JP6614989B2 - フローダンパおよび蓄圧注水装置ならびに原子力設備 - Google Patents

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Description

本発明は、大流量から小流量に注水流量の切り替えを静的に行うフローダンパ、および当該フローダンパを内部に備える蓄圧注水装置、ならびに当該蓄圧注水装置を備える原子力設備に関する。
従来、例えば、特許文献1および特許文献2は、円筒状の渦室と、この渦室の周縁部にその接線方向に沿って接続された小流量管と、この小流量管に対し所定の角度で周縁部に接続された大流量管と、渦室の中央部に形成された出口に接続された出口管とを有してなるフローダンパを、内部に備えた蓄圧注水タンクが示されている。
また、従来、例えば、特許文献3は、特許文献1や特許文献2に示すような渦室の周縁部に、出口を挟んで小流量管の接続部分寄り空間および大流量管の接続部分寄り空間にそれぞれ開口した一対の開孔が穿設され、これらの開孔に両端が連絡した均圧通路が形成されることが示されている。
特許第4533957号公報 特許第4533958号公報 特開平10−148692号公報
上述した特許文献3に示される均圧通路(均圧管)は、小流量管および大流量管から渦室に水が供給された際に、渦室内に圧力差が生じても、この圧力差を打ち消して流量減少を防止でき、必要量の注水が可能になる。
しかし、渦室内に空気が混入した場合、均圧通路に空気が溜まり圧力差を打ち消す作用を十分に得ることができず、注水量が低下するおそれがある。
本発明は上述した課題を解決するものであり、均圧管の作用を十分に得て必要量の注水を行うことのできるフローダンパおよび蓄圧注水装置ならびに原子力設備を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明のフローダンパは、円筒状の渦室と、前記渦室の円形の中央に形成された出口に接続された出口管と、一端が開口して他端が前記渦室の周縁部に接続された第一入口管と、前記第一入口管の一端よりも下方位置で一端が開口し他端が前記第一入口管の他端に対して前記出口を間においた対向位置よりも接近した位置にて前記周縁部に接続された第二入口管と、を有し、かつ前記渦室の周縁部で前記出口の両側で前記出口を間においた対向位置よりも各前記入口管の他端寄りの前記周縁部に各端が接続された均圧管と、を有するフローダンパにおいて、前記均圧管は、少なくとも一端が他と比較して最も高い位置に設けられ、最も低い部分から最も高い位置に向けて徐々に上方に傾斜して設けられていることを特徴とする。
このフローダンパによれば、渦室内に空気が混入した場合であっても、均圧管の傾斜により、均圧管から渦室内に空気が排出されるため、均圧管内に空気が溜まることがない。この結果、均圧管による圧力差を打ち消す作用を十分に得ることができ、必要量の注水を確実に行うことができる。
また、本発明のフローダンパでは、前記均圧管は、両端が他と比較して最も高い位置に設けられ、途中の最も低い部分から各端に向けて徐々に上方に傾斜して設けられていることを特徴とする。
このフローダンパによれば、均圧管における両端が最も高い位置に設けられているため、渦室から均圧管への空気の混入を防ぐと共に、渦室から均圧管への空気の混入が生じても、均圧管から渦室内に空気が排出されるため、均圧管内に空気が溜まることがない。この結果、均圧管による圧力差を打ち消す作用を十分に得ることができ、必要量の注水を確実に行うことができる。
上述の目的を達成するために、本発明の蓄圧注水装置は、加圧状態で冷却水を貯留可能な密封容器を有し、前記出口管が前記密封容器の外部に引き出された形態で上述した少なくとも一方のフローダンパが前記密封容器内に配置されたことを特徴とする。
この蓄圧注水装置によれば、密封容器内に加圧状態で貯留した冷却水を、フローダンパを介して出口管から密封容器の外部に注水する場合、フローダンパの渦室内に空気が混入した場合であっても、均圧管の傾斜により、均圧管から渦室内に空気が排出されるため、均圧管内に空気が溜まることがない。この結果、均圧管による圧力差を打ち消す作用を十分に得ることができ、必要量の注水を確実に行うことができる。
