JP6624497B2 - ジニトリル化合物及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、樹脂酸二量体残基を主骨格とするジニトリル化合物及びその製造方法に関する。
ジニトリル化合物は、繊維、電子材料、薬剤、農薬、顔料、染料等に使用されるポリマーやモノマーの前駆体として有用である。例えばアジポニトリルやスクシノニトリルのような脂肪族ジニトリルは、ポリアミドの原料であるヘキサメチレンジアミンやブタンジアミンの前駆体として公知であり、また、芳香族ジニトリルのうち例えばフタロニトリルはフタロシアニン色素の前駆体として知られている。特に、フタロニトリルは芳香族骨格を有しているため、その重合体はガラス転移温度が非常に高く、例えば耐火繊維等の用途に供されている(特許文献1を参照。)。
特表2002−519277号公報
前記フタロニトリルのように、分子内に剛直な骨格を有するジニトリル化合物は、耐熱性に優れる重合体を与えるため、工業的に有用である。よって、分子内に剛直且つ嵩高い骨格を備えるジニトリル化合物は、更に耐熱性に優れる重合体を与えるだけでなく、従来にない用途を展開すると考えられる。そこで本発明者は、そうしたジニトリル化合物を提供することを課題に設定した。
本発明は上記課題に鑑みて完成した。即ち本発明は、下記ジニトリル化合物及びその製造方法に関する。
1.N≡C−Ro−C≡N(式中、Roは樹脂酸二量体残基を示す。)で表されるジニトリル化合物。
2.Ro−C≡N(式中、Roは樹脂酸残基を示す。)で表されるモノニトリル化合物を二量化反応させることを特徴とする、前記項1のジニトリル化合物の製造方法。
3.R−OOC−Ro−COO−R(式中、Roは樹脂酸二量体残基を、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるジエステル化合物とアンモニアを反応させることを特徴とする、前記項1のジニトリル化合物の製造方法。
本発明のジニトリル化合物は、分子中に樹脂酸二量体の残基構造を有しているため、従来のジニトリル化合物と同様の用途、例えば繊維、電子材料、薬剤、農薬、顔料及び染料等の原料として有用と考えられる。また、該ジニトリル化合物を水素化することにより、樹脂酸二量体の残基構造を有するジアミン化合物を得ることができ、これは例えばポリアミドやポリイミドの原料として有用と考えられる。
実施例1で得られた重合ロジンニトリルの赤外線吸収スペクトルチャートである。 実施例1で得られた重合ロジンニトリルのガスクロマトグラフィーチャートである。 図2のシグナル群1に相当するチャートである。 図2のシグナル5〜7に相当するチャートである。 図2のシグナル8〜10に相当するチャートである。 実施例1で得られた重合ロジンニトリルのGPCチャートである。
本発明のジニトリル化合物は、N≡C−Ro−C≡N(式中、Roは樹脂酸二量体残基を示す。以下、説明略。)で表される化合物である。以下、構造の一例を示す。
本発明のジニトリル化合物の前駆体である樹脂酸二量体は、HOOC−Ro−COOH(式中、Roは樹脂酸二量体残基を示す。以下、説明略。)で表される。かかる構造から二つのカルボキシル基を除いた残りの構造を本明細書では「樹脂酸二量体残基」と称する。
本発明のジニトリル化合物は、Ro−C≡N(式中、Roは樹脂酸残基を示す。以下、式中説明略。)で表されるモノニトリル化合物を二量化反応させる方法(以下、方法[1]ともいう。)、又は、ROOC−Ro−COOR(式中、Roは樹脂酸二量体残基を、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。以下、式中説明略。)で表されるジエステル化合物とアンモニアを反応させる方法(以下、方法[2]ともいう。)によって製造できる。
方法[1]の出発原料である前記モノニトリル化合物は、樹脂酸とアンモニアを各種公知の方法でニトリル化反応させることにより得られる。
前記樹脂酸としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマール酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸及びサンダラコピマル酸等が挙げられる。
前記樹脂酸は各種ロジン類に含まれている。具体的には、ガムロジン、トール油ロジン及びウッドロジン等の天然ロジンやそれらを精製したものが挙げられる。これらの中でもアビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸及びレボピマール酸等の共役二重結合型の樹脂酸を含む精製ロジンが好ましい。
前記精製ロジンは、天然ロジンに含まれる種々の不純物や夾雑物等を各種公知の精製手段で除去し、共役二重結合型樹脂酸の含有量を高めたものである。該精製手段としては、例えば、蒸留精製、再結晶、溶媒抽出法等が挙げられる。該蒸留精製の条件は特に限定されず、前記天然ロジン中の樹脂酸の含有率が通常80重量%以上となる条件を適宜選択すればよい。通常は、温度が200〜300℃程度、圧力が130〜1300Pa程度、蒸留時間が1〜50時間程度である。該再結晶の条件は特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、前記天然ロジンを、ベンゼンやトルエン、キシレン、クロロホルム、低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の良溶媒に溶解して溶液とした後、該溶液より良溶媒を各種公知の手段で除去することによって濃厚溶液となしてから、当該濃厚溶液にn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等の貧溶媒を加えればよい。該溶媒抽出の条件は特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、前記天然ロジンをアルカリ水溶液となし、生じた不溶性の不ケン化物を有機溶媒により抽出した後、水層を中和すればよい。該精製ロジンにおける共役二重結合型樹脂酸の含有量は特に限定されないが、通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上99.9重量%未満程度、一層好ましくは80重量%以上99重量%未満程度である。
