以下、本発明の一実施形態に係る電力制限システム13を含む電力ネットワーク10について、添付図面に従って説明する。
電力ネットワーク10は、図1に示すように、電力供給者としての電力会社11と、電力会社11とインターネット12を介して接続された電力制限システム13とで構成されている。電力制限システム13は、HEMSコントローラ15と、給湯システム20と、設備機器Aと、設備機器Bとから構成されている。給湯システム20、設備機器A及び設備機器Bは、HEMSコントローラ15に並列に接続されている。
給湯システム20は、圧縮機31、膨張弁33、ファン34及び温度センサ36,47a,47bなどを含むヒートポンプユニット(ヒートポンプシステム)30(図2参照)と、ポンプ41などを含むタンクユニット40(図2参照)とを有する。また、給湯システム20は、HEMSコントローラ15に接続された制御装置21を有している。制御装置21は、ヒートポンプユニット30の圧縮機31、膨張弁33、ファン34、及び、タンクユニット40のポンプ41を制御するものであり、これらユニット30,40に兼用されている。設備機器A及び設備機器Bは、HEMSコントローラ15に接続された、例えば空気調和機、テレビや照明などであるが、これらに限定するものではない。
電力会社11は自ら発電した電力、及び/又は、他者が発電した電力を、給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとに供給する。また、電力会社11は、例えば、ある時間帯などの所定期間において電力を制限したい場合などに、給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとでの使用電力を制限する制限信号、及び、当該所定期間以外において使用電力の制限を解除する解除信号を送信する。
HEMSコントローラ15は、インターネット12を介して電力会社11に接続され、電力会社11から送信された外部信号である制限信号及び解除信号を受信する。HEMSコントローラ15は、給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとでの使用電力を管理する。
また、HEMSコントローラ15は、設定部16と電力検知部17と演算部18とを有する。設定部16は、制限信号に基づいて給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとでの電力制限値を設定する。電力制限値は、給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとが使用できる合計電力の制限値である。電力制限値は、インターネット12を介してHEMSコントローラ15が受信した電力会社11からの外部信号(制限信号及び解除信号)に基づいて変更される。
電力検知部17は、設備機器Aおよび設備機器Bが使用している電力を検知する。演算部18は、給湯システム20が使用できる電力の上限値を演算する。この給湯システム用上限値は、設定部16で設定された給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとでの電力制限値から、電力検知部17が検知した設備機器Aと設備機器Bとで使用される電力値を引いて求められる。
HEMSコントローラ15は、給湯システム用上限値を演算し、当該上限値を設定するための上限値設定信号を制御装置21に送信する。また、HEMSコントローラ15は、電力会社11からの解除信号を受信すると、給湯システム用上限値を設定しない上限値解除信号を制御装置21に送信する。
制御装置21は、HEMSコントローラ15からの上限値設定信号を受信すると、給湯システム20の制御モード(ヒートポンプユニット30の制御モード)を通常モードから上限値設定モードに切り換える。一方、制御装置21は、HEMSコントローラ15からの上限値解除信号を受信すると、給湯システム20の制御モード(ヒートポンプユニット30の制御モード)を上限値設定モードから通常モードに切り換える。上限値設定モードとは、給湯システム20の使用電力に給湯システム用上限値を設け、この上限値を超えないように給湯システム20を運転する制御モードである。また、上限値設定モードとは、ヒートポンプユニット30の使用電力にヒートポンプユニット用上限値を設け、この上限値を超えないようにヒートポンプユニット30を運転する制御モードである。通常モードは、給湯システム20の使用電力に上限値を設けない制御モードである。
