JP6619934B2 - 多層光学膜の膜厚制御方法、多層光学膜の製造方法および多層光学膜のスパッタ装置 - Google Patents

多層光学膜の膜厚制御方法、多層光学膜の製造方法および多層光学膜のスパッタ装置 Download PDF

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Description

本発明は、多層光学膜の膜厚制御方法、多層光学膜の製造方法および多層光学膜のスパッタ装置に関する。
多層光学膜は複数の光学膜が積層された膜である。多層光学膜は基材に複数の光学膜を順次成膜して製造される。多層光学膜を成膜する際、常に各光学膜を目標の厚さで成膜できるとは限らない。そのため各光学膜の製造パラメータを適宜調整しながら成膜を行なう必要がある。そこで、既に成膜の完了した多層光学膜の光学特性を利用して製造パラメータを調整する手法が下記特許文献1(WO 2011/046050)に開示されている。
特許文献1では、長尺フィルム上に第1透明層(高屈折率層)、第2透明層(低屈折率層)、透明導電層の3つの層を順次成膜している。成膜済の多層光学膜の分光反射率を測定し、目標の分光反射率との差が小さくなるように、第2透明層のスパッタ条件を制御する。それにより第2透明層の膜厚を変更して、多層光学膜の分光反射率の変化を見る。第2透明層の膜厚を変更する理由は第2透明層の膜厚の調整が最も容易であるからとされている。
多層光学膜が3層程度であれば、特定の1層のみの膜厚を変更して、実際の分光反射率と目標の分光反射率の差を小さくすることが可能かもしれない。その場合でも、もし他の2層の膜厚が目標の膜厚と異なっていることが原因で実際の分光反射率と目標の分光反射率の差が生じていたとすると、本来変更すべきでない層の膜厚を変更することになり、適切な調整にはならない。さらに多層光学膜の層数が多くなると、特定の1層の膜厚を変更するだけで実際の分光反射率と目標の分光反射率の差を小さくすることは現実的でなくなる。従って特定の層の膜厚のみを変更するという特許文献1の手法には限界がある。
WO 2011/046050号公報
本発明の目的は、多層光学膜を成膜する際、各々の光学膜に対して、目標の膜厚を得るのに必要な膜厚調整を行なうことが可能な膜厚制御方法、当該制御方法を用いた多層光学膜の製造方法、および当該制御方法を用いたスパッタ装置を実現することである。
本願発明者は回帰分析を駆使して各々の光学膜の膜厚偏差を推定する方法を考え、本発明の多層光学膜の膜厚制御方法、多層光学膜の製造方法および多層光学膜のスパッタ装置を完成した。
[多層光学膜の膜厚制御方法]
(1)本発明の多層光学膜の膜厚制御方法は、複数の光学膜が積層されてなる多層光学膜を成膜装置を用いて成膜する際に、光学膜各々の膜厚を制御する膜厚制御方法である。本発明の多層光学膜の膜厚制御方法は次のステップを含む。
・光学膜各々の膜厚の組み合わせが所定範囲内で網羅的に割り振られた多層光学膜の理論上の光学特性値群を回帰分析して得られる、光学膜各々の膜厚と多層光学膜の理論上の光学特性値との関係を表わす回帰式を準備するステップ。
・成膜装置について、光学膜各々の成膜に用いる製造パラメータの変更量と当該光学膜の膜厚の変化量の関係を表わすモデル式を準備するステップ。
・成膜された多層光学膜の光学特性値を測定し、その実測値を求めるステップ。
・実測値を回帰式に当てはめて、光学膜各々の基準膜厚からの推定膜厚偏差量を算出するステップ。
・推定膜厚偏差量をモデル式に当てはめて、光学膜各々の膜厚偏差量をそれぞれ0に近付けるために必要な製造パラメータの調整量を算出するステップ。
・調整量に基づいて製造パラメータを変更するステップ。
(2)本発明の多層光学膜の膜厚制御方法は、光学膜各々の製造パラメータを変更することにより、あるタイムラグをおいて、膜厚の変化した光学膜が1層ずつ増加する場合、膜厚の変化した光学膜に対応する回帰式を用いて計算された特性値の予測値と、実測値の差が、前記回帰式により計算された想定範囲内であることを確認するステップを含む。
(3)本発明の多層光学膜の膜厚制御方法は、多層光学膜の光学特性値として、多層光学膜の反射光の明度または色座標あるいはその両者を用いる。
(4)本発明の多層光学膜の膜厚制御方法は多層光学膜を成膜する際にスパッタ法を用いる。
(5)本発明の多層光学膜の膜厚制御方法は多層光学膜を成膜する際に変更する製造パラメータとしてプラズマ発光強度を用いる。
(6)本発明の多層光学膜の膜厚制御方法は多層光学膜を成膜する際に変更する製造パラメータとしてカソード電圧を用いる。
(7)本発明の多層光学膜の膜厚制御方法においては多層光学膜が透明導電膜、光触媒膜、ガスバリア膜、反射防止膜のいずれかである。
[多層光学膜の製造方法]
