JP6613743B2 - 安全在庫決定装置、方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、数の出荷元(生産拠点等)から同種の対象物(原料、材料、製品、商品等)が一又は複数の納品先(工場、商業施設、在庫拠点等)に納品される場合において、各納品先で持つべき安全在庫を決定するのに利用して好適な安全在庫決定装置、方法及びプログラムに関する。
多くの産業では、一般的に複数の出荷元(生産拠点等)から出荷される対象物(原料、材料、製品、商品等)を、複数の納品先(工場、商業施設、在庫拠点等)に納品する構造を有する。図9に、対象物の出荷及び納品の概念を模式的に示す。
例えば鉄鋼メーカ、化学メーカ、石油メーカ等では、オーストラリア、ブラジル、アメリカ等の国外に存在する生産拠点から、大型の船舶を利用して、国内の複数の工場や在庫拠点に鉄鉱石、石炭、石油、ガス等の原料、材料を搬送している。
この場合に、生産拠点で出荷を行う港湾、鉄道等の輸送施設は公共の施設を使用することが多く、たとえ生産拠点が持つ専用施設を利用したとしても、一つの生産拠点から複数企業に出荷を行うため、各企業との取引状況により、企業間の優先等様々な経済情勢により、予定通りに出荷されずに大幅に変動する事態が多く発生している。
また、船舶を利用する場合、国外の生産拠点から国内の工場や在庫拠点に搬送を行った後に、一旦国外の生産拠点に戻ってから、再び国内の工場や在庫拠点に搬送を行うことを繰り返す。そのため、一旦予定通りの運航ができない場合には、後々までその影響が波及することもあり、船舶の到着は予定から大幅に変動することが頻発している。
更には、出荷が大幅に変動するため、出荷時刻の更新を始め、納品先の見直し等、出荷・納品計画が絶えず見直し、更新されることを日常的に実行されている。
このように国外の出荷元から、船舶を利用して、国内の納品先に対象物を納品するような場合、発注点から納品までのリードタイム変動が非常に大きくなる。更には、出荷元によって納品先からの地理的な距離が異なるため、出荷元間でのリードタイム差が大きい。
リードタイム変動が大きく、またリードタイム差も大きい状況の中で、安定して工場の操業、商業施設での販売、在庫拠点での出荷を継続するためには、安全在庫と呼ばれる在庫が大変重要となる。安全在庫とは、販売、購買等の要因が変動したとしても、欠品を起こさせないようにするために余裕として持つ在庫である。在庫は多く持つほど欠品のリスクは減少する一方で、多く持てば、在庫置場の逼迫や管理費用の増大等が発生するために、この安全在庫を適正に決定することが重要となる。
特開2009−70016号公報 特開2001−312542号公報 特開平11−86089号公報
勝呂隆男著,「適正在庫の考え方・求め方」,2003年9月10日発行,日刊工業新聞社
安全在庫を決定するための技術として、非特許文献1では、図10に示すように、古典的には適正在庫がサイクル在庫と安全在庫から構成され、安全在庫は「安全係数×リードタイム1/2×需要量の標準偏差」で与えられることが示されている。
また、特許文献1には、安全在庫量、在庫補填リードタイム、補填計画立案サイクルタイム、日別需要予測をもとに発注点を算出し、内示受注量と確定注文量がずれた場合には発注点、発注量を合わせて更新する技術が開示されている。ここで、安全在庫量は、出荷実績と内示受注量の差の標準偏差を算出し、安全係数を掛けて計算することが開示されている。
また、特許文献2には、在庫決定装置及び在庫量決定方法として、商品を陳列棚に陳列する際に、陳列棚のスペースの制約を考慮しながら、商品の需要からその販売利益の期待値、他商品に置き換えた場合に得られる期待利益等を勘案して、商品の陳列数を決定する技術が開示されている。
また、特許文献3には、在庫管理システムとして、自動現金取引装置において、実績取引に対して多変量解析を用いて取引予測を行い、その取引予測と標準偏差を用いて残額推移を予測する技術が開示されている。
非特許文献1で示された従来の在庫理論では、一の生産拠点に対して、一の工場、商業施設、又は在庫拠点を対象とし、発注点から納品までのリードタイムL、販売、出荷量等の変動を表わす標準偏差σを用いた非常に簡単な場合に関してのみ、その安全在庫が検討されるに留まっている。
