JP6625921B2 - 鋼塊の製造方法及び鋼塊の製造装置 - Google Patents

鋼塊の製造方法及び鋼塊の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、鋼塊の製造方法及び鋼塊の製造装置に関する。
溶融金属を鋳型内に注入し、凝固させる造塊法が広く採用されている。この造塊法では、(1)溶融金属の輻射抜熱に起因する湯面側からの温度低下により鋼塊が上部から凝固することを抑制すること、(2)湯面側の断熱性を高めることで鋼塊中の最終凝固部を可能な限り上方に遷移すること、(3)溶融金属の酸化を防止すること、等を目的として溶融金属を鋳型内に規定量まで注入した後、鋳型の上方から湯面に保温剤を投入する。
しかしながら、通常この保温剤はほぼ室温に近い状態で投入されるため、この保温剤が湯面に投入されると、保温剤と接触した溶融金属は保温剤に熱が奪われることで一時的に温度が低下する。その結果、温度が液相温度以下になると、沈殿晶が発生するおそれがある。そして、この沈殿晶は、非金属介在物を含んで鋳型内を沈んでいき、製品の欠陥を招来するおそれがある。
そのため、今日では沈殿晶の発生を抑制するため、保温剤の投入量を調整することが検討されている。また、このような保温剤の投入量を調整可能な装置として、湯上り調整剤(保温剤)の供給装置が発案されている(特開平2−142643号公報参照)。
この公報に記載の装置は、溶融金属の熱によって溶融又は燃焼可能な材質でつくられた容器を有し、この容器が鉛直方向に3室に仕切られている。この装置は、この3室のうち最下室及び最上室に所定量の保温剤を装入しておき、この3室を区画する壁を溶融金属の熱によって順次溶融又は燃焼させていくことで、まず最下室に装入された保温剤を投入し、一定時間後に最上室に装入された保温剤を投入可能に構成されている。この装置によると、必要量の保温剤が一度に全量投入されることを防止できるので、溶融金属の温度の低下を一定程度抑制できると考えられる。
しかしながら、この装置は、保温剤の投入を2段階で行うことで、溶融金属の温度の低下を緩和することができるものの、各段階において所定量の保温剤がまとめて投入されるため、各段階における保温剤の投入時に溶融金属の温度が急激に低下し易い。そのため、この装置は、沈殿晶の発生を十分に抑制し難い。
特開平2−142643号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、沈殿晶の発生を十分に抑制することができる鋼塊の製造方法及び鋼塊の製造装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明に係る鋼塊の製造方法は、溶融金属を鋳型内に注入する工程と、上記注入工程後、鋳型内の湯面に保温剤を投入する工程とを備える鋼塊の製造方法であって、上記投入工程での保温剤の投入量V[kg/s]が下記式(1)を満たすことを特徴とする。
4<V<8 ・・・(1)
当該鋼塊の製造方法は、溶融金属を鋳型内に注入した後における鋳型内の湯面に投入する保温剤の投入量Vを上記範囲内に調整することで、保温剤による保温効果を十分に発揮しつつ、保温剤の投入に起因する溶融金属の温度の急激な低下を十分に抑制することができる。そのため、当該鋼塊の製造方法は、沈殿晶の発生を十分に抑制することができる。
また、上記課題を解決するためになされた本発明に係る鋼塊の製造装置は、溶融金属を注入する鋳型と、この鋳型の上側に配設され、湯面に保温剤を投入可能に構成される投入シューターとを備える鋼塊の製造装置であって、上記投入シューターによる保温剤の投入量V[kg/s]が下記式(1)を満たすことを特徴とする。
4<V<8 ・・・(1)
当該鋼塊の製造装置は、投入シューターによる保温剤の投入量Vが上記範囲内に調整されることによって、保温剤による保温効果を十分に発揮しつつ、保温剤の投入に起因する溶融金属の温度の急激な低下を十分に抑制することができる。そのため、当該鋼塊の製造装置は、沈殿晶の発生を十分に抑制することができる。