(8)本発明の多層光学膜の製造方法は、複数の光学膜が積層されてなる多層光学膜を成膜装置を用いて成膜する多層光学膜の製造方法であって次のステップを含む。
・光学膜各々の膜厚の組み合わせが所定範囲内で網羅的に割り振られた多層光学膜の理論上の光学特性値群を回帰分析して得られる、光学膜各々の膜厚と多層光学膜の理論上の光学特性値との関係を表わす回帰式を準備するステップ。
・成膜装置について、光学膜各々の成膜に用いる製造パラメータの変更量と当該光学膜の膜厚の変化量の関係を表わすモデル式を準備するステップ。
・主面を有する基材を準備するステップ。
・基材の主面上に複数の光学膜を順次成膜し多層光学膜を形成するステップ。
・成膜された多層光学膜の光学特性値を測定し、その実測値を求めるステップ。
・実測値が、多層光学膜の光学特性値の目標値に基づく所定の管理範囲内にあるか否かを判断するステップ。
・実測値が管理範囲内にない場合、実測値を回帰式に当てはめて、光学膜各々の基準膜厚からの推定膜厚偏差量を算出するステップ。
・推定膜厚偏差量をモデル式に当てはめて、光学膜各々の膜厚偏差量をそれぞれ0に近付けるために必要な製造パラメータの調整量を算出するステップ。
・調整量に基づいて製造パラメータを変更するステップ。
(9)本発明の多層光学膜の製造方法は、光学膜各々の製造パラメータを変更することにより、あるタイムラグをおいて、膜厚の変化した光学膜が1層ずつ増加する場合、膜厚の変化した光学膜に対応する回帰式を用いて計算された特性値の予測値と、実測値の差が、前記回帰式により計算された想定範囲内であることを確認するステップを含む。
(10)本発明の多層光学膜の製造方法においては、基材が高分子フィルム、ガラスフィルム、ガラス板、プラスチック板、金属コイル、金属板のいずれかである。
(11)本発明の多層光学膜の製造方法においては、成膜装置がスパッタ装置、蒸着装置、CVD装置のいずれかである。
(12)本発明の多層光学膜の製造方法においては、多層光学膜が透明導電膜、光触媒膜、ガスバリア膜、光干渉膜のいずれかである。光干渉膜として例えば反射防止膜や増反射膜などが挙げられる。
[多層光学膜のスパッタ装置]
(13)本発明の多層光学膜のスパッタ装置は、長尺フィルムに多層光学膜を成膜する多層光学膜のスパッタ装置であって、次のものを含む。
・真空槽
・真空槽にスパッタガスを供給するスパッタガス供給装置
・真空槽内に備えられ、その中心軸回りに自転する成膜ロール
・成膜ロールと対向する複数のターゲット
・複数のターゲットに電圧を印加する複数の電源
・多層光学膜の反射スペクトルを測定する分光反射率計
・上記に記載の多層光学膜の膜厚制御方法を用いて、多層光学膜を構成する光学膜各々の膜厚偏差を推定する分析装置
・分析装置の推定に基づいて、光学膜各々の膜厚偏差が0に近付くように、光学膜各々の製造パラメータを変更する制御装置
(14)本発明の多層光学膜のスパッタ装置は、真空槽に反応性ガスを供給する反応性ガス供給装置を備える。
(15)本発明の多層光学膜のスパッタ装置は、長尺フィルムを供給するフィルム供給機構と、長尺フィルムを収納するフィルム収納機構を備える。
(16)本発明の多層光学膜のスパッタ装置はプラズマ発光強度の測定器を備え、制御装置はプラズマ発光強度を制御する。
(17)本発明の多層光学膜のスパッタ装置はカソード電圧計を備え、制御装置はカソード電圧を制御する。
本発明により、多層光学膜を成膜する際、各々の光学膜に対して、目標の膜厚を得るのに必要な膜厚調整を行なうことが可能な膜厚制御方法、当該制御方法を用いた多層光学膜の製造方法および当該制御方法を用いたスパッタ装置が実現された。
多層光学膜の模式図 多層光学膜の成膜装置の模式図 多層光学膜の膜厚制御方法のフローチャート 製造パラメータと光学膜の膜厚のグラフの一例 多層光学膜の膜厚制御方法のフローチャート 多層光学膜のスパッタ装置の全体構成図
[多層光学膜]
図1に本発明が適用される多層光学膜の一例を模式的に示す。多層光学膜6の層数は限定されないが図1は5層の場合である。図1(a)は多層光学膜6を積層するための基材7である。基材7の材質として、ガラス板、ガラスフィルム、プラスチック板、高分子(プラスチック)フィルム、金属コイル、金属板などが挙げられる。基材7の材質、厚さ、形状(枚葉あるいは長尺フィルムなど)などは限定されない。
図1(b)は基材7に第1光学膜1を成膜した状態を示す。第1光学膜1として、例えば透明導電膜、光触媒膜、ガスバリア膜、光干渉膜などが挙げられる。第1光学膜1の成膜方法として、スパッタ法、蒸着法、CVD法などが挙げられるが、これに限定されることはない。
図1(c)は第1光学膜1の上に第2光学膜2を成膜した状態を示す。図1(d)は第2光学膜2の上に第3光学膜3を成膜した状態を示す。図1(e)は第3光学膜3の上に第4光学膜4を成膜した状態を示す。図1(f)は第4光学膜4の上に第5光学膜5を成膜した状態を示す。第1光学膜1〜第5光学膜5の材質、機能、厚さ、成膜方法などは多層光学膜6の用途等に応じて適宜設計変更することが可能である。
