束紙幣を収納しまたは取出す場合、操作者は、該当金種を入力した上で、10束と入力する。
図6(b)、(c)は、それぞれ、操作者が小束紙幣および包装硬貨の収納を行う場合に貨幣管理装置モニター22に表示される画面の一例を示している。
図6(b)、(c)に示すように、入力画面は、領域R11〜領域R17を含んでいる。領域R11には、当該取引操作が収納に係るものであることが表示される。領域R12には、収納に関するシリアル番号が表示され、領域R13には、操作者のID情報が表示される。操作者のID情報は、操作者が自身のIDカードをカードリーダ24に読み取らせることにより取得される。領域R14には、入力操作の際に行われるべき手順が表示される。領域R15には、入力部21へ入力された情報が金種ごとに表示され、また、その合計額が表示される。領域R16には、画面の切り替えを行う場合の操作が表示される。領域R17には、現在の日時が表示される。
操作者は、自身が収納しようとする貨幣の取引情報(入金情報)を、図6(b)、(c)の画面を参照しながら、図6(a)の入力部21により入力する。そして、収納対象の貨幣に関する取引情報の入力が完了すると、操作者は、完了キーB14を押下して、入力を確定させる。
貨幣管理装置20から貨幣を取り出す場合も、上記収納時と同様の操作により、取り出す貨幣の金種と数(小束の束数、包装硬貨の本数)が入力部21を介して入力される。なお、取引操作が収納であるか取出であるかは、図6(b)、(c)の一つ前の受付画面で選択可能となっている。操作者は、この受付画面で取引操作が収納と取出の何れであるかを選択する。取引操作が取出である場合、図6(b)、(c)の領域R11には、「取出」の文字が表示される。
なお、本実施形態では、貨幣管理装置20と出納機10が通信可能であるため、出納機10から貨幣管理装置20に貨幣を移す場合は、通信により、取引情報(入金情報)が、出納機10から貨幣管理装置20に送信される。このとき、通信部205が取引情報を受信する。
この場合、操作者は、出納機10に対して自身のIDカードを読み取らせた上で、出納機10から貨幣管理装置20に移し替える貨幣の金種と貨幣の数(小束紙幣の束数、包装硬貨の本数)を出納機10に入力して、出納機10から当該貨幣を取り出す。このとき、出納機10は、こうして取出された貨幣に関する情報(金種と個数を含む)を、貨幣管理装置20において設定される取引情報(入金情報)として、固有の連動番号(4桁の数字)に紐づけて記憶し、記憶した連動番号が印字されたレシートをプリンタ18に出力させる。こうして、操作者は、当該貨幣の連動番号を取得する。
出納機10から取出した貨幣を貨幣管理装置20に収納する場合、操作者は、貨幣管理装置20に対して自身のIDカードを読み取らせた上で、レシートに印字された連動番号を貨幣管理装置20に入力する。これにより、当該貨幣を出納機10から取出す際に出納機10に記憶された取引情報(入金情報)が、貨幣管理装置20に送信される。こうして、図6(a)〜(c)を参照して説明した入力操作を行わずとも、取引情報(入金情報)が貨幣管理装置20に設定される。
図7は、取引操作時における貨幣管理装置20の処理を示すフローチャートである。この処理は、貨幣管理装置20の制御部203によって行われる。
図7を参照して、制御部203は、操作者から操作者IDの入力と取引情報の入力を受け付ける(S101)。操作者IDは、操作者が自身のIDカードをカードリーダ24に読み込ませることにより取得される。また、取引情報は、図6(a)〜(c)を参照して説明した手続により操作者が入力部21に入力することにより取得される。あるいは、出納機10から貨幣を移し替える場合は、出納機10で発行された連動番号を操作者が入力部21に入力することにより、取引情報(入金情報)が出納機10から貨幣管理装置20に送信される。取引情報とは、取引の種別(収納/取出)や取引対象貨幣の金種および個数、その合計額を含む、当該取り引きに関する情報である。
制御部203は、取引情報により特定される金種を、取引対象の金種(以下、「取引対象金種」という)に設定する(S102)。取引情報により特定される金種が複数あれば、制御部203は、それら複数の金種を取引対象金種に設定する。そして、制御部203は、取引対象金種の貨幣に対応するドロア(以下、「取引対象ドロア」という)のロックを解除する(S103)。さらに、制御部203は、対象容器報知部120、170を制御して、取引対象金種が割り当てられた紙幣収納容器100または硬貨収納容器150(以下、「取引対象容器」という)の報知を開始する(S104)。