また、この場合に、販売、出荷量等の変動が正規分布となることを仮定し、95%欠品を起こさないことを保証する場合には2σを取ることで、安全在庫は以下のように与えられている。
安全在庫=2×σ×L1/2
上記のように、非特許文献1で示された在庫理論では、安全在庫に対するリードタイムが均一の場合のみ検討されており、国外の様々な地域から納品があるためにリードタイム変動が大きく、またリードタイム差も大きい場合の検討はなされていない。
他にも、商品、現金、材料等の発注を行う発注点から納品までのリードタイムを用いた検討が行われているが、出荷時刻の更新を始め、納品先の見直し等、出荷・納品計画が絶えず見直し、更新されるため、発注点自体の変更が頻発することとなる。そのため、発注点の概念を用いて決められるリードタイムは不安定であり、リードタイムを用いて精度の良い安全在庫が得られるとは限らない。
特許文献1〜3で示された技術では、一の出元からの商品、現金、材料等の補充及びその在庫が検討されているのみであり、複数の出荷元から出荷される対象物を、一又は複数の納品先に納品する場合は記述されていない。また、リードタイムが複数ある場合に関して検討はなされていない。
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、リードタイム変動が大きく、またリードタイム差も大きい場合にも、数の出荷元から同種の対象物が一又は複数の納品先に納品される場合において、各納品先で持つべき安全在庫を適切に決定できるようにすることを目的とする。
上述した課題を解決するための本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1] 数の出荷元から同種の対象物が一又は複数の納品先に納品される場合において、各納品先で持つべき安全在庫を決定する安全在庫決定装置であって、
対象物の納品及び使用に関する納入先別での実績を取り込む入力手段と、
前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での対象物の納品間隔の標準偏差を計算する納品間隔の標準偏差計算手段と、
前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での所定期間ごとの対象物の使用量の平均を計算する使用量の平均計算手段と、
前記納品間隔の標準偏差計算手段で計算した納品間隔の標準偏差、及び前記使用量の平均計算手段で計算した使用量の平均を用いて、各納品先で持つべき安全在庫を計算する安全在庫計算手段とを備えたことを特徴とする安全在庫決定装置。
[2] 前記安全在庫計算手段は、
安全在庫=使用量の平均×納品間隔の標準偏差
により、各納品先で持つべき安全在庫を計算することを特徴とする[1]に記載の安全在庫決定装置。
[3] 前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での対象物の納品間隔の平均を計算する納品間隔の平均計算手段と、
前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での所定期間ごとの対象物の使用量の標準偏差を計算する使用量の標準偏差計算手段とを備え、
前記安全在庫計算手段は、
Figure 0006613743
により、各納品先で持つべき安全在庫を計算することを特徴とする[1]に記載の安全在庫決定装置。
[4] 前記安全在庫計算手段は、欠品を保証する確率を規定する安全係数を用いて、納品先で持つべき安全在庫を計算することを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の安全在庫決定装置。
[5] 数の出荷元から同種の対象物が一又は複数の納品先に納品される場合において、各納品先で持つべき安全在庫を決定する安全在庫決定方法であって、
入力手段が、対象物の納品及び使用に関する納入先別での実績を取り込むステップと、
納品間隔の標準偏差計算手段が、前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での対象物の納品間隔の標準偏差を計算するステップと、
