JP6620356B2 - 遮蔽部材、及び、椅子 - Google Patents

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Description

この発明は、不要な外部視界を遮蔽する遮蔽部材、及び、その遮蔽部材を備えた椅子に関するものである。
オフィス等の執務環境においては、多数の人が比較的近接した状況で作業を行う。このような環境においては、近接した人の視線や動きが気になり、執務等の作業に集中しずらくなる。
このため、このような環境を改善するための家具が案出されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1,2に記載の家具は、机等の天板付き家具であり、天板上には隣接する作業空間を仕切る仕切りパネルが立設され、その仕切りパネルによって作業者の視界から隣接する作業空間の動きを遮蔽するようになっている。
特許第5463608号公報 特許第3826678号公報
しかし、特許文献1,2に記載の天板付き家具は、隣接する作業空間を仕切る仕切りパネルが天板上に立設されるものであるため、例えば、作業者の着座する椅子の位置が天板から離れたり、椅子の向きが左右方向に動くと、隣接する作業空間や他の作業者等の様子が視界に入り、執務等の作業に集中しにくくなることが懸念される。
そこでこの発明は、椅子の移動位置等に拘わらず、不要な外部視界を安定して遮蔽することができる遮蔽部材、及び、椅子を提供しようとするものである。
この発明に係る遮蔽部材は、上記課題を解決するために、床面上に載置される脚部と、該脚部に支持される座と、前記脚部に支持され前記座の後方に位置される背凭れと、を備えた椅子の上部に設置される遮蔽部材であって、前記背凭れの上部に取り付けられた状態において、前記背凭れの上部の後方側位置で前記背凭れの幅方向に略沿って延出する遮蔽用後壁と、該遮蔽用後壁の左右両側から前方に湾曲して延出する一対の遮蔽用側壁と、を備え、前記遮蔽用後壁の左右方向と直交する断面が前方側に凸に曲がった曲がり断面形状とされている構成とした。
上記の構成により、着座者が座に座ると、着座者の頭部の後方が遮蔽部材の遮蔽用後壁によって覆われるとともに、着座者の頭部の側方が遮蔽部材の左右の遮蔽用側壁によって覆われる。このため、椅子の移動位置等に拘わらず、着座者の周囲の不要な外部視界が遮蔽部材によって遮蔽されることになる。
また、遮蔽部材は、遮蔽用後壁と左右の遮蔽用側壁とによって上面視が略U字状に形成され、遮蔽用後壁は、左右方向と直交する断面が前方側に凸に曲がった曲がり断面形状とされている。このため、遮蔽部材は、長手方向略中央の遮蔽用後壁を中心として、曲がり方向が相互に交差する方向に曲がった形状を持つことになり、全体の剛性が高まる。
前記遮蔽用後壁には、前記背凭れの上部に取り付けられる被取付部が設けられるようにしても良い。
この場合、遮蔽用後壁は、左右両側が上面視で前方側に向かって湾曲し、かつ、上下方向に沿う断面の形状が前方側に凸に曲がっているため、剛性が高くなっている。被取付部は、この剛性の高い遮蔽用後壁部分に設けられている。したがって、遮蔽部材が背凭れに取り付けられたときに、取り付け状態が堅牢に維持されることになる。
前記遮蔽用後壁の上下方向の曲がり断面形状の略中央部に前記被取付部が設けられ、前記被取付部が、前記遮蔽用後壁の厚み方向に沿う方向で前記背凭れ側の取付部に締結固定されるようにしても良い。
この場合、遮蔽用後壁の被取付部が背凭れ側の取付部に締結固定されると、締結荷重が遮蔽用後壁の上下方向の曲がり断面形状の略中央部に対して厚み方向に作用する。この結果、遮蔽用後壁が上下方向の曲がり断面形状を維持するように力を受け、遮蔽用後壁の剛性がより高まる。
前記遮蔽用後壁と前記一対の遮蔽用側壁とは樹脂によって連続して形成され、前記被取付部は、前記遮蔽用後壁を形成する樹脂の内部に金属製の支持板が埋設されて構成されるようにしても良い。
この場合、被取付部に締結荷重が作用すると、遮蔽用後壁の樹脂の内部に埋設された支持板が背凭れ方向に引き寄せられ、遮蔽用後壁の樹脂が上下方向の曲がり断面形状を維持する力を支持板から安定して受けるようになる。
