JP6626094B2 - 腎線維症を抑制するためのジンセノサイドm1の使用 - Google Patents

腎線維症を抑制するためのジンセノサイドm1の使用 Download PDF

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Description

本発明は、腎線維症、特に間質性線維症を抑制するためのジンセノサイドM1の新規使用に関する。
腎線維症は腎疾患の最終段階である。腎線維症の原因には、尿管閉塞が含まれる。
尿管閉塞は泌尿器科医が直面する最も一般的な問題のうちの1つである。尿管閉塞は尿管内の尿の流れに対して障害を引き起こす。最も一般的には、閉塞は尿管腎盂移行部で発生する。「閉塞性尿路疾患」という広範な用語は、腎盂と尿道との間で発生する尿流への閉塞を示すために使用することができ、これにより、水腎症の発症および関連する腎機能障害を引き起こす。これについての事例は尿道狭窄および良性前立腺肥大症である。片側尿管閉塞(UUO)の発生率は、成人では1/1,000と報告されている。尿管結石が最も一般的な原因であり、急性閉塞は典型的には主要な症状として重大な腎疝痛を示す。例えば、非特許文献1を参照のこと。
UUOの初期において、間質には、TGF−β1および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)などのサイトカインを放出するマクロファージに対して「古典的に」活性化される単球が浸潤する。次に、TGF−β1は、アポトーシスを経る(尿細管萎縮に至る)か、または上皮間葉移行(EMT)を経て、間質に移動する線維芽細胞になるように、尿細管上皮細胞の表現型応答を促進する。単球の活性化によって産生されるアンギオテンシンII(ANG II)は、核因子−κB(NF−κB)の産生を刺激し、これにより、より多くのマクロファージの動員、および活性酸素種(ROS)の産生の産生がもたらされ、尿細管障害を悪化させる。対照的に、代替的に活性化されたマクロファージは尿細管細胞の生存および増殖を増強することができる。内皮細胞は内皮−間葉移行(EndMT)またはアポトーシスを経て、これにより、毛細血管喪失および二次的腎虚血および低酸素症をもたらすことがある。内在周辺細胞および浸潤造血幹細胞もまた、線維芽細胞に分化することができる。マクロファージまたは他の細胞によって産生されるTGF−β1などのサイトカインの刺激下で、線維芽細胞はストレス線維を合成し、さらに分化して筋線維芽細胞になる。筋線維芽細胞は収縮性であり、細胞外マトリックス(ECM)の沈着を増大させ、進行性間質性線維症をもたらす。このプロセスは最終的に進行性腎線維症および不可逆性腎不全に至る。例えば、非特許文献2を参照のこと。
ニンジン(ginseng)の主要な活性成分であるジンセノサイドは、種々の薬理活性、例えば抗腫瘍活性、抗糖尿病活性、抗疲労(antifatique)、抗アレルギー活性および抗酸化活性を有することが知られている。ジンセノサイドは、17個の炭素原子が4つの環に配置されたゴナンステロイド核からなる基本的な構造を共有する。ジンセノサイドは体内で金属化され、いくつかの最近の研究からは、ジンセノサイド代謝物が、天然に存在するジンセノサイドよりむしろ体内で吸収されやすく、活性成分として働くことが示唆される。中でも、ジンセノサイドM1は、ヒト腸内細菌によるギペノサイド経路を経たプロトパナキサジオール系ジンセノサイドの代謝物の1つとして知られている。これまで、腎線維症の処置におけるジンセノサイドM1の作用を報告した従来技術の参考文献はない。
Dochertyら、evidence that inhibition of tubular cell apoptosis protects against renal damage and development of fibrosis following ureteric obstruction、Am J Physiol Renal Physiol. 2006 Jan;290(1):F4−13 Chevalierら、Ureteral obstruction as a model of renal interstitial fibrosis and obstructive nephropathy、Kidney Int.2009 Jun;75(11):1145−52
本発明において、ジンセノサイドM1が腎線維症を抑制するのに有効であることが予想外に見出された。したがって、本発明は、対象における腎線維症を治療または予防するための新規手法を提供する。
特に、本発明は、有効量のジンセノサイドM1を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における腎線維症を抑制するための方法を提供する。
