次に、本発明の警報器を備える警報器システム及び本発明の警報器について、図1〜3を参照しながら説明する。警報器システムは、図1にその一実施形態の概略ブロック図が示されるように、近距離通信装置15を備える警報器1およびその警報器1と通信可能であり、その警報器1の情報を取得可能な携帯情報端末2を備え、近距離通信装置15が、電源13以外の電力により動作し得る構成、たとえば携帯情報端末2からの電波により動作し得る構成になっており、警報器1の電源13がオフの状態でも、携帯情報端末2からの通信により、警報器1内の情報を携帯情報端末2により取得し得る構成になっている。この警報器1は、電源13と、マイコン12とをさらに有することができ、携帯情報端末2は、通信制御部21とアンテナ22とを有することができる。
警報器1は、ガス検知や煙感知用などのセンサとメモリや制御部を有するマイコン12を備えた通常の警報器に、近距離通信装置15が搭載されていることに特徴がある。この近距離通信装置15は、例えばガス警報器で異常が発生した場合にガス会社に無線で知らせるというような従来の電子機器に取り付けられるような通信装置ではなく、近距離で携帯情報端末により警報器内の諸データを取得し得る数cmから10m以内で通信をすることができる通信装置を指している。例えばNFCとか、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、RFID(登録商標)などの通信規格を用いる通信装置を意味している。
この近距離通信装置は、例えばNFCであれば、電源を内蔵していなくても、携帯情報端末2からの電波により起動して内部のメモリに記憶されている種々のデータから携帯情報端末2により指定されたデータを送信することができるので、警報器1の電源13がオフにされたり、警報器1の電源13の故障により、または電池切れにより警報器1が動作していなかったりしても、警報器1の情報を簡単に取得することができることから好ましい。
次に、通常の警報器に、近距離通信装置15としてNFCを用いた場合の具体的な構成例について、図2〜3を参照しながら詳述する。この実施形態では、近距離通信装置15を単にNFCタグ15ともいう。
図2に示されるように、警報器1が、監視領域の物理現象を監視して監視データ(外部環境の変化を検出する検出データ)を出力するセンサ部11をさらに有しており、マイコン12は、制御部121とメモリ122を有している。また、近距離通信装置15は、携帯情報端末2からの電波によって起動する(例えばループアンテナで受けた電波により発生する起電力(電源153)によっても動作し得る)ように構成される記憶部(EEPROM)152を備えており、センサ部11の監視データおよび警報器1の機器データの少なくとも一方がEEPROM152に記憶される。その結果、警報器1の電源13がオフの状態でも、監視データおよび/または機器データが携帯情報端末2により取得され得るように構成されている。
この警報器1は、通常の警報器1と同様のセンサ部11と、このセンサ部11を制御して、センサ部11からのデータが正常値か異常値かを判断するマイコン12と、図示されていないが、センサ部11からのデータに基づいて報知をするためのブザーやランプが設けられている。本発明の警報器1では、この他に、例えばNFCタグ15のような無線通信用タグが設けられている。
警報器1のセンサ部11は、例えば一酸化炭素(CO)ガス、メタンガス(CH4)を検知するセンサ、サーミスタからなる温度センサ、または煙センサなど、監視領域の物理現象を監視して監視データを出力する公知のセンサを用いることができ、1種類または複数種類のセンサが設けられていてもよい。そして、監視領域におけるセンサによる検出データがマイコン12に送られ、センサ部11により検出されたデータに基づいて監視領域の状態を判定するようになっている。
警報器1のマイコン12は、制御部121やメモリ122などを有している。そして、センサ部11の動作を制御すると共に、例えばセンサ部11から送られてくる検出データがメモリ122などに保存され、その検出データが所定の基準値である閾値と比較される。そして、検出データが閾値を超えている場合には、図示しないブザーやランプにより報知する構成になっている。この一連の動作は、従来の警報器と同じ動作になり、従来公知の警報器の構成を用いることができる。また、本発明では、センサ部11からの検出データの記録のみならず、警報器の設置日、設置からの経過時間、経過時間とセンサ部11の諸データなどとの関係、所定の各閾値を超えた回数、電源13が電池である場合の電池の残存容量など、警報器自体の管理データも、機器データとしてメモリ122に記憶される。なお、このマイコン12は、普通に市販されている記憶用ICなどを用いることができる。