前記背凭れは、背凭れの本体部の上部に、着座者の頭部を後方から支えるヘッドレストを有し、前記遮蔽用後壁の被取付部は、前記ヘッドレストに対して取り付け可能とされるようにしても良い。
この場合、遮蔽用後壁の被取付部が背凭れのヘッドレスト部分に取り付けられるため、遮蔽部材を、背凭れの本体部に連結するための長尺な連結部構造を別途設ける必要が無くなる。したがって、遮蔽部材の取付剛性を高く維持しつつ、構造を簡素化することができる。
この発明に係る椅子は、床面上に載置される脚部と、該脚部に支持される座と、該座の後方側で前記脚部に支持される背凭れと、を備えた椅子において、前記いずれかに記載の遮蔽部材が前記背凭れに設置されるようにした。
この発明によれば、座に着座した着座者の頭部の後方と左右の側方が、遮蔽用後壁と一対の遮蔽用側壁によって覆われるため、椅子の移動位置等に拘わらず、不要な外部視界を安定して遮蔽することができる。
また、この発明によれば、遮蔽用後壁と左右の遮蔽用側壁とによって上面視が略U字状に形成されるとともに、遮蔽用後壁の左右方向と直交する断面が前方側に凸に曲がった曲がり断面形状とされているため、曲がり方向が相互に交差する方向に曲がった形状によって全体の剛性を容易に高めることができる。したがって、この発明に係る遮蔽部材を採用した場合には、内部に配置する強固なフレーム構造を廃止、若しくは、簡素化できるため、製造コストの低減と軽量化を図ることができる。
この発明の一実施形態に係る椅子の正面図である。 この発明の一実施形態に係る椅子の左側面図である。 この発明の一実施形態に係る椅子の背面図である。 この発明の一実施形態に係る椅子の上面図である。 この発明の一実施形態に係る椅子の図3のV−V線に沿う断面図である。 この発明の一実施形態に係る椅子の構成部品の斜視図である。 この発明の一実施形態に係る遮蔽部材の取付部品の斜視図である。 この発明の他の実施形態に係る椅子の図5に対応する断面図である。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、椅子1に正規姿勢で着座した人の前方を「前」、それと逆側を「後」と呼ぶものとする。また、「上」,「下」と「左」,「右」については、椅子1に正規姿勢で着座した人の上方を「上」、それと逆側を「下」と呼び、椅子に正規姿勢で着座した人の左側方を「左」、それと逆側を「右」と呼ぶものとする。また、図中矢印FRは前方を指し、矢印UPは上方を、矢印LHは左側方をそれぞれ指すものとする。
図1は、この実施形態に係る椅子1を正面から見た図であり、図2は、椅子1を左側方から見た図である。また、図3は、椅子1を背面から見た図であり、図4は、椅子1を上面から見た図である。
これらの図に示すように、この実施形態に係る椅子1は、床面上に載置される脚部10と、脚部10の上端に設置されるボックス状の支基11と、支基11の上面側に取り付けられて着座者mの臀部を支持する座12と、支基11の後部に取り付けられて着座者mの背部を支持する背凭れ13と、座12の下面側の左右の両側部から座12の上方側に延出し、着座者mの肘や腕先が載せ置かれる肘掛け15と、を備えている。さらに、椅子1は、背凭れ13の本体部の上部に取り付けられて、着座者mの頭部hを後方から支持するヘッドレスト16と、ヘッドレスト16を介して背凭れ13の上部に取り付けられて、着座者mの頭部hの後方側と左右の側方を覆う遮蔽部材17と、を備えている。
脚部10は、キャスタ18a付きの多岐脚18と、多岐脚18の中央部より起立して昇降機構であるガススプリングを内蔵する脚柱19と、を備え、脚柱19の上端部に支基11が取り付けられている。支基11には、脚柱19の昇降調整機構と背凭れ13の傾動調整機構が内蔵されている。なお、脚柱19の軸心A(図2参照)の位置は、座12の前後方向における中央位置か、或いは、その中央位置よりもやや後方位置であることが望ましい。