図8(a)は、取引対象容器を報知する処理の詳細を示すフローチャートである。
図8(a)を参照して、制御部203は、取引の種別が収納であるか取出であるかを判定する(S201)。取引の種別が収納である場合(S201:収納)、制御部203は、各取引対象容器に設けられたロードセル110、160の測定重量に基づいて、貨幣が満杯の取引対象容器を検出する(S202)。そして、制御部203は、対象容器報知部120、170により、満杯でない取引対象容器の報知を行う(S203)。具体的には、制御部203は、満杯でない取引対象容器に対応する表示灯121、171を点滅させる。制御部203は、満杯でない取引対象容器に対応する表示灯121、171以外の表示灯121、171については消灯状態とする。
一方、取引の種別が取出である場合(S201:取出)、制御部203は、各取引対象容器に設けられたロードセル110、160の測定重量に基づいて、貨幣がカラの取引対象容器を検出する(S204)。そして、制御部203は、対象容器報知部120、170により、カラでない取引対象容器の報知を行う(S205)。具体的には、制御部203は、カラでない取引対象容器に対応する表示灯121、171を点滅させる。制御部203は、カラでない取引対象容器に対応する表示灯121、171以外の表示灯121、171については消灯状態とする。
なお、S203において、制御部203は、満杯でない取引対象容器に対応する表示灯121、171を点灯させるようにしてもよい。同様に、S205において、制御部203は、カラでない取引対象容器に対応する表示灯121、171を点灯させるようにしてもよい。また、表示灯121、171が複数の色を表示できれば、点滅(点灯と消灯の繰り返し)ではなく、一定の周期で色を変える表示態様が採られてもよい。
図7に戻り、取引対象容器の報知は、取引対象ドロアが閉塞されるまで(S105:YES)継続される。操作者は、表示灯121、171で示された取引対象容器に、その取引対象容器に割り当てられた金種の貨幣を全て収納しまたは取出すと、取引対象ドロアを閉じる。取引対象ドロアが閉塞されると(S105:YES)、制御部203は、取引対象容器の報知を終了させる(S106)。具体的には、制御部203は、点滅している表示灯121、171を消灯させる。そして、制御部203は、取引対象ドロアをロックする(S107)。
なお、取引対象ドロアが複数ある場合は、全ての取引対象ドロアについて、S103〜S107の処理が行われる。
S107の処理が終了すると、制御部203は、一連の取引操作に異常な操作が介在したか否かを判定する(S108)。
図8(b)は、S108で行われる異常操作の判定処理の詳細を示すフローチャートである。
制御部203は、図7のS103〜S107の処理が行われている間に、S301またはS302の異常条件に整合する操作が操作者によりなされたか否かを判定する。
S301では、取引対象金種とは異なる金種に対応する収納容器(紙幣収納容器100、硬貨収納容器150)が取引対象ドロアにおいて操作者によりアクセスされたことが異常条件に設定されている。具体的には、制御部203は、取引対象ドロアの各収納容器に設けられたロードセル110、160のログ情報(以下、「アンプログ」という)を参照する。そして、制御部203は、S103〜S107の処理が行われている間に、取引対象金種とは異なる金種に対応する収納容器に重量変化が生じた場合に、操作者の取引操作がS301の異常条件に整合すると判定する(S301:YES)。
S302では、取引対象金種に対応する収納容器(紙幣収納容器100、硬貨収納容器150)に収納された貨幣の個数(束数、個数)が、取引情報により特定される取引対象金種の貨幣の個数(束数、本数)と異なることが異常条件に設定されている。具体的には、制御部203は、取引対象ドロア上の取引対象金種に対応する収納容器に設けられたロードセル110、160のアンプログを参照する。そして、制御部203は、S103〜S107の処理が行われている間の重量差が、取引情報により特定される取引対象金種の貨幣の個数(束数、本数)に対応する重量差に整合しない場合に、操作者の取引操作がS302の異常条件に整合すると判定する(S302:YES)。