いくつかの実施形態において、対象は閉塞性腎疾患を有する患者である。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、限定されないが、特に対象の尿細管間質区画における、単核白血球浸潤、尿細管拡張、尿細管萎縮、尿細管上皮細胞の増殖、線維芽細胞または筋線維芽細胞の活性化、およびコラーゲン(例えばIIIまたはIV)沈着を含む、1つまたは複数の症状または状態を減少または軽減させるのに有効である。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、対象の腎間質における単核白血球浸潤または線維症を減少または軽減させるのに有効である。
いくつかの実施形態において、ジンセノサイドM1は非経口または腸経路によって投与される。
いくつかの実施形態において、ジンセノサイドM1は腎線維症の発症前または発症時に投与される。
いくつかの実施形態において、ジンセノサイドM1は腎線維症の発症後に投与される。
腎線維症を治療するための医薬を製造するためのジンセノサイドM1の使用も提供される。
本発明の一実施形態または複数の実施形態の詳細は、以下の説明に記載される。本発明の他の特徴または利点は、いくつかの実施形態の以下の詳細な説明、およびさらに添付の特許請求の範囲から明らかになる。
本発明を説明するため、実施形態を図に示す。しかしながら、本発明は、示された好ましい実施形態に限定されるものではないことを理解すべきである。
(A)実験手順、(B)UUO動物モデルの外科処置を含む、UUO動物モデルの確立を示し、左は尿管の結紮後の疾患腎臓であり、右は尿管の結紮なしの正常な腎臓である。 H&E染色による腎臓の組織病理学的評価を示し、矢印は拡張尿細管を示す。(A)腎臓の組織病理学的評価のためのH&E染色。「#」は拡張尿細管を示し、アスタリスクは単球を示し、「*」は萎縮性尿細管を示す。組織病理学についての元の倍率は400倍であった。(B)半定量により、尿細管間質損傷スコア(TIS)を示す。白、黒および灰色の柱は、正常対照マウス、疾患対照マウスおよびLCHK168+UUOマウスをそれぞれ表す。***p<0.005。 (A)矢印が陽性染色された細胞を示す、免疫組織化学的染色によるPCNAの検出、および(B)半定量的結果を含む、腎細胞のアポトーシスおよび増殖の評価を示す。元の倍率は400倍である。白、黒および灰色の柱は、正常対照マウス、疾患対照マウスおよびLCHK168+UUOマウスをそれぞれ表す。***p<0.005。 (A)マッソントリクローム染色による腎組織における線維化コラーゲンの発現を含む、線維症発現評価を示す。元の倍率は400倍である。 (B)免疫組織化学的染色による腎組織における平滑筋α−アクチン(α−SMA)の発現を含む、線維症発現評価を示す。元の倍率は400倍である。 (C)免疫組織化学的染色による腎組織におけるコラーゲンIIIの発現を含む、線維症発現評価を示す。元の倍率は400倍である。 (D)免疫組織化学的染色による腎組織におけるコラーゲンIVの発現(矢印は陽性染色細胞を示す)を含む、線維症発現評価を示す。元の倍率は400倍である。 (E)半定量的結果を含む、線維症発現評価を示す。白、黒および灰色の柱は、正常対照マウス、疾患対照マウスおよびLCHK168+UUOマウスをそれぞれ表す。p<0.05、**p<0.01、***p<0.005。 (A)免疫組織化学的染色による腎組織におけるNF−κBの発現(矢印は陽性染色細胞を示す)、および(B)半定量的結果を示す。元の倍率は400倍である。白、黒および灰色の柱は、正常対照マウス、疾患対照マウスおよびLCHK168+UUOマウスをそれぞれ表す。***p<0.005。 (A)F4/80単球/マクロファージの検出を含む、腎組織における単核白血球浸潤を示す。元の倍率は400倍である。 (B)免疫組織化学的染色によるCD3T細胞(矢印は陽性染色細胞を示す)を含む、腎組織における単核白血球浸潤を示す。元の倍率は400倍である。 (C)半定量的結果を含む、腎組織における単核白血球浸潤を示す。白、黒および灰色の柱は、正常対照マウス、疾患対照マウスおよびLCHK168+UUOマウスをそれぞれ表す。***p<0.005。 LCHK168が骨盤尿中のMCP−1、TNF−αおよびIL−1βの発現レベルを抑制することを示す。(A)MCP−1、(B)TNF−α、および(C)IL−1βは、ELISAによって尿試料中で検出される。白、黒および灰色の柱は、正常対照マウス、疾患対照マウスおよびLCHK168+UUOマウスをそれぞれ表す。p<0.05、**p<0.01、***p<0.005。 フローサイトメトリーによる(A)CD3CD69T細胞および(B)CD19CD69T細胞の検出を含む、細胞性免疫の活性化についての評価を示す。白、黒および灰色の柱は、正常対照マウス、疾患対照マウスおよびLCHK168+UUOマウスをそれぞれ表す。 フローサイトメトリーによる(A)CD34幹細胞および(B)Sca−1造血幹細胞の検出を含む、造血幹細胞の活性化の評価を示す。白、黒および灰色の柱は、正常対照マウス、疾患対照マウスおよびLCHK168+UUOマウスをそれぞれ表す。
他に記載がない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解している意味を有する。本明細書で使用する場合、以下の用語は、他に記載がない限り、それらに準ずる意味を有する。
