JP6618399B2 - 火炎長調整装置、ガラス管切断用バーナおよび火炎長調整方法 - Google Patents

火炎長調整装置、ガラス管切断用バーナおよび火炎長調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマを用いてバーナの火炎長を調整する火炎長調整装置、当該火炎長調整装置を備えたガラス管切断用バーナおよび火炎長調整方法に関する。
従来、バーナの中央にプラズマ注入管を設け、このプラズマ注入管の周囲に燃料噴出管、空気噴出管の順番で設けた三重管構造の火炎長調整装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このプラズマ注入管ではアルゴン等に高電圧をかけてプラズマを形成し、噴出された燃料および空気に、形成されたプラズマを噴出して火炎長を調整するものである。
また、特許文献1には、連続炉において、被処理物としてのスラブ端とバーナとの距離を把握してプラズマの注入量を変更することで、適切な火炎長に設定して、スラブの長さ方向に均一な温度分布を図ると記載されている。
特開昭62−62112号公報
従来のようにバーナの内部にプラズマ注入管を設ける三重管構造の場合、バーナの構造が複雑であり、改善の余地がある。
また、バーナの燃料として例えば天然ガスを用いた場合、天然ガスの組成が生産地や使用される地域によって異なるため、燃焼状態(火炎長)が変動し易い。その結果、従来のように被処理物とバーナとの距離を把握してプラズマの注入量を変更する場合、天然ガスの組成によっては火炎長が不適切なものとなるおそれがある。
そこで、既存のバーナを用いて正確に火炎長を調整できる火炎長調整装置および火炎長調整方法が望まれている。
本発明に係る火炎長調整装置の特徴構成は、バーナから被処理物に向かって放射される火炎の内部領域にプラズマを発生させるプラズマ発生器と、前記火炎の先端部の目標位置における前記火炎の状態を測定する火炎測定部と、前記火炎測定部の測定結果に基づき、前記プラズマ発生器における前記プラズマの発生量を制御して前記火炎の長さを調整する制御部と、を備えた点にある。
本構成では、バーナから放射される火炎の内部領域にプラズマを発生させている。このため、従来のように、バーナ自体にプラズマ注入管を設けた三重管構造とする必要がなく、既存のバーナを用いることができるので、効率的である。
また、本構成では、火炎測定部で火炎の先端部の目標位置における火炎の状態を測定し、その測定結果に基づいて、プラズマの発生量を制御して火炎の長さを調整している。つまり、例えば、火炎の長さが過大のため、目標位置における火炎の状態が不良で被処理物に接触する火炎の燃焼温度が低い場合、プラズマ発生量を増加させて火炎を短縮させる。反対に、火炎の長さが過小のため、目標位置における火炎の状態が不良で被処理物に接触する火炎の燃焼温度が低い場合、プラズマ発生量を減少させて火炎を伸長させる。その結果、被処理物に接触する火炎の燃焼温度を良好なものに修正することができる。
よって、燃料の組成が異なる等により火炎長が変動する場合であっても、既存のバーナを用いて正確に火炎長を調整できる火炎長調整装置を提供できた。
他の特徴構成は、前記火炎測定部は、前記目標位置における温度を測定する温度測定器で構成され、前記制御部は、前記火炎の放射方向に沿って前記温度測定器で取得された温度勾配に基づいて、前記プラズマの発生量を制御する点にある。
火炎の長さが過大である場合は、例えば、温度測定器の測定位置がバーナの方向に近接するに連れて火炎の先端部から遠ざかることとなり、火炎の温度が低下する。その結果、火炎の放射方向に沿った火炎の温度勾配が下降勾配として取得される。反対に、火炎の長さが過小である場合は、火炎の放射方向に沿った火炎の温度勾配が上昇勾配となる。つまり、本構成のように、温度測定器で取得された火炎の温度勾配に基づいて、プラズマの発生量を制御すれば、実際の火炎長に応じた修正量を正確に反映することが可能である。よって、燃料の組成が異なる等により火炎長が変動する場合であっても、火炎長をリアルタイムに精度よく調整することができる。