図2は多層光学膜6の成膜装置の一例の模式図である。基材7は5つの成膜室41〜成膜室45を順に搬送される。成膜室41にて第1光学膜1が成膜され、成膜室42にて第2光学膜2が成膜され、成膜室43にて第3光学膜3が成膜され、成膜室44にて第4光学膜4が成膜され、成膜室45にて第5光学膜5が成膜される。各光学膜の間に異物などが侵入しないように、成膜室41〜成膜室45は全体として一つの真空槽40に入っていることが望ましい。
多層光学膜を成膜するとき、各々の光学膜の膜厚を、それぞれの目標とする膜厚(以下「基準膜厚」という)と完全に一致させることは実際上難しい。従って実際の膜厚と基準膜厚の差(以下「膜厚偏差」という)がある程度生じることは避けられない。
実際の膜厚が基準膜厚と異なる結果、実際の多層光学膜の光学特性値は目標とする光学特性値(以下「基準光学特性値」という)と多少のズレが生じる。そのため多層光学膜の光学特性値には管理範囲が決められている。本発明の多層光学膜の膜厚制御方法においては、各々の光学膜の膜厚が、多層光学膜の光学特性値の管理範囲から導き出せる膜厚操作量の許容範囲に入るように制御することもできるし、より精密に、各々の光学膜の膜厚の変動が、可能な限り誤差範囲に収まるように制御することもできる。
ここで「誤差範囲」とは次の意味である。例えば後述のスパッタ装置の場合、光学膜の膜厚は、例えばガス流量の影響を受ける。しかしガス流量計の設定を一定にしておいても、実際のガス流量は設定値の近傍で変動する。光学膜の膜厚はガス流量の変動に対応して変動する。このような膜厚の変動は、ガス流量だけでなく、カソード電圧、ターゲット残量、成膜ロールとターゲットの距離、成膜ロールの回転速度、フィルム基材の走行速度など多数の製造パラメータの変動により発生する。誤差範囲とは、製造パラメータの設定を一定にしておいても避けられない膜厚の変動範囲を意味する。これらの原因による膜厚の変動は各々の成膜装置について調査されており、当該成膜装置固有の誤差とされている。
[多層光学膜の膜厚制御方法]
多層光学膜の膜厚制御方法の一例を図3のフローチャートを参照しながら説明する。この例では、多層光学膜がn層(2≦n)の光学膜(光学膜1〜光学膜n)である。本例の多層光学膜の制御方法は次の工程を含む。次の工程(1)〜(4)は、フローチャートの「回帰式を準備」のステップに相当する。
(1)光学膜1〜光学膜nが基準膜厚ds1〜dsnであるときの多層光学膜の理論上の光学特性値(基準光学特性値)を計算する。
(2)光学膜1〜光学膜nの膜厚が基準膜厚ds1〜dsnから、網羅的に所定量Δd1〜Δdn変化したときの、多層光学膜の理論上の光学特性値群X1〜Xjを計算する。所定量Δd1〜Δdnの大きさは、各光学膜の膜厚の偏差が光学特性値に与える影響の大きさを考慮して決める。そのため所定量Δd1〜Δdnは同じ値とは限らず、また、基準膜厚ds1〜dsnに対して同じ変化率とも限らない。
(3)所定量Δd1〜Δdnと光学特性値X1〜Xjの回帰係数および誤差項を求める。光学特性値X1〜Xjは任意であるが、例えば、明度Y、色座標a、色座標bである。この場合光学特性値はj=3個となり、X1=明度Y、X2=色座標a、X3=色座標bとなる。
(4)光学特性値X1〜Xjを、
(Δd1)、(Δd1)、...、(Δd1)のそれぞれに回帰係数を掛けた項の和S1と、
(Δd2)、(Δd2)、...、(Δd2)のそれぞれに回帰係数を掛けた項の和S2と、
以下同様にして、
(Δdn)、(Δdn)、...、(Δdn)のそれぞれに回帰係数を掛けた項の和Sn
の総和(S1+S2+...+Sn)+誤差項で表わして、光学特性値X1〜Xjのk次の回帰式を作成する。次数kについては、k=1、2、3、...と増加させたときの回帰分析の結果を考慮し、必要最小限の次数とする。
以上の工程により、光学膜各々の膜厚と多層光学膜の理論上の光学特性値との関係を表わす回帰式を準備する。次の工程(5)はフローチャートの「モデル式を準備」のステップに相当する。
(5)所定の成膜装置について、光学膜各々の成膜に用いる製造パラメータの変更量と光学膜の膜厚の変化量の関係を表わすモデル式を準備する。図4に製造パラメータと光学膜の膜厚のグラフの一例を示す。X軸は製造パラメータ、例えば、ターゲット電圧あるいはプラズマ発光強度である。Y軸は光学膜の膜厚である。丸印は測定値、直線は測定値を結ぶ直線である。測定値を結ぶ直線は例えば最小二乗法により求める。このグラフからY=aX+b(a、bは定数)という関係が求まる。これが製造パラメータの変更量と光学膜の膜厚の変化量の関係を表わすモデル式の一例である。製造パラメータの変更量と光学膜の膜厚の変化量の関係は単純な一次式になるとは限らず複雑な多項式となることもある。あるいは、式で表わすことが難しく、製造パラメータの変更量と光学膜の膜厚の変化量の関係を数表で表現しておき、必要に応じて補間法を用いて関係を算出することもある。本明細書ではこれらを一括して「モデル式」ということにする。フローチャートでは「回帰式を準備」のステップと「モデル式を準備」のステップを合わせて「準備ステップ」という。ここから成膜を開始する。
