JP6619953B2 - ゴルフスイングのシミュレーション方法 - Google Patents
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Description
本発明のシミュレーション方法によれば、シミュレーション精度を向上できる。
これにより、シミュレーション精度をさらに向上できる。
これにより、簡単かつ高精度なシミュレーションが可能となる。
まず、図1を参照して、本発明のゴルフスイングのシミュレーション方法に用い得る、シミュレーションシステムの一例を説明する。図1の例において、シミュレーションシステム1は、ゴルファがゴルフクラブ50を用いてスイングをする間、スイングを測定する測定装置20と、測定装置20から得られる測定データを用いて、ゴルフスイングのシミュレーションを実施するコンピュータ30とを、備えている。
モーションセンサ21は、図1の例ではゴルフクラブ50のグリップ51の下端部に取り付けられており、ゴルファがゴルフクラブ50を用いてスイングする間、所定時間間隔毎(例えば0.001秒間毎)に少なくとも加速度及び角速度を測定し、測定により得られた3次元時系列の加速度データ及び角速度データを含む測定データを、測定中又は測定後に、コンピュータ30へ無線通信により送信する。
なお、図1の例に限られず、モーションセンサ21は、ゴルフクラブ50上の任意の位置に取り付けられてもよいし、あるいは、ゴルファの手に取り付けられてもよい。モーションセンサ21をゴルフクラブ50上に取り付ける場合、モーションセンサ21は、シャフト52の長手方向において、グリップ51の上端(シャフト52とは反対側の端)とシャフト52の下端(グリップ51とは反対側の端)との間の中心点よりも、比較的シャフト52のしなりの影響を受けにくい上側(グリップ51側。ゴルファの手側。)に配置されるのが好ましく、本例のようにグリップ51上に配置されるのがさらに好ましい。
測定装置20は、ゴルフクラブ50に又はゴルファの手に取り付けられたモーションセンサ21を複数個有していてもよいが、本例のように1個のみ有しているのが好ましい。これにより、仮に複数個のモーションセンサ21を設けた場合に生じ得る高周波ノイズによる測定データへの影響を抑制できる。
表示部35は、例えば液晶パネル等から構成され、後述するシミュレーションステップで得られるシミュレーション結果等、様々な情報を表示する。
なお、入力部34及び表示部35は、タッチパネルを構成してもよい。
つぎに、図2〜図4を参照して、本発明の一実施形態に係るゴルフスイングのシミュレーション方法を説明する。図2は、本実施形態に係るシミュレーション方法を示すフローチャートである。ここでは、図1の例のシミュレーションシステム1を用いる場合について説明するが、後述するように、他の構成を持つシミュレーションシステムを用いて、本実施形態に係るゴルフスイングのシミュレーション方法を実施することもできる。
まず、ゴルファがゴルフクラブ50を用いてスイングする間に、測定装置20がスイングを測定する(測定ステップS1)。より具体的に、本例では、モーションセンサ21が、所定時間間隔毎(例えば0.001秒間毎)に少なくとも加速度及び角速度を測定し、測定により得られた3次元時系列の加速度データ及び角速度データを含む測定データを、測定中又は測定後に、コンピュータ30へ無線通信により送信する。
一方、コンピュータ30側では、通信部32が、測定データをモーションセンサ21から受信すると、制御部31が、その測定データを記憶部33に格納する。
測定ステップS1の後、コンピュータ30の制御部31(制御装置)は、測定ステップS1で得られた測定データに基づいて、測定ステップS1で行われたスイング中にゴルフクラブ50に加わったトルク及び力をそれぞれ表す3次元のトルクデータ及び力データを、それぞれ算出により得る(算出ステップS2)。より具体的に、本例では、制御部31は、測定データに基づいて、測定ステップS1で行われたスイング中に所定時間間隔毎(例えば0.001秒間毎)にゴルフクラブ50に加わったトルク及び力をそれぞれ表す、3次元時系列のトルクデータT(Tx, Ty, Tz)及び力データF(Fx, Fy, Fz)を、それぞれ算出により得る。トルクデータT及び力データFの算出は、例えば逆動力学計算により行うことができる。制御部31は、算出ステップS2で得られた算出結果(トルクデータT及び力データF)を、記憶部33内へ格納する。
