以下、添付図面を参照しながら、実施形態の対話ログ分析装置、対話ログ分析方法およびプログラムについて詳細に説明する。
<実施形態の概要>
実施形態の対話ログ分析装置は、対話ログを自然言語処理により分析し、その対話ログにおける大きな対話のブロックである対話ブロック(第2対話ブロック)と、大きな対話の中で挿入された細かな対話のブロックである割り込み対話ブロック(第1対話ブロック)とについて、それぞれの範囲とラベルを判定する。そして、実施形態の対話ログ分析装置は、対話ログに対して、その対話ログにおける対話ブロックおよび割り込み対話ブロックの範囲とラベルを認識できる表示情報を付加して表示させるように制御し、この表示をユーザに閲覧させる。これにより、対話ログにおける大きな対話の流れと、大きな対話の中で挿入される細かな対話の構造的な関係とを、一目で分かり易くユーザに伝えることができる。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の対話ログ分析装置の機能的な構成例を示すブロック図である。本実施形態の対話ログ分析装置は、図1に示すように、発話文分割部11(分割部)と、対話行為推定部12(推定部)と、割り込み対話ブロック判定部13(第1判定部)と、第1ルールデータベース14と、対話ブロック判定部15(第2判定部)と、第2ルールデータベース16と、表示画面生成部17(表示制御部)とを備える。本実施形態の対話ログ分析装置は、例えば外部装置などから入力された対話ログD1に対して上述の各部による処理を通じて、表示画面DSをユーザに閲覧させる。
図2は、対話ログD1の一例を示す図であり、コールセンターにおけるオペレータと顧客とのやり取りを題材とした例である。なお、図2に示す対話ログD1は、対話の前半の一部のみを示している。対話ログD1は、図2に示すように、対話を構成する複数の発話文を発話が行われた順に時系列に並べたものであり、各発話文には、その発話文の話者を示す話者タグが対応付けられている。話者タグは、本実施形態の対話ログ分析装置の内部で付加されてもよい。以下では、この図2に示す対話ログD1を事例として適宜用いながら、本実施形態の対話ログ分析装置における上述の各部について、具体例とともに説明する。
発話文分割部11は、対話ログD1に含まれる発話文を、予め定めた単位の単位発話文に分割する。例えば発話文分割部11は、予め定められた分割規則に従って、対話ログD1に含まれる発話文を単位発話文に分割する。発話文が単位発話文に分割された対話ログD1’の一例を図3に示す。図3に示す対話ログD1’では、図2に示した対話ログD1の1行目の発話文と11行目の発話文がそれぞれ2つの単位発話文に分割されている。なお、入力された対話ログD1に含まれる各発話文がすでに図3に示す対話ログD1’の単位発話文のようになっている場合は、発話文分割部11は不要である。つまり、図3に示す対話ログD1’の形式で対話ログD1が入力される対話ログ分析装置であれば、発話文分割部11を備えない構成であってもよい。
対話行為推定部12は、対話ログD1’に含まれる単位発話文に対し対話行為の推定を行って対話行為タグを付与する。対話行為とは、話者が何かしらの意図をもって発話することであり、その意図することがどのような種類であるかを示すタグが発話行為タグである。対話行為タグの具体例を図4に示す。対話行為タグとしては、例えば図4に示すように、「情報提示」、「依頼」、「質問」、「確認」、「選択」、「肯定」、「否定」、「感謝」、「相槌」、「了解」などがある。対話行為タグは、特に自然言語処理の技術分野で利用されている。
図5は、対話行為推定部12の処理手順の一例を示すフローチャートである。対話行為推定部12には、例えば、発話文分割部11が出力する対話ログD1’が入力される(ステップS101)。対話ログD1に含まれる各発話文が単位発話文になっていれば、対話ログD1を入力してもよい。対話行為推定部12は、対話ログD1’が入力されると、まず、対話ログD1’から単位発話文を一つ取り出す(ステップS102)。そして、対話行為推定部12は、ステップS102で取り出した単位発話文に対し、形態素解析により単語分割と各単語の品詞を特定する処理を行う(ステップS103)。
次に、対話行為推定部12は、例えば予め学習した統計モデルや予め定めた推定ルールなどに基づいて、ステップS103の処理により得られた情報から、ステップS102で取り出した単位発話文に対する対話行為の推定を行い(ステップS104)、該当する対話行為があるか否かを判定する(ステップS105)。そして、対話行為推定部12は、該当する対話行為があれば(ステップS105:Yes)、ステップS102で取り出した単位発話文に対してその対話行為を示す対話行為タグを付与する(ステップS106)。なお、該当する対話行為がなければ(ステップS105:No)、ステップS106はスキップされる。
その後、対話行為推定部12は、ステップS101で入力された対話ログD1’からすべての単位発話文を取り出したか否かを判定し(ステップS107)、取り出していない単位発話文があれば(ステップS107:No)、ステップS102に戻って以降の処理を繰り返す。一方、すべての単位発話文を取り出していれば(ステップS107:Yes)、対話行為推定部12は、対話行為タグが付与された対話ログD1’(以下、これをタグ付き対話ログD2と呼ぶ)を出力し(ステップS108)、一連の処理を終了する。
なお、図5のステップS104の対話行為の推定に用いる統計モデルとしては、例えば、機械学習において一般に広く使用されるSVM(Support Vector Machine)や最大エントロピー法などを利用することができる。また、対話行為の推定に用いる情報として、さらに、対話ログD1’に含まれる話者タグや前後の単位発話文などを利用してもよい。
対話行為推定部12が出力するタグ付き対話ログD2の一例を図6に示す。図6に示すタグ付き対話ログD2では、例えば、図3に示した対話ログD1’の5行目の「すみません、ちょっとお伺いしたいんですけど。」という単位発話文や8行目の「Z900でしょうか?」という単位発話文などに「質問」という対話行為タグが付与され、12行目の「かしこまりました。Z9000でございますね。」という単位発話文などに「確認」という対話行為タグが付与されている。なお、図6のタグ付き対話ログD2の例で示されるように、対話ログD1’に含まれる単位発話文の中には、対話ログが付与されない単位発話文もある。