上述の目的を達成するために、本発明の原子力設備は、原子炉で生成された熱により高温流体を発生させて冷却材配管で送り、当該高温流体を利用する原子力設備であって、前記原子炉へ至る前記冷却材配管の途中に、上述した蓄圧注水装置における前記密封容器の外部に引き出された前記出口管が接続され、かつ前記出口管の途中に弁が設けられたことを特徴とする。
この原子力設備によれば、原子炉に注水が必要となり、密封容器内に加圧状態で貯留した冷却水を、フローダンパを介して出口管から密封容器の外部に注水する場合、フローダンパの渦室内に空気が混入した場合であっても、均圧管の傾斜により、均圧管から渦室内に空気が排出されるため、均圧管内に空気が溜まることがない。この結果、均圧管による圧力差を打ち消す作用を十分に得ることができ、原子炉への必要量の注水を確実に行うことができる。
本発明によれば、均圧管の作用を十分に得て必要量の注水を行うことができる。
図1は、本発明の実施形態に係る原子力設備の一例の概略構成図である。 図2は、蓄圧注水装置の概略構成図である。 図3は、フローダンパの基本構成をあらわす断面図である。 図4は、フローダンパの基本構成をあらわす平面図である。 図5は、図3のH−H断面図である。 図6は、図5のI−I断面拡大図である。 図7は、図5のJ−J断面拡大図である。 図8は、図5の要部拡大図である。 図9は、フローダンパによる注水流量切り替えの説明図である。 図10は、フローダンパによる注水流量切り替えの説明図である。 図11は、本発明の実施形態に係るフローダンパの横断面図である。 図12は、図11のL−L断面図である。 図13は、他の例を示す図11のL−L断面図である。 図14は、本発明の実施形態に係るフローダンパの他の形態の横断面図である。 図15は、図14のM−M断面図である。 図16は、他の例を示す図14のM−M断面図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係る原子力設備の一例の概略構成図である。図1に示すように、原子力設備1は、原子炉5として加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)が用いられている。この原子力設備1は、原子炉5において、一次冷却材を加熱した後、高温となった高温流体である一次冷却材を冷却材ポンプ9により蒸気発生器7に送る。そして、原子力設備1は、蒸気発生器7において、高温となった一次冷却材を、二次冷却材と熱交換させることにより二次冷却材を蒸発させ、蒸発した二次冷却材(蒸気)をタービン22に送って発電機25を駆動させることにより、発電を行っている。なお、一次冷却材は、冷却材および中性子減速材として用いられる軽水である。
原子力設備1は、原子炉5と、コールドレグ6a、クロスオーバーレグ6cおよびホットレグ6bから成る冷却材配管6a,6b,6cを介して原子炉5に接続された蒸気発生器7と、を有している。ホットレグ6bは、加圧器8が介設されている。また、コールドレグ6aとクロスオーバーレグ6cの間に、冷却材ポンプ9が介設されている。そして、原子炉5、冷却材配管6a,6b,6c、蒸気発生器7、加圧器8および冷却材ポンプ9により、原子力設備1の一次冷却系3が構成され、これらは、原子炉格納容器10に収容されている。なお、図には明示しないが、蒸気発生器7は、複数設けられて、それぞれが一対の冷却材配管6a,6b、6cを介して原子炉5に接続されている。
原子炉5は、上記したように加圧水型原子炉であり、その内部は一次冷却材で満たされる。そして、原子炉5は、一次冷却材で満たされた内部に多数の燃料集合体15が収容される。また、原子炉5は、燃料集合体15の核分裂を制御する多数の制御棒16が各燃料集合体15に挿入可能に設けられている。そして、制御棒16および一次冷却材中のほう素濃度により核分裂反応を制御しながら燃料集合体15を核分裂させると、この核分裂により熱エネルギーが発生する。発生した熱エネルギーは一次冷却材を加熱し、加熱された一次冷却材は、高温流体となる。
ホットレグ6bに介設された加圧器8は、高温となった一次冷却材を加圧することにより、一次冷却材の沸騰を抑制している。また、蒸気発生器7は、高温高圧となった一次冷却材を、二次冷却材と熱交換させることにより、二次冷却材を蒸発させて蒸気を発生させ、かつ高温高圧となった一次冷却材を冷却している。冷却材ポンプ9は、一次冷却系3において一次冷却材を循環させており、一次冷却材を蒸気発生器7からコールドレグ6aおよびクロスオーバーレグ6cを介して原子炉5へ送り込むと共に、一次冷却材を原子炉5からホットレグ6bを介して蒸気発生器7へ送り込んでいる。