本明細書では冠詞「1つの(「a」および「an」)」は、冠詞の文法上の目的語の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)をいうのに使用される。例として、「1つのエレメント(an element)」は1つのエレメントまたは2つ以上のエレメントを意味する。
本発明において、ジンセノサイドM1は腎線維症の抑制に有効であることが予想外に見出されている。特に、マウスUUOモデルにおいて、腎損傷/炎症が減少し、腎線維症への進行が抑制または軽減されることが見出されている。
げっ歯類の外科的介入UUOモデルは、UUOについてのハイスループット実験モデルとして数十年間使用されてきた。このモデルは、高血圧、タンパク尿または高脂血症によって悪化するものではなく、明らかな免疫または毒性の腎障害を伴わない。閉塞の期間に応じて、UUOは、最終的に尿細管間質性線維症をもたらす閉塞性腎疾患の様々な段階を模倣することができる。対側の腎臓の機能は、補完的機能および解剖学的肥大の結果として維持されるか、またはさらに増加するため、動物の寿命は損なわれない。このモデルの他の利点は、腎線維症の進行が十分に予測可能で再現性があり、比較的短期間(7〜14日)で著しい線維化およびネフロン欠損を引き起こすという事実を含む。例えば、Eddyら、Investigating mechanisms of chronic kidney disease in mouse models、Pediatr Nephrol.2012 Aug;27(8):1233−47;およびGrande MT and Lopez−Novoa JM、Fibroblast activation and myofibroblast generation in obstructive nephropathy、Nat Rev Nephrol.2009 Jun;5(6):319−28を参照のこと。
以下の例およびデータは、(1)腎間質組織における細胞アポトーシスおよび尿細管損傷の減少、(2)腎間質組織における線維化およびコラーゲン沈着の阻止、(3)NF−κB活性化の減少、(4)腎臓のマクロファージおよびT細胞浸潤の阻止、ならびに(5)造血幹細胞および全身細胞性免疫の正常機能の維持を含む、ジンセノサイドM1の予測されない効果を示す。
したがって、本発明は、有効量のジンセノサイドM1を対象に投与することによって、必要とする対象における腎線維症を抑制するための新規手法を提供する。
ジンセノサイドM1、20−O−β−D−グルコピラノシル−20(S)−プロトパナキサジオールは、当該技術分野において公知のサポニン代謝物の1つである。ジンセノサイドM1の化学構造は、以下の通りである。
ジンセノサイドM1は、ヒト腸内細菌によるギペノサイド経路を経たプロトパナキサジオール系ジンセノサイドの代謝物の1つとして知られている。ジンセノサイドM1は、摂取後に血液中または尿中で見出され得る。ジンセノサイドM1は、その全内容を本明細書に援用する台湾特許出願第094116005(I280982)号および米国特許第7,932,057号などの当該技術分野において公知の方法により、真菌発酵を介してニンジン植物から調製することができる。ある種の実施形態では、ジンセノサイドM1を調製するためのニンジン植物は、ウコギ(Araliaceae)科、トチバニンジン(Panax)属、例えばチョウセンニンジン(P.ginseng)およびトチバニンジン(P.pseudo−ginseng)(サンシチ(Sanqi)とも呼ばれる)を含む。一般に、ジンセノサイドM1の調製方法は、(a)ニンジン植物材料(例えば葉または茎)の粉末を用意するステップ;(b)ニンジン植物材料を発酵させるための真菌を用意するステップであって、発酵温度は20〜50℃にわたり、発酵湿度は70〜100%にわたり、pH値は4.0〜6.0にわたり、発酵期間は5〜15日にわたるステップ;(c)発酵産物を抽出および採取するステップ;および(d)発酵産物から20−O−β−D−グルコピラノシル−20(S)−プロトパナキサジオールを単離するステップを含む。
本発明ではジンセノサイドM1を「単離された」または「精製された」と記載する場合、完全に単離されたまたは精製されたのではなく、比較的に単離されたまたは精製されたものと理解すべきである。例えば、精製されたジンセノサイドM1とは、その天然に存在する形態と比較してより精製されたものをいう。一実施形態では、精製されたジンセノサイドM1を含む調製物は、全調製物の50%超、60%超、70%超、80%超、90%超または100%(w/w)の量でジンセノサイドM1を含み得る。本明細書で比率または投与量を示すのに特定の数字を使用する場合、前記数字は一般に、その数字より10%超および未満の範囲内、またはさらに詳しくは5%超および未満の範囲内のものを含むことを理解すべきである。