ここで、「測定ステップS1で行われたスイング中に所定時間間隔毎にゴルフクラブ50に加わったトルク及び力」とは、スイング中にゴルフクラブ50上のある1点のみにトルク及び力が作用したと仮定した場合に、測定ステップS1で行われたスイング中での所定時間間隔毎の当該作用点の変位(位置の変化)を再現できるような、トルク及び力を指す。
なお、算出対象とするトルク及び力のゴルフクラブ50への作用点は、シミュレーション精度向上の観点から、シャフト52のしなりによる影響を受けにくい、グリップ51上の任意の1点とするのが好ましい。また、計算量低減の観点からは、算出対象とするトルク及び力のゴルフクラブ50への作用点が、ゴルフクラブ50上でのモーションセンサ21の取り付け箇所と一致しているのが好ましいが、ゴルフクラブ50上でのモーションセンサ21の取り付け箇所とは異なる位置としてもよい。
算出ステップS2の後、制御部31は、コンピュータシミュレーション用のゴルフクラブモデルを用いて、スイングのシミュレーションを実施する(シミュレーションステップS3)。
図3は、コンピュータシミュレーション用のゴルフクラブモデル500の一例を示している。ゴルフクラブモデル500は、グリップ501と、ヘッド503と、グリップ501及びヘッド503どうしを連結するシャフト502と、を有している。
なお、制御部31は、シミュレーションの直前に、シミュレーションに用いるためのゴルフクラブモデル500を設計してもよい。あるいは、制御部31は、予め、それぞれ異なる仕様を有する複数のゴルフクラブモデル500を設計して、それぞれを記憶部33に格納しておいてもよい。その場合、シミュレーションの直前に、ユーザが、入力部34を操作することにより、記憶部33に予め記憶された複数のゴルフクラブモデル500の中から、所望のゴルフクラブモデル500を選択できるようにしてもよい。
なお、シミュレーション結果に基づくゴルフクラブの選択は、ユーザが行ってもよいし、制御部31が自動的に行ってもよい。
入力点504に入力可能なデータは、3次元時系列の変位データとしての位置データP(X, Y, Z)及び回転角度データΘ(Θx, Θy, Θz)と、変位データに代えて、あるいは変位データに加えて、3次元時系列のトルクデータT(Tx, Ty, Tz)及び力データF(Fx, Fy, Fz)と、である。
一般的に、剛体の運動は、剛体の1点に作用される6成分で決定できる。上述のようなゴルフクラブモデル500を用いることにより、6成分という少ないデータのみで、簡単かつ高精度にスイングのシミュレーションを実施できる。
本実施形態において、スイングのシミュレーション中においては、スイングのうちの少なくともダウンスイングの一部分において、ゴルフクラブモデル500の入力点504に、変位データ(位置データP及び回転角度データΘ)が入力されないとともに、トルクデータT及び力データFが入力され、入力されるトルクデータT及び力データFに基づいてゴルフクラブモデル500の運動が求められる。
例えば、図4に示すように、スイング開始から、ダウンスイングにおけるあるタイミング(以下、「入力切替タイミングICT」という。)までは、ゴルフクラブモデル500の入力点504に、前記測定ステップS1で得られた測定データに基づいて前記算出ステップS2で得られた変位データ(3次元時系列の位置データP及び回転角度データΘ)のみを入力し、入力切替タイミングICTからインパクトまでは、ゴルフクラブモデル500の入力点504に、上記変位データを入力せずに、3次元時系列のトルクデータT及び力データFのみを入力する。
仮に、入力切替タイミングICTが、手首のアンコックよりも大幅に早いタイミングであると、トップ近傍でのゴルフクラブモデル500の運動の計算に誤差の生じるおそれがある。言い換えれば、トップ近傍では、少なくとも変位データが入力されることが好ましい。また、仮に、入力切替タイミングICTが、手首のアンコックよりも大幅に遅いタイミングであると、入力切替タイミングICTからインパクトまでの期間が短くなり、ゴルフクラブの違いによるスイングの違いをさほど大きくは出せないおそれがある。
制御部31が自動的に入力切替タイミングICTを手首のアンコックのタイミングに設定する場合、制御部31は、手首のアンコックのタイミングを、測定ステップS1で得られた測定データから検知し、検知した手首のアンコックのタイミングを、入力切替タイミングICTとして設定してもよい。例えば、制御部31は、図4に示すように、測定データに含まれる角速度データに基づいて得られる、角速度の波形において、角速度が連続的な増加を開始する点に対応するタイミングを、手首のアンコックのタイミングとして検知してもよい。
