JP6616632B2 - 薄膜化合物太陽電池、薄膜化合物太陽電池の製造方法、薄膜化合物太陽電池アレイおよび薄膜化合物太陽電池アレイの製造方法 - Google Patents
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<薄膜化合物太陽電池の製造方法>
実施の形態1の薄膜化合物太陽電池の製造方法は、基板10上に、犠牲層20および1以上のpn接合を有する太陽電池層30を形成するステップ(図1)と、該太陽電池層30の側面をエッチングにより除去するステップ(図2)と、該太陽電池層30上に部分的に表面電極層40を形成するステップと(図3)と、該太陽電池層30および該表面電極層40を透明材料50で被覆するステップ(図4)と、犠牲層20をエッチングにより除去することにより、基板10を除去するステップ(図5)と、該太陽電池層30の一部を除去して表面電極層を露出させるステップ(図6)とを含む。
図1は、基板上に化合物半導体層を形成した後の状態を示す図であって、(a)は表面側から見た模式的な平面図であり、(b)は模式的な断面図である。図1に示されるように、基板10上に、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)を用いて、犠牲層を含む層20、太陽電池層30を結晶成長させる。実施の形態1では、図8に示されるように、基板10上に、バッファ層21、犠牲層22、エッチングストップ層23、第1コンタクト層41、ベース層31、エミッタ層32、および第2コンタクト層42の順に、化合物半導体層を結晶成長させる。以下において、ベース層31およびエミッタ層32のことを総称して「太陽電池層30」と記す。また、第1コンタクト層41および第2コンタクト層42のことを総称して「コンタクト層と記す。なお、バッファ層21、犠牲層22、エッチングストップ層23、第1コンタクト層41、ベース層31、エミッタ層32、および第2コンタクト層42のことを総称して「化合物半導体層80」と記す。また、受光側のことを表面側と記す。
図2は、太陽電池層の側面の一部をエッチングで除去した後の状態を示すであり、(a)は表面側から見た模式的な平面図であり、(b)は模式的な断面図である。太陽電池層30の側面をエッチング液でエッチングすることにより、図2に示されるように、犠牲層20の表面の一部を露出させる。このように太陽電池層30の側面をエッチングにより除去することにより、各太陽電池セルが電気的に分離されて、太陽電池セルの領域が確定する。ここでは、2つの太陽電池セル領域(R1、R2)に分離している。また、犠牲層20が露出することにより、エッチング液が犠牲層20に伝わりやすくなり、犠牲層20をエッチングしやすくなる。
表面電極層40は、太陽電池層30上に部分的に形成される。表面電極層40は、第2コンタクト層と金属からなる表面電極を含む。図3は、第2コンタクト層上に表面電極を形成した後の状態を示す図であって、(a)は表面側から見た模式的な平面図であり、(b)は模式的な断面図である。パターニングされた第2コンタクト層42上に、金属を蒸着することにより表面電極を形成する。表面電極に用いられる材料としては、Ti/Pd/Ag等を挙げることができる。ここで、上記「Ti/Pd/Ag」とは、第2コンタクト層42側から順に、Ti層とPd層とAg層とをこの順に形成することを意味する。また、太陽電池層30上に蒸着等によりARコートを施してもよい。
図4は、太陽電池層および表面電極層を透明材料で被覆した後の状態を示す図であって、(a)は表面側から見た模式的な平面図であり、(b)は模式的な断面図である。図4に示されるように、太陽電池層30および表面電極層40を透明材料50で被覆する。このとき、透明材料50は、2つの太陽電池セルS1およびS2を一体的に被覆する。
図5は、基板を除去した後の状態を示す図であって、(a)は表面側から見た模式的な平面図であり、(b)は模式的な断面図である。図4に示す積層体をエッチャントに浸漬させることにより、犠牲層22は外側から内側に向かってエッチングされる。このとき、太陽電池層30は透明材料50およびエッチングストップ層23によりエッチャントから保護される。そして、犠牲層22のエッチングが進行して、化合物半導体層80が基板10から離れる。なお、エッチャントとしては上述したように、フッ酸と水とを1対10の比率で混合したフッ酸水溶液または塩酸を用いることが好ましい。犠牲層22のエッチングが完了したときに、基板10と化合物半導体層80とが分離され、化合物半導体層80から基板は除去される。
基板10を除去後、エッチングストップ層23をエッチングにより除去する。これにより第1コンタクト層41を露出させる。
図6は、太陽電池層の一部を除去して表面電極層を露出させた後の状態を示す図であって、(a)表面側から見た模式的な平面図であり、(b)模式的な断面図である。図6に示されるように、太陽電池層30の一部を除去し、表面電極層が露出する開口部60を形成する。開口部60において、表面電極層の第2コンタクト層42および表面電極の少なくとも一方が露出している。開口部60は、第1コンタクト層41および太陽電池層30の一部を除去することで形成される。また、開口部60は、第1コンタクト層41、太陽電池層30および第2コンタクト層42の一部を除去することで形成してもよい。
