(1)超音波診断装置の構成および基本的な動作
図1には超音波診断装置の構成が示されている。超音波診断装置は、送受信制御部10、送信部12、探触子14、受信部20、整相加算部22、超音波画像生成部24、ディジタルスキャンコンバータ(DSC)26、装置制御部28、動き検出部30、表示部52、シネメモリ54、および記憶部56を備える。これらの構成要素のうち、送受信制御部10、整相加算部22、超音波画像生成部24、DSC26、装置制御部28、および動き検出部30は、例えば、プロセッサ等の演算処理デバイスによって構成される。演算処理デバイスには、例えば、プログラムによって各構成要素が構成されるものが用いられる。
超音波診断装置は、探触子14によって被検体18に対して超音波を送受信し、モニタとしての表示部52に断層画像を表示する。また、探触子14における受信超音波に基づく受信信号の変化に応じた指令が超音波診断装置に与えられ、探触子14の動きに応じて超音波診断装置に指令が与えられる。なお、本願明細書では、受信された超音波に基づき超音波診断装置内で伝送されるあらゆる信号またはデータを受信信号と定義する。
超音波診断装置の動作状態には、通常の状態およびソフトフリーズがオンの状態がある。通常の状態は、時間経過と共に順次生成される断層画像データに基づいて、表示部52に動画像を表示する動作状態である。
ソフトフリーズとは、表示部52には静止画像を表示しながらも、探触子14の動きに応じて超音波診断装置に指令を与える機能をいい、ソフトフリーズがオンの状態とは、この機能を実行する動作状態をいう。ソフトフリーズがオンの状態では超音波の送受信を行うための構成要素が動作している。この構成要素は、例えば、超音波画像生成部24、およびDSC26を除いた構成要素である。一般に、静止画像を表示すると共に、超音波の送受信を行う回路をオフとする(超音波の送受信を行う回路の電源電力を遮断する)フリーズが知られているが、超音波の送受信を行うための回路をオンに維持するという点で、ソフトフリーズは一般的なフリーズと異なる。
以下の説明では、通常の状態およびソフトフリーズがオンの状態を、それぞれ、通常状態およびソフトフリーズオン状態とする。
通常状態において断層画像を表示する構成および処理について説明する。探触子14は、複数の振動素子16を備えている。複数の振動素子16は、被検体18に接触させる面に沿ってx軸方向に配列されている。
計測に際して、探触子14は被検体18の表面に接触した状態とされる。各振動素子16は、送信部12から出力された送信信号に応じて超音波を発生する。送信部12は、送受信制御部10による制御に従い、各振動素子16に出力する送信信号の遅延時間を調整し、探触子14において送信超音波ビームを形成し、さらに、その送信超音波ビームを被検体18に対して走査する。送信超音波ビームは、例えば、放射方向をy軸正方向に向けてx軸方向に直線状に走査してもよい。また、送信超音波ビームの放射点を探触子14上の固定端として、送信超音波ビームを回転走査(セクタ走査)してもよい。
その他の送受信態様として、探触子14から被検体18に平面波が送信されるように、送信部12が各振動素子16に送信信号を出力してもよい。例えば、複数の振動素子16が直線状に配列されている場合には、各振動素子16に出力される送信信号の強度および出力タイミングを同一とし、各振動素子16に同一強度の超音波を同時に発生させる。これによって、探触子14の接触面と平行な波面を有する平面波が発生する。複数の振動素子16が直線状に配列されていない場合には、各振動素子16の位置に応じて、各振動素子16に発生させる超音波の強度、または、各振動素子16に超音波を発生させるタイミングを調整してもよい。
被検体18内で反射した超音波が探触子14の各振動素子16で受信されると、各振動素子16は、受信された超音波に応じた電気信号を受信部20に出力する。受信部20は、送受信制御部10の制御に従い、各振動素子16から出力された各信号に対して増幅、直交検波等の処理を施す。これによって、受信部20は、複数の振動素子16に対応する複数チャネルの受信ベースバンド信号を生成し、整相加算部22に出力する。
整相加算部22(フレームデータ生成部)は、複数チャネルの受信ベースバンド信号を整相加算して、複数の受信超音波ビームに対応する複数の受信ラインデータを生成する。y軸方向に向けられた送信超音波ビームがx軸方向に直線走査される場合、整相加算部22は、各送信超音波ビームと同一方向に向けられた各受信超音波ビームを送受信制御部10の制御に従って形成し、各受信超音波ビームに対応する受信ラインデータを生成する。探触子14から平面波が送信される場合にも、整相加算部22は同様の複数の受信ラインデータを生成する。
すなわち、複数の受信ラインデータは、被検体18の深さ方向(y軸方向)に向けられてx軸方向に並ぶ複数の受信ビームラインに対応する。各受信ラインデータは、対応する受信ビームライン上の各位置(各y座標値)に対して受信データが対応付けられたデータである。
送受信制御部10、送信部12、探触子14、および受信部20は、断層画像が観測される観測面に対し超音波ビームの走査を繰り返し行う。整相加算部22は、繰り返し行われる超音波ビームの走査に対応して、時間経過と共に順次フレームデータを生成し、超音波画像生成部24、および動き検出部30に順次、フレームデータを出力する。
なお、探触子14から平面波が送信される場合には、送受信制御部10、送信部12、探触子14、および受信部20は、断層画像が観測される観測面に対し、平面波の送信およびこれに伴う反射超音波の受信を繰り返し行う。整相加算部22は、繰り返し行われる超音波の送受信に対応して、時間経過と共に順次フレームデータを生成する。
超音波画像生成部24は、フレームデータに対し、ゲイン補正、ログ圧縮、フィルタ処理等の視認性を調整する信号処理を施して、縦方向および横方向に配列された複数の画素を表す断層画像データを生成し、DSC26に出力する。DSC26は、断層画像データを、画像表示を行うためのビデオ信号に変換して装置制御部28に出力する。装置制御部28は、DSC26から順次出力された断層画像データに基づく画像を、動画像として表示部52に表示させる。
装置制御部28は、表示対象となっている断層画像データから過去に遡って所定フレーム数の断層画像データをシネメモリ54に記憶させる。装置制御部28は、シネメモリ54に記憶された各断層画像データに基づく画像を、ユーザの操作に基づいて、静止画像または動画像として表示部52に表示してもよい。
(2)状態切り換え処理
超音波診断装置の動作状態を切り換える処理について説明する。状態切り換え処理は、探触子14の動きに応じて行われる。通常状態の超音波診断装置は、探触子14が被検体18に接触した状態で静止したことを認識し、かつ、その後に探触子14が被検体18から離れたことを認識すると、ソフトフリーズオン状態となり、探触子14が静止したときの断層画像を静止画像として表示部52に表示する。
(2−1)状態切り換え処理を実行するための構成
状態切り換え処理は、動き検出部30が装置制御部28に出力する情報に基づいて行われる。動き検出部30は、バッファメモリ32、フレーム間相関演算部36、静止判定部38、接触判定部42および動きフレーム生成部34を備える。これらの構成要素の一部または総ては、装置制御部28の内部に構成されてもよい。
バッファメモリ32は、整相加算部22から最新のフレームデータが出力されたときから、過去に遡って所定フレーム数のフレームデータを記憶する。この所定フレーム数のフレームよりも先に記憶されたフレームデータは、新たなフレームデータが記憶されるごとに削除されてもよい。フレーム間相関演算部36は、異なる時間に生成された複数のフレームデータをバッファメモリ32から読み込み、これら複数のフレームデータの近似度を表すフレーム間相関値を求める。
フレーム間相関演算部36は、例えば、最新のフレームデータと1フレーム前のフレームデータをバッファメモリ32から読み込み、最新のフレームデータと1フレーム前のフレームデータについてフレーム間相関値を求める。相関演算は、例えば、観測面上の同一位置のデータ値を乗算し、各位置について求められた乗算値を加算合計する演算として定義される。フレーム間相関値は、0以上1以下の値となるように規格化されてもよい。また、フレーム間相関値は、予め観測面上に設定された関心領域について求められてもよい。このように定義されたフレーム間相関値は、値が大きい程、2つのフレームデータが近似していることを意味する。被検体18内の生体組織が動かないという条件下では、探触子14の動きが遅い程、フレーム間相関値が大きくなる。フレーム間相関演算部36は、整相加算部22からバッファメモリ32に新たにフレームデータが出力されるごとにフレーム間相関値を生成し、装置制御部28および静止判定部38に出力する。
なお、フレーム間相関値は、バッファメモリ32に記憶された複数のフレームデータから、その他の規則性に基づいて選択された複数のフレームデータに基づき生成してもよい。例えば、最新のフレームデータとNフレーム前のフレームデータに基づいてフレーム間相関値を求めてもよい。ここでNは2以上の任意の整数である。また、複数のフレームデータのうち時間的に隣接する2つのフレームデータの組のそれぞれについて仮のフレーム間相関値を求め、これら仮のフレーム間相関値に対する重み付け平均化(移動平均化)によって得られた値がフレーム間相関値として求められてもよい。
静止判定部38は、フレーム間相関値が所定の静止閾値以上である場合には、探触子14が静止している旨の静止判定をし、その旨を示す静止情報を装置制御部28に出力する。
