JP6617811B2 - 接着フィルム、硬化体の製造方法、硬化体、配線板、及び半導体装置 - Google Patents

接着フィルム、硬化体の製造方法、硬化体、配線板、及び半導体装置 Download PDF

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本発明は、接着フィルム、硬化体の製造方法、硬化体、配線板、及び半導体装置に関する。
各種電子機器に広く使用されている多層プリント配線板等の配線板は、電子機器の小型化、高機能化のために、層の薄型化や回路の微細配線化が求められている。配線板の製造技術としては、絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法においては、まず樹脂組成物層を含む接着フィルム等を用いてコア基板上に樹脂組成物層を積層し、該樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する。次いで、絶縁層上に、セミアディティブ法等の技術により導体層(配線層)を形成する。ここで、絶縁層との密着強度の高い導体層を得るために、通常、導体層の形成に先立ち、絶縁層表面を粗化処理して表面に凹凸を形成し導体層との間にアンカー効果が得られるようにしている。しかし、セミアディティブ法による導体層の形成においては、表面の凹凸が大きいと微細配線化の妨げになるという問題があった。
斯かる問題を解決する方法として、絶縁層の粗化面の粗度を一定値以下に抑える試みがなされてきている。その際、絶縁層の粗化面の粗度のパラメータとしてはJIS B 0601で規定する算術平均粗さ(Ra)等が用いられており、斯かるパラメータ値を一定値以下に抑えるように種々の取組みがなされていた(例えば、特許文献1)。
特開2008−37957号公報
しかしながら、従来の技術は、配線板の微細配線を歩留まりよく形成するにあたり、必ずしも満足いくものではなかった。
本発明は、配線板の微細配線を形成するに際して歩留まりの向上に寄与する接着フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題につき鋭意検討した結果、粗化面の粗度のパラメータとしてSdr(界面の展開面積率;Developed Interfacial Area Ratio)を使用し、斯かるSdr値が特定範囲にある粗化面を有する絶縁層(硬化体)が、その粗化面に微細配線を形成するに際して歩留まりの向上に著しく寄与することを見出した。本発明者らはまた、絶縁層(硬化体)の形成に使用する接着フィルム中の支持体のSdr値を特定範囲とすることで、形成される絶縁層(硬化体)の粗化面のSdr値が所望の範囲となるように制御し得ることを見出した。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] 対向する第1面及び第2面を有する支持体と、該支持体の第1面と接合している樹脂組成物層とを含む接着フィルムであって、
支持体の第1面のSdr(界面の展開面積率)が1.8%以下であり、それによって、樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後、該硬化体の支持体の第1面と接合していた面を粗化処理して粗化面を得るとき、該粗化面のSdr(界面の展開面積率)が0.2%〜100%の範囲となる、接着フィルム。
[2] 粗化処理が、酸化剤による粗化工程と中和還元剤による中和還元工程を含む、[1]に記載の接着フィルム。
[3] 酸化剤がアルカリ性過マンガン酸溶液である、[2]に記載の接着フィルム。
[4] 中和還元剤が酸性ヒドロキシルアミン溶液である、[2]又は[3]に記載の接着フィルム。
[5] 粗化処理が、粗化工程と中和還元工程の間に水洗工程を含む、[2]〜[4]の何れかに記載の接着フィルム。
[6] 樹脂組成物層が、エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含む、[1]〜[5]の何れかに記載の接着フィルム。
[7] 硬化剤が、活性エステル系硬化剤を含む、[6]に記載の接着フィルム。
[8] 下記工程(1)乃至(3)を含む、Sdr(界面の展開面積率)が0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体の製造方法。
(1)対向する第1面及び第2面を有し、該第1面のSdr(界面の展開面積率)が1.8%以下である支持体と、該支持体の第1面と接合している樹脂組成物層とを含む接着フィルムを用意する工程、
(2)接着フィルムの樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成する工程、及び
(3)硬化体の支持体の第1面と接合していた面を粗化処理する工程
[9] 工程(2)と工程(3)の間に、硬化体から支持体を剥離する、[8]に記載の硬化体の製造方法。
[10] 工程(3)において、粗化処理が、酸化剤による粗化工程と中和還元剤による中和還元工程を含む、[8]又は[9]に記載の硬化体の製造方法。
[11] 酸化剤がアルカリ性過マンガン酸溶液である、[10]に記載の硬化体の製造方法。
[12] 中和還元剤が酸性ヒドロキシルアミン溶液である、[10]又は[11]に記載の硬化体の製造方法。
[13] 粗化工程と中和還元工程の間に水洗処理を行う、[10]〜[12]の何れかに記載の硬化体の製造方法。
[14] 樹脂組成物層が、エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含む、[8]〜[13]の何れかに記載の硬化体の製造方法。
[15] 硬化剤が、活性エステル系硬化剤を含む、[14]に記載の硬化体の製造方法。
[16] [8]〜[15]の何れかに記載の方法により製造されたSdr(界面の展開面積率)が0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体。
[17] [1]〜[7]の何れかに記載の接着フィルムを用いて得られる配線板。
[18] [17]に記載の配線板を含む半導体装置。
本発明によれば、配線板の微細配線を形成するに際して歩留まりの向上に著しく寄与する接着フィルムを提供することができる。
本発明において、表面の粗度の指標として使用する「Sdr(界面の展開面積率)」(単に「Sdr」又は「Sdr値」ともいう。)とは、測定領域の面積(表面凹凸を加味しない理想平面の面積)に対する、界面の面積(表面凹凸を加味した表面積)の増加割合を示すパラメータである。Sdrは、上記測定領域の面積をA、上記界面の面積をBとすると、下記式により求めることができる。
Figure 0006617811
なお、界面の面積Bは、サンプリング解像度に対応する四点で形成された小さな界面の展開面積を積算して求めることができる(例えば、Christopher A. et al., Scale-sensitivity, Fractal Analysis and Simulations, Int. J. Mach. Tools Manufact. Vol. 38, Nos. 5-6, pp. 633-637, 1998.参照)。Sdrは、サンプリング解像度に敏感であり、凹凸データにおける振幅と波長及びサンプリング解像度の関係を端的に表す。つまり表面の凹凸データにおいて短波長成分が支配的で振幅が大きいほど、Sdrは高くなる。一方、表面の凹凸データにおいて長波長成分が支配的で振幅が小さいほど、Sdrは低くなる。
本発明においては、表面の二次元解析により求められる算術平均粗さ(Ra)等のパラメータに代えて、表面の三次元解析により求められる上記のSdr(界面の展開面積率)を使用し検討した結果、Sdr値が0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する絶縁層(硬化体)が、その粗化面に微細配線を形成するに際して歩留まりの向上に著しく寄与することを見出したものである。
Sdrは、市販の測定機器を使用して測定することができる。本発明におけるSdrの値は、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定領域寸法121μm×92μmについて得られた値である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[接着フィルム]
本発明の接着フィルムは、対向する第1面及び第2面を有する支持体と、該支持体の第1面と接合している樹脂組成物層とを含み、支持体の第1面のSdr(界面の展開面積率)が1.8%以下であることを特徴とする。それによって、樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後、該硬化体の支持体の第1面と接合していた面を粗化処理して粗化面を得るとき、該粗化面のSdr(界面の展開面積率)を0.2%〜100%の範囲とすることができる。
(支持体)