制御部203は、取引操作がS301およびS302の異常条件の少なくとも一つに整合する場合に、取引情報に合致する貨幣の取引(収納または取出)が行われず、その取引操作が異常操作に該当すると判定する(S303)。一方、制御部203は、取引操作がS301およびS302の異常条件の何れにも整合しない場合は、取引情報に合致する貨幣の取引(収納または取出)が行われ、その取引操作が正常操作に該当すると判定する(S304)。
なお、取引情報に基づく異常条件は、S301およびS302に記載された条件に限られず、他の条件がさらに追加されても良い。
図7に戻り、S108での異常操作の判定の結果、異常操作がなかった場合(S109:NO)、制御部203は、取引操作に係る処理を終了する。一方、異常操作があった場合(S109:YES)、制御部203は、異常操作が発生したドロア(以下、「異常対象ドロア」という)のロックを解除する(S110)。たとえば、異常操作が、取引対象金種とは異なる金種に対応する収納容器(紙幣収納容器100、硬貨収納容器150)への操作者のアクセスである場合、誤ってアクセスされた収納容器を有するドロアのロックが解除される。また、異常操作が、実際に取引(収納または取出)された貨幣の個数(束数、本数)が、取引情報により特定される貨幣の個数(束数、本数)と合致しないものである場合、合致しない金種に対応する収納容器を有するドロアのロックが解除される。
次に、制御部203は、対象容器報知部120、170を制御して、異常操作が発生した収納容器、即ち、異常の解消のため操作者に確認されるべき収納容器(以下、「異常対象容器」と称する)の報知を開始する(S111)。具体的には、制御部203は、異常対象容器に対応する表示灯121、171を点滅させる。制御部203は、異常対象容器に対応する表示灯121、171以外の表示灯121、171は消灯状態とする。たとえば、異常操作が、取引対象金種とは異なる金種に対応する収納容器への操作者のアクセスである場合、制御部203は、誤ってアクセスされた収納容器に対応する表示灯121、171を点滅させる。また、異常操作が、実際に取引(収納または取出)された貨幣の個数(束数、本数)が、取引情報により特定される貨幣の個数(束数、本数)と合致しないものである場合、制御部203は、合致しない金種が割り当てられた全ての収納容器に対応する表示灯121、171を点滅させる。なお、制御部203は、異常対象容器に対応する表示灯121、171を、点滅に替えて、点灯させるようにしてもよい。
操作者は、貨幣を収納し直す、取出し直すなどして取引の誤りを解消したのちに、異常対象ドロアを閉じる。異常対象ドロアが閉塞されると(S112:YES)、制御部203は、異常対象容器の報知を終了させる(S113)。具体的には、制御部203は、点滅している表示灯121、171を消灯させる。そして、制御部203は、異常対象ドロアをロックし(S114)し、再び、異常操作の判定を行う(S108)。異常操作がなければ(S109:NO)、制御部203は、取引操作に係る処理を終了する。
<実施形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の効果が奏され得る。
操作者は、対象容器報知部120、170の報知により、貨幣を収納しまたは取出す際に、ドロア24a〜24d上において、貨幣の収納または取出の対象となる収納容器(紙幣収納容器100、硬貨収納容器150)を確認できる。これにより、操作者が誤った収納容器に対して貨幣の収納または取出を行うことを防止できる。
また、対象容器報知部120、170が、収納容器と同じドロア24a〜24dの上面に設けられるので、操作者が貨幣の収納または取出を行うとき、対象容器報知部120、170による報知を確認しやすい。
さらに、対象容器報知部120、170を構成する各表示灯121、171は、収納容器ごとに設けられているので、表示灯121、171による報知が、それに対応する収納容器への報知であることが分かりやすい。