接触判定部42は、探触子14が被検体18に接触しているか否かを判定する。この判定は、フレームデータと基準フレームデータとの相関値に基づいて行われる。基準フレームデータは、探触子14が被検体18から離れている場合におけるフレームデータに相当し、予め接触判定部42に記憶されている。基準フレームデータを概念的に白黒画像で表した場合、図2に示されているように、探触子14近傍に多重エコーを表す濃淡の縞が現れる。接触判定部42は、フレームデータと基準フレームデータとの相関値を求める。接触判定部42は、相関値が所定の非接触閾値以上となったときに、探触子14が被検体18から離れている旨の非接触判定をし、その旨を示す非接触情報を装置制御部28に出力する。
なお、基準フレームデータは、異なる複数の計測条件のそれぞれについて接触判定部42に記憶されていてもよい。計測条件には、例えば、受信部におけるゲイン、超音波の周波数、フォーカス深度(焦点位置)等がある。この場合、接触判定部42は、記憶された複数の基準フレームデータのうち、判定対象のフレームデータの計測条件に対応する基準フレームデータを選択し、判定に用いる。また、超音波診断装置は、探触子14が被検体18から離れた状態でフレームデータを生成することで基準フレームデータを生成し、接触判定部42に記憶させるキャリブレーションを実行してもよい。
装置制御部28は、超音波診断装置の動作状態の設定、表示部52に表示する画像に関する処理等、超音波診断装置に対する全体的な制御を行う。装置制御部28には、状態設定部44、期間設定部45、表示処理部48および指令生成部50が構成される。これらの構成要素は、装置制御部28が有する各機能を実行するものであり、例えば、装置制御部28が実行するプログラムによって仮想的に構成される。
状態設定部44は、装置制御部28が取得した情報に基づき超音波診断装置の動作状態を設定する。例えば、通常状態からソフトフリーズオン状態への切り換え、およびソフトフリーズオン状態から通常状態への切り換えを行う。期間設定部45は、探触子14の動きに応じて超音波診断装置に指令を与える際のタイミングに関する値を設定する。表示処理部48は、装置制御部28が取得した情報に基づき、超音波診断装置の動作状態に応じて、画像表示に関する処理を実行する。指令生成部50は、超音波診断装置がソフトフリーズオン状態にあるときに装置制御部28が取得した情報に基づき、指令情報を生成する。装置制御部28は、指令情報に応じて超音波診断装置を制御する。
(2−2)状態切り換え処理の概要
状態切り換え処理の概要について説明する。最初に超音波診断装置は通常状態にあり、探触子14は被検体18に接触しているものとする。装置制御部28は、静止判定部38によって静止判定がされると、静止判定時を基準としたジェスチャ受付期間およびデータ選別期間を設定する。ジェスチャ受付期間は、静止判定時から所定時間後までの期間であり、超音波診断装置によって探触子14の動き、すなわち、ジェスチャが指令として受け入れられる期間である。静止判定時はジェスチャ受付期間に含まれるものとする。データ選別期間は、静止判定時から所定時間だけ遡るまでの期間であり、ソフトフリーズオン状態において表示部52に表示されるフリーズ画像が、この期間に生成された複数フレームの断層画像データから選別される。探触子14が静止した状態が維持され、静止判定が繰り返し行われると、静止判定が行われるごとにジェスチャ受付期間およびデータ選別期間が更新される。すなわち、静止判定が行われるごとに、ジェスチャ受付期間およびデータ選別期間は未来方向に移動する。なお、データ選別期間は、静止判定時に限らず、整相加算部22からフレームデータが出力されるごとに設定されてもよい。
装置制御部28は、ジェスチャ受付期間内に接触判定部42によって非接触判定がされると、超音波診断装置をソフトフリーズオン状態に設定する。ソフトフリーズオン状態では、表示部52にフリーズ画像が表示される。超音波を送受信する構成要素が動作しており、後述のように、探触子14の動きに応じて超音波診断装置に指令が与えられる。フリーズ画像は、例えば、データ選別期間の間で、フレーム間相関値が最大となったときにおける断層画像データに基づく画像である。装置制御部28は、ジェスチャ受付期間外に探触子14が被検体18から離れた場合には、超音波診断装置をソフトフリーズオン状態に設定せず、超音波診断装置を通常状態に維持する。
このような処理によれば、探触子14が静止することで静止判定時から将来に向かってジェスチャ受付期間が設定され、ジェスチャ受付期間内に探触子14が被検体18から離れることで、超音波診断装置がソフトフリーズオン状態に設定される。したがって、探触子14の静止、および探触子14の被検体18からの離脱という2つの動きに基づいて、超音波診断装置が通常状態からソフトフリーズオン状態に切り換えられる。これによって、ユーザの意図に反して超音波診断装置の状態が通常状態からソフトフリーズオン状態に切り換わってしまう可能性が低くなる。
(2−3)状態切り換え処理の具体例
次に、状態切り換え処理の具体例について説明する。図3には、フレーム間相関演算部36、静止判定部38、および接触判定部42から出力される情報に基づいて超音波診断装置が実行する状態切り換え処理のフローチャートが示されている。
最初に超音波診断装置は通常状態にあり、探触子14は被検体18に接触しているものとする。また、装置制御部28は、過去に遡った所定のフレーム数について、フレーム間相関値を時間に対応付けて記憶部56に記憶しているものとする。
整相加算部22は、観測面に対する超音波の送受信に応じて、1フレームのフレームデータを生成し(S101)、フレームデータを動き検出部30および超音波画像生成部24に出力する。装置制御部28は、超音波診断装置が、ソフトフリーズオン状態であるか否かを判定する(S102)。装置制御部28は、超音波診断装置がソフトフリーズオン状態であるときは、フリーズ画像を表示部52に表示させる(S110)。一方、超音波診断装置がソフトフリーズオン状態でないときは、装置制御部28は、静止判定部38によって静止判定がされたか否かを判定する(S103)。装置制御部28は、静止判定がされた場合には、データ選別期間およびジェスチャ受付期間を更新した上で(S104)、ステップS106に進む。装置制御部28は、静止判定がされない場合には、各期間を更新することなくステップS105に進む。
ステップS105において装置制御部28は、現時点がジェスチャ受付期間内かを判定する(S105)。装置制御部28は、現時点がジェスチャ受付期間内でないときは、超音波診断装置を通常状態とし(S109)、時間経過と共に順次生成された断層画像データに基づく画像を動画像として表示部52に表示させる(S110)。
装置制御部28は、現時点がジェスチャ受付期間内である場合には、記憶部56およびシネメモリ54を参照し、フリーズ画像を選別する(S106)。フリーズ画像は、例えば、データ選別期間の間でフレーム間相関値が最大となったときにおける断層画像データに基づく画像である。フリーズ画像は、データ選別期間の間で、フレーム間相関値が所定値以上の複数フレームの断層画像データのいずれかに基づく画像であってもよい。フリーズ画像を示す断層画像データは、記憶部56に記憶されている過去のフレーム間相関値に基づき、シネメモリ54から読み込まれる。
装置制御部28は、探触子14が被検体18から離れたか否かを判定する(S107)。この判定は、接触判定部42から非接触情報が出力されたか否かに基づいて行われる。装置制御部28は、探触子14が被検体18から離れていないとの判定をした場合、超音波診断装置を通常状態に設定し(S109)、断層画像データに基づく画像を表示部52に表示させる(S110)。一方、探触子14が被検体18から離れているとの判定をした場合、装置制御部28は、超音波診断装置をソフトフリーズオン状態に設定し(S108)、フリーズ画像を表示部52に表示させる(S110)。装置制御部28は、各動作状態に応じた画像を表示部52に表示させた後(S110)、ステップS101に戻る。
図3に示される処理によれば、各静止判定時においてジェスチャ受付期間が設定される。そして、ジェスチャ受付期間内に、探触子14が被検体18から離れた場合には、ステップS108に基づき超音波診断装置がソフトフリーズオン状態に設定される。ソフトフリーズオン状態では、ステップS101、S102およびS110の順に各ステップが繰り返される。
ステップS104は、ステップS103の判定に応じて実行される。すなわち、静止判定がされるごとに(S103)、データ選別期間およびジェスチャ受付期間が静止判定時を基準として更新される(S104)。探触子14が静止している状態が継続し、時間間隔Tで複数回に亘って静止判定がされる場合、静止判定がされるごとにデータ選別期間およびジェスチャ受付期間が時間Tだけ未来方向に移動する。
したがって、探触子14を被検体18に接触させた状態で静止させ、探触子14を被検体18から離すことで、超音波診断装置は、通常状態からソフトフリーズオン状態に設定される。
探触子14が被検体18に接触した状態が維持される場合には、ジェスチャ受付期間に関わらず、超音波診断装置は通常状態とされる。すなわち、ジェスチャ受付期間内では、ステップS101〜S107、S109およびS110の順に各ステップが実行され、超音波診断装置が通常状態とされる。ジェスチャ受付期間外では、ステップS101〜S105、S109およびS110の順に各ステップが実行され、超音波診断装置は通常状態とされる。
図4(a)および(b)には、それぞれ、フレームデータと基準フレームデータとの相関値(接触相関値A)、およびフレーム間相関値Bの例が示されている。横軸は時間を示し、縦軸は、それぞれ、接触相関値Aおよびフレーム間相関値Bを示す。接触相関値Aは、フレームデータと基準フレームデータとの相関値であり、接触判定部において生成される。
この例では、時間t(−18)から時間t(−8)までの間、探触子が被検体に接触しながら移動している。時間t(−8)から時間t(−4)までの間、探触子は被検体に接触した状態で静止し、時間t(−4)から探触子が被検体に接触しつつも離れ始め(半接触)、時間t(0)に探触子は被検体から離れる。
