(1.第1実施形態の基板生産ライン1の構成および機能)
本発明の第1実施形態の基板生産ライン1について、図1〜図9を参考にして説明する。図1は、第1実施形態の基板生産ライン1の構成を模式的に示す構成図である。基板生産ライン1は、1台の基板生産管理装置2、および8台の第1〜第8基板生産装置41〜48で構成されている。基板生産管理装置2は、本発明の基板生産管理装置の一実施形態でもある。また、第1〜第8基板生産装置41〜48のそれぞれは、本発明の基板生産装置の一実施形態でもある。第7および第8基板生産装置47、48は、図1には省略されている。
基板生産管理装置2は、例えば、CPUを有してソフトウェアで動作するコンピュータ装置を用いて構成できる。基板生産管理装置2は、オペレータと情報交換を行うインターフェイスツールとして、図略の表示装置および入力装置を備える。第1〜第8基板生産装置41〜48は、相互に並んで配置され、かつそれぞれが上流側から基板を搬入し、所定の工程作業を施して、下流側に搬出する。
第1基板生産装置41としてはんだ印刷装置を例示でき、第2基板生産装置42としてはんだ検査装置を例示できる。第3〜第6基板生産装置43〜46として、それぞれ電子部品装着装置を例示できる。第7基板生産装置47として基板外観検査装置を例示でき、第8基板生産装置48としてリフロー装置を例示できる。例示した基板生産装置の工程作業の内容は公知であり、説明は省略する。第1〜第8基板生産装置41〜48は、例示した以外の基板生産装置であってもよい。また、基板生産ライン1を構成する基板生産装置の台数は、8台に限定されない。
基板生産管理装置2と第1〜第8基板生産装置41〜48との間は、図略の通信手段、例えば構内LANなどにより通信接続されている。基板生産管理装置2は、第1〜第8基板生産装置41〜48に向けて、基板の生産に関する各種の情報や指令を通知する(図1の破線の矢印)。逆に、第1〜第8基板生産装置41〜48は、基板生産管理装置2に向けて、稼動状況を報告する各種の情報や応答を通知する(図1の実線の矢印)。
図2は、第1実施形態の基板生産ライン1の機能構成を示した機能ブロック図である。基板生産管理装置2は、生産時間取得部21、基板有無確認部22、予定時刻予測部23、予定時刻通知部24、および生産終了通知部25の機能を有する。一方、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々は、予定時刻取得部61、待ち時間予測部62、および稼動状況変更部63の機能を有する。稼動状況変更部63は、省エネモード切り替え部64および準備作業開始部65を含む。
(2.実施形態の基板生産管理装置2の動作)
次に、実施形態の基板生産管理装置2の動作について説明する。図3は、実施形態の基板生産管理装置2の処理フローを示した図である。図3において、「各装置」は、第1〜第8基板生産装置41〜48を表している。基板生産ライン1で生産する基板の種類を変更するために、段取り替え作業が行われる。段取り替え作業と併せて、基板生産管理装置2は、図2のステップS1およびステップS2の処理を行う。
すなわち、ステップS1の初期設定で、基板生産管理装置2の生産終了通知部25は、これから生産する基板の種類および生産予定数Ntを設定する。基板の種類および生産予定数Ntは、例えば、オペレータが入力装置を操作することによって入力される。さらに、生産終了通知部25は、第1〜第8基板生産装置41〜48のそれぞれの生産実績数Nn(i)をゼロに設定し、それぞれの終了フラグF(i)をクリアする。生産実績数Nn(i)および終了フラグF(i)のかっこ内の添字iは、第1〜第8の別を示す。生産の途中段階で、第1〜第8基板生産装置41〜48の生産実績数Nn(1)〜Nn(8)は、相互に異なる。終了フラグF(i)は、基板の生産実績数Nn(i)が生産予定数Ntに達したことを表すフラグである。
次のステップS2で、生産時間取得部21は、第1〜第8基板生産装置41〜48の生産時間Tp(i)を取得する。生産時間Tp(i)は、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々が1枚の基板に工程作業を施すために要する時間である。生産時間Tp(i)は、基板の搬入、位置決め、位置解除、および搬出に要する時間を含んでいる。生産時間Tp(i)は、例えば、生産の最適化のシミュレーションによって推定され、図略のデータベースに記憶され、生産時間取得部21に転送される。なお、基板の生産が進んで実際の生産時間が判明した時点で、生産時間Tp(i)を実際の生産時間に置き換えてもよい。
ステップS2の処理が終了し、かつ段取り替え作業が終了すると、基板生産管理装置2は、処理フローの実行をステップS3に進める。この後、基板生産管理装置2は、ステップS3以降の処理サイクルを所定のサイクル時間間隔で繰り返す。ステップS3で、基板有無確認部22は、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々の装置内に基板が有るか否かを確認する。
次のステップS4で、生産終了通知部25は、基板を搬出した基板生産装置に関して、生産実績数Nn(i)を1だけ増加させる管理を行う。基板を搬出した基板生産装置は、前回の処理サイクルで装置内に基板が有り、工程作業が正常に終了して今回の処理サイクルで基板が無いことから判別できる。
次のステップS5で、予定時刻予測部23は、前回の処理サイクルで装置内に基板が無く今回の処理サイクルで基板が有る基板生産装置から、実際に基板が搬入された搬入時刻t1(i)を取得する。また、予定時刻予測部23は、前回の処理サイクルで装置内に基板が有り今回の処理サイクルで基板が無い基板生産装置から、実際に基板が搬出された搬出時刻t2(i)を取得する。
次のステップS6で、予定時刻予測部23は、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々に基板が搬入可能になると予定される搬入予定時刻t3(i)を予測する。この予測は、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々の生産時間Tp(i)および基板の有無に基づいて行われ、搬入時刻t1(i)も参照される。例えば、最上流の第1基板生産装置41において、上流側装置が存在しないので、基板が準備されていれば直ちに搬入が可能である。したがって、搬入予定時刻t3(1)は、現在時刻tnowと予測される。
また例えば、第2基板生産装置42において、搬入予定時刻t3(2)は、上流側の第1基板生産装置41の工程作業の進捗状況に依存する。第1基板生産装置41の装置内に基板が有って工程作業が終了している場合、直ちに第2基板生産装置42に向けての搬出が可能である、したがって、第2基板生産装置42の搬入予定時刻t3(2)は、現在時刻tnowと予測される。
また、第1基板生産装置41の装置内に基板が有っても工程作業が開始された直後である場合、工程作業が終了してから、基板が第3基板生産装置43に向けて搬出される。したがって、第2基板生産装置42の搬入予定時刻t3(2)は、第1基板生産装置41の生産時間Tp(1)の分だけ現在時刻tnowから遅れる。さらに、第1基板生産装置41の装置内に基板が有って工程作業が途中である場合、第2基板生産装置42の搬入予定時刻t3(2)は、第1基板生産装置41の搬入時刻t1(1)から生産時間Tp(1)だけ遅れた時刻となる。
さらに例えば、第3基板生産装置43において、搬入予定時刻t3(3)は、上流側の第1および第2基板生産装置41、42の工程作業の進捗状況に依存する。すなわち、第2基板生産装置42の装置内に基板が有って工程作業が終了している場合、直ちに第3基板生産装置43に向けての搬出が可能である。したがって、第3基板生産装置43の搬入予定時刻t3(3)は、現在時刻tnowと予測される。
