JP6616607B2 - 静電アクチュエータおよび静電アクチュエータの製造方法 - Google Patents

静電アクチュエータおよび静電アクチュエータの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、静電アクチュエータおよび静電アクチュエータの製造方法に関する。
静電アクチュエータは、軽量でありながら大きな駆動力を得ることができるため、磁力を利用したモータ等に代わる動力源として期待されている。例えば、静電アクチュエータには、多数の電極が積層され、積層された電極間に印加される電圧に応じて、静電アクチュエータが伸縮する。
また、複数の電極テープを互いに交差させて平織りして生成した電極板を積層することで、大きな極板面積を有し、従来と比べて容易に製造できる静電アクチュエータの技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−243805号公報
従来の静電アクチュエータでは、平織りする電極テープの数を増やすことで極板面積を大きくすることができる。しかしながら、電極テープの数の増加に従い、平織りして電極板を生成するのに時間がかかるという問題がある。また、電極テープを平織りするにあたり、電極テープを折り曲げる等するため、静電アクチュエータの小型化が困難となる虞がある。
本発明は、大きな極板面積を有する場合でも、従来と比べて容易に生成できる静電アクチュエータおよび静電アクチュエータの製造方法を提供することを目的とする。
本発明を例示する静電アクチュエータの一態様は、第1のパターンで接着剤が一方の面に塗布された複数の第1の電極板と、第1のパターンと異なる第2のパターンで接着剤が一方の面に塗布された複数の第2の電極板とを備え、第1の電極板と第2の電極板とは、接着剤が塗布された面を対向させずに交互に積層されており、第1のパターンは、互いに等間隔に配置される所定の形状の第1の領域を複数有し、複数の第1の領域に接着剤が塗布され、第2のパターンは、複数の第1の領域の各々に対応する位置に配置され第1の領域と異なる大きさの所定の形状の第2の領域を複数有し、複数の第2の領域を除いた領域に接着剤が塗布され、第1の電極板と第2の電極板とは、各第1の領域の中心と各第2の領域の中心とが積層方向で互いに重なるように積層されており、第1の領域と第2の領域との間には、第1の電極板と第2の電極板とが有する弾性により静電アクチュエータが伸縮する場合にヒンジ部として動作する、所定の幅を有する隙間がある
本発明を例示する静電アクチュエータの製造方法の一態様は、所定の厚みを有する誘電体に挟まれた複数の電極板を生成し、複数の電極板のうち一部を第1の電極板として、一方の面に第1のパターンで接着剤を塗布し、複数の電極板のうちの残りを第2の電極板として、一方の面に第1のパターンと異なる第2のパターンで接着剤を塗布し、第1の電極板と第2の電極板とを接着剤が塗布された面を対向させずに交互に積層し、第1のパターンは、互いに等間隔に配置される所定の形状の第1の領域を複数有し、複数の第1の領域に接着剤が塗布され、第2のパターンは、複数の第1の領域の各々に対応する位置に配置され第1の領域と異なる大きさの所定の形状の第2の領域を複数有し、複数の第2の領域を除いた領域に接着剤が塗布され、第1の電極板と第2の電極板とを各第1の領域の中心と各第2の領域の中心とが積層方向で互いに重なるように積層し、第1の領域と第2の領域との間には、第1の電極板と第2の電極板とが有する弾性により静電アクチュエータが伸縮する場合にヒンジ部として動作する、所定の幅を有する隙間がある
本発明は、大きな極板面積を有する場合でも、従来と比べて容易に生成できる。
静電アクチュエータの一実施形態を示す図である。 図1に示した電極フィルムに接着剤が塗布されるパターンの一例を示す図である。 図1に示した線分におけるXZ平面の静電アクチュエータの断面の一例を示す図である。 電極フィルムが三角形および円形の場合に接着剤が塗布される領域の一例を示す図である。 図1に示した静電アクチュエータの製造方法の一例を示す図である。 静電アクチュエータの別の実施形態を示す図である。 図6に示した線分におけるXZ平面の静電アクチュエータの断面の一例を示す図である。 図6に示した静電アクチュエータの製造方法の一例を示す図である。 図8に示した製造方法の続きを示す図である。
以下、図面を用いて実施形態について説明する。
