JP6611223B2 - 微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム、該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法 - Google Patents

微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム、該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6611223B2
JP6611223B2 JP2015051415A JP2015051415A JP6611223B2 JP 6611223 B2 JP6611223 B2 JP 6611223B2 JP 2015051415 A JP2015051415 A JP 2015051415A JP 2015051415 A JP2015051415 A JP 2015051415A JP 6611223 B2 JP6611223 B2 JP 6611223B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
capture
chip
fine particles
wall
pillar
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015051415A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016168025A (ja
Inventor
史人 新井
泰輔 益田
元儀 宋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagoya University NUC
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Original Assignee
Nagoya University NUC
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagoya University NUC, Tokai National Higher Education and Research System NUC filed Critical Nagoya University NUC
Priority to JP2015051415A priority Critical patent/JP6611223B2/ja
Priority to PCT/JP2016/057854 priority patent/WO2016148085A1/ja
Publication of JP2016168025A publication Critical patent/JP2016168025A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6611223B2 publication Critical patent/JP6611223B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N35/00Automatic analysis not limited to methods or materials provided for in any single one of groups G01N1/00 - G01N33/00; Handling materials therefor
    • G01N35/08Automatic analysis not limited to methods or materials provided for in any single one of groups G01N1/00 - G01N33/00; Handling materials therefor using a stream of discrete samples flowing along a tube system, e.g. flow injection analysis
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N1/00Sampling; Preparing specimens for investigation
    • G01N1/02Devices for withdrawing samples
    • G01N1/04Devices for withdrawing samples in the solid state, e.g. by cutting
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N1/00Sampling; Preparing specimens for investigation
    • G01N1/28Preparing specimens for investigation including physical details of (bio-)chemical methods covered elsewhere, e.g. G01N33/50, C12Q
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N37/00Details not covered by any other group of this subclass

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Description

本発明は、液体中に混在するサイズの異なる微粒子を分離するための微粒子分離用チップ(以下、単に「チップ」と記載することがある。)、該チップを用いた微粒子分離用システム該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法に関するもので、特に、血液中の循環腫瘍細胞(Circulating tumor cell、以下「CTC」と略記することもある。)を選択的に捕捉するためのCTC分離用チップ、該チップを用いたCTC分離用システム及びCTC分離方法に関する。
CTCはがん患者の末梢血流を循環する腫瘍細胞と定義され、原発腫瘍又は転移腫瘍から血管中へ浸潤した腫瘍細胞である。このCTCの検出は、転移性悪性腫瘍の早期発見の方法の一つとして近年注目されている。その理由は、X線写真や血清中の腫瘍マーカー検出よりも低侵襲かつ正確に転移性悪性腫瘍の診断を行え、患者の予後予測や治療効果の指標として利用できる点にある。
CTCは非常に稀少な細胞であり、転移性がん患者の血液に含まれる108〜109個の血液細胞の内、わずか1細胞程度しか存在しないことが知られている。そのため、末梢血から稀少なCTCを正確に検出するための技術開発に多大な努力が注がれている。これまでに開発されてきた主要な検出方法には、免疫組織化学法、PCR法、フローサイトメトリー法などがある。しかしながら、前述したようにCTCは非常に稀少な細胞であるため、血液をそのままこれらの検出方法に供することは出来ないので、通常は前処理として、CTCの濃縮操作が必須であり、検出法に則したレベルまでCTC存在比を濃縮させる必要がある。
CTCの濃縮方法として開発されてきた様々な手法の中で、最も広く利用されているのは、細胞表面の特異的抗原を標的とした腫瘍細胞の濃縮である。その多くは、上皮細胞接着分子(Epithelial cell adhesion molecule:EpCAM)に対するモノクローナル抗体を固定化した磁気微粒子を血液と混合した後、磁石を用いて腫瘍細胞を濃縮する方法をとっている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、EpCAMの発現量は腫瘍のタイプに依存し大きく変動することが知られている。