ここで、原子力設備1の一次冷却系3における一連の動作について説明する。原子炉5内の核分裂反応により発生した熱エネルギーにより、一次冷却材が加熱されると、加熱された一次冷却材は、各冷却材ポンプ9によりホットレグ6bを介して蒸気発生器7に送られる。ホットレグ6bを通過する高温の一次冷却材は、加圧器8により加圧されることで沸騰が抑制され、高温高圧となった状態で、蒸気発生器7に流入する。また、加圧器8により一次冷却系全体が加圧されて、加熱部分である原子炉5においても沸騰が抑制される。蒸気発生器7に流入した高温高圧の一次冷却材は、二次冷却材と熱交換を行うことにより冷却され、冷却された一次冷却材は、冷却材ポンプ9によりコールドレグ6aを介して原子炉5に送られる。そして、冷却された一次冷却材が原子炉5に流入することで、原子炉5が冷却される。
また、原子力設備1は、蒸気管21を介して蒸気発生器7に接続されたタービン22と、タービン22に接続された復水器23と、復水器23と蒸気発生器7とを接続する給水管26に介設された給水ポンプ24と、を有しており、これらにより二次冷却系20が構成されている。そして、二次冷却系20を循環する二次冷却材は、蒸気発生器7において蒸発して気体(蒸気)になると共に、復水器23において気体から液体に戻される。また、タービン22は、発電機25が接続されている。
ここで、原子力設備1の二次冷却系20における一連の動作について説明する。蒸気管21を介して各蒸気発生器7から蒸気がタービン22に流入すると、タービン22は回転を行う。タービン22が回転すると、タービン22に接続された発電機25は、発電を行う。この後、タービン22から流出した蒸気は復水器23に流入する。復水器23は、その内部に冷却管27が配設されており、冷却管27の一方には冷却水(例えば、海水)を供給するための取水管28が接続され、冷却管27の他方には冷却水を排水するための排水管29が接続されている。そして、復水器23は、タービン22から流入した蒸気を冷却管27により冷却することで、蒸気を液体に戻している。液体となった二次冷却材は、給水ポンプ24により給水管26を介して各蒸気発生器7に送られる。各蒸気発生器7に送られた二次冷却材は、各蒸気発生器7において一次冷却材と熱交換を行うことにより再び蒸気となる。
ところで、上記のように構成された原子力設備1には、一次冷却材の喪失事故が発生することを想定し、非常用冷却設備が設けられている。非常用冷却設備は、図1に示すように蓄圧注水装置30を有する。なお、非常用冷却設備としては、蓄圧注水装置の他にポンプを使った注入系統がある。
図2は、蓄圧注水装置の概略構成図であり、図3は、フローダンパの基本構成をあらわす断面図であり、図4は、フローダンパの基本構成をあらわす平面図であり、図5は、図3のH−H断面図(横断面図)であり、図6は、図5のI−I断面拡大図(縦断面拡大図)であり、図7は、図5のJ−J断面拡大図(縦断面拡大図)であり、図8は、図5の要部拡大図であり、図9は、フローダンパによる注水流量切り替えの説明図であり、図10は、フローダンパによる注水流量切り替えの説明図である。
蓄圧注水装置30は、内部に冷却水が貯留され、貯留した冷却水を一次冷却系3に加圧注水するためのものである。この蓄圧注水装置30は、図2に示すように、内部に冷却水32を貯留可能な密封容器31と、密封容器31内部に配設されたフローダンパ34と、を有する。
図2に示すように、密封容器31は、その内部に冷却水32が貯留されており、この冷却水32が密封容器31内の上部に封入された加圧ガス33によって加圧されている。そして、密封容器31は、その内底に、大流量から小流量への注水流量の切り替えを静的に行うことができるフローダンパ34が配置されている。
フローダンパ34は、主に、渦室35と、出口管38と、大流量管(第一入口管)36と、小流量管(第二入口管)37と、を有している。
図3〜図7に示すように、渦室35は、円形状の天板35Aおよび底板35Bを上下に配置し、双方の周縁に周板35Cが設けられることで、円筒状に形成されている。この渦室35は、底板35B側が密封容器31の内底に固定される。