背凭れ13は、着座者mの背部から荷重を受ける荷重受けブロック20と、荷重受けブロック20の背部に取り付けられ、着座者mの荷重を支持する強度を有する背凭れフレーム21と、を備えている。荷重受けブロック20は、正面視が略矩形状の樹脂製の背板20a(図3参照)を有し、背板20aの前面と周縁部とが表皮材20bによって覆われている。また、荷重受けブロック20は、着座者mの腰部に対応する位置(下から三分の一程度上方に上がった位置)が最も前方に膨出するように、上下方向に沿って湾曲して形成されている。荷重受けブロック20のこの部分は、着座者mの腰部位置に向かって前方に膨出して着座者mの腰部を支持する膨出部20cを構成している。
膨出部20cの最前突出位置Pは、図2に示すように、脚柱19の軸心Aの位置よりも後方に位置している。また、荷重受けブロック20(背凭れ13)の前面は、膨出部20cよりも上方側が後傾するように、側面視で前方に凸に湾曲して形成されている。
背凭れフレーム21は、正面視が下向きの略五角形状の枠状フレーム部21Aと、枠状フレーム部21Aの下端から下方に延出した後に前方側に湾曲して延びる連結フレーム部21Bと、を有している。連結フレーム部21Bの端部は、図示しない連結ステーを介して支基11内の傾動機構に連結されている。
背凭れフレーム21の枠状フレーム部21Aは、荷重受けブロック20の後方側に配置され、上半部の左右の側辺部21A−s,21A−sと下端側の縁部とが荷重受けブロック20に対して連結されている。左右の側辺部21A−s,21A−sの上端部同士は、背凭れフレーム21の上部側の横梁を成す上辺部21A−uによって連結されている。
上辺部21A−uは、側辺部21A−s,21A−sに連結される左右の端部に対し、中央領域が後方側に凹状に湾曲している。上辺部21A−uの幅方向の中央領域の後面には、ヘッドレスト16等の付加機能部品を取り付けるための部品取付部23が設けられている。部品取付部23には、詳細な図示は省略するが付加機能部品の取付基部が当接する座面と、その取付基部を締結固定するためのボルト締結部が設けられている。この実施形態では、部品取付部23にはヘッドレスト16が取り付けられている。
図5は、図3のV−V断面に対応するヘッドレスト16と遮蔽部材17の断面図であり、図6は、ヘッドレスト16と遮蔽部材17を分離して示した斜視図である。また、図7は、遮蔽部材17をヘッドレスト16に連結するため連結金具51の斜視図である。
ヘッドレスト16は、図5に示すように、硬質樹脂から成り強度部材として機能する荷重支持板26と、荷重支持板26の前面側に配置されるクッション材27と、荷重支持板26とクッション材27の外側を覆う図示しない表皮材と、を備えている。荷重支持板26の下端には、下方に延出する取付基部26aが設けられている。取付基部26aは、背凭れフレーム21の部品取付部23の後部側に重ねられ、部品取付部23にボルト締結されるようになっている。
荷重支持板26の前面は、上下方向の略中央部が前方に最大に膨出するように湾曲して形成されている。荷重支持板26の後面には、補強用の複数のリブ28と4本の結合用ボス部29が一体に形成されている。結合用ボス部29は、荷重支持板26の後面の上下左右の中心位置を取り囲む離間した4か所に突設されている。この実施形態の場合、リブ28と結合用ボス部29は、いずれも後部上方側に向かって傾斜している。各結合用ボス部29には、軸方向に沿うように金属製の雌形タイプの螺合部材30が埋設されている。
荷重支持板26の後面に突設された結合用ボス部29には、カラー31を介して連結金具51がボルト32によって締結固定されている。この実施形態の場合、連結金具51は左右一対設けられている。各連結金具51は、金属板を屈曲させて形成され、カラー31を介してヘッドレスト16側に締結される前部側締結フランジ51aと、遮蔽部材側に締結される後部側締結フランジ51bとを備えている。前部側締結フランジ51aと後部側締結フランジ51bとは、それぞれ異なる方向を指向するように形成されている。なお、この実施形態の場合、カラー31は、連結金具51の前部側締結フランジ51aを貫通した状態で、その前部側締結フランジ51aに固定されている。また、連結金具51の後部側締結フランジ51bには、ボルト挿通孔(符号省略)が形成されており、後部側締結フランジ51bのボルト挿通孔に臨む前側の縁部にはナット33が溶接固定されている。このナット33には、連結金具51を遮蔽部材17に固定するためのボルト34が螺合される。