また、第2基板生産装置41の装置内に基板が無く、第1基板生産装置41の装置内に基板が有って工程作業が開始された直後という場合を想定できる。この場合、第1基板生産装置41の工程作業および第2基板生産装置42の工程作業が終了してから、基板が第3基板生産装置43に向けて搬出される。したがって、第3基板生産装置43の搬入予定時刻t3(3)は、第1基板生産装置41の生産時間Tp(1)および第2基板生産装置42の生産時間Tp(2)を加算した分だけ現在時刻tnowから遅れる。
上記の説明で分かるように、第1〜第8基板生産装置41〜48の搬入予定時刻t3(i)は、上流側の基板生産装置の工程作業の進捗状況に依存する。このため、予定時刻予測部23は、上流側の第1基板生産装置41から下流側の第8基板生産装置48へと順番に、搬入予定時刻t3(1)、t3(2)、……、t3(8)を予測していく。
次のステップS7で、予定時刻予測部23は、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々から基板が搬出可能になると予定される搬出予定時刻t4(i)を予測する。この予測は、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々の生産時間Tp(i)および基板の有無に基づいて行われる。ここで、第1〜第8基板生産装置41〜48が工程作業の終了していない基板を搬出できないのは自明である。上記した搬出予定時刻t4(i)は、下流側装置の搬送渋滞などに起因して基板を搬出できない場合に、搬出が可能となる予定時刻を意味する。つまり、搬出予定時刻t4(i)は、自装置内の基板の有無および工程作業の進捗状況に関係なく予測される。例えば、最下流の第8基板生産装置48では、下流側装置が存在しないので直ちに搬出が可能であり、搬出予定時刻t4(8)は現在時刻tnowとなる。
また例えば、第7基板生産装置47において、搬出予定時刻t4(7)は、下流側の第8基板生産装置48の工程作業の進捗状況に依存する。すなわち、第8基板生産装置48の装置内に基板が有って工程作業が終了している場合、次の基板の受け入れ態勢は整っている。したがって、直ちに第8基板生産装置48への基板の搬入が可能であり、第7基板生産装置47の搬出予定時刻t4(7)は、現在時刻tnowと予測される。また、第8基板生産装置48の装置内に基板が有っても工程作業が開始された直後である場合、工程作業が終了してから次の基板の受け入れ態勢が整う。したがって、第7基板生産装置47の搬出予定時刻t4(7)は、第8基板生産装置48の生産時間Tp(8)の分だけ現在時刻tnowから遅れる。
上記の説明で分かるように、第1〜第8基板生産装置41〜48の搬出予定時刻t4(i)は、下流側装置の工程作業の進捗状況に依存する。このため、予定時刻予測部23は、下流側の第8基板生産装置48から上流側の第1基板生産装置41へと順番に、搬出予定時刻t4(8)、t4(7)、……、t4(1)を予測してゆく。第1〜第8基板生産装置41〜48のいずれかの装置内に基板が無くても、順番に搬出予定時刻t4(i)を予測することで、第1〜第8基板生産装置41〜48のそれぞれの搬出予定時刻t4(i)が得られる。
なお、ステップS6で、予定時刻予測部23は、搬入予定時刻t3(i)に代えて、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々に基板が搬入可能になると予定されるまでの搬入待ち時間を予測してもよい。同様に、ステップS7で、予定時刻予測部23は、搬出予定時刻t4(i)に代えて、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々から基板が搬出可能になると予定されるまでの搬出待ち時間を予測してもよい。
次のステップS8で、生産終了通知部25は、第1〜第8基板生産装置41〜48の生産実績数Nn(i)が生産予定数Ntに達しているか否かに応じて、処理フローの分岐先を決定する。第1〜第8基板生産装置41〜48の生産実績数Nn(1)〜Nn(8)の一部または全部が生産予定数Ntに達している場合、ステップS9で、当該の基板生産装置の終了フラグF(i)をセットする。セットされた終了フラグF(i)は、生産終了指令に相当する。
第1〜第8基板生産装置41〜48の生産実績数Nn(i)のいずれも生産予定数Ntに達していない場合、およびステップS9の実施後、生産終了通知部25は、処理フローの実行をステップS10に進める。ステップS10で、予定時刻通知部24は、搬入予定時刻t3(i)および搬出予定時刻t4(i)を当該の第1〜第8基板生産装置41〜48にそれぞれ通知する。つまり、予定時刻通知部24は、搬入予定時刻t3(1)および搬出予定時刻t4(1)を第1基板生産装置41に通知し、搬入予定時刻t3(2)および搬出予定時刻t4(2)を第2基板生産装置42に通知し、………、搬入予定時刻t3(8)および搬出予定時刻t4(8)を第8基板生産装置48に通知する。
また、生産終了通知部25は、終了フラグF(1)を第1基板生産装置41に通知し、終了フラグF(2)を第2基板生産装置42に通知し、………、終了フラグF(8)を第8基板生産装置48に通知する。これで、一連の処理サイクルが終了し、処理フローの実行がステップS3に戻される。
(3.実施形態の基板生産装置の動作)
次に、実施形態の基板生産装置の動作について説明する。第1〜第8基板生産装置41〜48の動作は同じであるので、「第1〜第8」の冠詞およびかっこ付きの添字iを省略して説明する。図4は、実施形態の基板生産装置の処理フローを示した図である。
図4のステップS31の初期設定で、基板生産装置2の省エネモード切り替え部64は、第1省エネ移行時間Ts1および第2省エネ移行時間Ts2を設定する。この設定は、例えば、オペレータの入力操作によって行われる。第2省エネ移行時間Ts2は、後述するように稼動モードと第2省エネモードとを分ける閾時間である。第1省エネ移行時間Ts1は、第2省エネ移行時間Ts2よりも長く、後述するように第2省エネモードと第1省エネモードとを分ける閾時間である。
第1省エネモードおよび第2省エネモードにおいて、基板生産装置は、自装置内の一部の電気負荷を停止する。第1省エネモードは、第2省エネモードと比較して停止する電気負荷の範囲が拡がっている。したがって、第1省エネモードは、第2省エネモードと比較して省エネ効果量が相対的に大きい。
例えば、電子部品装着装置は、第2省エネモードにおいて、基板搬送部の駆動モータやフィーダ式部品供給部のテープ繰り出しモータ、装着ヘッドに採取された電子部品を撮像する部品カメラなどを停止する。さらに、電子部品装着装置は、第1省エネモードにおいて、上記した駆動モータ、テープ繰り出しモータ、および部品カメラに加え、装着ヘッドを駆動するX−Y駆動機構を停止する。また例えば、はんだ印刷装置は、第2省エネモードにおいて、基板搬送部の駆動モータなどを停止する。さらに、はんだ印刷装置は、第1省エネモードにおいて、上記した駆動モータに加え、はんだの温度調節管理部、および印刷用スキージを往復駆動する駆動モータを停止する。
上記の例から分かるように、第1省エネモードおよび第2省エネモードで停止する電気負荷は、基板生産装置の種類に応じて変化する。また、停止状態から復帰する電気負荷の特性も様々である。したがって、第1省エネ移行時間Ts1および第2省エネ移行時間Ts2は、全部の基板生産装置で一致させる必要はなく、基板生産装置ごとに異なっていてもよい。例えば、第1省エネ移行時間Ts1は60秒に設定され、第2省エネ移行時間Ts2は30秒に設定される。なお、第1省エネ移行時間Ts1および第2省エネ移行時間Ts2を設定しない基板生産装置、換言すると省エネ効果を期待しない基板生産装置が有ってもよい。
処理フローに戻り、ステップS31の初期設定で、準備作業開始部65は、準備時間Ts3を設定する。この設定は、例えば、オペレータの入力操作によって行われる。準備時間Ts3は、工程作業に先立つ準備作業の時間を確保するために設定される。準備時間Ts3は、第2省エネ移行時間Ts2以下に定められる。実際には、先に準備時間Ts3が定められ、次に、準備時間Ts3以上となる第2省エネ移行時間Ts2が定められる。