支持体としては、プラスチック材料からなるフィルムが好適に用いられる。プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下、「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下、「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。好適な一実施形態において、支持体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
本発明の接着フィルムにおいて、樹脂組成物層と接合する支持体の第1面のSdrは、該接着フィルムから形成される硬化体の粗化面のSdrを所望の範囲とする観点から、1.8%以下であり、好ましくは1.6%以下、より好ましくは1.4%以下、さらに好ましくは1.2%以下、さらにより好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、又は0.3%以下である。
支持体の第1面のSdrの下限は特に限定されず、0%であってもよいが、通常、0.05%以上である。
本発明の接着フィルムにおいて、支持体の第2面(すなわち、第1面とは反対の面)のSdrは、第1面のSdrが上記特定の範囲にある限り特に限定されず、任意の値であってよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する第1面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。この場合、マット処理等の処理後の第1面のSdrが上記特定範囲にあることが必要とされる。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する第1面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。この場合、樹脂組成物層と接合することとなる離型層表面のSdrが上記特定範囲にあることが必要とされる。
なお、離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。
離型層付き支持体における離型層の厚みは、通常、0.01μm〜1μmであり、好ましくは0.01μm〜0.2μmである。
支持体の厚みは、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、支持体が離型層付き支持体である場合、離型層付き支持体全体の厚みが上記範囲であることが好ましい。
(樹脂組成物層)
本発明の接着フィルムは、上述した支持体の第1面と接合している樹脂組成物層を含む。Sdrが0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体を得るに際して、Sdrが1.8%以下である第1面を有する支持体を使用する限り、樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は特に限定されず、その硬化物が十分な硬度と絶縁性を有するものであればよい。例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤及び(c)無機充填材を含む樹脂組成物を用いることができる。樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、必要に応じて、さらに熱可塑性樹脂、硬化促進剤、難燃剤及びゴム粒子等の添加剤を含んでいてもよい。
なお、本発明において、樹脂組成物を構成する各成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分の合計を100質量%としたときの値である。
(a)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂及びトリメチロール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下、「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下、「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物を硬化して形成される硬化体の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP4032D」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、新日鐵化学(株)製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP−4700」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、「EXA7310」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、「EXA7311−G3」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノールエポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラックエポキシ樹脂)、「NC3000H」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「NC3000」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「NC3000L」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、東都化成(株)製の「ESN475」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:6の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)接着フィルムの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)接着フィルムの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化体を得ることができるなどの効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.5〜1:4の範囲がより好ましい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、3質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜25質量%がより好ましく、8質量%〜20質量%がさらに好ましく、10質量%〜20質量%が特に好ましい。
(b)硬化剤
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されないが、例えば、フェノール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、及びシアネートエステル系硬化剤が挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
フェノール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤が好ましい。ここで、フェノール系硬化剤が有し得るノボラック構造としては、例えば、フェノールノボラック構造、クレゾールノボラック構造、ビフェニルノボラック構造、ビフェニルアラルキル構造、ナフトールノボラック構造、ナフトールアラルキル構造等が挙げられ、フェノールノボラック構造、クレゾールノボラック構造、ビフェニルアラルキル構造が好ましい。また、導体層との密着性(剥離強度)の観点から、含窒素フェノール系硬化剤、ビフェニルアラルキル構造を有するフェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び導体層との密着性(剥離強度)を高度に満足させる観点から、硬化剤としてトリアジン骨格含有フェノールノボラック型硬化剤、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック型硬化剤用いることが好ましい。
フェノール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、東都化成(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」等が挙げられる。
導体層との密着性(剥離強度)を高める観点から、活性エステル系硬化剤も好ましい。活性エステル系硬化剤はまた、粗化処理による硬化体表面のSdr値の上昇を抑える効果も奏する。後述するように、微細配線を形成する際の歩留まりをより一層向上させる観点から、硬化体の粗化面のSdrは、0.2%〜100%の範囲において、より低い方が好ましい。よって、活性エステル系硬化剤は、より低いSdrを有する粗化面を実現し、微細配線を形成する際の歩留まりをより一層向上させるにあたって、特に好ましい硬化剤である。