出口管38は、渦室35の天板35Aにおいて円形の中央に形成された出口39に一端が接続されている。出口管38は、天板35Aから上方に延在し、途中で水平方向に曲がって密封容器31の外部に引き出されている。そして、出口管38は、密封容器31の外部に引き出された他端が、図1に示すように、一次冷却系3の低温側配管であるコールドレグ6aに接続されている。また、密封容器31の外部に引き出された出口管38は、一次冷却系3から密封容器31側への冷却材の逆流を阻止するために逆止弁40が設けられている。なお、出口管38は、渦室35の底板35Bの中央に設けられた出口39に一端が接続され、底板35Bから下方に延在してそのまま密封容器31の外部に引き出されて設けられていてもよい。
大流量管36および小流量管37は、一端が開口し、他端が渦室35の周板35Cに貫通することで渦室35の周縁部に接続されている。大流量管36および小流量管37は、それぞれの他端が出口39を間においた対向位置よりも接近した位置に配置されている。そして、大流量管36と小流量管37は、出口39に関してそれぞれ異なる方向に延びている。具体的に、小流量管37は、渦室35の周縁部(円周部)の接線方向に沿って一方向側(図3および図5では左方向側)に延び、大流量管36の(水平部36a)は、小流量管37と所定の角度θを有する状態で他方向側(図示例では右方向側)に延びている。
大流量管36と小流量管37の流路断面は何れも矩形状である。即ち、図6に示すように大流量管36(水平部36a)は水平方向に対向する平行な一対の内面(鉛直面)36d,36eと、上下方向に対向する平行な一対の内面(水平面)36f,36gと、を有している。一方、図7に示すように、小流量管37は、水平方向に対向する平行な一対の内面(鉛直面)37b,37cと、上下方向に対向する平行な一対の内面(水平面)37d,37eと、を有している。大流量管36と小流量管37は、流路断面の高さ(内面36d,36eと内面37b,37cの高さ)が、何れも渦室35の内周面35aの高さと同じである。また、大流量管36と小流量管37は、流路断面の幅(内面36f,36gと内面37d,37eの幅)が、大流量管36の方が小流量管37よりも大きくなっている。
また、小流量管37は、入口(一端の開口)37aが、渦室35の内周面35aと同じ高さに位置する。一方、大流量管36は水平部36aに接続されたスタンドパイプ36bを有しており、その入口(一端の開口)36cが、渦室35や小流量管37の入口37aよりも上方に位置している。但し、通常、冷却水32の水位Laは、この大流量管36の入口36cよりも上方に位置している。また、大流量管36は、その入口36cに渦防止板36hが設けられている。また、小流量管37は、その入口37aに渦防止板37fが設けられている。
図5および図8に示すように、小流量管37の大流量管36側の内面37bは、接続部43において大流量管36の小流量管37側の内面36eと接続されている。また、小流量管37からの噴流の広がり(自由噴流による広がり割合)を考慮して、大流量管36の反小流量管37側の内面36dと、渦室35の内周面35aの延長面部(平坦面部)35a−1との接続部42は、小流量管37の大流量管36側の内面37bの延長線(接続部43から前記接線方向に延長した線)よりも外側に位置している。但し、これに限定するものではなく、内面36dと内周面35aの接続は図中に一点鎖線Kで示すように延長面部(平坦面部)35a−1を設けない接続構造としてもよい。
また、小流量管37の反大流量管36側の内面37cは、接続部44において渦室35の内周面35aと接続されている。この接続部44は前記の接続部43よりも、小流量管37の流動方向(噴流方向:矢印B参照)の下流側に位置している。
上記構成の蓄圧注水装置30は、次のような作用効果を奏する。例えば、上述した原子力設備1において、その一次冷却系3の配管などが破断して当該破断箇所から系外へ一次冷却材が流出(即ち、一次冷却材喪失事故が発生)した場合、燃料集合体15が一次冷却材から表出する可能性がある。一次冷却材が流出すると、一次冷却系3の圧力が低下することで密封容器31内の圧力よりも低くなり、密封容器31内の冷却水32が、逆止弁40を介して一次冷却系3の配管から原子炉5内に注水される。このため、燃料集合体15が再び冠水される。このとき、フローダンパ34の働きによって原子炉5への注水流量が大流量から小流量へ静的に切り替えられる。
