JP6623593B2 - 凝固物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えば、皮革様シート等の製造に使用可能な凝固物の製造方法に関する。
ウレタン樹脂が水性媒体中に分散した水性ウレタン樹脂組成物は、従来の有機溶剤系ウレタン樹脂組成物と比較して、環境への負荷を低減できることから、人工皮革、合成皮革等の皮革様シート、コーティング剤、接着剤などを製造する材料として、近年好適に使用され始めている。
前記皮革様シートは、一般に、不織布等の繊維基材と、必要に応じて多孔層等からなる中間層と、表皮層とによって構成されるものが多く、前記繊維基材としては、皮革様シートの耐屈曲性や風合いの向上を目的として、不織布等の繊維基材に水性ウレタン樹脂組成物を含浸し感熱凝固したもの(含浸層)が使用されている。
前記繊維基材の含浸用の水性ウレタン樹脂組成物としては、例えば、カルボキシル基及び/又はスルホン酸基を有するポリウレタン樹脂、感熱凝固剤としての多官能の第4級アンモニウム塩、及び水性媒体を含有する水性ウレタン樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
しかしながら、感熱凝固による水性ウレタン樹脂組成物の凝固では、ウレタン樹脂の配合液が加熱により一旦低粘度化し、毛細管現象により繊維交洛点に樹脂が付着しやすく、樹脂が繊維を収束するため、得られる皮膜は柔軟性や屈曲性に劣り、破損しやすいとの指摘があった。
特開2015−7172号公報
本発明が解決しようとする課題は、耐久性及び風合いに優れる凝固物が得られる製造方法を提供することである。
本発明は、芳香環を有するアニオン性ウレタン樹脂(A)、ノニオン性乳化剤(B)、及び水性媒体(C)を含有する水性ウレタン樹脂組成物を、無機酸及び炭素原子数1〜6の範囲のアルコール溶媒を含有する凝固剤で凝固させることにより得られたことを特徴とする凝固物の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、風合いに優れる凝固物が得られる。また、凝固剤として、無機酸及び炭素原子数が小さいアルコール溶媒を使用するため、環境への負荷も小さいものである。よって、本発明の製造方法により得られる凝固物は、手袋、塗料、皮革様シート等の製造に好適に使用することができる。
実施例1で得られた凝固物を有する繊維基材の断面図の電子顕微鏡写真を示すものである(倍率200倍) 比較例1で得られた凝固物を有する繊維基材の断面図の電子顕微鏡写真を示すものである(倍率200倍)。
本発明である凝固物の製造方法は、芳香環を有するアニオン性ウレタン樹脂(A)、ノニオン性乳化剤(B)、及び水性媒体(C)を含有する水性ウレタン樹脂組成物を、無機酸及び炭素原子数1〜6の範囲のアルコール溶媒を含有する凝固剤で凝固させることを特徴とするものである。
本発明においては、凝固剤として、無機酸及び炭素原子数1〜6の範囲のアルコール溶媒を使用することが必須である。この凝固メカニズムとしては、無機酸によりアニオン性ウレタン樹脂(A)が有する親水基の電気二重層を圧縮すると共に、ノニオン性乳化剤由来のノニオン成分を前記アルコール溶媒により失活させることで、水性ウレタン樹脂組成物に対する貧溶媒となるため、凝固が促進される。また、前記アルコール溶媒は、疎水性が適度に強く、かつ樹脂配合液への浸透性が高いため、繊維基材の内部にまでウレタン樹脂の凝固物が充填・絡み付いた状態が発現でき、風合いの優れた凝固物が得られる。また、手袋や合成皮革用の水性ウレタン樹脂組成物において、凝固剤として広く利用される金属塩は、架橋剤として使用されるカルボジイミドの架橋反応を阻害することがあり、得られる凝固物は耐久性に劣るとの指摘があったが、本発明では凝固剤に金属塩を使用しないため、耐久性に悪影響を及ぼすことがない。
前記無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸等を用いることができる。これらの無機酸は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アニオン性ウレタン樹脂(A)が有する親水基の電気二重層を一層圧縮できる点から、リン酸を用いることが好ましい。
前記アルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール等を用いることができる。これらの溶媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、浸透性が大きく凝固性を一層向上できる点から、メタノール、及び/又は2−プロパノールを用いることが好ましい。
前記無機酸の含有量としては、前記無機酸と前記アルコール溶媒との合計質量に対して、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、2〜20質量%の範囲であることがより好ましい。