さらに、取引情報に合致しない異常な貨幣の収納または取出(異常操作)が発生した場合には、対象容器報知部120、170によって異常の解消のため操作者に確認されるべき収納容器の報知が行われる。これにより、操作者は、異常を解消するための作業を円滑に行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。以下、各種の変更例について説明する。
なお、以下の各種の変更例において、表示器122、172が特許請求の範囲に記載の「表示部」に対応する。また、対象容器報知部123、173が特許請求の範囲に記載の「第1の報知部」に対応する。さらに、ドロア報知部25a〜25dが特許請求の範囲に記載の「第2の報知部」に対応する。さらに、紙幣収納ユニット100Aおよび硬貨収納ユニット150Aが特許請求の範囲に記載の「収納部群」に対応する。さらに、ロードセル110、160と制御部203とが特許請求の範囲に記載の「数検出部」および「期間計測部」を構成する。
<変更例1>
図9(a)は、変更例1に係る、2段目のドロア24bの構成を示す平面図であり、図9(b)は、変更例1に係る、表示器122の表示例を示す図である。図9(c)は、変更例1に係る、3段目のドロア24cの構成を示す平面図であり、図9(d)は、変更例1に係る、表示器172の表示例を示す図である。
本変更例では、ドロア24bの対象容器報知部120が、紙幣収納容器100ごとに設けられた、合計10個の表示器122を含む。また、ドロア24cの対象容器報知部170が、硬貨収納容器150ごとに設けられた、合計12個の表示器172を含む。表示器122、172は、たとえば、液晶表示器であり、表示面上に、数字や文字による情報を表示することができる。さらに、紙幣収納容器100および硬貨収納容器150に金種ラベルが設けられなくてもよい。
なお、ドロア24aおよびドロア24dは、それぞれ、ドロア24bおよびドロア24cと同様の構造を有する。
本変更例の構成とされた場合、図8のS203において、制御部203は、満杯でない取引対象容器に対応する表示器122、172に金種名の表示122a、172aを行うとともに、表示器122、172を点滅させる(図9(b)、(d)参照)。表示器122の点滅は、金種名の表示122a、172aを点滅させる態様であってもよいし、金種名の表示122a、172aと背景の双方を点滅させる態様であってもよい。また、制御部203は、満杯でない取引対象容器に対応する表示器122、172以外の表示器122、172については、金種名の表示122a、172aは行うが点滅はさせない。
同様に、図8のS205において、制御部203は、カラでない取引対象容器に対応する表示器122、172に金種名の表示122a、172aを行うとともに、表示器122、172を点滅させる(図9(b)、(d)参照)。また、制御部203は、カラでない取引対象容器に対応する表示器122、172以外の表示器122、172については、金種名の表示122a、172aは行うが点滅はさせない。
なお、表示器122、172が複数の色を表示できれば、点滅ではなく、一定の周期で、金種名の表示122a、172aや背景の色を変える表示態様が採られてもよい。
<変更例2>
図10(a)は、変更例2に係る、2段目のドロア24bの構成を示す平面図であり、図10(b)は、変更例2に係る、対象容器報知部123の表示例を示す図である。図10(c)は、変更例2に係る、3段目のドロア24cの構成を示す平面図であり、図10(d)は、変更例2に係る、対象容器報知部173の表示例を示す図である。
本変更例では、ドロア24bの上面における最前列の紙幣収納容器100の前方位置に対象容器報知部123が設けられ、ドロア24cの上面における最前列の硬貨収納容器150の前方位置に対象容器報知部173が設けられる。対象容器報知部123、173は、たとえば、液晶表示器である。対象容器報知部123には、表示面上に、各紙幣収納容器100に対応する表示画像124aで構成されるドロア24bのレイアウト画像124が表示される。対象容器報知部173には、表示面上に、各硬貨収納容器150に対応する表示画像174aで構成されるドロア24cのレイアウト画像174が表示される。
なお、ドロア24aおよびドロア24dは、それぞれ、ドロア24bおよびドロア24cと同様の構造を有する。