例えば、電子部品装着装置における準備作業として、X−Y駆動機構のキャリブレーション作業を例示できる。詳述すると、X−Y駆動機構の構成部材が温度に依存して伸縮すると、装着ヘッドの位置に制御誤差が発生する。したがって、キャリブレーション作業を行うことで制御誤差の影響を低減でき、部品装着工程の作業品質を高められる。キャリブレーション作業は、一定時間間隔(例えば30分間隔)で行うことが好ましいが、これに限定されない。
また例えば、はんだ印刷装置における準備作業として、印刷パターンが形成されたマスクのクリーニング作業を例示できる。詳述すると、はんだ印刷を続けていると、はんだがマスクに固着して印刷ムラなどの原因となり得る。このため、自動クリー二ング機能を用いてマスクをクリーニングすることで、はんだ印刷工程の作業品質を高められる。クリーニング作業は、所定枚数の基板に印刷工程作業を施した都度行うことが好ましいが、これに限定されない。また、温度調節管理部が停止状態から復帰して、はんだの温度を適正化する温度管理作業も準備作業の例である。
上記した電子部品装着装置のキャリブレーション作業や、はんだ印刷装置のクリーニング作業および温度管理作業を行う所要時間よりも長めに、準備時間Ts3が設定される。したがって、準備時間Ts3は、基板生産装置の種類や特性に応じて個別に設定されることが好ましい。なお、準備時間Ts3の不要な基板生産装置が有ってもよい。
ステップS31の処理が終了すると、基板生産装置は、処理フローの実行をステップS32に進める。この後、基板生産装置は、ステップS32以降の処理サイクルを所定のサイクル時間間隔で繰り返す。ステップS32で、予定時刻取得部61は、基板生産管理装置2の予定時刻通知部24から、搬入予定時刻t3および搬出予定時刻t4を取得する。また、省エネモード切り替え部64は、基板生産管理装置2の生産終了通知部25から、終了フラグFを取得する。
次のステップS33で、省エネモード切り替え部64は、終了フラグFがセットされているか否か判定する。終了フラグFがセットされている場合、省エネモード切り替え部64は、処理フローの実行をステップS39に進める。終了フラグFがクリアされている場合、省エネモード切り替え部64は、処理フローの実行をステップS34に進める。
ステップS34で、待ち時間予測部62は、自装置内に基板が有るか否かを判定し、さらに、基板が有る場合には工程作業の進捗状況を判定する。待ち時間予測部62は、基板が無い場合に処理フローの実行をステップS35に進め、工程作業の終了した基板が有る場合に処理フローの実行をステップS37に進め、工程作業の終了していない基板が有る場合に処理フローの実行をステップS41に進める。
ステップS35で、待ち時間予測部62は、搬入予定時刻t3から現在時刻tnowを減算して搬入待ち時間T5を求める。さらに、省エネモード切り替え部64は、搬入待ち時間T5が第1省エネ移行時間Ts1を超えているか否か判定し、超えている場合に処理フローの実行をステップS39に進め、超えていない場合に処理フローの実行をステップS36に進める。ステップS36で、省エネモード切り替え部64は、搬入待ち時間T5が第2省エネ移行時間Ts2を超えているか否か判定し、超えている場合に処理フローの実行をステップS40に進め、超えていない場合に処理フローの実行をステップS41に進める。
また、ステップS37で、待ち時間予測部62は、搬出予定時刻t4から現在時刻tnowを減算して搬出待ち時間T6を求める。さらに、省エネモード切り替え部64は、搬出待ち時間T6が第1省エネ移行時間Ts1を超えているか否か判定し、超えている場合に処理フローの実行をステップS39に進め、超えていない場合に処理フローの実行をステップS38に進める。ステップS38で、省エネモード切り替え部64は、搬出待ち時間T6が第2省エネ移行時間Ts2を超えているか否か判定し、超えている場合に処理フローの実行をステップS40に進め、超えていない場合に処理フローの実行をステップS41に進める。
ステップS39において、省エネモード切り替え部64は、稼動状況の変更として、次の第1〜第3ケースで第1省エネモードを選択する。第1ケースは、終了フラグFがセットされたケースである。第1ケースでは、或る種類の基板の生産が終了し、次に生産する基板の種類に対応して段取り替え作業が終わるまでの長い間、稼動する可能性は生じない。第2ケースは、自装置内に基板が無くかつ搬入待ち時間T5が第1省エネ移行時間Ts1を超えているケースである。第2ケースでは、比較的長い時間に渡って基板を搬入できないので、その間稼動する可能性は生じない。第3ケースは、自装置内に工程作業の終了した基板が有りかつ搬出待ち時間T6が第1省エネ移行時間Ts1を超えているケースである。第3ケースでは、比較的長い時間に渡って基板を搬出できないので、その間稼動する可能性は生じない。したがって、第1〜第3ケースで、省エネ効果量が相対的に大きな第1省エネモードを選択しても、稼動に支障は生じない。ステップS39の実施後、処理フローの実行は、ステップS32に戻される。
ステップS40で、省エネモード切り替え部64は、稼動状況の変更として、次の第4および第5ケースで第2省エネモードを選択する。第4ケースは、自装置内に基板が無くかつ搬入待ち時間T5が第1省エネ移行時間Ts1以下であって第2省エネ移行時間Ts2を超えている4ケースである。第4ケースでは、比較的短い時間に渡って基板を搬入できないので、その間稼動する可能性は生じない。第5ケースは、自装置内に工程作業の終了した基板が有りかつ搬出待ち時間T6が第1省エネ移行時間Ts1以下であって第2省エネ移行時間Ts2を超えているケースである。第5ケースでは、比較的短い時間に渡って基板を搬出できないので、その間稼動する可能性は生じない。したがって、第4および第5ケースで、省エネ効果量が相対的に小さい第2省エネモードを選択しても、稼動に支障は生じない。ステップS40の実施後、処理フローの実行は、ステップS32に戻される。
ステップS41で、省エネモード切り替え部64は、稼動状況の変更として、次の第6〜第8ケースで通常の稼動モードを選択する。第6ケースは、自装置内に工程作業の終了していない基板が有るケースである。第6ケースでは、工程作業を施す必要があるので、当然ながら一部の電気負荷を停止することはできない。第7ケースは、搬入待ち時間T5が第2省エネ移行時間Ts2以下となるケースである。第8ケースは、搬出待ち時間T6が第2省エネ移行時間Ts2以下となるケースである。第7および第8ケースでは、基板の搬入および搬出の少なくとも一方が差し迫っているので、一部の電気負荷を停止することはできない。
ステップS41に続くステップS42で、準備作業開始部65は、準備作業が必要である第1条件、および搬入待ち時間T5が準備時間Ts3以下まで減少している第2条件の両方が成立しているか否かを判定する。第1条件は、例えば、前述したキャリブレーション作業において一定時間間隔を経過しているか否か、あるいは前述したクリーニング作業において所定枚数の基板に達しているか否か、などにより判定できる。
第1条件および第2条件が成立している場合のステップS43で、準備作業開始部65は、準備作業を開始する。ステップS42で第1条件および第2条件の少なくとも一方が成立していない場合、ならびにステップS43の処理を実施した後、処理フローの実行は、ステップS44に進められる。ステップS44で、基板生産装置は通常の稼動状態となる。すなわち、基板生産装置は、基板の搬入、工程作業、および基板の搬出のいずれかを行える。これで、一連の処理サイクルが終了し、処理フローの実行がステップS32に戻される。
なお、準備時間Ts3と第2省エネ移行時間Ts2とが等しく設定されている場合、第2条件は既にステップS36で成立していることが明らかである。この場合、第2省エネモードから稼動モードへの切り替えと、準備作業の開始とが同時になる。
(4.第1実施形態の基板生産ライン1の全体動作の第1事例)
