JP6626539B2 - 高強度繊維補強モルタルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高強度繊維補強モルタルの製造方法に関するものである。
建築物の高層化や大規模化の傾向が益々顕著である今日、かかる建築物の強度アップと
施工性向上を高レベルで実現せんとして、軽量で曲げ強度の高い高強度繊維補強モルタル
の開発が行われている。そして、該高強度繊維補強モルタルを用いて製造された高強度繊
維補強モルタル硬化体(以下、モルタル硬化体ともいう)は原則として鉄筋を内蔵させな
いために、その場合は、無鉄筋のモルタル硬化体の強度や靱性は、その圧縮強度と曲げ強
度によって決定されることとなる。特に、設計に用いられる許容曲げ応力度は、割裂引張
強度試験のひび割れ発生強度を採用しており、その強度によって繊維補強モルタル部材の
形状が決定されている。
ところで、モルタルを用いて製造された部材の曲げ強度を改善する手法の一つとして、
特許文献1、特許文献2が開示する、セメント系混練物中に金属繊維を配合する手法が知
られている。
このように金属繊維が配合されてなる繊維補強モルタルを用いて製造されたモルタル硬
化体の引張強度の増大は、該モルタル硬化体に分散配置されている金属繊維が、該モルタ
ル硬化体に作用する引張力に対して抵抗することによって得られる。引張力に対して金属
繊維が抵抗できる仕組みは、該金属繊維に引張応力度が集中的に作用した場合に該金属繊
維がセメントマトリックスから抜けにくく、且つ、該引張力に対して金属繊維が破断しな
いことで成り立つものである。
ここで、前記高強度繊維補強モルタルで製造した部材(モルタル硬化体)に曲げが作用
した結果該部材の表面にひび割れが発生する過程を説明する。該部材に曲げが作用すると
、引張側には引張応力度が作用し、混入されている金属繊維に引張が生ずる。このように
引張が生ずると、該金属繊維がセメントマトリックスから引き抜かれたり、該金属繊維が
破断したりすることにより、該部材の耐力は徐々に低下していく。このように耐力が低下
していく過程にあって、目視では確認できない微細なひび割れが該部材の内部で発生する
と、前記引張側では、該金属繊維の引き抜き抵抗力とその破断耐力によって前記引張力に
抵抗することとなる。その後、該金属繊維がセメントマトリックスから引き抜かれたり該
金属繊維が破断されることによって、該微細なひび割れが繋がって大きく成長し、遂には
、部材表面のひび割れとして現れることとなる。
かかることから、高強度繊維補強モルタルを用いて製造されたモルタル硬化体の靱性向
上と耐力向上が確保されるための要求事項としては次の諸事項が挙げられる。即ち、金属
繊維が該モルタル硬化体の内部に均等に分散していることが要求され(均等分散性の要求
事項)、該金属繊維の密度が所要に確保されていることが要求され(所要密度確保の要求
事項)、又、該金属繊維がセメントマトリックスから抜けにくいアンカー作用が要求され
(アンカー効果向上の要求事項)、加えて、該金属繊維が破断しにくいことが要求される
(破断耐力向上の要求事項)。
ところで、特許文献1、特許文献2には、金属繊維が分散混合されたモルタルが記載さ
れている。そして該金属繊維としては、真っ直ぐな金属繊維を用いた具体的実施例が開示
される一方、特許文献1の段落0043、特許文献2の段落0022に、波形状を呈する
金属繊維を分散混合させてもよいことが記載されている。同段落0022に、波形の金属