他の特徴構成は、前記火炎測定部は、前記目標位置における紫外線の強度を測定するUVセンサで構成され、前記制御部は、前記UVセンサで測定された前記紫外線の強度が、前記火炎における前記紫外線の最大強度に対して所定の範囲となるように、前記プラズマの発生量を制御する点にある。
火炎の紫外線の強度は、火炎の先端部まで略一定であり、火炎の先端部付近から急激に低下する。そこで、本構成のように、UVセンサでの紫外線の強度が最大強度に対して所定の範囲となるようにプラズマの発生量を制御すれば、火炎の先端部と火炎の外部領域との境界位置を正確に把握できる。その結果、火炎の先端部を被処理物に接触させることが可能となる。よって、燃料の組成が異なる等により火炎長が変動する場合であっても、火炎長をリアルタイムに精度よく調整することができる。
他の特徴構成は、上記火炎長調整装置を備えたガラス管切断用バーナである点にある。
上述した火炎長調整装置は火炎長をリアルタイムで正確に調整することができるので、特に火炎の先端部を正確に接触させる必要のあるガラス管の切断用に適用すれば、効果的である。
本発明に係る火炎長調整方法の特徴は、バーナから被処理物に向かって放射される火炎の内部領域にプラズマを発生させて火炎長を調整する方法であって、前記火炎の先端部の目標位置における前記火炎の状態を測定する測定工程と、前記測定工程の測定結果に基づき、前記プラズマの発生量を制御して前記火炎の長さを調整する制御工程と、を備えた点にある。
本方法では、火炎の先端部の目標位置における火炎の状態を測定し、その測定結果に基づいて、プラズマの発生量を制御して火炎の長さを調整している。つまり、例えば、火炎の長さが過大のため、目標位置における火炎の状態が不良で被処理物に接触する火炎の燃焼温度が低い場合、プラズマ発生量を増加させて火炎を短縮させる。反対に、火炎の長さが過小のため、目標位置における火炎の状態が不良で被処理物に接触する火炎の燃焼温度が低い場合、プラズマ発生量を減少させて火炎を伸長させる。その結果、被処理物に接触する火炎の燃焼温度を良好なものに修正することができる。
他の特徴方法は、前記測定工程は、温度測定器を用いて前記目標位置の温度を測定し、前記制御工程は、前記温度測定器を前記バーナに接近する方向に移動させて前記火炎の温度勾配を取得し、当該温度勾配が上昇勾配のとき、前記プラズマの発生量を減少させ、前記温度勾配が下降勾配のとき、前記プラズマの発生量を増加させる点にある。
本方法のように、目標位置における火炎の状態を測定する際、温度測定器をバーナに接近する方向に移動させるだけでよいので、制御が容易である。また、火炎の長さが過小である場合、バーナに接近する方向における火炎の温度勾配は上昇勾配となるので、プラズマの発生量を減少させれば、火炎長を伸長させて被処理物に接触する火炎の燃焼温度を良好なものに修正することができる。反対に、火炎の長さが過大である場合、バーナに接近する方向における火炎の温度勾配は下降勾配となるので、プラズマの発生量を増加させれば、火炎長を短縮させて被処理物に接触する火炎の燃焼温度を良好なものに修正することができる。よって、燃料の組成が異なる等により火炎長が変動する場合であっても、火炎長をリアルタイムに精度よく調整することができる。
他の特徴方法は、前記測定工程は、UVセンサを用いて前記目標位置における紫外線の強度を測定し、前記制御工程は、前記プラズマの発生量を制御して前記火炎の長さを増減させ、前記UVセンサにおける紫外線の強度が前記火炎における前記紫外線の最大強度に対して所定の範囲となったとき、前記プラズマの発生量を固定する点にある。
