JP6626774B2 - タイヤ試験装置及びタイヤ試験方法 - Google Patents
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Description
ところが、ひずみゲージは、断線した場合を除き、異常が生じていても何らかの計測値を出力するため、誤った計測値に基づいてタイヤ試験が行われてしまう場合がある。これを防ぐために、まず計測された接地荷重が正しいかどうかを定期的に検査している。しかし、検査において計測された接地荷重が小さいなどの異常が発見された場合には、前回の定期検査からの期間に実施された試験結果が保証されなくなるという懸念があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、タイヤ試験における計測異常を検出可能なタイヤ試験装置及びタイヤ試験方法を提供することを目的とする。
本構成によれば、タイヤ試験を行うときに、荷重検出器の故障を検出することができる。即ち、接地荷重の計測や転がり抵抗力の計測における異常を検出できるとともに接地荷重及び転がり抵抗力を精度良く計測できる。
また、他の構成として、前記複数の荷重検出器は、タイヤの回転中心軸を中心とする円周上、かつタイヤの前後方向及び上下方向に対称の位置に設けられたので、簡単な処理で荷重検出器の故障を検出することができる。
また、他の構成として、ロードセルは、ロバーバル型とした。
また、他の構成として、複数の接地荷重計測用荷重検出器及び複数の転がり抵抗力計測用荷重検出器は、1つの力伝達部材を介して計測方向が直交するように設けられたので、接地荷重及び転がり抵抗力をより精度よく計測できる。
また、上記課題を解決するためのタイヤ試験方法の態様として、タイヤに所定の接地荷重を付与しつつ回転させてタイヤに作用する荷重を計測するタイヤ試験方法であって、タイヤに作用する荷重を分力して支持するとともに分力された荷重を計測する複数の荷重検出器を設け、複数の荷重検出器から個別に出力される信号に基づいてタイヤに作用する荷重を算出する荷重算出工程と、複数の荷重検出器から個別に出力される信号の出力差に基づいて荷重検出器の故障を検出する故障検出工程とを含み、複数の荷重検出器を、タイヤの接地荷重を計測する複数の接地荷重計測用荷重検出器と、タイヤの転がり抵抗力を計測する複数の転がり抵抗力計測用荷重検出器とで構成し、複数の接地荷重計測用荷重検出器及び複数の転がり抵抗力計測用荷重検出器を、計測方向が一方向に規定されたロードセルとし、複数の接地荷重計測用荷重検出器の計測方向を前記接地荷重の付与方向に向けて設け、転がり抵抗力計測用荷重検出器の計測方向を接地荷重の付与方向に直交するタイヤの前後方向に向けて設ける態様とした。
本態様によれば、タイヤ試験を行うときに、荷重検出器の故障を検出することができる。
図2に示すように、荷重計測装置11には、タイヤ取付軸12が設けられ、タイヤTに作用する力が入力される第1支持部材23と、第1支持部材23を支持する複数の第1の荷重検出器20と、複数の第1の荷重検出器20を支持する第2支持部材24と、第2支持部材24を支持する複数の第2の荷重検出器21と、複数の第2の荷重検出器21を支持するとともに上記負荷発生部6と連結される第3支持部材25とを備える。本実施形態では、第1の荷重検出器20によりタイヤTの前後力が計測されるため、第1の荷重検出器20を前後力検出器20という。また、第2の荷重検出器21によりタイヤTの接地荷重である上下力が計測されるため、第2の荷重検出器21を上下力検出器21という。
即ち、一方の固定部31に入力された荷重Pにより該一方の固定部31が他方の固定部31を中心として回転せずに、平行リンクのように移動するため、荷重Pの入力方向が一定に維持され、精度の高い計測が可能となる。また、この変形にともない、1つのビーム部33内において一方の起歪部34a及び34dには伸長力、他方の起歪部34b,34cには圧縮力が作用する。したがって、起歪部34a及び34dに設けられたひずみゲージ35a,35dでは、伸び歪み量が検出される。また、起歪部34b,34cでは縮み歪み量が検出される。