本発明は、有効量のジンセノサイドM1を、それを必要とする対象に投与することを含む、腎線維症を抑制するための方法を提供する。また、必要とする対象における腎線維症を抑制するための医薬を製造するためのジンセノサイドM1の使用も提供する。本発明の医薬は、限定されないが、特に対象の尿細管間質区画における、単核白血球浸潤、尿細管拡張、尿細管萎縮、尿細管上皮細胞の増殖、線維芽細胞または筋線維芽細胞の活性化、およびコラーゲン(例えばIIIまたはIV)沈着を含む、1つまたは複数の症状または状態を減少または軽減させるのに有効である。具体的には、本発明の医薬は、対象の腎間質における単核白血球浸潤または線維症を減少または軽減させるのに有効である。
本明細書に使用される「個体」または「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物、例えばコンパニオンアニマル(イヌ、ネコおよび同種のものなど)、農用動物(雌ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマおよび同種のものなど)、または実験動物(ラット、マウス、モルモットおよび同種のものなど)を含む。特定の実施形態において、本発明の方法によって治療される対象は閉塞性腎疾患を有すると同定される。
「治療すること」または「治療」という用語は、本明細書で使用する場合、障害、障害の症状もしくは状態、それらの障害、障害の進行、または障害の症状もしくは状態により引き起こされた身体障害を治癒させる、癒やす、軽減する、緩和する、変化させる、改善する、寛解させる、好転させる、またはそれらに作用することを目的として、1種または複数種の活性剤を含む組成物を、障害、障害の症状もしくは状態、または障害の進行に悩む対象に外用または投与することをいう。「予防すること」または「予防」という用語は、本明細書で使用する場合、1種または複数種の活性剤を含む組成物を、障害またはその症状もしくは状態の疑いがあるか、またはそれらにかかりやすい対象に外用または投与することをいい、したがって障害またはその症状もしくは状態、またはその根本原因の発生の予防に関連する。
本明細書に使用される「治療有効量」という用語は、治療される対象に所望の治療効果を与える活性成分の量をいう。例えば、腎線維症を治療または予防するための有効量は、単核白血球浸潤、尿細管拡張、尿細管萎縮、尿細管上皮細胞の増殖、線維芽細胞または筋線維芽細胞の活性化、およびコラーゲン(IIIまたはIV)沈着などの1つまたは複数の症状もしくは状態またはそれらの進行を防止する、好転させる、軽減する、減少させるまたは予防することができる量であり得る。これらの症状は、様々な疾患進行関連指標に基づき、当該分野において公知の方法、例えば染色により腎部分を分析することによって判定および評価することができる。有効量は、投与の経路および頻度、前記薬剤を投与される個体の体重および種、ならびに投与の目的など様々な理由に応じて変化してもよい。当業者は、それぞれの場合に本明細書の開示内容、確立された方法、および当業者自身の経験に基づき投与量を決定してもよい。例えば、特定の実施形態において、本発明に使用されるジンセノサイドM1の経口投与量は、1日10〜1,000mg/kgである。いくつかの例では、本発明に使用されるジンセノサイドM1の経口投与量は、1日100〜300mg/kg、1日50〜150mg/kg、1日25〜100mg/kg、1日10〜50mg/kg、または1日5〜30mg/kgである。さらに、本発明のいくつかの実施形態では、ジンセノサイドM1は、一定期間定期的に投与され、例えば、少なくとも5日間、10日間または15日間、1ヶ月間または2ヶ月間以上連日投与される。
本発明によれば、ジンセノサイドM1は、腎線維症を治療または予防するための活性成分として使用することができる。一実施形態では、有効量の活性成分は、送達および吸収を目的として、薬学的に許容される担体と共に適切な形態の医薬組成物に製剤化してもよい。投与様式に応じて、本発明の医薬組成物は好ましくは約0.1重量%〜約100重量%の活性成分を含み、重量パーセントは全組成物の重量に基づき計算される。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」は、担体が組成物中の活性成分との適合性があり、好ましくは前記活性成分を安定化でき、処置を受ける個体に安全であることを意味する。前記担体は、活性成分に対する希釈剤、ビヒクル、賦形剤またはマトリックスであってもよい。適切な賦形剤の一部の例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルボース、マンノース、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガントガム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップおよびメチルセルロースが挙げられる。組成物は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油など滑沢剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;メチルおよびプロピルヒドロキシベンゾエートなどの防腐剤;甘味料;ならびに着香剤をさらに含んでもよい。本発明の組成物は、患者への投与後の活性成分の迅速放出、持続放出または遅延放出の作用を持たせてもよい。
