JP6625921B2 - 鋼塊の製造方法及び鋼塊の製造装置 - Google Patents
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Description
4<V<8 ・・・(1)
4<V<8 ・・・(1)
図1の鋼塊の製造装置(以下、単に「当該製造装置」ともいう。)は、真空鋳造法に用いられる真空上注ぎ鋳造装置である。当該製造装置は、取鍋1と、取鍋1の下流に配設された中間鍋2と、中間鍋2の下流に配設された鋳型3と、鋳型3の上側に配設された投入シューター4とを主に備える。また、当該製造装置は、鋳造時に内部が略真空状態となる真空タンク5を備える。当該製造装置は、真空タンク5内に鋳型3が配設されている。当該製造装置は、取鍋1に貯留された溶融金属Xを中間鍋2を介して鋳型3に注入し、凝固させることで鋼塊を製造可能に構成されている。
取鍋1は、電気炉や転炉等の精錬炉で出鋼し、溶鋼処理により精錬された溶融金属Xが貯留された鍋によって構成される。
中間鍋2は、ノズル7と、ノズル7の開口を閉鎖可能なストッパー8とを有する。ストッパー8の下端部には不活性ガス等を吹き込むガス吹き込み口(図示省略)が設けられている。また、中間鍋2は、ノズル7の下端部にノズル7の開口の開閉を調整可能なスライドバルブ(図示省略)を有する。中間鍋2は、ストッパー8又はスライドバルブによってノズル7の開口の開閉状態を制御することで、鋳型3内への溶融金属Xの注入量を制御可能に構成されている。中間鍋2の容量としては、例えば10ton以上100ton以下とすることができる。
鋳型3は、溶融金属Xが注入される。鋳型3は、内壁の一部に断熱材9が設けられている。断熱材9は、内壁上部から溶融金属Xの到達高さ以下の位置まで全周に亘って設けられている。断熱材9は、押湯部Yを形成する溶融金属Xの凝固時の断熱性を高める。鋳型3の容量としては、例えば20ton以上500ton以下とすることができる。
投入シューター4は、鋳型3の上側に配設され、湯面に保温剤Zを投入可能に構成されている。投入シューター4は、ホッパー状の本体11と、保温剤Zの排出口に設けられる格子状の邪魔板12とを有する。本体11は保温剤Zを排出する筒状(本実施形態においては円筒状)の排出部を有しており、邪魔板12はこの排出部の内面に内嵌するよう円盤状に形成されている。また、投入シューター4は、本体11の外壁にスライド自在に挿入されるシリンダー(図示省略)を有する。投入シューター4は、このシリンダーをスライドさせることで内部に蓄えられた保温剤Zを重力を用いて排出可能に構成されている。
4<V<8 ・・・(1)
4<V<6 ・・・(2)
上記保温剤Zとしては、発熱性保温剤が用いられる。この発熱性保温剤の主成分としては、例えば金属アルミニウム、金属カルシウム等が挙げられる。また、上記保温剤Zの形状としては、特に限定されるものでなく、球状、円筒状、粉末状等が挙げられる。上記保温剤Zの平均粒径の上限としては、10mmが好ましく、8mmがより好ましい。上記保温剤Zの平均粒径が上記上限を超えると、投入量Vが邪魔板12によって少なくなり過ぎるおそれがある。一方、上記保温剤Zの平均粒径の下限としては、特に限定されるものではなく、例えば1mmとすることができる。なお、「平均粒径」とは、JIS−Z8815:2013に準拠しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS−Z8819−2:2001に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値をいう。
真空タンク5は、上述のように鋳造時に内部を略真空状態に保つ。真空タンク5は、中間鍋2のノズル7の直下に開口を有する。この開口は、鋳造前には鉄板等で封鎖されており、鋳造開始時に中間鍋2から排出される溶融金属によって鉄板が融けることで形成される。鋳造時における真空タンク5内の真空度としては、例えば0.1torr以上100torr以下とすることができる。
次に、当該製造装置を用いた鋼塊の製造方法(以下、単に「当該製造方法」ともいう。)について説明する。当該製造方法は、溶融金属Xを鋳型3内に注入する工程(注入工程)と、上記注入後、鋳型3内の湯面に保温剤Zを投入する工程(投入工程)とを備える。また、当該製造方法は、上記投入工程後に、鋳型3内に断熱剤を投入する工程(断熱剤投入工程)をさらに備えてもよい。
上記注入工程では、中間鍋2から鋳型3内に溶融金属Xを注入する。この注入工程で注入される溶融金属Xの重量としては、例えば20ton以上500ton以下とすることができる。また、上記注入工程で注入される溶融金属Xの温度としては、例えば1500℃以上1650℃以下とすることができる。なお、上記注入工程では、中間鍋3のストッパー8の下端部に設けられるガス吹き込み口からアルゴンガス等の不活性ガスを吹き込んでもよい。