制御装置21には、給湯システム20に係る各種動作の制御プログラムやデータなどが格納されたROM、給湯システム20の各部の動作を制御する信号を生成するために各種演算を実行するCPU、各種設定やCPUでの演算結果などのデータを一時保管するRAMなどの部材が含まれている。これら各種部材およびソフトウェアによって、図1に示すように、制御装置21には、運転制御部22、モード設定部23、電力検知部24、演算部25及び記憶部26が形成されている。制御装置21には、圧縮機31と、ファン34と、ポンプ41と、給湯システム20に対する運転開始、運転停止および運転設定(例えば、設定温度)等の操作を行うコントローラ20aとが接続されている。
運転制御部22は、運転設定(例えば、設定温度)に基づいて圧縮機31、膨張弁33、ファン34、ポンプ41の動作を制御して、ユーザの要求を満足する加熱運転(後述する)を実行する。
モード設定部23は、HEMSコントローラ15からの上限値設定信号を受信すると、上限値設定モードを設定する。一方、モード設定部23は、HEMSコントローラ15からの上限値解除信号を受信すると、通常モードを設定する。
電力検知部24は、ヒートポンプユニット30(圧縮機31、膨張弁33、ファン34等)及びタンクユニット40(ポンプ41等)が使用している電力を検知する。
演算部25は、ヒートポンプユニット30の圧縮機31が使用できる電力の上限値を演算する。この圧縮機用上限値は、給湯システム用上限値から、電力検知部28が検知したヒートポンプユニット30の圧縮機31以外で使用される電力値と、タンクユニット40(ポンプ41等)で使用される電力値とを引いて求められる。
記憶部26は、上限値設定モードにおいて、圧縮機31の使用電力が上限値を超えて圧縮機31を停止した場合に、圧縮機停止時の上限値を記憶する。また、記憶部26は、上限値設定モードの上限値の変化幅に応じ、2種類の所定時間を記憶している。具体的には、上限値の変化幅が所定変化幅より小さい場合の第1所定時間と、上限値の変化幅が所定変化幅以上の場合の第1所定時間より長い第2所定時間と記憶している。なお、記憶される所定時間は2種類に限定されない。
図2を参照しながら給湯システム20について説明する。
給湯システム20は、ヒートポンプユニット30と、タンクユニット40とを有している。ヒートポンプユニット(ヒートポンプシステム)30は、圧縮機31と、室外熱交換器(熱源側熱交換器)32と、減圧機構としての膨張弁33と、給湯用熱交換器(利用側熱交換器)39と、ファン34と、冷媒配管35と、温度センサ36、47a、47bと、制御装置21(図1参照)とを有している。なお、制御装置21は、ヒートポンプユニット30とタンクユニット40とに兼用されている。
温度センサ36は、外気温度を検知し、制御装置21に出力する。温度センサ47aは、給湯用熱交換器39の温水流出口の近傍に配置されており、給湯用熱交換器39から流出した温水の温度を検知し、制御装置21に出力する。温度センサ47bは、給湯タンク42の温水流出口の近傍に配置されており、給湯タンク42から流出した温水の温度を検知し、制御装置21に出力する。なお、運転制御部22は、温度センサ47bから出力された温度が設定温度に達したときに、加熱運転を終了する。なお、温度検知手段としての温度センサ36、47a、47bは、検知した温度を制御装置21に出力することが可能であれば、どのようなものであってもよい。
ヒートポンプユニット30には、室外熱交換器32と膨張弁33と給湯用熱交換器39とを接続する冷媒配管35内に冷媒が循環する冷媒回路38が構成されている。この冷媒回路38において、圧縮機31の吐出側には、給湯用熱交換器39の冷媒流入口が接続され、圧縮機31の吸入側には、室外熱交換器32の一端が接続されている。そして、室外熱交換器32の他端には、膨張弁33の一端が接続され、膨張弁33の他端には、給湯用熱交換器39の冷媒流出口が接続されている。ファン34は、室内熱交換器32に対向するように配置されている。