得られた薄膜化合物太陽電池に、さらに裏面電極を形成してもよい。裏面電極(図示せず)は、太陽電池層30の非受光側に形成する。裏面電極は、第1コンタクト層41上に金属を蒸着することにより形成することができる。裏面電極に用いられる材料としては、Au/Ag、Ti/Pd/Ag等を挙げることができる。ここで、上記「Au/Ag」とは、第1コンタクト層8側から順に、Au層とAg層とをこの順に形成することを意味する。また、後述のように、配線付きフィルムに接続することで裏面電極を形成することもできる。
実施の形態2では、具体例を挙げて実施の形態1をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施の形態2では、図1に示されるように、厚みが400μmのGaAsからなる基板10上に、MOCVD法を用いて10nmの厚みのAlAsを含む犠牲層20、太陽電池層30を形成した。実施の形態2において、基板10上に形成した化合物半導体層80は、図8に示されるように、GaAsからなるバッファ層21、AlAsからなる犠牲層22、InGaPからなるエッチングストップ層23、GaAsからなる第1コンタクト層41、InGaPからなるベース層31およびエミッタ層32、GaAsからなる第2コンタクト層42をこの順に形成したものである。また、太陽電池層30は、第1コンタクト層41、ベース層31、エミッタ層32および第2コンタクト層42をこの順に形成したものであり、ベース層31とエミッタ層32との接合面がpn接合となる。
次に、図2に示されるように、太陽電池層30の第2コンタクト層42の表面に、レジスト材料である保護膜(図示せず)を塗布し、フォトリソグラフィを用いて第2コンタクト層42よりも若干広い領域だけ保護膜を残し、それ以外の領域の保護膜を取り除く。そして、保護膜でマスキングした領域以外の太陽電池層30の側面をエッチング液でエッチングすることにより、犠牲層20を露出させる。
次に、図3に示されるように、第2コンタクト層42の表面電極を蒸着させる領域以外の領域をエッチング等で除去した上で、Ti、Pd、Agをこの順で蒸着することにより、第2コンタクト層42上に厚み3μmのTi/Pd/Agからなる表面電極を形成し、表面電極層40を形成した。
次いで、図4に示されるように、太陽電池層30および表面電極層40上を透明材料50で被覆した。ここで、透明材料50として、透明樹脂(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;IVS4622)を用いた。
次に、図4に示される積層体をエッチャントに浸漬させ、犠牲層22を除去した。エッチャントとしては、フッ酸と水とを1対10の比率で混合したフッ酸水溶液を用い、エッチャントの液温を40℃とした。犠牲層3のエッチングが完了したときに、基板10と化合物半導体層80とが分離され、図5に示されるように、透明材料50で被覆された化合物半導体層80が得られた。
次に、化合物半導体層80のエッチングストップ層23をエッチングを用いて除去した。これにより、透明材料50で被覆された太陽電池層30が得られた。
図6に示されるように、太陽電池層30の一部を除去することにより、表面電極層が露出するように開口部を形成した。開口部は、第1コンタクト層41、太陽電池層30および第2コンタクト層42までをエッチングにより除去することで形成した。開口部は、第1コンタクト層41および太陽電池層30までをエッチングにより除去することで形成してもよい。また、表面電極層の第2コンタクト層および表面電極の少なくとも一方を露出させればよい。
パターニングされた第1コンタクト層41上に、Au/Agからなる裏面電極を形成した。
実施の形態3の薄膜化合物太陽電池の製造方法は、基板上に、エッチングストップ層および1以上のpn接合を有する太陽電池層を形成するステップと、該太陽電池層の側面をエッチングにより除去するステップと、該太陽電池層上に部分的に表面電極層を形成するステップと、該太陽電池層および該表面電極層を透明材料で被覆するステップと、基板1をエッチングにより除去するステップと、エッチングストップ層をエッチングにより除去するステップと、該太陽電池層の一部を除去して表面電極層を露出させるステップを含む。
図9は、実施の形態3の基板上に化合物半導体層を形成した後の状態を示す模式的な断面図である。図9に示されるように、基板91上に、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)を用いて、エッチングストップ層92、太陽電池層900の順に、化合物半導体層90を結晶成長させる。実施の形態3の基板91の構成は、実施の形態1と同様である。また、実施の形態3の太陽電池層900の構成は、第1コンタクト層93、ベース層94、エミッタ層95、および第2コンタクト層96であり、実施の形態1と同様である。
実施の形態3では、基板91はエッチングにより除去される。このとき、太陽電池層900およびコンタクト層93、96は透明材料50およびエッチングストップ層92によりエッチャントから保護される。