その他の濃縮方法としては、細胞のサイズなどの形態を基準として濃縮する手法がある。白血球に比べてサイズが大きな上皮性腫瘍細胞をフィルトレーションによって選別する方法は、ISET法(Isolation by Size of Epithelial Tumor cells)と呼ばれている。ISETは、孔径8μmのポリカーボネートメンブレンフィルターを用いて血液をフィルトレーションするという簡便な手法であり、安価かつユーザーフレンドリーな手法である。ここで用いられているポリカーボネートメンブレンフィルターは、重イオンを照射した後、エッチングを行うトラックエッチングという手法によって、孔が形成されている。しかし、孔が比較的低密度であり、二つ又はそれ以上の孔が重なりあったりする問題があるため、CTCの捕捉に利用した場合、その捕捉効率は50〜60%とされており、濃縮法が簡便かつ効率も良い手法は未だ開発されていない。
CTCの検出を効率的かつ正確なものにするためには、濃縮と検出といった技術を首尾一貫して行うことが必要である。多段階のハンドリング操作、例えば細胞の染色、洗浄、分離、分注などの操作はCTCのロスを引き起こすため、可能な限りこれらの操作を避け、一体の検出装置中で分析が一貫して行える形が好ましい。Cellsearch(VeridexTM,Warren,PA)はCTC検出装置として唯一FDAの認可を受けた装置である。この装置では、全血に対し抗EpCAM抗体固定化磁気微粒子によるCTCの濃縮を行い、腫瘍細胞に対して免疫染色を行った後、自動化蛍光顕微鏡を用いて腫瘍細胞の計数が行われる(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、当該装置を用いる場合、一般的に大型の装置導入と訓練されたオペレーターの確保が必要であり、ベッドサイドで短時間且つ正確に検査をすることは困難である。
一方で、CTC検出のための小型のマイクロ流体デバイスも知られている。例えば、Tonerらが開発したCTC検出用マイクロ流体デバイスはCTC−chipと呼ばれ、フォトリソグラフィーによって形成されたシリコン製の流路内に、円筒状構造物(マイクロポスト)が78000個構成されている。このマイクロポストには、抗EpCAM抗体がコーティングされており、本流路に血液を送液すると、血液中のCTCがマイクロポスト上に捕捉される。捕捉されたCTCに対して、上皮細胞マーカー(cytokeratin)をターゲットとした蛍光免疫染色を行い、蛍光顕微鏡を用いて腫瘍細胞の計数が行われる。本装置は、手のひらに乗る小型デバイスでありながら、5mL以上の血液をそのまま分析に供することができるという大きな利点を持っている。実際に転移性がん患者血液からCTC検出を行っており、回収したCTCからチロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性を生む変異を検出することが出来る。しかしながら、CellsearchやCTC−chipを用いたCTC検出は、転移性がん患者血液などの実サンプルを用いた実験が精力的に行われ実績を挙げているが、これらの手法は抗EpCAM抗体でCTCを濃縮するという原理になっている。そのため、EpCAM陰性又は弱陽性の腫瘍細胞は検出できないという問題点が挙げられる。
その他の方法としては、腫瘍細胞のサイズと形態を指標として、CTCを検出するマイクロ流体デバイスが開発されている。これらのデバイスでは、その流路構造内にメンブレンマイクロフィルター、三日月型の細胞捕捉ウェル(非特許文献3参照)、4段階の細さの流路(非特許文献4参照)を配して、血液中の血球細胞と腫瘍細胞をサイズによって選別し、腫瘍細胞を選択的に濃縮している。また、その流路を利用して、濃縮後の細胞に対して溶解などの操作を連続的に行うことが出来る。これらのデバイスを用いたモデル腫瘍細胞の回収効率の評価実験においては、80%以上のCTC回収効率を得ている。しかしながら、この評価はあくまでモデル細胞を用いた実験で行われており、実際にCTC検出時に必要となる細胞の染色操作や洗浄操作といった要素技術項目については検討されていない。さらに、がん患者血液などの実サンプルを用いた実験は行われておらず、実際にCTC検出に利用できるかどうかは明らかにされていない。
更に、抗EpCAM抗体を使用しない小型のデバイスとしては、マイクロ流路内にマイクロキャビティアレイ(微細貫通孔)を設け、CTCを捕捉することができるマイクロ流体デバイスが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、前記マイクロ流体デバイスは、微細貫通孔にCTCを捕捉するタイプであるので、CTCの目詰まりによる作業効率の低下、更には分離したCTCの回収が困難であるという問題がある。
上記問題点を解決するため、本発明者らは、(1)主流路、及び該主流路の幅より大きな捕捉部位が形成された微粒子分離用マイクロ流路チップ、又は(2)主流路、該主流路から分岐し再び主流路に接続する分岐流路、及び該分岐流路に分岐流路の幅より大きな捕捉部位が形成されている微粒子分離用マイクロ流路チップ、を用いて気液界面のメニスカスで生じる力を利用して微粒子を沈降させ、目的とする微粒子のみを捕捉部位で捕捉することができることを見出し、特許出願を行っている(特許文献2参照)。
また、本発明者らは、(1)捕捉部位を含む主流路が基板の中心から放射状に形成されている微粒子分離用マイクロ流路チップを回転手段上に載置し、(2)前記微粒子分離用マイクロ流路チップの表面に、シース液注入口、サンプル注入口、シース液移流集積用平面部及びサンプル移流集積用平面部を少なくとも含む移流集積ユニットを配置し、(3)前記回転手段を回転させながらシース液及びサンプル液を注入することで、サンプルを前記微粒子分離用マイクロ流路チップに連続的に供給することができ、目的とする微粒子を効率よく捕捉・分離できることを新たに見出し、特許出願を行っている(特許文献3参照)。
特開2011−163830号公報 国際公開第2014/061631号 特開2014−226065号公報
Allard WJ, Matera J, Miller MC, Repollet M, Connelly MC, Rao C, Tibbe AG, Uhr JW, Terstappen LW. 2004. Tumor cells circulate in the peripheral blood of all major carcinomas but not in healthy subjects or patients with nonmalignant diseases. Clin Cancer Res 10(20):6897−904. Riethdorf S, Fritsche H, Muller V, Rau T, Schindlbeck C, Rack B, Janni W, Coith C, Beck K, Janicke F and others. 2007. Detection of circulating tumor cells in peripheral blood of patients with metastatic breast cancer: a validation study of the CellSearch system. Clin Cancer Res 13(3):920−8. Tan SJ, Yobas L, Lee GY, Ong CN, Lim CT. 2009. Microdevice for the isolation and enumeration of cancer cells from blood. Biomed Microdevices 11(4):883−92. Mohamed H, Murray M, Turner JN, Caggana M. 2009. Isolation of tumor cells using size and deformation. J Chromatogr A 1216(47):8289−95.
