以下に、本発明の実施の形態にかかる温水熱源機を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態にかかる温水暖房装置10の構成を示す図である。温水暖房装置10は、図1に示すように、温水熱源機1と端末放熱器2とが、温水配管である往き外部配管3および戻り外部配管4により配管接続されて温水循環回路が構成されている。図1における矢印は、温水循環回路における水熱媒の流れる方向を示している。
温水熱源機1は、温水暖房装置10の温水循環回路の途中に設けられ、水熱媒を昇温させて端末放熱器2に循環させる。温水熱源機1は、外郭を構成する筐体1aの内部において、加熱部11と、往き配管接続部12と、戻り配管接続部13と、貯留タンク14と、水熱媒循環部15と、が内部配管によりこの順で一連に配管接続されている。加熱部11と往き配管接続部12とは、内部配管である往き内部配管21により接続されている。戻り配管接続部13と貯留タンク14とは内部配管である戻り内部配管22により接続され、貯留タンク14と水熱媒循環部15は内部配管である戻り内部配管23により接続され、水熱媒循環部15と加熱部11は内部配管である戻り内部配管24により接続されている。また、温水熱源機1は、水熱媒温度検知部16とバイパス管17と制御部18とを備える。
加熱部11は、温水循環回路において水熱媒循環部15の下流側に配置されて、温水循環回路を循環する水熱媒を加熱して昇温させる加熱部である。加熱部11には、ガスボイラ、石油ボイラ、灯油ヒータ、電気ヒータ、ヒートポンプを用いたヒータ装置、といった装置を適用可能である。
なお、本実施の形態において、「水熱媒」は、水だけでなく、水および不凍液といった熱媒体として使用可能な各種液体の循環液を含む。したがって、本実施の形態における「温水」は、水および不凍液といった熱媒体として使用可能な各種液体が加熱された液体を含む。
貯留タンク14は、温水循環回路において戻り配管接続部13の下流側に配置されて、戻り外部配管4と戻り配管接続部13と戻り内部配管22とを経由して端末放熱器2から戻ってきた水熱媒を貯留する。
水熱媒循環部15は、温水循環回路において貯留タンク14の下流側に配置されて、水熱媒を温水熱源機1と端末放熱器2との間で循環させるため装置であり、ポンプが適用される。水熱媒循環部15は、端末放熱器2から戻ってきて貯留タンク14に貯留された水熱媒を吸い出して、戻り内部配管24を介して加熱部11に送る。
往き配管接続部12は、一端に往き内部配管21が接続され、他端に往き外部配管3が接続されている。すなわち、往き配管接続部12は、一端が往き内部配管21を介して加熱部11の下流側に接続されるとともに他端が往き外部配管3を介して端末放熱器2の上流側に接続されて、往き内部配管21と往き外部配管3とを接続する接続部である。
往き配管接続部12は、水熱媒の流路として、一端から他端に向かう水熱媒の流れである往き主流の方向に水熱媒が流れる中空状の往き流路12aを有する。往き配管接続部12は、往き流路12aを流れる水熱媒の往き主流の方向が鉛直下向き方向となるように、一端を上側するとともに他端を下側にして配置されている。往き配管接続部12の詳細については、後述する。
戻り配管接続部13は、一端に戻り外部配管4が接続され、他端に戻り内部配管22が接続されている。すなわち、戻り配管接続部13は、一端が戻り外部配管4を介して端末放熱器2の下流側に接続されるとともに他端が戻り内部配管22を介して貯留タンク14および水熱媒循環部15の上流側に接続されて、戻り外部配管4と戻り内部配管22とを接続する接続部である。
戻り配管接続部13は、水熱媒の流路として、一端から他端に向かう水熱媒の流れである戻り主流の方向に水熱媒が流れる中空状の戻り流路13aを有する。戻り配管接続部13は、戻り流路13aを流れる水熱媒の戻り主流の方向が鉛直上向き方向となるように、一端を下側するとともに他端を上側にして配置されている。また、戻り配管接続部13は、鉛直方向における高さ位置が往き配管接続部12と同じ位置とされて、戻り配管接続部13の外周部と往き配管接続部12の外周部とが、後述するバイパス管17により接続されている。戻り配管接続部13の詳細については、後述する。
また、戻り配管接続部13には水熱媒の温度を検知するための水熱媒温度検知部16が設けられている。水熱媒温度検知部16は、戻り配管接続部13の戻り流路13aにおいて、後述する合流部321よりも下流の位置に設けられた温度検知部取付部19に取り付けられて、端末放熱器2から戻ってきた水熱媒と、往き配管接続部12、戻り配管接続部13、バイパス管17で構成されるバイパス流路を流れた水熱媒と、が混合された混合水熱媒の温度を検知する。
往き配管接続部12および戻り配管接続部13は、樹脂により構成されている。往き配管接続部12を樹脂により構成することにより、往き外部配管3との接続方法としてクリップホールド(Clip Hold:CH)ジョイント方式を採用することが可能になり、スパナ等の工具を用いなくても接続することができ、施工性を向上させることが可能になる。同様に、戻り配管接続部13を樹脂により構成することにより、戻り外部配管4との接続方法としてCHジョイント方式を採用することが可能になり、スパナ等の工具を用いなくても接続することができ、施工性を向上させることが可能になる。往き配管接続部12および戻り配管接続部13を構成する樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド樹脂が例示される。