火炎の紫外線の強度は、火炎の先端部まで略一定であり、火炎の先端部付近から急激に低下する。そこで、本方法のように、UVセンサでの紫外線の強度が最大強度に対して所定の範囲となるようにプラズマの発生量を増減させれば、火炎の先端部と火炎の外部領域との境界位置を正確に把握できる。その結果、火炎の先端部を被処理物に接触させることが可能となる。しかも、火炎の長さを増減させて紫外線の強度を所定の範囲に調整するので、極めて範囲の狭い該境界位置を確実に把握することができる。よって、燃料の組成が異なる等により火炎長が変動する場合であっても、火炎長をリアルタイムに精度よく調整することができる。
火炎長調整装置を備えたバーナの基本構成図である。 プラズマ発生器の出力電圧と火炎長との関係を示す概念図である。 第一実施形態における火炎長調整装置を備えたバーナの基本構成図である。 火炎の燃焼温度と温度測定位置との関係を示す概念図である。 第一実施形態における火炎長調整装置の制御フローである。 第一実施形態の別実施形態を示すバーナの基本構成図である。 第二実施形態における火炎長調整装置を備えたバーナの基本構成図である。 紫外線の強度と紫外線測定位置との関係を示す概念図である。 第二実施形態における火炎長調整装置の制御フローである。
以下に、本発明に係る火炎長調整装置および火炎長調整方法の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、火炎長調整装置Xをガラス管Y(被処理物の一例)の切断用バーナ1(以下、単に「バーナ1」と称する。)に備えた一例を説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
[基本構成]
図1に示すように、バーナ1は、モータ6で回転駆動されたガラス管Yに向かって側方から火炎2を放射して、ガラス管Yの周方向に沿って均一に局部加熱するものである。これによって、ガラス管Yは、周方向に沿った切断部位にクラックが入り易くなり、図示しないカッターや、急冷等によってガラス管Yが切断される。なお、ガラス管Yの切断部位に予め傷を付けておき、局部加熱によってクラックを促進させる急熱法による切断でも良く、特に限定されない。
バーナ1は、燃料の一例である天然ガスを含む燃料ガスと、燃焼用気体の一例である空気や酸素とを混合した混合ガスを混合流路11に流通させ、この混合流路11から排出された混合ガスを整流後、テーパ部14で絞られ、噴出部13で噴出、点火して火炎2を放射するガラスカットバーナである。また、放射された火炎2を保炎するために、パイロット炎を発生させる保炎部12を噴出部13の側方に設けている。なお、本実施形態のバーナ1は、予混合燃焼式であるが、燃料と燃焼用気体とを別々に噴射する拡散燃焼式であっても良い。
本実施形態における火炎長調整装置Xは、プラズマ発生器3と、火炎測定部4と、制御部5とを備えている。
プラズマ発生器3は、ガラス管Yに向かって放射される火炎2の内部領域にプラズマを発生させるものである。このプラズマ発生器3は、タングステン電極などで構成される陰極および陽極のプラズマ電極対30と、プラズマ電極対30の間に電圧を印加する電源部31とを備えている。つまり、プラズマ電極対30の間に火炎2の基端側の内部領域が存在している。なお、電源部31は、電圧値でなく、電流値でプラズマ発生量を調整しても良く、特に限定されない。
プラズマ電極対30に電圧を印加すると、火炎2の炭化水素燃焼反応における中間生成物として、OHラジカル等のプラズマが発生し、火炎2の燃焼反応を促進させるのである。これによって、生産地や使用される地域によって異なる天然ガスを用いた場合でも、その都度バーナ1の空気比や形状を変更する必要が無く、既存のバーナ1を用いてプラズマの発生量を調整するだけで、所望の火炎長に設定できる。具体的には、図2に示すように、プラズマ電極対30への印加電圧に応じて、火炎長が反比例する。つまり、火炎長を短縮したい場合は、印加電圧を増加させて火炎2の燃焼反応を促進させ、火炎長を伸長したい場合は、印加電圧を減少させて火炎2の燃焼反応を抑制させるのである。