使用量の平均計算手段が、前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での所定期間ごとの対象物の使用量の平均を計算するステップと、
安全在庫計算手段が、前記納品間隔の標準偏差計算手段で計算した納品間隔の標準偏差、及び前記使用量の平均計算手段で計算した使用量の平均を用いて、各納品先で持つべき安全在庫を計算するステップとを有することを特徴とする安全在庫決定方法。
[6] 数の出荷元から同種の対象物が一又は複数の納品先に納品される場合において、各納品先で持つべき安全在庫を決定するためのプログラムであって、
対象物の納品及び使用に関する納入先別での実績を取り込む入力手段と、
前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での対象物の納品間隔の標準偏差を計算する納品間隔の標準偏差計算手段と、
前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での所定期間ごとの対象物の使用量の平均を計算する使用量の平均計算手段と、
前記納品間隔の標準偏差計算手段で計算した納品間隔の標準偏差、及び前記使用量の平均計算手段で計算した使用量の平均を用いて、各納品先で持つべき安全在庫を計算する安全在庫計算手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
本発明によれば、発注点から納品までのリードタイムの概念を持ち込むのではなく、納品先側からの視点に立って、対象物の納品間隔、及び所定期間ごとの対象物の使用量に基づいて、各納品先で持つべき安全在庫を計算する。これにより、リードタイム変動が大きく、またリードタイム差も大きい場合にも、数の出荷元から同種の対象物が一又は複数の納品先に納品される場合において、各納品先で持つべき安全在庫を適切に決定することができる。
実施形態に係る安全在庫決定装置の機能構成を示す図である。 搬送実績を示す図である。 使用実績を示す図である。 搬送実績を工場別に集計し、納品間隔を計算した結果を示す図である。 納品間隔計算部で計算した工場別の納品間隔の平均及び標準偏差を示す図である。 使用量計算部で計算した工場別の日ごとの使用量の平均及び標準偏差を示す図である。 安全在庫計算部で計算した安全在庫を示す図である。 本発明を適用して決定した安全在庫をもとに検証を行った結果を示す図である。 対象物の出荷及び納品の概念を模式的に示す図である。 在庫の考え方を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に、実施形態に係る安全在庫決定装置100の機能構成を示す。安全在庫決定装置100は、一又は複数の出荷元から、一又は複数の納品先に納品される対象物に関して、各納品先で持つべき安全在庫を決定するのに用いられる。例えば鉄鋼メーカにおける鉄鉱石や石炭、化学メーカや石油メーカおける原油、電力メーカにおけるLNGや石炭は、国外の出荷元から、船舶を利用して、国内の納品先に搬送される。このようなケースにおいて、各納品先で持つべき安全在庫を計算するために、本発明は広く適用可能である。
入力部101は、例えばLAN上のデータベース200に格納された過去の搬送実績、使用実績を取り込む。本実施形態では、入力部101が、本発明の入力手段として機能する。
納品間隔計算部102は、入力部101で取り込まれる搬送実績に基づいて、納品先別での対象物の納品間隔の平均及び標準偏差を計算する。本実施形態では、納品間隔計算部102が、本発明の納品間隔の標準偏差計算手段、及び納品間隔の平均計算手段として機能する。
使用量計算部103は、入力部101で取り込まれる使用実績に基づいて、納品先別での所定期間ごとの対象物の使用量の平均及び標準偏差を計算する。本実施形態では、使用量計算部103が、本発明の使用量の標準偏差計算手段、及び使用量の平均計算手段として機能する。
安全在庫計算部104は、納品間隔計算部102で計算される納品間隔の平均及び標準偏差と、使用量計算部103で計算される使用量の平均及び標準偏差とを用いて、各納品先で持つべき安全在庫を計算する。本実施形態では、安全在庫計算部104が、本発明の安全在庫計算手段として機能する。