次に、第1実施形態の基板生産ライン1の全体動作について、第1事例により説明する。以降の説明を簡明化するために、次のような第1事例を考える。第7、第8基板生産装置47、48は省略し、第1〜第6基板生産装置41〜46の生産時間Tp(i)は全て50秒、第1省エネ移行時間Ts1は全て60秒、第2省エネ移行時間Ts2は全て30秒とする。現在時刻tnowは、9時00分00秒とする。基板生産管理装置2および第1〜第6基板生産装置41〜46は、8時59分50秒に1回目の処理サイクルを実行し、以降10秒のサイクル時間間隔(実際には10秒よりも短い)で処理サイクルを繰り返す。基板生産管理装置2および第1〜第6基板生産装置41〜46の処理時間および通信時間は、極めて短く無視できる。
図1は、第1事例で、基板生産ライン1の第1基板生産装置41に最初の基板Kが搬入されたときの状況を示す図を兼ねている。この事例で、基板生産管理装置2は、現在時刻tnowの9時00分00秒に2回目の処理サイクルを実行する。これにより、基板有無確認部22は、第1基板生産装置41から「基板有り」の情報Exを取得し、第2〜第6基板生産装置42〜46から「基板無し」の情報Neを取得する。また、予定時刻予測部23は、「基板無し」から「基板有り」に状態変化した第1基板生産装置41から、搬入時刻t1(1)の9時00分00秒を取得する。
次に、予定時刻予測部23は、第1〜第6基板生産装置41〜46の各搬入予定時刻t3(i)を予測する。第1基板生産装置41の搬入予定時刻t3(1)は、現在時刻tnowの9時00分00秒と予測される。第2基板生産装置42の搬入予定時刻t3(2)は、第1基板生産装置41で生産工程を施す分だけ遅れる。このため、第2基板生産装置42の搬入予定時刻t3(2)は、現在時刻tnowに第1基板生産装置41の生産時間Tp(1)=50秒を加算して、9時00分50秒と予測される。
第3基板生産装置43の搬入予定時刻t3(3)は、第1および第2基板生産装置4142で生産工程を施す分だけ遅れるので、9時01分40秒と予測される。以下、第4基板生産装置44の搬入予定時刻t3(4)は9時02分30秒、第5基板生産装置45の搬入予定時刻t3(5)は9時03分20秒、第6基板生産装置46の搬入予定時刻t3(6)は9時04分10秒とそれぞれ予測される。
また、予定時刻予測部23は、第1〜第6基板生産装置41〜46の搬出予定時刻t4(1)〜t4(6)を予測する。現在時刻tnowにおいて、下流側装置である第2〜第7基板生産装置42〜47に基板が無い。このため、第1〜第6基板生産装置41〜46の搬出予定時刻t4(1)〜t4(6)は、全て現在時刻tnowの9時00分00秒と予測される。
次に、基板生産管理装置2の予定時刻通知部24は、搬入予定時刻t3(i)および搬出予定時刻t4(i)を当該の第1〜第6基板生産装置41〜46にそれぞれ通知する。図1の第1〜第6基板生産装置41〜46の下側に、それぞれ通知された搬入予定時刻t3(1)〜t3(6)が示されている。
一方、第1基板生産装置41において、待ち時間予測部62は、自装置内に工程作業の終了していない基板が有るので、搬入待ち時間T5(1)や搬出待ち時間T6(1)を求める必要はない。そして、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。第2基板生産装置42において、待ち時間予測部62は、自装置内に基板が無いので、搬入待ち時間T5(2)を求める。搬入待ち時間T5(2)は搬入予定時刻t3(2)の9時00分50秒から現在時刻tnowの9時00分00秒を減算して求められ、50秒となる。したがって、省エネモード切り替え部64は、第2省エネモードを選択する。
また、第3基板生産装置43において、待ち時間予測部62は、自装置内に基板が無いので、搬入待ち時間T5(3)を求める。搬入待ち時間T5(3)は、1分40秒となる。したがって、省エネモード切り替え部64は、第1省エネモードを選択する。さらに、第4〜第6基板生産装置44〜46において、搬入待ち時間T5(4)〜T5(6)は、1分40秒よりも大きくなる。したがって、それぞれの省エネモード切り替え部64は、第1省エネモードを選択する。
時間が経過して、現在時刻tnowが9時00分10秒になると、基板生産管理装置2および第1〜第6基板生産装置41〜46は、3回目の処理サイクルを実行する。このとき、予定時刻予測部23によって予測される各搬入予定時刻t3(i)は変化しない。また、予測される搬出予定時刻t4(i)は、全て9時00分10秒となる。第1〜第6基板生産装置41〜46の稼動状況は、変化しない。
さらに時間が経過して、現在時刻tnowが9時00分20秒になると、基板生産管理装置2および第1〜第6基板生産装置41〜46は、4回目の処理サイクルを実行する。このとき、予定時刻予測部23によって予測される各搬入予定時刻t3(i)は変化しない。また、予測される各搬出予定時刻t4(i)は、全て9時00分20秒となる。
ここで、第2基板生産装置42において、待ち時間予測部62は、自装置内に基板が無いので、搬入待ち時間T5(2)を求める。搬入待ち時間T5(2)は搬入予定時刻t3(2)の9時00分50秒から現在時刻tnowの9時00分20秒を減算して求められ、30秒となる。したがって、省エネモード切り替え部64は、第2省エネモードを終了して、稼動モードを選択する。これにより、第2基板生産装置42は、準備作業および通常の稼動が可能な状況となる。一方、第1、第3〜第6基板生産装置41、43〜46の稼動状況は変化しない。さらに時間が経過して、第2基板生産装置42で搬入待ち時間T5(2)が準備時間Ts3まで減少すると、必要な準備作業が開始される。
次に、第1基板生産装置41の工程作業が何らかの原因で遅延して、基板Kの搬出が9時10分00秒になった場合を想定する。図5は、第1事例で、第1基板生産装置41の工程作業が遅延しながらも終了し、第1基板生産装置41から第2基板生産装置42に向かって基板Kが搬送された直後の状況を示す図である。このとき、第1基板生産装置41は、基板Kの搬出のみを行い、搬入は行っていない。
上記の事例では、基板生産管理装置2および第1〜第6基板生産装置41〜46は、9時10分00秒に処理サイクルを実行する。これにより、基板有無確認部22は、第2基板生産装置42から「基板有り」の情報Exを取得し、第1および第3〜第6基板生産装置41、43〜46から「基板無し」の情報Neを取得する。また、予定時刻予測部23は、「基板有り」から「基板無し」に状態変化した第1基板生産装置41から、搬出時刻t2(1)の9時10分00秒を取得する。さらに、予定時刻予測部23は、「基板無し」から「基板有り」に状態変化した第2基板生産装置42から、搬入時刻t1(2)の9時10分00秒を取得する。
次に、予定時刻予測部23は、第1〜第6基板生産装置41〜46の各搬入予定時刻t3(i)を予測する。第1および第2基板生産装置41、42の搬入予定時刻t3(1)、t3(2)は、現在時刻tnowの9時10分00秒と予測される。第3基板生産装置43の搬入予定時刻t3(3)は、第2基板生産装置42で生産工程を施す分だけ遅れる。このため、搬入予定時刻t3(3)は、現在時刻tnowの9時10分00秒に第2基板生産装置42の生産時間Tp(2)の50秒を加算して、9時10分50秒と予測される。以下、第4基板生産装置44の搬入予定時刻t3(4)は9時11分40秒、第5基板生産装置45の搬入予定時刻t3(5)は9時12分30秒、第6基板生産装置46の搬入予定時刻t3(6)は9時13分20秒とそれぞれ予測される。
また、予定時刻予測部23は、第1〜第6基板生産装置41〜46の各搬出予定時刻t4(i)を予測する。現在時刻tnowにおいて、下流側装置である第3〜第7基板生産装置43〜47に基板が無い。したがって、第2〜第6基板生産装置42〜46の搬出予定時刻t4(2)〜t4(6)は、現在時刻tnowの9時10分00秒と予測される。第1基板生産装置41の搬出予定時刻t4(1)は、第2基板生産装置42の生産時間Tp(2)の分だけ現在時刻tnowから遅れるので、9時10分50秒と予測される。
次に、基板生産管理装置2の予定時刻通知部24は、搬入予定時刻t3(i)および搬出予定時刻t4(i)を当該の第1〜第6基板生産装置41〜46にそれぞれ通知する。図5の第1〜第6基板生産装置41〜46の下側に、それぞれ通知された搬入予定時刻t3(1)〜t3(6)、および搬出予定時刻t4(1)〜t4(6)が示されている。