活性エステル系硬化剤としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」(DIC(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC(株)製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学(株)製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」等が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.2〜1:2の範囲が好ましく、1:0.5〜1:1.5の範囲がより好ましい。ここで、硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂と硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物層を硬化して形成される硬化体の耐熱性が向上する。
上記のとおり、より低いSdrを有する粗化面を得る観点から、硬化剤は、活性エステル系硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤全体に占める活性エステル系硬化剤の割合は、硬化剤の反応基の数を基準として、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましく、60%以上が特に好ましい。該割合の上限は特に限定されず、100%であってよいが、硬化反応性向上の観点から、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。なお、硬化剤として活性エステル系硬化剤と他の硬化剤との混合物を用いる場合、他の硬化剤としては、組成物のポットライフを得ながら、より低いSdrを有する粗化面を実現する観点から、フェノール系硬化剤が好ましく、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、含窒素フェノール系硬化剤がより好ましく、トリアジン骨格含有フェノールノボラック型硬化剤、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック型硬化剤がさらに好ましい。
斯かる割合にて活性エステル系硬化剤を含む硬化剤を使用する場合、粗化処理の前後における硬化体表面のSdrの上昇比を低く抑えることができる。詳細には、粗化処理前の硬化体の表面(すなわち支持体の第1面と接合していた面)のSdrをSdrとし、粗化処理後の硬化体の表面(すなわち粗化面)のSdrをSdrとするとき、Sdr/Sdrの比を、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下とし得る。Sdr/Sdrの比の下限は特に限定されず、1とすることも可能であるが、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上とし得る。ここでSdrは、樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後に硬化体から支持体を剥離する態様においては、支持体の第1面のSdrに対応する。
(c)無機充填材
無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、及びジルコン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等のシリカが特に好適である。またシリカとしては球状シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。市販されている球状溶融シリカとして、(株)アドマテックス製「SOC2」、「SOC1」が挙げられる。
無機充填材の平均粒径は0.01μm〜3μmの範囲が好ましく、0.05μm〜2μmの範囲がより好ましく、0.1μm〜1μmの範囲がさらに好ましく、0.3μm〜0.8μmの範囲が特に好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、株式会社堀場製作所製LA−500等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性向上のため、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などの1種又は2種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
また、表面処理剤で表面処理された無機充填材は、溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後の無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やフィルム形態での溶融粘度の上昇を防止するという点で、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、硬化体の機械強度が低下するのを防止する観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。また、硬化体の熱膨張率を低下させる観点から、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、65質量%以上がさらにより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
一実施形態において、樹脂組成物層に使用する樹脂組成物は、上述の(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤及び(c)無機充填材を含む。中でも、樹脂組成物は、(a)エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との混合物(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂の質量比は1:0.1〜1:6、好ましくは1:0.5〜1:4)を、(b)硬化剤として活性エステル系硬化剤、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤及び含窒素フェノール系硬化剤(好ましくはトリアジン骨格含有フェノール系硬化剤)からなる群から選択される1種以上を、(c)無機充填材としてシリカを、それぞれ含むことが好ましく、より低いSdrを有する粗化面を得る観点から、(a)エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との混合物(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂の質量比は1:0.1〜1:6、好ましくは1:0.5〜1:4)を、(b)硬化剤として活性エステル系硬化剤を含む硬化剤を、(c)無機充填材としてシリカを、それぞれ含むことがより好ましい。斯かる特定の成分を組み合わせて含む樹脂組成物層に関しても、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、及び(c)無機充填材の好適な含有量は上述のとおりであるが、中でも、(a)エポキシ樹脂の含有量が3質量%〜30質量%、(c)無機充填材の含有量が50質量%〜95質量%であることが好ましく、(a)エポキシ樹脂の含有量が5質量%〜25質量%、(c)無機充填材の含有量が50質量%〜90質量%であることがより好ましい。(b)硬化剤の含有量に関しては、(a)エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数と、(c)硬化剤の反応基の合計数との比が、1:0.2〜1:2となるように含有させることが好ましく、1:0.5〜1:1.5となるように含有させることがより好ましい。
樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、必要に応じて、さらに熱可塑性樹脂、硬化促進剤、難燃剤及びゴム粒子等の添加剤を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲がさらに好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、東都化成(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の粘度が適度となり、厚みやバルク性状の均一な樹脂組成物を形成することができる。樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。
硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物、及び3級アミン化合物などが挙げられる。硬化促進剤の含有量は、(a)エポキシ樹脂と(b)硬化剤の不揮発成分の合計を100質量%としたとき、0.05質量%〜3質量%の範囲で使用することが好ましい。硬化促進剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。樹脂組成物中の難燃剤の含有量は特に限定はされないが、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜9質量%がより好ましく、1質量%〜8質量%がさらに好ましい。