フレーム間相関値Bは、時間t(−9)以前では静止閾値S未満であるものの、時間t(−8)〜時間t(−4)では静止閾値S以上となる。そして、時間(−3)以降、再び静止閾値S未満となる。したがって、時間t(−8)〜時間t(−4)の間、時間間隔Tで静止判定がされる。静止判定時である時間t(−8)〜時間t(−4)のそれぞれにおいては、データ選別期間Dおよびジェスチャ受付期間Gが設定される。データ選別期間Dは、各静止判定時から10Tだけ過去に遡るまでの期間であり、ジェスチャ受付期間Gは、各静止判定時から5Tだけ後までの期間である。時間t(−8)に最初に静止判定がされてから、時間t(−7)〜時間t(−4)のそれぞれにおいて静止判定がされる。そのため、時間t(−8)にデータ選別期間Dおよびジェスチャ受付期間Gが設定された後、時間t(−7)〜時間t(−4)のそれぞれにおいては、静止判定がされるごとにデータ選別期間Dおよびジェスチャ受付期間Gが時間Tだけ後に移動する。
図4に示されている例では、時間t(0)に探触子が被検体から離れ、接触相関値Aが非接触閾値U以上となっている。時間t(0)は、直近の静止判定時t(−4)に設定されたジェスチャ受付期間G内にあるため、超音波診断装置はソフトフリーズオン状態に設定される。ソフトフリーズオン状態で表示されるフリーズ画像は、静止判定時t(−4)で設定されたデータ選別期間Dにおいて、フレーム間相関値Bが最大になる時間t(−5)における断層画像データに基づく画像である。なお、フリーズ画像は、探触子が被検体から離れた時間t(0)で設定されたデータ選別期間Dにおいて、フレーム間相関値Bが最大になる時間t(−5)における断層画像データに基づく画像であってもよい。
図4には、探触子が被検体から離れた直近の静止判定時が時間t(−4)であることが丸印Mによって示されている。さらに、時間t(−4)から10Tだけ遡ったデータ選別期間D内の時間t(−5)において、フレーム間相関値Bが最大になったことが丸印Pによって示されている。
(3)ジェスチャ受付期間の設定
ジェスチャ受付期間は、被検体18と探触子14との密着度に応じて設定されてもよい。被検体18と探触子14との密着度は、探触子14が一定の速さで被検体18から離れるとした場合に、探触子14が被検体18から離れ始めてから非接触判定がされるまでの離脱時間を定める値として定義される。すなわち、密着度が大きい程、離脱時間が長くなる。一般に、探触子14が被検体18に強い圧力で押し込まれている程、被検体18と探触子14との密着度が大きくなる。また、被検体18が軟らかい程、被検体18と探触子14との密着度が大きくなる。
被検体18と探触子14の密着度が大きい場合には、探触子14の離脱時間が長くなる。そのため、探触子14が被検体18から離れたとしてもジェスチャ受付期間内に非接触判定がされず、超音波診断装置をソフトフリーズオン状態に設定することをユーザが意図したにも拘わらず、超音波診断装置の状態がソフトフリーズオン状態に設定されないという空振りが生じ得る。そこで、装置制御部28が備える期間設定部45は、被検体18と探触子14との密着度が大きい程、ジェスチャ受付期間をより長い時間に設定してもよい。これによって空振りが生じる可能性が低くなる。
被検体18と探触子14との密着度は、装置制御部28が実行する診断アプリケーションに応じて装置制御部28が求めてもよい。診断アプリケーションは、例えば、乳房部、腹部、頸部等の診断部位に応じた画像を表示部52に表示させたり、診断部位に応じた測定状態に超音波診断装置を設定したりするアプリケーションである。
例えば、装置制御部28は、診断アプリケーションが、乳房部、腹部等の比較的軟らかい部位を診断するものである場合には、診断アプリケーションが、頸部、腕部、指等の比較的硬い部位を診断するものである場合に比べて密着度を大きい値とする。また、装置制御部28は、診断アプリケーションが、肝臓、腎臓等の深い位置にある部位を診断するものである場合には、診断アプリケーションが、頸部等の比較的浅い部位を診断するものである場合に比べて密着度を大きい値とする。これは、深い部位を診断する場合には、探触子14が被検体18に強く押し込まれることが多いためである。
このように、装置制御部28が備える期間設定部45は、被検体18と探触子14との密着度に基づいて、ジェスチャ受付期間の長さを調整する期間調整部として機能する。期間設定部45は、例えば、被検体18と探触子14との密着度が大きい程、ジェスチャ受付期間を長くする。これによって空振りが生じる可能性が低くなる。
被検体18と探触子14との密着度は、探触子14の形状や種類によっても異なる。例えば、曲面状の被検体接触面を有するコンベックスプローブは、平面状の被検体接触面を有するリニアプローブよりも密着度が小さくなる傾向にある。
装置制御部28は、予めユーザの操作によって入力された探触子14の形状、種類等に関する情報に基づいて密着度を求めてもよい。探触子14の形状に関する情報には、例えば、被検体接触面の曲率、幅等を表す情報がある。探触子14の種類には、例えば、コンベックスプローブ、リニアプローブ、経膣プローブ、経直腸プローブ等がある。
また、探触子14が超音波診断装置に取り付けられると共に、探触子14から装置制御部28に密着度に関する情報が与えられるように、超音波診断装置が構成されてもよい。 さらに、探触子14から被検体18に与えられる圧力を検出し、装置制御部28に検出値を出力する圧力センサを超音波診断装置に設け、圧力検出値に基づいて密着度を求める処理を装置制御部28が実行してもよい。また、ユーザの操作等に応じて、装置制御部28が表示部52に表示される部位の深さを設定する場合には、装置制御部28は、表示部位の深さが深い程、密着度を大きい値に設定してもよい。また、装置制御部28は、探触子14が形成する超音波ビームの焦点位置の深さが深い程、密着度を大きい値に設定してもよい。
装置制御部28が備える期間設定部45は、密着度に応じてジェスチャ受付期間を設定する他、ユーザの操作に基づく数値の読み込みによって、ジェスチャ受付期間を設定してもよい。ジェスチャ受付期間は、フレーム数を単位としてもよいし、時間を単位としてもよい。
(4)タイムスタンプ式状態切り換え処理
超音波診断装置の動作状態を切り換える処理としては、次のようなタイムスタンプ式の処理を採用してもよい。タイムスタンプ式状態切り換え処理では、静止判定がされるごとにタイムスタンプが記憶される。タイムスタンプは、静止判定がされた時間を示す情報である。超音波診断装置は、非接触判定がされたときは、過去に記憶されたタイムスタンプに基づいて、非接触判定がされた時から所定の遡及時間だけ遡った遡及受付期間内に静止判定がされたか否かを判定する。そして、遡及受付期間内に静止判定がされていた場合には、超音波診断装置はソフトフリーズオン状態となり、探触子14が静止したときの断層画像を静止画像として表示部52に表示する。
図5には、フレーム間相関演算部36、静止判定部38、および接触判定部42から出力される情報に基づいて超音波診断装置が実行するタイムスタンプ式状態切り換え処理のフローチャートが示されている。
整相加算部22は、観測面に対する超音波の送受信に応じて、1フレームのフレームデータを生成し(S401)、フレームデータを動き検出部30および超音波画像生成部24に出力する。装置制御部28は、超音波診断装置がソフトフリーズオン状態であるか否かを判定する(S402)。装置制御部28は、超音波診断装置がソフトフリーズオン状態であるときは、フリーズ画像を表示部52に表示させる(S410)。一方、超音波診断装置がソフトフリーズオン状態でないときは、装置制御部28は静止判定部38によって静止判定がされたか否かを判定する(S403)。装置制御部28は、静止判定がされた場合には、タイムスタンプを記憶部56に記憶した上で(S404)、ステップS405に進む。装置制御部28は、静止判定がされない場合には、タイムスタンプを記憶部56に記憶することなくステップS405に進む。
ステップS405において装置制御部28は、探触子14が被検体18から離れたか否かを判定する(S405)。この判定は、接触判定部42から非接触情報が出力されたか否かに基づいて行われる。装置制御部28は、探触子14が被検体18から離れていないとの判定をした場合、超音波診断装置を通常状態に設定し(S409)、断層画像データに基づく画像を表示部52に表示させる(S410)。
制御装置28は、遡及受付期間の間に静止判定がされたか否かを判定する静止履歴判定部としての機能を有する。すなわち、装置制御部28は、探触子14が被検体18から離れているとの判定をした場合、遡及受付期間内に静止判定がされたことを示すタイムスタンプが記憶部56に記憶されているか否かを判定することによって、遡及受付期間内に静止判定がされたか否かを判定する(S406)。遡及受付期間内に静止判定がされていなかった場合、装置制御部28は超音波診断装置を通常状態に設定し(S409)、断層画像データに基づく画像を表示部52に表示させる(S410)。
遡及受付期間内に静止判定がされた場合、装置制御部28はフリーズ画像を選別する(S407)。すなわち、装置制御部28は、遡及受付期間内に静止判定がされたことを示すタイムスタンプが示す時間から所定時間だけ遡ったデータ選別期間にシネメモリ54に記憶された断層画像データから、フリーズ画像を選別する。遡及受付期間内に複数のタイムスタンプがある場合、データ選別期間の基準となるタイムスタンプは、例えば、遡及受付期間内のタイムスタンプのうち最後のものとする。
データ選別期間は、静止判定がされるごとに各タイムスタンプと共に予め記憶部56に記憶させてもよいし、ステップS407を実行するときにタイムスタンプに基づいて求めてもよい。さらに、データ選別期間は、静止判定時に限らず、整相加算部22からフレームデータが出力されるごとに、整相加算部22からフレームデータが出力された時を基準に設定してもよい。この場合、非接触判定がされたフレーム生成時から所定時間だけ遡った期間がフリーズ画像を選別するためのデータ選別期間となる。
