JP6621052B2 - 永久磁石形同期電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
このように速度や磁極位置の推定精度が低い場合には、制御系が不安定になって運転不能になるおそれがあった。
前記電動機の電流相当値、端子電圧相当値、及び速度相当値を用いて、前記電動機の磁極位置推定誤差を位置推定誤差演算値として求める位置推定誤差演算手段と、
前記位置推定誤差演算値から前記電動機の速度推定値を演算する速度推定手段と、
前記速度推定値を積分して前記電動機の磁極位置推定値を演算する磁極位置推定手段と、
を備え、
前記速度推定手段は、
前記位置推定誤差演算値に比例する比例項を演算する手段と、前記位置推定誤差演算値の積分値を演算する手段と、前記位置推定誤差演算値の積分値から積分項を演算する手段と、前記比例項と前記積分項とを用いて前記速度推定値を演算する手段と、前記電動機の低速運転時に前記積分項を低減する積分項低減手段と、を有し、
前記積分項低減手段は、
前記積分器の出力にフィードバックゲインを乗算してその乗算結果を前記積分器の入力に負帰還する手段を備え、前記フィードバックゲインは、前記電動機の速度が所定値より大きいときに零とし、かつ、前記所定値より小さいときに増加させるものである。
請求項1または2に係る発明によれば、電動機の低速運転時における位置推定値の演算誤差を低減し、安定性の向上が可能になる。
請求項3または4に係る発明によれば、速度推定値の演算遅れに起因する過渡特性を改善することができる。
請求項5または6に係る発明によれば、電動機の速度に応じて前記積分項の大きさを制御することができる。
請求項8に係る発明は、請求項6に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、前記フィードバックゲインと前記第2のゲインとの和が1であることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項6に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、前記フィードバックゲインと、前記第1のゲインと前記第2のゲインの積との和が1であることを特徴とする。
請求項7〜9に係る発明によれば、電動機の速度に応じて速度推定値演算手段の伝達関数の直流ゲインを制御することが可能である。
請求項11に係る発明は、請求項1〜10の何れか1項に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、前記フィードバックゲインを、前記電動機の拡張誘起電圧演算値の絶対値が第3の設定値より大きいときに零とし、かつ、前記第3の設定値未満の第4の設定値より小さいときに1に制御するものである。
請求項12に係る発明は、請求項1〜10の何れか1項に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、前記フィードバックゲインを、前記電動機の誘起電圧演算値の絶対値が第5の所定値より大きいときに零とし、かつ、前記第5の所定値未満の第6の所定値より小さいときに1に制御するものである。
請求項10〜12に係る発明によれば、速度推定値の演算遅れに起因する過渡特性を改善することができる。
始めに、PMSMは、回転子に同期して回転する直交回転軸(d,q軸)上で電流、電圧を制御することで高性能なトルク制御や速度制御を実現している。ここで、d,q軸は、回転子の磁極のN極方向をd軸と定義し、d軸から90°進み方向をq軸と定義する。しかしながら、磁極位置検出器を用いずに運転するセンサレス制御の場合、d,q軸の位置を直接検出することができない。そこで、制御装置では、d,q軸の推定軸として内部にγ,δ軸を想定し、電動機の電流、電圧をγ,δ軸上で取り扱うことにより制御演算を行っている。
PMSMのu相巻線を基準としたγ軸の角度(位置推定値)θ1とu相巻線を基準としたd軸の角度(磁極位置)θrとの角度差(位置推定誤差)を、θerrとして数式1により定義する。
図1において、速度指令値ωr *と速度推定値ω1との偏差を減算器16により演算し、この偏差が零になるように速度調節器17が動作してその出力をトルク指令値τ*とする。電流指令演算器18は、トルク指令値τ*と速度推定値ω1とに基づき、PMSM80が所望のトルクを発生するためのd軸電流指令値id *、q軸電流指令値iq *を演算する。ここで、d軸電流指令値id *はγ軸電流指令値iγ *として減算器19aに入力され、q軸電流指令値iq *はδ軸電流指令値iδ *として減算器19bに入力される。
減算器19aはγ軸電流指令値iγ *とγ軸電流検出値iγとの偏差を演算し、この偏差が零になるようにγ軸電流調節器20aが動作してその出力がγ軸電圧指令値vγ *となる。同様に、減算器19bはδ軸電流指令値iδ *とδ軸電流検出値iδとの偏差を演算し、この偏差が零になるようにδ軸電流調節器20bが動作してその出力がδ軸電圧指令値vδ *となる。
上記γ軸電圧指令値vγ *、δ軸電圧指令値vδ *は、座標変換器15において位置推定値θ1に基づき座標変換され、相電圧指令値vu *,vv *,vw *としてPWM回路13に入力される。
PWM回路13は、電力変換器70の出力電圧を相電圧指令値vu *,vv *,vw *に制御するためのゲート信号を生成して電力変換器70に与える。電力変換器70は、ゲート信号に基づいて内部の半導体スイッチング素子を制御することにより、PMSM80の端子電圧を相電圧指令値vu *,vv *,vw *に制御する。