ゴム粒子としては、例えば、後述する有機溶剤に溶解せず、上述のエポキシ樹脂、硬化剤、及び熱可塑性樹脂などとも相溶しないものが使用される。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。
ゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メチルメタクリレート重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。ゴム粒子は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
ゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005μm〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2μm〜0.6μmの範囲である。ゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。樹脂組成物中のゴム粒子の含有量は、好ましくは1質量%〜10質量%であり、より好ましくは2質量%〜5質量%である。
本発明の接着フィルムにおいて、樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよい。斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに有機フィラー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、着色剤及び硬化性樹脂等の樹脂添加剤等が挙げられる。
本発明の接着フィルムにおいて、樹脂組成物層の厚みは、3μm〜100μmが好ましく、5μm〜80μmがより好ましく、20μm〜60μmがさらに好ましい。
本発明の接着フィルムは、支持体の第1面と接合するように樹脂組成物層を設けることにより製造することができる。例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどの塗布装置を用いて支持体の第1面に塗布し、樹脂ワニスを乾燥させて樹脂組成物層を設けることができる。
樹脂ワニスの調製に用いる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
樹脂ワニスの乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の乾燥方法により実施してよい。樹脂組成物層中に有機溶剤が多く残留すると、硬化後に膨れが発生する原因となるため、樹脂組成物中の残留溶剤量が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば15質量%〜50質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3〜10分乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
本発明の接着フィルムにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムは、ロール状に巻きとって保存することが可能であり、硬化体を製造する際には、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
上記のとおり、本発明の接着フィルムにおいて、支持体の第1面のSdrは1.8%以下である。それによって、樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後、該硬化体の支持体の第1面と接合していた面を粗化処理して粗化面を得るとき、該粗化面のSdr(界面の展開面積率)を0.2%〜100%の範囲とすることができる。粗化面に微細配線を形成するに際して歩留まりをより一層向上させる観点から、粗化面のSdrは、0.2%〜100%の範囲において、より低い方が好ましい。例えば、粗化面のSdrは、0.2%〜90%の範囲にあることが好ましく、0.2%〜80%の範囲にあることがより好ましく、0.2%〜70%の範囲の範囲にあることがさらに好ましく、0.2%〜60%の範囲にあることがさらにより好ましく、0.2%〜50%の範囲、0.2%〜40%の範囲、0.2%〜30%の範囲、0.2%〜20%の範囲、0.2%〜10%の範囲、0.2%〜8%の範囲、0.2%〜6%の範囲、0.2%〜4%の範囲、0.2%〜2%の範囲、0.2%〜1%の範囲、又は0.2%〜0.5%の範囲にあることが特に好ましい。
Sdrが0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体を得るに際して、Sdrが1.8%以下である第1面を有する支持体を使用する限り、樹脂組成物層の熱硬化条件、硬化体の粗化処理条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120℃〜240℃の範囲、硬化時間は5分間〜90分間の範囲とすることができる。
より低いSdrを有する粗化面を得る観点から、樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。
また、硬化体の表面(すなわち、支持体の第1面と接合していた面)の粗化処理は、例えば、硬化体を、酸化剤による粗化工程及び中和還元剤による中和還元工程に付すことにより実施することができる。粗化工程において使用する酸化剤としては、例えば、アルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、中和還元工程において使用する中和還元剤としては、例えば、酸性ヒドロキシルアミン溶液が挙げられる。
より低いSdrを有する粗化面を得る観点から、酸化剤による粗化工程と中和還元剤による中和還元工程との間に、硬化体の処理対象面を水洗する工程を含むことが好ましい。
なお、粗化処理に先立ち、支持体を剥離して、硬化体の処理対象面(すなわち、支持体の第1面と接合していた面)を露出させる必要があるが、支持体は、樹脂組成物層を熱硬化させる前に樹脂組成物層から剥離してもよく、樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後に硬化体から剥離してもよい。
より低いSdrを有する粗化面を得る観点から、支持体は、樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後に硬化体から剥離することが好ましい。
樹脂組成物層の熱硬化条件並びに硬化体の粗化処理の手順、条件の詳細は、後述することとする。
[硬化体の製造方法]
本発明の接着フィルムを用いて、Sdrが0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体を製造することができる。
すなわち、Sdrが0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体の製造方法は、下記工程(1)乃至(3)を含む。
(1)対向する第1面及び第2面を有し、該第1面のSdr(界面の展開面積率)が1.8%以下である支持体と、該支持体の第1面と接合している樹脂組成物層とを含む接着フィルムを用意する工程、
(2)接着フィルムの樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成する工程、及び
(3)硬化体の支持体の第1面と接合していた面を粗化処理する工程
工程(1)において、対向する第1面及び第2面を有し、該第1面のSdr(界面の展開面積率)が1.8%以下である支持体と、該支持体の第1面と接合している樹脂組成物層とを含む本発明の接着フィルムを用意する。本発明の接着フィルムの構成は上述のとおりであり、詳細は省略する。
工程(2)において、接着フィルムの樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成する。
本発明の接着フィルムを使用する限り、Sdrが0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体を得るに際して、樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120℃〜240℃の範囲(好ましくは150℃〜210℃の範囲、より好ましくは170℃〜190℃の範囲)、硬化時間は5分間〜90分間の範囲(好ましくは10分間〜75分間、より好ましくは15分間〜60分間)とすることができる。
より低いSdrを有する粗化面を得る観点から、樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間)予備加熱してもよい。
工程(3)において、工程(2)で得られた硬化体の、支持体の第1面と接合していた面を粗化処理する。