給湯システム20は、通常モード及び上限値設定モードのいずれの場合においても加熱運転などの運転が可能であって、制御装置21の運転制御部22によっていずれかの運転が実行される。加熱運転では、図2中矢印で示すように、圧縮機31から吐出される冷媒が給湯側熱交換器39、膨張弁33、室外熱交換器32へと順に流れ、室外熱交換器32を経た冷媒が圧縮機31に戻る加熱サイクル(正サイクル)が形成される。すなわち、給湯側熱交換器39が凝縮器、室外熱交換器32が蒸発器として機能する。この加熱運転では、給湯用熱交換器39で圧縮機31の吐出側から流入した冷媒と給湯用温水との間で熱交換されることによって、給湯用温水が加熱される。
タンクユニット40は、ポンプ41と、給湯タンク42と、給湯端末43と、水配管45,46と、制御装置21とを有する。タンクユニット40には、ポンプ41と給湯用熱交換器39とを接続する水配管45内に温水が循環する温水回路48が構成されている。この温水回路48において、ポンプ41の吐出側が給湯用熱交換器39の温水流入口に接続され、ポンプ41の吸入側が給湯タンク42の一端に接続されている。給湯用熱交換器39の温水流出口は給湯タンク42の他端に接続されている。
温水回路48では、給湯用熱交換機39を流れる冷媒と熱交換する温水が循環する。具体的には、加熱運転が実行されるときに、ポンプ41によって給湯タンク42から流出した給湯用温水が給湯用熱交換器39に供給され、給湯用熱交換器39で加熱された温水が給湯タンク42に戻される。なお、給湯タンク42に水配管46で接続された給湯端末43は、給湯タンク42内の温水をユーザに使用可能とする。
次に、ヒートポンプユニット30を含む給湯システム20の通常モードから上限値設定モードへの切り換えについて図3に基づいて説明する。
図3に示すように、ステップS1では制御装置21がヒートポンプユニット30を通常モードで運転している。ステップS2では、HEMSコントローラ15がインターネット12を介して電力会社11から外部信号(制限信号)を受信したか否かを判定し、制限信号を受信していなければ、ステップS2を繰り返す。
一方、HEMSコントローラ15が電力会社11からの制限信号を受信していれば、ステップS3に進む。ステップS3では、設定部16が、電力会社11からの電力制限要求に応じた給湯システム20と設備機器Aと設備機器Bとでの電力制限値を設定する。
ステップS4で電力検知部17が、設備機器Aおよび設備機器Bが使用している電力を検知する。ステップS5では、演算部18が、給湯システム20が使用できる電力の上限値を演算する。このとき、HEMSコントローラ15が上限値設定信号を制御装置21に送信する。
ステップS6では、制御装置21がHEMSコントローラ15からの上限値設定信号を受信することで、制御モードを通常モードから上限値設定モードに切り換える。こうして、通常モードから上限値設定モードへの制御モードの切り換えが終了する。上限値設定モードでは、制御装置21の運転制御部22は、演算部25により演算された圧縮機用上限値に基づいて、圧縮機31を制御して加熱運転を実行する。
ステップS7では、電力検知部24が、ヒートポンプユニット30のファン34等(圧縮機31以外)およびタンクユニット40(ポンプ41等)が使用している電力を検知する。ステップS8では、演算部25が、圧縮機31が使用できる電力の上限値を演算する。その後、ステップS7に進んで同様の処理が行われる。よって、圧縮機31が使用できる電力の上限値(現在の上限値)は、ヒートポンプユニット30のファン34等(圧縮機31以外)およびタンクユニット40(ポンプ41等)が使用している電力の変化に応じて変化する。
図3では、通常モードから上限値設定モードへの切り換えについて説明したが、上限値設定モードから通常モードへの切り換えは、HEMSコントローラ15が電力会社11からの外部信号(解除信号)を受信し、制御装置21がHEMSコントローラ15から送信される上限値解除信号を受信することで、給湯システム20の制御モードを上限値設定モードから通常モードに切り換える。こうして、上限値設定モードから通常モードへの制御モードの切り換えが終了する。制御装置21の運転制御部22は、特に上限値が設定されていない状態で、圧縮機31などを制御して加熱運転を実行する。