出力部105は、安全在庫計算部104で計算される結果、すなわち各納品先で持つべき安全在庫を出力する。出力とは、安全在庫計算部104で計算される結果を、例えば記憶装置に保存したり、LAN上の外部機器に送信したり、ディスプレイ300に表示したりすることをいう。
以下、安全在庫決定装置100による安全在庫決定の詳細を説明する。
本実施形態では、ある鉄鉱石を対象物として、複数の国外の生産拠点から、船舶を利用して、国内の工場に搬送する場合を例にして詳細に説明する。鉄鉱石を産出する国は、オーストラリア、ブラジル、アメリカ等多数存在し、各産出国においても複数の生産拠点が存在する。例えばオーストラリアの場合、出港してから1〜2週間程度で日本に到着するのに比べ、ブラジルの場合、1.5月程度の日数を要し、そのリードタイムには大きな開きが存在する。また、国内を問わず多くの鉄鋼メーカが存在するため、産出国側の港湾は複数鉄鋼メーカ向けの船舶が出荷作業に当たり、他社船舶の出港遅れ等の自社以外の影響を頻繁に受ける等、船舶の出港スケジュールの変動は大きい。
このように産出国の違いによるリードタイムに大きな開きがあり、また産出国側の出港スケジュール変動が大きい一方で、工場側からの視点で捉えれば、各工場では安定的な操業を行うために、入荷ロット及び日ごとの使用量の変動は少なく抑えられるような操業が実行される。特に船舶を利用して搬送する場合、リードタイムの日数が長く、その変動も大きいが、これに比べて、入荷ロット及び日ごとの使用量の変動はさほど大きくならない。入荷ロット及び日ごとの使用量の変動が大きくないとすると、在庫を一定に保ち、安定的な操業をするためには、船舶が工場に到着する工場着日はおおよそ一定の間隔となることから、一定の間隔からの船舶の工場着日のばらつきによる遅れを保証する在庫が安全在庫となる。このように、リードタイムの日数が長く、その変動すなわちばらつきが大きく、一方、一定の間隔からの船舶の工場着日のばらつきによる遅れが、リードタイムのばらつきよりも小さい場合には、このように、一定の間隔からの船舶の工場着日のばらつきによる遅れを保証する在庫を安全在庫とするのが有効である。
更に、本実施形態では、安全在庫として、主となる船舶の工場着日のばらつきによる遅れを保証する在庫に加え、日ごとの使用量の変動を保証する在庫を加える。
(入力部101による処理例)
入力部101は、過去の搬送実績、使用実績を取り込む。ここでは、各工場で持つべき安全在庫を計算するために、過去の2014年10月1日〜2015年3月31日までの半年分を解析する例を説明する。ただし、計算対象期間に関しては、今後の操業条件と大きくかけ離れない期間を適切な期間選択するものとする。
図2に、搬送実績を示す。搬送実績は、船舶名に示される船舶がどの港から出港したかを示す。出港日は、船舶が出港した日時を示す。また、向先工場は、船舶が向かった先の工場を示す。また、工場着日は、工場に到着した日時を示す。例えば10月の初旬に工場2に船舶2、3、5が到着しているが、それらの出港日には大きな開きがあることがわかる。
図3に、使用実績を示す。使用実績は、今回安全在庫を計算する鉄鉱石の各工場での使用実績を示し、鉄鉱石を使用した工場、その使用日及び使用量(t/日)を示す。例えば工場1での使用量は3100〜3270(t/日)の範囲にあり、日ごとの使用量の変動はさほど大きくないことがわかる。
(納品間隔計算部102による処理例)
納品間隔計算部102は、図2の搬送実績を工場別に集計し、図4に示すように、工場着日の早い順番に並べ替える。工場に到着する船舶の間隔が納品間隔となるため、この納品間隔を計算する。例えば船舶が工場1に到着する船舶の間隔は3.79〜4.41(日)の範囲にあり、おおよそ一定の間隔となっていることがわかる。
そして、納品間隔計算部102は、工場別の納品間隔の平均μ1工場i、及び標準偏差σ1工場iを計算する。図5に、工場別の納品間隔の平均μ1工場i(日)、及び標準偏差σ1工場i(日)を示す。なお、i(=1,2,・・・)は工場を表わす識別番号である。
(使用量計算部103による処理例)
使用量計算部103は、図3の使用実績に基づいて、工場別の日ごとの使用量の平均μ2工場i、及び標準偏差σ2工場iを計算する。図6に、工場別の日ごとの使用量の平均μ2工場i(t/日)、及び標準偏差σ2工場i(t/日)を示す。
(安全在庫計算部104による処理例)