また、往き配管接続部12と戻り配管接続部13の間には、往き配管接続部12と戻り配管接続部13を直線状に水平に接続するバイパス管17が設けられている。バイパス管17は、往き配管接続部12の内部の往き流路12aと戻り配管接続部13の内部の戻り流路13aとを、通液可能に連通させて接続する中空状のバイパス管流路17aを有する。バイパス管17は、バイパス管流路17aの流路方向に垂直な断面が断面円形形状を有するゴムホースにより構成されている。なお、バイパス管17は、ゴムホース以外のものを使用してもよく、断面円形形状以外の形状を有していてもよい。また、バイパス流路は、流路方向に垂直な断面が断面円形形状を有しているが、断面円形形状以外の形状であってもよい。
制御部18は、加熱部11と水熱媒循環部15との運転を制御する。制御部18は、水熱媒温度検知部16と通信可能とされており、水熱媒温度検知部16で検知された水熱媒温度を取得可能とされている。また、制御部18は、加熱部11および水熱媒循環部15と互いに双方向通信可能とされており、運転の制御指示情報を加熱部11および水熱媒循環部15に送信可能とされている。
制御部18は、温水熱源機1の外部から入力される温度指示情報または制御部18内にあらかじめ記憶された温度指示情報と、水熱媒温度検知部16での検知結果、すなわち水熱媒温度検知部16で検知された水熱媒温度に基づいて加熱部11に制御指示情報を送信して加熱部11における運転出力を制御する。これにより、制御部18は、温度指示情報で指定された温度に水熱媒を昇温させる制御を行う。
また、制御部18は、外部から入力される流量指示情報または制御部18内にあらかじめ記憶された流量指示情報に基づいて水熱媒循環部15に制御指示情報を送信して水熱媒循環部15における運転出力を制御する。これにより、制御部18は、温水熱源機1と端末放熱器2との間で循環させる水熱媒の流量を流量指示情報で指定された流量で循環させる制御を行う。
制御部18は、例えば、図2に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図2は、本発明の実施の形態1における制御部18のハードウェア構成の一例を示す図である。制御部18が図2に示す処理回路により実現される場合、制御部18は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、制御部18の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
端末放熱器2は、温水暖房装置10の温水循環回路の途中に設けられ、温水熱源機1から循環してきた水熱媒の熱を放熱して暖房を行う。
往き外部配管3は、温水熱源機1内において加熱部11で昇温された水熱媒を端末放熱器2に循環させるための配管であり、一端が往き配管接続部12に接続され、他端が端末放熱器2に接続されている。
戻り外部配管4は、端末放熱器2において放熱して低温となった水熱媒を温水熱源機1に循環させるための配管であり、一端が端末放熱器2に接続され、他端が戻り配管接続部13に接続されている。
上述した構成を有する温水暖房装置10では、水熱媒循環部15によって貯留タンク14から吸い出された水熱媒は、加熱部11で加熱された後に往き外部配管3を介して端末放熱器2へと送られ、端末放熱器2において放熱して低温となる。端末放熱器2において低温となった水熱媒は、戻り外部配管4を介して貯留タンク14に戻る。貯留タンク14に戻った水熱媒は、水熱媒循環部15によって加熱部11へ搬送され、加熱された後に往き外部配管3を介して端末放熱器2へと搬送される。温水暖房装置10は、上記のサイクルを繰り返すことにより、水熱媒を媒体として、加熱部11で発生する熱を端末放熱器2へ移動させる。
温水暖房装置10では、上記のサイクルでの水熱媒の流れが主流である。また、上述した往き配管接続部12の内部の往き流路12aから戻り配管接続部13の内部の戻り流路13aに水熱媒の流れる流れがバイパス流である。
図3は、本発明の実施の形態にかかる往き配管接続部12、戻り配管接続部13、バイパス管17で構成されるバイパス流路の詳細を説明する要部断面図である。図3において、往き配管接続部12では、矢印Aで示すように鉛直方向において上から下に向かう方向に流れる水熱媒の流れが往き主流である。図3において、戻り配管接続部13では、矢印Bで示すように鉛直方向において下から上に向かう方向に流れる水熱媒の流れが戻り主流である。
往き配管接続部12には、戻り配管接続部13に対向する側の外周部に設けられて戻り配管接続部13側に突出した中空の往きバイパス部31が設けられている。往きバイパス部31は、中空の往き垂直方向流路312と、中空の往き水平方向流路313と、往きバイパス管接続部314と、を備える。