一方、第1基板生産装置41において、待ち時間予測部62は、自装置内に基板が無いので、搬入待ち時間T5(1)を求める。搬入待ち時間T5(1)は搬入予定時刻t3(1)から現在時刻tnowを減算して求められ、0秒となる。したがって、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。第2基板生産装置42において、待ち時間予測部62は、自装置内に工程作業の終了していない基板が有るので、搬入待ち時間T5(2)や搬出待ち時間T6(2)を求める必要はない。そして、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。
第3基板生産装置43において、待ち時間予測部62は、自装置内に基板が無いので、搬入待ち時間T5(3)を求める。搬入待ち時間T5(3)は搬入予定時刻t3(3)から現在時刻tnowを減算して求められ、50秒となる。したがって、省エネモード切り替え部64は、第2省エネモードを選択する。第4基板生産装置44において、待ち時間予測部62は、自装置内に基板が無いので、搬入待ち時間T5(4)を求める。搬入待ち時間T5(4)は搬入予定時刻t4(3)から現在時刻tnowを減算して求められ、1分40秒となる。したがって、省エネモード切り替え部64は、第1省エネモードを選択する。さらに、第5および第6基板生産装置45、46において、搬入待ち時間T5(5)、T5(6)は1分40秒よりも大きくなる。したがって、それぞれの省エネモード切り替え部64は、第1省エネモードを選択する。
上記したように、基板の搬入待ち時間T5(i)の長短に応じて、第1〜第6基板生産装置41〜46は、適正に稼動モード、第2省エネモード、および第1省エネモードを選択できる。したがって、総合的に大きな省エネ効果が得られる。また、搬入待ち時間T5(i)が準備時間Ts3まで減少する以前に、または減少するのと同時に、第2省エネモードから稼動モードに移行される。したがって、実際に基板が搬入されるまでにタイムリーに準備作業が終了してスムーズに工程作業に進むことができ、良好な工程作業品質が得られる。
(5.第1実施形態の基板生産ライン1の全体動作の第2事例)
次に、第1実施形態の基板生産ライン1の全体動作について、第2事例により説明する。以降の説明を簡明化するために、次のような第2事例を考える。第1〜第8基板生産装置41〜48の生産時間Tp(i)は全て25秒、第1省エネ移行時間Ts1は全て60秒、第2省エネ移行時間Ts2は全て30秒とする。
図6は、第2事例で、基板生産ライン1の第1基板生産装置41に最初の基板K1が搬入された直後の状況を示した図である。この事例では、第1基板生産装置41において、自装置内に工程作業の終了していない基板が有るので、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。また、第2基板生産装置42において、待ち時間予測部62は、搬入待ち時間T5(2)=25秒と予測する。したがって、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。
さらに、第3基板生産装置43において、待ち時間予測部62は、搬入待ち時間T5(3)=50秒と予測する。したがって、省エネモード切り替え部64は、第2省エネモードを選択する。第4基板生産装置44において、待ち時間予測部62は、搬入待ち時間T5(4)=1分15秒と予測する。したがって、省エネモード切り替え部64は、第1省エネモードを選択する。第5〜第8基板生産装置45〜48において、搬入待ち時間T5(5)〜T5(8)は1分15秒より大きくなるので、それぞれの省エネモード切り替え部64は、第1省エネモードを選択する。
図7は、第2事例で、基板生産ライン1の第3基板生産装置43に最後の基板K2が搬入された直後の状況を示した図である。このとき、第4〜第8基板生産装置44〜48にも、同時に順送りに基板が搬入されている。この事例において、第1および第2基板生産装置41、42は、生産実績数が生産予定数に達する最後の基板Kを搬出し終えている。このため、基板生産管理装置2の生産終了通知部25は、セットされた終了フラグF(1)、F(2)を第1および第2基板生産装置41、42に通知する。また、生産終了通知部25は、クリアされた終了フラグF(3)〜F(8)を第3〜第8基板生産装置43〜48に通知する。
第1および第2基板生産装置41、42において、省エネモード切り替え部64は、セットされた終了フラグF(1)、F(2)に基づいて、第1省エネモードを選択する。第3〜第8基板生産装置43〜48において、自装置内に工程作業の終了していない基板が有るので、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。
図8は、第2事例で、基板生産ライン1の第7基板生産装置47に中止まりの基板K3が搬入され、同時に第2および第1基板生産装置42、41に基板K4、K5が搬入された直後の状況を示した図である。このとき、第3〜第6、および第8基板生産装置43〜46、48の装置内に、基板は無い。中止まりの基板K3とは、前後の第6および第8基板生産装置46、48の装置内に基板が無い状況を意味する。
この事例では、第1および第2基板生産装置41、42において、自装置内に工程作業の終了していない基板が有るので、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。第3基板生産装置43において、待ち時間予測部62は、搬入待ち時間T5(3)=25秒と予測する。したがって、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。さらに、第4基板生産装置44において、待ち時間予測部62は、搬入待ち時間T5(4)=50秒と予測する。したがって、省エネモード切り替え部64は、第2省エネモードを選択する。
第5基板生産装置45において、待ち時間予測部62は、搬入待ち時間T5(5)=1分15秒と予測する。したがって、省エネモード切り替え部64は、第1省エネモードを選択する。第6基板生産装置46において、待ち時間予測部62は、搬入待ち時間T5(6)=1分40秒と予測する。したがって、省エネモード切り替え部64は、第1省エネモードを選択する。第7基板生産装置47において、自装置内に工程作業の終了していない基板が有るので、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。第8基板生産装置48において、待ち時間予測部62は、搬入待ち時間T5(8)=25秒と予測する。したがって、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。
図9は、第2事例で、基板生産ライン1の第4基板生産装置44(電子部品装着装置)に部品切れが発生して基板K7に装着工程作業を施せず、搬送渋滞が発生した状況を示した図である。この状況下で、第5〜第7基板生産装置45〜47は、工程作業を終了した基板K6を既に第8基板生産装置48まで搬出している。この事例では、第1〜第3基板生産装置41〜43において、自装置内の基板の工程作業が終了している。
基板生産管理装置2の予定時刻予測部23は、第1〜第5基板生産装置41〜45の搬入予定時刻t3(1)〜t3(5)を現在時刻tnowと予測する。その理由は、直ちに第4基板生産装置44に部品補給が行われて短時間で工程作業が終了して、基板が搬送される可能性があるからである。このため、第1〜第5基板生産装置41〜45において、待ち時間予測部62は、搬入待ち時間T5(5)=0秒と予測する。したがって、それぞれの省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。