フリーズ画像の選別は、例えば、データ選別期間の間でフレーム間相関値が最大となったときにおける断層画像データに基づく画像をフリーズ画像とすることで行われる。また、フリーズ画像は、データ選別期間の間で、フレーム間相関値が所定値以上の複数フレームの断層画像データのいずれかに基づく画像であってもよい。
フリーズ画像を選別した後、装置制御部28は、超音波診断装置をソフトフリーズオン状態に設定し(S408)、フリーズ画像を表示部52に表示させる(S410)。装置制御部28は、各動作状態に応じた画像を表示部52に表示させた後(S410)、ステップS401に戻る。
図5に示される処理によれば、静止判定がされるごとにタイムスタンプが記憶される。非接触判定がされたときは、過去に記憶されたタイムスタンプに基づいて、非接触判定がされた時から遡及時間だけ遡った遡及受付期間内に静止判定がされたか否かが判定される。そして、遡及受付期間内に静止判定がされていた場合には、ソフトフリーズオン状態となり、探触子14が静止したときの断層画像が静止画像として表示部52に表示される。
したがって、ユーザが探触子14を被検体18に接触させた状態で静止させ、遡及受付期間に相当する時間が経過するまでの間に探触子14を被検体18から離すことで、超音波診断装置は、通常状態からソフトフリーズオン状態に設定される。探触子14が被検体18に接触した状態が維持されている限り、ステップS405によって超音波診断装置は通常状態とされる。また、探触子14が被検体18から離れた場合であっても、遡及受付期間内に静止判定がされていなかった場合には超音波診断装置は通常状態とされる。すなわち、ユーザが探触子14を被検体18に接触させた状態で静止させ、遡及受付期間に相当する時間が経過した後に探触子14を被検体18から離した場合には、超音波診断装置はソフトフリーズオン状態とはならず通常状態が維持される。したがって、タイムスタンプ式状態切り換え処理によれば、探触子14の動きに対し、上述の状態切り換え処理と同様の処理が実行される。遡及受付期間は、「(3)ジェスチャ受付期間の設定」で述べたように、被検体18と探触子14との密着度に応じて設定されてもよい。
図6には、接触相関値A、フレーム間相関値B、およびタイムスタンプが記憶されるタイミングの関係が示されている。接触相関値Aおよびフレーム間相関値Bの値は、図4に示された値と同一である。
フレーム間相関値Bは、時間t(−9)以前では静止閾値S未満であるものの、時間t(−8)〜時間t(−4)では静止閾値S以上となる。そして、時間(−3)以降、再び静止閾値S未満となる。したがって、時間t(−8)〜時間t(−4)の間、時間間隔Tで静止判定がされる。そして、時間t(−8)〜時間t(−4)のそれぞれにおいて、タイムスタンプが記憶部56に記憶される。図6には、矢印R1〜R5によってタイムスタンプが記憶されるタイミングが示されている。
図6に示されている例では、時間t(0)に探触子が被検体から離れ、接触相関値Aが非接触閾値U以上となっている。時間t(0)から過去に遡る遡及受付期間H内に、タイムスタンプR4およびR5が記憶されているため、超音波診断装置はソフトフリーズオン状態に設定される。ソフトフリーズオン状態で表示されるフリーズ画像は、遡及受付期間H内の最後のタイムスタンプが記憶された時間t(−4)から過去に遡ったデータ選別期間Eにおいて、フレーム間相関値Bが最大になる時間t(−5)における断層画像データに基づく画像である。
図6には、遡及受付期間H内の最後のタイムスタンプ記憶時が時間t(−4)であることが丸印Mによって示されている。さらに、時間t(−4)から10Tだけ遡ったデータ選別期間E内の時間t(−5)において、フレーム間相関値Bが最大になったことが丸印Pによって示されている。
(5)ユーザの指、超音波反射性部材等による状態切り換え
上記では、被検体18が静止した状態における探触子14の動きによって、超音波診断装置の状態を切り換える操作について説明した。超音波診断装置に対しては、探触子14の接触面にユーザの指を接触させ、指を動かすことによって状態を切り換える操作が行われてもよい。例えば、ユーザが一方の手で探触子14を把持し、図7に示されているように、他方の手の指を探触子14の接触面に接触させる(S501)。そして、ユーザが指を接触面上で静止させた後(S502)、接触面から離すことで(S503)、超音波診断装置の状態は通常状態からソフトフリーズオン状態へと切り換えられる。
なお、ユーザの指の他、金属等の超音波を反射する部材によって超音波診断装置の状態を切り換える操作が行われてもよい。
ユーザの指や超音波反射部材等、物体によって超音波診断装置の状態を切り換える操作では、図1の動き検出部30は、探触子14から見た物体の動きを検出する。フレーム間相関演算部36によって求められるフレーム間相関値は、探触子14から見た物体の動きが遅い程、大きくなる。静止判定部38は、探触子14から見て物体が静止したか否かを判定する。静止判定部38は、フレーム間相関値が所定の静止閾値以上である場合には、物体が探触子14に対して静止している旨の静止判定をし、その旨を示す静止情報を装置制御部28に出力する。
また、接触判定部42は、物体が探触子14に接触しているか否かを判定する。接触判定部42は、フレームデータと基準フレームデータとの相関値を求める。接触判定部42は、相関値が所定の非接触閾値以上となったときに、物体と探触子14とが離れている旨の非接触判定をし、その旨を示す非接触情報を装置制御部28に出力する。
(6)ソフトフリーズ
ソフトフリーズについて図1を参照して説明する。ソフトフリーズオン状態では、表示部52にフリーズ画像が静止画像として表示される一方で、探触子14において超音波が送受信され、受信された超音波に基づく信号に応じて超音波診断装置に指令が与えられる。これによって、探触子14の動きに応じた指令が超音波診断装置に与えられる。ソフトフリーズオン状態は、探触子14の動き、すなわち、ジェスチャが超音波診断装置に受け付けられる状態であるといえる。ソフトフリーズオン状態では、シネメモリ54に記憶された断層画像データは更新されずに保持される。あるいは、ソフトフリーズオン状態が開始されたときにシネメモリ54に記憶されていた断層画像データを、別に設けられた第2シネメモリに移し替えて記憶し、順次生成される断層画像データによってシネメモリ54の記憶内容を更新してもよい。この場合、第2のシネメモリは記憶部56内に構成されてもよい。
ソフトフリーズオン状態では、ユーザによる探触子14の操作(探触子14の動き)に応じて、例えば、フリーズ画像を表す画像データが記憶部56に保存される。また、フリーズ画像の画質の調整や、印刷媒体への印刷が行われてもよい。さらに、通常状態でシネメモリ54に記憶された複数フレームの断層画像データのうちいずれかに基づく画像が表示されてもよい。また、フリーズ画像に重ねて、被検体の標準的な組織形状を表すボディマークが表示されてもよい。
探触子14の動きに応じた指令が超音波診断装置に与えられる動作について説明する。動きフレーム生成部34は、バッファメモリ32に記憶されたフレームデータに基づいて、動きフレームデータを生成する。動きフレームデータは、観測面における各位置に対し、各位置の変位を2次元ベクトルによって対応付けたデータであり、観測面における変位ベクトルの分布を表す。動きフレーム生成部34は、例えば、最新のフレームデータ、および1フレーム前のフレームデータに基づいて、観測面上の各位置について生体組織の変位ベクトルを求める。変位ベクトルを求める演算としてはパターンマッチングがある。パターンマッチングでは、1フレーム前の画像につき各点を仮想的に移動させた画像と、最新の画像とについて近似度を求め、近似度が大きくなるような各点の移動距離および移動方向が各点の変位ベクトルとして求められる。近似度は、相関値等、当業者の間で様々なものが考えられている。このようにして求められる変位ベクトルは、1フレーム間隔時間当たりに生体組織上の各点が移動した距離および方向を表す。
また、生体組織の変位を求める演算としてブロックマッチングが用いられてもよい。ブロックマッチングでは、最新の画像と1フレーム前の画像のそれぞれが複数のブロックに分割される。関心領域内のブロックに着目し、着目しているブロックと近似度の大きい1フレーム前のブロックが探索される。探索されたブロック内の各点から、最新のブロック内の各点への移動距離および移動方向が、ブロック内の各点の変位ベクトルとして求められる。動きフレーム生成部34は、バッファメモリ32に新たにフレームデータが記憶されるごとに1フレームの動きフレームを生成し、装置制御部28に出力する。
なお、ここでは、最新のフレームデータ、および1フレーム前のフレームデータに基づいて、1フレームの動きフレームデータを生成する処理について説明した。動きフレームデータは、バッファメモリ32に記憶された複数のフレームデータから、その他の規則性に従って選択されたフレームデータに基づき生成してもよい。例えば、最新のフレームデータ、およびNフレーム前のフレームデータに基づいて、1フレームの動きフレームデータを生成してもよい。ここでNは2以上の任意の整数である。また、複数のフレームデータにおいて時間的に隣接する2つのフレームデータの組のそれぞれについて仮の動きフレームデータを求め、これら仮の動きフレームデータに対する重み付け平均化(移動平均化)によって得られたデータが動きフレームデータとして求められてもよい。