上記投入シューターが、保温剤の排出口に格子状の邪魔板を有するとよい。このように、上記投入シューターが、保温剤の排出口に格子状の邪魔板を有することによって、保温剤の投入量Vを容易かつ確実に上記範囲に調整することができる。
以上説明したように、本発明に係る鋼塊の製造方法及び鋼塊の製造装置は沈殿晶の発生を十分に抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る鋼塊の製造装置を示す模式図である。 図1の鋼塊の製造装置の投入シューターに備えられる邪魔板の排出方向側から見た模式的正面図である。 図2の邪魔板のA−A線断面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳説する。
<鋼塊の製造装置>
図1の鋼塊の製造装置(以下、単に「当該製造装置」ともいう。)は、真空鋳造法に用いられる真空上注ぎ鋳造装置である。当該製造装置は、取鍋1と、取鍋1の下流に配設された中間鍋2と、中間鍋2の下流に配設された鋳型3と、鋳型3の上側に配設された投入シューター4とを主に備える。また、当該製造装置は、鋳造時に内部が略真空状態となる真空タンク5を備える。当該製造装置は、真空タンク5内に鋳型3が配設されている。当該製造装置は、取鍋1に貯留された溶融金属Xを中間鍋2を介して鋳型3に注入し、凝固させることで鋼塊を製造可能に構成されている。
(取鍋)
取鍋1は、電気炉や転炉等の精錬炉で出鋼し、溶鋼処理により精錬された溶融金属Xが貯留された鍋によって構成される。
(中間鍋)
中間鍋2は、ノズル7と、ノズル7の開口を閉鎖可能なストッパー8とを有する。ストッパー8の下端部には不活性ガス等を吹き込むガス吹き込み口(図示省略)が設けられている。また、中間鍋2は、ノズル7の下端部にノズル7の開口の開閉を調整可能なスライドバルブ(図示省略)を有する。中間鍋2は、ストッパー8又はスライドバルブによってノズル7の開口の開閉状態を制御することで、鋳型3内への溶融金属Xの注入量を制御可能に構成されている。中間鍋2の容量としては、例えば10ton以上100ton以下とすることができる。
(鋳型)
鋳型3は、溶融金属Xが注入される。鋳型3は、内壁の一部に断熱材9が設けられている。断熱材9は、内壁上部から溶融金属Xの到達高さ以下の位置まで全周に亘って設けられている。断熱材9は、押湯部Yを形成する溶融金属Xの凝固時の断熱性を高める。鋳型3の容量としては、例えば20ton以上500ton以下とすることができる。
(投入シューター)
投入シューター4は、鋳型3の上側に配設され、湯面に保温剤Zを投入可能に構成されている。投入シューター4は、ホッパー状の本体11と、保温剤Zの排出口に設けられる格子状の邪魔板12とを有する。本体11は保温剤Zを排出する筒状(本実施形態においては円筒状)の排出部を有しており、邪魔板12はこの排出部の内面に内嵌するよう円盤状に形成されている。また、投入シューター4は、本体11の外壁にスライド自在に挿入されるシリンダー(図示省略)を有する。投入シューター4は、このシリンダーをスライドさせることで内部に蓄えられた保温剤Zを重力を用いて排出可能に構成されている。
投入シューター4の保温剤Zの投入量V[kg/s]は下記式(1)を満たす。また、投入シューター4の保温剤Zの投入量V[kg/s]は下記式(2)を満たすことがより好ましい。当該製造装置は、投入シューター4による保温剤Zの投入量Vが下記範囲内に調整されることによって、保温剤Zによる保温効果を十分に発揮しつつ、保温剤Zの投入に起因する溶融金属Xの温度の急激な低下を十分に抑制することができる。これにより、当該製造装置は、沈殿晶の発生を十分に抑制することができる。
4<V<8 ・・・(1)
4<V<6 ・・・(2)
また、当該製造装置は、投入シューター4が、保温剤Zの排出口に格子状の邪魔板12を有することによって、保温剤Zの投入量Vを容易かつ確実に調整することができる。