割り込み対話ブロック判定部13は、第1ルールデータベース14を参照して、タグ付き対話ログD2における割り込み対話ブロックの範囲とその割り込み対話ブロックに付与するラベルを判定する。割り込み対話ブロックは、上述のように、大きな対話の中で挿入された細かな対話のブロックであり、時系列に連続する複数の単位発話文で構成される。第1ルールデータベース14は、割り込み対話ブロック判定ルールの集合を格納する。割り込み対話ブロック判定ルールは、話者タグと対話行為タグとの組み合わせを条件として割り込み対話ブロックの境界位置を検出するルールであり、その割り込み対話ブロックに付与するラベルが指定されている。
図7は、第1ルールデータベース14の構造例を示す図である。図7に示すように、第1ルールデータベース14を構成する各割り込み対話ブロック判定ルールは、話者タグと対話行為タグとの組み合わせからなる条件部21と、境界種別とラベルとを含む結果部22とを有し、条件部21に示す話者タグと対話行為タグとの組み合わせに適合する単位発話文は、結果部22の境界種別で示す割り込み対話ブロックの境界の候補となり、割り込み対話ブロックの範囲が確定すると、結果部22に示すラベルがその割り込み対話ブロックに付与されることを示している。
例えば、図7の1行目の割り込み対話ブロック判定ルールは、話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「質問」の単位発話文が、「顧客の状況確認」のラベルが付与される割り込み対話ブロックの開始位置の候補となり、その割り込み対話ブロックの終了位置が検出されて割り込み対話ブロックの範囲が確定すると、その割り込み対話ブロックに対して「顧客の状況確認」というラベルが付与されることを示している。また、図7の2行目の割り込み対話ブロック判定ルールは、話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「確認」または「了解」の単位発話文が、「顧客の状況確認」のラベルが付与される割り込み対話ブロックの終了位置の候補となり、その単位発話文よりも前の単位発話文がその割り込み対話ブロックの開始位置の候補となっており、割り込み対話ブロックの範囲が確定すると、その割り込み対話ブロックに対して「ユーザの状況確認」というラベルが付与されることを示している。
図8は、割り込み対話ブロック判定部13の処理手順の一例を示すフローチャートである。割り込み対話ブロック判定部13には、対話行為推定部12が出力するタグ付き対話ログD2が入力される(ステップS201)。割り込み対話ブロック判定部13は、タグ付き対話ログD2が入力されると、第1ルールデータベース14を参照し(ステップS202)、第1ルールデータベース14の割り込み対話ブロック判定ルールに基づいて、ステップS201で入力されたタグ付き対話ログD2から割り込み対話ブロックの境界位置を検出する(ステップS203)。具体的には、割り込み対話ブロック判定部13は、ステップS201で入力されたタグ付き対話ログD2から割り込み対話ブロック判定ルールの条件部21に適合する単位発話文を探索して、割り込み対話ブロックの開始位置と終了位置が一意に特定できた場合に割り込み対話ブロックの範囲を確定する処理を繰り返す。
例えば、図6に示すタグ付き対話ログD2の例では、8行目の単位発話文の話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「質問」となっているので、図7に示す第1ルールデータベース14の1行目の割り込み対話ブロック判定ルールの条件部21に適合する。したがって、割り込み対話ブロック判定部13は、タグ付き対話ログD2におけるその単位発話文の位置を、「顧客の状況確認」のラベルが付与される割り込み対話ブロックの開始位置の候補とする。また、図6に示すタグ付き対話ログD2の例では、12行目の単位発話文の話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「確認」となっているので、図7に示す第1ルールデータベース14の2行目の割り込み対話ブロック判定ルールの条件部21に適合する。したがって、割り込み対話ブロック判定部13は、タグ付き対話ログD2におけるその単位発話文の位置を、「顧客の状況確認」のラベルが付与される割り込み対話ブロックの終了位置の候補とする。そして、このように同じラベルが付与される割り込み対話ブロックの開始位置の候補と終了位置の候補がこの順で見つかった場合、例えば、これらの間に別の割り込み対話ブロック判定ルールの条件部21に適合する単位発話文が存在せずに開始位置と終了位置が一意に特定できたら、それらの間をその割り込み対話ブロックの範囲として確定する。
その後、割り込み対話ブロック判定部13は、ステップS203の処理によって範囲が確定した割り込み対話ブロックの範囲と、その割り込み対話ブロックに付与するラベルとを示す判定結果D3を出力し(ステップS204)、一連の処理を終了する。
なお、上述の割り込み対話ブロック判定ルールは一例であり、これに限らない。例えば、直前・直後の単位発話文も合わせて考慮したルールを用いてもよい。具体的には、図7に示す第1ルールデータベース14の1行目の割り込み対話ブロック判定ルールの条件部21にさらに、直後の単位発話文の話者タグが「ユーザ」で対話行為タグが「肯定」であるという条件を加え、その条件部21が示す条件に適合する単位発話文を「顧客の状況確認」というラベルが付与される割り込み対話ブロックの終了位置の候補とするというルールを用いてもよい。また、結果部22の境界種別は「開始」と「終了」に限らず、割り込み対話ブロックの境界位置を示すことが可能な他の表現を用いてもよい。
また、割り込み対話ブロック判定ルールは、他の割り込み対話ブロック判定ルールとの間の優先順位などの情報が付加されていてもよい。この場合、割り込み対話ブロック判定部13は、例えば、あるラベルが付与される割り込み対話ブロックの開始位置の候補が検出され、その割り込み対話ブロックの終了位置の候補が検出されていない状態で、別のラベルが付与される割り込み対話ブロックの開始位置の候補が検出された場合に、どちらの割り込み対話ブロックの開始位置を優先させるかを、使用した割り込み対話ブロック判定ルールの優先順位に従って判断することができるようになる。
割り込み対話ブロック判定部13の判定結果D3のデータ構造の一例を図9に示す。割り込み対話ブロック判定部13が出力する判定結果D3は、例えば図9に示すように、図8のステップS203の処理によって範囲が確定した割り込み対話ブロックに対して一意に割り当てられた識別情報である割り込み対話ブロックIDと、その割り込み対話ブロックの開始位置を示す開始ポインタと、その割り込み対話ブロックの終了位置を示す終了ポインタと、その割り込み対話ブロックに付与するラベルとを含む。開始ポインタおよび終了ポインタは、例えば、対話ログD1やタグ付き対話ログD2の先頭文字に対して開始位置や終了位置が何文字分ずれているかを示すオフセットを用いることができる。また、対話ログD1やタグ付き対話ログD2に含まれる各発話文(単位発話文)が行番号で管理されている場合は、開始位置や終了位置となる発話文(単位発話文)の行番号を開始ポインタや終了ポインタとして用いてもよい。開始ポインタと終了ポインタとの間がその割り込み対話ブロックの範囲となる。