往き垂直方向流路312は、往きバイパス部31における第1流路であり、往き配管接続部12の往き流路12aから分岐した往き第1バイパス流路である。往き水平方向流路313は、往きバイパス部31における第2流路であり、往き垂直方向流路312に直角に交わる状態で往き垂直方向流路312に屈曲して接続され、往き垂直方向流路312とバイパス管17とを連通させる往き第2バイパス流路である。往きバイパス管接続部314は、往き水平方向流路313と連通して往きバイパス部31にバイパス管17を接続するための接続部であり、且つ内部の中空の一部が往きバイパス部31における第3流路である往き第3バイパス流路を構成している。なお、図3においては、理解の容易のため、往きバイパス管接続部314と戻りバイパス管接続部324とが対向して配置された状態を示しているが、往きバイパス管接続部314と戻りバイパス管接続部324とが水平方向において同じ方向に平行に突出して設けられて、コの字型を呈するバイパス管17により接続されてもよい。
往き垂直方向流路312は、往き配管接続部12内の往き流路12aに連通している。往き垂直方向流路312と往き水平方向流路313、および往き水平方向流路313と往きバイパス管接続部314の内部の中空部とは、各々連通している。往きバイパス管接続部314の内部の中空部は、往きバイパス管接続部314に接続されたバイパス管17のバイパス管流路17aと連通している。
往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、および往きバイパス管接続部314の内部の中空部は、各々の流路方向に垂直な断面が断面円形形状を有する。
そして、往き垂直方向流路312における往き配管接続部12側の端部に隣接する領域が、往き配管接続部12における主流と、バイパス管17へ流れる水熱媒のバイパス流と、が分岐する分岐部311となっている。
図4は、本発明の実施の形態における分流角度αを説明する概念図である。分流角度αは、端末放熱器2へ向かう往き主流の方向Cの上流側と、分岐部311で主流から分流されたバイパス流の方向Dと、のなす角度である。往き配管接続部12では、分岐部311で主流から分流されたバイパス流の方向Dは、端末放熱器2へ向かう往き主流の方向Cに対して、分流角度αが180°とされている。すなわち、往き垂直方向流路312を流れるバイパス流の方向Dは、端末放熱器2へ向かう往き主流の方向Cに対して、180°反転した方向とされている。これは、往き配管接続部12の往き流路12aの伸長方向に対する往き垂直方向流路312の曲げ角度が180°とされていると換言できる。また、往き垂直方向流路312の流路径、すなわち往き垂直方向流路312を構成する往きバイパス部31の中空部の内径は、往き配管接続部12の往き流路12aの内径と比べて縮小されている。
往き水平方向流路313は、流路の方向が往き垂直方向流路312の流路の方向に対して直角に交わり、往き垂直方向流路312の上端部から戻り配管接続部13側に直角な方向に伸長して設けられている。すなわち、往き水平方向流路313において水熱媒が流れる流路の方向は、往き垂直方向流路312において水熱媒が流れる流路の方向に対して、戻り配管接続部13側に直角な方向に曲げられた水平方向とされている。往き水平方向流路313の流路径、すなわち往き水平方向流路313を構成する往きバイパス部31の中空部の内径は、往き垂直方向流路312の流路径と同一とされている。なお、往き水平方向流路313の流路径と往き垂直方向流路312の流路径との間に±0.1mm程度の寸法差があっても問題ない。
なお、図3においては、加工の都合上、往き垂直方向流路312および往き水平方向流路313の内壁が流路の方向に沿ったテーパー形状を有する場合について示しているが、往き垂直方向流路312および往き水平方向流路313は、各々、流路の方向において同一径とされていてもよい。
往きバイパス管接続部314は、内部の中空部にバイパス管17が取り付けられる。バイパス管17は、往きバイパス管接続部314の中空部に設けられた段差部に、長手方向の一端が突きあてられることにより、水平方向の位置が位置決めされる。段差部は、バイパス管17の外形寸法とほぼ同一寸法の内径を有する第1内径部と、第1内径部よりも小さい寸法の内径を有する第2内径部とにより形成されている。なお、往きバイパス管接続部314は、流路としての機能を有さずにバイパス管17を接続するための接続部としてだけの機能を有してもよい。
一方、戻り配管接続部13には、往き配管接続部12に対向する側の外周部に設けられて往き配管接続部12側に突出した中空の戻りバイパス部32が設けられている。戻りバイパス部32は、鉛直方向における高さ位置が往きバイパス部31と同じ位置とされて、往きバイパス部31と対向する状態に配置されている。そして、戻りバイパス部32は、中空の戻り垂直方向流路322と、中空の戻り水平方向流路323と、戻りバイパス管接続部324と、を備える。
戻り垂直方向流路322は、戻りバイパス部32における第1流路であり、戻り配管接続部13の戻り流路13aから分岐した戻り第1バイパス流路である。戻り水平方向流路323は、戻りバイパス部32における第2流路であり、戻り垂直方向流路322に直角に交わる状態で屈曲して戻り垂直方向流路322に接続され、戻り垂直方向流路322とバイパス管17とを連通させる戻り第2バイパス流路である。戻りバイパス管接続部324は、戻り水平方向流路323と連通して戻りバイパス部32にバイパス管17を接続するための接続部であり、且つ内部の中空の一部が戻りバイパス部32における第3流路である戻り第3バイパス流路を構成している。