遮蔽部材17は、上面視が略U字状に形成されており、背凭れフレーム21の上部に取り付けられた状態において、背凭れ13の上部の後方側位置で背凭れ13の幅方向に略沿って延出する遮蔽用後壁17Aと、遮蔽用後壁17Aの左右両側から前方に湾曲して延出する左右一対の遮蔽用側壁17Bと、を備えている。遮蔽用後壁17Aは、正規姿勢で椅子1に着座した着座者mの頭部hの後方側を覆い、左右の遮蔽用側壁17Bは、正規姿勢で椅子1に着座した着座者mの頭部hの左右の側方を覆う。
遮蔽部材17は、遮蔽用後壁17Aと遮蔽用側壁17Bを含むほぼ全域が吸音性を有する樹脂材料によって一体に形成されている。遮蔽部材17を形成する樹脂材料としては、例えば、樹脂繊維を主原料とするウレタン等を用いることができる。
遮蔽用後壁17Aは、図5に示すように、上下方向に沿う断面が前方側に凸の湾曲形状に形成されている。この実施形態においては、この湾曲した縦断面形状を曲がり断面形状と呼ぶ。遮蔽用後壁17Aの曲がり断面形状は、上下方向の略中央部が最も前方側に膨出するように形成されている。遮蔽用後壁17Aの略中央領域には、金属製の二枚の支持板35が埋設されている。二枚の支持板35は、いずれも横長の矩形状に形成され、上下に離間して遮蔽用後壁17Aの略中央領域の樹脂内に埋設されている。各支持板35の左右に離間した位置にはボルト挿通孔35aが形成されている。この各支持板35は、支持板35の前後を覆う遮蔽用後壁17Aの樹脂部材とともに、遮蔽部材17の被取付部17A−aを構成している。支持板35の前後を覆う遮蔽用後壁17Aの樹脂部材には、支持板35の各ボルト挿通孔35aと連通するようにボルト挿通孔17A−1が形成されている。
遮蔽用後壁17Aは、被取付部17A−aの前面側に一対の連結金具51の後部側締結フランジ51bが重ねられ、被取付部17A−aと連結金具51の後部側締結フランジ51bとが、ボルト34とナット33による締結によって、相互に固定されるようになっている。したがって、遮蔽用後壁17Aの上下方向の略中央に配置されている被取付部17A−aは、遮蔽用後壁17Aの厚み方向に沿う方向で連結金具51に対して締結固定される。
左右の遮蔽用側壁17Bは、遮蔽部材17がヘッドレスト16を介して背凭れフレーム21の上部に取り付けられた状態において、背凭れ13の幅方向の両端部の近傍から前方に延出している。また、遮蔽用側壁17Bは、図2に示すように、遮蔽部材17が背凭れフレーム21の上部に取り付けられた状態において、脚部10の接地部の中心位置(脚柱19の軸心Aの位置)よりも前方側まで延出している。したがって、正規姿勢で椅子1に着座した着座者mの頭部h(耳及び目の高さ位置)の左右の側方は、左右方向に充分な離間幅をもち、なおかつ、前後方向に充分な長さをもって遮蔽用側壁17Bによって覆われる。
また、図2に示すように、左右の遮蔽用側壁17Bの上辺は、遮蔽用後壁17Aと連結される基部側からほぼ水平に前方に延出しているが、遮蔽用側壁17Bの下辺は、遮蔽用後壁17Aと連接される基部側が若干斜め下方に延出した後に上方側に大きく湾曲して前方に延出している。したがって、遮蔽用側壁17Bの先端側の下面は基部側の下面に対して上方側に凹状に窪んでいる。このため、遮蔽用側壁17Bの下辺は、凹状の窪み部40によって着座者mの肩部が接触するのを回避することができる。なお、左右の遮蔽用側壁17Bは、遮蔽部材17が背凭れ13に設置された状態において、これらの下端部が背凭れ13の上端部と略同一高さに位置されている。
以上のように、この実施形態に係る遮蔽部材17は、椅子1の背凭れ13の上部に取り付けられた状態において、直座者mの頭部hの後方側を覆う遮蔽用後壁17Aと、着座者mの頭部hの左右の側方を覆う遮蔽用側壁17Bと、を有している。このため、この実施形態に係る遮蔽部材17を採用した場合には、椅子1の移動位置等に拘わらず、椅子1に着座した着座者mの不要な外部視界を安定して遮蔽することができる。したがって、椅子1に着座した着座者mは、執務等の作業に集中し易くなる。