投入シューター4の排出口の平均径の下限としては、150mmが好ましく、200mmがより好ましい。一方、投入シューター4の排出口の平均径の上限としては、500mmが好ましく、400mmがより好ましい。投入シューター4の排出口の平均径が上記下限に満たないと、保温剤Zの投入量Vが不十分となるおそれがある。また、投入シューター4の排出口の平均径が上記下限に満たないと、保温剤Zの投射面積が小さくなり過ぎて溶融金属Xの温度が部分的に低下し易くなるおそれや保温剤Zのつまりによって排出口が閉塞するおそれがある。逆に、投入シューター4の排出口の平均径が上記上限を超えると、保温剤Zの投入量Vを所望の範囲に制御し難くなるおそれがある。
投入シューター4の上記排出部の中心軸は湯面(水平面)に対して傾斜している。上記中心軸と湯面とのなす角αの下限としては、30°が好ましく、45°がより好ましい。一方、上記なす角αの上限としては、80°が好ましく、60°がより好ましい。上記なす角αが上記下限に満たないと、上記排出部内において保温剤Zが十分に排出口側に流れず、保温剤Zの投入量Vが不十分となるおそれがある。逆に、上記なす角αが上記上限を超えると、保温剤Zの投射面積が小さくなり過ぎて溶融金属Xの温度が部分的に低下し易くなるおそれがある。また、上記なす角αが上記上限を超えると、投入される保温材Zの速度が速くなることで溶融金属Xが飛散し、この溶融金属Xが落下する際に介在物の巻き込みを発生させるおそれがある。
邪魔板12は、上記排出部の中心軸が厚さ方向と平行になるよう配設されている。邪魔板12は、鋼鉄、ステンレス鋼等の金属を主成分として構成される。邪魔板12は、図2に示すように格子状である。つまり、邪魔板12は、厚さ方向に貫通する複数の孔及びこれらの孔を画定する複数の桟を有する。当該製造装置は、このように邪魔板12が格子状であることによって厚さ方向の一方側から他方側を視認できるのでメンテナンス等の作業を行い易い。また、邪魔板12は、下部に形成される各孔の開口面積が下部以外に形成される各孔の開口面積よりも大きい。当該製造装置にあっては、投入シューター4の本体11の内部に蓄えられた保温剤Zの邪魔板12への供給量は、保温剤Zの投入開始直後から徐々に少なくなっていく。この点、邪魔板12の上部に複数の孔を有しないと、投入初期の保温剤Zが邪魔板12上部に付着して固まってしまうおそれがある。逆に、邪魔板12の上部の各孔の開口面積が大きいと、これらの孔を介して保温剤Zが投入され過ぎて保温剤Zの投入量Vを十分に制御できないおそれがある。また、邪魔板12の下部の孔の開口面積が小さいと、大粒の保温剤Z等を通過させることができず、この大粒の保温剤Zが下部に付着して固まってしまうおそれがある。これに対し、当該製造装置は、邪魔板12の下部に形成される各孔の開口面積が下部以外に形成される各孔の開口面積よりも大きいことによって、保温剤Zが開口を塞ぐことに起因する保温剤Zの投入量不足を防止しつつ、保温剤Zの投入量Vを適切に制御することができる。なお、上記複数の孔の平面視形状としては特に限定されるものではないが、例えば製造容易性等の点から、正方形、長方形、平行四辺形、又はこれらに近似する形状等とすることができる。また、各孔の平面形状は同一であっても異なっていてもよい。
邪魔板12の平均厚さ(複数の孔を除く部分の平均厚さ)の下限としては、10mmが好ましく、20mmがより好ましい。一方、上記平均厚さの上限としては、200mmが好ましく、100mmがより好ましい。上記平均厚さが上記下限に満たないと、溶融金属Xの熱や保温剤Zの発熱等によって邪魔板12が変形し又は融けるおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記上限を超えると、邪魔板12が不要に厚くなると共に、保温剤Zの投入量Vを制御し難くなるおそれがある。