なお、粗化処理に先立ち、支持体を剥離して、硬化体の処理対象面(すなわち、支持体の第1面と接合していた面)を露出させる必要がある。支持体は、樹脂組成物層を熱硬化させる前に樹脂組成物層から剥離してもよいし、樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後に硬化体から剥離してもよい。
より低いSdrを有する粗化面を得る観点から、支持体は、樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後に硬化体から剥離することが好ましい。すなわち、好適な一実施形態においては、工程(2)と工程(3)との間に、硬化体から支持体を剥離する。
本発明の接着フィルムを使用する限り、Sdrが0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体を得るに際して、硬化体の表面の粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用されるものを使用してよい。
例えば、硬化体の表面(すなわち、支持体の第1面と接合していた面)の粗化処理は、硬化体を、酸化剤による粗化工程及び中和還元剤による中和還元工程に付すことにより実施することができる。すなわち、一実施形態において、粗化処理は、酸化剤による粗化工程及び中和還元剤による中和還元工程を含む。
酸化剤による粗化工程は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤に、硬化体の表面(すなわち、支持体の第1面と接合していた面)を10分間〜30分間浸漬させることにより実施することが好ましい。
粗化工程において使用する酸化剤としては、例えば、アルカリ溶液に過マンガン酸塩を溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。ここで、アルカリ溶液としては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)の水溶液を用いることができ、また、過マンガン酸塩としては、アルカリ金属の過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム)を用いることができる。アルカリ性過マンガン酸溶液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度は2質量%〜8質量%が好ましく、また、アルカリ性過マンガン酸溶液中の過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%が好ましい。
市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「コンセントレート・コンパクトP」、「ドージングソリューション セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
中和還元剤による中和還元工程は、酸化剤による粗化工程に付された硬化体の処理面を、30℃〜80℃の中和還元剤に5分間〜30分間浸漬させることにより実施することができる。作業性等の観点から、硬化体の処理面を、40〜70℃の中和還元剤に5分間〜20分間浸漬することが好ましい。
中和還元工程において使用する中和還元剤としては、例えば、酸性溶液にヒドロキシルアミンを溶解した酸性ヒドロキシルアミン溶液が挙げられる。ここで、酸性溶液としては、酸性水溶液(例えば、塩酸、硫酸水溶液)を用いることができる。
市販されている中和還元剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「リダクションショリューシン・セキュリガントP」等の硫酸ヒドロキシルアミン水溶液が挙げられる。
より低いSdrを有する粗化面を得る観点から、酸化剤による粗化工程と中和還元剤による中和還元工程との間に、硬化体の処理対象面を水洗することが好ましい。よって、好適な一実施形態において、工程(3)における粗化処理は、酸化剤による粗化工程、水洗工程、及び中和還元剤による中和還元工程を含む。
水洗工程は、酸化剤による粗化工程に付された硬化体の処理面を、10℃〜50℃の水で10秒間〜5分間洗浄することにより実施することができる。水洗工程は、硬化体の処理面を水中に浸漬させて実施してもよく、硬化体の処理面を流水洗浄してもよい。
工程(3)における粗化処理はまた、酸化剤による粗化工程の前に、膨潤剤による膨潤工程を含んでいてもよい。よって、一実施形態において、工程(3)における粗化処理は、膨潤剤による膨潤工程、酸化剤による粗化工程、及び中和還元剤による中和還元工程を含む。斯かる実施形態においても、酸化剤による粗化工程と中和還元剤による中和還元工程との間に、水洗工程を含むことが好ましい。
膨潤剤による膨潤工程は、特に限定されないが、例えば、30〜90℃の膨潤剤に硬化体を1分間〜20分間浸漬することにより実施することができる。硬化体の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40〜80℃の膨潤剤に硬化体を5分間〜15分間浸漬させることが好ましい。
膨潤工程において使用する膨潤剤としては、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられる。中でも、膨潤剤としては、アルカリ溶液が好ましく、該アルカリ溶液としては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)の水溶液がより好ましい。
市販されている膨潤剤としては、例えば、アトテックジャパン(株)製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。
本発明の硬化体の製造方法においては、Sdrが0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体が得られる。該硬化体は、その粗化面に微細配線を形成するに際して高い歩留まりを実現することができる。
粗化面に微細配線を形成するに際して歩留まりをより一層向上させる観点から、粗化面のSdrは、0.2%〜100%の範囲において、より低い方が好ましい。本発明の硬化体の製造方法においては、例えば、接着フィルムの樹脂組成物層の組成、熱硬化条件及び粗化処理条件等の諸条件として、上述の好ましい条件を採用することにより、より一層低いSdrを有する粗化面を実現することが可能である。例えば、粗化面のSdrは、好ましい実施形態において0.2%〜90%の範囲とすることができ、より好ましい実施形態において0.2%〜80%の範囲とすることができ、さらに好ましい実施形態において0.2%〜70%の範囲とすることができ、さらにより好ましい実施形態において0.2%〜60%の範囲とすることができ、特に好ましい実施形態において0.2%〜50%の範囲、0.2%〜40%の範囲、0.2%〜30%の範囲、0.2%〜20%の範囲、0.2%〜10%の範囲、0.2%〜8%の範囲、0.2%〜6%の範囲、0.2%〜4%の範囲、0.2%〜2%の範囲、0.2%〜1%の範囲、又は0.2%〜0.5%の範囲とすることができる。
本発明の硬化体の製造方法はまた、工程(4)として、工程(3)で得られた硬化体の粗化面のSdrを測定する工程を含んでいてもよい。
硬化体の粗化面のSdrは、市販の測定機器(例えば、非接触型表面粗さ計)を使用して測定することができる。Sdr測定の際のサンプリング解像度は、1〜20nmの範囲とすることが好ましく、2〜10nmの範囲とすることがより好ましい。斯かる測定に適した市販の測定機器としては、例えば、ビーコインスツルメンツ社製の非接触型表面粗さ計「WYKO NT3300」等が挙げられる。
一実施形態において、本発明の硬化体の製造方法は、工程(4)として、工程(3)で得られた硬化体の粗化面Sdrを測定し、Sdrが0.2%〜100%の範囲にあることを確認する工程を含む。
[配線板]
本発明の接着フィルムを用いて、配線板を製造することができる。
一実施形態において、配線板は、本発明の接着フィルムを用いて、下記(I)乃至(V)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)対向する第1面及び第2面を有し、該第1面のSdr(界面の展開面積率)が1.8%以下である支持体と、該支持体の第1面と接合している樹脂組成物層とを含む接着フィルムを用意する工程、
(II)基板上に、接着フィルムを、該接着フィルムの樹脂組成物層が基板と接合するように積層する工程、
(III)接着フィルムの樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成する工程、
(IV)硬化体の支持体の第1面と接合していた面を粗化処理する工程、
(V)硬化体の粗化面に導体層を形成する工程
工程(I)において、対向する第1面及び第2面を有し、該第1面のSdr(界面の展開面積率)が1.8%以下である支持体と、該支持体の第1面と接合している樹脂組成物層とを含む本発明の接着フィルムを用意する。本発明の接着フィルムの構成は上述のとおりであり、詳細は省略する。