対話ブロック判定部15は、第2ルールデータベース16を参照して、タグ付き対話ログD2における対話ブロックの範囲とその対話ブロックに付与するラベルを判定する。対話ブロックは、上述のように、対話ログD1における大きな対話のブロックであり、割り込み対話ブロックよりも大きな単位のブロックである。つまり、対話ブロックと割り込み対話ブロックは、割り込み対話ブロックがそれよりも大きな単位の対話ブロックの一部として対話ブロックに包含されるといった構造的な関係を有している。第2ルールデータベース16は、対話ブロック判定ルールの集合を格納する。対話ブロック判定ルールは、割り込み対話ブロック判定ルールと同様に、話者タグと対話行為タグとの組み合わせを条件として対話ブロックの境界位置を検出するルールであり、その対話ブロックに付与するラベルが指定されている。
図10は、第2ルールデータベース16の構造例を示す図である。図10に示すように、第2ルールデータベース16を構成する各対話ブロック判定ルールは、話者タグと対話行為タグとの組み合わせからなる条件部31と、境界種別とラベルとを含む結果部32とを有し、条件部31に示す話者タグと対話行為タグとの組み合わせに適合する単位発話文は、結果部32の境界種別で示す対話ブロックの境界の候補となり、対話ブロックの範囲が確定すると、結果部32に示すラベルがその対話ブロックに付与されることを示している。
例えば、図10の1行目の対話ブロック判定ルールは、話者タグが「顧客」、対話行為タグが「情報提示」または「質問」の単位発話文は、その直前の単位発話文が「対話の開始」のラベルが付与される対話ブロックの終了位置の候補となり、それ以前に他の対話ブロックの境界が検出されていない場合に、その対話ブロックに対して「対話の開始」というラベルが付与されることを示している。また、図10の2行目の対話ブロック判定ルールは、話者タグが「顧客」、対話行為タグが「情報提示」または「質問」の単位発話文が、「顧客からの問い合わせ」のラベルが付与される対話ブロックの開始位置の候補となり、その対話ブロックの終了位置が検出されて対話ブロックの範囲が確定すると、その対話ブロックに対して「顧客からの問い合わせ」というラベルが付与されることを示している。
また、図10の3行目の対話ブロック判定ルールは、話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「情報提示」の単位発話文は、その直前の単位発話文が「顧客からの問い合わせ」のラベルが付与される対話ブロックの終了位置の候補となり、その直前の単位発話文よりも前の単位発話文がその対話ブロックの開始位置の候補となっており、対話ブロックの範囲が確定すると、その対話ブロックに対して「顧客からの問い合わせ」というラベルが付与されることを示している。また、図10の4行目の対話ブロック判定ルールは、話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「情報提示」の単位発話文が、「オペレータからの回答」のラベルが付与される対話ブロックの開始位置の候補となり、その対話ブロックの終了位置が検出されて対話ブロックの範囲が確定すると、その対話ブロックに対して「オペレータからの回答」というラベルが付与されることを示している。
図11は、対話ブロック判定部15の処理手順の一例を示すフローチャートである。対話ブロック判定部15には、対話行為推定部12が出力するタグ付き対話ログD2と、割り込み対話ブロック判定部13が出力する判定結果D3とが入力される(ステップS301)。対話ブロック判定部15は、タグ付き対話ログD2および割り込み対話ブロック判定部13の判定結果D3が入力されると、第2ルールデータベース16を参照し(ステップS302)、第2ルールデータベース16の対話ブロック判定ルールと、ステップS301で入力された割り込み対話ブロック判定部13の判定結果D3とに基づいて、ステップS301で入力されたタグ付き対話ログD2から対話ブロックの境界位置を検出する(ステップS303)。
具体的には、対話ブロック判定部15は、ステップS301で入力されたタグ付き対話ログD2に含まれる単位発話文から対話ブロック判定ルールの条件部31に適合する単位発話文を探索して、対話ブロックの開始位置と終了位置が一意に特定できた場合に対話ブロックの範囲を確定する処理を繰り返す。このとき、対話ブロック判定部15は、対話ブロックの境界によって割り込み対話ブロックの範囲が分割されることがないように、割り込み対話ブロック判定部13により判定された割り込み対話ブロックの範囲内の単位発話文のうち、割り込み対話ブロックの開始位置と終了位置を除く単位発話文を探索の対象から除外して、割り込み対話ブロック判定ルールの条件部21に適合する単位発話文を探索する。
例えば、図6に示すタグ付き対話ログD2の例では、5行目の単位発話文の話者タグが「顧客」、対話行為タグが「質問」となっているので、図10に示す第2ルールデータベース16の1行目および2行目の対話ブロック判定ルールの条件部31に適合する。したがって、対話ブロック判定部15は、タグ付き対話ログD2におけるその単位発話文の直前の単位発話文の位置を、「対話の開始」のラベルが付与される対話ブロックの終了位置の候補とするとともに、その単位発話文の位置を、「顧客からの問い合わせ」のラベルが付与される対話ブロックの開始位置の候補とする。ここで、図6に示すタグ付き対話ログD2の例では、4行目よりも前に対話ブロック判定ルールの条件部31に適合する単位発話文が存在しないため、タグ付き対話ログD2の先頭の単位発話文の位置を「対話の開始」のラベルが付与される対話ブロックの開始位置とし、タグ付き対話ログD2の先頭から4行目までを、その対話ブロックの範囲として確定する。また、図6に示すタグ付き対話ログD2は、図2の対話ログD1の例に合わせて15行目以降を省略しているが、15行目以降で割り込み対話ブロックの範囲を分割しない位置において、例えば話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「情報提示」となっている単位発話文があれば、図10に示す第2ルールデータベース16の3行目および4行目の対話ブロック判定ルールの条件部31に適合するので、その単位発話文の直前の単位発話文の位置が「顧客からの問い合わせ」のラベルが付与される対話ブロックの終了位置の候補となり、5行目からその位置までが「顧客からの問い合わせ」のラベルが付与される対話ブロックの範囲として確定される。