(6)成膜された多層光学膜の光学特性値の実測値Xr1〜Xrj(rはrealの意味)を求める。
(7)光学特性値の実測値Xr1〜Xrjが管理範囲内かどうか判定する。実測値Xr1〜Xrjが管理範囲内であれば成膜を継続する。
(8)光学特性値の実測値Xr1〜Xrjが管理範囲外ならば、実測値Xr1〜Xrjを回帰式に当てはめて、光学膜1〜光学膜nの推定膜厚偏差量Rd1〜Rdnを推定する。
(9)モデル式(例えばY=aX+b)を用いて、光学膜各々の膜厚偏差量Rd1〜Rdnをそれぞれ0に近付けるために必要な製造パラメータの調整量を算出する。
(10)算出された調整量に基づいて製造パラメータを変更する。製造パラメータを変更した後上記(6)に戻り、光学特性値の監視を継続する。
図2に示す成膜方法によりn層の多層光学膜を成膜すると次の現象が生じることがある。何らかの理由により光学膜1〜光学膜nの製造パラメータを変更すると、まず光学膜nの膜厚だけが変化した多層光学膜の光学特性値の実測値Xr1〜Xrjが得られる(このとき光学膜n以外の光学膜は膜厚が変化していない)。次にあるタイムラグをおいて、光学膜n、光学膜n−1の膜厚が変化した多層光学膜の光学特性値の実測値Xr1〜Xrjが得られる(このとき光学膜n、光学膜n−1以外の光学膜は膜厚が変化していない)。以下同様にして、膜厚の変化した光学膜が1層ずつ増加し、それに対応する多層光学膜の実測値Xr1〜Xrjが得られる。最後に光学膜n、光学膜n−1、...、光学膜1(全ての光学膜)の膜厚が変化した多層光学膜の光学特性値の実測値Xr1〜Xrjが得られる。
このような場合、本発明の多層光学膜の膜厚制御方法は図5のフローチャートに示す次のステップを含む(図5のフローチャートの準備ステップは図3のフローチャートの準備ステップと同じであるため説明を省略する)。また、製造パラメータを変更する前の各ステップについては図2と共通するため図示を省略する。
(1)光学膜nのみの膜厚が変化した多層光学膜に対して光学特性値の実測値Xr1〜Xrjを求め、回帰式の和Snを用いて計算された予測値X1〜Xjと実測値Xr1〜Xrjの差が回帰式により計算された想定範囲内であることを確認する。これによって光学膜nの製造パラメータの変更が適切であったことを確認できる。予測値X1〜Xjと実測値Xr1〜Xrjの差が回帰式により計算された想定範囲外の場合は、回帰式を用いて推定膜厚偏差量を推定し、モデル式を用いて製造パラメータの調整量を算出し、製造パラメータを変更する。「回帰式により計算された想定範囲」とは、回帰式の和Snを用いて計算された予測値X1〜Xjを中心値とし、用いられた成膜装置で通常発生する誤差による光学特性値のばらつきを前記の中心値にプラスマイナスして求めた光学特性値の範囲を言う。なお以下の「回帰式により計算された想定範囲」は、回帰式の和をそれぞれに合わせて変更する。例えば(2)では回帰式の和をSn+S(n−1)とする。
(2)光学膜n、光学膜(n−1)の膜厚が変化した多層光学膜に対して光学特性値の実測値Xr1〜Xrjを求め、回帰式の和Sn+S(n−1)を用いて計算された予測値X1〜Xjと実測値Xr1〜Xrjの差が回帰式により計算された想定範囲内であることを確認する。これによって光学膜n−1の製造パラメータの変更が適切であったことを確認できる。予測値X1〜Xjと実測値Xr1〜Xrjの差が回帰式により計算された想定範囲外の場合は、回帰式を用いて推定膜厚偏差量を推定し、モデル式を用いて製造パラメータの調整量を算出し、製造パラメータを変更する。
(3)以下同様にして光学膜1層ごとに当該光学膜の製造パラメータの変更が適切であったことの確認を進める。最後に光学膜n、光学膜(n−1)、...、光学膜1の膜厚が変化した多層光学膜に対して光学特性値の実測値Xr1〜Xrjを求め、回帰式の和Sn+S(n−1)+...+S1を用いて計算された予測値X1〜Xjと実測値Xr1〜Xrjの差が回帰式により計算された想定範囲内であることを確認する。これによって光学膜1の製造パラメータの変更が適切であったことを確認できる。全光学膜の製造パラメータの変更が適切であれば成膜を継続する。予測値X1〜Xjと実測値Xr1〜Xrjの差が回帰式により計算された想定範囲外の場合は、回帰式を用いて推定膜厚偏差量を推定し、モデル式を用いて製造パラメータの調整量を算出し、製造パラメータを変更する。