即ち、注水初期の段階では、図2に示すように、密封容器31内の冷却水32の水位Laが大流量管36の入口36cよりも高いため、図9に矢印A,Bで示すように密封容器31内の冷却水32が、大流量管36と小流量管37の両方から渦室35内へ流入する。その結果、渦室35内では大流量管36からの流入水(噴流)と小流量管37からの流入水(噴流)とが衝突して互いの角運動量を打ち消し合うことにより、図9に矢印Cで示すように出口39に向かって直進する。即ち、このときには渦室35内に渦が形成されない。従って、このときには流動抵抗が低抵抗となるため、大流量の冷却水32が出口39から流出して原子炉5に注入されることになる。
これに対し、注水後期の段階では、図2に示すように、密封容器31内の水位Lbが低下して大流量管36の入口36cよりも低くなるため、図10に矢印Bで示すように大流量管36から渦室35内への冷却水32の流入はなく、小流量管37のみから渦室35内へ冷却水32が流入する。その結果、この小流量管37からの流入水は、図10に矢印Dで示すように渦(旋回流)を形成しながら出口39へと進む。従って、このときには遠心力により流動抵抗が高抵抗となるため、出口39からの流出水(原子炉容器への注水)は小流量となる。
注水初期の段階では、大流量の注水を行うことによって早期に原子炉5を冷却水32で満たす一方、注水後期の燃料集合体15の再冠水の段階では、必要以上の注入は破断口から流出するため注水流量を大流量から小流量に切り替える必要がある。本実施形態の蓄圧注水装置30は、この注水流量の切り替えをポンプなどの動的機器を用いることなく行うことができる。
図11は、本実施形態に係るフローダンパの横断面図(図5と同断面)であり、
図12は、図11のL−L断面図であり、図13は、他の例を示す図11のL−L断面図である。
本実施形態の蓄圧注水装置30は、フローダンパ34において、図11に示すように、均圧管50を有している。渦室35は、その周縁部となる周板35Cに連通口35Caが形成されている。連通口35Caは、出口39の両側であって出口39を間においた対向位置よりも各流量管36,37の他端寄りに設けられている。具体的には、図11において、大流量管36からの矢印Aの流入水(噴流)と小流量管37からの矢印Bの流入水(噴流)とが衝突して互いの角運動量を打ち消し合い出口39に向かって直進する矢印Cの延長線Pに対し、出口39の中心となる位置から直交する渦室35の中央線Qを設定した場合、各連通口35Caの中心Lが中央線Qよりも各流量管36,37の他端寄りに配置されている。また、各連通口35Caは、延長線Pを基準とした線対称の位置に設けられている。均圧管50は、この連通口35Caに各端が接続されている。即ち、渦室35は、各連通口35Caが均圧管50で連通されている。
このように、均圧管50を有する蓄圧注水装置30およびフローダンパ34は、大流量管36からの矢印Aの流入水(噴流)と小流量管37からの矢印Bの流入水(噴流)とが衝突して互いの角運動量を打ち消し合い出口39に向かって直進する矢印Cの両側において、連通していることから、出口39に向かって直進する矢印Cの両側の圧力差を打ち消して均圧状態に保つ。この結果、大流量管36からの矢印Aの流入水(噴流)と小流量管37からの矢印Bの流入水(噴流)とが衝突して互いの角運動量を打ち消し合い出口39に向かって直進する作用を助勢し、注水初期の段階での必要とする大流量の注水を確実に行うことができる。
特に、本実施形態の蓄圧注水装置30は、フローダンパ34において、図12および図13に示すように、均圧管50は、少なくとも一端が他と比較して最も高い位置に設けられ、最も低い部分から最も高い位置に向けて徐々に上方に傾斜して設けられている。具体的に、図12では、連通口35Caの一方(図12中左側)が、他方(図12中右側)よりも高い位置に設けられており、均圧管50が、最も高い位置の一方の連通口35Caに接続された一端に向けて、最も低い位置の他方の連通口35Caに接続された他端から徐々に上方に傾斜して設けられている。なお、図12では、均圧管50は、最も低い位置の他方の連通口35Caに接続された他端から徐々に上方に直線状に傾斜して設けられているが、傾斜の途中が高くならない形態であれば湾曲状に傾斜して設けられていてもよい。
また、図13では、各連通口35Caが、周板35Cにおける比較的高い同位置に設けられており、均圧管50は、その途中が最も低い位置とされ、最も高い位置の各連通口35Caに接続された各端に向けて、最も低い途中の位置から徐々に上方に傾斜して設けられている。なお、図13では、均圧管50は、最も低い途中の位置から徐々に上方に湾曲状に傾斜して設けられているが、傾斜の途中が高くならない形態であることが前提であり、また、直線状に傾斜し設けられていてもよい。