その後、対話ブロック判定部15は、ステップS303の処理によって範囲が確定した対話ブロックの範囲と、対話ブロックに付与するラベルとを示す判定結果D4を出力し(ステップS304)、一連の処理を終了する。
なお、上述の対話ブロック判定ルールは一例であり、これに限らない。例えば、割り込み対話ブロック判定ルールと同様に、直前・直後の単位発話文も合わせて考慮したルールを用いてもよい。また、結果部32の境界種別は「開始」と「直前で終了」に限らず、対話ブロックの境界位置を示すことが可能な他の表現を用いてもよい。
また、対話ブロック判定ルールは、他の対話ブロック判定ルールとの間の優先順位などの情報が付加されていてもよい。この場合、対話ブロック判定部15は、例えば、あるラベルが付与される対話ブロックの開始位置の候補が検出され、その対話ブロックの終了位置の候補が検出されていない状態で、別のラベルが付与される対話ブロックの開始位置の候補が検出された場合に、どちらの対話ブロックの開始位置を優先させるかを、使用した対話ブロック判定ルールの優先順位に従って判断することができるようになる。
また、本実施形態では、対話ブロック判定部15が、第2ルールデータベース16の対話ブロック判定ルールに加えて、割り込み対話ブロック判定部13の判定結果D3も用いて対話ブロックの境界位置を検出するようにしているが、割り込み対話ブロック判定部13の判定結果D3は用いずに対話ブロックの境界位置を検出する構成としてもよい。この場合、割り込み対話ブロックの範囲と対話ブロックの範囲に不整合が生じる懸念があるが、このような不整合が生じた場合は、例えば後述の表示画面生成部17が表示画面DSを生成する際に、不整合を解消させるような表示位置の調整などを行えばよい。
対話ブロック判定部15の判定結果D4のデータ構造の一例を図12に示す。対話ブロック判定部15が出力する判定結果D4は、割り込み対話ブロック判定部13の判定結果D3と同様に、図11のステップS303の処理によって範囲が確定した対話ブロックに対して一意に割り当てられた識別情報である対話ブロックIDと、その対話ブロックの開始位置を示す開始ポインタと、その対話ブロックの終了位置を示す終了ポインタと、その対話ブロックに付与するラベルとを含む。開始ポインタおよび終了ポインタは、割り込み対話ブロック判定部13の判定結果D3と同様に、オフセットや行番号などを用いることができる。開始ポインタと終了ポインタとの間がその対話ブロックの範囲となる。
表示画面生成部17は、対話ログD1に対し、割り込み対話ブロックの範囲およびラベルを示す第1表示情報と、対話ブロックの範囲およびラベルを示す第2表示情報とを付加して表示させるように制御する。例えば、表示画面生成部17は、割り込み対話ブロック判定部13の判定結果D3と、対話ブロック判定部15の判定結果D4とを用いて、割り込み対話ブロックの範囲およびラベルを示す第1表示情報と、対話ブロックの範囲およびラベルを示す第2表示情報とを対話ログD1に付加した表示画面DSを生成する。
表示画面生成部17が生成する表示画面DSの一例を図13に示す。この図13に示す表示画面DSは、対話ログD1における割り込み対話ブロックB1の範囲を囲む枠F内でその割り込み対話ブロックB1のラベルLを明示した第1表示情報と、対話ログD1における対話ブロックB2の範囲を囲む枠F内でその対話ブロックB2のラベルLを明示した第2表示情報とを、対話ログD1上に重畳した表示形態となっている。割り込み対話ブロックB1の範囲を囲む枠Fおよび対話ブロックB2の範囲を囲む枠Fは、例えば、それぞれの内部が色分けされて表示されることで、割り込み対話ブロックB1や対話ブロックB2の範囲が一目で認識できるようになっている。また、割り込み対話ブロックB1の範囲を囲む枠Fは、その横幅(発話文の並び方向と直交する方向の長さ)が、対話ブロックB2の範囲を囲む枠Fよりも短くされ、割り込み対話ブロックB1と対話ブロックB2との関係が一目で把握できるようになっている。
表示画面生成部17が生成する表示画面DSは、ユーザに対して閲覧可能に提供される。例えば、本実施形態の対話ログ分析装置が表示装置を備えていれば、その表示装置に表示画面DSを表示することにより、ユーザに表示画面DSを閲覧させることができる。また、ユーザが使用する外部装置に搭載されたブラウザを介して、その外部装置の表示装置に表示画面DSを表示することにより、ユーザに表示画面DSを閲覧させる構成であってもよい。ユーザは、この表示画面DSを閲覧することによって、対話ログD1における大きな対話の流れと、大きな対話の中で挿入される細かな対話の構造的な関係とを容易に把握することができる。
なお、図13に示す表示画面DSは一例であり、これに限らない。例えば図14に示すように、割り込み対話ブロックB1のラベルLや対話ブロックB2のラベルLを見出しとして、それぞれの枠Fに対応付けて表示するような構成の表示画面DSとしてもよい。また、この際、見出しとして表示するラベルLの表示位置を、割り込み対話ブロックB1と対話ブロックB2とで異ならせる構成としてもよい。また、枠Fの形状を、割り込み対話ブロックB1と対話ブロックB2とで異ならせる構成としてもよい。また、表示画面DSは、対話ログD1に対し、割り込み対話ブロックの範囲およびラベルを示す第1表示情報と、対話ブロックの範囲およびラベルを示す第2表示情報とを付加して表示する構成であればよく、上述したような画像の形態に限らず、どのような表示形態であってもよい。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の対話ログ分析装置は、対話ログD1に含まれる各発話文の話者タグと、対話行為推定により付与された対話行為タグとの組み合わせを手掛かりとして、対話ログD1における割り込み対話ブロックの範囲およびラベルと、対話ブロックの範囲およびラベルとを判定する。そして、対話ログD1に対し、割り込み対話ブロックの範囲およびラベルを示す第1表示情報と、対話ブロックの範囲およびラベルを示す第2表示情報とを付加した表示画面DSを生成して、ユーザに閲覧可能に提供するようにしている。したがって、本実施形態の対話ログ分析装置によれば、対話ログD1における大きな対話の流れと、大きな対話の中で挿入される細かな対話の構造的な関係とを、一目で分かりやすくユーザに伝えることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、対話ログD1に含まれる発話文(対話ログD1’に含まれる単位発話文)から抽出されたキーワードまたはそのキーワードの上位概念にあたる概念クラスをさらに用いて、割り込み対話ブロックの境界や対話ブロックの境界を検出する例である。以下では、第1実施形態と共通の構成要素については同一の符号を付して重複した説明を適宜省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
