JP6618232B1 - 海水中の二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる方法 - Google Patents

海水中の二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、海水中の二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる新規な方法を提供することを目的とする。【解決手段】 二枚貝の浮遊幼生が存在する海水に、純水や水道水などの淡水を添加することにより、海水中の二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させることができる。【選択図】図4

Description

本発明は、海水中の二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる方法に関する。
冷却水として海水を利用する火力・原子力発電所においては、海から海水を取り入れて復水器に供給する取水路や、復水器を通った海水を海へ放出するための放水路の内部に、フジツボ類、イガイ類、カキ類等の海洋生物が付着しやすい。このような海洋生物の付着量が多くなると、冷却水の流路が塞がれて、冷却能が低下するなどの不具合を招く恐れがある。そのため、塩素や過酸化水素製剤等を連続注入して付着を抑制したり、定期的に取水路や放水路を点検し、取水路や放水路に海洋生物が大量付着した場合には、機械を用いたりして、取水路や放水路に付着した海洋生物を除去している。
取水路や放水路への海洋生物の付着を未然に防ぐためには、幼生が流入する時期において集中的に塩素を注入するなどの対策を実施することが有効である。しかしながら、取水路内や放水路内は流速が速く、管路、暗渠である場合が多いため、現在存在する手段(例えば、市販のプランクトンネット等)を用いて、取水路内や放水路内に存在する海洋生物の幼生を採取し、流入時期を調べることは困難であった。例えば、現在までに、海水に含まれる植物性プランクトンを観察するシステムが存在するが、このシステムは、特定の大きさのプランクトンを採取することができなかった(例えば、特許文献1参照)。また、特定の大きさの水中の微小物質を、効率よく採取するための装置が開発されたが、特定種のプランクトンを選択して採取することができなかった(例えば、特許文献2参照)。
特開平5-172728号公報 特開2009-244200号公報
本発明は、海水中の二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる新規な方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは鋭意研究の結果、貝類の浮遊幼生が存在する海水中に淡水を添加することにより、二枚貝の浮遊幼生は閉殻し、沈降しやすくなることを見出した。
このことを利用し、選択的に二枚貝の浮遊幼生を生きたまま濃縮することに成功した。
従って、本願発明は以下の[1]〜[8]である。
[1]海水中のプランクトン中で二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる方法であって、前記二枚貝の浮遊幼生が存在する海水に淡水を添加することを含む方法。
[2]前記淡水が水道水であって、当該水道水が前記海水に等量以上添加されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
[3]前記淡水が純水であって、当該純水が前記海水に半分量以上添加されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
[4]海水中のプランクトン中で二枚貝の浮遊幼生の割合を高める方法であって、
前記海水から二枚貝の浮遊幼生を前記プランクトンとともに回収する第1の工程と、
淡水で希釈された海水に、回収した前記二枚貝の浮遊幼生および前記プランクトンを懸濁する第2の工程と、
前記二枚貝の浮遊幼生を含む沈殿画分を回収する第3の工程と、
を含む方法。
[5]前記淡水が水道水であって、前記淡水で希釈された海水は、もとの海水に対して、当該水道水が等量以上添加されていることを特徴とする、[4]に記載の方法。
[6]前記淡水が純水であって、前記淡水で希釈された海水は、もとの海水に対して、当該純水が半分量以上添加されていることを特徴とする、[4]に記載の方法。
[7]前記海水を200μmメッシュでろ過することによって、二枚貝の浮遊幼生が前記プランクトンとともに回収される、[4]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]第2の工程と第3の工程の間に、前記回収した前記二枚貝の浮遊幼生および前記プランクトンを再懸濁した海水を1分〜5分間静置する工程を
さらに含む、[4]〜[7]のいずれか一項に記載の方法。
本発明により、海水中の二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる新規な方法を提供することが可能になった。