しかしながら、上記特許文献2及び3、並びに非特許文献3に記載された発明は、基板上に形成された捕捉部位に捕捉される捕捉対象微粒子の位置はばらばらである。そのため、捕捉した捕捉対象微粒子を顕微鏡等で確認・回収するためには、チップ又は顕微鏡等を少なくともX−Yの2軸方向に移動させながらチップ上をスキャンする必要があり、検出に時間を要するという問題がある。
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされた発明であり、鋭意研究を行ったところ、
基板上に壁流路部とピラーを設け、隣り合う2つの壁流路部でマイクロ流路を形成し、
(1)マイクロ流路の端部から離れた位置に少なくとも2本のピラーで第1捕捉部位を形成し、且つ、該第1捕捉部位を結んだ線が直線状又は円形状となるように第1捕捉部位を配置したチップを作製、又は
(2)隣り合う2個の壁流路部の間又は壁流路部から離れた位置に、捕捉ピラーを直線状又は円形状となるように配置したチップを作製、
することで、チップ上に捕捉された捕捉対象微粒子を一軸直動方向の操作のみで検出・回収することができ、その結果、サンプル分離・回収のスループットを向上できることを新たに見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の目的は、微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム、該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法を提供することである。
本発明は、以下に示す、微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム、該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法に関する。
(1)基板、該基板上に形成された少なくとも3個以上の壁流路部及び少なくとも3本以上のピラーを含み、
前記壁流路部は、一端が前記基板上に設けられ他端が上方に開放し、隣り合う2つの壁流路部でマイクロ流路を形成し、
前記ピラーは、一端が前記基板上に設けられ他端が上方に開放するように形成され、2本のピラーで捕捉対象微粒子を捕捉するための第1捕捉部位を形成し、
捕捉対象微粒子の大きさをX、除去される微粒子の大きさをYとした場合、前記壁流路部の壁面と壁面の間隔はX以上であり、
前記第1捕捉部位は、前記マイクロ流路から離れた位置に形成され、第1捕捉部位を形成する任意の隣り合うピラー同士の間隔Z1はY<Z1<X、0.8Y≦Z1≦0.8X、Y<Z1≦0.8X、又は0.8Y≦Z1<Xから選択される1種であり、隣り合う第1捕捉部位は少なくとも1本のピラーを共有し、更に第1捕捉部位を結んだ線が直線となるように形成されている微粒子分離用チップ。
(2)上記(1)に記載の第1捕捉部位において、2本のピラーに代え、3本以上のピラーで第1捕捉部位を形成し、任意の隣り合うピラーの組み合わせの内、間隔が最も長いピラーの組み合わせが前記マイクロ流路方向に面するように配置され、他の隣り合うピラー同士の間隔は前記Z1と同じである上記(1)に記載の微粒子分離用チップ。
(3)前記第1捕捉部位に隣接して第2捕捉部位が形成され、
前記第2捕捉部位は3本以上のピラーで形成され、任意の隣り合うピラー同士の間隔は前記Z1と同じで、且つ前記第2捕捉部位を形成する3本以上のピラーは、第2捕捉部位に捕捉された捕捉対象微粒子が任意の隣り合うピラーの間から流出しない位置関係に配置され、更に、第1捕捉部位と第2捕捉部位は、少なくとも1本のピラーを共有している上記(1)又は(2)に記載の微粒子分離用チップ。
(4)前記基板が円形で、前記壁流路部が円周に向かって放射状に形成され、前記第1捕捉部位を結んだ線も円形となるように形成されている上記(1)〜(3)の何れか一に記載の微粒子分離用チップ。
(5)基板、該基板上に形成された少なくとも3個以上の壁流路部及び少なくとも2本以上の捕捉ピラーを含み、
前記壁流路部は、一端が前記基板上に設けられ他端が上方に開放し、隣り合う2つの壁流路部でマイクロ流路を形成し、
前記捕捉ピラーは、一端が前記基板上に設けられ、他端が上方に開放するように形成され、
捕捉対象微粒子の大きさをX、除去される微粒子の大きさをYとした場合、前記壁流路部の壁面と壁面の間隔はX以上であり、
前記壁面と壁面との間に少なくとも前記捕捉ピラーが形成され、該捕捉ピラーと前記壁面の間隔をZ2とした場合、前記壁面に対する前記捕捉ピラーの位置及び大きさはY<Z2<X、0.8Y≦Z2≦0.8X、Y<Z2≦0.8X、又は0.8Y≦Z2<Xから選択される1種となるように形成され、更に、各捕捉ピラーを結んだ線が直線となるように形成されている微粒子分離用チップ。
(6)前記捕捉ピラーが、前記壁面と壁面との間に代え、前記壁流路部の端部から離れた位置であって、且つ前記端部との間隔が前記Z2となるように形成されている上記(5)に記載の微粒子分離用チップ。
(7)前記捕捉ピラーを共有しながら更に第1捕捉部位が形成されている上記(6)に記載の微粒子分離用チップ。
(8)前記基板が円形で、前記壁流路部が円周に向かって放射状に形成され、前記捕捉ピラーを結んだ線も円形となるように形成されている上記(5)〜(7)の何れか一に記載の微粒子分離用チップ。
(9)前記捕捉対象微粒子がCTCで、除去される微粒子が血球細胞である上記(1)〜(8)の何れか一に記載の微粒子分離用チップ。
(10)上記(1)〜(3)、(5)〜(7)の何れか一に記載されている微粒子分離用チップ、
チップ1を載置するチップ台、
チップ1に捕捉された捕捉対象微粒子を検出するための検出手段、
前記チップ台又は前記検出手段を一軸直動方向に移動するための駆動手段、
を少なくとも含む微粒子分離用システム。
(11)上記(4)又は(8)に記載の微粒子分離用チップ、
チップ1を載置して回転させる回転手段、
チップ1に捕捉された捕捉対象微粒子を検出するための検出手段、
を少なくとも含む微粒子分離用システム。
(12)検出手段で検出した捕捉対象微粒子を抽出する微粒子抽出手段を更に含む上記(10)又は(11)に記載の微粒子分離用システム。
(13)上記(1)〜(3)、(5)〜(7)の何れか一に記載の微粒子分離用チップの壁流路部部分で希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液にメニスカスを発生させ、発生したメニスカスにより希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液を2つの壁流路部で形成したマイクロ流路内に押し込む工程、
チップ1の壁流路部とは反対側から吸引手段及び/又は吸引装置により希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液を吸引することで、サンプル中の捕捉対象微粒子は前記微粒子分離用チップに設けられた第1捕捉部位又は捕捉ピラーと壁流路部の間で捕捉され、除去される微粒子は微粒子分離用チップから除去される工程、
を含む微粒子分離方法。
(14)上記(13)に記載の微粒子分離方法により捕捉対象微粒子を分離後に、
微粒子分離用チップを載置するチップ台を一軸直動方向に移動、又は捕捉対象微粒子を検出する検出手段を一軸直動方向に移動することで、前記第1捕捉部位又は捕捉ピラーと壁流路部の間で捕捉された捕捉対象微粒子を検出する工程、
