JP6626786B2 - 鋼材冷却ミスト用ノズルチップ - Google Patents
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Description
図1〜図6の鋼材冷却ミスト用ノズルチップ(以下、単にノズルチップということがある)は、供給口10から供給されるミストを先端面11から噴射する部材であって、公知の冷却散水装置(図示省略)に装着され、鋼材に向けてミストを噴射する。上記冷却散水装置は、液体(水)と気体(加圧空気)とを混合してミスト(二流体)を形成し、このミストを当該ノズルチップに上記供給口10から供給する。ここで、気体としては工場内のエア設備からの加圧空気を好適に用いることができる。当該ノズルチップは、鋼材に対してミストを噴射することで、鋼材を冷却すると共に衝突圧によって鋼材表面のスケールや水膜等を除去する。つまり、当該ノズルチップは、スケール等の除去のために十分な衝突圧を有するミストを噴射することが好ましく、この衝突圧としては例えば1.0×10−4Mpa以上である。
上記先端部材21には、上記流路15に連続して上記ミスト充填室14が形成されている。このミスト充填室14は、平面視において長軸を有する形状であり、上記ミスト充填室14の長軸が上記噴射スリット13と平面視交差(直交)するよう配されている。具体的には、ミスト充填室14は、平面視略方形状であって、一対の短辺が中央にかけて外側に膨出した円弧から構成された形状をなしている。このミスト充填室14の長軸の長さ(一対の短辺の最も離間している部分の間隔)は、流路15(先端部材21における流路15)の幅と略等しく、短軸の長さ(一対の長辺間の間隔)は、流路15の幅よりも小さい。また、ミスト充填室14は、図4〜図6に示すように、上記平面視形状と同一断面形状の後端側部分14aと、この後端側部分から連続すると共に内径が先端につれて狭まる先端側部分14bを有し、この先端側部分14bにおいて図3及び図4に示すように上記噴射スリット13に連通している。この先端側部分14bの天面14cは、長軸方向(スリット直交方向Y)及び短軸方向(スリット長手方向X)に湾曲する三次元曲面となっている。
当該ノズルチップは、図4〜図6に示すように、上記流路15(先端部材21の流路15)に内嵌されるリング部23と、このリング部23の後端に架け渡されるよう固着された板状の上記遮蔽部16とを備える遮蔽部材24を有する。なお、この遮蔽部材24、上記筒部材20及び上記先端部材21は、素材を特に限定するものではないが、金属から形成されている。
上記6条の噴射スリット13は、上記筒部材20の蓋部21aに上記ミスト充填室14まで貫通する溝から構成されている。図2に示すように、6条の噴射スリット13のうち、中央の噴射スリット13より外側の噴射スリット13の方が平面視の長さが小さい。具体的には、平面視において、中央の一対の噴射スリット13が最も長く、外側の噴射スリット13に従って順次平面視の長さが小さくなる。
当該ノズルチッブの先端面11は、中央部11bを除いて、三次元曲面であり、具体的には球面の一部の曲面である。なお、先端面11の三次元曲面の曲率半径は、上記流路15の内径より大きい。上記中央部11bは平坦面である。
当該ノズルチップは、6条の噴射スリット13を有するので、スリット直交方向Yにおいてミストを幅広い範囲で噴射することができ、この6条の噴射スリット13は、スリット直交方向Yの縦断面において放射状に配されているので、スリット直交方向Yにミストをより広範囲に噴射することができる。また、噴射スリット13のスリット長手方向Xの端部がそれぞれ内部から先端側に従って外側に傾斜しているので、スリット長手方向Xにもミストを広範囲に噴射することができる。
本発明のノズルチップは、上記実施形態に限定されるものではない。つまり、上記実施形態において、筒部材、先端部材及び遮蔽部材からノズルチップを構成するものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、またこれらの部材を用いた場合であっても形状や材料等は適宜設計変更可能である。具体的には、上記実施形態においては六角筒状の先端部材を用いるものについて説明したが、円筒状の先端部材を用いることも可能である。
実施例1及び比較例1〜3のノズルチップそれぞれの供給口に、表1に示す噴射条件でミストを供給し、噴射スリットからミストを所定時間噴出した。この噴射したミストを、ノズルチップから200mm下方に併設された複数の容器で採取した。採取する領域をスリット直交方向に5つの区画に分けて、各区画にスリット長手方向に所定数の容器を併設した。複数の容器は、いずれもスリット直交方向の長さが120mmで、スリット長手方向の長さが25mmのものを用いた。これによりスリット直交方向600mmかつスリット長手方向600mmの領域においてミストの噴射量を計測した。この計測によって、スリット直交方向120mmごとの各区画におけるスリット長手方向所定ピッチごとのミストの噴射量を計測した。