本発明の一実施例において、純水添加によるカキ幼生の遊泳匍匐停止効果を調べた結果を示す図である。 本発明の一実施例において、水道水添加によるカキ幼生の遊泳匍匐停止効果を調べた結果を示す図である。 本発明の実施例3における、試験容器側面に付着したマガキ付着仔貝(純水処理2日後)の写真である。 本発明の実施例で用いられている分離筒の模式図である。筒状部材の下部が漏斗状に形成され、その先端にコックが取り付けられており、試料を下部より分取することが可能である。 本発明の実施例4における幼生分離の工程の模式図である。 本発明の実施例5における夾雑プランクトンの除去効果を示す結果を示す図である。1〜5:夾雑分画。6〜10:分離試料(下段は拡大写真)。1及び6は採取地点A;2及び7は採取地点B;3及び8は採取地点C;4及び9は採取地点D;5及び10は採取地点Eから各々採取された試料から調製された。
本発明の目的、特徴、利点、およびそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態および具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示または説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==海水中のプランクトン中で二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる方法==
本発明の一実施形態は、海水中のプランクトン中で二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる方法であって、前記二枚貝が存在する海水に淡水を添加する工程を含む。この処理によって、二枚貝の浮遊幼生は閉殻し沈殿するが、他のプランクトンは浮遊したままである。ここで、選択的に沈殿させるというのは、二枚貝の浮遊幼生をそれ以外のプランクトンより、高頻度に沈殿させることを言うのであって、二枚貝の浮遊幼生だけを沈殿させることに限らない。例えば、二枚貝の浮遊幼生は、60%以上、70%以上、80%以上または90%以上沈殿し、それ以外のプランクトンは、全体として、40%以下、30%以下、20%以下または10%以下しか沈殿しない。
二枚貝は、動物界軟体動物門貝殻亜門二枚貝綱に属する生物である。種は特に限定されないが、足糸(そくし)を出して砂泥や岩などに自分の体を固定する翼形亜綱の属する生物、たとえば、カキ目に属するマガキやタイラギ、イガイ目に属するイガイ、ムラサキイガイ、ミドリイガイなどが好ましい。
浮遊幼生とは、二枚貝の幼生のなかで遊泳することが可能な幼生を意味する。例えばカキの場合、ベリジャー幼生(=D型幼生)や、さらに眼点と足を有するペディベリジャー幼生が含まれる。
海水は、天然の海水であっても人工海水であってもよい。海水中の塩分濃度は、3.1%〜3.8%である。
淡水は、塩分濃度が0.05%以下の水を意味し、その種類は特に限定されないが、水道水、蒸留水やイオン交換水などの純水、ミリQ水などの超純水などが含まれる。
水道水とは、家庭用に上水道から供給される水であり、日本の水道水が好ましい。なお、日本の平均的な水道水の電気伝導率は約100〜200μS/cmである。
純水とは、純度の高い水のことであり、イオン交換、蒸留、濾過、逆浸透膜処理などによって製造される。純水の電気伝導率は特に限定されないが、0.1〜1.0μS/cmであることが好ましい。
超純水とは、純水の中でも極めて純度の高い水のことであり、ミリQなどによって製造できる。超純水の電気伝導率は特に限定されないが、0.1μS/cm未満であることが好ましい。
海水に対して淡水を添加する割合は、二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させることができる割合であれば特に限定されないが、例えば、水道水の場合、海水に対して50%容量以上、より好ましくは75%容量以上、さらに好ましくは100%容量以上添加すればよく、純水や超純水の場合、海水に対して30%容量以上、より好ましくは40%容量以上、さらに好ましくは50%容量以上、さらに好ましくは100%容量以上添加すればよい。
沈殿した二枚貝の浮遊幼生を回収し、再度海水に懸濁すると、一定時間後再度遊泳あるいは匍匐可能になり、本実施形態により、生きた二枚貝の浮遊幼生を高い割合で回収することが可能になる。
==二枚貝の浮遊幼生の割合を高める方法==
本発明の一実施形態は、海水中のプランクトン中で二枚貝の浮遊幼生の割合を高める方法であって、海水から二枚貝の浮遊幼生をプランクトンとともに回収する第1の工程と、淡水で希釈された海水に、回収した二枚貝の浮遊幼生およびプランクトンを懸濁する第2の工程と、二枚貝の浮遊幼生を含む沈殿画分を回収する第3の工程と、を含む。これによって、海水中に二枚貝の浮遊幼生とそれ以外のプランクトンが存在する場合、全体のプランクトンの中での二枚貝の浮遊幼生の割合を高めることができる。
まず、海水から二枚貝の浮遊幼生をそれ以外のプランクトンとともに回収する。回収方法は特に限定されないが、網を用いてろ過するのが好ましい。網の目合いは、200μm以下であることが好ましいが、100μm以下または50μm以下であってもよい。プランクトンを網で回収する前に、より大きな目合いの網を用いてろ過し、ろ過画分からプランクトンを回収してもよい。それによって、ごみなどの不要物を除去することができる。