前記ニトリル化反応の方法及び条件は特に限定されず、各種公知の手段を採用できる。具体的には、例えば、前記精製ロジンを加熱溶融させ、該溶融物にアンモニアガスを各種公知の手段で吹き込む方法が挙げられる。吹込条件は特に限定されないが、通常、該精製ロジン類に含まれる樹脂酸1モルに対してアンモニアが0.5〜20モル/時間程度、反応温度が140〜360℃程度、反応時間が1〜50hr.程度である。また、ニトリル化反応の際には、例えば、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の触媒を使用できる。該触媒の使用量は特に限定されないが、通常、精製ロジン100重量部に対して0.1〜50重量部程度、好ましくは、1〜20重量部程度である。
得られた生成物(ロジンニトリル)に含まれる、Ro−C≡Nで表されるモノニトリル化合物の量は特に限定されないが、通常80重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上99.9重量%未満程度である。また、該生成物は、各種公知の手段で精製してもよい。
次いで、該モノニトリル化合物を二量化反応(重合反応)させる。具体的には、前記ロジンニトリルを、触媒及び有機溶媒の存在下又は不存在下に加熱すればよい。
該触媒としては、例えば、硫酸、ギ酸、酢酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、スルホン酸基を有する固体酸、フッ化水素、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタン、三フッ化ホウ素及び三フッ化ホウ素フェノール錯体、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体又は三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等の三フッ化ホウ素誘導体ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸及びスルホン酸型官能基含有フッ素系ポリマーといったペンダントスルホン酸基含有ポリマー等が挙げられ、これらは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。該触媒としては、除去の容易さの点で、硫酸、ギ酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、スルホン酸基を有する固体酸、及び塩化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。該触媒の使用量は特に限定されないが、通常、前記ロジンニトリル100重量部に対して0.1〜90重量部程度、好ましくは1〜20重量部程度である。また、加熱条件も特に限定されず、通常、0〜200℃程度、及び0.5〜24hr.程度である。
該有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素:ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素:メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系炭化水素:酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系炭化水素:四塩化炭素、二塩化エチレン、トリクロルエタン、テトラトリクロルエタン等のハロゲン系炭化水素:酢酸、プロピオン酸、酪酸、及びこれらの無水物、ギ酸、クロル酢酸、乳酸等のカルボキシル基含有有機酸などを例示できる。これらは1種単独で、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用できる。なお、ギ酸や酢酸を用いる場合には、それらが重合触媒としても作用するため、前記触媒を使用しなくてもよい。また、回収・再利用の容易性の観点からは、前記芳香族系炭化水素及び/又は脂肪族炭化水素が好ましく、特にキシレン、ヘプタン及びオクタン等が好適である。有機溶媒の使用量は特に限定されないが、通常、前記モノニトリル化合物100重量部に対して1〜900重量部程度、好ましくは1〜500重量部程度である。
重合反応終了後、生成物(重合ロジンニトリル)から必要に応じて前記溶剤や触媒、未反応のモノニトリル化合物、分解物等を、水洗、アルカリ中和、ろ過、減圧蒸留等の手段で除去することで、N≡C−Ro−C≡Nで示されるジニトリル化合物が得られる。減圧蒸留の条件は特に限定されないが、通常、200〜290℃程度、60〜8000Pa程度である。その収率、即ち該重合ロジンニトリルにおける該ジニトリル化合物の含有量は特に限定されないが、通常80重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上99.9重量%未満である。
該重合ロジンニトリルにおける該ジニトリル化合物の含有量は特に限定されないが、通常80重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上99.9重量%未満である。