戻り垂直方向流路322は、戻り配管接続部13内の戻り流路13aに連通している。戻り垂直方向流路322と戻り水平方向流路323、および戻り水平方向流路323と戻りバイパス管接続部324の内部の中空部とは、各々連通している。戻りバイパス管接続部324の内部の中空部は、戻りバイパス管接続部324に接続されたバイパス管17のバイパス管流路17aと連通している。
戻り垂直方向流路322、戻り水平方向流路323、および戻りバイパス管接続部324の内部の中空部は、各々の流路方向に垂直な断面が断面円形形状を有する。
そして、戻り垂直方向流路322における戻り配管接続部13側の端部に隣接する領域が、戻り配管接続部13の戻り流路13aにおける主流と、バイパス管17から流れてきた水熱媒のバイパス流と、が合流する合流部321となっている。
図5は、本発明の実施の形態における合流角度βを説明する概念図である。合流角度βは、加熱部11に向かう戻り主流の方向Eの下流側と、合流部321で主流に合流するバイパス流の方向Fと、のなす角度である。合流部321で主流に合流するバイパス流の方向Fは、加熱部11に向かう戻り主流の方向Eに対して、合流角度βが180°とされている。すなわち、戻り垂直方向流路322を流れるバイパス流の方向Fは、加熱部11に向かう戻り主流の方向Eに対して、180°反転した方向とされている。これは、戻り配管接続部13の戻り流路13aの伸長方向に対する戻り垂直方向流路322の曲げ角度が180°とされていると換言できる。また、戻り垂直方向流路322の流路径、すなわち戻り垂直方向流路322を構成する戻りバイパス部32の中空部の内径は、戻り配管接続部13の戻り流路13aの内径と比べて縮小されている。
戻り水平方向流路323は、流路の方向が戻り垂直方向流路322の流路の方向に対して直角に交わり、戻り垂直方向流路322の上端部から往き配管接続部12側に直角な方向に伸長して設けられている。すなわち、戻り水平方向流路323において水熱媒が流れる流路の方向は、戻り垂直方向流路322において水熱媒が流れる流路の方向に対して、往き配管接続部12側に直角な方向に曲げられた水平方向とされている。戻り水平方向流路323の流路径、すなわち戻り水平方向流路323を構成する戻りバイパス部32の中空部の内径は、戻り垂直方向流路322の流路径と同一とされている。なお、戻り水平方向流路323の流路径と戻り垂直方向流路322の流路径との間に±0.1mm程度の寸法差があっても問題ない。
なお、図3においては、加工の都合上、戻り垂直方向流路322および戻り水平方向流路323の内壁が流路の方向に沿ったテーパー形状を有する場合について示しているが、戻り垂直方向流路322および戻り水平方向流路323は、各々、流路の方向において同一径とされていてもよい。
戻りバイパス管接続部324は、内部の中空部にバイパス管17が取り付けられる。バイパス管17は、戻りバイパス管接続部324の中空部に設けられた段差部に、長手方向の他端が突きあてられることにより、水平方向の位置が位置決めされる。段差部は、バイパス管17の外形寸法とほぼ同一寸法の内径を有する第1内径部と、第1内径部よりも小さい寸法の内径を有する第2内径部とにより形成されている。なお、戻りバイパス管接続部324は、流路としての機能を有さずにバイパス管17を接続するための接続部としてだけの機能を有してもよい。
上述したように、バイパス流路は、加熱部11から端末放熱器2へ水熱媒を送り出す流路と、端末放熱器2から加熱部11に戻る水熱媒の流路との間を連結して設けられている。すなわち、バイパス流路は、温水熱源機1に設けられて加熱部11から端末放熱器2へ水熱媒を送り出す往き配管接続部12と、温水熱源機1に設けられて端末放熱器2から加熱部11に戻る水熱媒を受け入れる戻り配管接続部13との間を連結して設けられている。そして、バイパス流路は、往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、往きバイパス管接続部314、バイパス管17、戻りバイパス管接続部324、戻り水平方向流路323、および戻り垂直方向流路322により構成されている。
往き配管接続部12を流れる水熱媒は、往き配管接続部12の往き垂直方向流路312の分岐部311において、端末放熱器2へ向かう方向の往き主流からバイパス管17へ向かう方向のバイパス流が、往き配管接続部12の往き垂直方向流路312における分岐部311で分流される。バイパス流の水熱媒は、往き配管接続部12における往き垂直方向流路312に流れ込み、往き水平方向流路313、往きバイパス管接続部314、バイパス管17、戻りバイパス管接続部324、戻り水平方向流路323、戻り垂直方向流路322を経由し、合流部321で端末放熱器2から戻ってきて加熱部11へ向かう方向へ流れる戻り主流の水熱媒と合流する。
なお、ここでは、往き配管接続部12と戻り配管接続部13との構造が同一構造、すなわち、バイパス管17を介して対称の構造とされている場合について説明した。往き配管接続部12と戻り配管接続部13との構造を同一構造とすることにより、往き配管接続部12と戻り配管接続部13とを共通化でき、製造コストを低減できる。ただし、往き接続管部と戻り接続管部との構造は、後述する温水熱源機1の効果を得られれば、完全に同一でなくても問題ない。