邪魔板12の各桟の平均幅(平面視における各桟の平均幅)の下限としては、2mmが好ましく、4mmがより好ましい。一方、上記平均幅の上限としては、10mmが好ましく、7mmがより好ましい。上記平均幅が上記下限に満たないと、溶融金属Xの熱や保温剤Zの発熱等によって各桟が変形し又は融けるおそれがある。逆に、上記平均幅が上記上限を超えると、各桟の幅が不要に大きくなると共に、保温剤Zの投入量Vを制御し難くなるおそれがある。
邪魔板12の複数の孔の平均開口面積(全ての孔の合計開口面積を孔の数で除した値)の下限としては、200mmが好ましく、400mmがより好ましい。一方、上記平均開口面積の上限としては、3600mmが好ましく、2000mmがより好ましい。上記平均開口面積が上記下限に満たないと、保温剤Zの投入量Vが不十分となるおそれがある。逆に、上記平均開口面積が上記上限を超えると、保温剤Zの投入量Vを制御し難くなるおそれがある。
図3に示すように、邪魔板12の下部の孔を画定する桟13は厚さ方向に傾斜している。当該製造装置は、保温剤Zの投入初期以外の定常状態においては、保温剤Zは主として邪魔板12の下部に形成される複数の孔から投入される。この点に関し、当該製造装置は、邪魔板12の下部に形成される桟13が厚さ方向に傾斜していることによって、保温剤Zの定常状態における投入量Vが多くならないよう調整することができる。
特に、邪魔板12は、正面視で互いに平行で、かつ上下方向に伸びる一対の桟13を下部に有し、この一対の桟13が厚さ方向に傾斜していることが好ましい。また、この一対の桟13は、図3に示すように、保温剤Zの投入方向に向けて徐々に間隔が狭まるように形成されることが好ましい。当該製造装置は、このように一対の桟13が投入方向に向けて徐々に間隔が狭まるように形成されることによって、保温剤Zの定常状態における投入量Vをより的確に調整することができる。
邪魔板12の厚さ方向に対する桟13の傾斜角の下限としては、15°が好ましく、20°がより好ましい。一方、上記傾斜角の上限としては、75°が好ましく、40°がより好ましい。上記傾斜角が上記下限に満たないと、保温剤Zの定常状態における投入量Vの抑制効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記傾斜角が上記上限を超えると、保温剤Zの定常状態における投入量Vが不十分となるおそれがあると共に、保温剤Zが桟13に固着し易くなり、排出部の閉塞の原因となるおそれがある。
邪魔板12全体に対する下部の面積率の下限としては、5%が好ましく、10%がより好ましい。一方、上記面積率の上限としては、50%が好ましく、40%がより好ましい。上記面積率が上記下限に満たないと、保温剤Zの投入量Vが不十分となるおそれがある。逆に、上記面積率が上記上限を超えると、保温剤Zの投入量Vを制御し難くなるおそれがある。
上記一対の桟13の保温剤Zの導入側(つまり一対の桟13の間隔が最も小さい側)における平均間隔の下限としては、20mmが好ましく、40mmがより好ましい。一方、上記平均間隔の上限としては、70mmが好ましく、50mmがより好ましい。上記平均間隔が上記下限に満たないと、大粒の保温剤Z等を通過させることができないおそれがある。逆に、上記平均間隔が上記上限を超えると、保温剤Zの定常状態における投入量Vが多くなり過ぎるおそれがある。
(保温剤)
上記保温剤Zとしては、発熱性保温剤が用いられる。この発熱性保温剤の主成分としては、例えば金属アルミニウム、金属カルシウム等が挙げられる。また、上記保温剤Zの形状としては、特に限定されるものでなく、球状、円筒状、粉末状等が挙げられる。上記保温剤Zの平均粒径の上限としては、10mmが好ましく、8mmがより好ましい。上記保温剤Zの平均粒径が上記上限を超えると、投入量Vが邪魔板12によって少なくなり過ぎるおそれがある。一方、上記保温剤Zの平均粒径の下限としては、特に限定されるものではなく、例えば1mmとすることができる。なお、「平均粒径」とは、JIS−Z8815:2013に準拠しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS−Z8819−2:2001に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値をいう。