納品間隔の平均毎に一定の入荷ロットで入荷されると考えると、安全在庫として持つべき在庫は、(1)納品間隔からの船舶の遅れの期間に使用量の平均で使用していく量を保証する分と、(2)納品間隔の期間分の使用量のばらつきによる使用増量を次の納品までの期間分(納品間隔分)で保証する分との合計になる。
ここで、(1)の保証分については、一定間隔で到着すると考えられる船舶が遅れ、その日数分の在庫を持たなくてはならないと考えられる。したがって、(1)の保証分は、船舶の納品間隔からの遅れ分を表わす納品間隔の標準偏差σ1工場i(日)と、日ごとの使用量の平均μ2工場i(t/日)との掛け算(μ2工場i×σ1工場i)で表わされる。
また、(2)の保証分については、日ごとの使用量のばらつきである標準偏差σ2工場i(t/日)を、納品間隔の平均μ1工場i(日)で表わされる日数分だけ積み重ねた量と考えられる。したがって、日ごとの使用量が独立である場合、分散の加法性から、納品間隔の日数分の使用量の分散は下式(1)で表わされる。
納品間隔の日数分の使用量の分散=μ1工場i×σ22 工場i・・・(1)
この合計のばらつきを標準偏差σA工場iとして、納品間隔と使用量が独立と考えると、標準偏差σA工場iは分散の加法性から下式(2)で与えられる。
Figure 0006613743
欠品を保証する確率を規定する安全係数をκとすると、工場iでの安全在庫は下式(3)で与えられる。
安全在庫工場i=κ×σA工場i・・・(3)
2σ分で欠品を保証する場合、安全係数をκ=2とすると、各工場での安全在庫は図7に示す結果となる。
本発明を適用して決定した安全在庫をもとに、2015年4月1日〜2015年5月15日までを対象として検証を行った。図8に、2015年4月1日〜2015年4月5日分の検証の結果を示す。
工場1では、船舶の到着予定が4月1日0時であったため、4月1日0時にはほぼ予定通りに、図7に示した安全在庫に相当する8500(t)の在庫が存在した。しかし、船舶の到着が4月2日6時となったため、4月1日〜4月2日の使用量に相当する4000(t)減り、船舶の到着時点での在庫は4500(t)まで落ち込む結果となった。
船舶は納品間隔の平均4.12(日)×使用量の平均3210(t)≒13230(t)を補う量に相当する量を入荷するが、本船舶では12500(t)が入荷された。
その後、次の船舶は予定通り4月5日12時に到着し、その時点での在庫は5800(t)であった。この際の納品間隔は3.5日となっており、納品間隔の平均4.12(日)に対して標準偏差1.32の1σ以内に入った状態となっている。
工場2でも、4月1日12時に船舶が入荷する時点で、安全在庫15040(t)に対して10900(t)まで落ち込むが、在庫が切れることはない。また、次の船舶が4月4日12時に入荷しており、納品間隔は2.5日と納品間隔の平均3.47(日)に対して標準偏差1.81(日)の1σ以内に入った状態となっている。
工場mは、船舶の到着が当初予定より3日程度遅延した場合の例であるが、納品間隔の標準偏差3.11(日)であり1σ程度である。
このように、何れの工場においても、安全在庫を適切に設定することで、船舶に遅延があっても在庫切れが発生することはなかった。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
上述した実施形態では、安全在庫として、日ごとの使用量の変動を保証する在庫((2)の保証分)を考慮した例を説明したが、主となる船舶の工場着日のばらつきによる遅れを保証する在庫((1)の保証分)だけを考慮する形態としてもかまわない。この場合、安全係数をκとすると、工場iでの安全在庫は下式(4)で与えられる。
安全在庫工場i=κ×μ2工場i×σ1工場i・・・(4)
本発明を適用した安全在庫決定装置は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ装置により実現され、CPUがROMに記憶するプログラムをRAMに展開して実行することにより、図1の各部101〜105の機能が実現される。
また、本発明は、本発明の安全在庫決定装置としての機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
100:安全在庫決定装置
101:入力部