つぎに、温水熱源機1におけるバイパス流路への異物の流入を防止する方法について説明する。温水循環回路には、温水熱源機1の製造時、端末放熱器2の製造時、および温水暖房装置10の組み立て時に異物が混入するおそれがある。温水循環回路に混入する異物は、銅、鉄およびステンレスといった切り屑、および砂である。上述した切り屑および砂は、水熱媒よりも密度が大きく、水熱媒に沈むものである。
上記のバイパス流路は、往き配管接続部12の分岐部311において、端末放熱器2へ向かう方向の水熱媒の流れである往き主流の方向に対して180°反転した方向に水熱媒が流れ込むように設けられている。すなわち、水熱媒は、往き配管接続部12の往き流路12aでは下方に流れるが、バイパス流路の導入部である往き垂直方向流路312では上方に流れる。
この場合、異物が分岐部311から往き垂直方向流路312に流入する可能性があるのは、下記の式(1)の条件を満たす場合である。なお、式(1)における「水熱媒の流れによる異物の上昇力」は、異物が往き垂直方向流路312を流れる際の上昇力である。
異物に働く浮力+水熱媒の流れによる異物の上昇力>異物に働く重力 ・・・(1)
また、異物に働く浮力、水熱媒の流れによる異物の上昇力、および異物に働く重力は、各々、下記の式(2)から式(4)により求められる。
異物に働く浮力=V×ρw×g ・・・(2)
水熱媒の流れによる異物の上昇力=1/2×ρw×u 2 ×A×Cd ・・・(3)
異物に働く重力=ρ×g ・・・(4)
式(2)から式(4)において、V:異物の体積、ρw:水熱媒の密度、ρ:異物の密度、g:重力加速度、u:水熱媒の流速、A:異物の表面積、Cd:抗力係数、である。
そして、温水循環回路に混入するおそれがある異物においては、密度が最も小さい砂が、異物に働く重力が最も小さく、往き垂直方向流路312からバイパス流路に流入する可能性が最も高くなる。
異物の粒子径を直径:1mmと仮定し、上記(1)において、「異物に働く浮力+水熱媒の流れによる異物の上昇力」が「異物に働く重力」と等しい場合、すなわち上記(1)において「>」を「=」に変えたときの水熱媒の流速uを求めると、0.25m/sとなる。ここで、「異物に働く浮力+水熱媒の流れによる異物の上昇力」が「異物に働く重力」よりも大である場合、すなわち上記(1)の条件を満たす場合には、砂が往き垂直方向流路312に流入する可能性がある。一方、「異物に働く浮力+水熱媒の流れによる異物の上昇力」が「異物に働く重力」以下である場合、すなわち、下記の式(5)の条件を満たす場合には、砂が往き垂直方向流路312に流入する可能性がない。
異物に働く浮力+水熱媒の流れによる異物の上昇力≦異物に働く重力 ・・・(5)
したがって、この場合は、分岐部311で分流して往き垂直方向流路312へ流入する水熱媒の流速を0.25m/s以下とすることで、砂がバイパス流路に流入すること、すなわち砂が往き垂直方向流路312に流入することを防ぐことが可能となる。そして、この場合は、往き垂直方向流路312からバイパス流路に流入する可能性が最も高い砂のバイパス流路への流入を防ぐことが可能であるため、密度が砂よりも大きい他の異物についてもバイパス流路への流入を防ぐことが可能である。
すなわち、上記のバイパス流路は、往き配管接続部12の分岐部311において、端末放熱器2へ向かう方向の往き流路の方向に対して180°反転した方向に水熱媒が流れ込む構成とすることにより、式(1)から式(5)を用いた上記の論理により、バイパス流路に異物を流入させないための、分岐部311から往き垂直方向流路312へ流入する水熱媒の流速を導出可能である。
また、バイパス流路は、端末放熱器2を含む温水循環回路が閉状態となった場合に、加熱部11が空運転とならないように設けられている。バイパス流路に流れて戻り垂直方向流路322から合流部321に流出する水熱媒は、端末放熱器2での放熱が行われていないため、端末放熱器2から戻ってきた水熱媒よりも温度が高い。したがって、バイパス流路に流れる水熱媒の流量が多いほど、端末放熱器2から戻ってきた水熱媒と、バイパス流路を流れた水熱媒と、が混合された後の水熱媒の温度が高くなり、加熱部11に流入する水熱媒の温度が高くなる。
加熱部11に用いられるガスボイラ、石油ボイラ、灯油ヒータ、電気ヒータおよびヒートポンプを用いたヒータ装置といった装置には、各々、加熱効率の良い加熱温度範囲が存在する。加熱温度範囲は、昇温後の水熱媒の温度の範囲である。目標とする水熱媒の昇温温度が加熱温度範囲よりも低い場合には、加熱部11の加熱効率が低下する。
また、目標とする水熱媒の昇温温度が加熱温度範囲よりも高い場合には、加熱部11に流入する水熱媒の温度が高くなるほど、加熱部11で昇温させる水熱媒の温度幅が少なくなり、加熱部11の加熱効率が低下する。このため、端末放熱器2で放熱することがなく、バイパス流路に流れる水熱媒の流量は、加熱部11の空運転を防止するための必要最低限とすることが好ましい。
また、同じ水熱媒循環部15を使用していても、バイパス流路に流れる水熱媒の流量が多いほど、端末放熱器2への水熱媒の搬送能力が低下し、温水暖房装置10の暖房能力が低下する。したがって、温水暖房装置10の暖房能力の観点からも、バイパス流路に流れる水熱媒の流量は、加熱部11の空運転を防止するための必要最低限とすることが好ましい。