以下、上限値設定モードでの圧縮機の周波数の制御について、図4に基づいて説明する。図4は、上限値設定モードでの圧縮機の周波数の制御ゾーンを示す図である。
上限値設定モードにおいて、圧縮機の周波数は、図4に示す制御ゾーンに基づいた制御が行われる。圧縮機の周波数は、圧縮機の使用電流が、停止ゾーン、垂下ゾーン、無変化ゾーン、アップゾーン、復帰ゾーンのいずれにあるかに基づいて制御される。図4に示すように、それぞれの制御ゾーンは、第1閾値a1(上限制限値)、第2閾値a2(垂下制限値)、第3閾値a3、第4閾値a4を閾値とするように構成される。第1閾値は、演算部25で演算された圧縮機用上限値に対応した圧縮機31の電流値である。以下では、a1>a2>a3>a4、b1>b2>b3>b4、c1>c2>c3>c4、b1<a1<c1である場合を説明する。
電流上昇時において、圧縮機の使用電流が第4閾値a4以下であるときは復帰ゾーンであって、圧縮機の使用電流が第4閾値a4を超えるとアップゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が第3閾値a3を超えると無変化ゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が第2閾値a2を超えると垂下ゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が圧縮機の上限値に対応した第1閾値a1を超えると停止ゾーンに突入する。
電流下降時において、圧縮機の使用電流が圧縮機の上限値に対応した第1閾値a1を超えるときは停止ゾーンであって、圧縮機の使用電流が第1閾値a1より小さくなると垂下ゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が第2閾値a2より小さくなると無変化ゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が第3閾値a3より小さくなるとアップゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が第4閾値a4より小さくなると復帰ゾーンに突入する。
圧縮機の使用電流がそれぞれのゾーンにあるときの圧縮機の周波数の制御について説明する。
圧縮機の使用電流がアップゾーンにある場合、アップゾーン突入時の周波数を上限周波数とし、本制御の上限周波数をアップゾーン突入時から120秒経過ごとに2Hz増加させる。ただし、アップゾーンにおいて、通常モードで外気温度や出湯温度に基づいた指令周波数を超えて増加しないように制御される。圧縮機の使用電流が無変化ゾーンにある場合、本制御の上限周波数が保持される。圧縮機の使用電流が、垂下ゾーンにある場合、垂下ゾーン突入時の周波数から2Hz垂下させた周波数を上限周波数とし、本制御の上限周波数を垂下ゾーン突入時から1秒経過ごとに2Hz垂下させる。圧縮機の使用電流が停止ゾーンにある場合、停止ゾーン突入時から所定時間が計測され、停止ゾーン突入時から所定の上限時間が経過するまでは垂下ゾーンと同一の制御が行われ、所定の上限時間が経過すると圧縮機が停止される。圧縮機の使用電流が復帰ゾーンにある場合、本制御の上限周波数が解除される。
本実施形態では、無変化ゾーンの電流値の幅(第2閾値a2と第3閾値a3の差)およびアップゾーンの電流値の幅(第3閾値a3と第4閾値a4の差)は、垂下ゾーンの電流値の幅(第1閾値a1と第2閾値a2との差)より小さい。無変化ゾーンの電流値の幅とアップゾーンの電流値の幅は同一である。
ヒートポンプユニット30では、上限値設定モードにおいて、ヒートポンプユニット30のファン34等(圧縮機31以外)およびタンクユニット40のポンプ41等が使用している電力の変化に応じて圧縮機31の使用電流の上限値が変化する。したがって、上限値設定モードにおいて、圧縮機31の使用電流の上限値が変化すると、その変化に応じて、第1閾値a1、第2閾値a2、第3閾値a3、第4閾値a4が変更され、圧縮機31の周波数の制御ゾーンが変更される。