検出した捕捉対象微粒子を微粒子抽出手段で抽出する工程、
を含む微粒子抽出方法。
(15)上記(4)又は(8)に記載の微粒子分離用チップの壁流路部部分で希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液にメニスカスを発生させ、発生したメニスカスにより希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液を2つの壁流路部で形成したマイクロ流路内に押し込む工程、
吸引手段及び/又は吸引装置により希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液を吸引することで、捕捉対象微粒子は前記微粒子分離用チップに設けられた第1捕捉部位又は捕捉ピラーと壁流路部の間で捕捉され、除去される微粒子は微粒子分離用チップから除去される工程、
を含む微粒子分離方法。
(16)上記(15)に記載の微粒子分離方法により捕捉対象微粒子を分離後に、
微粒子分離用チップを回転することで、前記第1捕捉部位又は捕捉ピラーと壁流路部の間で捕捉された捕捉対象微粒子を検出する工程、
検出した捕捉対象微粒子を微粒子抽出手段で抽出する工程、
を含む微粒子抽出方法。
本発明のチップを用いると、サンプル中の捕捉対象微粒子を直線状又は円形状に捕捉することができる。
そのため、捕捉対象微粒子を直線状に補足した場合は、サンプルの分離後にチップ又は顕微鏡等を一軸直動方向に移動するのみで、捕捉された捕捉対象微粒子を検出・回収することができる。また、捕捉対象微粒子を円形状に捕捉する場合も、サンプル分離後にチップを一軸回転させるのみで、捕捉された捕捉対象微粒子を検出・回収することができる。したがって、サンプルの分離・回収のスループットを向上することができる。
更に、本発明のチップを用いるとサンプルの分離・回収に要するチップ1又は検出手段の移動機構は直動軸又は回転軸のみでよいことから、微粒子分離用システムを小型化、低価格化することができる。
また、捕捉対象微粒子が直線状に捕捉されるチップを用いた場合、捕捉対象微粒子が捕捉されている直線の位置が同じとなるようにチップを複数枚並べる又は連続的に供給することで、チップに捕捉された捕捉対象微粒子の連続的な検出・回収が可能である。したがって、サンプル量の関係で複数枚にチップを用いる必要がある場合でも、連続的な分離・回収が可能である。
図1は、本発明のチップ1の第1の実施形態の一例を示している。 図2(1)は図1のA−A’断面図で、図2(2)は図1のB−B’断面図である。 図3は、本発明のチップ1の第1の実施形態の壁流路部3と第1捕捉部位の大きさ及び位置関係を示す図で、図3(1)は2本のピラー4で1つの第1捕捉部位6を形成する例、図3(2)は3本のピラー4で1つの第1捕捉部位を形成する例、図3(3)は5本のピラー4で1つの第1捕捉部位を形成する例を示している。 図4(1)及び(2)は、第2捕捉部位7の配置の具体例を示す図である。 図5は、図1に示す第1捕捉部位6と第2捕捉部位7の組み合わせの他の実施形態の例を示す図である。 図6は本発明のチップ1の第2の実施形態を示しており、図6(1)は壁流路部3と壁流路部3の間に捕捉ピラー4が形成されている例、図6(2)はピラー4を複数設ける例、図6(3)は壁流路部3の端部から離れた位置に捕捉ピラー4が形成されている例、図6(4)は図6(3)の捕捉ピラー4を共有する例を示している。 図7は、円形状のチップ1の例を示している。 図8は、本発明のチップの作製手順の一例を示したフローチャートである。 図9、本発明の微粒子分離用システムのチップ1が4角形の場合の、チップ1の周辺部分の概略を示している。 図10は、メニスカスの発生原理を説明している。 図11は、本発明の微粒子分離用システムの他の実施形態の概略及び微粒子分離方法を示す図である。 図12は図11のA−A′断面図で、図12(1)〜(4)はメニスカスの発生原理を説明する図である。 図13は、ピラー4を形成していない平面部に当接する場合の吸引ユニット35の実施形態の一例を示しており、図13(1)は吸引ユニット35の概略を示す上面図で、図13(2)は吸引ユニット35のB−B′断面図を示している。 図14は、微粒子分離用システム100の全体像を示す概略図である。 図15は、円形状のチップ1を用いた微粒子分離用システム110概略図である。 図16は、図面代用写真で、移流集積ユニットの概略を示している。 図17は、図面代用写真で、移流集積ユニットを斜め上から拡大撮影した写真である。 図18は、図面代用写真で、実施例1で作製したチップの外観を示している。 図19は、実施例1で作製したチップ1の壁流路部3の端部と第1捕捉部位6付近の拡大写真である。 図20は、比較例1で作製したチップ1の第2捕捉部位の拡大写真である。 図21は、図面代用写真で、実施例2で作製した微粒子分離システムの写真である。 図22は、図面代用写真で、実施例2で血液サンプルを流し終えた後、蛍光実態(正立)顕微鏡で撮影したチップ1の写真である。 図23は、図面代用写真で、比較例2で血液サンプルを流し終えた後、蛍光実態(正立)顕微鏡で撮影したチップ1の写真である。
以下に、本発明の微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム、該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法について詳しく説明する。なお、明細書中、同じ符号が付された部材は、同じものを意味する。
図1は、本発明のチップ1の第1の実施形態の一例を示している。図1に示すチップ1は、基板2上に形成された少なくとも3個以上の壁流路部3及び少なくとも3本以上のピラー4を含んでいる。なお、本発明において、「ピラー」とは、基板2上に形成された柱を意味し、「壁流路部」とは、基板2上に形成された板状の壁を意味する。また、「微粒子」とは、液体に分散できる粒子であって、粒子の形態は単独又は凝集状態のものを意味する。微粒子の大きさは、メニスカスの原理が適用できる範囲であれば特に制限はなく、約1mm以下の大きさであればよい。また、本発明において、微粒子の「大きさ」とは、微粒子を任意の方向から2枚の平行な平面で挟んだ際に、平面の間隔が最短となる長さを意味する。例えば、微粒子が球状の場合は直径を意味する。
壁流路部3は、2つの隣り合う壁流路部3でマイクロ流路5を形成している。また、3本のピラー4で第1捕捉部位6を形成し、更に、第1捕捉部位6に隣接し第1捕捉部位のピラーを共有して第2捕捉部位7を形成している。マイクロ流路5から流れてきた捕捉対象微粒子8は、第1捕捉部位6で捕捉される。なお、捕捉対象微粒子8が生体細胞等の形状が変化し易い場合は、流体力により変形して第1捕捉部位6のピラー4の間をすり抜けてしまう可能性がある。第2捕捉部位7を形成することは必須ではないが、捕捉対象微粒子8が生体細胞等の形状が変化し易い場合は、必要に応じて、第1捕捉部位6に隣接して第2捕捉部位7を形成してもよい。
図2(1)は、図1のA−A’断面図で、ピラー4の一端は基板2上に設けられ、他端は上方に開放しており、捕捉対象微粒子8は、ピラー4とピラー4の間で捕捉される。図2(2)は、図1のB−B’断面図で、壁流路部3もピラー4と同様に、一端は基板2上に設けられ、他端は上方に開放している。