繊維を用いる場合はセメントマトリックスに対するアンカー効果を向上させ得ることが記
載されていることからすれば、逆に言えば、真っ直ぐな金属繊維を分散混合させた場合は
、単に分散混合させただけでは該金属繊維のセメントマトリックスに対するアンカー効果
が必ずしも十分ではないと推測される。
波形状を呈する金属繊維を分散混合させた場合は、このようにアンカー効果を向上させ
得る利点があってより好ましいと言える。しかし何れの特許文献にも、波形状金属繊維を
用いてなるモルタルの具体的実施例は何も記載されていない。その理由としては、第1に
、かかる波形を呈する金属繊維は相互が絡み易いためにこれをセメントマトリックス中に
均等に分散させることが困難であったこと、第2に、粒径が1mm以下の細かい細骨材を
用いてなるモルタルの場合は、金属繊維の練り混ぜ時における該細骨材の動きによる、絡
まりあった金属繊維のほぐし作用が期待できなかったこと、があったと思われる。かかる
ことから、特許文献1、2にあっては、真っ直ぐな金属繊維を用いた具体的実施例しか記
載されていないと推測される。
かかることから特許文献1、2に係る発明は共に、真っ直ぐな金属繊維を分散混入させ
てなる高強度繊維補強モルタルの提供を主眼としたものと解される。しかしながら、該真
っ直ぐな金属繊維を分散混合させた場合は、各金属繊維がセメントマトリックスに、これ
に対する付着力だけで付着しているに過ぎないため、その付着力は小さく、該金属繊維が
セメントマトリックスから引き抜かれ易い。そのため、該付着力だけでも金属繊維が引き
抜かれないようにしようとすれば、モルタル硬化体の圧縮強度を大きく設定せざるを得な
いことになり、そのためには、高品質なポゾラン質微粉末(例えば、シリカフュ−ム)を
用いる必要があり、又、セメントマトリックスに微細なひび割れが発生しにくくするため
に特別な曲げ靱性改善剤を配合する必要があって、モルタルの製造コストの上昇を招く問
題があった。かかることから、モルタルの製造コストを低減するためには、セメントマト
リックスに対する優れたアンカー効果を発揮する波形状の金属繊維を分散混合させるのが
好ましいといえるが、この場合は前記のように、波形を呈する金属繊維が相互に絡みやす
い問題があって、かかる金属繊維を分散混合させることが困難であったのである。
特開平11−246255号公報 特開2007−63043号公報
本発明は、主として前記問題点に鑑みて開発されたものであり、セメントマトリックス
に対する分散混合を容易化し得る、金属繊維を用いてなる特殊形態の湾曲繊維片を用いる
ことを基本として、前記均等分散性の要求事項と所要密度確保の要求事項とアンカー効果
向上の要求事項と破断耐力向上の要求事項とに応じることができて、軽量で高強度を有す
る高強度繊維補強モルタル硬化体を製造するに当たり、該高強度繊維補強モルタル硬化体
の製造コストの低減を期し得る高強度繊維補強モルタルを製造するための製造方法の提供
を課題とするものである。
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る高強度繊維補強モルタルの製造方法は、普通セメントを30〜40重
量%と、ポゾラン質微粉末を10〜15重量%と、粒径0.1〜1.0mmの細骨材を4
5〜55重量%と、化学混和剤を0.55〜0.65重量%とを含む粉体に、水が該粉体
に対する重量比で10〜12%含有されて練り混ぜられると共に、直径が0.15〜0.