図2,図5(a)に示すように、第1支持部材23は、平面視においてFz方向、Fx方向に対称形状に形成され、車軸取付部36、前後力検出器取付部37とを備える。車軸取付部36は、例えば、一面側の中央において1つの円周上に均等な間隔に設けられた複数のねじ穴として構成される。タイヤ取付軸12は、平板円板状のフランジ部12Aと、タイヤTを支持する円柱状の支持軸12Bとで構成される。支持軸12Bの外周には図外のベアリングを介してタイヤTが装着されたリムを固定するためのハブが設けられる。車軸取付部36にタイヤ取付軸12を固定したときに、タイヤTの回転中心軸C2が当該面(第1支持部材23の車軸取付部36が設けられた一面)に直交する。また、タイヤTの回転中心軸C2は、ドラム3の回転中心軸C1と平行であり、例えば、タイヤ試験において平地を想定した場合には、回転中心軸C1とFx方向同一の位置(高さ)に、傾斜地を想定した場合には、回転中心軸C1に対してFx方向に位置ずれするように設けられる。なお、以下の説明において、車軸取付部36が設けられた面を基準面23aという。
荷重算出手段52は、4つの上下力検出器21から個別に出力された出力値の和に基づいて上下力(接地荷重値)を算出する上下力算出部と、4つの前後力検出器20から個別に出力された出力値の和に基づいて前後力としての荷重値を算出する前後力算出部とを備える。荷重算出手段52は、各前後力検出器20及び各上下力検出器21から出力される信号の出力値(電圧値)を荷重値に変換する変換データを備える。例えば、変換データは、出力値が入力されると荷重値を出力する関数として構成される。
図6に示すように、4つの前後力検出器20を20a,20b,20c,20dとし、4つの上下力検出器21を21a,21b,21c,21dとした場合、荷重算出手段52は、以下のように前後力検出器20a〜20dから個別に出力された出力値を変換データにより個別に荷重値を算出し、算出した荷重値に基づいて前後力や上下力を算出する。
前後力算出部では、算出された各荷重値の合計(20aにより計測された荷重値+20bにより計測された荷重値+20cにより計測された荷重値+20dにより計測された荷重値)を演算することにより前後力を算出する。
上下力算出部では、算出された各荷重値の合計(21aにより計測された荷重値+21bにより計測された荷重値+21cにより計測された荷重値+21dにより計測された荷重値)を演算することにより上下力を算出する。
なお、荷重算出手段52では、個別に算出した荷重値に基づいて、Fx方向軸周りの偶力Mxや、Fz方向軸周りの偶力Mzを算出することも可能である。この場合、偶力Mxは、(21aにより計測された荷重値+21dにより計測された荷重値)−(21bにより計測された荷重値+21cにより計測された荷重値)により算出される。また、偶力Mzは、(20aにより計測された荷重値+20bにより計測された荷重値)−(20cにより計測された荷重値+21dにより計測された荷重値)により算出される。
図6に示すように、4つの前後力検出器20を20a,20b,20c,20dとし、4つの上下力検出器21を21a,21b,21c,21dとした場合、故障検出手段53は、以下のように異常を検出する。
前後力検出器20a〜20dの故障の検出は、(20aの出力値+20dの出力値)−(20bの出力値+20cの出力値)をExとした場合、Exが閾値αx以上の場合には前後力検出器20a〜20dのいずれかに故障有りと検出し、閾値αxよりも小さい場合には故障無しとして検出する。また、上下力検出器21a〜21dの故障の検出は、(21aの出力値+21dの出力値)−(21bの出力値+21cの出力値)をEzとした場合、Ezが閾値αz以上の場合には上下力検出器21a〜21dのいずれかに故障有りと検出し、閾値αzよりも小さい場合には故障無しとして検出する。
そして、故障検出手段53は、前後力検出器20a〜20d及び上下力検出器21a〜21dのいずれかに故障が検出されたときには、試験制御手段51に試験停止を報知する信号を出力する。なお、故障検出手段53における故障検出の処理では、各検出器20a〜20d,21a〜21dから出力された信号の出力値(電圧値)を直接的に処理して故障を検出するものとして説明したが、例えば、荷重算出手段52により変換された荷重値を上記出力値とし、故障を検出するようにしても良い。
なお、検出器20a〜20d及び21a〜21dの故障の検出は、上記方法に限定されない。例えば、図6における回転中心軸C2を中心とする対角の関係に基づいて、(20aの出力値+20cの出力値)−(20bの出力値+20dの出力値)や、(21aの出力値+21cの出力値)−(21bの出力値+21d出力値)を閾値と比較して故障を検出するようにしても良い。
故障検出手段53による検出器の故障の検出は、本実施形態における4つの前後力検出器20a〜20d及び4つの上下力検出器21a〜21dが、それぞれタイヤTの回転中心軸C2を中心とする同一円周上、かつタイヤの前後方向及び上下方向に対称の位置に設けられているため、上述のように各検出器20a〜20d,21a〜21dからの出力値を直接的に扱い、単純な演算により検出することができる。即ち、複雑な演算処理を行うことなく検出器の計測異常を精度良く検出することができる。