ところで、図14は、本実施形態に係るフローダンパの他の形態の横断面図であり、図15は、図14のM−M断面図であり、図16は、他の例を示す図14のM−M断面図である。なお、図14〜図16の説明において、図11〜図13の説明と同等部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
図14に示す形態は、均圧管50が、渦室35の周板35Cを利用して均圧通路として構成されている。具体的に、均圧管50は、一方が開口するカバー部材50aを有し、このカバー部材50aの開口側を周板35Cに固定し、かつカバー部材50aの各端にて各連通口35Caを覆うように設けられている。即ち、渦室35は、各連通口35Caが均圧管50で連通されている。
このように、均圧管50を有する蓄圧注水装置30およびフローダンパ34は、大流量管36からの矢印Aの流入水(噴流)と小流量管37からの矢印Bの流入水(噴流)とが衝突して互いの角運動量を打ち消し合い出口39に向かって直進する矢印Cの両側において、連通していることから、出口39に向かって直進する矢印Cの両側の圧力差を打ち消して均圧状態に保つ。この結果、大流量管36からの矢印Aの流入水(噴流)と小流量管37からの矢印Bの流入水(噴流)とが衝突して互いの角運動量を打ち消し合い出口39に向かって直進する作用を助勢し、注水初期の段階での必要とする大流量の注水を確実に行うことができる。しかも、図14に示すフローダンパ34は、均圧管50が、渦室35の周板35Cを利用して均圧通路として構成されているため、渦室35の外側に張り出す部分を小さく構成できることから、小型化を図ることができる。
また、図15および図16に示すように、均圧管50は、少なくとも一端が他と比較して最も高い位置に設けられ、最も低い部分から最も高い位置に向けて徐々に上方に傾斜して設けられている。具体的に、図15では、連通口35Caの一方(図12中左側)が、他方(図12中右側)よりも高い位置に設けられており、均圧管50が、最も高い位置の一方の連通口35Caに接続された一端に向けて、最も低い位置の他方の連通口35Caに接続された他端から徐々に上方に傾斜して設けられている。なお、図15では、均圧管50は、最も低い位置の他方の連通口35Caに接続された他端から徐々に上方に直線状に傾斜して設けられているが、傾斜の途中が高くならない形態であれば湾曲状に傾斜し設けられていてもよい。
図16では、各連通口35Caが、周板35Cにおける比較的高い同位置に設けられており、均圧管50は、その途中が最も低い位置とされ、最も高い位置の各連通口35Caに接続された各端に向けて、最も低い途中の位置から徐々に上方に傾斜して設けられている。なお、図16では、均圧管50は、最も低い途中の位置から徐々に上方に湾曲状に傾斜して設けられているが、傾斜の途中が高くならない形態であることが前提であり、また、直線状に傾斜し設けられていてもよい。
このように、本実施形態のフローダンパ34は、円筒状の渦室35と、渦室35の円形の中央に形成された出口39に接続された出口管38と、一端が開口して他端が渦室35の周縁部に接続された大流量管(第一入口管)36と、大流量管36の一端よりも下方位置で一端が開口し他端が大流量管36の他端に対して出口39を間においた中央線Qの対向位置よりも接近した位置にて周縁部に接続された小流量管(第二入口管)37と、を有し、かつ渦室35の周縁部で出口39の両側で出口39を間においた中央線Qの対向位置よりも各流量管36,37の他端寄りの周縁部に各端が接続された均圧管50と、を有するフローダンパ34において、均圧管50は、少なくとも一端が他と比較して最も高い位置に設けられ、最も低い部分から最も高い位置に向けて徐々に上方に傾斜して設けられている。
このフローダンパ34によれば、渦室35内に空気が混入した場合であっても、均圧管50の傾斜により、均圧管50から渦室35内に空気が排出されるため、均圧管50内に空気が溜まることがない。この結果、均圧管50による圧力差を打ち消す作用を十分に得ることができ、必要量の注水を確実に行うことができる。
また、本実施形態のフローダンパ34では、均圧管50は、両端が他と比較して最も高い位置に設けられ、途中の最も低い部分から各端に向けて徐々に上方に傾斜して設けられている。