さらに、この実施形態に係る遮蔽部材17においては、遮蔽用後壁17Aと左右の遮蔽用側壁17Bとによって上面視が略U字状に形成され、左右方向と直交する断面の形状が前方に凸に曲がった曲がり断面形状とされている。このため、遮蔽部材17は、長手方向略中央の遮蔽用後壁17Aを中心として、曲がり方向が相互に交差する方向に曲がった形状を持つことになり、全体の剛性が高くなっている。したがって、この実施形態に係る遮蔽部材17を採用した場合には、遮蔽用後壁17Aや遮蔽用側壁17Bの内部に配置する強固なフレーム構造を廃止して、製造コストの低減と軽量化を図ることができる。
なお、この実施形態においては、遮蔽用後壁17Aや遮蔽用側壁17Bの内部に強度維持用のフレームを配置していないが、強度維持用のフレームは遮蔽用後壁17Aや遮蔽用側壁17Bの内部に配置するようにしても良い。この場合、強度維持用のフレームを配置するにしても、フレームを小型で軽量化が可能な構造とすることができる。
また、この実施形態に係る遮蔽部材17においては、遮蔽用後壁17Aの上下方向に沿う断面の形状が前方に凸に曲がった曲がり断面形状とされているが、曲がり断面形状は後方に凸に曲がった曲がり断面形状としても良い。また、曲がり断面形状の曲がりは円弧状に反った形状に限らず、屈曲して曲がった形状であっても良い。
また、この実施形態に係る遮蔽部材17では、背凭れ13の上部(ヘッドレスト16)に取り付けられる被取付部17A−aが、上述のように相互に交差する複数の曲がり形状によって剛性を高められた遮蔽用後壁17Aに設けられている。したがって、遮蔽部材17が背凭れ13の上部(ヘッドレスト16)に取り付けられたときに、取り付け状態が堅牢に維持されることになる。
さらに、この実施形態に係る遮蔽部材17においては、遮蔽用後壁17Aの上下方向の曲がり断面形状の略中央部に被取付部17A−aが設けられ、その被取付部17A−aが、遮蔽用後壁の厚み方向に沿う方向で連結金具51の後部側締結フランジ51b(背凭れ13側の取付部)に締結固定されるようになっている。このため、遮蔽用後壁17Aの被取付部17A−aが連結金具51に締結固定されると、ボルト34とナット33による締結荷重が、遮蔽用後壁17Aの曲がり断面形状の略中央部に対して肉厚方向の力として作用する。したがって、こうしてボルト34とナット33による締め込みが進むと、遮蔽用後壁17Aの曲がり断面形状が反り状態を維持するように力を受け、遮蔽用後壁17Aの剛性をより高めることが可能になる。
特に、この実施形態に係る遮蔽部材17の場合、遮蔽用後壁17Aと左右の遮蔽用側壁17Bが樹脂によって連続して形成され、被取付部17A−aは、遮蔽用後壁17Aの樹脂の内部に金属製の支持板35が埋設されて構成されている。このため、遮蔽部材17を連結金具51に締結固定するときには、その締結荷重が、被取付部17A−aにおいて金属製の支持板35を連結金具51方向に引き寄せるように作用する。したがって、この構造を採用した場合には、遮蔽用後壁17Aの樹脂が曲がり断面形状を維持する力を支持板35から安定して受けるため、遮蔽用後壁17Aの形状をより高い剛性をもって維持することができる。
また、この実施形態に係る遮蔽部材17においては、遮蔽用後壁17Aの被取付部17A−aが、背凭れ13の本体部ではなく、背凭れ13の本体部から上方に延出するヘッドレスト16に取り付けられるようになっている。このため、遮蔽部材17を背凭れ13の本体部の上部に直接連結するための長尺な連結部構造を別途設ける必要がない。したがって、この構造を採用することにより、遮蔽部材17の取付剛性を高く維持しつつ、構造を簡素化することができる。
図8は、他の実施形態に係るヘッドレスト116と遮蔽部材17の取付部の縦断面を示す図である。