本発明では、このマイコン12による管理データは、たとえば後述する情報取得者が望むデータ、例えば検査データ、工程記録、各種補正値なども記録されるようになっている。さらに、そのような情報取得者により要求され得る諸データは、このマイコン12内のメモリ122に記憶されるだけではなく、後述するNFCタグ15に設けられるEEPROM152にも記憶される。しかし、通常は読み出しが必要とされないようなデータなどもこのメモリ122に記憶される。このメモリ122に記憶されているデータは、後述するように、急に必要とされる場合でも、このメモリ122から直接読み出すことができる。このように、NFCタグ15のEEPROM152にも記憶されることにより、警報器1の電源13がオフになっていても、外部の携帯情報端末2から直接データを取得することができる。従って、NFCタグ15のEEPROM152は、センサ部11やマイコン12を駆動する電源13によっても動作させることができ、NFCタグ15側の電源153(後述するが電池等ではなく、携帯情報端末2から送られてくる電波によって誘起される電力)によっても動作するように構成されている。この電源の使い分けは、NFCタグ15に設けられる警報器側通信制御部151によって制御される。
メモリ122に記憶されるデータとEEPROM152に記憶されるデータは、全く同じデータであってもよいし、どちらか一方にのみ記憶されるデータがあってもよい。
また取得者に応じてデータの記憶形式を変更、たとえばユーザ用のデータはメモリ122に記憶されるデータとEEPROM152に記憶されるデータは、全く同じデータとし、ガス事業者用データは、メモリ122に記憶されるデータとEEPROM152に記憶されるデータが異なるデータとなるように記憶してもよい。
またメモリ122とEEPROM152に記憶されるデータは、使用状態(たとえば各データの取得される頻度)によって、変更してもよい。すなわち、当初はメモリ122のみに記憶されているデータであっても、取得される頻度が高いデータであれば、EEPEOM152に記憶するようにしてもよく、逆に取得される頻度が低いデータであれば、メモリ122のみに記憶するようにしてもよい。
このセンサ部11およびマイコン12を動作させるための電源13が警報器1に設けられている。この電源13としては、商用交流電源を用いて整流して利用することもできる。また、電池を用いることもできる。商用交流電源が用いられれば、停電にならない限り電源の心配は殆どないが、電池が用いられる場合には、その寿命がなくなると、警報器自体が動作しなくなるので、その管理が必要となる。本発明では、この電池の寿命を使用時間または残存容量の取得により、容易に管理することができる。
本発明の警報器1は、これらセンサ部11や、これらを管理するマイコン12だけではなく、NFCタグ15などの無線通信用タグが設けられていることに特徴がある。NFCタグ15は、警報器側通信制御部151と、前述の監視データや機器データを記憶するEEPROM152と、この警報器側通信制御部151およびEEPROM152を駆動するための電源153、およびアンテナ154を備えている。
通信制御部151は、後述する携帯情報端末2との間での通信を制御するもので、例えば携帯情報端末2から送信されてくる識別情報(識別符号)に基づき、情報取得者がどういう情報を求めているかを判断し、EEPROM152に記憶されている情報のうち、その識別情報に基づいて要求されているデータのみを携帯情報端末2に送信するように制御する。この情報処理も、警報器1のマイコン12と同様に、市販されているICにより行うことができる。
携帯情報端末2からの識別符号は種々の分類で細分化することができる。例えば、警報器関連事業者が大分類aであって、設計者用a1、ガス会社用a2、管理維持会社用a3など、また、ユーザ用が大分類bであって、ユーザ1用b1、ユーザ2用b2などと細分化することができる。そして、それぞれの識別符号に応じて、送信するデータが決められていれば、その識別符号に応じて、EEPROM152から、直ちに必要な情報を情報取得者に送信することができる。そのため、EEPROM152に記憶されているデータであれば、警報器1の電源13がオフになっていても、EEPROM152から読み出される。しかし、後述するように、警報器1の電源13がオンになっていれば、EEPROM152に記憶されていないで、警報器1のメモリ122に記憶されている情報でも読み取ることができる。また、携帯情報端末2から新たな取得データを要求することもできる。すなわち、警報器側通信制御部151から直接マイコン121に指示が送られ、予め決められていないデータでも、携帯情報端末2側からの要求に応えることができる。