工程(II)で用いる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、及び熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。基板としてはまた、上述の基板の片面若しくは両面にパターン加工された(回路形成された)導体層を有し、配線板を製造する際に、さらに絶縁層および導体層が形成されるべき中間製造物となる所謂「内層回路基板」も挙げることができる。なお、本発明でいう「配線板」は、絶縁層と回路形成された導体層を有している限り、特に限定されず、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の各種配線板が挙げられる。
工程(II)における接着フィルムと基板との積層は、ロール圧着やプレス圧着等で、接着フィルムの樹脂組成物層が基板と接合するようにラミネート処理することが好ましい。中でも、減圧下でラミネートする真空ラミネート法がより好ましい。ラミネートの方法は、バッチ式でも連続式であってもよい。
ラミネート処理は、一般に、圧着圧力を1kgf/cm〜11kgf/cm(0.098MPa〜1.078MPa)の範囲とし、圧着温度を70〜120℃の範囲とし、圧着時間を5〜180秒の範囲とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で実施することが好ましい。
ラミネート処理は、市販されている真空ラミネーターを用いて実施することができる。市販されている真空ラミネーターとしては、例えば、(株)名機製作所製の真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター等が挙げられる。
工程(III)において、接着フィルムの樹脂組成物層を熱硬化して硬化体(絶縁層)を形成する。斯かる工程(III)は、上記[硬化体の製造方法]における工程(2)に対応するものであり、詳細な条件等も同様である。なお、支持体は、該工程(III)の前(すなわち、樹脂組成物層を熱硬化させる前)に樹脂組成物層から剥離してもよいし、該工程(III)の後(すなわち、樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後)に硬化体から剥離してもよいが、より低いSdrを有する粗化面を得る観点から、該工程(III)の後に支持体を硬化体から剥離することが好ましい。
工程(IV)において、硬化体の支持体の第1面と接合していた面を粗化処理する。斯かる工程(IV)は、上記[硬化体の製造方法]における工程(3)に対応するものであり、詳細な条件等も同様である。
上記のとおり、工程(IV)の後に、工程(IV)で得られた硬化体の粗化面のSdrを測定する工程(好ましくは、工程(IV)で得られた硬化体の粗化面のSdrを測定し、Sdrが0.2%〜100%の範囲にあることを確認する工程)を実施してもよい。
工程(V)において、硬化体の粗化面に導体層を形成する。
導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、硬化体の粗化面と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、一般に3〜35μm、好ましくは5〜30μmである。
導体層は、所望の配線パターンを有する。例えば、セミアディティブ法等の従来公知の技術により、硬化体の粗化面に、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、硬化体の粗化面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電界めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチングなどにより除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
硬化体(絶縁層)と導体層とは十分な密着性(剥離強度)を示すことが求められ、一般に、硬化体表面の凹凸に起因するアンカー効果によって斯かる密着性を得ている。しかしながら、硬化体表面の凹凸が大きいと、配線パターン形成時にエッチングで不要なめっきシード層を除去する際、アンカー部分のシード層が除去され難く、アンカー部分のめっきシード層を十分に除去し得る条件でエッチングした場合、配線パターンの溶解が顕著化し、微細配線化の妨げとなっていた。これに対し、Sdr値が0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する絶縁層(硬化体)を利用する本発明においては、硬化体(絶縁層)と導体層との間の十分な密着性(剥離強度)を保ちつつ、アンカー部分のめっきシード層を容易に除去することが可能であり、微細配線を高い歩留まりにて形成することができる。例えば、導体回路幅(ライン;L)と導体回路間の幅(スペース;S)の比(L/S)が20/20μm以下、好ましくは15/15μm以下、より好ましくは10/10μm以下の微細配線を歩留まりよく形成することができ、さらにはL/S比が7/7μm以下の微細配線であっても歩留まりよく形成することができる。
[半導体装置]
上記の配線板を用いて、半導体装置を製造することができる。
かかる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「%」及び「部」は、別途記載のない限り、それぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
まず各種測定方法・評価方法について説明する。
<Sdrの測定>
実施例及び比較例で使用した支持体の表面、並びに実施例及び比較例で製造した硬化体の粗化面について、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定領域面積を121μm×92μmとしてSdr値を求めた。表1に示す各Sdr値は、5点の測定領域に関する平均値である。
<微細配線形成性の評価>
実施例及び比較例において内層回路基板上に設けられた硬化体の粗化面を、塩化パラジウム(PdCl)を含む無電解めっき液に40℃で5分間、次いで無電解銅メッキ液に25℃で20分間浸漬し、硬化体の粗化面にめっきシード層を形成した。その後、150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った。アニール処理後、めっきシード層の表面を5%硫酸水溶液で30秒処理し、パターン形成用ドライフィルム(ニチゴー・モートン(株)製「ALPHO 20A263」、厚み20μm)をめっきシード層に積層した。ドライフィルムの積層は、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製「MVLP−500」)を用いて、30秒間減圧して気圧を13hPa以下にした後、圧力0.1MPa、温度70℃にて、20秒間加圧して行った。その後、L(ドライフィルムライン)/S(スペース)=5/7μmの12μmピッチの櫛歯パターン(配線長15mm、16ライン)を20個形成したガラスマスクをドライフィルムの保護層であるポリエチレンテレフタレートフィルム上に置き、UVランプにより照射強度150mJ/cmにてUV照射を行った。UV照射後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて噴射圧0.15MPaにて30秒間スプレー処理した。その後、水洗を行い、ドライフィルムの現像(パターン形成)を行った。現像後、パターン形成されたドライフィルムが設けられためっきシード層に電解銅めっきを行い、導体層を形成した。次いで、50℃の3%水酸化ナトリウム溶液を用いて噴射圧0.2MPaにてスプレー処理し、ドライフィルムを剥離させた。その後、(株)荏原電産製のSACプロセスにて余分なめっきシード層を除去して配線板を形成した。
得られた配線板について、導体層の剥離の有無を光学顕微鏡にて確認すると共に、不要なめっきシード層の残留の有無を櫛歯パターンの絶縁抵抗を測定することで確認した。そして、櫛歯パターン20個中の良品形成率(歩留まり)を以下の基準に従って評価した。
評価基準:
++:90%以上
+:75%以上
−:75%未満
<実施例1>
下記の方法に従って接着フィルム1を製造した。
1.接着フィルム1の製造
(1)樹脂ワニス1の調製
ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量約165、新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量約185、三菱化学(株)製「YX4000HK」)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290、日本化薬(株)製「NC3000H」)10部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のメチルエチルケトン(MEK)溶液)10部を、ソルベントナフサ30部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、活性エステル系硬化剤(活性基当量約223、DIC(株)製「HPC−8000−65T」、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)20部、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック型硬化剤(水酸基当量151、DIC(株)製「LA−3018−50P」、固形分50%のメトキシプロパノール溶液)10部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン、固形分2質量%のMEK溶液)4部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)140部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス1を調製した。