本発明である凝固物の製造方法の具体例としては、例えば、繊維基材を、前記水性ウレタン樹脂組成物中に含浸し、次いで、この含浸基材を更に無機酸及び炭素原子数1〜6の範囲のアルコール溶媒を含有する凝固浴に含浸させることで、ウレタン樹脂の凝固物を製造する方法;繊維基材を、無機酸及び炭素原子数1〜6の範囲のアルコール溶媒を含有する凝固浴に含浸し、次いで、この含浸基材を更に水性ウレタン樹脂組成物中に含浸させることで、ウレタン樹脂の凝固物を製造する方法等が挙げられる。この中で、前者の方法を使用した場合には、繊維基材の内部にまでウレタン樹脂の凝固物が充填・絡み付いた状態が形成されるため、皮革様シートの含浸層として好適に使用することができる。また、後者の方法を使用した場合には、繊維基材の表面及び表面付近の内部にウレタン凝固物層が形成されるため、手袋の製造に好適に使用することができる。
前記繊維基材としては、例えば、不織布、織布、編み物等を使用することができる。前記繊維基材を構成するものとしては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維、綿、麻、絹、羊毛、それらの混紡繊維等を使用することができる。
前記繊維基材を、前記水性ウレタン樹脂組成物中に含浸する方法としては、例えば、前記繊維基材を、前記水性ウレタン樹脂組成物を貯留した槽に直接含浸し、その後マングル等で余分なものを絞る方法が挙げられる。前記含浸時間としては、例えば、1〜30分の範囲である。
次いで、この含浸基材を取り出し、更に前記無機酸及び前記炭素原子数1〜6の範囲のアルコール溶媒が貯留された凝固浴に含浸することで、水性ウレタン樹脂組成物中のウレタン樹脂が凝固される。この際の含浸・凝固時間としては、例えば1〜30分の範囲である。また、含浸する際の前記凝固浴は、常温であってもよいが、例えば30〜70℃に加温されていてもよい。
ウレタン樹脂の凝固物を有する繊維基材は、必要に応じて、前記含浸・凝固後に例えば10分〜2時間の間流水に浸し、不要な凝固剤を洗浄除去することができる。
また、前記繊維基材を、前記無機酸及び前記炭素原子数1〜6の範囲のアルコール溶媒が貯留された凝固浴に含浸する方法としては、例えば、前記繊維基材を、前記凝固浴に直接含浸し、マングル等で余分なものを絞る方法が挙げられる。前記含浸時間としては、例えば、1〜30分の範囲である。
次いで、この含浸基材を取り出し、更に前記水性ウレタン樹脂組成物中に含浸することで、水性ウレタン樹脂組成物中のウレタン樹脂が凝固され、繊維基材の表層及び表層付近の内部にウレタン凝固物層が形成された繊維基材が得られる。この際の含浸・凝固時間としては、例えば1〜30分の範囲である。
ウレタン樹脂の凝固物を有する繊維基材は、必要に応じて、前記含浸・凝固後に例えば10分〜2時間の間流水に浸し、不要な凝固剤を洗浄除去することができる。
本発明において用いる前記水性ウレタン樹脂組成物は、芳香環を有するアニオン性ウレタン樹脂(A)、ノニオン性乳化剤(B)、及び水性媒体(C)を含有するものである。
前記アニオン性ウレタン樹脂(A)は、後述する水性媒体(B)中に分散等し得るものであり、アニオン性基を有するものである。
前記アニオン性水性ウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、カルボキシル基を有する化合物及びスルホニル基を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を原料として用いる方法が挙げられる。
前記カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、2,2’−ジメチロールプロピオン酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロール酪酸、2,2’−ジメチロールプロピオン酸、2,2’−吉草酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記スルホニル基を有する化合物としては、例えば、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、2,6−ジアミノベンゼンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルスルホン酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記カルボキシル基及びスルホニル基は、水性ウレタン樹脂組成物中で、一部又は全部が塩基性化合物に中和されていてもよい。前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミン;モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアルカノールアミン;ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等を含む金属塩基化合物などを用いることができる。
前記カルボキシル基を有する化合物及びスルホニル基を有する化合物の使用量としては、後述するポリオール(a1)中0.05〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜7質量%の範囲がより好ましい。