保温剤Zの原単位[保温剤kg/溶融金属ton]の下限としては、1kg/tonが好ましく、2kg/tonがより好ましい。一方、保温剤Zの原単位の上限としては、5kg/tonが好ましく、4kg/tonがより好ましい。保温剤Zの原単位が上記下限に満たないと、保温剤Zの投入による所望の効果が十分に得られないおそれがある。逆に、保温剤Zの原単位が上記上限を超えると、保温剤Zが不要に多くなることや、保温剤Zを収容するために鋳型3の容量を大きくする必要が生じることに基づいてコストが増加するおそれがある。
(真空タンク)
真空タンク5は、上述のように鋳造時に内部を略真空状態に保つ。真空タンク5は、中間鍋2のノズル7の直下に開口を有する。この開口は、鋳造前には鉄板等で封鎖されており、鋳造開始時に中間鍋2から排出される溶融金属によって鉄板が融けることで形成される。鋳造時における真空タンク5内の真空度としては、例えば0.1torr以上100torr以下とすることができる。
<鋼塊の製造方法>
次に、当該製造装置を用いた鋼塊の製造方法(以下、単に「当該製造方法」ともいう。)について説明する。当該製造方法は、溶融金属Xを鋳型3内に注入する工程(注入工程)と、上記注入後、鋳型3内の湯面に保温剤Zを投入する工程(投入工程)とを備える。また、当該製造方法は、上記投入工程後に、鋳型3内に断熱剤を投入する工程(断熱剤投入工程)をさらに備えてもよい。
(注入工程)
上記注入工程では、中間鍋2から鋳型3内に溶融金属Xを注入する。この注入工程で注入される溶融金属Xの重量としては、例えば20ton以上500ton以下とすることができる。また、上記注入工程で注入される溶融金属Xの温度としては、例えば1500℃以上1650℃以下とすることができる。なお、上記注入工程では、中間鍋3のストッパー8の下端部に設けられるガス吹き込み口からアルゴンガス等の不活性ガスを吹き込んでもよい。
上記注入工程で注入された溶融金属Xの鋳込み速度(冷却速度)の下限としては、1ton/minが好ましく、1.5ton/minがより好ましい。一方、上記鋳込み速度の上限としては、15ton/minが好ましく、10ton/minがより好ましい。上記鋳込み速度が上記下限に満たないと、鋼塊の製造効率が不十分となるおそれがあると共に、溶融金属Xの温度低下により沈降性介在物の発生を助長するおそれがある。逆に、上記鋳込み速度が上記上限を超えると、中間鍋2中に浮上しているスラグ、スカム等を巻き込むおそれがある。
(投入工程)
上記投入工程では、上述の投入シューター4から保温剤Zを投入する。上記投入工程では、溶融金属Xの輻射抜熱を抑制するため、溶融金属Xの注入完了後できるだけ早期に保温剤Zを投入することが好ましく、溶融金属Xの注入完了直後から保温剤Zを投入することがより好ましい。一方、上記投入工程では、保温剤Zの投入速度が速すぎると、溶融金属Xの温度が急激に低下して沈殿晶を発生し易くなる。そのため、当該製造方法では、上記投入工程での保温剤Zの投入量V[kg/s]は下記式(1)を満たす。また、当該製造方法では、上記投入工程での保温剤Zの投入量V[kg/s]は下記式(2)を満たすことがより好ましい。
4<V<8 ・・・(1)
4<V<6 ・・・(2)
当該製造方法は、溶融金属Xを鋳型3内に注入した後における鋳型内の湯面に投入する保温剤Zの投入量Vを上記範囲内に調整することで、保温剤Zの投入に起因する溶融金属Xの温度の急激な低下を十分に抑制することができる。そのため、当該製造方法は、沈殿晶の発生を十分に抑制することができる。