火炎測定部4は、火炎2の先端部21の目標位置Mにおける火炎2の状態を測定するものである。ここで、目標位置Mとは、火炎2の先端部21が、ガラス管Yにおける切断部位の外表面に接触する位置のことである。つまり、火炎測定部4は、火炎2の放射方向においてガラス管Yの隣り合う位置に配置されている。この隣接位置は、最も高温となる火炎2の先端部21がガラス管Yに当接するように火炎の状態を測定できる位置であれば良く、例えば、火炎測定部4をバーナ1の方向に若干引退させて固定されている。
火炎測定部4が測定する火炎2の状態は、火炎2の長さに起因する各種パラメータを測定するものである。各種パラメータとして、後述する温度Tや紫外線の強度Kなどが考えられる。例えば、火炎2の長さが過小又は過大であれば、目標位置Mにおけるガラス管Yに接触する火炎2の燃焼温度が低いため、火炎測定部4が測定する火炎2の状態は比較的低い温度となっている。このように、火炎長が変動すると、ガラス管Yの切断部位が適正に局部加熱されず、切断不良や歩留りの低下を招いてしまう。特に、ガラス管Yを切断する場合、火炎2の先端部21がガラス管Yの切断部位を局部加熱する必要があるため、火炎長を精度よく制御することが求められている。
そこで、本実施形態では、火炎測定部4の測定結果に基づき、プラズマ発生器3におけるプラズマの発生量を制御して、火炎2の長さを調整する制御部5を備えている。つまり、制御部5は、火炎測定部4から測定結果が入力され、プラズマ発生器3の電源部31に演算した電圧値を出力するものである。これによって、例えば、火炎2の長さが過大である場合、プラズマ発生量を増加させて火炎2を短縮させる。反対に、火炎2の長さが過小である場合、プラズマ発生量を減少させて火炎2を伸長させる。その結果、ガラス管Yに接触する火炎2の燃焼温度を良好なものに修正することができる。
なお、制御部5は、各種処理を実行するCPUやメモリを中核としてソフトウェアにより構成されている。しかしながら、各機能部はハードウェアにより構成しても構わないし、ハードウェアとソフトウェアとを協働させて構成しても構わない。
[第一実施形態]
図3には、火炎長調整装置Xの第一実施形態が示される。
本実施形態では、火炎測定部4が、目標位置Mにおける温度Tを測定する温度測定器4aで構成され、制御部5が、温度測定器4aで取得された温度勾配に基づいて、プラズマの発生量を制御する。つまり、制御部5は、温度測定器4aで取得された温度勾配を判定し、この判定結果に基づいてプラズマ発生器3の電源部31に所定の電圧値を出力する。ここで、温度測定器4aは、高温領域まで温度測定が可能な熱電対を想定しているが、高温領域まで測定可能な他の温度センサや、赤外線から目標位置Mの温度を演算可能な非接触式の温度センサを用いても良く、特に限定されない。
ところで、図4に示すように、火炎2の温度Tは、火炎長が小さい場合、目標位置Mよりバーナ1の側にピーク値を有しており、火炎長が大きい場合、目標位置Mよりガラス管Yの側にピーク値を有している。
そこで、温度測定器4aが火炎2の放射方向に沿った温度勾配を取得できるように、制御部5は、温度測定器4aを火炎2の放射方向に沿って移動させることとしている。その結果、例えば、温度測定器4aをバーナ1の方向に移動させた場合、火炎2の長さが大きいときは火炎2の温度勾配として下降勾配が取得される。反対に、火炎2の長さが小さいときは、火炎2の温度勾配として上昇勾配が取得される。この温度測定器4aの測定結果に基づいて、制御部5は、プラズマの発生量を決定し、プラズマ発生器3の電源部31に所定の電圧値を出力するのである。
続いて、第一実施形態における火炎長調整装置Xを用いた火炎長調整方法について、図5を用いて説明する。