前記アニオン性ウレタン樹脂(A)は、具体的には、前記カルボキシル基を有する化合物及び/又はスルホニル基を有する化合物を含むポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、鎖伸長剤(a3)を反応させて得られるものを用いることが好ましい。
また、前記アニオン性ウレタン樹脂(A)としては、本発明で用いる前記凝固剤への溶解性が低く、良好な凝固状態を維持しやすいことから、優れた風合いを有する凝固物が得られるため、芳香環を有するものである。
前記アニオン性ウレタン樹脂(A)の芳香環の含有量としては、0.8〜8mol/kgの範囲であることが好ましく、1〜6mol/kgの範囲であることがより好ましく、0.3〜3mol/kgの範囲が更に好ましい。
前記芳香環は、原料である前記ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び鎖伸長剤(a3)のいずれかから供給されるが、原料入手の容易性、及び製造安定性の点から、ポリイソシアネート(a2)から供給されることが好ましく、すなわち芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましい。
前記ポリオール(a1)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ダイマージオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ポリオールの数平均分子量としては、皮膜の機械的強度の点から、500〜8,000の範囲であることが好ましく、800〜3,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
前記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等を用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記凝固剤への非溶解性、及び風合いの点から、ジフェニルメタンジイソアシアネートを用いることが好ましい。
前記ポリイソシアネート(a1)に用いることができるその他のポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記鎖伸長剤(a3)は数平均分子量50〜400のものであり、例えば、水酸基を有する鎖伸長剤、アミノ基を有する鎖伸長剤等を用いることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記水酸基を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の芳香族ポリオール化合物;水などを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、原料入手の容易性及び皮膜の継時的な変色を抑制しやすい点から、脂肪族ポリオール化合物を用いることが好ましい。
前記アミノ基を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等を用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記鎖伸長剤(a3)の使用量としては、皮膜の耐久性をより一層向上できる点から、前記ポリオール(a1)、前記ポリイソシアネート(a2)及び前記鎖伸長剤(a3)の合計質量中0.5〜20質量%の範囲であることが好ましく、1〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
前記アニオン性ウレタン樹脂(A)としては、風合いを損なわず、更に継時的な変色を制御できる点から、尿素結合の含有量が1.2mol/kg以下であることが好ましく、0.3mol/kg以下であることがより好ましい。
前記尿素結合は、前記アミノ基を有する鎖伸長剤又はイソシアネートが水と反応し生成したアミンと前記ポリイソシアネートが反応した場合に生成するものであるから、アミノ基を有する鎖伸長剤の使用量を調整し、さらに乳化操作をする前にイソシアネートを全てウレタン化させることにより、アニオン性ウレタン樹脂(A)の尿素結合の含有量を調整することができる。なお、前記尿素結合の含有量は、下記一般式(1)で計算した値を示す。
Figure 0006623593
前記アニオン性ウレタン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)とを反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次いで、必要に応じて前記ウレタンプレポリマーと、前記鎖伸長剤(a3)とを反応させることによって製造する方法;前記ポリオール(a1)、前記ポリイソシアネート(a2)及び必要に応じて前記鎖伸長剤(a3)を一括に仕込み反応させる方法等が挙げられる。これらの反応は、例えば50〜100℃で3〜10時間行うことが挙げられる。