図15は、第2実施形態の対話ログ分析装置の機能的な構成例を示すブロック図である。本実施形態の対話ログ分析装置は、図15に示すように、第1実施形態の対話ログ分析装置の構成(図1参照)に加えて、キーワード抽出部18(第1抽出部)を備える。
キーワード抽出部18は、対話ログD1’に含まれる単位発話文からキーワードを抽出する処理を行って、キーワードが抽出できた場合に単位発話文に対してキーワードを付与する。
図16は、キーワード抽出部18の処理手順の一例を示すフローチャートである。キーワード抽出部18には、例えば、発話文分割部11が出力する対話ログD1’が入力される(ステップS401)。対話ログD1に含まれる各発話文が単位発話文になっていれば、対話ログD1を入力してもよい。キーワード抽出部18は、対話ログD1’が入力されると、まず、対話ログD1’から単位発話文を一つ取り出す(ステップS402)。そして、キーワード抽出部18は、ステップS402で取り出した単位発話文に対し、形態素解析により単語分割と各単語の品詞を特定する処理を行う(ステップS403)。
次に、キーワード抽出部18は、例えば予め決められたキーワードが登録されているキーワードリストを参照し(ステップS404)、ステップS403の処理により得られた情報を用いて、ステップS402で取り出した単位発話文の中にキーワードリストに登録されたキーワードと一致する単語(あるいは単語列)があるかどうかを判定する(ステップS405)。そして、キーワード抽出部18は、キーワードリストに登録されたキーワードと一致する単語(あるいは単語列)があれば(ステップS405:Yes)、その単語(あるいは単語列)をキーワードとして、ステップS402で取り出した単位発話文に対して付与する(ステップS406)。なお、キーワードリストに登録されたキーワードと一致する単語がなければ(ステップS405:No)、ステップS406はスキップされる。
その後、キーワード抽出部18は、ステップS401で入力された対話ログD1’からすべての単位発話文を取り出したか否かを判定し(ステップS407)、取り出していない単位発話文があれば(ステップS407:No)、ステップS402に戻って以降の処理を繰り返す。一方、すべての単位発話文を取り出していれば(ステップS407:Yes)、キーワード抽出部18は、キーワードが付与された対話ログD1’(キーワード付き対話ログ)を出力し(ステップS408)、一連の処理を終了する。
なお、以上の例では、キーワードリストを参照して単位発話文からキーワードを抽出しているが、キーワード抽出部18は、キーワードリストを参照せずに、品詞や手がかり語などを利用して単位発話文からキーワードを抽出する構成であってもよい。また、キーワード抽出部18は、単位発話文に対して形態素解析などを行わずに、単位発話文に含まれる、キーワードリストに登録されたキーワードと一致する単語あるいは単語列をキーワードとして抽出する構成であってもよい。
また、キーワード抽出部18は、抽出したキーワードを概念クラスに変換し、単位発話文に対してキーワードの概念クラスを付与する構成であってもよい。概念クラスの一例を図17に示す。概念クラスは、図17に示すように、キーワードとなる語彙(単語または単語列)が属する上位概念のクラスを示している。例えば図17に示す例では、「Z9000」というキーワードとなる語彙に対し、その概念クラスとして「製品名」が割り当てられている。キーワード抽出部18は、単位発話文の中から「Z9000」というキーワードを抽出した場合に、そのキーワードを「製品名」という概念クラスに変換して、単位発話文に付与する。概念クラスをキーワードとともに付与してもよい。それぞれの概念クラスに対応するキーワードは、図17に示すように、語彙として字面で定義してもよいし、例えば「Z+(数値)」のように語彙パターンをルールで記述してもよい。なお、キーワードと概念クラスを併用して、特定の概念クラスの場合にはキーワードを使わず概念クラスを利用し、それ以外の場合にはキーワードをそのまま使ってもよい。以下では、概念クラスを用いるものとして説明する。
キーワード抽出部18が出力するキーワード付き対話ログは、対話行為推定部12が出力するタグ付き対話ログD2とマージされ、キーワード・タグ付対話ログD5とされる。キーワード・タグ付き対話ログD5の一例を図18に示す。図18に示すキーワード・タグ付き対話ログD5では、図3に示した対話ログD1’の10行目の「Z900でしょうか?もしくは、Z9000でしょうか?」という単位発話文と、11行目の「あ、Z9000です。」という単位発話文と、12行目の「かしこまりました。Z9000でございますね。」という単位発話文とに、それぞれ「製品名」というキーワードの概念クラスが付与されている。
本実施形態の割り込み対話ブロック判定部13は、第1ルールデータベース14’を参照して、キーワード・タグ付き対話ログD5における割り込み対話ブロックの範囲とその割り込み対話ブロックに付与するラベルを判定する。第1ルールデータベース14’は、第1実施形態の第1ルールデータベース14と同様に割り込み対話ブロック判定ルールの集合を格納するが、割り込み対話ブロック判定ルールには、話者タグと対話行為タグとキーワードまたはキーワードの概念クラスとの組み合わせを条件として割り込み対話ブロックの境界位置を検出するルールが含まれている。
図19は、本実施形態の第1ルールデータベース14’の構造例を示す図である。図19に示すように、本実施形態の第1ルールデータベース14’を構成する各割り込み対話ブロック判定ルールは、話者タグと対話行為タグと必要に応じて条件に加えられるキーワード(概念クラス)との組み合わせからなる条件部41と、境界種別とラベルとを含む結果部42とを有し、条件部41に示す話者タグと対話行為タグと必要に応じてキーワード(概念クラス)の組み合わせに適合する単位発話文が、結果部42の境界種別で示す割り込み対話ブロックの境界の候補となり、割り込み対話ブロックの範囲が確定すると、結果部42に示すラベルがその割り込み対話ブロックに付与されることを示している。