図1は、静電アクチュエータの一実施形態を示す。
図1に示した静電アクチュエータ100は、網掛けで示した接着剤がそれぞれ塗布された電極フィルム10と電極フィルム20とが、図1に示したZ軸方向に交互に積層され、アクリル板等の2つの端部材30で挟まれた積層型静電アクチュエータである。
電極フィルム10、20は、例えば、銅等の金属膜をPET(Polyethylene Terephthalate)フィルム等の誘電体膜で挟んだ電極板である。電極フィルム10、20の厚さは、例えば、8マイクロメートル等である。そして、電極フィルム10、20のZ軸上方の面の各々には、例えば、互いに異なるパターンでシリル化ウレタン等の接着剤が塗布される。
図2は、図1に示した電極フィルム10、20に接着剤が塗布されるパターンの一例を示す。図2(a)は、電極フィルム10に接着剤が塗布される領域を示し、図2(b)は、電極フィルム20に接着剤が塗布される領域を示す。
図2(a)に示すように、電極フィルム10には、例えば、中心間の距離が距離dの等間隔で配置され互いに同形状を有する4つの円形の領域40の各々に、接着剤が塗布される。一方、電極フィルム20には、図2(b)に示すように、例えば、各領域40に対応するように、中心間の距離が距離dの等間隔で配置され互いに同形状を有する4つの円形の領域50を除いた領域55に、接着剤が塗布される。電極フィルム10における円形の領域40と、電極フィルム20における円形の領域50は、電極フィルム10と電極フィルム20とを重ねたときにZ軸方向からみて同心状になるように配置される。
電極フィルム10での円形の領域40の直径はD1であり、電極フィルム20での円形の領域50の直径はD2である。なお、領域50の直径D2は、図2に示すように領域40の直径D1より2ΔD大きい。すなわち、電極フィルム10および電極フィルム20を重ねたときに、領域40と領域50との間には、幅ΔDの隙間がある。例えば、領域40の直径D1が1−2ミリメートルの場合、隙間の幅ΔDは、100マイクロメートルに設定される。幅ΔDの隙間は、電極フィルム10、20が有する弾性により、静電アクチュエータ100が伸縮する場合にヒンジ部として動作する。そして、領域40の電極フィルム10と領域50の電極フィルム20との間の距離は、2ΔD以内に制限でき、領域40の電極フィルム10と領域50の電極フィルム20との間で生じる静電力は、所定値より大きく維持できる。
なお、領域40の直径D1、領域50の直径D2および隙間の幅ΔDの大きさは、静電アクチュエータ100に要求される伸縮動作に応じて適宜決定されてもよい。例えば、接着剤が塗布される領域40の全面積と、接着剤が塗布される領域55の面積とが、互いに等しくなるように、領域40の直径D1、領域50の直径D2および隙間の幅ΔDの大きさを決めてもよい。
また、領域40、50の形状は、楕円、あるいは角が丸められた三角形や四角形等でもよい。領域40、50が、円形、楕円あるいは角が丸められた形状を有することで、静電アクチュエータ100が伸縮動作に伴う電極フィルム10、20に生じる歪みを抑制できる(すなわち、応力を分散させることができる)。これにより、応力を分散させるために、切れ込みや穴等を電極フィルム10、20に設ける手間を省くことができる。
図3は、図1に示した線分A1−A2におけるXZ平面の静電アクチュエータ100の断面の一例を示す。静電アクチュエータ100は、図2(a)に示したパターンで接着剤が塗布された電極フィルム10と、図2(b)に示したパターンで接着剤が塗布された電極フィルム20とが、Z軸方向に積層される。そして、幅ΔDの隙間がヒンジ部として動作することで、静電アクチュエータ100は、領域40、50および幅ΔDの隙間により皿バネ構造の複数の空間Saを有する。また、静電アクチュエータ100は、幅ΔDの隙間をヒンジ部とする複数の空間Sbも有する。なお、空間Saは、Z軸方向からみて領域40に対応する位置に形成され、空間Sbは、Z軸方向からみて領域55に対応する位置に形成される。また、空間Saおよび空間Sbは、XZ平面において千鳥状に配列される。
例えば、電極フィルム10、20に互いに異なる極性の電圧が印加された場合、空間Sa、Sbにおける電極フィルム10、20間の静電力は互いに引き合う(すなわち、空間Sa、SbがZ軸方向に縮む)。一方、電極フィルム10、20に互いに同じ極性の電圧が印加された場合、空間Sa、Sbにおける電極フィルム10、20間の静電力は互いに反発する(すなわち、空間Sa、SbがZ軸方向に伸びる)。これにより、静電アクチュエータ100は伸縮する。