また、警報器1側の電源13がオンの状態であれば、NFCタグ15のような無電源(電池や商用交流電源のような本来の電源が無い場合)の通信に限定されないで、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)など多量の情報通信を行うことができる無線通信を利用することもできる。要するに、警報器1の電源13がオンになっていれば、マイコン12のメモリ122に記録されている事項を特別に取得するように指示したり、事後的(警報器1の設置後)に特別なデータをマイコン12が取得するように指示したりする情報を書き込むこともできる。換言すれば、NFCタグ15の電源153は、後述するように、非常にわずかな電力しかないため、パケット化した、小さいシンプルな情報でEEPROM152を通じて送受信することができるように構成されている。
NFCタグ15のメモリとしてのEEPROM(Electric Erasable Program Read Only Memory)152は、電気的に消去したり書き込んだりすることができるメモリであり、前述のように監視データや機器データを時間の経緯と共に記憶することができる。そのため、経時変化や事故発生回数なども刻々と改訂して記憶させることができる。ただし、この場合は電力を多く必要とするため、警報器1側の電源13を利用してもよい。すなわち、センサ部11は電源13が動作していないと動作しないため、センサ部11のデータが出力されるときは必ず電源13は動作しており、その電源13を用いてEEPROM152が動作するように接続されている。このようなデータは、警報器1の電源13を利用してパケット化することなどにより、NFCタグ15に専用の電源を有していなくても、簡易な電源153により携帯情報端末2との間で送受信をすることができる。なお、EEPROM152は、警報器1の電源13がオフの状態でもデータ送信できるようにするため、後述するように、携帯情報端末2からデータ取得信号が送られてきたときには、その携帯情報端末2からの電波により誘起される電力が利用され、携帯情報端末2からのそのような電波が送られていない時は、警報器1の電源13が利用されるように、警報器側通信制御部151により制御される切替スイッチ155(図3参照)により切り替えられる。
このEEPROM152に記憶させるデータには、例えば警報器の製造、販売、管理等をする警報器関連事業者にとって有用なデータ、例えばそれまでの警報回数、警報時の監視データ、保障残存時間、過去の点検結果などが記憶される。また、生産担当者にとっては、検査担当者名、製造番号、製造年月日、ロット番号など、緊急出動保安職員にとっては、警報の種類、警報している時間、ガス濃度、警報回数、交換期限などが有用となる。さらに、警報器を設置するユーザサイドとして取得を希望するデータとして、例えば定期的なガス濃度などのセンサ部11での実測値、点検結果、電源13として電池を使用する場合の電池の残存容量、警報器1の保証残存期間(交換期限)、非常時の場合の警報の種類などが例示される。センサ部11で検出したデータが警報する閾値に達していない場合でも、実際にガスが若干でも漏れているのか、などのデータを認識することができれば、換気などの注意を払うことができる。また、全く異常がない場合でも、警報器が動作していることを確認できれば、安心感を持つことができる。
また、EEPROM152に記憶しておく情報として、上述のような監視データおよび機器データなどのデータ類に限られるものではなく、所定の事象が発生した際(例えば監視領域における所定の変化により警報ブザーが鳴った時、警報器の故障時など)にどのような対応をとれば良いかというマニュアルや、連絡すべき場所を発信できるように記憶させておくこともできる。例えば、ユーザなどが急に警報音が鳴り始めると、パニック状態になり、何をすればよいか分からなくなる場合があるが、このような場合に後述する携帯情報端末2を警報器1にかざせば、「○○に電話をしてください」や、「都市ガスが漏れているので、ガスの元栓を閉めて窓を開け換気してください」などのメッセージを、音声または携帯情報端末2のディスプレイに表示することができる。
さらに、警報時における警報器関連事業者向けのメッセージとして、例えば確認すべき事項に関するメッセージを送信することができるようにすることもできる。すなわち、ユーザや関連事業者によって対応が異なるので、その情報取得者に応じて必要な情報を送ることができる。
NFCタグ15の電源153は、例えばICカードのように、NFCタグ15の周囲にアンテナ154と兼用として巻回されたコイルにより発生する電磁誘導の起電力を利用している。そのため、電池などを搭載することなく(無電源で)、しかも警報器1の電源13がオフにされていても、携帯情報端末2からの電波により警報器側通信制御部151を起動させることができ、EEPROM152に記憶された情報を携帯情報端末2に送信することができる。要するに、NFCタグ15の周囲に形成される図示しないコイルにより、電源153およびアンテナ154が形成され、携帯情報端末2との間の送受信が行われる。