次に、淡水で希釈された海水に、回収した二枚貝の浮遊幼生およびプランクトンを懸濁する。「海水中のプランクトン中で二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる」方法を説明した節では、プランクトンが存在する海水に淡水を添加していたが、その代わりに、プランクトンを、淡水で希釈された海水に懸濁する。両方とも、結果的に、淡水で希釈された海水にプランクトンが存在するように行えばよいので、本実施形態においても、実施の条件は、「海水中のプランクトン中で二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる」方法に準じるものでよい。
上述したように、二枚貝の浮遊幼生は、淡水で希釈された海水では閉殻して沈殿するが、それ以外のプランクトンは浮遊している。従って、沈殿画分には、二枚貝の浮遊幼生がより多く含まれ、そのような沈殿画分を回収することによって、プランクトン全体に対して、二枚貝の浮遊幼生の割合が高くなった画分を得ることができる。この沈殿画分を海水に懸濁すると、この海水中の二枚貝の浮遊幼生の割合は、最初にプランクトンを回収した海水より高くなる。
沈殿画分を回収することにより得られた二枚貝の浮遊幼生は、一定時間後再度遊泳あるいは匍匐可能になる。さらに、回収された二枚貝の浮遊幼生は、付着変態をすることが可能である。従って、本実施形態により、水中で生きている二枚貝の浮遊幼生の割合を高めることが可能になる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
実施例1 純水又は水道水添加によるマガキ幼生の遊泳または匍匐停止効果
1.試験方法
飼育マガキ幼生(眼点アリ)を目合い100μmのメッシュで回収し、試験海水(0.3μmフィルター濾過後)に移した。幼生を含んだ海水を、96wマイクロプレートの各ウエルに、約10個体のマガキ幼生が入るように、100μLずつ入れた。
純水は、Elix Advantage(Merck)で作成した。水道水は、広島県廿日市市宮島口西1丁目2−6、あるいは兵庫県姫路市白浜町甲770番地に設置された水道の蛇口から得られた水を用いた。
倒立顕微鏡でマガキ幼生を観察し、全個体遊泳中であることを確認した後、純水または水道水を、20〜100μLまで添加量を変えながら試験容器に添加した(表1、2)。
純水または水道水を添加後、ストップウォッチを用いて5分観察し、その間、閉殻を継続した個体の数を記録した。データは統計解析ソフトR(3.2.0)の一般化線形モデル(glm, probit)で解析した。
2.結果
純水添加によるカキ幼生の遊泳または匍匐の停止効果の結果を表1と図1に示した。同様に水道水の結果を表2と図2に示した。図1、2の推定曲線により、試験海水100μL中のカキ幼生に対して半数閉殻継続率(5分)となる添加量は、純水が21.1μL、水道水が62.7μLであり、純水の方が高い効果を示した。9割閉殻継続率(5分)で比較すると、純水が45.3μL、水道水が79.5μLであった。
このように、純水の場合は試験海水の半分、水道水の場合は試験海水と等量を添加することにより、ほとんどのカキ幼生の遊泳匍匐の遊泳または匍匐を少なくとも5分間停止させることが可能である。
実施例2 水添加により閉殻した個体が回復するまでの時間
1.試験方法
実施例1と同様に、96wマイクロプレートの各ウエルに、10個体のマガキ幼生が入るように、100μLずつ試験海水を入れた。倒立顕微鏡で全ての個体が遊泳していることを確認した後、水道水50μLまたは純水30μLを添加した。
各水を添加した後、経時観察を行った。ストップウォッチを用い、各個体が回復(遊泳あるいは匍匐を開始すること)した時間を記録した。回復するまでに要した時間の短い順に並び変えたデータを表3に示す。
2.結果
純水30μL添加の場合も水道水50μL添加の場合も、マガキ幼生は、いったん閉殻した後、時間と共に回復し、遊泳を始めた。水道水50μL添加の場合5分以内に全てが回復したが、純水の場合は30μLの添加で、最初の1個体が回復するまでに3分近い時間を要した。
このように、水道水または純水の添加によってマガキ幼生を閉殻させても、条件を調節することで、水を交換しなくても回復しうる。
実施例3 水添加処理で回収したカキ幼生の付着及び変態
1.試験方法
数十個体(>20)のマガキ幼生を含む海水25mLをいれた50mL遠沈管を3本準備した。全幼生が遊泳していることを確認し、試験海水(対照)、純水、水道水を、それぞれの遠沈管に25mLずつ加えた。遠沈管を転倒させ、ゆるやかに混ぜて5分後、マガキ幼生が沈降していることを確認し、マガキ幼生を回収した。対照の場合は試験海水添加直後、マガキ幼生を回収した。回収したマガキ幼生を50mLの海水を加え、シャーレに移しかえ、それぞれ20個体を6wプレートに移して飼育した。エサとして、キートセラス(sp.)培養液1滴を与えた。その後定期的に4.17日目まで観察を行い、遊泳匍匐する個体数、付着した個体数及び死亡した個体数を計測した。
2.結果
水添加処理後に試験海水を交換した場合のカキ幼生の観察結果を表4に示した。多くのマガキ幼生が処理後数日生存し、付着変態した(図3)。
このように、淡水添加処理によって回収したマガキ幼生は、海水に再懸濁することにより、生体としての実験や養殖に用いることが可能である。さらに、淡水添加により、生存率や付着率が高くなる。