なお、電極フィルム10、20および端部材30は、三角形あるいは円形等の形状を有してもよい。また、電極フィルム10、20および端部材30に、4つ以外の複数の領域40あるいは複数の領域50を有する領域55に、接着剤が塗布されてもよい。
図4は、電極フィルム10、20が三角形および円形の場合に接着剤が塗布される領域の一例を示す。図4(a)は、電極フィルム10が三角形の場合に接着剤が塗布される領域40が配置されるパターンを示す。例えば、直径D1の円形の領域40は、互いに距離dの等間隔でピラミッド型に配置される。図4(b)は、電極フィルム20が三角形の場合に接着剤が塗布される領域55のパターンを示す。例えば、電極フィルム20において、図4(a)に示した各領域40に対応する位置(すなわち、互いに距離dの等間隔で配置された位置)に接着剤が塗布されない直径D2の円形の領域50が配置され、電極フィルム20において円形の領域50以外の領域が、接着剤の塗布される領域55となる。
図4(c)は、電極フィルム10が円形の場合に接着剤が塗布される領域40が配置されるパターンを示す。例えば、直径D1の円形の領域40は、互いに距離dの等間隔で六角形の形状に配置される。図4(d)は、電極フィルム20が円形の場合に接着剤が塗布される領域55のパターンを示す。例えば、電極フィルム20において、図4(c)に示した各領域40に対応する位置(すなわち、互いに距離dの等間隔で配置された位置)に接着剤が塗布されない直径D2の円形の領域50が配置され、電極フィルム20において円形の領域50以外の領域が、接着剤の塗布される領域55となる。
なお、領域40、50は、距離dの等間隔に配置されなくてもよい。例えば、領域40、50が偏って配置されることで、偏りに応じた方向に伸縮する静電アクチュエータ100を生成できる。
図5は、図1に示した静電アクチュエータ100の製造方法の一例を示す。例えば、電極フィルム10、20を生成するために、銅薄膜をPETフィルムで挟んだ電極シートが生成される(図5(a))。図5(a)に示した電極シートは、例えば、図中の破線に沿って4つの板状に切断される(図5(b))。そして、図5(b)に示した板状に切断された各々の電極シート(すなわち電極フィルム10、20)には、エッチング処理が施され、切断面に露出している銅薄膜が除去される(図5(c))。図5(c)に示したエッチングされた電極シートは、切断面がPETフィルムで接合され、電極フィルム10、20として生成される(図5(d))。
なお、図5では、電極フィルム10、20は、正方形に形成されたが、例えば、Y軸方向よりX軸方向に長い長方形に形成されてもよい。この場合、積層した時に電極フィルム10の一部がX軸の正の方向にはみ出るように、電極フィルム10の一方の面に領域40のパターンで接着剤を塗布する。一方、積層した時に電極フィルム20の一部がX軸の負の方向にはみ出るように、電極フィルム20の一方の面に領域55のパターンで接着剤を塗布する。積層した後、例えば、X軸の正の方向にはみ出た電極フィルム10の部分に穴を開けて導電性の塗料等を流し込み、各電極フィルム10は、互いに同じ極性の電圧が印加されるように接続されてもよい。また、X軸の負の方向にはみ出た電極フィルム20の部分に穴を開けて導電性の塗料等を流し込み、各電極フィルム20は、互いに電極フィルム10と異なる極性の電圧が印加されるように接続されてもよい。
そして、電極フィルム10、20の各々の一方の面に、例えば、図2に示したパターンで接着剤が塗布される。例えば、凸版印刷、オフセット印刷あるいは孔版印刷等の印刷処理を用いて、電極フィルム10の領域40および電極フィルム20の領域55の各々に、接着剤が塗布される。あるいは、インクジェットプリンタ等を用いて、電極フィルム10の領域40および電極フィルム20の領域55の各々に、接着剤が塗布されてもよい。これにより、電極フィルム10、20の面積が増えた場合でも、領域40、55等の所定のパターンの領域に、従来と比べて精度良く接着剤を塗布することが可能となる。そして、静電アクチュエータ100ごとの伸縮動作の個体差を抑制することができる。