このNFCタグ15のEEPROM152は、携帯情報端末2と通信を行わないときでも監視データや機器データが書き込まれるようになっている。そのため、EEPROM152は、警報器1の電源13によっても動作し得るように接続されている。従って、例えば図3に示されるように、警報器側通信側制御部151に電源切替スイッチ155が設けられ、携帯情報端末2からの信号を受信して電源153が働き、警報器側通信制御部151が起動したら、電源切替スイッチ155が作動してNFCタグ15の電源153により動作するように構成されている。この電源切替スイッチ155は、例えばNFCタグ15の電源153が動作しなくなると自動的に警報器の電源13と接続するようになっている。
携帯情報端末2からEEPROMに記憶される情報を変更するように指示することもできる。この場合、ユーザやガス関連事業者などの操作者によって、変更できる内容は同じでもよく、変更できる内容を操作者によって変更してもよい。
以上の例では、NFCが、RFID(Radio Frequency Identification)規格を利用することを想定している。例えばNFCタグ15側の電源153として、誘導起電力を利用したものが用いられるが、公知の他の構成を使用することもできる。また、警報器1自体は、前述のように、商用電源または少なくとも電池という電源13を有している。従って、この電源13を利用すれば、より多くのデータを送受信することができ、さらに利用価値が向上する。たとえばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)のような通信手段を用いることができる。
このようなブルートゥース(登録商標)などの内蔵電源(商用電源に接続するコンセントなどの接続手段を含む)を有する近距離通信装置で取得することができるデータとしては、NFCで取得するデータの他に、これらの加工データでも取得することができるし、予め設定してなくても、事後的に必要なデータを要求して取得することもできる。
例えば、NFCに代えてブルートゥース(Bluetooth:登録商標)のような通信手段を用いる場合には、警報器1の電源13とは異なる電源を通信手段用に設けてもよい。このようにすることによって、警報器1の電源がOFFの場合でも、NFCと同様に通信を行うことができる。この場合は、現在の技術水準では電源を必要とするが、大量のデータの送受信を行うことができ、予め定められたデータだけではなく、携帯情報端末2から要求することにより、警報器1のメモリ122に記憶されているデータおよびそのデータの加工データでも入手することができる。このように、ブルートゥース(登録商標)を用いることにより、現時点では電源が必要になるが、非常に多くのデータを取得することができるというメリットがある。従って、目的に応じて近距離通信装置15に何を用いることが適切かを判断することができる。
このような多量の情報を送受信することができる無線端末が利用されれば、種々のデータ送受信を無線で行うことができ、例えば携帯電話などを警報器1に近接させることなく、すなわち遠く離れたところにいる関係者の携帯情報端末2にも、警報器1の情報を伝達することができる。
携帯情報端末2としては、通常の携帯電話、スマートフォン、タブレット型情報端末など、種々の携帯機器を用いることができる。ただし、予め警報器側通信制御部151との通信を行うためのプログラムをアプリケーションとしてインストールしておく必要がある。その結果、警報器1に対して、要求するデータを特定した信号を無線で送信できるように製造された端末側通信制御部21が、携帯情報端末2に内蔵されている。そして、取得したいデータの種類に合せて識別符号を設定しておけば、識別符号がその携帯情報端末2に1個だけの場合には、その端末側通信制御部21を起動させるだけで、その識別符号がアンテナ22から送られ、その識別符号に応じたデータおよび/または情報が送り返される。識別符号が2種類以上ある場合には、端末側通信制御部21を起動した後に、携帯情報端末2で、所望のデータをまとめた識別符号を指定して携帯情報端末2を警報器にかざすだけで、その所望のデータやメッセージを得ることができる。
従って、利用者は、識別符号を含む所望のデータを示す信号を携帯情報端末2から発信し、警報器1に届くように近接させることにより、警報器側通信制御部151は自動的にその識別符号に応じた監視データおよび機器データの該当するデータを送信することができる。要するに、NFCタグ15側で、携帯情報端末2から送られてくる識別符号に応じた情報取得者側の所望するデータをパケットとして直ちに送信することができる。そのため、特に警報器1側に内蔵電源を所有していなくても、携帯情報端末2から送信される電波で発生する誘起電力だけで所望されるデータを送り返すことができる。
次に、この警報器1と携帯情報端末2とを用いて、データの送受信を行うフローについて、図4に示されるフローチャートを参照しながら説明する。