(2)接着フィルム1の製造
支持体として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製「R80」、厚み38μm)の平滑面をアルキド樹脂系離型剤(藤森工業(株)製「NS−80A」)で離型処理した離型層付き支持体を用意した。該支持体の離型層表面のSdrは0.23%であった。この離型層表面に、ダイコーターにて樹脂ワニス1を塗布し、80〜120℃(平均100℃)で5分間乾燥させ、樹脂組成物層を形成した。樹脂組成物層の厚みは30μmであった。次いで、樹脂組成物層の支持体と接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子特殊紙(株)製「アルファインMA−411」、厚み15μm)の平滑面側を貼り合わせて接着フィルム1を得た。
得られた接着フィルム1を用いて、下記の方法に従って、硬化体1を製造した。得られた硬化体1について、微細配線形成性を評価した。結果を表1に示す。
2.硬化体1の製造
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路の形成されたガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔厚み18μm、基板厚み0.3mm、松下電工(株)製「R5715ES」)の両面を、メック(株)製「CZ8100」に浸漬し1μmエッチングして銅表面の粗化処理をおこなった。
(2)接着フィルムのラミネート処理
接着フィルム1から保護フィルムを剥離して、樹脂組成物層を露出させた後、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機(株)製「MVLP-500」)を用いて、樹脂組成物層が内層回路基板と接合するように、内層回路基板の両面にラミネート処理した。ラミネート処理は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaで30秒間プレスすることにより行った。
(3)樹脂組成物層の硬化
ラミネート処理された接着フィルム1を、80℃にて30分間予備加熱した後、170℃にて30分間樹脂組成物層を熱硬化して、内層回路基板の両面上に硬化体を形成した。その後、支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルムを硬化体から剥離した。
(4)粗化処理
両面上に硬化体が形成された内層回路基板を、膨潤液(アトテックジャパン(株)「スエリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル含有の水酸化ナトリウム水溶液)に60℃で5分間浸漬し、次いで粗化液(アトテックジャパン(株)「コンセントレート・コンパクトP」、過マンガン酸カリウム濃度約6質量%、水酸化ナトリウム濃度約4質量%の水溶液)に80℃で20分間浸漬した。その後、1分間水洗した後、中和液(アトテックジャパン(株)「リダクションショリューシン・セキュリガントP」、硫酸ヒドロキシルアミン水溶液)に40℃で5分間浸漬した。80℃で30分間乾燥させた後、得られた硬化体の粗化面について、Sdrを測定したところ、Sdrは0.4%であった。
<実施例2>
樹脂ワニス1に代えて、下記のように調製した樹脂ワニス2を使用した以外は、実施例1と同様にして、接着フィルム(以下、「接着フィルム2」という。)を製造した。
(樹脂ワニス2の調製)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量約165、新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量約185、三菱化学(株)製「YX4000HK」)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290、日本化薬(株)製「NC3000H」)20部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のMEK溶液)10部を、ソルベントナフサ20部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有フェノールノボラック型硬化剤(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、窒素含有量約12質量%、固形分60質量%のMEK溶液)10部、ビフェニルアラルキル構造を有するフェノール系硬化剤(水酸基当量238、明和化成(株)製「MEH7851−4H」、固形分60質量%のMEK溶液)15部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン、固形分2質量%のMEK溶液)2部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)100部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス2を調製した。
得られた接着フィルム2を用いて、実施例1と同様にして硬化体(以下、「硬化体2」という。)を製造した。得られた硬化体2の粗化面について、Sdrを測定したところ、Sdrは41%であった。得られた硬化体2について、微細配線形成性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例3>
樹脂ワニス1に代えて、下記のように調製した樹脂ワニス3を使用した以外は、実施例1と同様にして、接着フィルム(以下、「接着フィルム3」という。)を製造した。
(樹脂ワニス3の調製)
ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量約165、新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量約185、三菱化学(株)製「YX4000HK」)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290、日本化薬(株)製「NC3000H」)10部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のMEK溶液)10部を、ソルベントナフサ30部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、活性エステル硬化剤(活性基当量約223、DIC(株)製「HPC−8000−65T」、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)20部、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック硬化剤(水酸基当量151、DIC(株)製「LA−3018−50P」、固形分50%のメトキシプロパノール溶液)10部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン、固形分2質量%のMEK溶液)4部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.24μm、(株)アドマテックス製「SOC1」、単位面積当たりのカーボン量0.36mg/m)100部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス3を調製した。
得られた接着フィルム3を用いて、実施例1と同様にして硬化体(以下、「硬化体3」という。)を製造した。得られた硬化体3の粗化面について、Sdrを測定したところ、Sdrは3.8%であった。得られた硬化体3について、微細配線形成性を評価した。結果を表1に示す。
<比較例1>
下記の方法に従って接着フィルム4を製造した。
1.接着フィルム4の製造
(1)樹脂ワニス4の調製
ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量約165、新日鐵化学(株)製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品)5部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量約185、三菱化学(株)製「YX4000HK」)10部、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290、日本化薬(株)製「NC3000H」)20部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YL7553BH30」、固形分30質量%のMEK溶液)10部を、ソルベントナフサ20部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有フェノールノボラック型硬化剤(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、窒素含有量約12質量%、固形分60質量%のMEK溶液)15部、ビフェニルアラルキル構造を有するフェノール系硬化剤(水酸基当量238、明和化成(株)製「MEH7851−4H」、固形分60質量%のMEK溶液)5部、硬化促進剤(4−ジメチルアミノピリジン、固形分2質量%のMEK溶液)1部、難燃剤(三光(株)製「HCA−HQ」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径2μm)2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)100部、を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
(2)接着フィルム4の製造
支持体として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製「R80」、厚み38μm)の粗面をアルキド樹脂系離型剤(藤森工業(株)製「NS−80A」)で離型処理した離型層付き支持体を用意した。該支持体の離型層表面のSdrは1.9%であった。この離型層表面に、ダイコーターにて樹脂ワニス4を塗布し、80〜120℃(平均100℃)で5分間乾燥させ、樹脂組成物層を形成した。樹脂組成物層の厚みは30μmであった。次いで、樹脂組成物層の支持体と接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子特殊紙(株)製「アルファインMA−411」、厚み15μm)の平滑面側を貼り合わせて接着フィルム4を得た。
得られた接着フィルム4を用いて、実施例1と同様にして硬化体(以下、「硬化体4」という。)を製造した。得られた硬化体4の粗化面について、Sdrを測定したところ、Sdrは119%であった。得られた硬化体4について、微細配線形成性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006617811
樹脂組成物層と接合する支持体の第1面のSdrが1.8%以下である実施例1、2、3の接着フィルムは、樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後、該硬化体の支持体の第1面と接合していた面を粗化処理して粗化面を得るとき、該粗化面のSdr(界面の展開面積率)が0.2%〜100%の範囲となることが確認された。また、Sdr(界面の展開面積率)が0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体は、該粗化面に微細配線を形成するに際して、高い歩留まりを示すことが確認された。
一方、樹脂組成物層と接合する支持体の第1面のSdrが1.8%を超えた比較例1の接着フィルムは、樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後、該硬化体の支持体の第1面と接合していた面を粗化処理して粗化面を得るとき、該粗化面のSdr(界面の展開面積率)が119%と高い値となることが確認された。また、Sdr(界面の展開面積率)が119%である粗化面を有する硬化体は、該粗化面に微細配線を形成するに際して、十分な歩留まりが得られなかった。

Claims (14)

  1. 対向する第1面及び第2面を有する支持体と、該支持体の第1面と接合している樹脂組成物層(但し、樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、(A)2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂、及び(B)エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びビスマレイミドとジアミンの重合物から選択される1種以上の熱硬化性樹脂、並びに脂環式構造含有フェノキシ樹脂を含有する物を除く)とを含む接着フィルムであって、
    支持体の第1面のSdr(界面の展開面積率)が1.8%以下であり、
    樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成した後、該硬化体の支持体の第1面と接合していた面を粗化処理して粗化面を得るとき、該粗化面のSdr(界面の展開面積率)が0.2%〜100%の範囲となる、接着フィルム;但し、Sdrの値は、非接触型表面粗さ計を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定領域寸法121μm×92μmについて得られた値である。
  2. 樹脂組成物層が、エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含む、請求項1に記載の接着フィルム。
  3. 硬化剤が、活性エステル系硬化剤を含む、請求項2に記載の接着フィルム。
  4. 下記工程(1)乃至(3)を含む、Sdr(界面の展開面積率)が0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体の製造方法;但し、Sdrの値は、非接触型表面粗さ計を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定領域寸法121μm×92μmについて得られた値である。
    (1)対向する第1面及び第2面を有し、該第1面のSdr(界面の展開面積率)が1.8%以下である支持体と、該支持体の第1面と接合している樹脂組成物層(但し、樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、(A)2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂、及び(B)エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びビスマレイミドとジアミンの重合物から選択される1種以上の熱硬化性樹脂、並びに脂環式構造含有フェノキシ樹脂を含有する物を除く)とを含む接着フィルムを用意する工程、
    (2)接着フィルムの樹脂組成物層を熱硬化して硬化体を形成する工程、及び
    (3)硬化体の支持体の第1面と接合していた面を粗化処理する工程
  5. 工程(2)と工程(3)の間に、硬化体から支持体を剥離する、請求項4に記載の硬化体の製造方法。
  6. 工程(3)において、粗化処理が、酸化剤による粗化工程と中和還元剤による中和還元工程を含む、請求項4又は5に記載の硬化体の製造方法。
  7. 酸化剤がアルカリ性過マンガン酸溶液である、請求項6に記載の硬化体の製造方法。
  8. 中和還元剤が酸性ヒドロキシルアミン溶液である、請求項6又は7に記載の硬化体の製造方法。
  9. 粗化工程と中和還元工程の間に水洗処理を行う、請求項6〜8の何れか一項に記載の硬化体の製造方法。
  10. 樹脂組成物層が、エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含む、請求項4〜9の何れか一項に記載の硬化体の製造方法。
  11. 硬化剤が、活性エステル系硬化剤を含む、請求項10に記載の硬化体の製造方法。
  12. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着フィルムの樹脂組成物層を熱硬化した硬化体であって、
    樹脂組成物((A)2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状変性ポリイミド樹脂、及び(B)エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、ビニルベンジルエーテル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂及びビスマレイミドとジアミンの重合物から選択される1種以上の熱硬化性樹脂、並びに脂環式構造含有フェノキシ樹脂を含有する物を除く)の硬化体であって、
    Sdr(界面の展開面積率)が0.2%〜100%の範囲にある粗化面を有する硬化体;但し、Sdrの値は、非接触型表面粗さ計を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定領域寸法121μm×92μmについて得られた値である。
  13. 請求項1〜3の何れか一項に記載の接着フィルムを用いる配線板の製造方法。
  14. 請求項13に記載の配線板の製造方法により得られる配線板を用いる半導体装置の製造方法。
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