図3は、本発明のチップ1の第1の実施形態の壁流路部3と第1捕捉部位6の大きさ及び位置関係を示す図である。図3(1)は、2本のピラー4で1つの第1捕捉部位6を形成する例を示している。先ず、壁流路部3について、本発明のチップ1を用いて捕捉される捕捉対象微粒子8の大きさをX、除去される微粒子9の大きさをYとした場合、隣り合う壁流路部3同士の壁面と壁面の間隔L(マイクロ流路5の幅)はX以上であればよい。間隔Lの上限は特に制限は無いが、間隔が長すぎると、一つのチップ1に形成できるマイクロ流路5の数が少なくなりスループットが低下すること、また移流の際に用いる毛管力が低下することから、間隔Lは2X以下が好ましく、1.5X以下がより好ましく、1.1X以下が更に好ましい。壁流路部3の厚さも特に制限は無いが、製造の容易性の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。また、壁流路部3の厚さが厚すぎるとサンプルを流す面積が少なくなりスループットが低下することから、50μm以下が好ましく、30μmがより好ましく、20μm以下が特に好ましい。壁流路部3の長さ(マイクロ流路の長さ)は、10〜20mm程度が好ましい。10mm以下であるとカバー板31を配置する十分なスペースが確保できなくなり、20mm以上であると全体のチップのサイズが大きくなる。また、壁流路部3の高さは、取り扱いの容易性から後述するピラー4の高さと同じにすればよい。
図3(1)に示す第1捕捉部位6は2本のピラーで形成されており、隣り合うピラー4の間隔Z1は、除去される微粒子9は通過するが、捕捉対象微粒子8を捕捉できればよいので、Y<Z1<Xとなるように形成されている。なお、本発明において、「間隔」とは、隣り合うピラー4の外周と外周との最短距離を意味する。基板2上に形成されているピラー4の間隔Z1は、Y<Z1<Xの関係を満たせば、全て同じであっても、第1捕捉部位毎に変化していてもよい。
捕捉対象微粒子8が、生体細胞等の形状が変化し易い場合、流体力により変形して第1捕捉部位6のピラー4の間をすり抜けてしまう可能性がある。また、除去される微粒子9も同様に変化し易い場合、ピラー4の間隔が除去される微粒子9の間隔より狭くても、第1捕捉部位6内に入った除去される微粒子9を第1捕捉部位6から排出することができる、したがって、任意の隣り合うピラー4の間隔Z1は、捕捉対象微粒子8及び/又は除去される微粒子9の形状の変化割合に応じて適宜選択すればよく、例えば、0.8Y≦Z1≦0.8X、Y<Z1≦0.8X、又は0.8Y≦Z1<X等、適宜調整すればよい。
ピラー4の断面形状は特に制限は無く、円、多角形等から適宜選択すればよい。ピラー4は、基板2上に貼り付けてもよいが、後述するように、先ず鋳型を作製し、当該鋳型を基板2用の材料に転写することで、効率的にチップ1を作製することができる。転写により作製する場合、加工の容易性等の理由により、ピラー3の断面長(断面が円形の場合は直径、多角形の場合は任意の外周を結んだ線の中で最も長い線の長さ)は、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。ピラー4の断面長の上限は特に制限は無く、捕捉対象微粒子8及び除去される微粒子9の大きさにより決められる間隔Z1、第1捕捉部位6を形成するピラー4の本数等を考慮し、適宜決定すればよい。
第1捕捉部位6は、前記マイクロ流路5(壁流路部3の端部)から離れた位置に形成されている。壁流路部3の端部と第1捕捉部位6のピラー4との距離Mの長さは特に制限は無いが、距離Mが短いと第1捕捉部位6で捕捉された捕捉対象微粒子8への流体力が大きくなる。一方、距離Mが長くなると、捕捉された捕捉対象微粒子8への流体力が小さくなり、隣り合うピラー4からすり抜ける捕捉対象微粒子8の割合が少なくなるが、マイクロ流路5から流れ出たサンプル液の流れに乱れが生じやすくなる。具体的な距離Mは、サンプル液の流速、捕捉対象微粒子8の種類、隣り合うピラー4同士の間隔Z1等を考慮して適宜設定すればよいが、6〜10μmが好ましく、6〜7μmがより好ましい。
図3(2)は3本のピラー4で1つの第1捕捉部位6を形成する例を示しており、図3(3)は5本のピラー4で1つの第1捕捉部位を形成する例を示している。3本以上のピラーで第1捕捉部位6を形成する場合は、何れの場合も、任意の隣り合うピラーの組み合わせの内、最も長い間隔(Z3)のピラー4の組み合わせ(以下、間隔がZ3の組み合わせのピラー4を「Z3ピラー」と記載することがある。)が、マイクロ流路5の方向に面する(Z3ピラーを結んだ線がマイクロ流路5の流れ方向と略直交する)ように配置されていればよい。Z3は、Yより大きければ、Xより小さくても大きくてもよい。図3(2)に示すように第1捕捉部位6が3本のピラー4で形成され、Z3がXより大きい場合、捕捉対象微粒子8はZ3ピラーの間を通って第1捕捉部位6で捕捉される。なお、Z3がXより小さい場合、捕捉対象微粒子8はZ3ピラーの間で捕捉され、仮にZ3ピラーの間をすり抜けても、他のピラー4の間隔はZ3より短いことから、第1捕捉部位6で捕捉することができる。また、Z3がXより大きい場合は、捕捉対象微粒子8はZ3ピラーの間を通って、第1捕捉部位6で捕捉される。図3(3)に示すように第1捕捉部位6が5本のピラー4で形成されている場合も図3(2)と同様に、Z3がXより大きい場合は、捕捉対象微粒子8はZ3ピラーの間を通って第1捕捉部位6で捕捉され、Z3がXより小さい場合、捕捉対象微粒子8はZ3ピラーの間で捕捉される。Z3ピラー以外の他の隣り合うピラー同士の間隔は、Z1と同様であればよい。
隣り合う第1捕捉部位6は、少なくとも1本以上のピラー4を共有して連続的に配置されていることが好ましく、特に距離Mが0.8X以上の場合は、特に第1捕捉部位6を連続して設けることが好ましい。一本のマイクロ流路5に複数の捕捉対象微粒子8が流れてきた場合、図3(2)に示すようにマイクロ流路5の前方の第1捕捉部位6に既に捕捉対象微粒子8が捕捉されている場合がある。第1捕捉部位6を連続的に配置することで、捕捉対象微粒子8は、流体力により他の第1捕捉部位6に流れて捕捉することができる。
また、第1捕捉部位で捕捉された捕捉対象微粒子8を1軸の操作で検出・回収するためには、第1捕捉部位を結んだ線が直線となるように第1捕捉部位6が配置されていることが望ましい。なお、本発明において、「第1捕捉部位を結んだ線が直線になる」とは、第1捕捉部位で捕捉された捕捉対象微粒子8が直線状になるような第1捕捉部位の配置を意味する。例えば、第1捕捉部位6が、図3(1)に示すように2本のピラー4、又は図3(2)に示すように3本以上のピラー4で形成され且つZ3がXより短い場合は、夫々の第1捕捉部位6の2本のピラー4又は少なくともZ3ピラーを結んだ線(図3(1)及び(2)中の点線)が直線になればよい。図3(3)に示すように、第1捕捉部位6が3本以上のピラー4で形成され且つZ3がXより長い場合は、第1捕捉部位のピラー4の内、少なくとも捕捉対象微粒子8に当接する最も下流側(マイクロ流路5の端部と反対側)のピラー4を結んだ線(図3(3)中の点線)が直線となればよい。捕捉対象微粒子8に対する流体力を同じにし、捕捉対象微粒子8を直線状に補足するためには、第1捕捉部位6は連続した同じ形状にすることが望ましい。
基板2上のピラー4の高さは、捕捉した捕捉対象微粒子8がサンプル液の流体力により流れ出さない高さであればよく、捕捉対象微粒子8の大きさの0.5倍より大きいことが好ましく、1倍以上がより好ましい。一方、高さの上限は特には無いが、サンプル液を流した後、第1捕捉部位6で捕捉された捕捉対象微粒子8をキャピラリー等で吸引・回収する場合、ピラー4が高すぎると、第1捕捉部位で捕捉された捕捉対象微粒子8をキャピラリーで回収し難くなる。そのため、ピラー4の高さは、捕捉対象微粒子8の大きさの10倍以下が好ましく、2倍以下がより好ましい。