前記ポリオール(a1)が有する水酸基並びに前記鎖伸長剤(a3)が有する水酸基及び/又はアミノ基の合計と、前記ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基及び/又はアミノ基)]としては、0.8〜1.2の範囲であることが好ましく、0.9〜1.1の範囲であることがより好ましい。
前記アニオン性ウレタン樹脂(A)を製造する際には、前記アニオン性ウレタン樹脂(A)に残存するイソシアネート基を失活させることが好ましい。前記イソシアネート基を失活させる場合には、メタノール等の水酸基を1個有するアルコールを用いることが好ましい。前記アルコールの使用量としては、アニオン性ウレタン樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜10質量部の範囲であることが好ましい。
また、前記アニオン性ウレタン樹脂(A)を製造する際には、有機溶剤を用いてもよい。前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物などを用いることができる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、前記有機溶剤は、水性ウレタン樹脂組成物を得る際には蒸留法等によって除去されることが好ましい。
前記ノニオン性乳化剤(B)としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート等のオキシエチレン基を有するノニオン性乳化剤を用いることができ、オキシエチレン基の平均付加モル数としては、前記凝固剤による凝固性をより一層向上できる点から、1〜50の範囲であることが好ましく、3〜30の範囲がより好ましく、5〜20の範囲が更に好ましい。これらのノニオン性乳化剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ノニオン性乳化剤(B)の使用量としては、凝固性の点から、前記アニオン性ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部の範囲であることが好ましく、1〜10質量部の範囲がより好ましい。
前記水性媒体(C)としては、例えば、水、水と混和する有機溶剤、これらの混合物等を用いることができる。前記水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール溶媒;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル溶媒;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム溶媒等を用いることができる。これらの水性媒体は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安全性及び環境負荷の軽減化の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いることが好ましく、水のみであることがより好ましい。
前記アニオン性ウレタン樹脂(A)と前記水性媒体(C)との質量比[(A)/(C)]としては、作業性及び風合いをより一層向上できる点から、10/80〜70/30の範囲であることが好ましく、20/80〜60/40の範囲がより好ましい。
本発明で用いる水性ウレタン樹脂組成物は、前記アニオン性ウレタン樹脂(A)、前記ノニオン性乳化剤(B)、及び、前記水性媒体(C)を必須絵成分として含有するが、必要に応じて、中和剤やその他の添加剤を含有してもよい。
前記中和剤は、前記ウレタン樹脂(A)中のカルボキシル基を中和するものであり、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の不揮発性塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノール等の三級アミン化合物などを用いることができる。これらの中和剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記中和剤の使用量としては、前記アニオン性ウレタン樹脂(A)に含まれるカルボキシル基のモル数に対して0.8〜1.2の範囲のモル比となるように添加することが好ましい。
前記その他の添加剤としては、例えば、凝固剤、ウレタン化触媒、シランカップリング剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、顔料、染料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、凝固物の耐久性を一層向上させるため、架橋剤を用いることが好ましい。
前記架橋剤としては、例えば、カルボジイミド架橋剤、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、メラミン架橋剤等を用いる。これらの架橋剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記アニオン性ウレタン樹脂(A)と良好な架橋性が得られる点から、カルボジイミド架橋剤を用いることが好ましい。