なお、加熱部11の空運転を防止するためにバイパス流路に流すことが必要な水熱媒の最低流量は、加熱部11の形態、すなわち加熱部11に用いられるガスボイラ、石油ボイラ、灯油ヒータ、電気ヒータ、およびヒートポンプを用いたヒータ装置といった装置の種類と、水熱媒を所望の温度に昇温させるために必要な出力と、により適正な流量を設定する必要がある。通常、加熱部11の出力が大きいほど、バイパス流路に流すことが必要な水熱媒の最低流量は多くなる。
つぎに、端末放熱器を含む温水循環回路が閉状態となった場合に、バイパス流路に流れる水熱媒の流量を1.0L/minとする場合を例に、温水熱源機1におけるバイパス流路に流れる水熱媒の流量の調節方法の考え方について説明する。バイパス流路に流れる水熱媒の流量を所望の流量に調節するためには、バイパス流路の各部に生じる圧力損失を適切に調節する必要がある。図6は、本発明の実施の形態にかかる温水熱源機1における、往き垂直方向流路312の曲げ角度と、往き垂直方向流路312に流れる水熱媒に生じる圧力損失との関係を示す特性図である。
図6に示すように、往き垂直方向流路312の曲げ角度を変化させた場合、すなわち往き主流の水熱媒からの往き垂直方向流路312へ流れる水熱媒の分流角度αを変化させた場合、往き垂直方向流路312の曲げ角度を大きくするに従って、往き垂直方向流路312に流れる水熱媒に対して大きな圧力損失を生じさせることができる。そして、往き垂直方向流路312の曲げ角度を180°とすることにより、往き垂直方向流路312に流れる水熱媒に生じる圧力損失を最も大きくすることができる。
本実施の形態におけるバイパス流路では、往き流路12aを流れる水熱媒の往き主流の方向に対する往き垂直方向流路312の曲げ角度を180°の角度としている。すなわち、本実施の形態におけるバイパス流路では、往き垂直方向流路312に対して、往き流路12aを流れる水熱媒の往き主流の方向と真逆方向に、往き流路12aから水熱媒を流入させる構造としている。これにより、図6に示すように、バイパス流路の往き垂直方向流路312に流れる水熱媒に対して最も大きな圧力損失を生じさせることが可能であり、往き垂直方向流路312に流れ込む水熱媒の流量を少なく調節することができる。
また、本実施の形態におけるバイパス流路では、往き垂直方向流路312と往き水平方向流路313との間で、90°の流路の曲げを設けて、屈曲構造を形成している。すなわち、水熱媒が往き垂直方向流路312を流れる方向と、水熱媒が往き水平方向流路313を流れる方向と、を90°曲げている。これにより、往き垂直方向流路312から往き水平方向流路313へ流れる水熱媒に対して、往き垂直方向流路312と往き水平方向流路313との屈曲構造による圧力損失を生じさせることができる。そして、屈曲構造の曲げ角度を調節することにより、圧力損失を調節可能である。これにより、バイパス流路を流れる水熱媒の流量をより少なく調節することが可能である。
同様に、本実施の形態におけるバイパス流路では、戻り水平方向流路323と戻り垂直方向流路322との間で、90°の流路の曲げを設けて、屈曲構造を形成している。すなわち、水熱媒が戻り水平方向流路323を流れる方向と、水熱媒が戻り垂直方向流路322を流れる方向と、を90°曲げている。これにより、戻り水平方向流路323から戻り垂直方向流路322へ流れる水熱媒に対して、戻り水平方向流路323と戻り垂直方向流路322との屈曲構造による圧力損失を生じさせることができる。そして、屈曲構造の曲げ角度を調節することにより、圧力損失を調節可能である。これにより、バイパス流路を流れる水熱媒の流量をより少なく調節することが可能である。
本実施の形態におけるバイパス流路では、上述したように往き主流の水熱媒からの往き垂直方向流路312へ流れる水熱媒の分流角度αを最大とし、またバイパス流路に屈曲構造を設けることによって、バイパス流路を流れる水熱媒に生じる圧力損失のうち主たる圧力損失を生じさせ、バイパス流路に流れる水熱媒の流量を少なく調節している。
また、バイパス流路における各屈曲箇所で生じる圧力損失は、バイパス流路の曲げ角度と、流れる水熱媒の主流の流速によって大半が決定される。そこで、往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、戻り水平方向流路323および戻り垂直方向流路322の流路径を調節することにより、バイパス流路を流れる水熱媒に生じる圧力損失を調節することが可能である。
図7は、本発明の実施の形態にかかる温水熱源機1における、往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、戻り水平方向流路323および戻り垂直方向流路322の流路径と、バイパス流路を流れる水熱媒に生じる圧力損失との関係を示す特性図である。図7では、往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、戻り水平方向流路323および戻り垂直方向流路322の流路径を同一寸法として変化させた場合について示している。水熱媒に生じる圧力損失は、バイパス流路全体を流れる場合の圧力損失である。