まず、入力手段を介してタイヤTに付与する接地荷重値等の試験条件を入力し、接地荷重値を制御装置50に設定し、タイヤ試験を開始する。以下この接地荷重値を設定荷重値という。タイヤ試験の開始により、各前後力検出器20a〜20d及び各上下力検出器21a〜21dには、制御装置50から電力が供給される。電力の供給に伴ない制御装置50には、各前後力検出器20a〜20d及び各上下力検出器21a〜21dから無負荷状態における計測値が入力される。制御装置50に入力された各検出器20a〜20d,21a〜21dの計測値は、故障検出手段53により故障判定がなされる。故障検出手段53は、故障を検したときにはタイヤ試験の停止を報知する信号を試験制御手段51に出力する。なお、故障検出手段53は、故障を検出しないときには、そのまま故障の有無の監視を継続する。
試験制御手段51は、タイヤTに設定荷重値が付与されるように、サーボモーター8を駆動し、スクリュージャッキ9のシリンダ9Aをドラム3に向けて伸長させる。このシリンダ9Aの伸長によりドラム3にタイヤTが接地すると、荷重計測装置11の各上下力検出器20によりタイヤTに作用する上下力が計測される。計測された上下力は、制御装置50の荷重算出手段52と故障検出手段53とに出力される。荷重算出手段52は、4つの上下力検出器21から個別に計測された計測値に基づいて上下力を算出し、試験制御手段51に出力する。試験制御手段51は、入力された上下力を設定荷重値と比較し、入力される上下力が設定荷重値となるようにサーボモーター8の駆動を制御する。
また、故障検出手段53は、4つの上下力検出器21から個別に計測された計測値の差に基づいて、上下力検出器21の故障の有無を判定し、4つの上下力検出器20の状態を監視する。
そして、タイヤ取付軸12に作用する合力のうち、Fx方向の成分が4つの前後力検出器20によって計測され、Fz方向の成分が4つの上下力検出器21によって計測される。
4つの前後力検出器20及び4つの上下力検出器21により個別に計測された計測値は、荷重算出手段52及び故障検出手段53に出力される。
荷重算出手段52では、4つの前後力検出器20により個別に計測された計測値の合計値に基づいて前後力を算出し、4つの上下力検出器21により個別に計測された計測値の合計値に基づいて上下力を算出する。
また、故障検出手段53では、4つの前後力検出器20により個別に計測された計測値の差に基づいて前後力検出器20の故障の有無を判定し、4つの上下力検出器21により個別に計測された計測値の合計値に基づいて上下力検出器21の故障の有無を判定する。この判定において、前後力検出器20のいずれか、上下力検出器21のいずれかに故障が検出された場合、試験制御手段51に試験停止信号を出力する。
そして、試験制御手段51では、試験停止信号の入力によりドラム3の回転を停止した後に、サーボモーター8にタイヤTをドラム3から離間させて初期位置に戻すように信号を出力し、サーボモーター8を駆動し、タイヤ試験を終了させる。
このように、タイヤTに生じた力が直列的に伝達、支持されることにより、各部材23,24,25及び各検出器20,21に同一の力が作用するため、各検出器20,21により計測される上下力や前後力を精度良く計測することができる。
また、タイヤ取付軸12から入力された前後力Fxを4つの前後力検出器20で均等に分力して支持されるため、各前後力検出器20が支持する力はそれぞれFx/4となる。したがって、前後力検出器20から出力される出力値は、故障がなければ同じ値、故障があればいずれかが異なる値を出力するので容易、かつ確実に故障を検出することができる。
また、本実施形態における4つの前後力検出器20a〜20d及び4つの上下力検出器21a〜21dが、それぞれタイヤTの回転中心軸C2を中心とする同一円周上、かつタイヤの前後方向及び上下方向に対称の位置に設けられているため、各検出器20a〜20d,21a〜21dから入力された出力値を荷重値に変換し、上述のような単純な演算により前後力や上下力を算出することができる。即ち、複雑な演算処理を行うことなく前後力や上下力を精度良く算出することができる。
4つの前後力検出器20a〜20dの互いの位置関係や、4つの上下力検出器21a〜21dの互いの位置関係については、上記に限定されず適宜変更可能である。例えば、上記構成の荷重計測装置11は、各検出器20a〜20d,21a〜21dにより計測された計測値に基づいて、Fx軸周りの偶力Mxや、Fz軸周りの偶力Mz等の荷重値を算出することも可能である。偶力Mxや偶力Mzの算出は、回転中心軸C2から各検出器20a〜20d,21a〜21dまでの距離が影響を及ぼすため、複雑な演算が必要となる。このような場合、算出された偶力Mxや偶力Mzには計算誤差が含まれることとなり、計測精度を低下させてしまう虞がある。このため、上述したように、各検出器20a〜20d,21a〜21dをそれぞれ配置することが好ましい。