また、第6基板生産装置46において、待ち時間予測部62は、搬入待ち時間T5(6)=25秒と予測する。したがって、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。第7基板生産装置47において、待ち時間予測部62は、搬入待ち時間T5(7)=50秒と予測する。したがって、省エネモード切り替え部64は、第2省エネモードを選択する。第8基板生産装置48において、自装置内に工程作業の終了していない基板が有るので、省エネモード切り替え部64は、稼動モードを選択する。
次に、図9の状況で、第4基板生産装置44の部品補給に要する部品補給時間が、例えば3分と設定されている場合を想定する。部品補給時間は、所定値として予め設定しておくことが可能であり、あるいは、部品切れが発生した都度オペレータが個別に設定することもできる。この場合、基板生産管理装置2の予定時刻予測部23は、第4基板生産装置44の搬入予定時刻t3(4)および搬出予定時刻t4(4)を、部品補給時間が経過した3分後と予測できる。さらに、予定時刻予測部23は、第1〜第3基板生産装置41〜43の搬出予定時刻t4(1)〜t4(3)を3分後と予測でき、第5〜第8基板生産装置45〜48の搬入定時刻t3(5)〜t3(8)を3分後以降と予測できる。
これにより、第1〜第4基板生産装置41〜44における搬出待ち時間T6(1)〜T6(4)および第4〜第8基板生産装置44〜48における搬入待ち時間T5(4)〜T5(8)は、3分以上となる。したがって、各々の省エネモード切り替え部64は、第1省エネモードを選択できる。そして、時間の経過とともに、搬出待ち時間T6(1)〜T6(4)および搬入待ち時間T5(4)〜T5(8)が減少する。したがって、各々の省エネモード切り替え部64は、第1省エネモードから第2省エネモードへの移行、および第2省エネモードから稼動モードへの移行を適宜行える。
ここで、第4基板生産装置44における部品補給は、設定された部品補給時間内にちょうど完了するとは限らない。部品補給時間が経過するよりも早く部品補給が完了した場合に、直後の処理サイクルで、予定時刻予測部23は、搬入予定時刻t3(i)および搬出予定時刻t4(i)を早めるように修正する。また、部品補給時間が経過しても部品補給が完了しない場合に、以降の処理サイクルで、予定時刻予測部23は、搬入予定時刻t3(i)および搬出予定時刻t4(i)をサイクル時間間隔ずつ遅延させるように修正する。これらの修正に伴い、予定時刻通知部24は、修正された搬入予定時刻t3(i)および搬出予定時刻t4(i)を第1〜第8基板生産装置41〜48にそれぞれ通知する。
これにより、通知を受けた第1〜第8基板生産装置41〜48の省エネモード切り替え部64は、第1省エネモードから第2省エネモードへの移行のタイミング、および第2省エネモードから稼動モードへの移行のタイミングを適宜修正できる。
第2事例で説明したように、基板の搬送状況に関する搬入待ち時間T5(i)および搬出待ち時間T6(i)を把握することにより、第1〜第8基板生産装置41〜48において、効果的に第1省エネモードおよび第2省エネモードを選択できる。
(6.第1実施形態の基板生産ライン1の態様および効果)
実施形態の基板生産管理装置2は、相互に並んで配置され、かつそれぞれが基板を搬入し所定の工程作業を施して搬出する複数の第1〜第8基板生産装置41〜48とともに基板生産ライン1を構成し、さらに第1〜第8基板生産装置41〜48を管理する基板生産管理装置2であって、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々が1枚の基板に工程作業を施すときに要する生産時間Tp(i)を取得する生産時間取得部21と、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々の装置内に基板が有るか否かを確認する基板有無確認部22と、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々の生産時間生産時間Tp(i)および基板の有無に基づいて、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々に基板が搬入可能になると予定される搬入予定時刻t3(i)に関する情報、および、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々から基板が搬出可能になると予定される搬出予定時刻t4(i)に関する情報のうち少なくとも一方の情報を予測する予定時刻予測部23と、第1〜第8基板生産装置41〜48の各々の少なくとも一方の情報を、それぞれの第1〜第8基板生産装置41〜48に通知する予定時刻通知部24と、を備えた。
これによれば、第1〜第8基板生産装置41〜48の生産時間Tp(i)および装置内の基板の有無に基づいて、基板の搬入予定時刻t3(i)および搬出予定時t4(i)の少なくとも一方に関する情報を予測し、それぞれの第1〜第8基板生産装置41〜48に通知する。これにより、第1〜第8基板生産装置41〜48の稼動状況の変更時期が示唆される。具体的には、第1〜第8基板生産装置41〜48の稼動モードと省エネモードとの切り替え時期、および、工程作業に先立つ準備作業の開始時期の少なくとも一方が示唆される。したがって、基板生産管理装置2は、第1〜第8基板生産装置41〜48における適正な省エネモードの選択およびタイムリーな準備作業の実施の少なくとも一方に寄与できる。換言すると、基板生産管理装置2は、大きな省エネ効果および良好な工程作業品質の少なくとも一方に寄与できる。
また、実施形態の基板生産装置41〜48は、実施形態の基板生産管理装置2とともに基板生産ライン1を構成し、さらに基板を搬入し工程作業を施して搬出する基板生産装置であって、基板生産管理装置2の予定時刻通知部24から搬入予定時刻t3および搬出予定時刻t4の少なくとも一方に関する情報を取得する予定時刻取得部61と、少なくとも一方の情報、および自装置内に基板が有るか否かを確認した基板有無情報に基づいて稼動状況を変更する稼動状況変更部63と、を備えた。
これによれば、取得した搬入予定時刻t3および搬出予定時刻t4の少なくとも一方に関する情報に基づいて、稼動状況を変更することができる。具体的に、基板生産装置41〜48は、個々の特性や稼動状況などを考慮して自律分散的に、稼動モードと省エネモードとの切り替え時期、および、工程作業に先立つ準備作業の開始時期の少なくとも一方を決定する。これによれば、基板生産装置41〜48は、省エネモードを適正に選択でき、あるいは、タイムリーに準備作業を実施してスムーズに工程作業に進むことができる。したがって、大きな省エネ効果および良好な工程作業品質の少なくとも一方が実現される。
さらに、稼動状況変更部63は、稼動状況の変更として、通常の稼動モードと、自装置内の一部の電気負荷を停止した省エネモードとを切り替える。これによれば、大きな省エネ効果が実現される。
さらに、稼動状況変更部63は、稼動状況の変更として、省エネ効果量の異なる複数種類の省エネモードを切り替える。これによれば、複数種類の省エネモードを併用することによって、より一層大きな省エネ効果が実現される。
さらに、複数種類の省エネモードは、省エネ効果量が相対的に大きな第1省エネモードと、省エネ効果量が相対的に小さな第2省エネモードとを含み、自装置内に工程作業の終了した基板が有る場合に、搬出予定時刻t4に関する情報に基づいて基板の搬出を待つ搬出待ち時間T6を予測し、自装置内に基板が無い場合に、搬入予定時刻t3に関する情報に基づいて基板の搬入を待つ搬入待ち時間T5を予測する待ち時間予測部62をさらに備え、稼動状況変更部63(省エネモード切り替え部64)は、自装置内に前記工程作業の終了していない基板が有る場合に前記稼動モードを選択し、搬入待ち時間T5または搬出待ち時間T6が相対的に長い第1省エネ移行時間Ts1を超えているときに第1省エネモードを選択し、搬入待ち時間T5または搬出待ち時間T6が第1省エネ移行時間Ts1以下であって相対的に短い第2省エネ移行時間Ts2を超えているときに第2省エネモードを選択し、搬入待ち時間T5または搬出待ち時間T6が第2省エネ移行時間Ts2以下のときに稼動モードを選択する。