装置制御部28が備える指令生成部50は、動きフレーム生成部34から順次出力される動きフレームデータに基づいて、例えば、次のような処理に基づいて、超音波診断装置に対する指令情報を生成する。すなわち、指令生成部50は、動きフレームデータから観測面上の各位置の変位ベクトルのx軸方向成分を抽出し、x軸方向成分の平均値をx方向変位として求める。さらに、観測面上の各位置の変位ベクトルのy軸方向成分を抽出し、y軸方向成分の平均値をy方向変位として求める。x方向変位は、x軸方向成分の最大値、中央値、自乗平均値、加算合計値等、その他の統計値に基づいて求められてもよい。同様に、y方向変位は、y軸方向成分の最大値、中央値、自乗平均値、加算合計値等、その他の統計値に基づいて求められてもよい。指令生成部50は、動きフレーム生成部34から時間経過と共に順次出力される動きフレームデータに基づいて、x方向変位およびy方向変位の各時間波形を求める。x方向変位およびy方向変位の各時間波形は、予め定められた一定の時間長となるように規格化されてもよい。例えば、x方向変位の時間波形の時間長がLである場合には、x方向変位の時間波形を時間軸方向にL分の1倍したものを、規格化された新たなx方向変位の時間波形としてもよい。
記憶部56には、x方向変位の時間波形について予め定められた複数種の時間波形パターン(x方向パターン)が記憶されており、各x方向パターンに対して指令情報が対応付けて記憶されている。指令生成部50は、記憶部56を参照し、x方向変位の時間波形と、ある1つのx方向パターンとの近似度を求め、この近似度が所定条件を満たす場合には、そのx方向パターンに対応付けられた指令情報を生成する。ここで、近似度は、例えば、x方向変位の時間波形と、x方向パターンとの相関値として定義される。近似度が所定条件を満たす場合として、例えば、相関値が所定の閾値以上となる場合がある。
同様に、記憶部56には、y方向変位の時間波形について予め定められた複数種の時間波形パターン(y方向パターン)が記憶されており、各y方向パターンに対して指令情報が対応付けて記憶されている。y方向変位の時間波形と、ある1つのy方向パターンとの近似度が大きい場合には、そのy方向パターンに対応付けられた指令情報が生成される。
記憶部56には、指令生成部50が参照する情報として、x方向パターンとy方向パターンの組み合わせについて、指令情報を対応付けた情報が記憶されていてもよい。この場合、x方向変位の時間波形およびy方向変位の時間波形と、予め定められた組み合わせをなすx方向パターンおよびy方向パターンとの近似度が大きい場合に、そのx方向パターンとy方向パターンの組み合わせに対して対応付けられた指令情報が生成される。
指令生成部50は、動きフレームデータに基づいて観測面上の各位置の変位ベクトルの絶対値の自乗を加算合計したエネルギー評価値を求め、エネルギー評価値に基づいて指令情報を生成してもよい。エネルギー評価値は、探触子14が有する運動エネルギーを表す。この場合、記憶部56には、エネルギー評価値についての複数の数値範囲と、各数値範囲に対応する指令情報とを対応付けた情報が記憶される。指令生成部50は、記憶部56に記憶された情報を参照し、求められたエネルギー評価値が属する数値範囲に対応する指令情報を生成する。
装置制御部28は、指令生成部50によって生成された指令情報に基づく動作が行われるよう、超音波診断装置を制御する。指令情報としては、表示部52に表示されたカーソル、ボタン等の操作を指令する情報等がある。例えば、図8Aの矢印58に示されているように、探触子14をy軸方向に所定回数だけ振動させる動きに対して、カーソルの上下方向への移動、ボタンの選択、ボタンの押下、ボタンの解除等の指令情報が対応付けられる。動きフレームデータに基づいて求められたy方向変位の時間波形と、いずれかのy方向パターンとの近似度が所定条件を満たす場合に、そのy方向パターンに対応付けられた指令情報が生成される。
また、図8Bの矢印60に示されているように、探触子14をx軸方向に移動させる動きに対して、カーソルの左右方向への移動、選択された図形のドラッグ等の指令情報が対応付けられる。動きフレームデータに基づいて求められたx方向変位の時間波形と、いずれかのx方向パターンとの近似度が所定条件を満たす場合に、そのx方向パターンに対応付けられた指令情報が生成される。
さらに、図8Cの矢印62に示されているように、探触子14をxy平面内で運動させる動きに対して、カーソルの上下方向の移動、表示部52に表示されたダイヤルの回転等の指令情報が対応付けられる。動きフレームデータに基づいて求められたx方向変位の時間波形およびy方向変位の時間波形と、x方向パターンとy方向パターンの組み合わせのいずれかに対して近似度が所定条件を満たす場合に、そのx方向パターンとy方向パターンの組み合わせに対応付けられた指令情報が生成される。
装置制御部28は、超音波診断装置を用いた診断において通常現れる探触子の動きに対し、ソフトフリーズオン状態における指令を対応付けてもよい。このような慣用ジェスチャとしては、例えば、被検体と探触子との間の摩擦を低減するゼリーを引き延ばすために、探触子を被検体に接触させながら左右に往復運動させるものがある。この往復運動には、ソフトフリーズオン状態を解除して通常状態に設定する指令や、階層化されたメモリ領域(フォルダ)を指定する際に、現在指定されているフォルダよりも一段浅いフォルダを指定する指令、ソフトフリーズオン状態で動作しているアプリケーションを終了させる指令等が対応付けられてもよい。一般に、往復運動は、何らかの動作を取り消したいというユーザの心理と共に、ユーザの行為に表れることが多く、往復運動に何らかの状態を解除する指令を対応付けることで、超音波診断装置の操作性が向上する。
装置制御部28は、慣用ジェスチャの他、探触子の単純な動きに対してソフトフリーズオン状態における指令を対応付けてもよい。単純な動き、すなわち、シンプルジェスチャには、探触子の筐体がユーザの指で1回または複数回叩かれることによる微小な動き、探触子を小刻みに上下に振動させる動き等がある。
慣用ジェスチャおよびシンプルジェスチャは、超音波診断装置が通常状態に設定されている場合において、ユーザが被検体の診断を行うときに偶発的に生じ得る。したがって、誤認識を回避するため、慣用ジェスチャおよびシンプルジェスチャは、ソフトフリーズオン状態で指令として受け付けられる動きとして扱われてもよい。
また、非接触判定がされたときに、ボタンの押下、解除等の予め定められた指令情報が生成されてもよい。これによって、探触子14が、被検体18から離れる動きに応じて、超音波診断装置に対して所定の指令が与えられる。
図9には、超音波診断装置がソフトフリーズオン状態に設定されたときに、表示部52に表示される画像の例が示されている。表示部52には、フリーズ画像64と共に、5つのボタン70およびシネメモリバー68が表示されている。5つのボタン70には、それぞれ、「静止画印刷」、「動画保存」、「ボディマーク」、「ゲイン」、「フリーズOFF」と表示されている。カーソル72をいずれかのボタン70の位置まで移動させる指令情報に続き、そのボタン70を押下する指令情報が装置制御部28で生成されるように、ユーザが探触子を動かすことで、そのボタン70に割り当てられた機能が実行される。例えば、「静止画印刷」のボタンが押下されるようにユーザが探触子を動かすと、装置制御部28は、超音波診断装置に接続されたプリンタ(図示せず)にフリーズ画像64を印刷させる。「動画保存」のボタンが押下されるようにユーザが探触子を動かすと、装置制御部28は、シネメモリ54に記憶されている複数フレームの断層画像データを動画像データとして記憶部56に記憶させる。この際、動画像データには、動画像を管理するための情報が付加される。このように過去の動画像データを保存する処理は、一般にレトロスペクティブと称される。また、次のような将来の動画像データを保存する処理が実行されてもよい。すなわち、「動画保存」のボタンが押下されるようにユーザが探触子を動かすと、装置制御部28は、超音波診断装置の状態をソフトフリーズオン状態から通常状態に設定する。そして、時間経過と共に順次生成される断層画像データを、所定の複数フレームに亘って記憶部56に記憶する。このように将来の動画像データを保存する処理は、一般にプロスペクティブと称される。「ボディマーク」のボタンが押下されるようにユーザが探触子を動かすと、装置制御部28は、ボディマークを表示部52に表示させる。ボディマークは、乳房部、腕等について被検体の標準的な組織形状を表す。超音波診断装置は、ユーザの操作に応じて、探触子の位置を示す図形をボディマークと共に表示してもよい。「ゲイン」のボタンが押下されるようにユーザが探触子を動かすと、装置制御部28は、ゲイン(画像の明るさ)が調整可能な状態に超音波診断装置の状態を設定する。「フリーズOFF」のボタンが押下されるようにユーザが探触子を動かすと、装置制御部28は、超音波診断装置の状態をソフトフリーズオン状態から通常状態に切り換える。
左右に直線状に伸びるシネメモリバー68は、シネメモリ54に記憶された複数フレームの断層画像データのうちいずれかを選択し、選択された断層画像を静止画像として表示させるための領域である。装置制御部28は、シネメモリバー68およびカーソル72を用いた操作が行われるように、ユーザが探触子を動かすことで、次のように超音波診断装置を動作させる。すなわち、カーソル72をシネメモリバー68の上に位置させると、シネメモリバー68が選択される。その状態でカーソル72をシネメモリバー68上の右端に位置させるとフリーズ画像64が表示される。カーソル72をシネメモリバー68に沿って左に移動させていくと、過去に遡って1フレームずつ順次、断層画像データに基づく画像が入れ替わりながら表示される。カーソル72をシネメモリバー68に沿って右に移動させていくと、過去から未来(フリーズ画像が得られた時)に向かって1フレームずつ順次、断層画像データに基づく画像が入れ替わりながら表示される。カーソルの動きが静止すると、カーソルが静止した位置に対応する断層画像データに基づく画像が表示される。図9における「245/250」という表示は、シネメモリ54に250フレームの断層画像データが記憶されており、古い方から数えて245番目の断層画像が表示されていることを示す。