例えば、図19の4行目の割り込み対話ブロック判定ルールは、話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「確認」、キーワード(概念クラス)が「型番」または「製品名」の単位発話文が、「商品名確認」のラベルが付与される割り込み対話ブロックの終了位置の候補となり、その単位発話文よりも前の単位発話文がその割り込み対話ブロックの開始位置の候補となっており、割り込み対話ブロックの範囲が確定すると、その割り込み対話ブロックに対して「商品名確認」というラベルが付与されることを示している。また、図19の6行目の割り込み対話ブロック判定ルールは、話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「確認」、キーワード(概念クラス)が「商品種別」の単位発話文が、「商品種別確認」のラベルが付与される割り込み対話ブロックの終了位置の候補となり、その単位発話文よりも前の単位発話文がその割り込み対話ブロックの開始位置の候補となっており、割り込み対話ブロックの範囲が確定すると、その割り込み対話ブロックに対して「商品種別確認」というラベルが付与されることを示している。
本実施形態の割り込み対話ブロック判定部13は、図19に示すような第1ルールデータベース14’を参照し、キーワード・タグ付き対話ログD5から割り込み対話ブロック判定ルールの条件部41に適合する単位発話文を探索して、割り込み対話ブロックの開始位置と終了位置が一意に特定できた場合に割り込み対話ブロックの範囲を確定し、その割り込み対話ブロックに対して結果部42で示されるラベルを付与する処理を繰り返す。
例えば、図18に示すキーワード・タグ付き対話ログD5の例では、8行目の単位発話文の話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「質問」となっているので、図19に示す第1ルールデータベース14’の3行目および5行目の割り込み対話ブロック判定ルールの条件部41に適合する。したがって、割り込み対話ブロック判定部13は、キーワード・タグ付き対話ログD5におけるその単位発話文の位置を、「商品名確認」のラベルが付与される割り込み対話ブロック、または「商品種別確認」が付与される割り込み対話ブロックの開始位置の候補とする。また、図18に示すキーワード・タグ付き対話ログD5の例では、12行目の単位発話文の話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「確認」、キーワード(概念クラス)が「製品名」となっているので、図19に示す第1ルールデータベース14’の4行目の割り込み対話ブロック判定ルールの条件部41に適合する。したがって、割り込み対話ブロック判定部13は、キーワード・タグ付き対話ログD5における8行目から12行目までを「商品名確認」のラベルが付与される割り込み対話ブロックの範囲として確定し、その割り込み対話ブロックに対して「商品名確認」のラベルを付与する。
なお、キーワード・タグ付き対話ログD5における単位発話文が、キーワード(概念クラス)を条件部41に含む割り込み対話ブロック判定ルールと、キーワード(概念クラス)を条件部41に含まない割り込み対話ブロック判定ルールとのどちらにも当てはまるケースでは、キーワード(概念クラス)を条件部41に含む割り込み対話ブロック判定ルールを優先して適用することが望ましい。
また、本実施形態の対話ブロック判定部15は、第2ルールデータベース16’を参照して、キーワード・タグ付き対話ログD5における対話ブロックの範囲とその対話ブロックに付与するラベルを判定する。第2ルールデータベース16’は、第1実施形態の第2ルールデータベース16と同様に対話ブロック判定ルールの集合を格納するが、対話ブロック判定ルールには、話者タグと対話行為タグとキーワードまたはキーワードの概念クラスとの組み合わせを条件として対話ブロックの境界位置を検出するルールが含まれている。
図20は、本実施形態の第2ルールデータベース16’の構造例を示す図である。図20に示すように、本実施形態の第2ルールデータベース16’を構成する各対話ブロック判定ルールは、話者タグと対話行為タグと必要に応じて条件に加えられるキーワード(概念クラス)との組み合わせからなる条件部51と、境界種別とラベルとを含む結果部52とを有し、条件部51に示す話者タグと対話行為タグと必要に応じてキーワード(概念クラス)の組み合わせに適合する単位発話文が、結果部52の境界種別で示す対話ブロックの境界の候補となり、対話ブロックの範囲が確定すると、結果部52に示すラベルがその対話ブロックに付与されることを示している。
例えば、図20の5行目の対話ブロック判定ルールは、話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「情報提示」、キーワード(概念クラス)が「オペレータ名」の単位発話文は、その直前の単位発話文が「オペレータからの回答」のラベルが付与される対話ブロックの終了位置の候補となり、それ以前に「オペレータからの回答」のラベルが付与される対話ブロックの開始位置の候補が検出されていれば、その対話ブロックに対して「オペレータからの回答」のラベルが付与されることを示している。また、図20の6行目の対話ブロック判定ルールは、話者タグが「オペレータ」、対話行為タグが「情報提示」、キーワード(概念クラス)が「オペレータ名」の単位発話文が、「対話の終了」のラベルが付与される対話ブロックの開始位置の候補となり、それ以降に他の対話ブロックの境界が検出されていない場合に、その対話ブロックに対して「対話の終了」というラベルが付与されることを示している。
本実施形態の対話ブロック判定部15は、図20に示すような第2ルールデータベース16’を参照し、キーワード・タグ付き対話ログD5から対話ブロック判定ルールの条件部51に適合する単位発話文を探索して、対話ブロックの開始位置と終了位置が一意に特定できた場合に対話ブロックの範囲を確定し、その対話ブロックに対して結果部52で示されるラベルを付与する処理を繰り返す。
表示画面生成部17は、第1実施形態と同様に、割り込み対話ブロック判定部13の判定結果D3と、対話ブロック判定部15の判定結果D4とを用いて、割り込み対話ブロックの範囲およびラベルを示す第1表示情報と、対話ブロックの範囲およびラベルを示す第2表示情報とを対話ログD1に付加した表示画面DSを生成する。本実施形態の表示画面生成部17が生成した表示画面DSの一例を図21に示す。本実施形態では、図19に示す第1ルールデータベース14’を用いたため、割り込み対話ブロックB1に対して「商品名確認」のラベルLが付与されていることが分かる。