上記投入工程では、上述の投入シューター4から保温剤Zを投入する。上記投入工程では、溶融金属Xの輻射抜熱を抑制するため、溶融金属Xの注入完了後できるだけ早期に保温剤Zを投入することが好ましく、溶融金属Xの注入完了直後から保温剤Zを投入することがより好ましい。一方、上記投入工程では、保温剤Zの投入速度が速すぎると、溶融金属Xの温度が急激に低下して沈殿晶を発生し易くなる。そのため、当該製造方法では、上記投入工程での保温剤Zの投入量V[kg/s]は下記式(1)を満たす。また、当該製造方法では、上記投入工程での保温剤Zの投入量V[kg/s]は下記式(2)を満たすことがより好ましい。
4<V<8 ・・・(1)
4<V<6 ・・・(2)
上記断熱剤投入工程では、上記投入工程後に真空タンク5を開放した上で上記保温剤層上に断熱剤を投入する。当該製造方法は、この断熱剤投入工程によって、溶融金属Xの凝固時の偏析を抑制することができる。
なお、本発明に係る鋼塊の製造方法及び鋼塊の製造装置は、上記態様の他、種々の変更、改変を施した態様で実施することができる。例えば当該製造装置は、真空鋳造装置である必要はない。また、当該製造装置は、上注ぎ鋳造装置である必要はなく、下注ぎ鋳造装置であってもよい。当該製造方法は、上述の実施形態で示した真空鋳造装置を用いて行う必要はない。また、当該製造方法は、上注ぎ鋳造装置を用いて行う必要はなく、下注ぎ鋳造装置を用いて行うことも可能である。
上記投入シューター4による保温剤Zの投入量V[kg/s]を表1の通りとし、鋳塊の鍛錬後の黒皮(機械加工は未実施)についてクラウトクレーマー社製の「USK−8S」等のUT機器を用いてUT検査(超音波深傷検査)を行い、欠陥の大きさについて以下の基準で評価した。なお、保温剤Zの投入量V[kg/s]は、邪魔板の格子形状を変更することで調整した。
A:欠陥の検出なし。
B:1つの欠陥又は散在する少数の欠陥が検出された。
C:密集する多数の欠陥が検出された。
上記投入シューター4による保温剤Zの投入量V[kg/s]を表1の通りとし、鋳塊の黒皮を機械加工した後、PT検査(浸透深傷検査)を行い、欠陥の大きさについて以下の基準で評価した。
A:欠陥なし。
B:アスペクト比3以上かつ最大長さ1.6mm以下の欠陥、又はアスペクト比3未満かつ最大長さ5.0mm以下の欠陥が検出された。
C:アスペクト比3以上かつ最大長さ1.6mm超の欠陥、又はアスペクト比3未満かつ最大長さ5.0mm超の欠陥が検出された。
表1に示すように、保温剤Zの投入量V[kg/s]が、4<V<8を満たすNo.1〜No.16は、UT検査を行った場合に密集する多数の欠陥が検出されておらず、かつPT検査を行った場合にアスペクト比3以上かつ最大長さ1.6mm超の欠陥、及びアスペクト比が3未満かつ最大長さ5.0mm超の欠陥が検出されていない。これは、保温剤Zの投入量V[kg/s]が、4<V<8を満たすことによって、溶融金属Xの急激な温度の低下を十分に抑制することができ、その結果沈殿晶の発生を十分に抑制できたためと考えられる。これに対し、保温剤Zの投入量V[kg/s]が4以下又は8以上であるNo.17〜No.23では、PT検査を行った場合にアスペクト比3以上かつ最大長さ1.6mm超の欠陥、若しくはアスペクト比が3未満かつ最大長さ5.0mm超の欠陥が検出されており、No.17及びNo.18についてはこの欠陥に加えてUT検査を行った場合に密集する多数の欠陥が検出されている。これは、溶融金属Xの急激な温度の低下に起因して沈殿晶が発生し易いためと考えられる。
2 中間鍋
3 鋳型
4 投入シューター
5 真空タンク
7 ノズル
8 ストッパー
9 断熱材
11 本体
12 邪魔板
13 桟
X 溶融金属
Y 押湯部
Z 保温剤
Claims (3)
- 溶融金属を鋳型内に注入する工程と、
上記注入工程後、上記溶融金属を鋳込みつつ、鋳型内の湯面に保温剤を投入する工程と
を備える鋼塊の製造方法であって、
上記溶融金属の鋳込み速度が、1ton/min以上15ton/min以下であり、
上記投入工程における上記保温材剤の原単位が1kg/ton以上5kg/ton以下であり、
上記保温剤が発熱性保温剤であり、
上記投入工程での保温剤の投入量V[kg/s]が下記式(1)を満たすことを特徴とする鋼塊の製造方法。
4<V<8 ・・・(1) - 溶融金属を注入し、この溶融金属を鋳込み可能な鋳型と、
この鋳型の上側に配設され、湯面に保温剤を投入可能に構成される投入シューターと
を備え、請求項1に記載の鋼塊の製造方法を実施可能な鋼塊の製造装置であって、
上記保温剤が発熱性保温剤であり、
上記投入シューターによる保温剤の投入量V[kg/s]が下記式(1)を満たすことを特徴とする鋼塊の製造装置。
4<V<8 ・・・(1) - 上記投入シューターが、保温剤の排出口に格子状の邪魔板を有する請求項2に記載の鋼塊の製造装置。
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JP2016066589A JP6625921B2 (ja) | 2016-03-29 | 2016-03-29 | 鋼塊の製造方法及び鋼塊の製造装置 |
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