本発明によれば、前記組成物の形態は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ、パケット(packet)剤、トローチ、エリキシル剤(elixers)、懸濁剤、ローション、溶液剤、シロップ、軟質および硬質ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射液、ならびに分包散剤であってもよい。
本発明の組成物は、経口法、非経口法(筋肉内、静脈内、皮下および腹腔内など)、経皮法、坐剤法および経鼻法などの任意の生理学的に許容される経路により送達することができる。非経口投与については、本発明の組成物は好ましくは、溶液を血液に対して等張にするのに十分な塩またはグルコースなどの他の物質を含んでもよい滅菌水溶液の形態で使用される。水溶液は、必要に応じて(好ましくは3〜9のpH値で)適切に緩衝化してもよい。滅菌条件下での適切な非経口組成物の調製は、当業者によく知られている標準的な薬理学的技法を用いて達成することができ、追加の創造的労力は必要としない。
本発明によれば、ジンセノサイドM1またはジンセノサイドM1を活性成分として含む組成物は、腎線維症を治療または予防するのに使用してもよい。具体的には、ジンセノサイドM1またはジンセノサイドM1を活性成分として含む組成物は、疾患の発症を予防するため、または症状を改善させるため、または症状の悪化を遅延させるために腎線維症の個体または腎線維症に罹患するリスクがある個体に投与してもよい。具体的には、ジンセノサイドM1は、腎線維症の発症の時間の前または発症時に投与してもよいか、またはジンセノサイドM1は腎線維症の発症後に投与されてもよい。
さらに、本発明によれば、ジンセノサイドM1またはジンセノサイドM1を活性成分として含む組成物は、既存の治療方法または医薬、例えば、薬物治療、以下に限定されるものではないが、コルチコステロイド(プレドニゾロンなど)、非ステロイド性(non−steriodal)抗炎症薬(NSAID)、細胞傷害性薬(シクロホスファミド、クロラムブシルおよびアザチオプリンなど)、免疫抑制剤(シクロスポリンおよびミコフェノール酸モフェチルなど)、および血管拡張薬(アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤など))と組み合わせて使用してもよい。一実施形態では、組み合わせて使用される医薬または治療方法は、同時に(並行)使用しても、あるいは連続的に使用してもよい。医薬が組み合わせて使用される場合、医薬は同じ処方中で混合しても、あるいは別のカプセル、丸剤、錠剤および注射薬など異なる処方に別々に組み込んでもよい。
本発明について、限定ではなく実証を目的として提供する以下の例によりさらに説明する。
1.材料および方法
1.1 動物モデルおよび実験プロトコル
UUO(片側尿管閉塞)動物モデル
オスの8週齢のC57BL/6マウスを、国立実験動物飼育研究センター(National Laboratory Animal Breeding and Research Center)(台北、台湾)から購入し、国防医療センター(National Defense Medical Center)(台北、台湾)の動物センターで維持した。全ての動物実験は、国防医療センター(National Defense Medical Center)(台湾)の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)の承認を得て行われ、実験動物のケアおよび使用のための国立衛生研究所(National Institutes of Health)のガイドラインと一致していた。
マウスを最初にペントバルビタールナトリウム(50mg/kg、i.p.)で麻酔した。左腹部切開を行った後、左尿管を露出させ、6−0絹縫合糸で2点を結紮し、2つの結紮点の間を切断した。最後に、腹膜および皮膚を縫合した。偽手術は、尿管の結紮および切開を除いて、UUO手順の全てのステップに従うことによって対照として実施した(Xiaoら Adenosine A2A receptor: a target for regulating renal interstitial fibrosis in obstructive nephropathy、PLoS One.2013 Apr 9;8(4):e60173)。
簡潔に述べると、全てのマウスに術前鎮痛(50mg/kgのブプレノルフィン(Temgesic、Shering−Plough)の皮下注射)を与え、続いて右尿管を2.0%のイソフルランにより誘発された麻酔下で小さな腹部切開を通して6.0絹で結紮した。腹部を2層に閉じ、マウスを換気ストーブで28℃にて12時間、手術から回復させた。マウスを手術の7または14日後に屠殺した(Pulskensら、Nlrp3 prevents early renal interstitial edema and vascular permeability in unilateral ureteral obstruction、PLoS One.2014 Jan 15;9(1):e85775)。