3mmで引張強度が2000〜3500N/mm2 である金属繊維を用いて湾曲形成され
た湾曲繊維片が、該粉体に対する体積比で1.5〜2.0%練り混ぜられており、該湾曲
繊維片の両端を結ぶ直線長さは10〜20mmに設定されると共に該直線に対する該湾曲
繊維片の最大深さが0.5〜1.5mmに設定されてなる高強度繊維補強モルタルの製造
方法であって、前記湾曲繊維片は、鋼繊維を用いて製造された縒り線を10〜20mmの
長さに切断したものをばらして形成することを特徴とするものである。
前記製造方法を実施するに当たり、前記高強度繊維補強モルタルを構成する前記ポゾラ
ン質微粉末の約50%を高炉スラグ微粉末とし、前記細骨材の全量をフェロニッケルスラ
グとするのがよく、このように構成すれば、リサイクル品の使用によって高強度繊維補強
モルタルの製造コストをより低減し得ることとなる。
本発明によるときは、軽量で所望強度を有する高強度繊維補強モルタル硬化体を製造し
得る高強度繊維補強モルタルを、製造コストの低減を図って製造できる。
より具体的には、本発明に係る高強度繊維補強モルタルの製造方法にあっては、金属繊
維として前記湾曲繊維片を用いることとし、該湾曲繊維片の両端を結ぶ直線に対する最大
深さを0.5〜1.5mmに設定しているため、金属繊維を練り混ぜる際にこれらが絡み
にくく、分散性が良好である。又、金属繊維の直径を0.15〜0.3mmに設定してい
るため、金属繊維の単位体積当たりの混入本数を所要に確保できる。そして、該製造方法
によって製造された高強度繊維補強モルタル硬化体を用いて製造されたモルタル硬化体に
あっては、金属繊維の引張強度が2000〜3500N/mm2 と高強度であるため、モ
ルタル硬化体の内部に微細なひび割れが発生した場合、モルタル硬化体の内部に良好な分
散状態にある前記湾曲繊維片の両側のアンカー部分が該ひび割れの両側部分でセメントマ
トリックスに固定状態となり得るので、該金属繊維の引張強度によってひび割れの拡大に
抵抗できる。
そして本発明に係る高強度繊維補強モルタルの製造方法は、鋼繊維を用いて製造された
縒り線を10〜20mmの長さに切断したものをばらして形成してなる湾曲繊維片を用い
て構成する。従って、本発明によるときは、使用する湾曲繊維片を安価に量産できること
によって高強度繊維補強モルタルを、製造コストの低減を図って製造できることとなる。
特に、本発明に係る高強度繊維補強モルタルの製造方法において、前記ポラゾン質微粉
末の約50%を高炉スラグ微粉末とし、前記細骨材の全量をフェロニッケルスラグとする
ときは、リサイクル品の使用によって高強度繊維補強モルタルの製造コストをより低減し
得ることとなる。
本発明で用いる湾曲繊維片を例示する平面図である。 本発明で用いる湾曲繊維片のその他の例を示す平面図である。 湾曲繊維片がモルタル硬化体のひび割れの拡大に抵抗する作用を説明する説明図である。
本発明に係る高強度繊維補強モルタルの製造方法は、普通セメントを30〜40重量%
と、ポゾラン質微粉末を10〜15重量%と、粒径0.1〜1.0mmの細骨材を45〜
55重量%と、化学混和剤を0.55〜0.65重量%とを含む粉体に、水が該粉体に対
する重量比で10〜12%含有されて練り混ぜられると共に、直径が0.15〜0.3m
mで引張強度が2000〜3500N/mm2 である金属繊維を用いて湾曲形成された湾
曲繊維片2が、該粉体に対する体積比で1.5〜2.0%練り混ぜられており、該湾曲繊
維片2の両端3,3を結ぶ直線長さL1は10〜20mmに設定されると共に該直線に対
する該湾曲繊維片2の最大深さL2が0.5〜1.5mmに設定されてなる高強度繊維補
強モルタルの製造方法であって、前記湾曲繊維片は、鋼繊維を用いて製造された縒り線を
10〜20mmの長さに切断したものをばらして形成するものである。図1(A)(B)
(C)に示す湾曲繊維片2は、その両端3,3を結ぶ直線長さL1が15mmに設定され
ており、図2(A)(B)(C)に示す湾曲繊維片2は、その両端3,3を結ぶ直線長さ
L1が10mmに設定されている。そして、前記最大深さL2は、図1(A)、図2(A