具体的には、上限値設定モードにおいて、第1上限値設定モードから、第1上限値設定モードに基づいた第1上限値より大きい第3上限値をもつ第3上限値設定モードに変化した場合、第1閾値a1、第2閾値a2、第3閾値a3、第4閾値a4が、それぞれ、第1閾値c1、第2閾値c2、第3閾値c3、第4閾値c4に変更される。
また、ヒートポンプユニット30では、上限値設定モードにおいて、第1上限値設定モードから、第1上限値設定モードに基づいた第1上限値より小さい第2上限値をもつ第2上限値設定モードに変化した場合、第1閾値a1、第2閾値a2、第3閾値a3、第4閾値a4が、それぞれ、第1閾値b1、第2閾値b2、第3閾値b3、第4閾値b4に変更される。
ここで、第1上限値設定モードから、第1上限値設定モードに基づいた第1上限値より大きい第3上限値をもつ第3上限値設定モードに変化した場合(上限値が増加した場合)と、第1上限値設定モードから、第1上限値設定モードに基づいた第1上限値より小さい第2上限値をもつ第2上限値設定モードに変化した場合(上限値が減少した場合)で、第1閾値a1、第2閾値a2、第3閾値a3、第4閾値a4が変更される方法が異なる。
第1上限値をもつ第1上限値設定モードから第3上限値をもつ第3上限値設定モードに変化した場合(上限値が増加した場合)、第1閾値がa1からc1に変化すると同時に、第2閾値a2、第3閾値a3、第4閾値a4が、それぞれ、第2閾値c2、第3閾値c3、第4閾値c4に変更される。よって、上限値が変化(増加)し、第1閾値、第2閾値、第3閾値、第4閾値が変更された場合、垂下ゾーン、無変化ゾーンおよびアップゾーンのそれぞれの電流値の幅は変化しない。
これに対し、第1上限値をもつ第1上限値設定モードから、第2上限値をもつ第2上限値設定モードに変化した場合(上限値が減少した場合)、第2閾値a2、第3閾値a3、第4閾値a4が、それぞれ、第2閾値b2、第3閾値b3、第4閾値b4に変更され、所定時間が経過した後、第1閾値がa1からb1に変更される。よって、上限値が変化(減少)し、第2閾値、第3閾値、第4閾値が変更された場合、無変化ゾーンおよびアップゾーンのそれぞれの電流値の幅は変化しないのに対し、第2閾値、第3閾値、第4閾値が変更された後、第1閾値が変更されるまでの所定時間では、垂下ゾーンの電流値の幅は大きくなる。その後、所定時間が経過し、第1閾値が変更されると、垂下ゾーンの電流値の幅は、第2閾値、第3閾値、第4閾値が変更されるまでの幅と同一になる。
本実施形態のヒートポンプユニット30では、第1上限値をもつ第1上限値設定モードから、第1上限値と異なる上限値をもつ上限値設定モードに変化した場合、第1閾値、第2閾値、第3閾値、第4閾値が変更されることによって、圧縮機の周波数を制御するときの制御ゾーンが変更される。このように、上限値設定モードにおいて、圧縮機の周波数を制御するときの制御ゾーンが変更されることにより、圧縮機の使用電流の上限値が変化した場合において、圧縮機の使用電流が上限値を超えて停止されるのを防止できる。
また、本実施形態のヒートポンプユニット30では、圧縮機の使用電流がアップゾーンにある場合、本制御の上限周波数をアップゾーン突入時から120秒経過ごとに2Hz増加させるのに対し、圧縮機の使用電流が垂下ゾーンにある場合、本制御の上限周波数を垂下ゾーン突入時から1秒経過ごとに2Hz垂下させる。このように、圧縮機の周波数の上昇時は上限周波数の変化速度を遅くして、オーバーシュートを防止し、圧縮機の周波数の下降時は上限周波数の変化速度を速くして、圧縮機の使用電流を低減させることができる。
図5は、上限値設定モードにおいて圧縮機の周波数の制御ゾーンを変更するときの制御フロー図である。
まず、ステップS11において、制御モードが上限値設定モードである場合に、ステップS12では、上限値設定モードの上限値が変化したか否かを判断する。上限値設定モードの上限値が変化した場合、ステップS13に進む。
ステップS13では、上限値定モードの上限値が減少したか否かを判断する。上限値設定モードの上限値が減少してない場合(増加した場合)、ステップS14に進む。ステップS14では、第1閾値、第2閾値、第3閾値、第4閾値が同時に変更される。
ステップS13において、上限値設定モードの上限値が減少した場合、ステップ15に進む。