まず、バーナ1から放射された火炎2の内部領域に所定量のプラズマを発生させつつ、温度測定器4aをバーナ1の方向に向かって移動させる(#50)。次いで、温度測定器4aで取得された温度勾配の絶対値が所定値以下か否かが判定される(#51)。ここで、所定値は、温度測定器4aの移動量に応じて定められる。例えば、温度測定器4aの移動量を極めて小さくすれば、所定値は略零に設定される。温度勾配の絶対値が所定値以下であれば(#51Yes判定)、目標位置Mにおける火炎2の燃焼温度がピーク値に達しており、且つ火炎長が正常であるとして、温度測定器4aを目標位置Mに戻して終了する(#60)。
一方、温度勾配の絶対値が所定値より大きければ(#51Nо判定)、温度勾配が負の勾配(下降勾配)か否かが判定される(#52)。温度勾配が負の勾配であれば(#52Yes判定)、火炎長が大きいので、プラズマ発生器3の電圧値を所定量増圧させてプラズマ発生量を増加させ(#53)、火炎長を短縮させる。反対に、温度勾配が正の勾配(上昇勾配)であれば(#52Nо判定)、火炎長が小さいので、プラズマ発生器3の電圧値を所定量減圧させてプラズマ発生量を減少させ(#54)、火炎長を伸長させる。
次いで、温度測定器4aを目標位置Mに戻し、再度温度勾配を取得する(#55)。次いで、温度測定器4aで所得された温度勾配の絶対値が所定値以下か否かが判定される(#56)。温度勾配の絶対値が所定値以下であれば(#56Yes判定)、目標位置Mにおける火炎2の燃焼温度がピーク値に達しており、且つ火炎長が正常であるとして終了する。
一方、温度勾配の絶対値が所定値より大きければ(#56Nо判定)、温度勾配が負の勾配か否かが判定される(#57)。温度勾配が負の勾配であれば(#57Yes判定)、火炎長が小さいので、プラズマ発生器3の電圧値を所定量減圧させてプラズマ発生量を減少させ(#58)、火炎長を伸長させる。反対に、温度勾配が正の勾配であれば(#57Nо判定)、火炎長が大きいので、プラズマ発生器3の電圧値を所定量増圧させてプラズマ発生量を増加させ(#59)、火炎長を短縮させる。
次いで、温度測定器4aをバーナ1の方向に向かって移動させて(#50)、目標位置Mにおける火炎2の燃焼温度がピーク値に達するまで、上述した処理を繰り返す。このように、温度測定器4aで取得された火炎2の温度勾配に基づいて、プラズマの発生量を制御すれば、実際の火炎長に応じた修正量を正確に反映することが可能である。よって、燃料の組成に関わらず、火炎長をリアルタイムに精度よく調整することができる。
[第一実施形態の別実施形態]
上述した実施形態では、温度測定器4aを火炎2の放射方向に沿って移動させた。これに代えて、図6に示すように、温度測定器4aからバーナ1の方向に若干離間した温度測定器4bを設け、これらの温度測定器4a,4bの測定結果の差分から火炎2の放射方向に沿った温度勾配を取得しても良い。この場合、温度測定器4aを移動させる必要が無いので、制御が容易である。なお、温度測定器を3箇所以上設けて、火炎2の先端部21の位置を特定するように構成しても良い。つまり、温度測定器4bよりバーナ1の方向にさらに離間した別の温度測定器を設けて互いの測定結果の差分から温度勾配を取得する。このとき、この温度勾配の絶対値が所定値以下であれば、火炎2の先端部21の位置が特定でき、プラズマの減少量を推定することが可能となる。
また、温度測定器4aを火炎2の放射方向に沿って往復移動させて、火炎2の燃焼温度のピーク値を特定しても良い。この場合でも、火炎2の先端部21の位置が特定でき、プラズマの減少量を推定することが可能となる。
さらに、温度測定器4aを目標位置Mに固定した状態でプラズマの発生量を増減させて火炎長を変動させ、火炎2の燃焼温度のピーク値が目標位置Mとなった時点でプラズマ発生量を固定しても良い。この場合でも、火炎2の先端部21をガラス管Yに接触させることができる。
[第二実施形態]
図7には、火炎長調整装置Xの第二実施形態が示される。