図1〜図6に示すように三次元曲面を有する先端面に6条の噴出スリットが形成され、流路に遮蔽部を有するノズルチップであって、供給口の内径が19mmであり、平面視における中央、中間及び外側の噴出スリットの長手方向長さがそれぞれ19mm、12mm及び8mmであり、各噴出スリットの幅(スリット直交方向の長さ)2mmであるものを実施例1のノズルチップとして用意した。
図7に示すように6条の噴出スリット11の平面視形状が同一である点を除き、実施例1と同一の構成を有するものを比較例1のノズルチップとして用意した。なお、各噴出スリットの長手方向の長さは12mmである。なお、比較例1のノズルチップも遮蔽部16を備える。
先端面が三次元曲面を有さない平坦面である点を除き、比較例1と同一の構成を有するものを比較例2のノズルチップとして用意した。
内部に遮蔽部を有さない点を除き、比較例2と同一の構成を有するものを比較例3のノズルチップとして用意した。
各区画のミストの噴射総量(各区画の複数の容器の採取量の合計)を算出し、噴射総量が最大の区画の噴射総量を100%して、噴射総量が最小の区画の噴射総量が80%以上であればOKとし、80%未満であればNGとした。
各区画でスリット長手方向の噴射量の分布が均一であるかを判断した。ここで、各区画におけるスリット長手方向の噴射量の分布は、台形となることが好ましい。つまり、板状の鋼材を冷却する際に鋼材の側部付近は二面冷却であることから冷却流量を減らす必要があるため、噴射量は、スリット長手方向の中央側において比較的均一で、外側が徐々に漸減することが好ましい。そして、このスリット長手方向の噴射量の分布は、各区画で均等であることが好ましい。このため、噴射総量が最大の区画における各容器の噴射量(各容器の採取量)に対して、それに対応する他の区画の容器の噴射量が80%以上120%以下であればOKとし、80%未満又は120%超であればNGとした。
ミストの噴射状況を状部から観察し、噴射領域が欠損なく略方形状となっているかを視認で観察した。
上記各試験結果を表1に示す。遮蔽部を有さず単に複数の噴出スリットを設けたに過ぎない比較例3のノズルチップは、中央の区画の噴射総量が高くなり、各区画の水量分布が悪かった。これに対して、実施例1並びに比較例1及び2のように遮蔽部を有するノズルチップは、各区画の噴射総量が均一化され、各区画の水量分布が良好であった。
11 先端面
11a 縁部
11b 平坦面
13 噴射スリット
14 ミスト充填室
15 流路
16 遮蔽部
20 筒部材
21 先端部材
21a 蓋部
23 リング部
24 遮蔽部材
X スリット長手方向
Y スリット直交方向
Claims (5)
- 供給口から供給されるミストを先端面から噴射する鋼材冷却ミスト用ノズルチップであって、
先端面に平面視同一方向に沿って形成される少なくとも3条の噴射スリット、
上記噴射スリットと連通するミスト充填室、
上記供給口から上記ミスト充填室にミストを供給する流路、及び
上記供給口と上記ミスト充填室との間に配され、上記流路の一部を閉塞する遮蔽部を備え、
上記スリット長手方向と直交方向の縦断面において上記少なくとも3条の噴射スリットが放射状に配され、
上記少なくとも3条の噴射スリットのうち、中央の噴射スリットより外側の噴射スリットの方が平面視の長さが小さく、
上記先端面の上記外側の噴射スリットの形成される箇所が、中央側から外縁側に従って後端側に傾斜し、
上記ミスト充填室が平面視において長軸を有する形状であり、上記ミスト充填室の長軸が上記スリットと平面視交差し、
上記ミスト充填室が、平面視形状と同一断面形状の後端側部分と、この後端側部分から連続すると共に内径が先端につれて狭まる先端側部分を有し、この先端側部分で噴射スリットに連通し、この先端側部分の天面が、長軸方向及び短軸方向に湾曲する三次元曲面であることを特徴とする鋼材冷却ミスト用ノズルチップ。 - 上記噴射スリットのスリット長手方向の端部がそれぞれ内部から先端側に従って外側に傾斜し、
上記先端面における上記中央の噴射スリットの上記端部の表出する箇所が、中央側から外縁側に従って後端側に傾斜している請求項1に記載の鋼材冷却ミスト用ノズルチップ。 - 上記先端面の少なくとも縁部が、三次元曲面である請求項2に記載の鋼材冷却ミスト用ノズルチップ。
- 上記遮蔽部が、上記ミスト充填室と平面視略同形状で、平面視ミスト充填室と重なっている請求項1、請求項2又は請求項3に記載の鋼材冷却ミスト用ノズルチップ。
- 上記少なくとも3条の噴射スリットが平面視線対称である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の鋼材冷却ミスト用ノズルチップ。
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