ステップS15では、第2閾値、第3閾値、第4閾値が変更される。その後、ステップ16において、所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過した場合、ステップS17において、第1閾値が変更される。
ステップ16において、所定時間は、記憶部26に記憶された2種類の所定時間のうち、上限値設定モードの上限値の変化幅に応じた所定時間が使用される。即ち、上限値の変化幅が所定変化幅より小さい場合、第1所定時間が使用され、上限値の変化幅が所定変化幅以上の場合、第1所定時間より長い第2所定時間が使用される。したがって、上限値設定モードの上限値の変化幅が大きいほど、第2閾値、第3閾値、第4閾値を変更した後、第1閾値を変更するまでの所定時間が長い。
その後、ステップS12に進んで同様の処理が行われる。
図6は、上限値設定モードにおいて圧縮機が停止された場合の制御フロー図である。
まず、ステップS21において、制御モードが上限値設定モードである場合に、ステップS22において、圧縮機の使用電流が上限値設定モードの上限値を超えたか否かを判断する。圧縮機の使用電流が上限値設定モードの上限値を超えた場合、ステップS23に進んで、圧縮機を停止する。このとき、圧縮機停止時の上限値が記憶部26に記憶される。
その後、圧縮機が停止した状態において、ステップS24では、上限値設定モードにおいて、現在の上限値が圧縮機停止時の上限値より大きいか否かを判断する。現在の上限値が圧縮機停止時の上限値より大きい場合、ステップS28に進んで、圧縮機の運転を再開する。
ステップS24において、現在の上限値が圧縮機停止時の上限値以下である場合、ステップS25に進んで、上限値設定モードから通常モードに変化したか否かを判断する。上限値設定モードから通常モードに変化した場合、ステップS28に進んで、圧縮機の運転を再開する。
ステップS25において、上限値設定モードから通常モードに変化してない場合、ステップS26に進んで、給湯システム20の電源(ヒートポンプユニット30の電源)がオンからオフに変化したか否かを判断する。給湯システム20の電源(ヒートポンプユニット30の電源)がオンからオフに変化した場合、ステップS28に進んで、圧縮機の運転を再開する。
ステップS26において、給湯システム20の電源(ヒートポンプユニット30の電源)がオンからオフに変化してない場合、ステップS27に進んで、コントロー20aに対し、給湯システム20の運転開始操作(ヒートポンプユニット30の運転開始操作、または、圧縮機の運転開始操作)が行われたか否かを判断する。運転開始操作が行われた場合、ステップS28に進んで、圧縮機の運転を再開する。
ステップS27において、運転開始操作が行われてない場合、ステップS23に進んで同様の処理が行われる。
[本実施形態の電力制限システムおよびヒートポンプユニットの特徴]
本実施形態の電力制限システムおよびヒートポンプユニットには以下の特徴がある。
本実施形態のヒートポンプユニット30では、上限値設定モードにおいて、第1上限値設定モードから、第1上限値設定モードに基づいた第1上限値より小さい第2上限値をもつ第2上限値設定モードに変化した場合に、第1上限値設定モードに基づいた第2閾値a2、第3閾値a3、第4閾値a4から第2上限値設定モードに基づいた第2閾値b2、第3閾値b3、第4閾値b4に変更され、所定時間が経過した後で、第1上限値設定モードに基づいた第1閾値a1から第2上限値設定モードに基づいた第1閾値b1に変更される。したがって、上限値設定モードにおいて、第1上限値設定モードから、第1上限値設定モードに基づいた第1上限値より小さい第2上限値をもつ第2上限値設定モードに変化した場合に、上限値の変更に応じて、第2閾値が変更され、圧縮機の周波数が垂下し、圧縮機の使用電流が低下すると考えられる。したがって、その後、所定時間が経過し、第1閾値が変更されるまでの所定時間に、圧縮機の周波数が垂下することにより、上限値が低下した直後に、圧縮機の使用電力が上限値を超え圧縮機が停止するのを防止できる。
本実施形態のヒートポンプユニット30では、上限値設定モードにおいて、第1上限値から第1上限値より小さい第2上限値に変化した場合に、第1上限値と第2上限値との差が大きいほど長い所定時間が決定される。したがって、上限値が大幅に低下した場合において、上限値が低下した直後に、圧縮機の使用電力が上限値を超え圧縮機が停止するのを防止できる。