以上の制御により、PMSM80の速度を速度指令値ωr *に一致させることができる。
図1における拡張誘起電圧演算器31は、数式2により拡張誘起電圧を演算する。
図1の角度差演算器32は、数式3により、拡張誘起電圧演算値eexγest,eexδestから位置推定誤差演算値θerrestを求める。なお、拡張誘起電圧演算器31及び角度差演算器32は、請求項における位置推定誤差演算手段を構成している。
積分器34は、請求項における磁極位置推定手段に相当しており、速度推定値ω1を積分して位置推定値θ1を演算する。
これらの演算により、位置推定誤差演算値θerrestが零になるように速度推定値ω1と位置推定値θ1とが演算され、これらの値を真値に収束させることができる。
図3は、速度推定器33の構成を示すブロック図である。なお、この速度推定器33の構成及び機能は、請求項4を除く全ての請求項に相当するものである。
ここで、上記の比例項ω1Pは、図1の角度差演算器32により求めた位置推定誤差演算値θerrestの極性を反転した値(−θerrest)に、ゲイン乗算器101により比例ゲインKPωestを乗算して求める。また、積分項ω1Iは、上記比例項ω1Pに基づき、乗算器104、減算器105、乗算器106、積分器102、及び乗算器107を用いて演算する。
なお、図3の構成から、ゲイン乗算器101、積分器102、及び加算器103等を除いた部分は、各請求項における積分項低減手段を構成している。
図4より、速度推定器33を比例・積分演算により実現する場合には、直流ゲインが無限大になる。一方、図5より、数式7の伝達関数Go(s)は、フィードバックゲインKFBωestを大きくすれば直流ゲインを低減でき、これによって位置推定誤差演算値θerrestが速度推定値及び位置推定値に与える影響を低減することができる。
図3における第1のゲイン演算器111は、図6に示す関数に従って、速度推定値ω1の絶対値に基づいてフィードバックゲインKFBωest1を演算する。この図6は請求項10に相当しており、フィードバックゲインKFBωest1は、速度推定値ω1の絶対値がω1thP(第2の設定値)より小さいときには1に制御され、前記絶対値がω1thPI(第1の設定値)より大きいときには零に制御される。なお、ω1thP<ω1thPIであり、ω1thP〜ω1thPIの領域では、速度推定値ω1の絶対値が大きくなるにつれてフィードバックゲインKFBωest1は直線的に減少する。
この図7は、ゲイン演算器112の第1実施例であり、請求項11に相当する。フィードバックゲインKFBωest2は、δ軸拡張誘起電圧演算値eexδestの絶対値がeexδthP(第4の設定値)より小さいときには1に制御され、上記絶対値がeexδthPI(第3の設定値)より大きいときは零に制御される。なお、eexδthP<eexδthPIであり、eexδthP〜eexδthPIの領域では、δ軸拡張誘起電圧演算値eexδestの絶対値が大きくなるにつれてフィードバックゲインKFBωest2は直線的に減少する。
また、低速運転時(速度推定値ω1の絶対値がω1thPIより小さいとき、または、δ軸拡張誘起電圧演算値eexδestの絶対値がeexδthPIより小さいとき)にはフィードバックゲインKFBωestを0〜1の範囲内に制御してK1,K2を1よりも小さくすることにより、数式4の積分項ω1Iを小さく制御することができる。
この第2実施例は請求項4に相当しており、ゲイン演算器112によるフィードバックゲインKFBωest2の演算を、PMSM80の誘起電圧演算値を用いて行うようにしたものである。この場合、図1の拡張誘起電圧演算器31の代わりに設けた誘起電圧演算器(図示せず)によりδ軸誘起電圧演算値emfδest及びγ軸誘起電圧演算値emfγestを求めて図1の角度差演算器32に入力することにより、位置推定誤差演算値θerrestを求めるようにする。
図8は請求項12に相当するものであり、フィードバックゲインKFBωest2は、δ軸誘起電圧演算値emfδestの絶対値がemfδthP(第6の設定値)より小さいときには1に制御され、上記絶対値がemfδthPI(第5の設定値)より大きいときは零に制御される。なお、emfδthP<emfδthPIであり、emfδthP〜emfδthPIの領域では、δ軸誘起電圧演算値emfδestの絶対値が大きくなるにつれてフィードバックゲインKFBωest2は直線的に減少する。
60 整流回路
70 電力変換器
80 PMSM(永久磁石形同期電動機)
11u u相電流検出器
11w w相電流検出器
13 PWM回路
14,15 座標変換器
16,19a,19b 減算器
17 速度調節器
18 電流指令演算器
20a γ軸電流調節器
20b δ軸電流調節器
31 拡張誘起電圧演算器
32 角度差演算器
33 速度推定器
34 積分器
101 ゲイン乗算器
102 積分器
103 加算器
104,106,107 乗算器
105 減算器
111,112 ゲイン演算器
113 最大値選択器
114 K1演算器
115 K2演算器
Claims (12)
- 永久磁石形同期電動機を電力変換器によりセンサレス制御するための制御装置において、
前記電動機の電流相当値、端子電圧相当値、及び速度相当値を用いて、前記電動機の磁極位置推定誤差を位置推定誤差演算値として求める位置推定誤差演算手段と、
前記位置推定誤差演算値から前記電動機の速度推定値を演算する速度推定手段と、
前記速度推定値を積分して前記電動機の磁極位置推定値を演算する磁極位置推定手段と、
を備え、
前記速度推定手段は、
前記位置推定誤差演算値に比例する比例項を演算する手段と、