前記カルボジイミド架橋剤としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N'−エチルカルボジイミドメチオジド、N−tert−ブチル−N’−エチルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメソ−p−トルエンスルホネート、N,N’−ジ−tert−ブチルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トリルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物;カルボジイミド化触媒の存在下でポリイソシアネートを公知の縮合反応により得られるポリカルボジイミド;これらの水分散体などを用いることができる。これらの中でも、アニオン性ウレタン樹脂組成物への分散安定性の点から、前記ポリカルボジイミドの水分散体を用いることが好ましい。
前記カルボジイミド化触媒としては、例えば、1−フェニル−1−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド等を用いることができる。これらの触媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネートとしては、前記アニオン性ウレタン樹脂(A)の原料に用いることができる前記ポリイソシアネート(a2)と同様のものを用いることができる。
前記好ましいカルボジイミド架橋剤としては、例えば、日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトSV−02」、「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」、「カルボジライトV−04」、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」等を市販品として入手することができる。
前記カルボジイミド架橋剤の含有量としては、架橋性及び耐久性の点から、前記アニオン性ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、1〜20質量部の範囲であることが好ましく、2〜10質量部の範囲であることがより好ましい。
以上、本発明の製造方法によれば、風合いに優れる凝固物が得られる。また、凝固剤として、無機酸及び炭素原子数が小さいアルコール溶媒を使用するため、環境への負荷も小さいものである。よって、本発明の製造方法により得られる凝固物は、手袋、塗料、皮革様シート等の製造に好適に使用することができる。
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
[合成例1]水性ウレタン樹脂組成物(X−1)の調製
メチルエチルケトン3,281質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、ポリカーボネートポリオール(「ニッポラン980R」日本ポリウレタン株式会社製、数平均分子量;2,000)1,000質量部と、2,2’−ジメチロールプロピオン酸17質量部と、エチレングリコール47質量部と、ジフェニルメタンジイソシアネート344質量部とを溶液粘度が20,000mPa・sに達するまで70℃で反応させた後、メタノール3質量部を加えて反応を停止させて水性ウレタン樹脂(A−1)のメチルエチルケトン溶液を得た。このウレタン樹脂溶液にポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(Hydrophile−Lipophile Balance(以下、「HLB」と略記する);14)70質量部と、トリエチルアミン13質量部を混合させた後に、イオン交換水800質量部を加えて転相乳化させることで前記水性ウレタン樹脂(A−1)が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分40質量%の水性ウレタン樹脂組成物(X−1)を得た。
[合成例2]水性ウレタン樹脂組成物(X−2)の調製
メチルエチルケトン3,281質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、ポリエーテルポリオール(「PTMG2000」三菱化型株式会社製、数平均分子量;2,000)1,000質量部と、2,2’−ジメチロールプロピオン酸17質量部と、エチレングリコール47質量部と、ジフェニルメタンジイソシアネート344質量部とを溶液粘度が20,000mPa・sに達するまで70℃で反応させた後、メタノール3質量部を加えて反応を停止させて水性ウレタン樹脂(A−2)のメチルエチルケトン溶液を得た。このウレタン樹脂溶液にポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(HLB;14)70質量部と、トリエチルアミン13質量部を混合させた後に、イオン交換水800質量部を加えて転相乳化させることで前記水性ウレタン樹脂(A−2)が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分40質量%の水性ウレタン樹脂組成物(X−2)を得た。