本実施形態では、火炎測定部4は、目標位置Mにおける紫外線の強度Kを測定するUVセンサ4cで構成され、制御部5が、UVセンサ4cで測定された紫外線の強度Kが、火炎2における紫外線の最大強度Kmaxに対して所定の範囲となるように、プラズマの発生量を制御する。
ところで、UVセンサ4cは、火炎2によって発生する紫外線以外の輻射線などは受光しないことが知られている。このため、UVセンサ4cを用いれば、火炎2の状態を正確に把握することができる。また、図8に示すように、火炎2の紫外線の強度Kは、火炎2の先端部21まで略一定であり、火炎2の先端部21付近から急激に低下する。そこで、本実施形態のように、UVセンサ4cでの紫外線の強度Kが最大強度Kmaxに対して所定の範囲となるようにプラズマの発生量を制御することとしている。この所定の範囲は、火炎2の先端部21を誤差なく把握できる範囲(例えば、最大強度Kmaxの90%以上95%以下)に設定されている。
つまり、UVセンサ4cでの紫外線の強度Kが最大強度Kmaxに対して所定の範囲となるようにプラズマの発生量を制御すれば、火炎2の先端部21と火炎2の外部領域との境界位置を正確に把握できる。その結果、火炎2の先端部21をガラス管Yに接触させることが可能となる。
続いて、第二実施形態における火炎長調整装置Xを用いた火炎長調整方法について、図9を用いて説明する。
まず、バーナ1から放射された火炎2の内部領域にプラズマを発生させ、このプラズマの発生量を次第に増加させる(#90)。次いで、UVセンサ4cでの紫外線の強度Kが最大強度Kmaxに対して所定の範囲にあるか否かが判定される(#91)。UVセンサ4cでの紫外線の強度Kが最大強度Kmaxに対して所定の範囲となったとき(#91Yes判定)、プラズマの発生量を固定する(#95)。バーナ1の運転開始時では、通常はこの判定で処理が終了する。
しかしながら、プラズマ発生量の増加速度が大きすぎた場合、この所定の範囲を下回って紫外線の強度Kが低下するおそれがある。また、バーナ1の運転中に燃料の組成が変動して、火炎2の長さが短縮するおそれがある。そこで、UVセンサ4cでの紫外線の強度Kが最大強度Kmaxに対して所定の範囲にないとき(#91Nо判定)、フェールセーフとして、紫外線の強度Kが最大強度Kmaxに対して所定の範囲を下回ったか否かが判定される(#92)。
紫外線の強度Kが最大強度Kmaxに対して所定の範囲を下回った場合(#92Yes判定)、プラズマの発生量を次第に減少させる(#93)。その結果、火炎2の長さが伸長するので、再度、UVセンサ4cでの紫外線の強度Kが最大強度Kmaxに対して所定の範囲にあるか否かが判定される(#94)。UVセンサ4cでの紫外線の強度Kが最大強度Kmaxに対して所定の範囲にないとき(#94Nо判定)、プラズマの発生量をさらに減少させる(#93)。一方、UVセンサ4cでの紫外線の強度Kが最大強度Kmaxに対して所定の範囲となったとき(#94Yes判定)、プラズマの発生量を固定する(#95)。なお、バーナ1の運転中にも燃料の組成が異なって火炎長が変動するので、これら一連の処理を所定時間ごとに実行するのが好ましい。
このように、火炎2の長さを増減させて紫外線の強度Kを所定の範囲に調整するので、火炎2の先端部21と火炎2の外部領域との極めて狭い範囲の境界位置を確実に把握することができる。よって、燃料の組成に関わらず、火炎長をリアルタイムで精度よく調整することができる。
[その他の実施形態]
(1)第一実施形態における火炎長調整方法において、温度測定器4aを目標位置Mに復帰させる際に温度勾配を取得しなくても良い。つまり、図5の#55で温度測定器4aを目標位置Mに復帰させた後、再度#50で温度測定器4aをバーナ1の方向に移動させて温度勾配を取得し、温度勾配が所定値以下である場合(#51)に処理を終了としても良い。また、温度測定器4aの移動は、バーナ1の方向への1回の移動のみとしても良い。