)にあっては0.5mmに設定され、図1(B)、図2(B)にあっては1mmに設定さ
れ、図1(C)、図2(C)にあっては1.5mmに設定されている。
以下、これを具体的に説明する。
前記普通セメントとしては、ポルトランドセメントであって、普通セメントと通常呼ば
れているセメントを用いることができ、その配合比率は30〜40重量%である。30重
量%より少ないと、該高強度繊維補強モルタルを用いて製造した高強度繊維補強モルタル
硬化体に所望強度を付与しにくくなるために好ましくない。又40重量%より多いと、高
強度繊維補強モルタル硬化体の強度を向上させることはできるが前記練り混ぜが難しくな
るために好ましくない。
前記ポゾラン質微粉末としてはシリカフュームが好ましいが、フライアッシュや高炉ス
ラグ微粉末等を用いることもできる。その配合比率は10〜15重量%に設定するのが好
ましい。10重量%よりも少ないと前記高強度繊維補強モルタル硬化体の強度を所要に確
保できず、15重量%よりも多いと前記化学混和剤の必要量が多くなって製造コストが高
くなり、好ましくない。
前記細骨材としては、珪砂、フェロニッケルスラグ細骨材等を用いることができる。そ
して該細骨材の粒径は0.1〜1.0mmに設定し、その配合比率は45〜55重量%に
設定するのがよい。該細骨材の粒径が0.1mmよりも小さいと破粒微粉化処理が必要と
なってコスト上昇を招くほか、前記練り混ぜのための水もより多く必要となって好ましく
ない。又1.0mmよりも大きいと、細骨材の夫々にかかる荷重負担が大きくなるために
モルタル硬化体の強度低下を招きやすい。又、該細骨材の配合比率が45重量%よりも少
ないと、その分、普通セメントの配合比率を増大させることが必要となってコスト上昇を
招きやすく、55重量%よりも多いと、前記モルタル硬化体の強度不足が生じやすい。
前記化学混和剤としては、界面活性剤や減水剤等を例示でき、消泡剤が併用されるとよ
い。該化学混和剤の配合比率は0.55〜0.65重量%に設定するのが好ましい。0.
55重量%よりも少ないと、高強度繊維補強モルタルの流動性が悪くなり、これを型枠に
流し込んだ状態での自己充填性が悪くなって好ましくない。そのために、バイブレータに
よって該モルタルに振動を与える工程が必要となるが、かかる余分の工程を付与すると生
産性低下を招くことになって好ましくない。又、バイブレータで振動を与えることで、前
記金属繊維が分離して沈降し易くなり前記硬化体の強度低下を招くことになるため好まし
くない。又、0.65重量%よりも多いと、前記モルタルの流動性が高まって前記金属繊
維が分離して沈降し易くなり、前記硬化体の強度低下を招くことになって好ましくない。
又、該化学混和剤は高価であるため前記モルタルの製造コストの上昇を招くことになって
好ましくない。
前記普通セメントと前記ポゾラン質微粉末と前記細骨材と前記化学混和剤とを含む粉体
に混入される水は、該粉体に対する重量比で10〜12%に設定するのがよい。10%よ
りも少ないと、前記硬化体の強度を向上させることはできるが、高強度繊維補強モルタル
の流動性が悪くなり、これを型枠に流し込んだ状態での自己充填性が悪くなって好ましく
ない。又、12%よりも多いと、前記モルタルの流動性が良好となって作業性は向上する
が、金属繊維の沈降を招いて前記硬化体の強度を低下させることになるため好ましくない
前記金属繊維は、前記モルタル硬化体の曲げ靱性を向上させるために添加されるもので
あり、引張強度が2000〜3500N/mm2 である鋼繊維(例えばピアノ線)を用い
るのがよい。該金属繊維の直径は0.15〜0.3mmで、該湾曲繊維片の両端を結ぶ直
線長さは10〜20mmに設定するのがよい。そして、該両端を結ぶ直線に対する該湾曲
繊維片の最大深さは0.5〜1.5mmに設定するのがよい。該湾曲繊維片は、例えば、
鋼繊維を用いて製造された縒り線を10〜20mmの長さに切断したものをばらして形成
することによって量産できる。
該湾曲繊維片の前記粉体に対する体積比は1.5〜2.0%に設定するのがよい。1.