第2捕捉部位7は、少なくとも3本以上のピラー4で形成されている。第2捕捉部位7は、第1捕捉部位6をすり抜けた捕捉対象微粒子8を捕捉する為に配置されることから、第1捕捉部位6を形成するピラー4の少なくとも1本を共有して第1捕捉部位6に隣接配置することが望ましい。第2捕捉部位7を構成するピラー4の形状及び高さは第1捕捉部位6のピラー4と同じでよく、また、任意のピラー4の間隔はZ1と同様でよい。なお、第1捕捉部位6は、図3(1)に示すように、捕捉対象微粒子8を堰き止めるように捕捉する形態も含まれるが、第2捕捉部位7では、捕捉対象微粒子8をピラー4の中に閉じ込めるように捕捉する必要がある。そのため、第2捕捉部位7を形成するピラー4については、任意のピラー4の組み合わせの間隔がZ1であることに加え、捕捉対象微粒子8が入る大きさで且つ流れ出さない配置にする必要がある。
図4は第2捕捉部位7の配置の具体例を示している。図4(1)及び(2)は3本のピラー4で形成している例を示しており、捕捉対象微粒子8を任意の方向から2枚の平行な平面で挟んだ際に、平面の間隔が最短となる線(図4(1)の捕捉対象微粒子8の点線)を含むように捕捉対象微粒子8を切断して平面にした場合、当該最短となる線を境界に、両側に少なくとも1本のピラー4が配置されるようにすればよい。第2捕捉部位7は、上記Z1の関係及び捕捉された捕捉対象微粒子8が任意の隣り合うピラー4の間から流出しない位置関係を満たせば形状に限定は無く、4角、5角形、6角形、7角形、8角形、9角形、10角形等の多角形が挙げられる。前記の多角形は、正多角形であってもよいし、正多角形でなくてもよい。
第1捕捉部位6をすり抜けた捕捉対象微粒子8が、更に第2捕捉部位7をすり抜ける可能性は少ないので、第2捕捉部位7は第1捕捉部位6の下流側に、1〜3列程度配置すればよい。第2捕捉部位7を2列以上設ける場合は、ピラー4を共有しながら隣接して配置することが好ましい。なお、捕捉対象微粒子8の捕捉との観点からは、第2捕捉部位7は上記の1〜3列程度で十分である。しかしながら、チップ1の表面は親水性であるので注入したサンプル液は自然と流れ出すが、基板2にピラーが形成されていない部分が長くなると、後述する吸引手段及び/又は吸引装置にサンプル液を到達させるための毛管力が不足するので好ましくない。また、サンプル液の先端が吸引手段及び/又は吸引装置に到達して連続的にサンプル液を吸引する状態になった後でも、ピラー4が形成されていない部分は毛管力が発生し難くなり、その結果、上流側のマイクロ流路5を流れるサンプル液の流速に乱れが生じる可能性がある。したがって、基板2上には、第1捕捉部位6から、吸引手段及び/又は吸引装置を配置する位置付近までピラー4が形成されていることが好ましい。上記1〜3列の第2捕捉部位7より下流側のピラー4については、サンプル液の流れが一定になれば特に配置に特に制限は無い。所定間隔でピラー4を配置してもよいが、サンプル液がより均一に流れるようにするためには、第2捕捉部位と同形状とすることが望ましい。
図5は、図1に示す第1捕捉部位6と第2捕捉部位7の組み合わせの他の実施形態の例を示す図である。図5(1)に示すチップ1は、2本のピラー4で第1捕捉部位6を形成し、前記2本のピラー4を共有して6本のピラー4で第2捕捉部位7が形成され、更に第2捕捉部位7の2本のピラー4を共有して第2捕捉部位7が形成されている。図5(2)に示すチップ1は、5本のピラー4で第1捕捉部位6を形成し、前記第1捕捉部位6の1本のピラー4を共有して6本のピラー4で第2捕捉部位7が形成され、更に第2捕捉部位7の1本のピラー4を共有して第2捕捉部位7が形成されている。なお、図1及び図5に示す第1捕捉部位6と第2捕捉部位7の組み合わせは単なる例示に過ぎず、他の組み合わせであってもよい。
図6は、本発明のチップ1の第2の実施形態を示している。第2の実施形態のチップ1は、第1捕捉部位6に代え、2個の壁流路部3の壁面と壁面の間又は2個の壁流路部3の端部とピラー4との間隔を調整することで、捕捉対象微粒子8を捕捉している。なお、本発明において、壁流路部3と壁流路部3の間又は壁流路部3と壁流路部3の先端に形成され、捕捉対象微粒子8に当接し且つ2個の壁流路部3と共同して捕捉対象微粒子8を捕捉する為のピラーのことを特に「捕捉ピラー」と記載することがある。第2の実施形態の壁流路部3の大きさ等については、第1の実施形態の壁流路部3と同じでよい。
図6(1)は第2の実施形態のチップ1の例を示しており、壁流路部3と壁流路部3の間に捕捉ピラー4が形成されている。捕捉ピラー4の外周とマイクロ流路5の壁面との最短となる距離をZ2とした場合、Z2がZ1と同じ範囲となるように、壁流路部3の壁面と壁面の間隔L及び捕捉ピラー4の大きさを調整すればよい。なお、捕捉ピラー4を設ける位置によっては、マイクロ流路5を構成する一方の壁面と捕捉ピラー4の間隔Z2と他方の壁面と捕捉ピラー4の間隔Z2が異なる場合があるが、何れもZ1と同じ範囲内であれば、Z2の値が異なっていてもよい。捕捉ピラー4を直線となるよう配置することで、捕捉対象微粒子8を直線状に補足することができる。なお、壁流路部3と壁流路部3の間に形成するピラーの数は一本の捕捉ピラー4に限定されず、例えば、図6(2)に示すように、ピラー4を複数設けてもよい。その場合、各壁面と該壁面に最も近いピラーの間隔がZ2となり、ピラー4間の間隔がZ1となるように配置すればよい。
図6(3)は第2の実施形態のチップ1の他の例を示している。図6(3)に示すチップ1は、壁流路部3と壁流路部3の間ではなく、壁流路部3の端部から離れた位置に捕捉ピラー4が形成されている。捕捉ピラー4と壁流路部3との最短となる距離は、前記Z2と同様にすればよい。図6(3)に示す実施形態は、一本の捕捉ピラー4で2つの壁流路部3との間隔を調整して捕捉対象微粒子8を捕捉する点で、第1の実施形態のチップ1と異なっている。なお、図6(3)に示す位置に捕捉ピラー4を形成した場合は、図6(4)に示すように、図6(3)の捕捉ピラー4を共有しながら、第1捕捉部位6を形成してもよい。図6(3)の隣り合う捕捉ピラー4の間隔Z4(以下、間隔Z4のピラーを「Z4ピラー」と記載することがある)がZ1の場合は、隣り合うZ4ピラーで第1捕捉部位6を形成することができる。また、ピラー4の間隔Z4がZ3の場合は、Z4ピラーの間、又は下流側に間隔がZ1となるように任意の数のピラー4を形成することで、Z4ピラーを共有しながら第1捕捉部位6を形成することができる。また、図示はしないが、第1の実施形態と同様に、第1捕捉部位6に隣接するように第2捕捉部位7を形成してもよい。
全血から、CTCを捕捉し、CTC以外の赤血球、白血球等の血球細胞を除去する場合、ピラー4の間隔Z1は、CTCの直径(15〜30μm)よりは小さく、赤血球、白血球等の血球細胞(約7μm)より大きくすればよい。なお、CTC及び血球細胞は、上記のとおり、形状が変化し易いので、ピラー4の間隔Z1は、6〜12μm程度であってもよい。また、腹腔洗浄液において血球細胞または中皮細胞(約7〜15μm)から胃がん細胞塊(25〜50μm)を分離する場合は、間隔Z1は、6〜24μm程度であってもよい。
なお、上記に示したチップ1は長方形の例を示しているが、壁流路部3及びピラー4の関係が上記のとおりであれば、チップ1自体の形状は長方形に限定されず、多角形でもよい。また、後述するように、チップ1を回転させて移流集積を発生する場合は、チップ1の形状を円形にしてもよい。図7は円形状のチップ1の例を示している。なお、図7に示すチップ1では、壁流路部3と第1捕捉部位6は一部省略されているが、壁流路部3と第1捕捉部位6はチップ1の全面に形成されている。チップ1を円形状にする場合、壁流路部3の厚みを円周方向に行くほど厚くすることでマイクロ流路5の間隔Lを一定にすればよい。捕捉部位に関しては、上記第1の実施形態と同様に第1捕捉部位6、必要に応じて第2捕捉部位7を形成してもよいし、上記第2の実施形態と同様に捕捉ピラー4を形成してもよい。なお、チップ1の大きさ及びマイクロ流路5の長さ及び間隔Lにもよるが、壁流路部3の厚みを一定にしても、チップ1の中心側と円周側のマイクロ流路5の間隔が大きくずれない場合は、円周側に向かってマイクロ流路5の間隔が広くなっていてもよい。また、チップ1の中央には回転手段への取り付けのための中心孔を設けてもよいし、チップ1の外周には、後述する吸引手段及び/又は吸引装置を配置するためのピラー4が無い平面部10を形成してもよい。なお、図7に示す例では、マイクロ流路5の円周側に第1捕捉部位6等が形成されているが、マイクロ流路5の中心側に第1捕捉部位6等を形成してもよい。