なお、ソフトフリーズオン状態で、探触子の動きが静止した状態が所定時間以上継続した場合には、超音波診断装置をフリーズ状態としてもよい。フリーズ状態は、例えば、装置制御部28のみに電源電力が供給される状態をいう。また、超音波診断装置の情報を表示するため、表示部52に電源電力が供給されてもよい。装置制御部28は、超音波診断装置がソフトフリーズオン状態にあるときに、動きフレーム生成部34から時間経過と共に順次出力される動きフレームに基づいて、予め定められたフリーズ導入時間だけ探触子が静止したか否かを判定する。具体的には、この判定は、各動きフレームからy方向変位およびx方向変位を求め、各変位がフリーズ導入時間に亘って所定の閾値未満であったか否かを判定することで行われる。装置制御部28は、フリーズ導入時間だけ探触子が静止したと判定したときは、超音波診断装置をフリーズ状態に設定する。また、装置制御部28は、静止判定部38によって静止判定がされたか否かに基づいて、すなわち、静止判定部38から静止情報が出力されたか否かに基づいて探触子が静止したか否かを判定してもよい。
このような処理によれば、ソフトフリーズオン状態において診断が中止された等の場合に、超音波の送受信によって電力が無駄に消費されることが回避される。
なお、ここでは、被検体18に対し探触子14を動かすことで、ソフトフリーズオン状態の超音波診断装置を操作する場合について説明した。被検体18に対し探触子14を動かす代わりに、探触子14の接触面上で、ユーザの指、ユーザの掌、超音波を反射する部材等を動かすことでソフトフリーズオン状態の超音波診断装置を操作してもよい。
(7)カーソル操作を行うための処理
(7−1)基本的な処理
図9に示されているように、表示部52に表示される画像にはuv座標系が定義されている。u軸正方向は画像の右方向に対応し、v軸正方向は画像の上方向に対応する。ここでは、探触子14の動きとカーソル72の動きが次のように対応付けられているものとする。すなわち、装置制御部28は、図1の探触子14が被検体18に接触した状態でx軸正または負方向に移動したことを認識すると、u軸正または負方向にカーソル72を移動させる。また、装置制御部28は、探触子14がxy平面内で左または右に傾けられるように回転したことを認識するとv軸正方向またはv軸負方向にカーソル72を移動させる。このような探触子14の動きとカーソル72の動きの対応関係は1つの例に過ぎず、その他にも様々な対応関係が採用され得る。
シネメモリ54に記憶されている複数フレームの断層画像データには、シネメモリバー68上のu座標値が対応付けられている。すなわち、各断層画像データが記憶されるアドレスにu座標値が対応付けられている。シネメモリバー68上のu座標値が装置制御部28によって指定されることで、そのu座標値に対応付けられたアドレスに記憶された断層画像データが装置制御部28によって読み出される。
シネメモリバー68の右端のu座標値には、複数フレームの断層画像データのうち、フリーズ画像として選別された断層画像データが対応付けられている。また、u座標値が減少する程、より過去に遡った時に生成された断層画像データが対応するように、u座標値と断層画像データが対応付けられている。同様に、u座標値が増加する程、より最近に生成された断層画像データが対応するように、u座標値と断層画像データが対応付けられている。
シネメモリバー68上にカーソル72が位置している場合、装置制御部28は、シネメモリ54に記憶された複数フレームの断層画像データのうち、カーソル72のu座標値に対応付けられた断層画像データを読み込み、その断層画像データに基づく画像を表示部52に表示させる。
(7−2)画像記憶処理
シネメモリバー68は、表示中の断層画像を示す画像データを記憶部56に記憶させる機能を提供する。この機能は、カーソル72がシネメモリバー68上にあるときに、探触子が被検体上で静止したことが認識され、かつ、探触子が被検体から離れたことが認識された場合に実行される。
図1を参照してこのような画像記憶処理について説明する。最初にカーソルはシネメモリバー上にあるものとする。上述の状態切り換え処理と同様、装置制御部28は、静止判定部38によって静止判定がされると、静止判定時を基準としたジェスチャ受付期間およびデータ選別期間を設定する。上述の状態切り換え処理と同様、ジェスチャ受付期間は、被検体18と探触子18との密着度に応じて設定されてもよい。探触子14が静止した状態が維持され、静止判定が繰り返し行われると、静止判定が行われるごとに、ジェスチャ受付期間およびデータ選別期間は未来方向に移動する。
装置制御部28は、ジェスチャ受付期間内に接触判定部42によって非接触判定がされると、記憶部56およびシネメモリ54を参照し、記憶対象画像データを選別する。記憶対象画像データは、例えば、データ選別期間の間でフレーム間相関値が最大となったときにおける断層画像データである。記憶対象画像データは、データ選別期間の間で、フレーム間相関値が所定値以上となる複数フレームの断層画像データのいずれかに基づく画像であってもよい。記憶対象画像データとして選別された断層画像データは、記憶部56に記憶されている過去のフレーム間相関値に基づき、シネメモリ54から読み込まれる。
装置制御部28は、記憶対象画像データを、日付、時刻、画像ファイル名等、その画像を管理するための情報を付加した上で記憶部56に記憶させる。装置制御部28は、画像記憶処理を実行した後、超音波診断装置の状態をソフトフリーズオン状態から通常状態に切り換えてもよい。
(7−3)カーソルの断続的な移動
装置制御部28は、ジェスチャ受付期間外に探触子14が被検体18から離れた場合には、画像記憶処理は実行せず、カーソル72の位置に応じた断層画像を表示する状態を維持する。探触子14が被検体18上で静止することなく被検体18から離れた場合も同様である。探触子14が被検体18に再び接触したときは、x方向変位およびy方向変位の変化に応じてカーソル72を移動させ、カーソル72のu座標値に応じた断層画像を表示部52に表示させる。
ジェスチャ受付期間外では、図10A〜図10Cに示されているようにユーザが探触子14を操作することで、シネメモリバー68上のカーソル72を左右(u軸方向)に移動させることができる。すなわち、探触子14を被検体18に接触させながらx軸方向に移動させた後に(S201)、探触子14を静止させることなく被検体18から離し(S202)、さらに、探触子14の位置を元に戻し(S203)、再び探触子14を被検体18に接触させながらx軸方向に移動させる(S204)、という操作をユーザが繰り返すことで、シネメモリバー68上のカーソル72を横方向に断続的に移動させることができる。
図10A〜図10Cのそれぞれの下方には、各図に示された探触子14の状態に応じた、シネメモリバー68上のカーソル72の位置が示されている。図10Aに示されているように、探触子14を被検体18に接触させながらx軸負方向に移動させることで、シネメモリバー68上のカーソル72がu軸負方向に移動し、位置L1から位置L2に移動する。図10Bに示されているように、探触子14が被検体18から離れている間、カーソル72はシネメモリバー68の位置L2で停止する。そして、図10Cに示されているように、探触子14を被検体18に接触させながらx軸負方向に移動させることで、シネメモリバー68上のカーソル72がu軸負方向に移動し、位置L2から位置L3に移動する。
このような処理によれば、探触子14が静止することで静止判定時から将来に向かってジェスチャ受付期間が設定され、ジェスチャ受付期間内に探触子14が被検体18から離れることで、記憶対象画像データが選別され記憶される。したがって、探触子14の静止、および探触子14の被検体18からの離脱という2つの動きに基づいて、画像記憶処理が実行され、ユーザの意図に反して画像記憶処理が実行されてしまう可能性が低くなる。
また、探触子14が静止することで静止判定時から過去に遡ってデータ選別期間が設定され、データ選別期間の間でフレーム間相関値が所定条件を満たすときにおける断層画像データが記憶対象画像として選別される。これによって、探触子14が確実に静止した状態で断層画像データが選別され、ユーザが記憶保存しようと意図した断層画像が確実に記憶保存される。
さらに、ジェスチャ受付期間外では、探触子14を被検体18に接触させながら移動させ、探触子14を被検体18から離して移動前の位置に接触させ、再び、探触子14を被検体18に接触させながら移動させるという操作を繰り返すことで、シネメモリバー68上の長い距離に亘ってカーソル72を移動させることができる。
なお、ユーザが探触子14を操作する代わりに、図11に示されるように、探触子14の接触面上でユーザの指をスライドさせる操作を行ってもよい。すなわち、ユーザが指を探触子14の接触面に接触させながらx軸方向に移動させた後に(S601)、指を静止させることなく探触子14から離し(S602)、さらに、探触子14の位置を元に戻し(S603)、再び指を探触子14の接触面に接触させながらx軸方向に移動させる(S601)、という操作をユーザが繰り返すことで、シネメモリバー68上のカーソル72を横方向に断続的に移動させることができる。
(7−4)画像記憶処理の具体例
図12には超音波診断装置において実行される処理のフローチャートが示されている。図1を参照しつつ図12に示されたフローチャートについて説明する。超音波診断装置はソフトフリーズオン状態にあり、探触子14は被検体18に接触しているものとする。また、装置制御部28は、過去に遡った所定のフレーム数について、フレーム間相関値を時間に対応付けて記憶部56に記憶しているものとする。さらに、カーソルはシネメモリバーの上に位置しているものとする。
整相加算部22は、観測面に対する超音波の送受信に応じて、1フレームのフレームデータを生成し(S301)、フレームデータを動き検出部30および超音波画像生成部24に出力する。装置制御部28は、静止判定部38によって静止判定がされたか否かを判定する(S302)。装置制御部28は、静止判定がされた場合には、データ選別期間およびジェスチャ受付期間を更新した上で(S307)、ステップS304に進む。装置制御部28は、静止判定がされない場合には、各期間を更新することなくステップS303に進む。