102:納品間隔計算部
103:使用量計算部
104:安全在庫計算部
105:出力部

Claims (6)

  1. 数の出荷元から同種の対象物が一又は複数の納品先に納品される場合において、各納品先で持つべき安全在庫を決定する安全在庫決定装置であって、
    対象物の納品及び使用に関する納入先別での実績を取り込む入力手段と、
    前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での対象物の納品間隔の標準偏差を計算する納品間隔の標準偏差計算手段と、
    前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での所定期間ごとの対象物の使用量の平均を計算する使用量の平均計算手段と、
    前記納品間隔の標準偏差計算手段で計算した納品間隔の標準偏差、及び前記使用量の平均計算手段で計算した使用量の平均を用いて、各納品先で持つべき安全在庫を計算する安全在庫計算手段とを備えたことを特徴とする安全在庫決定装置。
  2. 前記安全在庫計算手段は、
    安全在庫=使用量の平均×納品間隔の標準偏差
    により、各納品先で持つべき安全在庫を計算することを特徴とする請求項1に記載の安全在庫決定装置。
  3. 前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での対象物の納品間隔の平均を計算する納品間隔の平均計算手段と、
    前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での所定期間ごとの対象物の使用量の標準偏差を計算する使用量の標準偏差計算手段とを備え、
    前記安全在庫計算手段は、
    Figure 0006613743
    により、各納品先で持つべき安全在庫を計算することを特徴とする請求項1に記載の安全在庫決定装置。
  4. 前記安全在庫計算手段は、欠品を保証する確率を規定する安全係数を用いて、納品先で持つべき安全在庫を計算することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の安全在庫決定装置。
  5. 数の出荷元から同種の対象物が一又は複数の納品先に納品される場合において、各納品先で持つべき安全在庫を決定する安全在庫決定方法であって、
    入力手段が、対象物の納品及び使用に関する納入先別での実績を取り込むステップと、
    納品間隔の標準偏差計算手段が、前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での対象物の納品間隔の標準偏差を計算するステップと、
    使用量の平均計算手段が、前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での所定期間ごとの対象物の使用量の平均を計算するステップと、
    安全在庫計算手段が、前記納品間隔の標準偏差計算手段で計算した納品間隔の標準偏差、及び前記使用量の平均計算手段で計算した使用量の平均を用いて、各納品先で持つべき安全在庫を計算するステップとを有することを特徴とする安全在庫決定方法。
  6. 数の出荷元から同種の対象物が一又は複数の納品先に納品される場合において、各納品先で持つべき安全在庫を決定するためのプログラムであって、
    対象物の納品及び使用に関する納入先別での実績を取り込む入力手段と、
    前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での対象物の納品間隔の標準偏差を計算する納品間隔の標準偏差計算手段と、 前記入力手段で取り込んだ実績に基づいて、納品先別での所定期間ごとの対象物の使用量の平均を計算する使用量の平均計算手段と、
    前記納品間隔の標準偏差計算手段で計算した納品間隔の標準偏差、及び前記使用量の平均計算手段で計算した使用量の平均を用いて、各納品先で持つべき安全在庫を計算する安全在庫計算手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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