[合成例3]水性ウレタン樹脂組成物(X−3)の調製
メチルエチルケトン3,281質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、ポリエステルポリオール(「プラクセル220」株式会社ダイセル製、数平均分子量;2,000)1,000質量部と、2,2’−ジメチロールプロピオン酸17質量部と、エチレングリコール47質量部と、ジフェニルメタンジイソシアネート344質量部とを溶液粘度が20,000mPa・sに達するまで70℃で反応させた後、メタノール3質量部を加えて反応を停止させて水性ウレタン樹脂(A−3)のメチルエチルケトン溶液を得た。このウレタン樹脂溶液にポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(HLB;14)70質量部と、トリエチルアミン13質量部を混合させた後に、イオン交換水800質量部を加えて転相乳化させることで前記水性ウレタン樹脂(A−3)が水に分散した乳化液を得た。
次いで、前記乳化液からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分40質量%の水性ウレタン樹脂組成物(X−3)を得た。
[合成例4]水性ウレタン樹脂組成物(X−4)の調製
メチルエチルケトン3,281質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、ポリカーボネートポリオール(「ニッポラン980R」日本ポリウレタン株式会社製、数平均分子量;2,000)1,000質量部と、2,2’−ジメチロールプロピオン酸15質量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート200質量部とを、それらの反応生成物の質量に対するイソシアネート基の質量割合(NCO%)が1.13質量%に達するまで70℃で反応させることによって、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(X’−4)のメチルエチルケトン溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマー(X’−4)のメチルエチルケトン溶液2,8566質量部と水2,566質量部とポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(HLB=14)70質量部を混合し、転相乳化することによって、前記ウレタンプレポリマーが水に分散した乳化液を得た。
得られた乳化液と、イソホロンジアミン26質量部を含む鎖伸長剤水溶液135質量部とを混合し鎖伸長反応することによってウレタン樹脂組成物を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂組成物からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分40質量%のウレタン樹脂組成物(X−4)を得た。
[実施例1]
合成例1で得られた水性ウレタン樹脂組成物(X−1)100質量部、増粘剤(Borcher社製「Borch Gel L75N」)5質量部、カルボジイミド架橋剤(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトSV−02」)4質量部、イオン交換水200質量部をメカニカルミキサーにて2,000rpmで2分間撹拌し、次いで真空脱泡機で脱泡させることで、配合液を調製した。
次いで、不織布(目付250g/m)を前記配合液に含浸させた後、ゴムローラーマングルを用いて含浸量が200%となるように不要な配合液を絞り取った。次いで、配合液を含ませた不織布を5質量%のリン酸メタノール溶液の凝固浴に3分間浸漬させて配合液を凝固させた。その後、取出した不織布を1時間流水に浸し、不要な凝固浴薬剤を洗浄除去した。最後に、100℃の熱風乾燥機にて30分乾燥させて凝固物を有する繊維基材を得た。
[実施例2〜3]
用いる水性ウレタン樹脂組成物の種類を表に示す通り変更した以外は、実施例1と同様にして凝固物を有する繊維基材を得た。
[比較例1]
合成例1で得られた水性ウレタン樹脂組成物(X−1)100質量部、塩化ナトリウム2質量%水溶液100質量部とをメカニカルミキサーを用い2,000rpmの条件で2分間撹拌することによって、それぞれ、含浸用の水性ウレタン樹脂組成物を調製した。
次いで、不織布(目付250g/m)を、前記で得た含浸用の水性ウレタン樹脂組成物が入った槽に浸漬し、次いで、ゴムローラーのマングルを用いてそれを絞ることによって、前記不織布の質量と同質量のウレタン樹脂組成物が浸漬した浸漬物を得た。次いで、それを前記ギアー式熱風乾燥機を用い100℃で10分乾燥することによって、感熱凝固による凝固物を有する繊維基材を得た。
[比較例2]