ステップS303において装置制御部28は、現時点がジェスチャ受付期間内かを判定する(S303)。装置制御部28は、現時点がジェスチャ受付期間外である場合には、カーソルの位置に応じた断層画像を表示部52に表示し(S308)、ステップS101の処理に戻る。
装置制御部28は、現時点がジェスチャ受付期間内である場合には、記憶部56およびシネメモリ54を参照し、記憶対象画像を選別する(S304)。記憶対象画像は、例えば、データ選別期間の間でフレーム間相関値が最大となったときにおける断層画像データに基づく画像である。記憶対象画像は、データ選別期間の間で、フレーム間相関値が所定値以上となる複数フレームの断層画像データのいずれかに基づく画像であってもよい。記憶対象画像を示す断層画像データは、記憶部56に記憶されている過去のフレーム間相関値に基づき、シネメモリ54から読み込まれる。
装置制御部28は、探触子14が被検体18から離れたか否かを判定する(S305)。この判定は、接触判定部42から非接触情報が出力されたか否かに基づいて行われる。装置制御部28は、探触子14が被検体18から離れていないとの判定をした場合、カーソルの位置に応じた断層画像を表示部52に表示し(S308)、ステップS101の処理に戻る。
一方、探触子14が被検体18から離れているとの判定をした場合、装置制御部28は、画像記憶処理を実行する(S306)。装置制御部28は、画像記憶処理を実行した後、超音波診断装置の状態を通常状態に設定してもよい。
図12に示される処理によれば、各静止判定時においてジェスチャ受付期間が設定される。そして、ジェスチャ受付期間内に探触子14が被検体18から離れた場合には、画像記憶処理が実行される。
ステップS307は、ステップS302の判定に応じて実行される。すなわち、静止判定がされるごとに(S302)、データ選別期間およびジェスチャ受付期間が静止判定時を基準として更新される(S307)。探触子14が静止している状態が継続し、時間間隔Tで複数回に亘って静止判定がされる場合、静止判定がされるごとにデータ選別期間およびジェスチャ受付期間が時間Tだけ未来方向に移動する。
ジェスチャ受付期間外では、探触子14が被検体18から離れたとしても、ステップS303およびS308によって、カーソルの位置に応じた断層画像が表示される。したがって、探触子14を被検体18に接触させながら移動させ、探触子14を被検体18から離して移動前の位置に接触させるという操作を繰り返すことで、シネメモリバー上の長い距離に亘ってカーソルを移動させることができる。
接触相関値およびフレーム間相関値と、画像記憶処理との関係について説明する。上記において図4は、状態切り換え処理におけるタイミングチャートとしたが、ここでは、ソフトフリーズオン状態におけるタイミングチャートとして図4を援用する。
この例では、時間t(−18)から時間t(−8)までの間、探触子が被検体に接触しながら移動している。この間カーソルはシネメモリバーを横方向に移動している。表示部には、カーソルの位置に対応する断層画像が順次入れ替わりながら表示される。時間t(−8)から時間t(−4)までの間、探触子は被検体に接触した状態で静止し、時間t(−4)から探触子が被検体に接触しつつも離れ始め、時間t(0)に探触子は被検体から離れる。
図4に示されている例では、時間t(0)に探触子が被検体から離れ、接触相関値Aが非接触閾値U以上となっている。時間t(0)は、直近の静止判定時t(−4)に設定されたジェスチャ受付期間G内にあるため、超音波診断装置は画像記憶処理を実行する。記憶対象画像データとして選別される断層画像データは、静止判定時t(−4)に設定されたデータ選別期間Dにおいて、フレーム間相関値Bが最大になる時間t(−5)に生成された断層画像データである。あるいは、記憶対象画像データとして選別される断層画像データは、非接触判定時t(0)に設定されたデータ選別期間Dにおいて、フレーム間相関値Bが最大になる時間t(−5)に生成された断層画像データである。画像記憶処理によって、時間t(−5)に生成された断層画像データが記憶部に記憶される。
超音波診断装置は、図12に示される処理に代えて、図13に示されるタイムスタンプ式の処理を実行してもよい。この処理では、静止判定がされるごとにタイムスタンプが記憶される。超音波診断装置は、非接触判定がされたときは、過去に記憶されたタイムスタンプに基づいて、非接触判定がされた時から遡及時間だけ遡った遡及受付期間内に静止判定がされたか否かを判定する。そして、遡及受付期間内に静止判定がされていた場合には、記憶対象画像を選別し、画像記憶処理を実行する。
整相加算部22は、観測面に対する超音波の送受信に応じて、1フレームのフレームデータを生成し(S701)、フレームデータを動き検出部30および超音波画像生成部24に出力する。装置制御部28は、静止判定部38によって静止判定がされたか否かを判定する(S702)。装置制御部28は、静止判定がされた場合には、タイムスタンプを記憶部56に記憶した上で(S703)、ステップS704に進む。装置制御部28は、静止判定がされない場合には、タイムスタンプを記憶部56に記憶することなくステップS704に進む。
ステップS704において装置制御部28は、探触子14が被検体18から離れたか否かを判定する(S704)。この判定は、接触判定部42から非接触情報が出力されたか否かに基づいて行われる。装置制御部28は、探触子14が被検体18から離れていないとの判定をした場合、カーソルの位置に応じた断層画像を表示部52に表示し(S708)、ステップS701の処理に戻る。
装置制御部28は、探触子14が被検体18から離れているとの判定をした場合、遡及受付期間内に静止判定がされたことを示すタイムスタンプが記憶部56に記憶されているか否かを判定することによって、遡及受付期間内に静止判定がされたか否かを判定する(S705)。遡及受付期間内に静止判定がされていなかった場合、装置制御部28は、カーソルの位置に応じた断層画像を表示部52に表示し(S708)、ステップS701の処理に戻る。
遡及受付期間内に静止判定がされていた場合、装置制御部28は記憶対象画像を選別する(S706)。すなわち、装置制御部28は、遡及受付期間内に静止判定がされたことを示すタイムスタンプが示す時間から所定時間だけ遡ったデータ選別期間にシネメモリ54に記憶された断層画像データから、記憶対象画像を選別する。データ選別期間の基準となるタイムスタンプは、例えば、遡及受付期間内のタイムスタンプのうち最後のものである。記憶対象画像の選別は、例えば、データ選別期間の間でフレーム間相関値が最大となったときにおける断層画像データに基づく画像を記憶対象画像とすることで行われる。また、記憶対象画像は、データ選別期間の間で、フレーム間相関値が所定値以上の複数フレームの断層画像データのいずれかに基づく画像であってもよい。
データ選別期間は、静止判定がされるごとに各タイムスタンプと共に予め記憶部56に記憶させてもよいし、ステップS706を実行するときにタイムスタンプが示す時間に基づいて求めてもよい。さらに、データ選別期間は、静止判定時に限らず、整相加算部22からフレームデータが出力されるごとに、整相加算部22からフレームデータが出力された時を基準に設定してもよい。この場合、非接触判定がされたフレーム生成時から所定時間だけ遡った期間がフリーズ画像を選別するためのデータ選別期間となる。
記憶対象画像を選別した後、装置制御部28は画像記憶処理を実行する(S707)。装置制御部28は、画像記憶処理を実行した後、超音波診断装置の状態を通常状態に設定してもよい。
(7−5)カーソルの移動速度
図9に示されているように、表示画像には、シネメモリバー68が含まれる第1領域74の他、各ボタン70が含まれる第2領域76が定義されている。探触子の同一の動きに対するカーソル72の移動距離は、カーソル72が第1領域74内にある場合よりも第2領域76内にある場合の方が大きい。すなわち、探触子の同一の動きに対し、第2領域76におけるカーソル72の移動速度は、第1領域74におけるそれよりも速い。
カーソル72が第2領域76内に位置しているときは、探触子が静止したか否かに関わらない処理が実行される。装置制御部28は、第2領域76内のボタン70上にカーソル72が位置しているときに非接触判定がなされると、そのボタン70に対する処理を実行する。ボタン70に対する処理は、ボタン70の種類(操作態様)に応じて行われる。すなわち、ボタン70が、押下の他、開放がされ得るものである場合には、装置制御部28は、ボタン70に対する押下または開放の処理を実行する。また、ボタン70が、押下のみが行われるものである場合には、装置制御部28は、ボタン70に対する押下の処理を実行する。
これによって、ユーザは、カーソル72が第2領域76内で移動し、ボタン70の上にカーソル72が位置するように探触子を操作し、さらに、探触子を被検体18から離すことで、そのボタン70の押下操作を行うことができる。
このように、探触子の同一の動きに対して、第2領域76におけるカーソル72の移動速度を、第1領域74におけるそれよりも速くすることで、ボタン操作を迅速に行うことができる。また、シネメモリバー68上のカーソル72の位置を微細に調整することができ、表示対象の断層画像を選択する操作が容易となる。
(8)ソフトフリーズオン状態でのフレーム生成レート
上記のように、ソフトフリーズオン状態では、整相加算部22から動き検出部30に出力されるフレームデータに基づいて探触子14の動きが検出され、探触子14の動きに基づいて指令情報が生成される。整相加算部22から単位時間当たりに出力されるフレームの数を示すフレーム生成レートが十分大きくない場合には、動き検出部30において探触子14の迅速な動きを検出することが困難となる場合がある。例えば、動きフレームから求められたx方向変位およびy方向変位の各時間波形が、一定の時間長に規格化された上で用いられる場合、規格化されたx方向変位およびy方向変位の各時間波形に探触子14の動きを正確に反映することが困難となる。また、フレーム間隔時間内の探触子14の動きを検出することが困難となる場合がある。