本変更例の構成とされた場合、図8のS203において、制御部203は、対象容器報知部123、173に、満杯でない取引対象容器に対応する表示画像124a、174aが、それ以外の表示画像124a、174aとは異なる色となるように、レイアウト画像124、174を表示させる(図10(b)、(d)参照)。同様に、図8のS205において、制御部203は、対象容器報知部123、173に、カラでない取引対象容器に対応する表示画像124a、174aが、それ以外の表示画像124a、174aとは異なる色となるように、レイアウト画像124、174を表示させる(図10(b)、(d)参照)。
なお、満杯でない取引対象容器に対応する表示画像124a、174aは、点滅してもよい。同様に、カラでない取引対象容器に対応する表示画像124a、174aも、点滅してよい。また、表示画像124a、174aの中に金種名が表示されてもよい。さらに、対象容器報知部123、173がドロア24a〜24dの前面に配置されてもよい。
<変更例3>
図11(a)は、変更例3に係る、2段目のドロア24bの構成を示す平面図であり、図11(b)は、変更例3に係る、3段目のドロア24cの構成を示す平面図である。図12(a)は、変更例3に係る、取引対象容器を報知する処理の詳細を示すフローチャートである。図12(b)は、変更例3に係る、表示灯121および表示器122の表示例を示す図であり、図12(c)は、変更例3に係る、表示灯171および表示器172の表示例を示す図である。なお、図12(a)では、図8(a)のフローチャートと同じ内容のステップには、同じステップ番号を付している。
本変更例では、ドロア24bの対象容器報知部120が、紙幣収納容器100ごとに設けられた、合計10組の表示灯121および表示器122を含む。また、ドロア24cの対象容器報知部170が、硬貨収納容器150ごとに設けられた、合計12組の表示灯171および表示器172を含む。さらに、紙幣収納容器100および硬貨収納容器150に金種ラベルが設けられなくてもよい。
なお、ドロア24aおよびドロア24dは、それぞれ、ドロア24bおよびドロア24cと同様の構造を有する。
さらに、本変更例では、図12(a)のフローチャートに示すように、制御部203は、表示灯121、171の点滅によって取引対象容器の報知を行うととともに(S203、S205)、図12(b)、(c)に示すように、報知を行った取引対象容器に対応する表示器122、172に、その取引対象容器に現在収納されている貨幣の個数を表示する(S211)。現在の収納個数は、取引対象容器に設けられたロードセル110、160の測定重量に基づいて検出できる。
報知を行った取引対象容器に対応する表示器122、172には、貨幣の個数表示122b、172bと金種名の表示122a、172aとが行われるが、それ以外の表示器122、172には、金種名の表示122a、172aのみが行われる。
本変更例の構成によれば、操作者が、現在の収納個数を参照しつつ、取引対象容器に貨幣の収納または取出を行うことができる。
<変更例4>
図13(a)は、変更例4に係る、取引対象容器を報知する処理の詳細を示すフローチャートである。図13(b)は、変更例4に係る、表示灯121および表示器122の表示例を示す図であり、図12(c)は、変更例4に係る、表示灯171および表示器172の表示例を示す図である。なお、図13(a)では、図8(a)のフローチャートと同じ内容のステップには、同じステップ番号を付している。
本変更例のドロア24a〜24dの構造は、変更例3のドロア24a〜24dの構造と同じである。
本変更例では、図13(a)のフローチャートに示すように、制御部203は、表示灯121、171の点滅によって取引対象金種の貨幣が収納されるべき取引対象容器の報知を行うととともに(S203)、取引対象容器に収納されるべき貨幣の個数(以下、「収納個数」という)を表示器122、172に表示させる(S221)。また、制御部203は、表示灯121、171の点滅によって取引対象金種の貨幣が取出されるべき取引対象容器の報知を行うととともに(S205)、取引対象容器から取出されるべき貨幣の個数(以下、「取出個数」という)を表示器122、172に表示させる(S222)。
なお、図13(b)、(c)に示すように、貨幣が収納または取出されるべき取引対象容器に対応する表示器122、172には、収納個数または取出個数の表示122c、172cと金種名の表示122a、172aとが行われるが、それ以外の表示器122、172には、金種名の表示122a、172aのみが行われる。