上記投入工程における保温剤Zの原単位[保温剤kg/溶融金属ton]の下限としては、1kg/tonが好ましく、2kg/tonがより好ましい。一方、上記保温剤Zの原単位の上限としては、5kg/tonが好ましく、4kg/tonがより好ましい。上記保温剤Zの原単位が上記下限に満たないと、保温剤Zの投入による所望の効果が十分に得られないおそれがある。逆に、上記保温剤Zの原単位が上記上限を超えると、保温剤Zが不要に多くなることや、保温剤Zを収容するために鋳型3の容量を大きくする必要が生じることに基づいてコストが増加するおそれがある。
上記投入工程における保温剤Zの投射面積の下限としては、0.02mが好ましく、0.04mがより好ましい。保温剤Zの投射面積が上記下限に満たないと、溶融金属Xの温度が部分的に低下し易くなるおそれがある。なお、上記投入工程における保温剤Zの投射面積の上限としては、特に限定されないが、保温剤Zの投入量Vを制御し易い点から例えば0.1mとすることができる。
上記投入工程で投入された保温剤Zは、湯面上に層状に積層されて保温剤層を構成する。この保温剤層の平均厚さの下限としては、10mmが好ましく、15mmがより好ましい。一方、上記平均厚さの上限としては、100mmが好ましく、50mmがより好ましい。上記平均厚さが上記下限に満たないと、溶融金属Xの酸化を十分に防止できないおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記上限を超えると、保温剤Zが不要に多くなることや、保温剤Zを収容するために鋳型3の容量を大きくする必要が生じることに基づいてコストが増加するおそれがある。
(断熱剤投入工程)
上記断熱剤投入工程では、上記投入工程後に真空タンク5を開放した上で上記保温剤層上に断熱剤を投入する。当該製造方法は、この断熱剤投入工程によって、溶融金属Xの凝固時の偏析を抑制することができる。
上記断熱剤投入工程で投入される断熱剤は、保温剤層上に積層されて断熱剤層を構成する。この断熱剤層の平均厚さの下限としては、50mmが好ましく、90mmがより好ましい。一方、上記平均厚さの上限としては、300mmが好ましく、200mmがより好ましい。上記平均厚さが上記下限に満たないと、溶融金属Xの凝固時の偏析を十分に抑制することができないおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記上限を超えると、断熱剤層の厚さが不要に大きくなるおそれがある。
[その他の実施形態]
なお、本発明に係る鋼塊の製造方法及び鋼塊の製造装置は、上記態様の他、種々の変更、改変を施した態様で実施することができる。例えば当該製造装置は、真空鋳造装置である必要はない。また、当該製造装置は、上注ぎ鋳造装置である必要はなく、下注ぎ鋳造装置であってもよい。当該製造方法は、上述の実施形態で示した真空鋳造装置を用いて行う必要はない。また、当該製造方法は、上注ぎ鋳造装置を用いて行う必要はなく、下注ぎ鋳造装置を用いて行うことも可能である。
当該製造装置は、保温剤Zの投入量Vを上記範囲内に調整できる限り、必ずしも投入シューターが保温剤Zの排出口に格子状の邪魔板を有していなくてもよい。また、邪魔板の具体的構成としても上述の実施形態の形状に限定されるものではない。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1の鋼塊の製造装置を用い、真空タンク5内の真空度を1torr以下に保ちつつ、内径2.6mの有底円筒状の鋳型3に溶融金属Xを230ton注入した。この溶融金属Xの注入直後の鋳型3内での温度は1550℃であった。この溶融金属Xを鋳込み速度5ton/minで鋳込みつつ、この溶融金属Xの注入完了直後から投入シューター4によって保温剤Zを湯面に投入した。この保温剤Zとしては、金属カルシウムを主成分とし、平均粒径5mmの円筒状のペレット状のものを用いた。また、この保温剤Zの合計投入量は300kgであった。
さらに、投入シューター4による保温剤Zの投入完了後、真空タンク5内の真空状態を開放した上、この保温剤Zによって形成された平均厚さ20mmの保温剤層の上面に断熱剤を投入した。この断熱剤としては、酸化アルミニウムを主成分とするものを用いた。また、この断熱剤によって保温剤層上に積層された断熱剤層の平均厚さは130mmであった。