図5のフローチャートの多層光学膜の膜厚制御方法によれば、製造パラメータの変更が適切かどうかを光学膜が1層ずつ変化するたびに確認することができるため、製造パラメータの調整量のフィードバックが早くなる。これは量産ラインにおいて大きなメリットとなる。
本発明の多層光学膜の膜厚制御方法においては、成膜する際に用いる管理範囲を、光学特性の規格から導き出される本来の管理範囲より狭くすることもできる。その場合、光学特性値の実測値が、本来の管理範囲内であっても目標値から遠ざかる傾向を示したとき、実測値を目標値に戻すように制御することができる。
本発明の多層光学膜の膜厚制御方法において、成膜する際に用いる管理範囲を、光学特性の規格から導き出される本来の管理範囲より狭くすることにより、多層光学膜の光学特性値が基準光学特性値を中心とする狭い範囲に分布する多層光学膜を得ることができる。すなわち本発明の多層光学膜の膜厚制御方法を用いることにより工程能力を高くすることができる。これにより特性のばらつきの少ない高品質の多層光学膜を得ることができる。
[多層光学膜の製造方法]
本発明の多層光学膜の製造方法は、複数の光学膜の膜厚の組み合わせが所定範囲内で網羅的に割り振られた多層光学膜の理論上の光学特性値群を回帰分析して得られた、光学膜各々の膜厚と多層光学膜の光学特性値との関係を表わす回帰式を準備するステップを含む。上記の回帰式を準備するステップの内容は[多層光学膜の膜厚制御方法]において述べたため繰り返さない。このステップは成膜前の準備ステップであり、基材および多層光学膜の材質が変わらなければ、成膜開始前に一度実施すればよい。
本発明の多層光学膜の製造方法は、所定の成膜装置について、光学膜各々の成膜に用いる製造パラメータの変更量と光学膜の膜厚の変化量の関係を表わすモデル式を準備するステップを含む。製造パラメータ変更量と光学膜の膜厚変化量の関係のモデル式は例えば図4のように実験的に求められる。例えばスパッタ装置の場合、例えば、ガスの流量、プラズマ発光強度、カソード電圧と、各光学膜の膜厚の関係が実験的に求められる。このステップも成膜前の準備ステップであり、成膜装置、固定された成膜条件(例えば成膜ロールの温度、基材の走行速度など)、基材および多層光学膜の材質が変わらなければ、成膜開始前に一度実施すればよい。
以後は多層光学膜を成膜するステップである。まず主面を有する基材を準備するステップが含まれる。ここで基材の材質として高分子フィルム、ガラスフィルム、ガラス板、プラスチック板、金属コイル、金属板などが挙げられる。基材の材質、厚さ、形状(枚葉あるいは長尺フィルムなど)などは限定されない。
本発明の多層光学膜の製造方法は、基材の主面上に複数の光学膜を順次成膜し多層光学膜を形成するステップを含む。ここで多層光学膜としては透明導電膜、光触媒膜、ガスバリア膜、光干渉膜などが挙げられる。成膜方法として、スパッタ法、蒸着法、CVD法などが挙げられる。多層光学膜の材質、種類、厚さ、成膜方法などは限定されない。
本発明の多層光学膜の製造方法は、成膜された多層光学膜の光学特性値を測定し、その実測値を求めるステップを含む。更に実測値が、多層光学膜の目標とする光学特性値の目標値に基づく所定の管理範囲内にあるか否かを判断するステップを含む。更に実測値が管理範囲内にない場合、実測値を回帰式に当てはめて、光学膜各々の基準膜厚からの推定膜厚偏差量を算出するステップを含む。更に推定膜厚偏差量をモデル式に当てはめて、光学膜各々の膜厚偏差量をそれぞれ0に近付けるために必要な製造パラメータの調整量を算出するステップを含む。更に調整量に基づいて製造パラメータを変更するステップを含む。光学膜の膜厚制御に関する詳細は[多層光学膜の膜厚制御方法]欄で述べたため繰り返さない。
[多層光学膜のスパッタ装置]
図6は本発明のスパッタ装置の一例の全体構成図である。スパッタ装置10は、長尺フィルム11に多層光学膜を成膜する装置であり、本発明の多層光学膜の膜厚制御方法を用いて制御される。図6において、細線は電気配線あるいはガス配管を示し、破線は分光反射率(反射スペクトル)、プラズマ発光強度、カソード電圧、ガス流量などの信号線を示す。なお図6は長尺フィルム11に多層光学膜を成膜中の図である。
スパッタ装置10は、真空槽12内に、長尺フィルム11の供給ロール13、長尺フィルム11の走行をガイドするガイドロール14、長尺フィルム11を1周弱巻き付ける円筒形の成膜ロール15、長尺フィルム11を収納する収納ロール16を備える。成膜ロール15はキャンロールとも言う。成膜ロール15はその中心軸回りに自転する。成膜中は成膜ロール15が自転し、長尺フィルム11は成膜ロール15の自転に同期して走行する。