このフローダンパ34によれば、均圧管50における両端が最も高い位置に設けられているため、渦室35から均圧管50への空気の混入を防ぐと共に、渦室35から均圧管50への空気の混入が生じても、均圧管50から渦室35内に空気が排出されるため、均圧管50内に空気が溜まることがない。この結果、均圧管50による圧力差を打ち消す作用を十分に得ることができ、必要量の注水を確実に行うことができる。
また、本実施形態の蓄圧注水装置30は、加圧状態で冷却水32を貯留可能な密封容器31を有し、出口管38が密封容器31の外部に引き出された形態で上述したフローダンパ34が密封容器31内に配置されている。
この蓄圧注水装置30によれば、密封容器31内に加圧状態で貯留した冷却水32を、フローダンパ34を介して出口管38から密封容器31の外部に注水する場合、フローダンパ34の渦室35内に空気が混入した場合であっても、均圧管50の傾斜により、均圧管50から渦室35内に空気が排出されるため、均圧管50内に空気が溜まることがない。この結果、均圧管50による圧力差を打ち消す作用を十分に得ることができ、必要量の注水を確実に行うことができる。
また、本実施形態の原子力設備1は、原子炉5で生成された熱により高温流体を発生させて冷却材配管6a,6bで送り、当該高温流体を利用する原子力設備1であって、原子炉5へ至る冷却材配管6aの途中に、上述した蓄圧注水装置30における密封容器31の外部に引き出された出口管38が接続され、かつ出口管38の途中に逆止弁40(または開閉弁)が設けられている。
この原子力設備1によれば、原子炉5に注水が必要となり、密封容器31内に加圧状態で貯留した冷却水32を、フローダンパ34を介して出口管38から密封容器31の外部に注水する場合、フローダンパ34の渦室35内に空気が混入した場合であっても、均圧管50の傾斜により、均圧管50から渦室35内に空気が排出されるため、均圧管50内に空気が溜まることがない。この結果、均圧管50による圧力差を打ち消す作用を十分に得ることができ、原子炉5への必要量の注水を確実に行うことができる。
1 原子力設備
5 原子炉
6a コールドレグ(冷却材配管)
6b ホットレグ(冷却材配管)
6c クロスオーバーレグ(冷却材配管)
30 蓄圧注水装置
31 密封容器
32 冷却水
34 フローダンパ
35 渦室
36 大流量管(第一入口管)
37 小流量管(第二入口管)
38 出口管
39 出口
50 均圧管

Claims (4)

  1. 円筒状の渦室と、
    前記渦室の円形の中央に形成された出口に接続された出口管と、
    一端が開口して他端が前記渦室の周縁部に接続された第一入口管と、
    前記第一入口管の一端よりも下方位置で一端が開口し他端が前記第一入口管の他端に対して前記出口を間においた対向位置よりも接近した位置にて前記周縁部の接線方向に沿って接続され、前記渦室に流入した水と前記第一入口管の他端から前記渦室に流入した水とが衝突して前記出口に向かうように設けられた第二入口管と、
    を有し、かつ前記渦室の周縁部で前記出口の両側で前記出口を間においた対向位置よりも各前記入口管の他端寄りの前記周縁部に各端が接続された均圧管と、
    を有するフローダンパにおいて、
    前記均圧管は、少なくとも一端が他と比較して最も高い位置に設けられ、最も低い部分から最も高い位置に向けて徐々に上方に傾斜して設けられていることを特徴とするフローダンパ。
  2. 前記均圧管は、両端が他と比較して最も高い位置に設けられ、途中の最も低い部分から各端に向けて徐々に上方に傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフローダンパ。
  3. 加圧状態で冷却水を貯留可能な密封容器を有し、前記出口管が前記密封容器の外部に引き出された形態で請求項1または2に記載のフローダンパが前記密封容器内に配置されたことを特徴とする蓄圧注水装置。
  4. 原子炉で生成された熱により高温流体を発生させて冷却材配管で送り、当該高温流体を利用する原子力設備であって、
    前記原子炉へ至る前記冷却材配管の途中に、請求項3に記載の蓄圧注水装置における前記密封容器の外部に引き出された前記出口管が接続され、かつ前記出口管の途中に弁が設けられたことを特徴とする原子力設備。
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