チップ1は、フォトリソグラフィー技術を用いて作製することができる。図8は作製手順の一例を示したフローチャートである。
1.先ず、鋳型用の基板11を超音波洗浄機により有機洗浄し、ベイクする。次いで、ネガティブフォトレジスト12を基板11上にスピンコートし、ホットプレート上でプリベイクする。
2.壁流路部3、第1の実施形態の場合は第1捕捉部位6と必要に応じて第2捕捉部位7、第2の実施形態の場合は捕捉ピラー4と必要に応じて第1捕捉部位及び第2捕捉部位7、の形状をしたフォトマスク13を用い露光する。
3.ホットプレート上でポストエクスポージャーベイクを行い、現像液を用い現像した後、超純水を用いリンスし、スピンドライヤー等で水分をとばし乾燥させることで、鋳型を作製する。なお、基板11上のネガティブフォトレジスト12で作製した凸部と凸部の間が、転写後に壁流路部3とピラー4となる部分である。
4.チップ1の基板2用の材料を、鋳型の上に流し込む。
5.鋳型のパターンが転写した基板2用の材料を鋳型から分離する。必要に応じて、基板2を硬質材料14に接着する。
6.基板2の表面を、必要に応じて親水化処理する。
有機洗浄は、アセトン、エタノール等、半導体製造分野で一般的に用いられている洗浄剤であれば特に制限はされない。また、鋳型用の基板11としては、フォトリソグラフィー技術分野で一般的に用いられている材料であれば特に限定はされず、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、サファイア、リン化ガリウム、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、窒化ガリウム等が挙げられる。
ネガティブフォトレジスト12も、フォトリソグラフィー技術分野で一般的に用いられている材料であれば特に制限は無く、例えば、SU−8、KMPR等が挙げられる。また、ネガティブフォトレジスト12に代え、ポジティブフォトレジストを用いることもでき、例えば、PMER、AZ等が挙げられる。また、レジストの除去液としては、ジメチルホルムアミドとアセトン等、半導体分野で一般的な除去液であれば特に制限はない。
また、本発明のチップ1の基板2の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、シリコーンゴム等の熱硬化性樹脂が挙げられる。なお、捕捉部位4で捕捉した分離対象微粒子5を回収せず、そのまま分析する場合は光透過性があり生体分子と非親和性の材料で基板2を作製することが望ましく、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、硬質ポリエチレン製等のプラスチック、シリコン等が挙げられる。
チップ1は、捕捉対象微粒子8を捕捉した後に、顕微鏡等で観察する場合があるため、基板2は薄くした方が好ましい。しかしながら、後述するように、チップ1を移動する場合、基板2が薄すぎるとチップ1を移動し難いこともある。したがって、チップ1は、硬質材料14を含んでいてもよい。硬質材料14としては、ガラス、プラスチップ、シリコン等が挙げられ、基板2を貼着すればよい。
チップ1の表面は親水化処理されることで、液体を注入した際、溝に気泡が入ることを防止できる。親水化処理方法としては、プラズマ処理、界面活性剤処理、PVP(ポリビニルピロリドン)処理、光触媒等が挙げられ、例えば、チップ1の表面を10〜30秒間プラズマ処理することで、表面に水酸基を導入することができる。なお、チップ1の材料がガラス等、親水性が高い材料の場合は、親水化処理をしなくても良い。
次に、チップ1を用いた微粒子分離用システム、該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法について詳しく説明する。
図9は、本発明の微粒子分離用システムのチップ1(以下、「チップ1」と記載した場合、特に断りのない限り第1の実施形態又は第2の実施形態の両方を意味する。)が4角形の場合の、チップ1の周辺部分の概略を示している。本実施形態の微粒子分離用システムは、チップ1、サンプル液用薄板21、シース液用薄板22、シース液を吸引する図示しない吸引手段及び/又は吸引装置を含んでいる。吸引手段及び/又は吸引装置は、シース液用薄板22を移動する方向と平行となるチップ1の外周辺27に当接して配置し、ピラー4の間からシース液を吸引できるようになっている。
サンプル液用薄板21、シース液用薄板22は、ガラス、プラスチック等、サンプルやシース液と反応しないものであれば特に制限はない。シース液としては、分離すべき微粒子に損傷等を与えないものであれば特に制限はなく、全血をサンプルとして用いる場合は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス緩衝液等各種緩衝液、疑似体液(SBF)、一般的な細胞培養液等、一般的に使用されているシース液であれば特に制限はない。サンプル液用薄板21及びシース液用薄板22を壁流路部3上に配置し、全血をチップ1とサンプル液用薄板21の間に注入し、シース液をチップ1とシース液用薄板22の間に注入し、チップ1とサンプル用薄板21及びシース液用薄板22を相対的に移動させることで、メニスカス25が発生する。
図10は、メニスカスの発生原理を説明する図で、本発明では、移流集積法と呼ばれる、気液界面に存在する微粒子間の毛管力(とくに横毛管力:lateral capillary forceと呼ばれる)を利用して、微粒子同士を細密充填構造に配列する手法を用いている。微粒子が溶液に分散した懸濁液のメニスカスを基板上に形成すると、メニスカスの先端において、図10に示すように微粒子が溶液から頭を出す箇所が形成される。この頭が出ている箇所では、界面張力及び重力により下に押し付けられる力が微粒子に発生しながらメニスカスと共に移動する。
上記のメニスカスの原理により、捕捉対象微粒子8であるCTCを含む全血が上方に開放したマイクロ流路5内に押し付けられ、また、シース液もマイクロ流路5内に押し付けられる。そして、吸引手段及び/又は吸引装置により吸引することで、CTC8がマイクロ流路5を流れ、第1捕捉部位6で捕捉される。一方、除去される微粒子9である血球細胞は、吸引手段及び/又は吸引装置の吸引力により吸引ユニット35を介してシース液と共にチップ1から排出される。
壁流路部3と、サンプル液用薄板21及びシース液用薄板22との間隔は、200〜1000μmとすることが好ましい。200μmより小さいとサンプル液の導入量が減少し処理能力が低下し、1000μmより大きいとメニスカス力が低下し十分な分離が得られない。なお、上記間隔は、マイクロステージで調整することができる。また、チップ1と、サンプル液用薄板21及びシース液用薄板22との相対移動速度は、20〜50μm/sが好ましい。20μm/sより遅いと、処理時間が長くなり処理能力が低下し、50μm/sより速いと微粒子が捕捉されずに分離効率が低減する。