例えば、図7に示すように、荷重計測装置11を2つの前後力検出器20及び2つの上下力検出器21で構成しても良い。このように構成しても2つの前後力検出器20から個別に出力された出力値、2つの上下力検出器21から個別に出力された出力値を荷重値に変換し、その和に基づいて前後力や上下力等を計測することができる。また、2つの前後力検出器20から個別に出力された出力値の差や、2つの上下力検出器21から個別に出力された出力値の差をそれぞれ閾値と比較することで、前後力検出器20の故障や上下力検出器21の故障を検出することができる。
荷重計測装置11は、故障検出の観点からすれば2つ以上、荷重計測の精度の観点からは、回転中心軸C2を囲むことができる3つ以上が好ましい。このように各方向の力を計測する検出器を3つ以上とすることにより、1つの平面を定義することができる。例えば、前後力検出器20を3つとした場合、一方の固定部31同士、他方の固定部31同士は、それぞれ1つの平面上に位置し、この2つの平面は互いに平行である。そして、2つの平面は、それぞれ一方が第1支持部材23に相当し、他方が第2支持部材24に対応する。したがって、タイヤTに作用した前後力は、3つの前後力検出器20の計測方向に第1支持部材23を平行に移動させることができるため、計測精度を向上させることができる。
20 前後力検出器(ロードセル)、21 上下力検出器(ロードセル)、
T タイヤ。
Claims (5)
- タイヤに所定の接地荷重を付与しつつ回転させるタイヤ試験装置であって、
前記タイヤの接地荷重を分力して支持するとともに回転するタイヤに作用する力を計測する複数の荷重検出器と、
前記複数の荷重検出器から個別に出力される信号に基づいて前記タイヤに作用する力の荷重値を算出する荷重算出手段と、
前記複数の荷重検出器から個別に出力される信号の出力差に基づいて荷重検出器の故障を検出する故障検出手段とを備え、
前記複数の荷重検出器は、
前記タイヤの接地荷重を計測する複数の接地荷重計測用荷重検出器と、
前記タイヤの転がり抵抗力を計測する複数の転がり抵抗力計測用荷重検出器とで構成され、
前記複数の接地荷重計測用荷重検出器及び前記複数の転がり抵抗力計測用荷重検出器は、
計測方向が一方向に規定されたロードセルからなり、
前記複数の接地荷重計測用荷重検出器は、
計測方向を前記接地荷重の付与方向に向けて設けられ、
前記転がり抵抗力計測用荷重検出器は、
計測方向を前記接地荷重の付与方向に直交するタイヤの前後方向に向けて設けられたことを特徴とするタイヤ試験装置。 - 前記複数の荷重検出器は、前記タイヤの回転中心軸を中心とする同一円周上、かつタイヤの前後方向及び上下方向に対称の位置に設けられたことを特徴とする請求項1記載のタイヤ試験装置。
- 前記ロードセルは、ロバーバル型であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤ試験装置。
- 前記複数の接地荷重計測用荷重検出器及び前記複数の転がり抵抗力計測用荷重検出器は、1つの力伝達部材を介して計測方向が直交するように設けられた請求項1乃至請求項3いずれか記載のタイヤ試験装置。
- タイヤに所定の接地荷重を付与しつつ回転させてタイヤに作用する荷重を計測するタイヤ試験方法であって、
前記タイヤに作用する荷重を分力して支持するとともに回転するタイヤに作用する力を計測する複数の荷重検出器を設け、
前記複数の荷重検出器から個別に出力される信号に基づいて前記タイヤに作用する力の荷重値を算出する荷重算出工程と、
前記複数の荷重検出器から個別に出力される信号の出力差に基づいて荷重検出器の故障を検出する故障検出工程と、を含み、
前記複数の荷重検出器を、
前記タイヤの接地荷重を計測する複数の接地荷重計測用荷重検出器と、
前記タイヤの転がり抵抗力を計測する複数の転がり抵抗力計測用荷重検出器とで構成し、
前記複数の接地荷重計測用荷重検出器及び前記複数の転がり抵抗力計測用荷重検出器を、
計測方向が一方向に規定されたロードセルとし、
前記複数の接地荷重計測用荷重検出器の計測方向を前記接地荷重の付与方向に向けて設け、前記転がり抵抗力計測用荷重検出器の計測方向を前記接地荷重の付与方向に直交するタイヤの前後方向に向けて設けるようにしたことを特徴とするタイヤ試験方法。
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