実施の形態4の太陽電池の製造方法は、基板上に、1以上のpn接合を有する太陽電池層を形成するステップと、太陽電池層上に表面電極層を形成するステップと、太陽電池層および表面電極層を透明材料で被覆するステップと、基板を除去するステップと、太陽電池層の一部を除去して表面電極層を露出させるステップとを含み、実施の形態1と太陽電池層が異なる以外は、実施の形態1と同様である。実施の形態4の太陽電池層は、2つのpn接合を有する順積型の構造である。なお、実施の形態4の太陽電池層は、実施の形態2および実施の形態3にも適用可能である。
<薄膜化合物太陽電池アレイの製造方法>
実施の形態5の薄膜化合物太陽電池アレイの製造方法は、受光側が透明材料で被覆され、非受光側の一部に太陽電池層が除去された開口部を有し、開口部から表面電極層の一部が露出する薄膜化合物太陽電池の複数を、フィルムの一方の面側に配線を有する配線シート上に配置するステップと、薄膜化合物太陽電池の電極と配線が電気的に接続されるように配線シートと薄膜化合物太陽電池を接着するステップとを含む。
実施の形態5の薄膜化合物太陽電池としては、実施の形態1の図6に示されるセルを用いることができる。図6に示されるように、実施の形態5に用いる薄膜太陽電池Sは、受光側となる太陽電池層30の上面および表面電極層の上面が透明材料50で被覆されている。一方、非受光側では太陽電池層30の第1コンタクト層41と表面電極層40の一部が露出している。表面電極層の露出部は、太陽電池層30の一部が除去された開口部60により形成されている。第1コンタクト層41および表面電極層40の一部は、後述の配線シートとの接続部となる。
図7は、実施の形態5の薄膜化合物太陽電池アレイを示す図であって、(a)は表面側から見た模式的な平面図と(b)は模式的な断面図である。実施の形態5では、配線シート上に複数の薄膜太陽電池を配置する。図7に示すように、配線シート70上に複数の薄膜太陽電池Sを位置決めして配置する。ここでは、各薄膜太陽電池Sが複数の太陽電池セル(S1,S2)を含むため、効率よく配置することができる。配線シート70は、絶縁性フィルム71と配線72を備える。配線72上に、さらに電極材料73を塗布してもよい。電極材料73としては、銀ペースト等を用いることができ、ディスペンサーやスクリーン印刷等で塗布することができる。配線72は、太陽電池セルの表面電極層と隣接する太陽電池セルの裏面電極とを電気的に接続する。また、薄膜太陽電池の位置決めがしやすいように、配線シートにアライメントマークを入れてもよい。
次に、薄膜太陽電池と配線シート70とを圧着または焼成して、接着させる。銀ペーストは焼成することで硬化し、薄膜太陽電池Sと配線シート70は接着され、電気的にも接続される。
<薄膜化合物太陽電池アレイ>
実施の形態6の薄膜化合物太陽電池アレイは、複数の薄膜化合物太陽電池と、絶縁性フィルムの一方の面側に薄膜化合物太陽電池の電極と電気的に接続された配線を有する配線シートとを備え、薄膜化合物太陽電池は、受光側が透明材料で被覆され、表面電極層の一部に非受光側が太陽電池層および透明樹脂材料で覆われていない開口部を有し、非受光側において、開口部に位置する表面電極層と配線が電気的に接続される。
Claims (5)
- 基板上に、1以上のpn接合を有する太陽電池層を結晶成長させることにより受光面とは反対側に位置する層から順に形成するステップと、
前記太陽電池層の前記受光面側の表面上に表面電極層を形成するステップと、
前記太陽電池層および前記表面電極層を樹脂を含む透明材料で被覆するステップと、
前記基板を除去するステップと、
前記太陽電池層の一部を除去して表面電極層を前記受光面とは反対側に露出させるステップとをこの順で含む、薄膜化合物太陽電池の製造方法。 - 前記太陽電池層はpn接合を有するサブセルを複数備え、
前記太陽電池層を形成するステップは、
前記基板上に第1のサブセルを形成するステップと、
前記第1のサブセル上に第2のサブセルを形成するステップを含み、
前記第2のサブセルのバンドギャップは、前記第1のサブセルのバンドギャップよりも大きい、請求項1に記載の薄膜化合物太陽電池の製造方法。 - 前記基板と前記太陽電池層との間に結晶成長させることにより犠牲層を形成するステップを更に含み、
前記基板を除去するステップにおいて、前記犠牲層をエッチングすることにより、前記基板を分離する、請求項1または2に記載の薄膜化合物太陽電池の製造方法。 - 前記基板と前記太陽電池層との間にエッチングストップ層を結晶成長させることにより形成するステップを更に含み、
前記基板を除去するステップにおいて、前記基板をエッチング除去する、請求項1または2に記載の薄膜化合物太陽電池の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜化合物太陽電池の製造工程と、前記薄膜化合物太陽電池の複数を、フィルムの一方の面側に配線を有する配線シート上に配置するステップと、
前記薄膜化合物太陽電池の電極と前記配線とが電気的に接続されるように前記配線シートと前記薄膜化合物太陽電池を接着するステップとを含む、薄膜化合物太陽電池アレイの製造方法。
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