制御部31は、シミュレーション中に測定データを読み込みながら手首のアンコックの検知を行ってもよいし、シミュレーションを実施する前に予め測定データを読み込んで手首のアンコックの検知を行い、検知した手首のアンコックのタイミングを、入力切替タイミングICTに設定してもよい。
また、ダウンスイング中において、いったん入力切替タイミングICT以降に変位データを入力しないようにした後に、再び変位データを入力するようにしてもよい。ただし、入力切替タイミングICTからインパクトまでは、継続的に、変位データを入力しないようにするほうが、シミュレーション精度をより向上できる。
つぎに、図5〜図6を参照して、比較例及び実施例のそれぞれに係るシミュレーション方法を用いた場合の効果を確かめるために、ゴルフクラブモデル500の入力点504への入力のみをそれぞれ異ならせて、上記のシミュレーションステップS3を実施した。比較例及び実施例に係るシミュレーションでは、それぞれ同じゴルフクラブモデル500を用いた。
実施例に係るシミュレーションでは、スイングのうちの少なくともダウンスイングの一部分(より具体的には、手首のアンコックからインパクトまでの部分)において、ゴルフクラブモデル500に、変位データ(位置データP及び回転角度データΘ)を入力せず、トルクデータT及び力データFのみを入力し、スイングにおける他の部分では、変位データをゴルフクラブモデル500に入力した。一方、比較例に係るシミュレーションでは、スイング全体にわたって、変位データをゴルフクラブモデル500に入力した。
比較例及び実施例に係るシミュレーションにおいてゴルフクラブモデル500へ入力されるデータとしては、実際のスイングの測定データから得られるデータを用いずに、ある軌跡をある速度で動く人工的なスイングをある基準ゴルフクラブモデルを用いて行った場合について計算した結果を用いた。
そして、比較例及び実施例に係るシミュレーションで用いたゴルフクラブモデル500は、そのヘッドの重心距離が、上記基準ゴルフクラブモデルのヘッドの重心距離GDよりも、10mmだけ長い(GD+10mm)ものとした。
一般的に、ヘッドの重心距離が長くなると、その分、ゴルフクラブが振り難くなり、ひいては、インパクト時におけるフェース角が開く方向(スライスする方向)に変化する(小さくなる)傾向がある。言い換えれば、上記基準ゴルフクラブモデルよりもヘッドの重心距離の長いゴルフクラブモデル500を用いたシミュレーションの結果としては、基準ゴルフクラブモデルを用いた場合のフェース角よりも開く方向に変化した(小さくなった)ものであれば、妥当といえる。その点、実施例に係るシミュレーション(図6の実線)では、妥当な結果が得られたといえる。一方、比較例に係るシミュレーション(図6の破線)では、フェース角が基準ゴルフクラブモデルを用いた場合のフェース角よりも閉じる方向(フックする方向)に変化(大きくなる)しており、妥当な結果が得られなかったといえる。
本実施形態によるゴルフスイングのシミュレーション方法は、図1の例のシミュレーションシステム1とは異なる構成を持つシミュレーションシステムを用いて実施することもできる。
例えば、図7に示すような構成を持つ測定装置20を用いて、測定ステップS1を実施してもよい。図7は、本実施形態によるゴルフスイングのシミュレーション方法に用い得る、シミュレーションシステムの変形例を示している。図7の例は、測定装置20の構成のみが、図1の例と異なる。図7の例において、測定装置20は、少なくとも2台の撮像装置23と、三次元画像計測処理装置22と、を有している。測定ステップS1で用いるゴルフクラブ50には、一直線上にない少なくとも3つ(図の例では3つのみ)の立体状(図の例では球状)のマーカーM1〜M3が取り付けられている。図7の例では、3つのマーカーM1〜M3のうち、2つのマーカーM1、M3が、それぞれグリップ51の上端部及び下端部に設けられ、上側のマーカーM1の中心がグリップ51の中心軸線上に配置されており、下側のマーカーM3がグリップ51の外周面上に取り付けられており、残りの1つのマーカーM2が、シャフト52の外周面から突出するように取り付けられた取付部材54の突出先端部に設けられている。ただし、少なくとも3つのマーカーM1〜M3は、一直線上に配置されない限り、ゴルフクラブ50の任意の位置に取り付けられてよい。