前記位置推定誤差演算値の積分値を演算する手段と、
前記位置推定誤差演算値の積分値から積分項を演算する手段と、
前記比例項と前記積分項とを用いて前記速度推定値を演算する手段と、
前記電動機の低速運転時に前記積分項を低減する積分項低減手段と、
を有し、
前記積分項低減手段は、
前記積分器の出力にフィードバックゲインを乗算してその乗算結果を前記積分器の入力に負帰還する手段を備え、前記フィードバックゲインは、前記電動機の速度が所定値より大きいときに零とし、かつ、前記所定値より小さいときに増加させることを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。 - 請求項1に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記積分項低減手段は、
前記速度推定値の絶対値が小さいときに前記積分項を低減することを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。 - 請求項1または2に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記位置推定誤差演算手段は、前記電動機の拡張誘起電圧演算値を求める手段を備え、
前記積分項低減手段は、
前記拡張誘起電圧演算値の絶対値が小さいときに前記積分項を低減することを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。 - 請求項1または2に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記位置推定誤差演算手段は、前記電動機の誘起電圧演算値を求める手段を備え、
前記積分項低減手段は、
前記誘起電圧演算値の絶対値が小さいときに前記積分項を低減することを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。 - 請求項1に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記積分項低減手段は、
前記位置推定誤差演算値に第1のゲインを乗算した値を前記積分器に入力する手段と、
前記第1のゲインを、前記電動機の速度が所定値より大きいときに1とし、かつ、前記所定値より小さいときに1より減少させる手段と、
を備えたことを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。 - 請求項5に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記積分項低減手段は、
前記位置推定誤差演算値の積分値に第2のゲインを乗算して前記積分項を演算する手段と、
前記第2のゲインを、前記電動機の速度が所定値より大きいときに1とし、かつ、前記所定値より小さいときに1より減少させる手段と、
を備えたことを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。 - 請求項5に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記フィードバックゲインと前記第1のゲインとの和が1であることを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。 - 請求項6に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記フィードバックゲインと前記第2のゲインとの和が1であることを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。 - 請求項6に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記フィードバックゲインと、前記第1のゲインと前記第2のゲインの積との和が1であることを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。 - 請求項1〜9の何れか1項に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記フィードバックゲインを、前記速度推定値の絶対値が第1の設定値より大きいときに零とし、かつ、前記第1の設定値未満の第2の設定値より小さいときに1に制御することを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。 - 請求項1〜10の何れか1項に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記フィードバックゲインを、前記電動機の拡張誘起電圧演算値の絶対値が第3の設定値より大きいときに零とし、かつ、前記第3の設定値未満の第4の設定値より小さいときに1に制御することを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。 - 請求項1〜10の何れか1項に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記フィードバックゲインを、前記電動機の誘起電圧演算値の絶対値が第5の所定値より大きいときに零とし、かつ、前記第5の所定値未満の第6の所定値より小さいときに1に制御することを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。
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