5%よりも少ないと金属繊維の単位体積当たりの混入本数が少なくなってモルタル硬化体
の強度低下を招くために好ましくない。又2.0%よりも多いと、高価な金属繊維の使用
量が増えることや、流動性が悪くなるのでこれを改善するために高価な化学混和剤の使用
量を増やさざるを得ないことによって、前記モルタルの製造コストの上昇を招くことにな
り好ましくない。
該金属繊維を、特許文献1、2におけるような波形ではなく半円弧状や弓形を呈する如
く湾曲させているのは、金属繊維を前記のように練り混ぜる際に、これらが絡みにくくし
て該金属繊維が均一な分散状態となるようにするためである。
前記モルタル硬化体1の内部に微細なひび割れ4が発生した場合は、図3に示すように
、前記の湾曲繊維片2の両側のアンカー部分5,5が、該ひび割れ4の両側部分でセメン
トマトリックスに固定状態となる。該両側のアンカー部分5,5が湾曲状態にあるため、
良好なアンカ−作用が発揮され、該アンカー部分5,5がセメントマトリックスから抜け
にくい。そして、この状態でひび割れが大きくなったときは、該金属繊維の引張強度によ
ってひび割れの拡大に抵抗でき、これによってモルタル硬化体1の曲げ強度を増大させる
ことができる。
然して、前記金属繊維の直径が0.15mmよりも細径になると、金属繊維の単位体積
当たりの混入本数が増えるが、該金属繊維の練り混ぜが難しくなり、金属繊維の分散性が
悪くなって前記曲げ強度の低下を招き易い。又、0.3mmよりも太径になると、金属繊
維の単位体積当たりの混入本数が少なくなるので、前記ひび割れが発生した部分における
金属繊維の密度が低下してひび割れの拡大を抑制しにくくなるために好ましくない。
又、前記金属繊維の前記長さが10mmよりも短いと前記アンカー作用が不十分となっ
て前記両側アンカー部分5,5がセメントマトリックスから抜けやすくなるために好まし
くない。20mmよりも長いと、フロー値が悪くなって湾曲繊維片の分散が不十分となる
ために好ましくない。又20mmよりも長いと、金属繊維の混入密度が低くなりひび割れ
の拡大を抑制できないことになって好ましくない。又、前記湾曲繊維片の最大深さが0.
5mmよりも小さいと前記アンカー作用が不十分となって好ましくなく、1.5mmより
も大きいと、前記練り混ぜ時に湾曲繊維片同士が絡み合い易くなって前記モルタル硬化体
中に湾曲繊維片が均等に分散しなくなり、従って、モルタル硬化体の強度低下を招くため
に好ましくない。
次に、かかる構成を有するモルタルを用いて製造された高強度繊維補強モルタル硬化体
の特性を説明する。高強度繊維補強モルタルを用いて製造されたモルタル硬化体の靱性向
上と耐力向上が確保されるためには、前記のように、金属繊維が該モルタル硬化体の内部
に均等に分散していることが要求され(均等分散性の要求事項)、該金属繊維の密度が所
要に確保されていることが要求され(所要密度確保の要求事項)、又、該金属繊維がセメ
ントマトリックスから抜けにくいアンカー作用が要求され(アンカー効果向上の要求事項
)、更に、該金属繊維が破断しにくいことが要求される(破断耐力向上の要求事項)ため
、該高強度繊維補強モルタル硬化体の特性を該四つの要求事項と関連付けて説明する。
〔均等分散性の要求事項の充足について〕
金属繊維として湾曲繊維片を用いることとし、該湾曲繊維片の両端を結ぶ直線に対する
該湾曲繊維片の最大深さを0.5〜1.5mmに設定しているため、金属繊維を前記のよ
うに練り混ぜる際にこれらが絡みにくく、分散性が良好である。
〔所要密度確保の要求事項の充足について〕
金属繊維の直径を0.15〜0.3mmに設定しているため、金属繊維の単位体積当た