なお、電極フィルム10、20の各々の一方の面に、領域40、55のパターンで接着剤を予め塗布してから積層したが、これに限定されない。例えば、Z軸方向に積層して固定した電極フィルム10(または電極フィルム20)のZ軸の正側の面に、領域40(または領域55)のパターンで接着剤を塗布し、次の電極フィルム20(または電極フィルム10)を乗せて貼り合わせてもよい。すなわち、直前に積層した電極フィルム10が動かないようにして領域40に接着剤を塗布することで、電極フィルム10、20間の精度良い位置決めが不要となる。
そして、図2に示したパターンで接着剤が塗布された電極フィルム10、20を、交互に積層することで、図1に示した静電アクチュエータ100が生成される。
以上、図1から図5に示した実施形態では、静電アクチュエータ100は、所定のパターンで配置された領域40あるいは領域55に接着剤が塗布された電極フィルム10、20を、交互に積層して生成される。そして、印刷処理により、接着剤が電極フィルム10、20の各々に所定のパターンで塗布されるため、静電アクチュエータ100は、電極フィルム10、20の面積が増えた場合でも、従来と比べて容易に生成できる。
また、電極フィルム10の領域40、電極フィルム20の領域50および幅ΔDの隙間で皿バネ構造が形成される。これにより、静電アクチュエータ100は、電極フィルム10、20間の距離を所定の範囲(すなわち、2ΔD)内に維持でき、空間Sa、Sbにおける電極フィルム10、20間の静電力を所定値以上に維持できる。
また、印刷処理を用いることで、電極フィルム10、20の各々に接着剤を、従来と比べて精度良く塗布することが可能となる。これにより、静電アクチュエータ100は、各層における電極フィルム10、20間の伸縮動作を均一にでき、静電アクチュエータ100ごとの個体差を抑制できる。
図6は、静電アクチュエータの別の実施形態を示す。図1で説明した要素と同一または同様の要素については、同一または同様の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
図6に示した静電アクチュエータ100Aでは、網掛けで示した接着剤がそれぞれ塗布された電極フィルム10a、20aが、互いに交差してつづら折りされることで、Z軸方向に積層される。積層された電極フィルム10a、20aは、アクリル板等の2つの端部材30で挟まれる。
電極フィルム10a、20aは、例えば、銅等の金属膜をPETフィルム等の誘電体膜で挟んだ帯状の電極である。電極フィルム10a、20aの厚さは、例えば、8マイクロメートル等である。電極フィルム10aには、例えば、つづら折りされた場合にZ軸上方となる面に、図2(a)に示したパターンでシリル化ウレタン等の接着剤が塗布される。電極フィルム20aには、つづら折りされた場合にZ軸上方となる面に、図2(b)に示したパターンで接着剤が塗布される。各電極フィルム10a、20aにおける接着剤の塗布については、図9で説明する。
そして、電極フィルム10aと電極フィルム20aとが互いに交差してつづら折りされることで、静電アクチュエータ100Aにおける各層の電極がZ軸方向に積層されるとともに、折返部60が生成される。このため、静電アクチュエータ100Aにおいて、同じパターンで接着剤が塗布された各層の電極(すなわち、同じ極性の電圧が印加される各層の電極)は、折返部60を介して互いに接続され、静電アクチュエータ100Aの配線が容易となる。
図7は、図6に示した線分B1−B2におけるXZ平面の静電アクチュエータ100Aの断面の一例を示す。静電アクチュエータ100Aは、図1に示した静電アクチュエータ100と同様に、図2に示した幅ΔDの隙間がヒンジ部として動作し、電極フィルム10aの領域40、電極フィルム20aの領域50および幅ΔDの隙間による皿バネ構造の複数の空間Saを有する。また、静電アクチュエータ100Aは、幅ΔDの隙間をヒンジ部とする複数の空間Sbも有する。なお、XZ平面での空間Saおよび空間Sbの位置関係は、図3の例と同様である。
例えば、電極フィルム10a、20aに互いに異なる極性の電圧が印加された場合、空間Sa、Sbにおける電極フィルム10a、20a間の静電力は互いに引き合う(すなわち、空間Sa、SbがZ軸方向に縮む)。一方、電極フィルム10a、20aに互いに同じ極性の電圧が印加された場合、空間Sa、Sbにおける電極フィルム10a、20a間の静電力は互いに反発する(すなわち、空間Sa、SbがZ軸方向に伸びる)。これにより、静電アクチュエータ100Aは伸縮する。