成膜ロール15の周囲には、成膜ロール15に対向するように、ターゲット17が設置されている。ターゲット17は成膜ロール15と所定の距離を隔てて配置されている。成膜ロール15の中心軸とターゲット17は平行である。図6ではターゲット17が5本であるが、ターゲット17の本数に制限はない。ターゲット17の外側(成膜ロール15の反対側)には、ターゲット17に密着してカソード18が設置されている。ターゲット17とカソード18は、機械的、電気的に結合されている。
各カソード18に、スパッタ電源20が接続される。カソード18とターゲット17は同じ電位であるため、スパッタ電源20がターゲット17に接続されたことになる。スパッタ電源20が直流(DC,パルスDC)あるいはMF(Middle Frequency)領域の交流(MF-AC)の場合は必要がないが、RF(Radio Frequency)領域の交流(RF-AC)の場合は、カソード18とスパッタ電源20の間にマッチングボックス(図示しない)を挿入して、スパッタ電源20側から見たターゲット17のインピーダンスを調整し、ターゲット17からの反射電力(無効電力)を最小にする。
各ターゲット17が必要とする、スパッタガスあるいは反応性ガスの種類、圧力、供給量が異なることがある。そのため、各ターゲット17を分離するように真空槽12を隔壁24で仕切り、分割槽25とする。各分割槽25に、ガス供給装置26(GAS)から配管27が接続され、反応性ガス(例えば酸素)が所定の流量で供給される。反応性ガスの流量は流量計28(マスフローコントローラ:MFC)で制御される。
図示は省略するが、1つの分割槽25に複数のターゲット17を設置してもよい。この場合、同一のガス雰囲気で異なる材料のスパッタを行なうことができる。また、当該分割槽25の材料のスパッタ速度が、他の分割槽25の材料のスパッタ速度より遅いとき、長尺フィルム11の走行速度を維持するため、当該分割槽25で同一材料の複数のターゲット17を用いてスパッタすることもできる。
成膜ロール15の自転に同期して走行する長尺フィルム11の表面に、ターゲット17と対向する位置でスパッタ膜が付着し、光学膜となる。図6では成膜ロール15が1本であるが、成膜ロール15は2本以上あってもよい(図示しない)。
長尺フィルム11として、一般的に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの単独重合体や共重合体からなる透明フィルムが用いられる。長尺フィルム11は、単層フィルムでもよく、光学機能を有する偏光フィルムなどの積層フィルムでもよい。積層フィルムとしては、特に限定されないが、例えば偏光層と少なくとも1層の保護層を含む偏光板や、上記偏光板に更に位相差フィルムを含む積層体が挙げられる。長尺フィルム11の厚さは限定されないが、通常、6μm〜250μm程度である。
スパッタ装置10では、アルゴンガスなどのスパッタガス中で、成膜ロール15をアノード電位とし、ターゲット17をカソード電位として、成膜ロール15とターゲット17の間にスパッタ電圧が印加される。これにより長尺フィルム11とターゲット17の間にスパッタガスのプラズマが発生する。プラズマ中のスパッタガスイオンが電気的に加速されてターゲット17に衝突し、ターゲット17の構成物質を叩き出す。叩き出されたターゲット17の構成物質は長尺フィルム11上に堆積しスパッタ膜となる。
スパッタ装置10では、成膜前の長尺フィルム11を供給ロール13から連続的に引き出し、成膜ロール15に1周弱巻き付け、成膜ロール15を一定速度で回転させて長尺フィルム11を成膜ロール15に同期させて送る。長尺フィルム11は収納ロール16に巻き取られる。
スパッタ装置10では、ターゲット17が5本であるから、供給ロール13に近い側から、第1光学膜、第2光学膜、第3光学膜、第4光学膜、第5光学膜が、長尺フィルム11に順次成膜される。従ってそれぞれの光学膜の成膜の間にはタイムラグがある。隣り合う光学膜の成膜のタイムラグは、成膜ロール15が1回転する時間の約1/5である。
スパッタ装置10は、長尺フィルム11に形成された多層光学膜の反射スペクトルを測定する分光反射率計29を備える。図6の場合分光反射率計29は1台あればよい。しかし、図示しないが成膜ロール15が2本以上ある場合、各成膜ロール15の間に分光反射率計29を設置してもよい。この場合、分光反射率計29は2台以上になる。
スパッタ装置10で製造される多層光学膜は5層である。分光反射率計29により測定された多層光学膜の反射スペクトルから、分析装置30でその光学特性値の実測値、例えば、明度Y、色座標a、色座標bが求められる。なお明度Y、色座標a、色座標bは一例であり、他の表色系の座標系も用いられる。分析装置30には、光学特性値Y、a、bの回帰式が記憶されている。分析装置30では、光学特性値Y、a、bの実測値を回帰式に当てはめて、第1光学膜〜第5光学膜の膜厚偏差Rd1〜Rd5が推定される。推定された膜厚偏差Rd1〜Rd5は、分析装置30から制御装置31に転送される。