りの混入本数を所要に確保できる。金属繊維の直径が0.3mmよりも太径になると、金
属繊維の単位体積当たりの混入本数が少なくなるのでその密度低下を招く。密度が低下す
ると、モルタル硬化体の内部に発生した前記ひび割れ部分に架け渡される金属繊維の本数
が減少するので、ひび割れの拡大を抑制しにくくなる。
〔アンカー効果向上の要求事項の充足について〕
前記湾曲繊維片の両側のアンカー部分が、真っ直ぐな状態ではなく湾曲状態にあるため
、セメントマトリックスに対する該アンカー部分の付着強度が高く、良好なアンカー作用
が発揮される。
〔破断耐力向上の要求事項の充足について〕
金属繊維の引張強度が2000〜3500N/mm2 と高強度であるため、前記モルタ
ル硬化体の内部に微細なひび割れ(溝幅が0.05mm未満)が発生した場合、モルタル
硬化体の内部に良好な分散状態にある前記湾曲繊維片の両側のアンカー部分が該ひび割れ
の両側部分でセメントマトリックスに固定状態となり得るので、該金属繊維の引張強度に
よってひび割れの拡大に抵抗できる。これによって破断耐力の向上を図り得る。
そして前記のように、該金属繊維の均等分散性によってモルタル硬化体の内部の金属繊
維密度が所要に確保されていることから、前記ひび割れ部分に何本もの金属繊維が架け渡
された状態となり易い。従って、該架け渡された金属繊維の総本数で引張応力度に抵抗す
ることになるため、ひび割れが拡大するのを抑制できることとなる。
ここで、本発明に係るモルタル硬化体における前記湾曲繊維片のアンカー効果と、特許
文献1、特許文献2に係るモルタル硬化体における真っ直ぐな金属繊維片のアンカー効果
とを比較する。
真っ直ぐな金属繊維片が混入されているモルタル硬化体にあっては、前記アンカー部分
が、付着力だけでセメントマトリックスに付着しているに過ぎず、該付着力は小さいため
に、該アンカー部分がセメントマトリックスから引き抜かれ易い。該付着力だけでも金属
繊維が引き抜かれないようにしようとすれば、モルタル硬化体の圧縮強度を大きく設定せ
ざるを得ない。例えば特許文献1、2にあっては、この圧縮強度を150N/mm2 と不
必要に大きく設定しているが、そのためには高品質なポゾラン質微粉末(例えば、シリカ
フュ−ム)を用いる必要があり、またセメントマトリックスに微細なひび割れが発生しに
くくするために特別な曲げ靱性改善剤を配合する必要があって、モルタルの製造コストの
上昇を招く問題があった。これに対して本発明によるときは、前記湾曲状態のアンカー部
分が良好なアンカー作用を発揮するために、モルタル硬化体の圧縮強度をそれほど高める
必要はなく、又、前記湾曲繊維片のアンカー効果が良好に発揮されるために、直線状の金
属繊維片を分散混合させる場合に比し、高価な金属繊維の使用量を減少させることもでき
るので、モルタル硬化体の製造コストの低減を期し得ることとなる。
普通セメントとして普通ポルトランドセメントを用い、その配合比率を34重量%とし
、ポゾラン質微粉末としてシリカフュームを用い、その配合比率を13重量%とし、細骨
材として粒径0.2〜0.85mmの珪砂を用い、その配合比率を52重量%とし、又化
学混和剤として、高性能減水剤が0.38重量%と消泡剤等を0.2重量%含むものを用
い、その配合比率を0.58重量%とした粉体を作成した。該粉体に、粉体の重量比11
%の水を加えて全体を練り混ぜた。その後、直径が0.2mmで引張強度が3000N/
mm2 である鋼繊維からなる金属繊維を湾曲させてなる湾曲繊維片であって、該湾曲繊維
片の両端を結ぶ直線の長さが15mmで、該直線に対する該湾曲繊維片の最大深さが0.