以上のように、本実施形態の対話ログ分析装置は、話者タグおよび対話行為タグに加えて、発話文(単位発話文)から抽出されたキーワードまたはキーワードの概念クラスを条件に用いて割り込み対話ブロックや対話ブロックの境界を検出するようにしている。したがって、本実施形態の対話ログ分析装置によれば、割り込み対話ブロックや対話ブロックの判定を上述した第1実施形態よりも正確かつ詳細に実施することが可能となり、対話ログD1における大きな対話の流れと、大きな対話の中で挿入される細かな対話の構造的な関係とを、一目で分かりやすく、かつ正確にユーザに伝えることができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、割り込み対話ブロック判定ルールが、割り込み対話ブロックに付与するラベルのほかに、そのラベルの上位ラベルを指定している。上位ラベルとは、割り込み対話ブロックに付与するラベルの上位概念のラベルであって、対話ブロック判定ルールのいずれかにおいて指定されているラベルと共通のラベルである。そして、割り込み対話ブロック判定部13は、割り込み対話ブロックのラベルだけでなくその上位ラベルも判定し、対話ブロック判定部15は、対話ブロック判定ルールのうち、割り込み対話ブロック判定部13が判定した上位ラベルと共通のラベルを指定する対話ブロック判定ルールに基づいて、割り込み対話ブロック判定部13が判定した割り込み対話ブロックの範囲を包含する対話ブロックの範囲を判定する。
なお、対話ログ分析装置の構成および全体の処理の概要は上述した第1実施形態または第2実施形態と共通であるため、以下では、第1実施形態と共通の構成要素については同一の符号を付して重複した説明を適宜省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
図22は、本実施形態の第1ルールデータベース14’’の構造例を示す図である。図22に示すように、本実施形態の第1ルールデータベース14’’を構成する各割り込み対話ブロック判定ルールは、話者タグと対話行為タグと必要に応じて条件に加えられるキーワード(概念クラス)との組み合わせからなる条件部61と、境界種別とラベルと上位ラベルとを含む結果部62とを有し、条件部61に示す話者タグと対話行為タグと必要に応じてキーワード(概念クラス)の組み合わせに適合する単位発話文が、結果部62の境界種別で示す割り込み対話ブロックの境界の候補となり、割り込み対話ブロックの範囲が確定すると、結果部62に示すラベルがその割り込み対話ブロックに付与されるとともに、その上位ラベルが判定されることを示している。図22の例では、「商品名確認」のラベルが付与される割り込み対話ブロックの上位ラベルは「顧客からの問い合わせ」であることを示している。
本実施形態の割り込み対話ブロック判定部13は、図22に示すような第1ルールデータベース14’’を参照し、キーワード・タグ付き対話ログD5から割り込み対話ブロック判定ルールの条件部61に適合する単位発話文を探索して、割り込み対話ブロックの開始位置と終了位置が一意に特定できた場合に割り込み対話ブロックの範囲を確定し、その割り込み対話ブロックに対して結果部62で示されるラベルを付与するとともに、その上位ラベルを判定する処理を繰り返す。なお、本実施形態では、第2実施形態と同様にキーワードまたはキーワードの概念クラスも用いて割り込み対話ブロックの境界候補を検出する例を示しているが、第1実施形態と同様に、キーワードまたはキーワードの概念クラスを使用しない構成であってもよい。
また、本実施形態の対話ブロック判定部15は、例えば第2実施形態と同様に、図20に示すような第2ルールデータベース16’を参照し(図10に示すような第2ルールデータベース16を参照してもよい)、キーワード・タグ付き対話ログD5から対話ブロック判定ルールの条件部51に適合する単位発話文を探索して、対話ブロックの開始位置と終了位置が一意に特定できた場合に対話ブロックの範囲を確定し、その対話ブロックに対して結果部52で示されるラベルを付与する処理を繰り返す。このとき本実施形態の対話ブロック判定部15は、すでに割り込み対話ブロック判定部13により範囲が確定した割り込み対話ブロックを包含する対話ブロックの範囲を判定する際に、第2ルールデータベース16’の対話ブロック判定ルールのうち、その割り込み対話ブロックの上位ラベルと共通のラベルを指定する対話ブロック判定ルールのみを用いる。
例えば、割り込み対話ブロック判定部13によって「商品名確認」のラベルを付与する割り込み対話ブロックの範囲が確定されている場合、その割り込み対話ブロックの上位ラベルは「顧客からの問い合わせ」であるため、対話ブロック判定部15は、「顧客からの問い合わせ」のラベルを指定する対話ブロック判定ルールのみを用いて、「商品名確認」のラベルを付与する割り込み対話ブロックの範囲を包含する対話ブロックの範囲を判定する。すなわち、対話ブロック判定ルールとして「顧客からの問い合わせ」をラベルとして指定するルールAと、それ以外のラベルを指定するルールBとが一致しそうな場合に、それらルールAとルールBで判定される対話ブロックの範囲内に割り込み対話ブロックがあり、その上位ラベルが「顧客からの問い合わせ」であれば、ルールBを棄却し、ルールAを用いて対話ブロックの範囲を判定する。
以上のように、本実施形態の対話ログ分析装置は、割り込み対話ブロックの範囲を包含する対話ブロックの範囲を判定する際に、割り込み対話ブロックの上位ラベルと共通するラベルを指定する対話ブロック判定ルールのみを用いるようにしている。したがって、本実施形態の対話ログ分析装置によれば、対話ブロックの判定を上述した第1実施形態や第2実施形態よりも簡便かつ正確に実施することが可能となり、対話ログD1における大きな対話の流れと、大きな対話の中で挿入される細かな対話の構造的な関係とを、一目で分かりやすく、かつ正確にユーザに伝えることができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態は、割り込み対話ブロックや対話ブロックのラベルごとに、対話ログD1から抽出すべき情報を予め決めておき、対話ログD1から抽出した情報を併せて表示する表示画面DSを生成してユーザに閲覧可能に提供する例である。以下では、上述の第1実施形態乃至第3実施形態と共通の構成要素については同一の符号を付して重複した説明を適宜省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
図23は、第4実施形態の対話ログ分析装置の機能的な構成例を示すブロック図である。本実施形態の対話ログ分析装置は、図23に示すように、第2実施形態の対話ログ分析装置の構成(図15参照)に加えて、情報抽出部19(第2抽出部)を備える。なお、図23に示す例では、第2実施形態の構成に対して情報抽出部19を付加しているが、第1実施形態の構成(図1参照)に対して情報抽出部19を付加した構成であってもよい。