方法[2]の出発物質である、ROOC−Ro−COORで表されるジエステル化合物の構造の一例を以下に示す。
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
該ジエステル化合物は、各種公知の方法で製造できる。具体的には、例えば、国際公開公報WO2014/030652号公報に記載の方法が挙げられる。
該ジエステル化合物は、(ア)前記ロジン類又はその塩化物と炭素数1〜10程度のモノアルコールとをエステル化反応させてなるロジンエステルを二量化させるか、(イ)前記ロジン類を二量化反応させてなる重合ロジンと該モノアルコールとをエステル化反応させるか、いずれかの方法で製造できる。
該モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、i−ブタノール、t−ブチルアルコール、及びペンタノール等が挙げられ、炭素数1〜5程度のモノアルコールが、特に前記ジエステル化合物の収率の点よりメタノールが好ましい。
前記方法(ア)のエステル化反応は特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、前記ロジン類と、前記モノアルコールとをエステル化反応させることにより得られる。具体的には、例えば、前記ロジン類に含まれる樹脂酸を例えば塩化チオニル法によって樹脂酸クロライドとし、これと前記モノアルコールとを反応させる方法や、加圧下に樹脂酸と前記モノアルコールとを反応させた後、反応系よりモノアルコールと水の混合溶液を除去した上、新しいモノアルコールを更に仕込んで再びエステル化反応させる等の方法が挙げられる。
こうして得られたロジンエステルには、Ro−COOR(式中、Roは樹脂酸残基を、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。以下、式中説明略。)で示されるモノエステル化合物が含まれる。その量は特に限定されないが、通常80重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上99.9重量%未満である。また、当該モノエステル化合物としては、前記共役系樹脂酸骨格を有するものが好ましく、特に以下に示すアビエチン酸骨格を有するモノエステルが好ましい。
該モノエステルの二量化反応としては、前記したモノニトリル化合物の二量化反応と同様の方法及び条件を採用できる。重合反応終了後、必要に応じて、生成物から有機溶剤、触媒、未反応のモノエステル、分解物を、前記手段・条件で除去できる。
こうして得られた生成物(重合ロジンエステル)には、ROOC−Ro−COORで表されるジエステル化合物が含まれる。その量は特に限定されないが、通常80重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上99.9重量%未満である。
前記方法(イ)における、前記ロジン類の重合反応としては、前記した二量化反応及びその条件を採用できる。
こうして得られた生成物(重合ロジン)には、HOOC−Ro−COOHで表される樹脂酸二量体が含まれる。その含有量は特に限定されないが、通常80重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上99.9重量%未満である。
該重合ロジンと前記モノアルコールのエステル化反応としては、前記したエステル化方法及びその条件を採用できる。具体的には、例えば、該重合ロジンを例えば塩化チオニル法によって酸クロライドとし、これと前記モノアルコールとを反応させる方法や、加圧下に重合ロジンと前記モノアルコールとを反応させた後、反応系よりモノアルコールと水の混合溶液を除去した上、新しいモノアルコールを更に仕込んで再びエステル化反応させる等の方法が挙げられる。
こうして得られた生成物(重合ロジンエステル)には、ROOC−Ro−COORで表されるジエステル化合物が含まれる。その含有量は特に限定されないが、通常80重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上99.9重量%未満である。
該重合ロジンエステルにアンモニアを反応させる方法としては、前記したニトリル化反応と同じ方法及び条件を採用できる。具体的には、例えば、該重合ロジンエステルを加熱溶融させ、該溶融物にアンモニアガスを前記条件で吹き込む方法が挙げられる。また、反応の際には前記ニトリル化触媒を使用できる。
ニトリル化応終了後、生成物(重合ロジンニトリル)から必要に応じて触媒、未反応のモノニトリル化合物、分解物等を、水洗、アルカリ中和、ろ過、減圧蒸留等の手段で除去することで、N≡C−Ro−C≡Nで示されるジニトリル化合物が得られる。その収率、即ち該重合ロジンニトリルにおける該ジニトリル化合物の含有量は特に限定されないが、通常80重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上99.9重量%未満である。
本発明に係る重合ロジンニトリルにおける、N≡C−Ro−C≡Nで示されるジニトリル化合物の同定及び定量は、各種公知の手段を採用できる。具体的には、例えば、赤外分光法、核磁気共鳴法、ガスクロマトグラフィー(GC)分析法、及びGC/MS法等が挙げられる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1