まず、携帯情報端末2から情報取得の信号が送られてくる(S1)と、NFCタグ15の電源153が動作する(S2)。その結果、警報器側通信制御部151が起動し(S3)、電源切替スイッチ155を作動させ、EEPROM152はNFCタグ15の電源153で動作するように変更される(S4)。
次いで、携帯情報端末2からの送信信号の識別符号を認識する(S5)。すなわち、例えば、予め警報器関連事業者が求める情報を識別符号aの大分類とし、ユーザが求める情報を識別符号bの大分類としておき、それぞれの識別符号に対しては、どのような情報を送信するかを定めておくことにより、識別符号を認識することで、どの情報を送信すべきかを直ちに認識することができる。勿論、警報器関連事業者が求める情報でも、細分化することができ、それらをa1、a2、a3、・・・などと識別符号で細分化することができる。また、ユーザが求める情報も、細分化して、b1、b2、b3、・・・と識別符号により分別することができる。
次に、認識した識別符号が、通常の予め設定したデータを求める識別符号なのか、予め設定してない特別なデータまたは情報を要求する識別符号なのかを判定する(S6)。例えばこのような識別符号をxとしておくことができる。この識別符号がxである場合(S6でYの場合)には、図5に基づいて説明するAに進む。識別符号が特別な場合のxではない場合(S6でNの場合)には、携帯情報端末2から信号を受信したときに、所定の事象が発生しているか(例えば監視領域における所定の変化により警報ブザーが鳴った時、警報器の故障時など)否かを判断する(S7)。
携帯情報端末2からの信号が来たときに、所定の事象が発生している場合には(S7でYの場合)、識別符号に応じた非常時用の情報を送信する(S8)。すなわち、識別符号が警報器関連事業者からの識別符号a1、a2、・・・である場合には、警報器関連事業者がとるべき処置に対応する情報を、また、ユーザからの識別符号b1、b2、・・・である場合には、例えば緊急連絡先の電話番号などを提供して電話することを勧めたり、ガスの元栓を閉めて窓を開け換気を良くすることを勧めたりする。すなわち、識別符号に応じた情報を送信する(S8)。
また、携帯情報端末2からの信号が来たときに、所定の事象が発生していない場合(S7でNの場合)には、前述の予め分類した情報をパケットとしてEEPROM152から取り出し、送信する(S9)。
図4に示された例は、予め識別符号に応じて送信する情報が定められて、予めパケットとしてまとめられた情報のみを送信する例であったが、警報器1の電源13がオンの状態であれば、EEPROM152には記憶されていないが、警報器1のマイコン12のメモリ122に記憶されている情報を外部から読み取ることもできる。その例が図5にフローチャートとして示されている。すなわち、前述の図4のフローチャートのステップS6で、送信信号の識別符号の認識が特別な識別符号xである場合(S6でYの場合)、Aに進んだ後のフローが図5に示されている。
すなわち、図5は、図4のステップS6のYの場合に続くフローチャートであり、認識した識別符号が特別な識別符号xである場合のフローである。
まず、警報器1の電源13がオンになっているかを確認する。電源13がオンになっていない場合(S11でNの場合)には、携帯情報端末2にデータ取得が不可能である旨の返事を送る(S12)。すなわち、NFCタグ15の警報器側通信制御部151からマイコン12の制御部121に指示を送っても応答の無い場合は、マイコン12が動作していないことを示しているので、電源13が動作していないことを認識することができる。
ステップS11で、Yの場合、警報器側通信制御部151で受信した受信情報をマイコン12の制御部121に転送する(S13)。この後のS14〜S18は、マイコン12の制御部121での動作になる。
制御部121では、まず、送信されてきた情報を解読する(S14)。その要求が、メモリ122に記憶されている内容のものであれば、所要のデータの出力をメモリ122に要求する(S15)。そして、メモリ122から所望のデータを受領する(S16)。携帯情報端末2からの要求が、例えば各センサ111、112・・・の最新出力のようなメモリ112に、まだ記憶されていないようなデータの場合には、制御部121が直接データを取得する(S17)。そして、これらメモリ122から受領したデータおよび/または直接受領したデータをNFCタグ15の通信制御部152に送信する(S18)。
通信制御部152では、その受領したデータを、アンテナ154を介して携帯情報端末2に送信する(S19)。このように、予め取決めされていないデータでも携帯情報端末2側からの要求に応じて取得することができる。このように、警報器1の電源13を利用する場合には、前述のように、ブルートゥース(登録商標)のような、さらに情報量の多い無線通信を併用または、NFCタグに代えて使用することもできる。