1.2 ジンセノサイドM1および投与
台湾特許出願第094116005(I280982)号明細書および米国特許第7,932,057号に記載されているような当該技術分野で公知の方法により、ジンセノサイドM1である、20−O−β−D−グルコピラノシル−20(S)−プロトパナキサジオール(以下、LCHK168と称する)を調製した。LCHK168を3%のクレモフォア(cremophore)(Sigma−Aldrich)に溶解した。UUO操作の1日前から開始して、屠殺するまで腹腔内注射によってマウスにLCHK168(30mg/kg)の1日用量を与えた。
1.3 腎臓の病理組織
パラフィン包埋した腎臓組織を切片にし、標準的なプロトコルを使用してマッソントリクロームならびにヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。組織病理に関して、組織を10%の緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋し、次いで切片(3μm)を調製し、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。
全ての切片を実装後に試験した。半定量的分析の方法は腎尿細管間質に対する炎症および線維化の程度に応じており、スコア付けのために20の領域を無作為に選択した。「0」は正常形態を示し、「1」は流入面積が10%未満であることを示し、「2」は流入面積が約10〜30%であることを示し、「3」は流入面積が約30〜50%であることを示し、「4」は流入面積が50%超であることを示す。
1.4 免疫組織化学(IHC)およびアポトーシスの検出
IHCに関して、ホルマリン固定およびパラフィン包埋組織切片を、DAKO抗体希釈緩衝液(DAKO、Glostrup、デンマーク)中で希釈した、PCNA(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA、USA)、CD3(DAKO、Glostrup、Denmark)、α−SMA(Thermo Fisher Scietific、Waltham、Massachusetts、USA)、コラーゲンIII、コラーゲンIV(両方、SouthernBiotech製、Birmingham、AL、USA)、F4/80(単球/マクロファージ;Serotec、Raleigh、NC、USA)、ホスホ−NF−κB p65(pNF−κB p65;Cell Signaling Technology、Beverly、MA、USA)に対する抗体と共に4℃にて一晩、次いで、同じ緩衝液中の西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合二次抗体(DAKO)または抗ウサギポリマー−HRP(BioGenex、Fremont、CA、USA)と共に室温にて1時間インキュベートし、次いでDAB(BioGenex)を加えた。ヘマトキシリンを使用して核を対比染色した。アポトーシスの検出のために、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介dUTPニックエンド標識(TUNEL)を使用した。ホルマリン固定組織切片を、製造業者の指示書に従ってApopTag Plus Peroxidase In Situ Apoptosis検出キット(Chemicon、Temecula、CA、USA)を使用して染色した。α−SMA、コラーゲンIII、コラーゲンIVの存在度またはリン酸化NF−κB p65、PCNA、F4/80、CD3およびアポトーシス細胞の数を、Pax−It定量的画像解析ソフトウェア(Paxcam)によって皮質領域の尿細管間質区画の400倍の倍率のランダムに選択した領域で計測した。
1.5 フローサイトメトリー
マウス由来の脾細胞をトリス緩衝化塩化アンモニウムで処理して赤血球を除去し、洗浄し、10%ウシ胎仔血清、Hepes緩衝液、L−グルタミン、およびペニシリン/ストレプトマイシン(全てInvitrogen/Life Technologies製、Grand Island、NY、USA)を補足したRPMI1640培地中で再懸濁した。次いで、T細胞についてFITC結合抗マウスCD3抗体(17A2)、B細胞について抗マウスCD19抗体(1D3)、およびフィコエリトリン結合抗マウスCD69抗体(H1.2F3;全てBD Biosciences製の抗体)を使用して、TまたはB細胞の表面マーカーについて細胞を染色した。骨髄細胞分析のために、マウス由来の骨髄を記載(Takeshita Sら、2014)の通りに単離し、マウスSca−1(BD Biosciences)またはCD34(eBioscience、San Diego、CA、USA)に対する抗体で染色した。フローサイトメトリー分析を、FACSCalibur(BD Biosciences)を使用して行った。
1.6 マッソントリクローム染色