図7に示すように、往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、戻り水平方向流路323および戻り垂直方向流路322の流路径が小さくなれば、バイパス流路を流れる水熱媒の流速が増大し、バイパス流路で発生する圧力損失は大きくなる。反対に、往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、戻り水平方向流路323および戻り垂直方向流路322の流路径が大きくなると、バイパス流路を流れる水熱媒の流速が減少し、バイパス流路で発生する圧力損失は小さくなる。
そして、往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、戻り水平方向流路323および戻り垂直方向流路322の流路径を調節することにより、往き垂直方向流路312に流れ込む水熱媒の流速を、上記式(1)から式(5)を用いた上記の論理により導出される、バイパス流路に異物を流入させないための往き垂直方向流路312へ流入する水熱媒の流速以下の速度に調節できる。これにより、異物のバイパス流路への流入を防ぐことができ、バイパス流路における異物の付着および堆積を防止できる。
温水熱源機1においてバイパス流路に流れる流量を1.0L/minとする場合には、往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、戻り水平方向流路323および戻り垂直方向流路322の流路径を直径2.0mmとすることで、流量を確保することが可能である。なお、往き主流の流量とバイパス流の流量との間には相関関係があり、図8に示すように主流の流量が増えるほどバイパス流の流量は減少する。したがって、主流の流量を調整することにより、バイパス流の流量を調整することが可能である。図8は、本発明の実施の形態にかかる温水熱源機における主流の流量とバイパス流の流量との関係を示す特性図である。図8においては、主流の流量とバイパス流の流量以外の条件を同一とした場合の主流の流量とバイパス流の流量との関係を示している。また、図8では、水熱媒循環部15のポンプの揚程が相対的に高い場合のプロットAと、水熱媒循環部15のポンプの揚程が相対的に低い場合のプロットBとを示している。図8から分かるように、水熱媒循環部15のポンプの揚程が高くなるほどバイパス流の流量は増加する。したがって、ポンプの揚程を調整することにより、バイパス流の流量を調整することが可能である。
異物がバイパス流路に付着および堆積した場合には、バイパス流路に流れる水熱媒の流量が減少し、さらにはバイパス流路が閉塞するおそれがある。端末放熱器2を含む温水循環回路が閉状態となった場合に、バイパス流路に流れる水熱媒の流量が減少すると加熱部11は空運転に近い状態となり、さらにバイパス流路が閉塞すると加熱部11は空運転となる。加熱部11が空運転となると、温水熱源機1が焼損するといった不具合に至る可能性がある。
一方、温水熱源機1では、上記のように異物のバイパス流路への流入を防ぐことができ、バイパス流路における異物の付着および堆積を防止できる。また、バイパス流路に流れる水熱媒の流量を所望の流量に調節することができる。これにより、バイパス流路における異物の付着および堆積に起因した、加熱部11の空運転に近い状態および空運転を防止でき、温水熱源機1の不具合を防止できる。
また、温水熱源機1では、往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、戻り水平方向流路323および戻り垂直方向流路322の流路径を調節することにより、バイパス流路で発生する圧力損失を調節し、バイパス流路に流れる水熱媒の流量を調節することができる。
つぎに、温水熱源機1の水熱媒温度検知部16で検知される水熱媒の温度について説明する。本実施の形態におけるバイパス流路では、合流部321で戻り主流に合流するバイパス流の水熱媒が流れる戻り垂直方向流路322は、加熱部11に向かう戻り主流の方向に対して、合流角度βが180°とされている。すなわち、本実施の形態におけるバイパス流路では、戻り配管接続部13の戻り流路13aを流れる水熱媒の戻り主流の方向に対する、戻り垂直方向流路322の曲げ角度を180°の角度としている。
これにより、本実施の形態におけるバイパス流路では、戻り流路13aに対して、戻り流路13aを流れる水熱媒の戻り主流の方向と真逆方向に、水熱媒を戻り垂直方向流路322から流出させる構造としている。これにより、戻り垂直方向流路322から合流部321に流出したバイパス流の水熱媒の流れる方向と、戻り配管接続部13の戻り流路13aを流れる戻り主流の水熱媒の流れる方向とが真逆方向となる。そして、バイパス流の水熱媒と戻り主流の水熱媒とが、流れる方向の正面からぶつかるため、バイパス流の水熱媒と戻り主流の水熱媒との混合具合が高くなる。
また、上記特許文献1の技術によれば、戻り配管継手においては、水熱媒の主流方向に対して、直角、または分流角度αが鋭角α度となるように戻り配管接続部が分岐している。このため、特許文献1の技術の場合には、戻り配管接続部におけるバイパス流路の下流側では、暖房用放熱器から戻ってくる水熱媒とバイパス流路を流れた水熱媒との混合水熱媒が十分に混合されない。そして、特許文献1の暖房用ボイラの構造では、バイパス流路の下流側におけるバイパス流路に近い箇所では、水熱媒の実情に近い温度、すなわち加熱器に流入する水熱媒の温度に近い温度を検出することができない。