この実施形態の遮蔽部材17は、上記の実施形態と同様とされている。ヘッドレスト116は、荷重支持板126とクッション材127を有するヘッドレスト本体45が、ガイド板46に昇降調整可能に支持された構造とされている。ガイド板46の下端には取付基部46aが一体に設けられ、その取付基部46aが背凭れの上部の部品取付部に締結固定されるようになっている。
この実施形態の場合、連結金具51の前部側締結フランジ51aがボルト32とカラー31を介してガイド板46に締結固定されている。ガイド板46には、雌形タイプの螺合部材30が埋設され、その螺合部材30に対してボルト32が締結されるようになっている。また、ヘッドレスト本体45の背部に配置される荷重支持板126には、上下方向に沿って延出するスリット47が形成されている。連結金具51をガイド板46に固定するためのボルト32とカラー31は、荷重支持板126のスリット47に挿通されている。スリット47は、ヘッドレスト本体45がガイド板46に対して昇降するときにヘッドレスト本体45がカラー31と干渉するのを回避する。
したがって、この実施形態のにおいては、遮蔽部材17が連結金具51を介してヘッドレスト116のガイド板46に取り付けられた状態においても、ヘッドレスト本体45を背凭れに対して昇降調整することができる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の各実施形態においては、遮蔽部材17がヘッドレスト16,116を介して背凭れ13の本体部に取り付けられているが、遮蔽部材17は背凭れ13の本体部に直接固定するようにしても良い。
また、背凭れと座を、側面視が略L字形状をなすように一体的に連続して形成し、その背凭れと座の一体の構造体の上部に、遮蔽部材を、直接、若しくは、ヘッドレストを介して取り付けるようにしても良い。
1 椅子
10 脚部
12 座
13 背凭れ
16,116 ヘッドレスト
17 遮蔽部材
17A 遮蔽用後壁
17A−a 被取付部
17B 遮蔽用側壁
35 支持板

Claims (6)

  1. 床面上に載置される脚部と、該脚部に支持される座と、前記脚部に支持され前記座の後方に位置される背凭れと、を備えた椅子の上部に設置される遮蔽部材であって、
    前記背凭れの上部に取り付けられた状態において、前記背凭れの上部の後方側位置で前記背凭れの幅方向に略沿って延出する遮蔽用後壁と、該遮蔽用後壁の左右両側から前方に湾曲して延出する一対の遮蔽用側壁と、を備え、
    前記遮蔽用後壁の左右方向と直交する断面が前方側に凸に曲がった曲がり断面形状とされていることを特徴とする遮蔽部材。
  2. 前記遮蔽用後壁には、前記背凭れの上部に取り付けられる被取付部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽部材。
  3. 前記遮蔽用後壁の上下方向の曲がり断面形状の略中央部に前記被取付部が設けられ、
    前記被取付部が、前記遮蔽用後壁の厚み方向に沿う方向で前記背凭れ側の取付部に締結固定されていることを特徴とする請求項2に記載の遮蔽部材。
  4. 前記遮蔽用後壁と前記一対の遮蔽用側壁とは樹脂によって連続して形成され、
    前記被取付部は、前記遮蔽用後壁を形成する樹脂の内部に金属製の支持板が埋設されて構成されていることを特徴とする請求項3に記載の遮蔽部材。
  5. 前記背凭れは、背凭れの本体部の上部に、着座者の頭部を後方から支えるヘッドレストを有し、
    前記遮蔽用後壁の被取付部は、前記ヘッドレストに対して取り付け可能とされていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の遮蔽部材。
  6. 床面上に載置される脚部と、該脚部に支持される座と、該座の後方側で前記脚部に支持される背凭れと、を備えた椅子において、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の遮蔽部材が前記背凭れに設置されていることを特徴とする椅子。
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