本実施形態のヒートポンプユニット30では、上限値設定モードにおいて、第1上限値設定モードから、第1上限値設定モードに基づいた第1上限値より大きい第3上限値をもつ第3上限値設定モードに変化した場合に、第1上限値設定モードに基づいた第2閾値a2、第3閾値a3、第4閾値a4から第3上限値設定モードに基づいた第2閾値c2、第3閾値c3、第4閾値c4に変更されると同時に、第1上限値設定モードに基づいた第1閾値a1から第3上限値設定モードに基づいた第1閾値c1に変更される。したがって、第1上限値設定モードに基づいた第1上限値より大きい第3上限値をもつ第3上限値設定モード変化した場合に、圧縮機を適正に制御できる。
本実施形態の電力制限システム13では、制御モードが、HEMSコントローラからヒートポンプユニット30への信号により、通常モードから上限値設定モードに切り換わる。HEMSコントローラを用いることで、ヒートポンプユニット30の使用電力を確実に制御できる。
本実施形態の電力制限システム13では、HEMSコントローラからヒートポンプユニット30への信号は、インターネットを介して受信した外部信号に基づいて変更される。これにより、インターネットからの外部信号により通常モードから上限値設定モードに切り換えることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。なお、後述する変更形態は、適宜組み合わせて実施することも可能である。
上述の実施形態では、圧縮機の周波数の制御ゾーンが、停止ゾーン、垂下ゾーン、無変化ゾーン、アップゾーン、復帰ゾーンを含む場合を説明したが、圧縮機の周波数の制御ゾーンが、少なくとも停止ゾーン、垂下ゾーンを含む場合、本発明を適用できる。また、圧縮機の周波数の制御ゾーンにおいて、それぞれのゾーンの電流値の幅は変更してよい。
上述の実施形態では、圧縮機の周波数の制御ゾーンにおいて、電流上昇時と電流下降時とで、第1閾値、第2閾値、第3閾値、第4閾値が同一である場合を説明したが、電流上昇時と電流下降時とで、第1閾値、第2閾値、第3閾値、第4閾値が同一でなくてよい。したがって、電流上昇時において、圧縮機の使用電流が第4閾値a4以下であるときは復帰ゾーンであって、圧縮機の使用電流が第4閾値a4を超えるとアップゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が第3閾値a3を超えると無変化ゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が第2閾値(垂下制限値)a2を超えると垂下ゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が圧縮機の上限値に対応した第1閾値a1を超えると停止ゾーンに突入する場合において、電流下降時は、圧縮機の使用電流が圧縮機の上限値に対応した第1閾値a1を超えるときは停止ゾーンであって、圧縮機の使用電流が第1閾値a1より小さくなると垂下ゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が第2閾値a2より小さい閾値より小さくなると無変化ゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が第3閾値a3より小さい閾値より小さくなるとアップゾーンに突入し、圧縮機の使用電流が第4閾値a4より小さい閾値より小さくなると復帰ゾーンに突入するものであってよい。
上述の実施形態では、上限値設定モードにおいて、圧縮機の周波数の制御ゾーンを変更するときの所定時間が、上限値の変化幅に基づいて決定された場合を説明したが、圧縮機の周波数の制御ゾーンを変更するときの所定時間は、他の方法で決定されてよい。また、圧縮機の周波数の制御ゾーンを変更するときの所定時間は、上限値の変化幅にかかわらず、一定であってよい。また、圧縮機の周波数の制御ゾーンを変更するときの所定時間は、コントローラ20aに対する操作に基づいた外部からの信号により決定されてよい。所定時間がコントローラ20aに対する操作に基づいた外部からの信号により決定される場合として、「所定時間を、電力供給部の耐力に応じた上限以下で変化させる場合(例:太陽光パネルなどのハード的な電流超過時間の許容値)」や、「所定時間を、契約電力プランに応じた上限以下で変化させる場合(例:電力契約プランの契約内容によって決定される電流超過時間の許容値)」等が考えられる。