3μmの腎切片を75℃で15分間インキュベートする。上のスライドをキシレン(xyline)および勾配アルコールに移す。媒染剤を、ヘマトキシリンで1分間染色した後、スライド上に載せる。0.75%のオレンジG溶液、マッソン染色溶液B、2.5%のホスホタングステン酸溶液、およびアニリンブルー染色溶液で染色した後、スライドを1%の酢酸で2回洗浄し、アラビアゴムでマウントする。数分間空気乾燥させ、染色切片を光学顕微鏡上で検査する。
1.7 酵素結合免疫吸着法
尿試料を29Gインスリン注射器によって腎杯および骨盤から採取する。正常対照として、尿を代謝ケージによって採取する。次いで、MCP−1、TNF−αおよびIL−1βを、取扱説明書(eBioscienceおよびR&D)に従ってELISAによって検出する。簡潔には、捕捉抗体を96ウェルプレート中で一晩被覆する。PBSTで洗浄した後、ブロッキング緩衝液、試料、検出抗体、アビジン−HRPを順に充填する。TMB基質ステップ後に発色し、次いで2NのHSOを加えて反応を停止させる。最後に、O.D.450nmを測定する。
1.8 統計的解析
値は平均±SDである。2つの群間の比較はスチューデントのt検定を使用して行った。P値<0.05は統計的に有意であるとみなした。
2.結果
2.1 実験UUOモデルの確立
実験は8〜10週齢のC57BL/6マウスで行った。マウスを疑似対照、疾患対照およびLCHK168治療群にランダムに分け、7または14日間のUUO後に屠殺した。UUO腎臓の骨盤内の尿の保持が観察され、UUOモデルが首尾よく確立されたことが示された。図1Aおよび図1Bを参照のこと。
2.2 腎臓の病理組織評価
腎臓組織を採取し、固定し、H&E染色を行った。図2に示すように、7日目のUUOにおいて、疾患対照マウスは間質領域において顕著な単核白血球浸潤および尿細管拡張を示し、この組織病理はLCHK168投与によって抑制された。14日目のUUOにおいて、線維化および尿細管萎縮が観察され、それらはLCHK168投与後に顕著に抑制される。
2.3 腎細胞アポトーシスおよび増殖評価
UUO腎臓において、尿の保持によって引き起こされる機械的ストレス、ならびにストレスに対する応答としての腎細胞によるサイトカインおよびROS放出は、細胞の損傷を引き起こし、これにより、細胞の自己複製またはアポトーシス反応をもたらす。アポトーシス細胞について腎切片のTUNNEL染色により、UUO腎間質領域が示され、LCHK168投与後に減少した。図3Aを参照のこと。
尿細管上皮細胞の増殖状態についてだけでなく、活性化された筋線維芽細胞および炎症細胞についてのマーカーである、増殖細胞核抗原(PCNA)による腎切片の免疫組織化学的染色は、特に拡張尿細管において、UUO後、有意に増加したことが示された。しかしながら、PCNA発現はLCHK168の投与後に減少した。これらの結果は、LCHK168が細胞アポトーシスおよび損傷を弱め得ることを示した。図3Bを参照のこと。
2.4 線維症発現評価
UUO腎臓において、線維症は腎組織損傷に対する不適応反応であり、閉塞が持続する場合、不可逆的な腎機能不全に発展する。マッソントリクローム染色による腎切片の組織化学的染色は、偽対照と比較してUUO間質領域において線維化組織の顕著な増加を示し、LCHK168投与後に減少した。図4Aを参照のこと。さらなる検査をα−SMA、コラーゲンIII及びIVについて腎切片の免疫組織化学的染色によって実施し、それらはUUO間質領域で強く発現し、LCHK168投与後に減少した。図4B〜Eを参照のこと。得られたこれらのデータにより、LCHK168が腎間質における筋線維芽細胞の活性化および腎線維症を改善し得ることが示された。
2.5 NF−κBにより調節された炎症反応
2.5.1 腎組織におけるNF−κBの発現
NF−κBは、サイトカインおよび細胞接着分子のその刺激のための炎症関連因子の調節についての必須の核転写因子である。以前の研究により、NF−κBの発現レベルが、腎疾患を含む様々な炎症性障害において上昇することが示された。NF−κBについての腎切片の免疫組織化学的染色により、NF−κB発現の増加が示され、LCHK168投与後に抑制された。図5を参照のこと。このデータにより、LCHK168がUUO腎臓においてNF−κBを抑制し得ることが示された。
2.5.2 単核白血球浸潤
以前の研究により、炎症細胞がUUOの病因において重要な役割を果たすことが示された。単核白血球、特にマクロファージおよびTリンパ球の浸潤は、UUOの初期段階で観察することができる。閉塞が持続すると、活性化された炎症細胞は尿細管上皮細胞または他の炎症細胞を刺激して様々なサイトカインおよびケモカインを放出し、腎間質領域に動員する炎症細胞をより多く引き起こし、腎炎症および線維症を誘発する。単核白血球浸潤の評価を、マクロファージおよびT細胞についてのマーカーである、F4/80およびCD3+について腎切片の免疫組織化学的染色によって実施した。F4/80およびCD3+の発現は、UUO後に増加し、LCHK168投与後に減少した。図6A、6Bを参照のこと。得られたデータにより、LCHK168が腎間質におけるマクロファージおよびT細胞の浸潤を予防し得ることが示された。
2.5.3 尿中のMCP−1、TNF−αおよびIL−1βの発現の評価