実施例4 分離筒によるマガキ幼生の回収
1.方法
下部に設置されたコックを閉じた分離筒(図4)内に3μmフィルターでろ過した海水300mLを入れ、マガキペディペリンジャー幼生を20個体入れた。水道水300mLを加え、薬さじで10回撹拌し、30秒静置した。再び10回撹拌し、30秒静置し、コックを開き、2mLずつ希釈海水を分取し、各分画中の幼生の個数を調べた。同じ試験を繰り返して3度行った。
2.結果
分離筒によるマガキペディペリンジャー幼生は、試験区では分画1の平均回収率が78%であり、大半が分画1で回収されていることが判明した(表5)。
実施例5 夾雑プランクトンの除去効果
1.方法
1―1.海水採取
マガキ採苗候補地で海水500L分のプランクトンを北原式表面プランクトンネット(REGOSHA, #5511)を用いて採集した。採集地点A〜Eで各々2試料(海水500L分×2)を採集した。
1―2.幼生分離
1つの試料を用い、以下の工程により、幼生分離を行った(図5)。
1)プランクトンネットから採集したプランクトンを回収、
2)回収した試料を400μmメッシュでろ過し、
3)ろ過画分を200μmメッシュでろ過し、200μmメッシュ上に残った二枚貝幼生を含む微小物質を回収し、
4)回収した微小物質を、60μmメッシュで不純物をろ過した水道水と海水の混合液(1:1)に再懸濁し、約1〜2分間の静置後、分離筒下部から貝類幼生を含んだ沈殿画分を回収して、試料とした(以下、分離試料と称する)。
もう1つの試料は、幼生分離を行わず、ホルマリン固定(5%容)した後、400μmメッシュでろ過し、ろ過画分を200μmメッシュでろ過し、メッシュ上に残った分画を遠沈管に移して24時間放置し、沈降容積を測定した。そして、沈降したカキ幼生を含む下層の分画を避け、上層部から、その一部(100μL)を回収して試料とした(以下、夾雑分画と称する)。
分離試料と夾雑分画について、それぞれ実体顕微鏡を用いてプランクトンの同定・計数を行い、採取した500L海水中当たりの個体数に換算した。
2.結果
夾雑分画の24時間沈降容積は1.3〜3.9mLであった。それに対し、分離試料では、全てが50μL以下であった(図6)。
プランクトン分析の結果を表6に示した。主要な夾雑プランクトン(たとえば、マガキ養殖の妨げとなる、フジツボの幼生を含むノープリウス幼生やキプリス幼生)は、分離試料中にはわずかしか含まれず、除去率は96%以上で、多くはほぼ100%であった。
二枚貝、とりわけ牡蠣の養殖は、日本国内のみならず、世界各地で行われている。日本国内における牡蠣の一般的な養殖方法は、海中に浮遊する牡蠣の浮遊幼生をホタテの貝殻などからなる採苗器に付着させ、採苗器に付着した稚貝を海中に筏垂下ぶら下げ、牡蠣が大きくなるのを待つというものである。稚貝を採苗器に付着させる際、フジツボなどの付着を避け、狙い通りの数で稚貝を採苗器に付着させることが、その後の養殖成果に影響する。本発明を用いることにより、フジツボの幼生を含むノープリウス幼生やキプリス幼生を減少させて、生きているマガキ幼生を濃縮することが可能であり、そうして得られた水または塩水を利用することにより、牡蠣の養殖成果を向上させることが可能である。

Claims (8)

  1. 二枚貝の浮遊幼生とそれ以外のプランクトンが存在する海水中で二枚貝の浮遊幼生を選択的に沈殿させる方法であって、前記海水に淡水を添加することを含む方法。
  2. 前記淡水が水道水であって、当該水道水が前記海水に等量以上添加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記淡水が純水であって、当該純水が前記海水に半分量以上添加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 海水中のプランクトン中で二枚貝の浮遊幼生の割合を高める方法であって、
    前記海水から二枚貝の浮遊幼生とそれ以外のプランクトンを回収する第1の工程と、
    淡水で希釈された海水に、回収した前記二枚貝の浮遊幼生とそれ以外のプランクトンを懸濁する第2の工程と、
    前記二枚貝の浮遊幼生を含む沈殿画分を回収する第3の工程と、
    を含む方法。
  5. 前記淡水が水道水であって、前記淡水で希釈された海水は、もとの海水に対して、当該水道水が等量以上添加されていることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 前記淡水が純水であって、前記淡水で希釈された海水は、もとの海水に対して、当該純水が半分量以上添加されていることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  7. 前記海水を200μmメッシュでろ過することによって、前記二枚貝の浮遊幼生とそれ以外のプランクトンが回収される、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 第2の工程と第3の工程の間に、前記回収した前記二枚貝の浮遊幼生とそれ以外のプランクトンを再懸濁した海水を1分〜5分間静置する工程をさらに含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
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