(2)第一実施形態における制御部5においてプラズマの発生量を制御する際、温度勾配とプラズマ発生量とのマップを作成しておき、取得された温度勾配からプラズマ発生量を決定しても良い。これによって、プラズマ発生量を適正に制御できるので、温度測定器4aの往復移動回数を少なくすることが可能となる。また、燃料の組成を測定する燃料測定部を備え、燃料の組成ごとにマップを作成してプラズマ発生量を決定しても良い。
(3)上述した実施形態において、制御部5がプラズマの発生量を決定する際、火炎測定部4とガラス管Yとの距離に応じて、補正をしても良い。具体的には、火炎2の先端部21がガラス管Yに接触するように、該距離が大きいほどプラズマの発生量を減少させて火炎長を伸長させる補正が実行される。
(4)上述した実施形態では、バーナ1をガラス管切断用バーナとしたが、フラットガラスを切断したり、ガラスを任意の形状に加工したりするために用いても良い。また、バーナ1で加熱する被処理物もガラス管Yに限定されず、例えば金属など、火炎2によって加工が可能な物質であればどのようなものでも良い。
本発明は、バーナの火炎長を調整する火炎長調整装置や火炎長調整方法に利用可能である。
1 バーナ
2 火炎
21 先端部
3 プラズマ発生器
4 火炎測定部
4a 温度測定器
4c UVセンサ
5 制御部
K 紫外線の強度
Kmax 紫外線の最大強度
M 目標位置
T 温度
X 火炎長調整装置
Y 被処理物(ガラス管)

Claims (7)

  1. バーナから被処理物に向かって放射される火炎の内部領域にプラズマを発生させるプラズマ発生器と、
    前記火炎の先端部の目標位置における前記火炎の状態を測定する火炎測定部と、
    前記火炎測定部の測定結果に基づき、前記プラズマ発生器における前記プラズマの発生量を制御して前記火炎の長さを調整する制御部と、を備えた火炎長調整装置。
  2. 前記火炎測定部は、前記目標位置における温度を測定する温度測定器で構成され、
    前記制御部は、前記火炎の放射方向に沿って前記温度測定器で取得された温度勾配に基づいて、前記プラズマの発生量を制御する請求項1に記載の火炎長調整装置。
  3. 前記火炎測定部は、前記目標位置における紫外線の強度を測定するUVセンサで構成され、
    前記制御部は、前記UVセンサで測定された前記紫外線の強度が、前記火炎における前記紫外線の最大強度に対して所定の範囲となるように、前記プラズマの発生量を制御する請求項1に記載の火炎長調整装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の火炎長調整装置を備えたガラス管切断用バーナ。
  5. バーナから被処理物に向かって放射される火炎の内部領域にプラズマを発生させて火炎長を調整する方法であって、
    前記火炎の先端部の目標位置における前記火炎の状態を測定する測定工程と、
    前記測定工程の測定結果に基づき、前記プラズマの発生量を制御して前記火炎の長さを調整する制御工程と、を備えた火炎長調整方法。
  6. 前記測定工程は、温度測定器を用いて前記目標位置の温度を測定し、
    前記制御工程は、前記温度測定器を前記バーナに接近する方向に移動させて前記火炎の温度勾配を取得し、当該温度勾配が上昇勾配のとき、前記プラズマの発生量を減少させ、前記温度勾配が下降勾配のとき、前記プラズマの発生量を増加させる請求項5に記載の火炎長調整方法。
  7. 前記測定工程は、UVセンサを用いて前記目標位置における紫外線の強度を測定し、
    前記制御工程は、前記プラズマの発生量を制御して前記火炎の長さを増減させ、前記UVセンサにおける紫外線の強度が前記火炎における前記紫外線の最大強度に対して所定の範囲となったとき、前記プラズマの発生量を固定する請求項5に記載の火炎長調整方法。
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