制御装置31には、このスパッタ装置10について実験的に求められた第1光学膜〜第5光学膜の製造パラメータ(例えば、プラズマ発光強度、カソード電圧)の変更量と、第1光学膜〜第5光学膜の膜厚の変化量の関係を表わすモデル式が記憶されている。制御装置31により、膜厚偏差Rd1〜Rd5が0に近付くように、第1光学膜〜第5光学膜を成膜する際の製造パラメータが変更される。
反応性ガスの流量は、流量計28(MFC)を用いてターゲット毎に制御される。プラズマ発光強度は、各ターゲット17について、プラズマ発光強度測定器32により測定される。
カソード電圧はカソード電圧計33によりターゲット17毎に制御される。プラズマ発光強度あるいはカソード電圧を変更することにより、光学膜の膜厚が変化する。
スパッタ装置10を用いて長尺フィルム11に複数の光学膜を連続的に順次成膜すると次の現象が生じる。図6のスパッタ装置10では、5層の光学膜を長尺フィルム11に積層するため、成膜ロール15の周囲に5個のターゲット17を配置し、長尺フィルム11が成膜ロール15を一周する間に5層の光学膜を順次成膜する。
この場合、第1光学膜〜第5光学膜を成膜する製造パラメータを同時に変更しても、まず第5光学膜(最後に成膜された光学膜)だけの膜厚の変化した多層光学膜が得られる。このとき第4光学膜〜第1光学膜はまだ膜厚が変化していない。
次にあるタイムラグ(成膜ロールが1回転する時間のほぼ1/5)をおいて、第5光学膜、第4光学膜の膜厚の変化した多層光学膜が得られる。このとき第3光学膜〜第1光学膜はまだ膜厚が変化していない。
同様にして、膜厚の変化した光学膜が1層ずつ増加し、同時に膜厚の変化していない光学膜が1層ずつ減少する。最後に、成膜ロール15がほぼ1回転する時間後に、第5光学膜〜第1光学膜(全光学膜)の膜厚が変化した多層光学膜が得られる。
つまり、あるタイムラグ(成膜ロール15が1回転する時間のほぼ1/5)をおいて、膜厚の変化した光学膜が1層ずつ増加し、膜厚の変化していない光学膜が1層ずつ減少する。そのため、全光学膜が膜厚の変化した多層光学膜が得られるまでに、相当なタイムラグ(成膜ロール15が概ね1回転する時間)が必要である。
図5のフローチャートに示す膜厚制御方法のように、膜厚の変化した光学膜が1層ずつ増加するごとに実測特性値を求め、製造パラメータの変更の適否を1層ずつ判断する方法を用いれば、製造パラメータの調整量のフィードバックを早くすることができる。
本発明の多層光学膜の膜厚制御方法および本発明の多層光学膜の製造方法は、多層ITO(Indium Tin Oxideインジウムスズ酸化物)膜、多層光触媒膜、多層ガスバリア(遮断)膜、多層反射防止(AR:Anti Reflection)膜などの成膜に応用できる。本発明の多層光学膜の膜厚制御方法は、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法などを用いた成膜法に応用できる。本発明のスパッタ装置は多層光学膜の成膜に用いられる。
1 第1光学膜
2 第2光学膜
3 第3光学膜
4 第4光学膜
5 第5光学膜
6 多層光学膜
7 基材
10 スパッタ装置
11 長尺フィルム
12 真空槽
13 供給ロール
14 ガイドロール
15 成膜ロール
16 収納ロール
17 ターゲット
18 カソード
20 スパッタ電源
24 隔壁
25 分割槽
26 ガス供給装置
27 配管
28 流量計
29 分光反射率計
30 分析装置
31 制御装置
32 プラズマ発光強度測定器
33 カソード電圧計
40 真空槽
41〜45 成膜室

Claims (15)

  1. 複数の光学膜が積層されてなる多層光学膜を成膜装置を用いて成膜する際に、前記光学膜各々の膜厚を制御する膜厚制御方法であって、
    前記光学膜各々の膜厚の組み合わせが所定範囲内で網羅的に割り振られた前記多層光学膜の理論上の光学特性値群を回帰分析して得られる、前記光学膜各々の膜厚と前記多層光学膜の理論上の光学特性値との関係を表わす回帰式を準備するステップと、
    前記成膜装置について、前記光学膜各々の成膜に用いる製造パラメータの変更量と当該光学膜の膜厚の変化量の関係を表わすモデル式を準備するステップと、
    成膜された前記多層光学膜の光学特性値を測定し、その実測値を求めるステップと、
    前記実測値を前記回帰式に当てはめて、前記光学膜各々の基準膜厚からの推定膜厚偏差量を算出するステップと、
    前記推定膜厚偏差量を前記モデル式に当てはめて、前記光学膜各々の前記膜厚偏差量をそれぞれ0に近付けるために必要な前記製造パラメータの調整量を算出するステップと、
    前記調整量に基づいて前記製造パラメータを変更するステップと
    を含み、
    前記光学膜各々の製造パラメータを変更することにより、あるタイムラグをおいて、膜厚の変化した光学膜が1層ずつ増加する場合、