本変更例の構成によれば、操作者は、貨幣を収納しまたは取出す際に、ドロア24a〜24d上において、取引対象容器に対して収納または取出すべき貨幣の個数を確認することができる。
<変更例5>
図14(a)は、変更例5に係る、取引対象容器を報知する処理の詳細を示すフローチャートである。図14(b)は、変更例5に係る、カウントアップが開始される前の表示灯121および表示器122の表示例を示す図であり、図14(c)は、変更例5に係る、カウントアップが完了したときの表示灯121および表示器122の表示例を示す図である。図14(d)は、変更例5に係る、カウントダウンが開始される前の表示灯121および表示器122の表示例を示す図であり、図14(e)は、変更例5に係る、カウントダウンが完了したときの表示灯121および表示器122の表示例を示す図である。なお、図14(a)では、図8(a)のフローチャートと同じ内容のステップには、同じステップ番号を付している。
本変更例のドロア24a〜24dの構造は、変更例3のドロア24a〜24dの構造と同じである。
本変更例では、図14(a)のフローチャートに示すように、制御部203は、表示器122、172に収納個数を表示させた後(S221)、表示器122、172に収納個数へ向けてカウントアップするためのカウントアップ表示を行い、何れかの取引対象容器へ貨幣が収納される度にカウントアップを行ってその貨幣と同じ金種が割り当てられた全ての取引対象容器に対応する表示器122、172のカウントアップ表示を更新する(S223)。
図14(b)、(c)には、紙幣収納容器100に対応する表示器122において、金種名の表示122aとともにカウントアップ表示122dが行われた例が示されている。カウントアップ表示122dにおいて、スラッシュ記号を挟んで右側の数字は収納すべき貨幣の個数を示し、左側の数字は収納された貨幣の個数を示す。
収納個数の貨幣が取引対象容器に収納され、カウントが完了すると(S224:YES)、制御部203は、対象容器報知部120、170によって、収納が完了した旨の報知を行う(S225)。具体的には、図14(c)に示すように、制御部203は、点滅状態にあった表示灯121、171を消灯する。
同様に、制御部203は、表示器122、172に取出個数を表示させた後(S222)、表示器122、172に取出個数からカウントダウンするためのカウントダウン表示を行い、何れかの取引対象容器から貨幣が取出される度にカウントダウンを行ってその貨幣と同じ金種が割り当てられた全ての取引対象容器に対応する表示器122、172のカウントダウン表示を更新する(S226)。
図14(d)、(e)には、紙幣収納容器100に対応する表示器122において、金種名の表示122aとともにカウントダウン表示122eが行われた例が示されている。カウントダウン表示122eにおいて、スラッシュ記号を挟んで右側の数字は、取出すべき貨幣の個数を示し、左側の数字は取出すべき貨幣の残りの個数を示す。
取出個数の貨幣が取引対象容器から取出され、カウントが完了すると(S227:YES)、制御部203は、収納が完了した旨の報知を行う(S225)。具体的には、図14(e)に示すように、制御部203は、点滅状態にあった表示灯121、171を消灯する。
本変更例の構成によれば、操作者は、カウントアップ表示またはカウントダウン表示によって、貨幣が収納されるドロア24a〜24d上において、収納または取出された個数を確認しながら、貨幣の収納または取出を行うことができる。また、操作者は、完了の報知によって、収納または取出すべき収納容器(紙幣収納容器100、硬貨収納容器150)に対する貨幣の収納または取出が完了したことを把握できる。
<変更例6>
図15は、変更例6に係る、取引対象容器を報知する処理の詳細を示すフローチャートである。なお、図15では、図8(a)のフローチャートと同じ内容のステップには、同じステップ番号を付している。