5〜1.5mmに設定されてなるものを、粉体の体積比で1.75%、137Kg/m3
を練り混ぜてなるモルタルを作成した。
その後、該モルタルを型枠に流し込み、打設面をコテ仕上げして後、型枠全体を1次促
進養生(40℃で10時間)し、その後に脱型し、モルタル硬化体を2次促進養生(75
℃で48時間)して前記モルタル硬化体を作成した。
このようにして作成されたモルタル硬化体は、圧縮強度が129N/mm2 で、曲げ強
度試験における曲げ強度が27.9N/mm2 で、割裂引張強度試験におけるひび割れ発
生強度が9.5N/mm2 の強度特性をなした。かかるモルタル硬化体の製造に際し、鉄
筋が配置されていない状態で前記高強度繊維補強モルタルを型枠に流し込むのがよい。こ
のようにすれば、鉄筋が障害となることなく前記金属繊維をより簡易に均等に分散させる
ことができて好ましい。
該モルタル硬化体は、本実施例においては無鉄筋であり、その厚さは例えば200mm
程度に設定できる。かかるモルタル硬化体は、例えば、鉄道や高速道路における遮音板や
側溝の蓋等、建築用、土木用の構造部材として利用でき、又、表面保護のための被覆材等
として利用できる。
なお、前記モルタル硬化体を形成した後に、その上に鉄筋を配置し、その上に普通コン
クリートを打設して、無鉄筋のモルタル硬化体部とコンクリート板部との複合板を製造す
ることもできる。例えば、モルタル硬化体部の厚さを200mmに設定し、コンクリート
板部の厚さを100mmに設定する。かかる複合板は例えば、建築用、土木用の構造部材
として利用できる。
1 モルタル硬化体
2 湾曲繊維片
3 端
4 ひび割れ
5 アンカー部分
L1 直径
L2 最大深さ

Claims (2)

  1. 普通セメントを30〜40重量%と、ポゾラン質微粉末を10〜15重量%と、粒径0.1〜1.0mmの細骨材を45〜55重量%と、化学混和剤を0.55〜0.65重量%とを含む粉体に、水が該粉体に対する重量比で10〜12%含有されて練り混ぜられると共に、直径が0.15〜0.3mmで引張強度が2000〜3500N/mm2 である金属繊維を用いて、半円弧状や弓状を呈する如く二次元形状に湾曲形成された湾曲繊維片が、該粉体に対する体積比で1.5〜2.0%練り混ぜられており、該湾曲繊維片の両端を結ぶ直線長さは10〜20mmに設定されると共に該直線に対する該湾曲繊維片の最大深さが0.5〜1.5mmに設定されてなる高強度繊維補強モルタルの製造方法であって、前記湾曲繊維片は、直径が0.15〜0.3mmの断面円形の鋼繊維を用いて製造された断面円形の縒り線を、その外周面を変形させることなく、10〜20mmの長さに切断したものをばらして形成するものであり、形成された該湾曲繊維片の前記直線に対する最大深さが0.5〜1.5mmとなるように、該縒り線の直径と該縒り線の縒りピッチと該縒り線の切断長さを設定することを特徴とする高強度繊維補強モルタルの製造方法。
  2. 前記ポゾラン質微粉末の約50%が高炉スラグ微粉末であり、前記細骨材の全量がフェロニッケルスラグであることを特徴とする請求項1記載の高強度繊維補強モルタルの製造方法。
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