温度計、攪拌機、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、酸価170.0mgKOH/gの未精製ロジン(中国ガムロジン)100g、キシレン100g、メタノール83.3gを仕込んだ。これを攪拌しながら塩化チオニル46.4gを2時間かけて滴下して、未精製ロジンをメチルエステル化した。滴下終了後5時間還流温度で加熱攪拌後、液温200℃未満、減圧度1300Paの条件下でキシレン及びメタノールを留去した後、更に液温230℃、減圧度1200Paの条件下で蒸留し、精製ロジンメチルエステルを70g得た。酸価は0.5mgKOH/g(未反応率0.3%)であった。GC測定により該精製ロジンメチルエステル中の中性成分量は1.1%(ロジンエステル純度98.6%)、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸の総量は74.7%であった。
製造例2
製造例1と同様の反応容器に、前記精製ロジンメチルエステル900g、キシレン900g、塩化亜鉛45.0g及び硫酸45.0gを仕込み、窒素気流下145℃で6時間、重合反応を行った。反応生成物のキシレン溶液を濃塩酸7g及び温水500gを加えて洗浄した後、更に各500gの温水にて2回洗浄した。洗浄後のキシレン溶液は液温200℃未満、減圧度6000Paの条件下でキシレンを留去した後、更に液温275℃、減圧度150Paの条件下で精製ロジンメチルエステルの分解物及び未反応精製ロジンメチルエステルを留去して、重合ロジンエステルを405g得た。
実施例1
温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応容器に前記重合ロジンエステルを300gと酸化亜鉛を10g仕込み、アンモニアガスを700ml/minを連続的に供給し、窒素雰囲気下290℃で40時間反応させ、重合ロジンニトリルを250g得た。
実施例2
温度計、攪拌機、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、酸価172.3mgKOH/gの未精製ロジン(中国ガムロジン)300g及び酸化亜鉛10gを仕込んだ。アンモニアガスを700ml/minを連続的に供給し、窒素雰囲気下260℃で16時間反応させた。反応後、液温250℃未満、減圧度1300Paの条件下で蒸留し、精製ロジンニトリルを210g得た。酸価は0.3mgKOH/g(未反応率0.2%)であった。後述のGC測定の結果、アビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸の含有量は74.6%であった。
次いで、前記方法で得た精製ロジンニトリルを100g、キシレン20g、メタンスルホン酸7.0gを仕込み、窒素気流下140℃で5時間、重合反応を行った。反応生成物のキシレン溶液に温水20gを加えて洗浄した後、更に各60gの温水にて4回洗浄した。洗浄後のキシレン溶液は液温200℃未満、減圧度6000Paの条件下でキシレンを留去した後、更に液温270℃、減圧度150Paの条件下で精製ロジンニトリルの分解物及び未反応精製ロジンニトリルを留去して、重合ロジンニトリルを40g得た。
実施例1で得られた重合ロジンニトリルの赤外線吸収スペクトルチャートを図1に示す。測定は、市販の機器(製品名「FT/IR 4100」、日本分光(株)製)で行った。IRで1725cm−1付近におけるCO由来のピークの消失、及び2230cm-1付近におけるCN伸縮由来のピークの出現が認められた
実施例1で得られた重合ロジンニトリルのガスクロマトグラフィーチャートを図2に示す。測定は、市販の機器(製品名「Agilent7890A(GC)及びAgilent5975C(MS)」、アジレントテクノロジー製)で行った。シグナル群1はモノニトリル化合物に、シグナル2〜10群はジニトリル化合物に帰属する。
図3は、図2のシグナル群1のチャートに相当し、m/z=268.1のシグナルが、モノニトリル化合物の分子量に相当する。
図4の5〜7は、図2のシグナル5〜7に相当し、図5の8〜10は図2のシグナル8〜10に相当する。図4及び図5の各m/z=566.5のピークが、ジニトリル化合物の分子量に相当する。
実施例1で得られた重合ロジンニトリルにおける、ジニトリル化合物及びモノニトリル化合物の構成比率を示すGPCチャートを図6に示す。なお、チャートは、市販の測定装置(東ソー(株)製 HLC-8220)及びカラム(東ソー(株)製 Tskgelカラム)を用いて得られた結果である(展開溶媒THF、送液量1.0ml/min)。該チャートより、ジニトリル化合物及びモノニトリル化合物の比率はそれぞれ、93.5重量%及び1.0重量%であった。

Claims (3)

  1. N≡C−Ro−C≡N(式中、Roは樹脂酸二量体残基を示し、前記樹脂酸は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸及びレボピマール酸からなる群より選択される少なくとも1種の共役二重結合型の樹脂酸である。)で表されるジニトリル化合物。
  2. Ro−C≡N(式中、Roは樹脂酸残基を示し、前記樹脂酸は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸及びレボピマール酸からなる群より選択される少なくとも1種の共役二重結合型の樹脂酸である。)で表されるモノニトリル化合物を二量化反応させることを特徴とする、請求項1のジニトリル化合物の製造方法。
  3. R−OOC−Ro−COO−R(式中、Roは樹脂酸二量体残基を、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、前記樹脂酸は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸及びレボピマール酸からなる群より選択される少なくとも1種の共役二重結合型の樹脂酸である。)で表されるジエステル化合物とアンモニアを反応させることを特徴とする、請求項1のジニトリル化合物の製造方法。
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