実施例1において、5質量%のリン酸メタノール溶液の凝固浴に代えて、硝酸カルシウムを5質量%含むメタノール溶液の凝固浴を使用した以外は実施例1と同様にして繊維基材の含浸工程を行い、凝固物を有する繊維基材を得た。
[比較例3]
実施例1において、5質量%のリン酸メタノール溶液の凝固浴に代えて、5質量のリン酸水溶液の凝固浴を使用した以外は実施例1と同様にして繊維基材の含浸工程を行ったが、凝固しなかった。
[比較例4]
実施例1において、水性ウレタン樹脂組成物(X−1)に代えて、水性ウレタン樹脂組成物(X−4)を使用した以外は実施例1と同様にして繊維基材の含浸工程を行い、凝固物を有する繊維基材を得た。
[繊維基材へのウレタン樹脂の付着量の測定方法]
実施例及び比較例で得られた凝固物を有する繊維基材を、5cm四方に裁断し、精密天秤にて質量を測定した。皮革用に含浸工程前の繊維基材を5cm四方に裁断し精密天秤にて質量を測定した。両者の質量の差を測定し、ウレタン樹脂の付着量(g/m)を算出した。
[繊維基材へのウレタン樹脂の付着状態の評価方法]
実施例及び比較例で得られた凝固物を有する繊維基材を、日立ハイテクテクノロジー株式会社製走査型電子顕微鏡「SU3500」(倍率200倍)を使用して観察し、以下のように評価した。
「T」;ウレタン樹脂が繊維基材内部で繊維と絡み付いた状態が確認される。
「F」;ウレタン樹脂が繊維基材内部で繊維と絡み付いた状態が確認されない。
[風合いの評価方法]
実施例及び比較例で得られた凝固物を有する繊維基材を、手で触った際の触感により以下のように評価した。
「A」;張り腰感、充実感共に優れている。
「B」;張り腰感、充実感が感じられる。
「C」;張り腰感、充実感がやや劣る。
「D」;張り腰感、充実感が全く感じられない。
[耐久性の評価方法]
合成例1で得られた水性ウレタン樹脂組成物(X−1)100質量部、増粘剤(Borcher社製「Borch Gel L75N」)5質量部、カルボジイミド架橋剤(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトSV−02」)4質量部、イオン交換水200質量部をメカニカルミキサーにて2,000rpmで2分間撹拌し、次いで真空脱泡機で脱泡させることで、配合液を調製した。
次いで、離型処理されたポリエチレンテレフタレート上に前記配合液を凝固後の膜厚が10mmとなるように塗工し、次いで、これを5質量%のリン酸メタノール溶液の凝固浴に3分間浸漬させて配合液を凝固させた。その後、取出した凝固膜を1時間流水に浸し、不要な凝固浴薬剤を洗浄除去した。最後に、100℃の熱風乾燥機にて30分乾燥後に基材ポリエチレンテレフタレートから剥がし凝固膜を得た。
この凝固膜の流動開始温度を測定することで、耐久性の評価を行った。具体的には、前記凝固膜を高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500−1」)を使用して、昇温速度;3.0℃/分、シリンダ圧力;0.98MPa、ダイ穴径:1.0mm、ダイ長さ;1.0mmの条件にて、前記凝固膜が流動を開始する温度を測定した。
Figure 0006623593
表1中の略語について説明する。
「IPA」;2−プロパノール
「MDI」;ジフェニルメタンジイソシアネート
「H12MDI」;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
本発明である実施例1〜3は、風合いに優れる凝固物が得られることが分かった。また、図1において確認できる通り、繊維基材の内部にまでウレタン樹脂の凝固物が充填し、絡み付いた状態が形成されていることが分かった。
一方、比較例1は、感熱凝固による凝固を行った態様であるが、風合いが不良であった。また、図2において確認できる通り、繊維基材の内部にてウレタン樹脂の多孔構造が確認されなかった。
比較例2は、凝固剤として硝酸カルシウムのメタノール溶液を用いた態様であるが、優れた耐久性が得られなかった。
比較例3は、凝固剤としてリン酸水溶液を用いた態様であるが、凝固しなかった。
比較例4は、芳香環を有しないアニオン性ウレタン樹脂を用いた態様であるが、凝固剤によりウレタン樹脂が溶解した状態となり、優れた風合いが得られなかった。

Claims (4)

  1. 繊維基材を、芳香環を有するアニオン性ウレタン樹脂(A)、ノニオン性乳化剤(B)、及び水性媒体(C)を含有する水性ウレタン樹脂組成物に含浸し、次いで、無機酸及び炭素原子数1〜6の範囲のアルコール溶媒を含有する凝固浴に含浸させる工程を有することを特徴とする凝固物の製造方法。
  2. 前記アニオン性ウレタン樹脂(A)の芳香環の含有量が、0.8〜8mol/kgの範囲である請求項1記載の凝固物の製造方法。
  3. 前記アニオン性ウレタン樹脂(A)が、芳香族ポリイソシアネートを原料とするものである請求項1記載の凝固物の製造方法。
  4. 前記芳香族ポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネートである請求項記載の凝固物の製造方法。
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