上述の実施形態では、ヒートポンプユニット30とタンクユニット40とで構成された給湯システムを採用しているが、図7に示した空気調和システム(ヒートポンプシステム)120を採用してもよい。
図7に示すように、本変形例の空気調和システム120は、圧縮機131と、圧縮機131の吐出側が一端に接続された四路切換弁132と、四路切換弁132に一端が接続された室外熱交換器133と、室外熱交換器133の他端に接続された減圧機構としての膨張弁134と、膨張弁134の他端に接続された室内熱交換器135とを備えている。上記の室内熱交換器135の他端は、四路切換弁2を介して圧縮機131の吸入側に接続されている。上記の圧縮機131、四路切換弁132、室外熱交換器133、電動膨張弁134および室内熱交換器135で冷媒回路が構成されている。
また、この空気調和システム120は、室外熱交換器133の近傍に配置された室外ファン136と、室内熱交換器135の近傍に配置された室内ファン137とを備えている。上記の圧縮機131、四路切換弁132、室外熱交換器133、膨張弁134及び室外ファン136は、室外機120aに配置され、室内熱交換器135及び室内ファン137は、室内機120bに配置されている。
この空気調和機では、暖房運転時、四路切換弁132を実線の切換え位置に切り換えて、圧縮機131を起動すると、圧縮機131から吐出された高圧冷媒が四路切換弁132を通って室内熱交換器135に入る。そして、室内熱交換器135で凝縮した冷媒は、膨張弁134で減圧された後に室外熱交換器133に入る。室外熱交換器133で蒸発した冷媒が四路切換弁132を介して圧縮機131の吸入側に戻る。こうして、圧縮機131、室内熱交換器135、膨張弁134および室外熱交換器133で構成された冷媒回路を冷媒が循環して、冷凍サイクルを実行する。そして、室内ファン137により室内熱交換器135を介して室内空気を循環させることにより室内を暖房する。
これに対して、冷房運転時(除湿運転時を含む)は、四路切換弁132を点線の切換え位置に切り換えて、圧縮機131を起動すると、圧縮機131から吐出された高圧冷媒が四路切換弁132を通って室外熱交換器3に入る。そして、室外熱交換器133で凝縮した冷媒は、電動膨張弁134で減圧された後に室内熱交換器135に入る。室内熱交換器135で蒸発した冷媒が四路切換弁132を介して圧縮機131の吸入側に戻る。こうして、圧縮機131、室外熱交換器133、膨張弁134および室内熱交換器135の順に冷媒が循環する冷凍サイクルを実行する。そして、室内ファン137により室内熱交換器135を介して室内空気を循環させることにより室内を冷房する。
上述の実施形態では、HEMSコントローラ15からの上限値設定信号及び上限値解除信号を受信することで、通常モードと上限値設定モードとの切り換えを行っていた。しかしそれに限定されず、ヒートポンプユニット30に付属する図示しない電力計またはリモコンからの信号により制御装置21が制御モードを切り換えてもよい。タンクユニット40の給湯タンク42からの信号、またはタンクユニット40に代えてエアコンを用いる場合は室内機からの信号により制御モードを切り換えてもよい。また、これらの切り換え制御は以下の切り換え制御と組み合わせてもよい。
また、ヒートポンプユニット30自身が判断して切り換えてもよい。例えば、ヒートポンプユニット30の制御装置21に内蔵されたカレンダー機能、または時計などに予めプログラムされた条件が成立することで制御モードを切り換えてもよい。同様に、外気温度、使用状況または電流値により制御モードを切り換えてもよい。
HEMSコントローラ15の代わりに、BEMSコントローラ、MEMSコントローラ等を採用してもよい。
上限値設定モードは、圧縮機31の使用電力に上限値を設けて運転するモードに限定されず、圧縮機31の使用電流又は使用皮相電力に上限値を設けて運転するモードであってもよい。電流又は皮相電力は、電力よりも、検知が容易であり、安価なセンサで検知が可能である。