このように、例えばNFCタグ15のような無線通信用タグが設けられていることにより、無線で製造段階から警報器の製品にして実際に設置された後まで、幅広く活用することができる。すなわち、製造段階で基板にこの無線通信タグが実装されることにより、無線で製造段階でのデータを書き込んで、管理することができるので、細かい品質管理をすることができる。すなわち、従来はQRコード(登録商標)などを貼り付けることにより生産管理が行われていたが、基板にケーシングをすると再度QRコード(登録商標)を貼り付け直す必要があった。しかし、本発明では、ケースが被せられた後でも、無線でデータの書込みや読出しをすることができるので、極めて容易に生産管理をすることができ、品質管理の点から非常に信頼性を向上させることができる。さらに、温度補償などの設定値を修正したり、変更したりすることが容易になる。
また、製品になってからの品質管理に関しても、非接触で過去データを読み出すことができるので、警報器を設置したままで品質を管理することができ、非常にきめ細かに製品管理をすることができる。また、返品などでは、部屋の隅に設置されていた関係で、非常に汚れて触るのも躊躇するようなケースもあるが、そのような状態でも実際に警報器に触れることなく、携帯情報端末を近接させるだけで簡単に過去データを読み出すことができ、返品された原因を追究しやすい。さらに、警報器本体の電源が入らなくなったというような返品の場合でも、電源なしで過去データの履歴を検出することができるので、電源の入らない理由を容易に判別することができる。
さらに、警報器が設置された現場においても、警報器関連事業者にとっても、また、ユーザサイドにとっても、警報器の性能向上、維持管理上の点から、非常に有力な武器となる。すなわち、警報器関連事業者にとって、センサの感度の推移、検出対象の感度の相違などの検出データから、また、警報や故障情報の取得から、警報器のセンサの改良、設置場所の改善、警報器内の通気性の改良など、様々な改善点を把握しやすい。
また、ユーザサイドにとっても、従来では警報器が設置されているだけで、警報音が鳴らない限り何の反応もなく、動作しているのか否かも分らない状態であったが、本発明によれば、例えば携帯電話をかざすだけで、警報器が動作しているのか否か、さらには、僅かでもガス漏れが検出されているのか否か、設置日から有効期間が5年である場合に、現在何年であと何か月の有効期間である等、種々のデータを簡単に取得することができる。さらには、警報器診断プログラムを携帯電話などにインストールしておくことにより、例えば温度センサは正常であるが、ガスセンサは感度が若干落ちている、というような診断結果を簡単に得ることができる。
すなわち、本発明の警報器を備える警報器システムによれば、前述のEEPROM152またはマイコン12のメモリ122に保存される監視データおよび機器データに、予め情報取得者に応じて定められたデータを含ませておき、さらに、携帯情報端末2が、その携帯情報端末2を利用する情報取得者、例えば、警報器関連事業者、ユーザ、その他の者、に応じた情報取得者の識別情報を常に前記警報器に送信するプログラムを有していることにより、そのプログラムが起動され、かつ、携帯情報端末2が警報器1に近接されることにより、識別情報に基づいて、自動的に情報取得者に応じた監視データおよび/または機器データが取得されるように構成されている。従って、警報器関連事業者であろうと、ユーザであろうと、あるいは他の関係者であろうと、自分の識別情報が入力された携帯情報端末2を警報器1にかざすだけで、自分に必要な情報だけを取得することができる。
この場合、監視データや機器データのみならず、所定の事象が発生した際(例えば監視領域における所定の変化により警報ブザーが鳴った時、警報器の故障時など)に、情報取得者に応じた情報(対処法などのメッセージ)がEEPROM152に記憶されることにより、非常時に携帯情報端末2が警報器1に近接されることにより、警報器関連事業者やユーザなどの情報取得者に応じた処理法が取得される構成にすることができる。
上述のように、NFCにより取得したデータ、またはブルートゥース(登録商標)などにより取得したデータを、さらに携帯情報端末2を介して他の通信機と連結して情報を共有化することもできる。
また上述の実施形態のように、制御部121と通信制御部151とをそれぞれ設けず、制御部121に通信制御部151が含まれるように構成し、上述の実施形態と同様に電源13がオフの場合には、電源153によって制御部121が動作し、携帯情報端末2と通信を行うように構成してもよい。
さらに、上記の実施形態で示した各部の構成やフローチャート処理は1つの例であり、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。