本変更例では、図15のフローチャートに示すように、取引の種別が取出である場合に(S201:取出)、カラの取引対象容器を検出した後(S204)、制御部203は、カラでない取引対象容器の全てについて、収納されている貨幣の保管期間を取得する(S231)。たとえば、制御部203は、取引対象容器に設けられたロードセル110、160のアンプログを参照し、最後に重量変化のあった時から現在までの期間を貨幣の保管期間と看做す。制御部203は、対象容器報知部120、170により、カラでない取引対象容器を保管期間に応じた態様で報知する(S232)。具体的には、制御部203は、保管期間の長い取引対象容器に対応する表示灯121、171を、それ以外の取引対象容器に対応する表示灯121、171とは異なる表示態様で動作させる。たとえば、前者の表示灯121、171を点滅させ、後者の表示灯121、171を点灯または消灯させる。
制御部203は、保管期間が所定の期間(たとえば、14日など)を超える取引対象容器を、保管期間の長い取引対象容器に設定できる。あるいは、制御部203は、保管期間の長い順で順位付けしたときに所定の順位以上(たとえば、1位、3位以上など)の取引対象容器を、保管期間の長い取引対象容器に設定できる。あるいは、制御部203は、保管期間の長い順で順位付けしたときに所定の順位以上であり、且つ保管期間が所定の期間を超える取引対象容器を、保管期間の長い取引対象容器に設定できる。
本変更例の構成によれば、操作者に、保管期間が長い貨幣から取出すよう促すことができるので、保管期間が長い貨幣が収納容器(紙幣収納容器100、硬貨収納容器150)に残ったままになるのを防止できる。たとえば、小束紙幣や大束紙幣は、保管期間が長くなると紙帯の交換が必要となるが、上記の構成とすれば、このような紙帯の交換作業を低減できる。
なお、本変更例のドロア24a〜24dは、上記実施形態から変更されていないが、本変更例のドロア24a〜24dとして、変更例1ないし3の何れかのドロア24a〜24dの構造が採用されてもよい。
<その他の変更例>
その他、上記実施形態は、以下のとおり、適宜変更され得る。
たとえば、上記実施形態では、図4(a)、(c)のように、対象容器報知部120を構成する各表示灯121が、ドロア24a、24bの上面における、各紙幣収納容器100の側方近傍に設けられ、また、対象容器報知部170を構成する各表示灯171が、ドロア24c、24dの上面における、各硬貨収納容器150の側方近傍に設けられる。しかしながら、対象容器報知部120を構成する各表示灯121は、ドロア24a、24bの上面であれば、たとえば、図16(a)のように、各紙幣収納容器100に設けられていてもよい。同様に、対象容器報知部170を構成する各表示灯171は、ドロア24c、24dの上面であれば、たとえば、図16(b)のように、各硬貨収納容器150に設けられていてもよい。さらに、各紙幣収納容器100に、表示灯121に替えて、または表示灯121に加えて、表示器122が設けられてもよく、各硬貨収納容器150に、表示灯171に替えて、または表示灯171に加えて、表示器172が設けられてもよい。
また、上記実施形態では、図4(a)のように、各紙幣収納容器100が、それぞれ別体に形成され、全ての紙幣収納容器100に対応して表示灯121が設けられる。また、図4(c)のように、各硬貨収納容器150が、それぞれ別体に形成され、全ての硬貨収納容器150に表示灯171が設けられる。しかしながら、同じ金種が割り当てられる複数の紙幣収納容器100を一体化することにより、紙幣収納容器群である紙幣収納ユニット100Aを形成し、紙幣収納ユニット100Aごとに表示灯121が設けられてもよい。たとえば、図16(c)のように、左右2つの紙幣収納容器100が紙幣収納ユニット100Aとして一体化され、この紙幣収納ユニット100Aに対応する表示灯121が、この紙幣収納ユニット100Aの側方近傍に設けられ得る。この場合、たとえば、ロードセル110は、図16(c)のように紙幣収納ユニット100Aごとに設けられてもよいし、紙幣収納容器100ごとに設けられてもよい。また、操作者は、紙幣収納ユニット100Aごとに紙幣の金種の設定を行うことができる。
同様に、同じ金種が割り当てられる複数の硬貨収納容器150を一体化することにより、硬貨収納容器群である硬貨収納ユニット150Aを形成し、硬貨収納ユニット150Aごとに表示灯171が設けられてもよい。たとえば、図16(d)のように、前後左右4つの硬貨収納容器150が硬貨収納ユニット150Aとして一体化され、この硬貨収納ユニット150Aに対応する表示灯171が、この硬貨収納ユニット150Aの側方近傍に設けられ得る。この場合、たとえば、ロードセル160は、図16(d)のように硬貨収納ユニット150Aごとに設けられてもよいし、硬貨収納容器150ごとに設けられてもよい。また、操作者は、硬貨収納ユニット150Aごとに硬貨の金種の設定を行うことができる。