これによれば、基板の搬送状況に関する搬入待ち時間T5または搬出待ち時間T6を把握しつつ複数種類の省エネモードを併用することによって、より一層大きな省エネ効果が実現される。
また、自装置内に前記基板が無い場合に、搬入予定時刻t3に関する情報に基づいて基板の搬入を待つ搬入待ち時間T5を予測する待ち時間予測部62をさらに備え、稼動状況変更部63(準備作業開始部65)は、搬入待ち時間T5が所定の準備時間Ts3まで減少すると、稼動状況の変更として、工程作業に先立つ準備作業を開始する。これによれば、実際に基板が搬入されるまでにタイムリーに準備作業が終了するので、良好な工程作業品質が確保される。
さらに、稼動状況変更部63(省エネモード切り替え部64)は、稼動状況の変更として、通常の稼動モードと、準備作業を行う電気負荷を含む自装置内の一部の電気負荷を停止した省エネモードとを切り替え、かつ、省エネモード中に搬入待ち時間が準備時間まで減少すると、稼動モードに移行する。つまり、準備時間Ts3と第2省エネ移行時間Ts2とを等しく設定することで、第2省エネモードから稼動モードへの切り替えと、準備作業の開始とを同時にできる。
これによれば、実際に基板が搬入されるまでにタイムリーに準備作業が終了するので良好な工程作業品質が確保されるとともに、省エネモードの時間帯が長く確保されて大きな省エネ効果が実現される。
さらに、第1実施形態の基板生産ライン1は、基板生産管理装置2と、基板生産装置41〜48の複数とを含んで構成された。これによれば、ラインを構成する複数の基板生産装置41〜48のそれぞれで、大きな省エネ効果および良好な工程作業品質の少なくとも一方が実現される。
さらに、第1実施形態の基板生産ライン1において、基板生産管理装置2は、基板の種類ごとの生産予定数Ntを把握して基板の生産実績数Np(i)を管理するとともに、生産実績数Np(i)が生産予定数Ntに達する最後の基板を搬出した基板生産装置に生産終了指令(セットされた終了フラグ(i))を通知する生産終了通知部25をさらに備え、基板生産装置41〜48の稼動状況変更部63は、生産終了指令を取得したときに、稼動状況の変更として、通常の稼動モードから自装置内の一部の電気負荷を停止した省エネモード(第1省エネモード)に移行する。
これによれば、或る種類の基板の生産を終了してから次に生産する基板の種類に対応して段取り替え作業が終了するまでの長い間、基板生産装置41〜48が省エネモードに維持されて、大きな省エネ効果が実現される。
(7.第2実施形態の基板生産ライン1A)
次に、第2実施形態の基板生産ライン1Aについて、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第2実施形態においても、基板生産ライン1Aは、1台の基板生産管理装置2A、および8台の第1〜第8基板生産装置41〜48で構成されている。図10は、第2実施形態の基板生産ライン1Aの機能構成を示した機能ブロック図である。第2実施形態において、基板生産管理装置2Aは、堰き止め通知部26をさらに備える。一方、第1〜第8基板生産装置41〜48の稼動状況変更部63Aは、堰き止め実行部66をさらに含む。第2実施形態では、第1実施形態に基板堰き止め機能が追加されている。基板堰き止め機能は、基板搬送の流れがまばらになったときに、搬送する基板を堰き止めて、省エネモードへの移行を推進する機能である。
図11は、第2実施形態における基板生産管理装置2Aの処理フローを示した図である。第2実施形態では、図3に示される第1実施形態の処理フローのステップS10の前に、ステップS21〜ステップS24が追加される。ステップS21で、基板生産管理装置2Aの堰き止め通知部26は、装置内に基板が有る基板生産装置を対象とし、搬入予定時刻t3(i)から現在時刻tnowを減算して、搬入待ち時間T5(i)をそれぞれ求める。さらに、堰き止め通知部26は、装置内に基板が有り、かつ搬入待ち時間T5(i)が所定の堰き止め化時間Ts4を超えている基板生産装置の有無を判定する。堰き止め化時間Ts4は、例えば、第1省エネ移行時間Ts1に等しく設定され、これに限定されない。該当する基板生産装置が無い場合、堰き止め通知部26は、基板堰き止め機能を用いず、処理フローの実行をステップS10に進める。
該当する基板生産装置が有る場合のステップS22〜ステップS24で、堰き止め通知部26は、基板堰き止め機能を用いる。具体的に、ステップS22で、堰き止め通知部26は、当該の基板生産装置の搬出予定時刻t4(i)を、搬入予定時刻t3(i)まで遅らせる修正予測を実行する。これは、当該の基板生産装置で工程作業が終了しても基板の搬出を規制して、工程作業が終了した基板の搬出と、次の基板の搬入とを同時に行わせることを意味する。
次のステップS23で、堰き止め通知部26は、当該の基板生産装置よりも下流側の基板生産装置について、搬入予定時刻t3(i)を修正予測する。例えば、当該の基板生産装置の下流側の直近の基板生産装置の搬入予定時刻t3(i)は、当該の基板生産装置の搬出予定時刻t4(i)に等しいと修正予測される。この予測に基づいて、下流側の2番目以降の基板生産装置の搬入予定時刻t3(i)も、順番に修正予測される。次のステップS24で、堰き止め通知部26は、当該の基板生産装置に堰き止め指令を通知し、その後、処理フローの実行をステップS10に進める。
一方、図12は、第2実施形態における基板生産装置の処理フローを示した図である。第2実施形態では、図4に示される第1実施形態の処理フローのステップS33の前に、ステップS51およびステップS52が追加される。ステップS51で、基板生産装置の堰き止め実行部66は、堰き止め指令を取得したか否か判定する。取得していない場合、堰き止め実行部66は、基板堰き止め機能を用いず、処理フローの実行をステップS33に進める。取得している場合のステップS52で、堰き止め実行部66は、工程作業が終了した基板の搬出を搬入予定時刻t3(i)まで規制する基板堰き止め機能を用い、その後、処理フローの実行をステップS33に進める。
次に、第2実施形態の基板生産ライン1Aの基板堰き止め機能による動作について、事例により説明する。以降の説明を簡明化するために、次のような事例を考える。第1〜第8基板生産装置41〜48の生産時間Tp(i)は全て25秒、第1省エネ移行時間Ts1は全て60秒、第2省エネ移行時間Ts2は全て30秒とする。堰き止め化時間Ts4は、60秒に設定されている。現在時刻tnowは、9時20分00秒とする。
図13は、基板堰き止め機能の開始時の状況を例示した図である。図14は、基板堰き止め機能が作用している状況を例示した図である。図15は、基板堰き止め機能の終了時の状況を例示した図である。図13に示されるように、この事例で、現在時刻tnowの9時20分00秒に、基板生産ライン1Aの第6基板生産装置46に中止まりの基板K11が搬入され、同時に第2および第1基板生産装置42、41に基板K12、K13が搬入されている。このとき、第3〜第5、第7、および第8基板生産装置43〜45、47、48の装置内に、基板は無い。
基板生産管理装置2Aの予定時刻予測部23は、第1〜第8基板生産装置41〜48の各搬入予定時刻t3(i)を予測する。第1基板生産装置41の搬入予定時刻t3(1)は、現在時刻tnowの9時20分00秒と予測される。第2基板生産装置42の搬入予定時刻t3(2)は、第1基板生産装置41で生産工程を施す分だけ遅れる。このため、第2基板生産装置42の搬入予定時刻t3(2)は、現在時刻tnowに第1基板生産装置41の生産時間Tp(1)=25秒を加算して、9時20分25秒と予測される。同様に、第3基板生産装置42の搬入予定時刻t3(3)も、9時20分25秒と予測される。