そこで、本実施形態においては、ソフトフリーズオン状態におけるフレーム生成レートを、通常状態におけるフレーム生成レートよりも大きくする。フレーム生成レートを変更する場合、装置制御部28は、送受信制御部10、送信部12、受信部20、整相加算部22および動き検出部30の動作状態を変更する。例えば、被検体18に対して超音波ビームを走査する場合には、状態設定部44は送受信制御部10を制御して走査速度を変更し、さらに、整相加算部22がフレームデータを生成する時間間隔を変更する。また、探触子14から平面波を送信する場合には、状態設定部44は、送受信制御部10を制御して、平面波を送信する時間間隔および反射超音波を受信する時間間隔を変更し、さらに、整相加算部22がフレームデータを生成する時間間隔を変更する。これらの時間間隔を短くする程、フレーム生成レートが大きくなる。
装置制御部28は、超音波診断装置の動作状態をソフトフリーズオン状態に設定したときは、フレーム生成レートを通常状態におけるそれよりも大きくする。例えば、通常状態におけるフレーム生成レートを、1秒当たり20フレームから30フレームとした場合、ソフトフリーズオン状態におけるフレーム生成レートは、例えば、1秒当たり60フレーム〜90フレームとする。これによって、動き検出部30において探触子14の迅速な動きが検出され、探触子14の迅速な動きに応じて超音波診断装置に指令が与えられる。
(9)ソフトフリーズオン状態における超音波の送受信範囲
超音波診断装置がソフトフリーズオン状態である場合、通常状態にある場合に比べて、超音波の送受信範囲を狭くしてもよい。例えば、被検体18に対して超音波ビームを走査する場合には、装置制御部28は送受信制御部10を制御して、ソフトフリーズオン状態におけるx軸方向への走査範囲を、通常状態におけるx軸方向への走査範囲よりも狭くする。これによって、走査速度を一定にした場合には、1フレーム分の走査に要される時間が短くなり、フレーム生成レートを高くすることが可能となる。また、装置制御部28は、送受信制御部10を制御して、探触子14において形成される超音波ビームの焦点の位置を通常状態の位置よりも浅くしてもよい。
超音波ビームの走査範囲が狭くなると共に、動きフレーム生成部34は、超音波ビームの走査範囲内についてのみ変位ベクトルが求められた動きフレームを生成する。これによって、動きフレーム生成部34で処理される情報量が低減される。
(10)切り換えジェスチャの認識
上記の「(2)状態切り換え処理」および「(4)タイムスタンプ式状態切り換え処理」の項目では、非接触判定がされたことに基づいて超音波診断装置の状態を切り換える処理について説明した。例えば、図3に示される処理では、ステップS107において非接触判定がされたことを条件の1つとして、超音波診断装置が通常状態からソフトフリーズオン状態に設定される。図5に示される処理では、ステップS405において非接触判定がされたことを条件の1つとして、超音波診断装置が通常状態からソフトフリーズオン状態に設定される。
このような処理に代えて、予め定められた切り換えジェスチャが認識されたときに、超音波診断装置の状態を切り換える処理を実行してもよい。切り換えジェスチャには、例えば、被検体に接触した状態におけるxy平面内での探触子の運動がある。xy平面内での探触子の運動としては、例えば、被検体に接触した状態における振動、回転、x軸方向への所定距離の移動等の接触状態運動がある。
装置制御部28が備える状態設定部44は、動きフレーム生成部34から時間経過と共に順次出力される動きフレームによって、例えば、次のような処理に基づいて、切り換えジェスチャを認識する。
すなわち、状態設定部44は、指令生成部50が実行する処理と同様の処理によって、動きフレーム生成部34から時間経過と共に順次出力される動きフレームデータのそれぞれに基づいて、x方向変位およびy方向変位の各時間波形を求める。x方向変位およびy方向変位の各時間波形は、上述のように、予め定められた一定の時間長となるように規格化されてもよい。
記憶部56には、切り換えジェスチャに対し、x方向パターンおよびy方向パターンの組を対応付けたテンプレート情報が記憶されている。状態設定部44は、記憶部56に記憶されたテンプレート情報を参照し、動きフレームデータから求められたx方向変位の時間波形およびy方向変位の時間波形の組と、テンプレート情報におけるx方向パターンおよびy方向パターンの各組との近似度を求める。
近似度は複数の波形が似ている程度を示す値であり、例えば、x方向変位の時間波形とx方向パターンとの相関値、およびy方向変位の時間波形とy方向パターンとの相関値を加算した総合相関値として定義される。近似度が所定条件を満たす場合として、例えば、総合相関値が所定の閾値以上となる場合がある。
状態設定部44は、テンプレート情報において切り換えジェスチャに対応付けられたx方向パターンおよびy方向パターンの組と、動きフレームデータから求められたx方向変位の時間波形およびy方向変位の時間波形の組との近似度とが所定条件を満たす場合に、その所定条件が満たされた切り換えジェスチャを認識する。
状態切り換え処理において、非接触判定がされたか否かの判定に代えて、切り換えジェスチャが生じたか否かの判定を行うことで、超音波診断装置では、次のような処理が実行される。すなわち、各静止判定時においてジェスチャ受付期間が設定され、ジェスチャ受付期間内に、切り換えジェスチャが認識された場合には、超音波診断装置がソフトフリーズオン状態に設定される。
また、タイムスタンプ式状態切り換え処理において、非接触判定がされたか否かの判定に代えて、切り換えジェスチャが生じたか否かの判定を行うことで、超音波診断装置では、次のような処理が実行される。すなわち、静止判定がされるごとにタイムスタンプが記憶され、切り換えジェスチャが認識されたときは、切り換えジェスチャが認識された時から遡及時間だけ遡った遡及受付期間内に静止判定がされたか否かが判定される。そして、遡及受付期間内に静止判定がされていた場合には、超音波診断装置がソフトフリーズオン状態に設定される。
切り換えジェスチャを、探触子が被検体に接触した状態における動きとすることで、探触子の離脱動作を検出する場合と比べて、状態切り換えのために要される探触子の動きが小さくなる。例えば、被検体の周囲に障害物がある場合でも、探触子の動きに基づいた状態の切り換えが容易となる。
超音波診断装置では、複数種の切り換えジェスチャが定められてもよい。そして、超音波診断装置に設けられたキーボード、トラックボール、マウス等の操作デバイスの操作によって、複数種の切り換えジェスチャのうち1つが選択される構成としてもよい。この場合、複数種の切り換えジェスチャのそれぞれについて、記憶部56にテンプレート情報が記憶される。状態設定部44は操作デバイスの操作に基づいて、複数種のテープレート情報のうち選択された切り換えジェスチャに対応するテンプレート情報を参照する。複数種の切り換えジェスチャとしては、x軸方向への振動、y軸方向への振動、xy両軸方向への振動、xy平面内での回転、x軸方向への所定距離の移動等がある。
なお、各切り換えジェスチャの認識は、ソフトフリーズオン状態に実行されてもよい。すなわち、ソフトフリーズオン状態で非接触判定がされたことに基づく処理に代えて、ソフトフリーズオン状態で切り換えジェスチャが認識されたことに基づく処理が実行されてもよい。
(11)その他の変形例
上記では、動き検出部30が、整相加算部22から出力されるフレームデータに基づいて、探触子14の動きに関する情報を生成し、装置制御部28に出力する実施形態について説明した。動き検出部30は、受信された超音波に基づいて超音波診断装置内で生成されるその他の受信信号に基づく処理を実行してもよい。例えば、整相加算部22から出力されるフレームデータに代えて、超音波画像生成部24から出力される断層画像データ、あるいはDSC26から出力されるビデオ信号が、動き検出部30で用いられてもよい。
上記では、静止判定部38が、フレーム間相関値に基づいて、探触子14が静止しているか否かを判定する実施形態について説明した。静止判定部38は、動きフレーム生成部34から出力される動きフレームに基づいて、この判定を行ってもよい。この場合、静止判定部38は、各動きフレームから観測面上の各点における変位ベクトルを取得する。静止判定部38は、観測面上の各点の変位ベクトルの絶対値またはその自乗を加算合計した動き評価値を求める。静止判定部38は、動きフレーム生成部34から時間経過と共に順次出力される動きフレームのそれぞれについて動き評価値を求め、動き評価値が所定の閾値未満となったときに、探触子14が静止した旨の静止判定をする。静止判定部38が静止判定をするに際しては、動き評価値が所定の閾値未満となった時間が所定の閾値時間以上となったことを静止判定を肯定する条件としてもよい。
なお、動き評価値は、観測面上の各点の変位ベクトルを反映したその他の統計値であってもよい。例えば、動き評価値は、変位ベクトルの特定方向の成分のみについて求められてもよい。また、変位ベクトルのx軸方向成分の絶対値またはその自乗を加算合計した値に基づいて動き評価値が求められてもよい。さらに、動き評価値は、観測面上に予め定められた関心領域について求められてもよい。
上記では、超音波画像生成部24が、被検体18の観測面における断層画像データを生成する例について説明した。超音波画像生成部24は、被検体18の観測面の弾性の分布を表す弾性画像データを生成してもよい。この場合、超音波画像生成部24が、弾性画像を断層画像に重ねた画像を表す断層・弾性画像データを生成し、表示部52に断層・弾性画像が表示されてもよい。