    前記膜厚の変化した光学膜に対応する前記回帰式を用いて計算された特性値の予測値と、前記実測値の差が、前記回帰式により計算された想定範囲内であることを確認するステップを含む多層光学膜の膜厚制御方法。
  2. 前記多層光学膜の前記光学特性値として、前記多層光学膜の反射光の明度または色座標あるいはその両者を用いる請求項1に記載の多層光学膜の膜厚制御方法。
  3. 前記多層光学膜を成膜する際にスパッタ法を用いる請求項1または2に記載の多層光学膜の膜厚制御方法。
  4. 前記多層光学膜を成膜する際に変更する製造パラメータとしてプラズマ発光強度を用いる請求項に記載の多層光学膜の膜厚制御方法。
  5. 前記多層光学膜を成膜する際に変更する製造パラメータとしてカソード電圧を用いる請求項に記載の多層光学膜の膜厚制御方法。
  6. 前記多層光学膜が透明導電膜、光触媒膜、ガスバリア膜、光干渉膜のいずれかである請求項1〜のいずれかに記載の多層光学膜の膜厚制御方法。
  7. 複数の光学膜が積層されてなる多層光学膜を成膜装置を用いて成膜する多層光学膜の製造方法であって、
    前記光学膜各々の膜厚の組み合わせが所定範囲内で網羅的に割り振られた多層光学膜の理論上の光学特性値群を回帰分析して得られる、前記光学膜各々の膜厚と前記多層光学膜の理論上の光学特性値との関係を表わす回帰式を準備するステップと、
    前記成膜装置について、前記光学膜各々の成膜に用いる製造パラメータの変更量と当該光学膜の膜厚の変化量の関係を表わすモデル式を準備するステップと、
    主面を有する基材を準備するステップと、
    前記基材の主面上に前記複数の光学膜を順次成膜し多層光学膜を形成するステップと、
    成膜された前記多層光学膜の光学特性値を測定し、その実測値を求めるステップと、
    前記実測値が、前記多層光学膜の光学特性値の目標値に基づく所定の管理範囲内にあるか否かを判断するステップと、
    前記実測値が前記管理範囲内にない場合、前記実測値を前記回帰式に当てはめて、前記光学膜各々の基準膜厚からの推定膜厚偏差量を算出するステップと、
    前記推定膜厚偏差量を前記モデル式に当てはめて、前記光学膜各々の前記膜厚偏差量をそれぞれ0に近付けるために必要な前記製造パラメータの調整量を算出するステップと、
    前記調整量に基づいて前記製造パラメータを変更するステップと
    を含み、
    前記光学膜各々の製造パラメータを変更することにより、あるタイムラグをおいて、膜厚の変化した光学膜が1層ずつ増加する場合、
    前記膜厚の変化した光学膜に対応する前記回帰式を用いて計算された特性値の予測値と、前記実測値の差が、前記回帰式により計算された想定範囲内であることを確認するステップを含む多層光学膜の製造方法。
  8. 前記基材が高分子フィルム、ガラスフィルム、ガラス板、プラスチック板、金属コイル、金属板のいずれかである請求項に記載の多層光学膜の製造方法。
  9. 前記成膜装置がスパッタ装置、蒸着装置、CVD装置のいずれかである請求項7または8に記載の多層光学膜の製造方法。
  10. 前記多層光学膜が透明導電膜、光触媒膜、ガスバリア膜、光干渉膜のいずれかである請求項のいずれかに記載の多層光学膜の製造方法。
  11. 長尺フィルムに多層光学膜を成膜する多層光学膜のスパッタ装置であって、
    真空槽と、
    前記真空槽にスパッタガスを供給するスパッタガス供給装置と、
    前記真空槽内に備えられ、その中心軸回りに自転する成膜ロールと、
    前記成膜ロールと対向する複数のターゲットと、
    前記複数のターゲットに電圧を印加する複数の電源と、
    前記多層光学膜の反射スペクトルを測定する分光反射率計と、
    請求項1〜のいずれかに記載の多層光学膜の膜厚制御方法を用いて、前記多層光学膜を構成する光学膜各々の膜厚偏差を推定する分析装置と、
    前記分析装置の推定に基づいて、前記光学膜各々の膜厚偏差が0に近付くように、前記光学膜各々の製造パラメータを変更する制御装置を備えた多層光学膜のスパッタ装置。
  12. 前記真空槽に反応性ガスを供給する反応性ガス供給装置を備えた請求項11に記載の多層光学膜のスパッタ装置。
  13. 前記長尺フィルムを供給するフィルム供給機構と、前記長尺フィルムを収納するフィルム収納機構を備えた請求項11または12に記載の多層光学膜のスパッタ装置。
  14. プラズマ発光強度の測定器を備え、前記制御装置は前記プラズマ発光強度を制御する請求項1113のいずれかに記載の多層光学膜のスパッタ装置。
  15. カソード電圧計を備え、前記制御装置はカソード電圧を制御する請求項1113のいずれかに記載の多層光学膜のスパッタ装置。
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