また、静電アクチュエータ100Aは、皿バネ構造の複数の空間Saを有するため、電極フィルム10a、20a間の距離を所定の範囲(すなわち、2ΔD)内に維持でき、空間Sa、Sbにおける電極フィルム10a、20a間の静電力を所定値以上に維持できる。さらに、折返部60も、幅ΔDの隙間とともにヒンジ部として動作させてもよい。
図8、9は、静電アクチュエータ100Aの製造方法の一例を示す。例えば、電極フィルム10a、20aを生成するために、図5(a)に示した電極フィルム10、20と同様に、銅薄膜をPETフィルムで挟んだ電極シートが生成される(図8(a))。図8(a)に示した電極シートは、例えば、図中の破線に沿って帯状に切断される(図8(b))。そして、図8(b)に示した帯状に切断された電極シート(すなわち電極フィルム10a、20a)には、エッチング処理が施され、切断面に露出している銅薄膜が除去される(図8(c))。図8(c)に示したエッチングされた電極シートは、切断面がPETフィルムで接合され、電極フィルム10a、20aとして生成される。
そして、図8(d)に示した生成された電極フィルム10a、20aの各々には、例えば、図2に示したパターンで接着剤が塗布される。すなわち、図9(a)に示すように、つづら折りされた場合に接着剤が塗布された面が同じ向きとなるよう、電極フィルム10aの両面(図中の上面および下面)には、図2(a)に示したパターンの領域40に接着剤が塗布される。このとき、電極フィルム10aの上面および下面には、それぞれ所定間隔おきに領域40のパターンでそれぞれ接着剤が塗布され、電極フィルム10aの上面と下面とでは接着剤の塗布される箇所が交互にずれている。また、電極フィルム20aには、図9(b)に示すように、図2(b)に示したパターンの領域55に接着剤が塗布される。このとき、電極フィルム20aの上面および下面には、それぞれ所定間隔おきに領域55のパターンでそれぞれ接着剤が塗布され、電極フィルム20aの上面と下面とでは接着剤の塗布される箇所が交互にずれている。
なお、図9に示すように、電極フィルム10a、20aが幅Lの場合、電極フィルム10a、20aが延在する方向(図中の左右方向)の図2に示したパターンの長さもLと設定する。また、隣接するパターン間の間隔(すなわち、折返部60の長さ)は、長さSとする。電極フィルム10a、20aの或る面において、接着剤が塗布される領域同士の間隔は2S+Lとなる。また、電極フィルム10a、20aの一面と他面とで接着剤が塗布される領域の間隔はSとなる。また、折返部60における電極フィルム10a、20aの幅は、幅Lより細くてもよい。
また、電極フィルム10a、20aへの接着剤の塗布は、例えば、凸版印刷、オフセット印刷あるいは孔版印刷等の印刷処理を用いて行われる。あるいは、電極フィルム10a、20aへの接着剤の塗布は、インクジェットプリンタ等を用いて行われてもよい。これにより、電極フィルム10a、20aの面積が増えた場合でも、領域40、55等の所定のパターンの領域に、従来と比べて精度良く接着剤を塗布することが可能となる。そして、静電アクチュエータ100Aごとの伸縮動作の個体差を抑制することができる。
そして、図9に示した電極フィルム10a、20aが、互いに交差して配置され、つづら折りされることで、図6に示した静電アクチュエータ100Aが生成される。
以上、図6から図9に示した実施形態では、静電アクチュエータ100Aは、所定のパターンで配置された領域40あるいは領域55に接着剤が塗布された電極フィルム10a、20aを、互いに交差させてつづら折りに積層することで生成される。そして、印刷処理により、接着剤が電極フィルム10a、20aの各々に所定のパターンで塗布されるため、静電アクチュエータ100Aは、電極フィルム10a、20aの面積が増えた場合でも、従来と比べて容易に生成できる。
また、電極フィルム10aの領域40、電極フィルム20aの領域50および幅ΔDの隙間で皿バネ構造が形成される。これにより、静電アクチュエータ100Aは、電極フィルム10a、20a間の距離を所定の範囲(すなわち、2ΔD)内に維持でき、空間Sa、Sbにおける電極フィルム10a、20a間の静電力を所定値以上に維持できる。
また、印刷処理を用いることで、電極フィルム10a、20aの各々に接着剤を、従来と比べて精度良く塗布することが可能となる。これにより、静電アクチュエータ100Aは、各層における電極フィルム10、20間の伸縮動作を均一にでき、静電アクチュエータ100Aごとの個体差を抑制できる。