情報抽出部19には、対話ログD1と、割り込み対話ブロック判定部13の判定結果D3と、対話ブロック判定部15の判定結果D4とが入力される。そして、情報抽出部19は、対話ログD1に含まれる発話文のうち、割り込み対話ブロック判定部13が判定した割り込み対話ブロックの範囲に含まれる発話文、すなわち割り込み対話ブロックを構成する複数の発話文から、その割り込み対話ブロックのラベルに応じた情報を抽出する。また、情報抽出部19は、対話ログD1に含まれる発話文のうち、対話ブロック判定部15が判定した対話ブロックの範囲に含まれる発話文、すなわち対話ブロックを構成する複数の発話文から、その対話ブロックのラベルに応じた情報を抽出する。
割り込み対話ブロックや対話ブロックのラベルに応じてどのような情報を抽出するかは、予め定められているものとする。例えば、「対話の開始」では、オペレータが自分の所属などを表明するのが一般的であるため、抽出すべき情報として「問い合わせ先」が定められている。このとき、「問い合わせ先」はオペレータの発話に含まれる情報であるため、話者タグが「オペレータ」の発話文のみを対象として「問い合わせ先」の情報を抽出するようにしてもよい。また、「商品名確認」では、オペレータは「型番」や「製品名」など具体的に何の商品を指しているのかを問い合わせることが想定されるため、このような情報が「商品名確認」での抽出すべき情報として予め定められている。
情報抽出部19は、例えば上述のキーワード抽出部18と同様の手法により、対話ログD1から割り込み対話ブロックや対話ブロックのラベルに応じた情報を抽出することができる。すなわち、情報抽出部19は、例えば、予め抽出すべき情報を登録したリストを参照して、そのリストに登録されているものと一致する情報を発話文から抽出する構成とすることができる。あるいは、発話文を形態素解析することで得られた品詞や手がかり語などを利用して、発話文から情報を抽出する構成であってもよい。また、情報抽出部19は、上述のキーワード抽出部18とは異なる方法により発話文から情報を抽出してもよい。情報抽出部19が抽出した情報は、表示画面生成部17に渡される。
本実施形態の表示画面生成部17は、割り込み対話ブロック判定部13の判定結果D3と、対話ブロック判定部15の判定結果D4と、情報抽出部19が抽出した情報とを用いて、割り込み対話ブロックの範囲およびラベルとそのラベルに応じて情報抽出部19が抽出した情報とを示す第1表示情報と、対話ブロックの範囲およびラベルとそのラベルに応じて情報抽出部19が抽出した情報とを示す第2表示情報とを対話ログD1に付加した表示画面DSを生成する。
本実施形態の表示画面生成部17が生成する表示画面DSの一例を図24に示す。この図24に示す表示画面DSは、対話ログD1における割り込み対話ブロックB1の範囲を囲む枠F内でその割り込み対話ブロックB1のラベルLとそのラベルLに応じた情報Cとを明示した第1表示情報と、対話ログD1における対話ブロックB2の範囲を囲む枠F内でその対話ブロックB2のラベルLとそのラベルLに応じた情報Cとを明示した第2表示情報とを、対話ログD1上に重畳した表示形態となっている。なお、表示画面DSの構成は図24に示す例に限らず、上述の第1実施形態と同様に様々な変形が可能である。
以上のように、本実施形態の対話ログ分析装置は、割り込み対話ブロックや対話ブロックのラベルに応じた情報を対話ログD1から抽出し、抽出した情報を割り込み対話ブロックや対話ブロックのラベルとともに明示した表示画面DSを生成してユーザに閲覧可能に提供する。したがって、本実施形態の対話ログ分析装置によれば、対話ログD1における大きな対話の流れと、大きな対話の中で挿入される細かな対話の構造的な関係とを、それらの対話で重要と考えられる情報とともに、一目で分かりやすくユーザに伝えることができる。
以上述べた少なくとも一つの実施形態によれば、対話ログにおける大きな対話の流れと、大きな対話の中で挿入される細かな対話の構造的な関係とを、一目で分かりやすくユーザに伝えることができる。
<補足説明>
上述した実施形態の対話ログ分析装置は、例えば、一般的なコンピュータを構成するハードウェアと、コンピュータで実行されるプログラム(ソフトウェア)との協働により実現することができる。例えば、コンピュータが所定のプログラムを実行することによって、上述した発話文分割部11、対話行為推定部12、割り込み対話ブロック判定部13、対話ブロック判定部15、表示画面生成部17、キーワード抽出部18、情報抽出部19などの各部を実現することができる。また、コンピュータが備える大容量記憶装置を用いて、上述した第1ルールデータベース14および第2ルールデータベース16を実現することができる。
図25は、実施形態の対話ログ分析装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。対話ログ分析装置は、例えば図25に示すように、CPU101などのハードウェアプロセッサと、RAM102やROM103などの記憶装置と、HDD104などの大容量記憶装置と、ネットワークを介して外部と通信を行う通信I/F105と、周辺機器を接続するための機器I/F106と、を備えた通常のコンピュータとしてのハードウェア構成を有する。
このとき、上記のプログラムは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ、またはこれに類する記録媒体に記録されて提供される。プログラムを記録する記録媒体は、コンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。また、上記プログラムを、コンピュータに予めインストールするように構成してもよいし、ネットワークを介して配布される上記のプログラムをコンピュータに適宜インストールするように構成してもよい。
上記のコンピュータで実行されるプログラムは、上述した発話文分割部11、対話行為推定部12、割り込み対話ブロック判定部13、対話ブロック判定部15、表示画面生成部17、キーワード抽出部18、情報抽出部19などの機能的な各部を含むモジュール構成となっており、プロセッサがこのプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述した各部がRAM102などの主記憶上に生成されるようになっている。
なお、実施形態の対話ログ分析装置は、上述した機能的な各部の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアにより実現する構成であってもよい。
また、実施形態の対話ログ分析装置は、複数台のコンピュータを通信可能に接続したネットワークシステムとして構成し、上述した各部を複数台のコンピュータに分散して実現する構成であってもよい。また、実施形態の対話ログ分析装置は、クラウドシステム上で動作する仮想マシンであってもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。