第4基板生産装置44の搬入予定時刻t3(4)は、第2および第3基板生産装置4142で生産工程を施す分だけ遅れるので、9時20分50秒と予測される。以下、第5基板生産装置45の搬入予定時刻t3(5)は9時21分15秒、第6基板生産装置46の搬入予定時刻t3(6)は9時21分40秒とそれぞれ予測される。また、第7基板生産装置47の搬入予定時刻t3(7)は、第6基板生産装置41で生産工程を施す分だけ遅れる。このため、第7基板生産装置47の搬入予定時刻t3(7)は、一旦9時20分25秒と予測される。さらに、第8基板生産装置48の搬入予定時刻t3(8)は、一旦9時20分50秒と予測される。
また、予定時刻予測部23は、第1〜第8基板生産装置41〜48の各搬出予定時刻t4(i)を予測する。例えば、現在時刻tnowにおいて、下流側装置である第7基板生産装置47に基板が無いので、第6基板生産装置46の搬出予定時刻t4(6)は、現在時刻tnowの9時20分00秒と予測される。
次に、堰き止め通知部26は、装置内に基板が有る第1、第2、および第6基板生産装置41、42、46を対象として、搬入予定時刻t3(i)から現在時刻tnowを減算して、搬入待ち時間T5(i)をそれぞれ求める。第1基板生産装置41の搬入待ち時間T5(1)は0秒、第2基板生産装置42の搬入待ち時間T5(2)は25秒、第6基板生産装置46の搬入待ち時間T5(6)は1分40秒となる。したがって、堰き止め通知部26は、装置内に基板が有り、かつ搬入待ち時間T5(6)が堰き止め化時間Ts4(=60秒)を超えているという条件に該当する第6基板生産装置46を、基板堰き止め機能の対象とする。
次に、堰き止め通知部26は、第6基板生産装置46の搬出予定時刻t4(6)を、搬入予定時刻t3(6)まで遅らせる修正予測を実行する。これにより、搬出予定時刻t4(6)は、9時20分00秒から9時21分40秒に修正される。次に、堰き止め通知部26は、第7および第8基板生産装置47、48について、搬入予定時刻t3(7)、t3(8)を修正予測する。第7基板生産装置47の搬入予定時刻t3(7)は、第6基板生産装置46の搬出予定時刻t4(6)に一致した9時21分40秒に修正される。第8基板生産装置48の搬入予定時刻t3(8)は、9時22分05秒に修正される。
次に、堰き止め通知部26は、第6基板生産装置46に堰き止め指令を通知する。次に、予定時刻通知部24は、搬入予定時刻t3(i)および搬出予定時刻t4(i)を当該の第1〜第8基板生産装置41〜48にそれぞれ通知する。図13の第1〜第8基板生産装置41〜48の上側に、それぞれ通知された搬入予定時刻t3(1)〜t3(8)が示されている。
ここで、第1〜第5基板生産装置41〜45は、基板堰き止め機能の影響を受けない。このため、第1〜第5基板生産装置41〜45は、第1実施形態の場合と同じタイミングで基板に工程作業を施して搬送し、同じタイミングで省エネモードを選択する。一方、第6〜第8基板生産装置46〜48は、基板堰き止め機能の影響を受ける。このため、第6〜第8基板生産装置46〜48では、第1実施形態と比較して基板の搬送タイミングが遅れるともに、省エネモードの選択が変化する。
具体的に、第6基板生産装置46において、基板K11に施す工程作業が9時20分25秒に終了する。現在時刻tnowが9時20分25秒になったとき、第1実施形態では、搬出待ち時間T6(6)が0秒、すなわち基板の搬出が可能となっており、稼動モードが選択される。一方、第2実施形態では、搬出待ち時間T6(6)は、修正された搬出予定時刻t4(6)の9時21分40秒から現在時刻tnowの9時20分25秒を減算して求められ、1分15秒となる。このため、第1省エネモードが選択される。
また、第7基板生産装置47において、第1実施形態では、搬入待ち時間t5(7)は、搬入予定時刻t3(7)の9時20分25秒から現在時刻tnowを減算して求められる。したがって、稼動モードが選択される。一方、第2実施形態では、搬入待ち時間t5(7)は、修正された搬入予定時刻t3(7)の9時21分40秒から現在時刻tnowを減算して求められる。したがって、9時20分40秒まで第1省エネモードが選択され、9時21分10秒まで第2省エネモードが選択され、以降稼動モードが選択される。
また、第8基板生産装置48において、第1実施形態では、搬入待ち時間t5(8)は、搬入予定時刻t3(8)の9時20分50秒から現在時刻tnowを減算して求められる。したがって、9時20分20秒まで第2省エネモードが選択され、以降稼動モードが選択される。一方、第2実施形態では、搬入待ち時間t5(8)は、修正された搬入予定時刻t3(8)の9時22分05秒から現在時刻tnowを減算して求められる。したがって、9時21分05秒まで第1省エネモードが選択され、9時21分35秒まで第2省エネモードが選択され、以降稼動モードが選択される。
上記したように、第2実施形態では、基板堰き止め機能の対象となった第6基板生産装置46、ならびに、これよりも下流側の第7および第8基板生産装置47、48で、第1実施形態よりも省エネモードが推進される。
一方、第2および第1基板生産装置42、41でも、基板K12、K13に施す工程作業が9時20分25秒に終了する。その後、基板K12、K13、K14は、順送りに第3〜第1基板生産装置43〜41に搬送される。これにより、図14に例示された現在時刻tnowが9時20分40秒の状況となる。基板堰き止め機能が作用している間、第6基板生産装置46では、工程作業の終了した基板K11を搬出せずに堰き止める。一方、上流側の第5〜第1基板生産装置45〜41では、順次工程作業を実施して、基板を搬送する。図14の第1〜第8基板生産装置41〜48の上側に、9時20分40秒の時点で通知された搬入予定時刻t3(1)〜t3(8)が示されている。
基板堰き止め機能を開始してから1分40秒が経過し、現在時刻が9時21分40秒になると、図15に示された状況となる。経過した1分40秒の間に、工程作業の4サイクルが実施される。これにより、第5〜第1基板生産装置45〜41の各々の装置内に、工程作業の終了した基板K12〜K16が有る状態となる。つまり、第6基板生産装置46を含めて、6枚の基板K11〜K16が纏められた状態となる。このため、6台の第6〜第1基板生産装置46〜41で、次の瞬間に一斉に基板K11〜K16を搬出および搬入できるようになる。
なお、纏められたうちの最後の基板K16、およびその後に生産される基板の生産終了時期は、基板堰き止め機能を用いない場合と変わらない。つまり、基板堰き止め機能を用いても、量産する基板の生産終了時期は遅れず、生産ロスにならない。
第2実施形態の基板生産ライン1Aにおいて、基板生産管理装置2Aは、基板生産装置の各々の搬入予定時刻に関する情報に基づいて、基板の搬入を待つ搬入待ち時間T5(i)をそれぞれ求め、装置内に基板が有る一の基板生産装置(第6基板生産装置46)で搬入待ち時間T5(6)が所定の堰き止め化時間Ts4を超えているときに、一の基板生産装置に堰き止め指令を通知する堰き止め通知部26をさらに備え、一の基板生産装置の稼動状況変更部(堰き止め実行部66)は、堰き止め指令を取得したときに、稼動状況の変更として、基板K11の搬出を規制する。
これにより、基板搬送の流れがまばらになったときに、一の基板生産装置で基板を堰き止め、上流側の基板の間隔を詰めて纏めることができる。したがって、基板が纏められる間、一の基板生産装置よりも下流側の基板生産装置は、基板が搬入されず、省エネモードへの移行が推進される。
さらに、一の基板生産装置(第6基板生産装置46)の稼動状況変更部(堰き止め実行部66)は、基板K11の搬出を搬入予定時刻t3(6)まで規制する。これによれば、一の基板生産装置よりも上流側の全部の基板生産装置の装置内に基板が有る状態まで、長時間にわたっての堰き止めが可能になる。したがって、一の基板生産装置よりも下流側の基板生産装置は、省エネモードへの移行が最大限に推進される。加えて、複数の基板生産装置で基板の搬出および搬入を同時に行うオーバーラップ搬送が可能になり、搬送効率が向上する。
(8.実施形態の応用および変形)
なお、第1実施形態の基板生産ライン1で説明した省エネモードや準備作業に関する各種設定は、適宜変形できる。また、第2実施形態の基板生産ライン1Aで説明した基板堰き止め機能は、同時に複数の基板生産装置を対象とすることもできる。本発明は、他にも様々な応用や変形が可能である。