初期段階で、サイトカインおよびケモカインは腎臓において局所的に放出され、免疫細胞を動員することができる。次いで、動員された免疫細胞はますます炎症因子を放出する。腎盂においてMCP−1、TNF−α、およびIL−1βが検出される。UUOおよびUUO+LCHK群の両方は、7日目に正常対照群と比較して、より高度にMCP−1、TNF−αおよびIL−1βを発現する。しかし、これらのサイトカインおよびケモカインのレベルは、UUO群と比較してUUO+LCHK群で14日目に有意に減少した。図は、LCHK168が尿中のMCP−1、TNF−αおよびIL−1βレベルを有意に減少させ得ることを示している。
2.6 細胞性免疫の活性化および造血幹細胞の活性化
2.6.1 BおよびTリンパ球の活性化
LCHK168が、全身細胞性免疫の抑制を介して局所炎症および線維化を予防するかどうかを検査するために、フローサイトメトリーによって脾細胞におけるB細胞およびT細胞活性化を検査した。図8Aおよび図8Bに示すように、3つの群内でCD3CD69(活性化パンB)の割合に有意な変化はなく、CD19CD69(活性化パンT)も変化はなかった。得られたデータにより、UUOによって引き起こされる腎症は、全身細胞性免疫にほとんど影響を及ぼさない可能性があり、LCHK168は、全身細胞性免疫の抑制を介して局所炎症および線維化を予防しない可能性があることが示された。
2.6.2 造血幹細胞の活性化
LCHK 168が、造血幹細胞の活性化の抑制を介して局所炎症および線維化を予防するかどうかを検査するために、フローサイトメトリーによって骨髄細胞における幹細胞および造血幹細胞の活性化を検査した。図9Aおよび9Bに示すように、3つの群内で幹細胞抗原−1−陽性細胞(造血幹細胞)およびCD34(幹細胞)細胞の割合に有意な変化はなかった。得られたデータにより、UUOによって引き起こされた腎症が造血幹細胞活性にほとんど影響を与えず、LCHK168が造血幹細胞活性の抑制を介して局所炎症および線維化を予防しない可能性があることが示された。
要約すると、我々の研究は、ジンセノサイドM1がUUOモデルにおいて腎線維症の発症を予防するのに有効であることを示す。特に、その結果は、(1)腎間質組織における細胞アポトーシスおよび尿細管損傷の減少、(2)腎間質組織における線維化およびコラーゲン沈着の予防、(3)NF−κB活性化の減少、(4)腎臓のマクロファージおよびT細胞浸潤の予防、ならびに(5)造血幹細胞の正常な機能および全身細胞性免疫を示す。これらの見解の全てにより、ジンセノサイドMが、腎線維症の治療または予防のための候補新規薬物にさらに開発できることを示唆している。
本発明が属する技術分野の当業者は、さらに詳細な説明を必要とせずに、本発明を本明細書の説明に基づいて利用することができると考えられる。したがって、提供される説明および特許請求の範囲は、本発明の範囲を決して制限するものではなく、例示的な目的として理解されるべきである。

Claims (15)

  1. 有効量のジンセノサイドM1をむ腎線維症抑剤であって、前記抑制剤を必要とする対象に投与される抑制剤。
  2. 非経口又は腸経路によって投与するための、請求項1に記載の抑制剤。
  3. 1日10mg/kg〜1,000mg/kgの投与量で投与するための、請求項1に記載の抑制剤。
  4. 少なくとも5日間連日投与するための、請求項1に記載の抑制剤。
  5. 前記対象が閉塞性腎疾患を有する患者である、請求項1に記載の抑制剤
  6. 前記ジンセノサイドM1が、前記対象における、単核白血球浸潤、尿細管拡張、尿細管萎縮、尿細管上皮細胞の増殖、線維芽細胞または筋線維芽細胞の活性化、およびコラーゲン沈着からなる群から選択される1つまたは複数の症状または状態を減少または軽減させるのに有効な量で投与される、請求項1に記載の抑制剤
  7. 前記ジンセノサイドM1が、前記対象の腎間質における単核白血球浸潤または線維症を減少または軽減させるのに有効な量で投与される、請求項1に記載の抑制剤
  8. 塞性腎疾患を有する対象を診断または同定した後に投与される、請求項1に記載の抑制剤
  9. 必要とする対象における腎線維症を抑制するための医薬を製造するためのジンセノサイドM1の使用。
  10. 前記医薬が非経口又は腸経路によって投与される、請求項9に記載の使用。
  11. 前記医薬が1日10mg/kg〜1,000mg/kgの投与量で投与される、請求項9に記載の使用。
  12. 前記医薬が少なくとも5日間連日投与される、請求項9に記載の使用。
  13. 前記対象が閉塞性腎疾患を有する患者である、請求項に記載の使用。
  14. 前記医薬が、前記対象における、単核白血球浸潤、尿細管拡張、尿細管萎縮、尿細管上皮細胞の増殖、線維芽細胞または筋線維芽細胞の活性化、およびコラーゲン沈着からなる群から選択される1つまたは複数の症状または状態を減少または軽減させるのに有効である、請求項に記載の使用。
  15. 前記医薬が、前記対象の腎間質における単核白血球浸潤または線維症を減少または軽減させるのに有効である、請求項に記載の使用。
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