なお、同じ金種が割り当てられた収納容器(紙幣収納容器100、硬貨収納容器150)であれば、一体化される収納容器の個数はいくつであってもよい。また、一つの紙幣収納ユニット100Aに対して複数の表示灯121が設けられてもよく、一つの硬貨収納ユニット150Aに対して複数の表示灯171が設けられてもよい。さらに、各紙幣収納ユニット100Aに対応して、表示灯121に替えて、または表示灯121に加えて、表示器122が設けられてもよく、各硬貨収納ユニット150Aに対応して、表示灯171に替えて、または表示灯171に加えて、表示器172が設けられてもよい。
このように、複数の収納容器を一体化して収納ユニット(紙幣収納ユニット100A、硬貨収納ユニット150A)を構成する場合に、収納ユニットごとに表示灯121、171(表示器122、172)が設けられると、操作者は、表示灯121、171による報知が、それに対応する収納ユニットの収納容器への報知であることが分かりやすい。
さらに、図17(a)、(b)に示すように、ドロア24a、24bは、紙幣収納容器100に収納凹部100aを開閉する蓋体102が設けられ、この蓋体102に対象容器報知部120を構成する表示器122が配置される構成とされてもよい。この場合、表示器122には、少なくとも金種名と現在収納されている紙幣の束数が表示されることが望ましい。同様に、図17(c)、(d)に示すように、ドロア24c、24dは、硬貨収納容器150に収納凹部150aを開閉する蓋体152が設けられ、この蓋体152に対象容器報知部170を構成する表示器172が配置される構成とされてもよい。この場合、表示器172には、少なくとも金種名と現在収納されている硬貨の本数が表示されることが望ましい。
さらに、上記実施形態において、図18に示すように、各ドロア24a〜24dの周囲に、それぞれ、ドロア報知部25a〜25dが設けられてもよい。ドロア報知部25a〜25dは、たとえば、LEDからなり、取引情報に従って点滅し、ドロア報知部25a〜25dに対応するドロア24a〜24dが、取引対象ドロアであることを報知する。たとえば、制御部203は、最初の取引対象ドロアのロックが解除されてから最後の取引対象ドロアがロックされるまでの間、全ての取引対象ドロアに対応するドロア報知部25a〜25dを点滅させる。あるいは、制御部203は、一つの取引対象ドロアのロックが解除されてからその取引対象ドロアがロックされるまでの間、その取引対象ドロアに対応するドロア報知部を点滅させる。なお、このような構成とされる場合、ロック解除後ドロア24a〜24dを僅かに引き出すための付勢手段が設けられなくてもよい。
このような構成とすれば、ドロア報知部25a〜25dにより、何れのドロア24a〜24dが取引対象容器を含むドロアであるかが報知されるので、操作者が円滑に目的のドロアへ誘導される。
さらに、上記変更例3ないし5では、対象容器報知部120、170が、表示灯121および表示器122により構成される。しかしながら、上記変更例3ないし5の対象容器報知部120、170は、表示灯121、171のない構成とすることもできる。この場合、制御部203は、取引対象容器に対応する表示器122、172を点滅させる。
さらに、変更例5では、表示器122、172にカウントアップ表示およびカウントダウン表が行われ、カウントが完了すると、完了の報知が行われる。しかしながら、カウンアップ表示およびカウントダウン表示を行わずに、カウントだけを行い、カウントが完了したときに、完了の報知が行われてもよい。この場合、カウントの開始前に、表示器122、172に収納個数または取出個数が表示されてもよいし、表示されなくてもよい。
さらに、上記実施形態において、3段目のドロア24cが1円、5円および10円の硬貨の収納に用いられ、最下段のドロア24dが50円、100円および500円の硬貨の収納に用いられてもよい。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。