また、静電アクチュエータ100Aが、電極フィルム10aと電極フィルム20aとを互いに交差してつづら折りして生成されることで、折返部60が生成される。これにより、静電アクチュエータ100Aのうち同じ極性の電圧が印加される各層の電極は、折返部60を介して互いに接続され、静電アクチュエータ100Aの配線が容易となる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。
以上に説明した基本構成を備えた静電アクチュエータは、小型で動作範囲が大きく、しかも、大きな作用力を実現することができるので、家庭用電化製品の可動部分を動かすアクチュエータをはじめとして、ロボットの関節等を動かすアクチュエータとして利用することが可能である。
また、上述したように構成された静電アクチュエータを圧力センサとして利用することも可能である。
10,10a,20,20a…電極フィルム;30…端部材;40,50,55…領域;60…折返部;100,100A…静電アクチュエータ

Claims (5)

  1. 第1のパターンで接着剤が一方の面に塗布された複数の第1の電極板と、
    前記第1のパターンと異なる第2のパターンで前記接着剤が一方の面に塗布された複数の第2の電極板とを備え、
    前記第1の電極板と前記第2の電極板とは、前記接着剤が塗布された面を対向させずに交互に積層されており、
    前記第1のパターンは、互いに等間隔に配置される所定の形状の第1の領域を複数有し、複数の前記第1の領域に前記接着剤が塗布され、
    前記第2のパターンは、前記複数の第1の領域の各々に対応する位置に配置され前記第1の領域と異なる大きさの前記所定の形状の第2の領域を複数有し、複数の前記第2の領域を除いた領域に前記接着剤が塗布され、
    前記第1の電極板と前記第2の電極板とは、前記各第1の領域の中心と前記各第2の領域の中心とが積層方向で互いに重なるように積層されており、
    前記第1の領域と前記第2の領域との間には、前記第1の電極板と前記第2の電極板とが有する弾性により静電アクチュエータが伸縮する場合にヒンジ部として動作する、所定の幅を有する隙間がある
    ことを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 請求項に記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記複数の第1の領域の全面積と前記複数の第2の領域を除いた領域の面積とは互いに等しいことを特徴とする静電アクチュエータ。
  3. 請求項または請求項に記載の静電アクチュエータにおいて、
    前記所定の形状は、円、楕円および角が丸められた多角形のいずれかであることを特徴とする静電アクチュエータ。
  4. 所定の厚みを有する誘電体に挟まれた複数の電極板を生成し、
    前記複数の電極板のうち一部を第1の電極板として、一方の面に第1のパターンで接着剤を塗布し、
    前記複数の電極板のうちの残りを第2の電極板として、一方の面に前記第1のパターンと異なる第2のパターンで接着剤を塗布し、
    前記第1の電極板と前記第2の電極板とを前記接着剤が塗布された面を対向させずに交互に積層し、
    前記第1のパターンは、互いに等間隔に配置される所定の形状の第1の領域を複数有し、複数の前記第1の領域に前記接着剤が塗布され、
    前記第2のパターンは、前記複数の第1の領域の各々に対応する位置に配置され前記第1の領域と異なる大きさの前記所定の形状の第2の領域を複数有し、複数の前記第2の領域を除いた領域に前記接着剤が塗布され、
    前記第1の電極板と前記第2の電極板とを前記各第1の領域の中心と前記各第2の領域の中心とが積層方向で互いに重なるように積層し、
    前記第1の領域と前記第2の領域との間には、前記第1の電極板と前記第2の電極板とが有する弾性により静電アクチュエータが伸縮する場合にヒンジ部として動作する、所定の幅を有する隙間がある
    ことを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
  5. 請求項に記載の静電アクチュエータの製造方法において、
    前記接着剤は、印刷処理により塗布されることを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
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