一方、三次元画像計測処理装置22は、各撮像装置23から得られた撮像データに基づいて、スイング中の所定時間間隔毎における各マーカーM1〜M3の中心の3次元座標を、算出により求める。この際、いわゆるサークルフィッティング法を用いて、球状のマーカーM1〜M3の輪郭を抽出し、抽出した輪郭に近似した円を設定して、設定した円の中心を、マーカーM1〜M3の中心としてもよい。そして、三次元画像計測処理装置22は、このようにして得られた、マーカーM1〜M3に対応する3点の3次元時系列の変位データを含む測定データを、コンピュータ30へ送信する。
この場合、制御部31は、算出ステップS2において、測定ステップS1で得られた測定データを、低域通過フィルタを使用してフィルタリング処理して、フィルタリング処理済の測定データに基づいて、トルクデータT及び力データFを求め、シミュレーションステップS3において、このトルクデータT及び力データFをゴルフクラブモデル500への入力に用いると、好適である。これにより、測定データに生じ得る高周波ノイズを除去できるので、シミュレーション精度を向上できる。
Claims (5)
- ゴルファがゴルフクラブを用いてスイングする間に、測定装置が、前記ゴルフクラブ上に取り付けられたモーションセンサによって、該スイングを測定する、測定ステップと、
制御装置が、前記測定ステップで得られた測定データに基づいて、前記スイング中に前記ゴルフクラブに加わったトルク及び力をそれぞれ表す3次元のトルクデータ及び力データを、それぞれ算出により得る、算出ステップと、
前記制御装置が、コンピュータシミュレーション用のゴルフクラブモデルを用いて、スイングのシミュレーションを実施する、シミュレーションステップと、
を含み、
前記シミュレーションステップでは、スイング開始からダウンスイングにおける所定の入力切替タイミングまでの間に、前記ゴルフクラブモデルに、前記測定データに基づいて得ることができる変位データが入力され、前記所定の入力切替タイミングからインパクトまでの間に、前記ゴルフクラブモデルに、前記変位データが入力されないとともに、前記トルクデータ及び前記力データが入力され、前記入力される前記トルクデータ及び前記力データに基づいて前記ゴルフクラブモデルの運動が求められ、
前記トルクデータ及び前記力データがそれぞれ表す、前記スイング中に前記ゴルフクラブに加わったトルク及び力とは、前記測定ステップで行われた前記スイング中に前記ゴルフクラブ上の所定の作用点のみにトルク及び力が作用したと仮定した場合に、前記スイング中での所定時間間隔毎の当該所定の作用点の変位を再現できるような、トルク及び力であり、
前記ゴルフクラブ上の前記所定の作用点の位置は、前記ゴルフクラブ上での前記モーションセンサの取付位置と一致しており、
前記ゴルフクラブモデル上における前記トルクデータ及び前記力データの入力点の位置は、前記ゴルフクラブ上の前記所定の作用点に対応する位置であり、
前記変位データは、位置データ及び回転角度データである、ゴルフスイングのシミュレーション方法。 - 前記所定の入力切替タイミングは、手首のアンコックのタイミングである、請求項1に記載のゴルフスイングのシミュレーション方法。
- 前記制御装置は、前記測定データに含まれる角速度データに基づいて得られる、角速度の波形において、角速度が連続的な増加を開始する点に対応するタイミングを、前記手首のアンコックのタイミングとして検知する、請求項2に記載のゴルフスイングのシミュレーション方法。
- 前記シミュレーションで用いられる前記ゴルフクラブモデルの仕様は、前記測定ステップで使用される前記ゴルフクラブの仕様とは異なる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフスイングのシミュレーション方法。
- 前記シミュレーションの前に、前記制御装置は、外部から入力されるパラメータに基づいて、前記シミュレーションで用いられる前記ゴルフクラブモデルを設計し、
前記パラメータは、シャフトの剛性、シャフトの剛性分布、ヘッドの重心位置、ヘッドの形状、及び、ヘッドの重量のうち、少なくとも1つである、請求項4に記載のゴルフスイングのシミュレーション方法。
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