混合水熱媒の温度が低めに検知された場合には、暖房用ボイラでは、暖房用放熱器からの戻り水温が低く暖房用放熱器の放熱量が大きい、すなわち暖房負荷が大きいと判断し、必要以上に加熱部の出力を増大させる。この結果、暖房用ボイラの効率低下および加熱器の出力増により維持費が増加する、という問題が生じる。逆に、混合水熱媒の温度が高めに検知された場合には、暖房用ボイラでは、暖房用放熱器からの戻り水温が高く暖房用放熱器の放熱量が小さい、すなわち暖房負荷が小さいと判断し、加熱器の出力を減少させる。この結果、ユーザが期待する暖房感が得られない、という問題が生じる。
一方、温水熱源機1では、戻り配管接続部13の戻り流路13aを流れる水熱媒の戻り主流の方向に対する、戻り垂直方向流路322の曲げ角度を180°とする。これにより、戻り垂直方向流路322から合流部321に流出したバイパス流の水熱媒と、戻り流路13aを流れる戻り主流の水熱媒との、曲げ角度に因る混合具合を最も高めることができる。これにより、戻り垂直方向流路322から合流部321に流出したバイパス流の水熱媒と、戻り流路13aを流れる戻り主流の水熱媒とが混合された混合水熱媒の温度を、より正確な温度で、すなわち加熱部11に流入する水熱媒の温度により近い温度で、水熱媒温度検知部16で検知することが可能である。したがって、水熱媒温度検知部16で検知された混合水熱媒の温度に起因した、上述したような問題、すなわち維持費の増加および快適性の低下の発生を抑制することができる。すなわち、温水熱源機1では、維持費を低減することができ、また快適性を向上させることができる。
また、水熱媒温度検知部16で検知される混合水熱媒の温度は、温度検知部取付部19に取り付けられた水熱媒温度検知部16と合流部321との距離の影響を受ける。合流部321と水熱媒温度検知部16との距離が長い場合には、バイパス流路から合流部321に流れ出たバイパス流の水熱媒と、端末放熱器2から戻ってきて戻り配管接続部13を流れる戻り主流の水熱媒とが混合する時間が長くなるため、両者の混合具合が高くなる。このため、水熱媒温度検知部16では、加熱部11に流入する水熱媒の温度により近い温度で、混合水熱媒の温度を検知することが可能である。
しかしながら、合流部321と水熱媒温度検知部16との距離を長くしすぎると、戻り配管接続部13および温水熱源機1が大型になり、また材料の使用量が多くなるため、経済的でもない。したがって、合流部321と水熱媒温度検知部16との距離は、これらの点も考慮して適切な長さを与える必要がある。
図9は、本発明の実施の形態にかかる温水熱源機1の戻り配管接続部13における合流部321から水熱媒温度検知部16までの距離と、混合水熱媒の検知温度との関係を示す特性図である。図9は、温水熱源機1の戻り配管接続部13における合流部321から水熱媒温度検知部16までの距離と、混合水熱媒の検知温度との関係をシミュレーションにより得た結果である。ここでの合流部321の位置は、戻り垂直方向流路322と戻り流路13aとの境界位置とした。
また、図9では、バイパス流路から合流部321に流れ出たバイパス流の水熱媒と、端末放熱器2から戻ってきて戻り配管接続部13を流れる戻り主流の水熱媒とが均一に混合された均一温度の混合水熱媒の検知温度を100%として示している。また、図9では、往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、戻り水平方向流路323および戻り垂直方向流路322の流路径を直径2.0mmとし、バイパス流路に流れる水熱媒の流量を1.0L/minとした場合について示している。
図9より、水熱媒温度検知部16において、合流部321から25mmだけ上方の位置、すなわち下流の位置で、99.7%に相当する温度を検知可能であることが確認された。99.7%に相当する温度が検知されれば、合流部321と水熱媒温度検知部16との距離が長い場合には、上述したように特許文献1の技術で生じる問題が発生することが無く、また戻り配管接続部13および温水熱源機1が大型になることもない。
上述したように、本実施の形態にかかる温水熱源機1では、往き配管接続部12を流れる往き主流の方向を鉛直下向き方向とし、分岐部311において、端末放熱器2へ向かう方向の往き流路の方向に対して180°反転した方向に水熱媒が流れ込む構成としている。これにより、バイパス流路に異物を流入させないための、分岐部311から往き垂直方向流路312へ流入する水熱媒の流速を上記式(1)から式(5)を用いて導出可能である。また、バイパス流路の往き垂直方向流路312に流れる水熱媒に対して最も大きな圧力損失を生じさせて往き垂直方向流路312に流れ込む水熱媒の流量を少なく調節することができる。
そして、往き垂直方向流路312、往き水平方向流路313、戻り水平方向流路323および戻り垂直方向流路322の流路径を調節することにより、往き垂直方向流路312に流れ込む水熱媒の流速を、導出される水熱媒の流速以下の速度に調節できる。これにより、異物のバイパス流路への流入を防ぐことができ、バイパス流路における異物の付着および堆積を防止でき、バイパス流路における異物の付着および堆積に起因した、加熱部11の空運転に近い状態および空運転を防止でき、温水熱源機1の不具合を防止できる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。