<UT欠陥>
上記投入シューター4による保温剤Zの投入量V[kg/s]を表1の通りとし、鋳塊の鍛錬後の黒皮(機械加工は未実施)についてクラウトクレーマー社製の「USK−8S」等のUT機器を用いてUT検査(超音波深傷検査)を行い、欠陥の大きさについて以下の基準で評価した。なお、保温剤Zの投入量V[kg/s]は、邪魔板の格子形状を変更することで調整した。
A:欠陥の検出なし。
B:1つの欠陥又は散在する少数の欠陥が検出された。
C:密集する多数の欠陥が検出された。
<PT欠陥>
上記投入シューター4による保温剤Zの投入量V[kg/s]を表1の通りとし、鋳塊の黒皮を機械加工した後、PT検査(浸透深傷検査)を行い、欠陥の大きさについて以下の基準で評価した。
A:欠陥なし。
B:アスペクト比3以上かつ最大長さ1.6mm以下の欠陥、又はアスペクト比3未満かつ最大長さ5.0mm以下の欠陥が検出された。
C:アスペクト比3以上かつ最大長さ1.6mm超の欠陥、又はアスペクト比3未満かつ最大長さ5.0mm超の欠陥が検出された。
Figure 0006625921
[評価結果]
表1に示すように、保温剤Zの投入量V[kg/s]が、4<V<8を満たすNo.1〜No.16は、UT検査を行った場合に密集する多数の欠陥が検出されておらず、かつPT検査を行った場合にアスペクト比3以上かつ最大長さ1.6mm超の欠陥、及びアスペクト比が3未満かつ最大長さ5.0mm超の欠陥が検出されていない。これは、保温剤Zの投入量V[kg/s]が、4<V<8を満たすことによって、溶融金属Xの急激な温度の低下を十分に抑制することができ、その結果沈殿晶の発生を十分に抑制できたためと考えられる。これに対し、保温剤Zの投入量V[kg/s]が4以下又は8以上であるNo.17〜No.23では、PT検査を行った場合にアスペクト比3以上かつ最大長さ1.6mm超の欠陥、若しくはアスペクト比が3未満かつ最大長さ5.0mm超の欠陥が検出されており、No.17及びNo.18についてはこの欠陥に加えてUT検査を行った場合に密集する多数の欠陥が検出されている。これは、溶融金属Xの急激な温度の低下に起因して沈殿晶が発生し易いためと考えられる。
以上説明したように、本発明の鋼塊の製造方法及び鋼塊の製造装置は、沈殿晶の発生を十分に抑制することができるので、欠陥の少ない高品質な鋼塊の製造に適している。
1 取鍋
2 中間鍋
3 鋳型
4 投入シューター
5 真空タンク
7 ノズル
8 ストッパー
9 断熱材
11 本体
12 邪魔板
13 桟
X 溶融金属
Y 押湯部
Z 保温剤

Claims (3)

  1. 溶融金属を鋳型内に注入する工程と、
    上記注入工程後、上記溶融金属を鋳込みつつ、鋳型内の湯面に保温剤を投入する工程と
    を備える鋼塊の製造方法であって、
    上記溶融金属の鋳込み速度が、1ton/min以上15ton/min以下であり、
    上記投入工程における上記保温材剤の原単位が1kg/ton以上5kg/ton以下であり、
    上記保温剤が発熱性保温剤であり、
    上記投入工程での保温剤の投入量V[kg/s]が下記式(1)を満たすことを特徴とする鋼塊の製造方法。
    4<V<8 ・・・(1)
  2. 溶融金属を注入し、この溶融金属を鋳込み可能な鋳型と、
    この鋳型の上側に配設され、湯面に保温剤を投入可能に構成される投入シューターと
    を備え、請求項1に記載の鋼塊の製造方法を実施可能な鋼塊の製造装置であって、
    上記保温剤が発熱性保温剤であり、
    上記投入シューターによる保温剤の投入量V[kg/s]が下記式(1)を満たすことを特徴とする鋼塊の製造装置。
    4<V<8 ・・・(1)
  3. 上記投入シューターが、保温剤の排出口に格子状の邪魔板を有する請求項2に記載の鋼塊の製造装置。
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