シース液の流速は、20〜4500μm/sが好ましい。なお、シース液の流速は、ピラー4とピラー4の間隔、また、壁面とピラー4の間隔に応じて異なり、狭い場所ほど速くなる。本発明において「シース液の流速」とは、Z1の間隔のピラー4とピラー4の間、壁面とピラー4の間を流れる流速を意味する。シース液の流速が、20μm/sより遅いと血球細胞を洗浄する能力の低下により分離効率が低減し、4500μm/sより速いと一旦捕捉されたCTCが吸引され直線状に捕捉できなくなる。シース液の流速は、吸引手段及び/又は吸引装置の吸引力により調整すればよい。吸引装置は吸引ポンプ、マイクロシリンジ等、液体を吸引できるものであれば特に制限はない。なお、図9に示す例は、チップ1とシース液用薄板22との間にシース液を必要に応じて注入する形式であるが、シース液用薄板22の一端に、シース液容器又はシース液容器から伸長しているチューブ等を連結することで、シース液を自動的に供給できるようにしてもよい。
図11は、本発明の微粒子分離用システムの他の実施形態の概略及び微粒子分離方法を示す図で、チップ1とカバー板を相対移動させずサンプル液を吸引することでメニスカスを発生させる実施形態を示している。本実施形態の微粒子分離用システムは、チップ1、該チップ1の壁流路部3の上に配置し、サンプル液及びシース液を吸引することでメニスカスを発生させるためのカバー板31、図示しない吸引手段及び/又は吸引装置を少なくとも含んでいる。図11に示す実施形態では、チップ1の外周辺に、ピラー4と同じ高さの段差部71を形成し、長手方向に形成されサンプル液及びシース液を毛管力で吸引することができる横溝33と該横溝33に連通する吸引孔34を含む吸引ユニット35を介して、吸引手段及び/又は吸引装置によりサンプル液及びシース液を吸引する例を示している。段差部7を形成することで、吸引ユニット35の両端351及び352、並びに一方の側面353を段差部7と当接することができるので、空気等が入ることなく、もう一方の側面354側からサンプル液、シース液を吸引することができる。なお、サンプル液及びシース液は、チップ1の外周辺にピラー4を形成していない平面部を設け、平面部から吸引手段及び/又は吸引装置を用いて吸引できるようにしてもよい。
また、本実施形態では、吸引手段及び/又は吸引装置を用いてサンプル液を吸引することでサンプル液中に含まれる微粒子を分離することから、希釈したサンプル液(以下、希釈したサンプル液を「希釈サンプル液」と記載することがある。)を使用すればサンプル液自体がシース液の役割をするので、サンプル液を流した後にシース液を流すことは必須ではない。目的微粒子の高純度な分離の場合はシース液を流すことで残存している除去する微粒子を洗い流す等、分離の目的に応じてシース液を流すか否かの選択を行えばよい。
図12は、図11のA−A′断面図で、本実施形態におけるメニスカスの発生原理を説明する図である。図12(1)に示すように、壁流路部3とカバー板31の間に希釈サンプル液32、又はサンプル液及びシース液32(以下、希釈サンプル液、サンプル液及びシース液のことを「サンプル液等」と記載することがある。)を注入し、図示しない吸引手段及び/又は吸引装置で吸引すると、サンプル液等32は、マイクロ流路5及びピラー4の間をとおり吸引ユニット35から排出される。その際、壁流路部3及びカバー板31との間のサンプル液等32には、毛細管力が発生するため、図12(2)に示すようなメニスカスが発生する。
なお、図12(2)に示すサンプル液等32の移動方向は、壁流路部3に対してカバー板31を平行に配置した場合であり、例えば、図12(3)に示すように、吸引ユニット35側のカバー板31を壁流路部3に近付けるように傾斜して配置すると、サンプル液等32に係る圧力のため、サンプル液等32は吸引ユニット35側に移動する。逆に、図12(4)に示すように、吸引ユニット35とは反対側のカバー板31を壁流路部3に近付けるように傾斜して配置すると、サンプル液等32に係る圧力のため、サンプル液等32は吸引ユニット35とは反対側に移動する。図12(2)〜(4)の何れの実施形態でも本発明の実施をすることができるが、図12(3)に示す実施形態は、サンプル液等32が吸引ユニット35側に近付くことから、吸引手段及び/又は吸引装置の吸引力を小さくすることができるので好ましい。壁流路部3とカバー板31の間隔は、上記のサンプル液用薄板21と同様に、200〜1000μmの間が好ましく、この間隔の範囲内で、マイクロステージを用いて調整すればよい。カバー板31を傾斜する場合は、6°〜18°程度傾けることが好ましい。傾斜角度が6°より小さい場合は、サンプル液等32に係る圧力が不足し、18°より大きい場合は、微粒子の捕捉に有効なメニスカスの角度より大きくなり過ぎるので好ましくない。
カバー板31は、上記のサンプル液用薄板21と同様の材料で作製すればよい。また、カバー板31の大きさは特に制限は無いが、本実施形態では、カバー板31を移動することなくメニスカスを発生できることから、処理効率を向上させるためには、カバー板31の下端を第1捕捉部位6から1mm〜2mm程度離すことが好ましく、2mm〜3mm離すことがより好ましい。1mm以下であると第1捕捉部位6に捕捉された捕捉対象微粒子8を抽出するための微粒子抽出手段104を導入するスペースが狭すぎ、3mm以上であるとマイクロ流路5の空気中に露出される部分が広すぎることから分離処理の効率が落ちる。なお、捕捉ピラー4を形成したチップ1を本実施形態に用いる場合は、上記と同様の理由により、捕捉ピラー4は壁流路部3の端部に近い位置に形成することが好ましい。
なお、図11に示した実施形態は、チップ1が4角形の例であるが、チップ1が円形状の場合は、吸引ユニット35を円形のチップ1の外周に形成した平面部10に配置し、カバー板31も例えば円形状で壁流路部3を覆うような大きさに形成し、カバー板31の中央にサンプル液等32の注入孔を形成することで、チップ1の中央に注入したサンプル液等32を、チップ1の外周に吸い寄せるようにして移流集積を発生させてもよい。また、上記とは逆に、カバー板31を円形の外周部分を覆う略リング状とし、略リング状の中央に円形状の吸引ユニット35を配置し、チップ1の外周部分から注入したサンプル液等32を、チップ1の中心に吸い寄せるようにして移流集積を発生させてもよい。
サンプル液等32の吸引手段としては、例えば、布、コットン、スポンジ、セーム皮等の吸引パッドが挙げられ、チップ1のピラー4の上部又はピラー4を形成していない平面部に直接吸引パッドを当接してサンプル液等32を吸引・排出すればよい。サンプル液等32の吸引・排出は、吸引ユニット35を介して行ってもよい。
図13は、ピラー4を形成していない平面部に当接する場合の吸引ユニット35の実施形態の一例を示しており、図13(1)は吸引ユニット35の概略を示す上面図で、図13(2)は吸引ユニット35のB−B′断面図を示している。横溝33の幅は、少なくとも除去された微粒子を通過させる必要があることから、サンプルが全血の場合は少なくとも8μm以上、処理能力を上げるためには10μm以上とすることがより好ましい。一方、横溝33の幅は毛管力が発生すれば特に上限は無く、吸引するサンプル液等32の量や毛管力等を考慮して適宜調整すればよく、例えば、200μm程度の幅を設けてもよい。また、吸引するサンプル液等32が横溝33に吸引されるためには、吸引ユニット35を平面部に当接した際に隙間が生じる必要がある。そのため、例えば、吸引ユニット35の端部351及び352、並びに横溝33を挟む2つの側面353及び354の内、平面部71に当接した際にピラー4とは反対側の側面353の高さを同じにしておき、ピラー4側に配置する側面354のみ、端部351、端部352及び側面353より短くしておけばよい。側面353と354の差は、横溝33の幅と同様、8μm以上が好ましく、10μ以上がより好ましい。毛管力が発生すれば特に差の上限は無く、吸引するシース液量や毛管力等を考慮して適宜調整すればよく、例えば、200μm程度の差を設けてもよい。なお、図11に示すように、チップ1に段差部71を設ける場合は、側面353及び354の高さは同じにすればよい。また、横溝33に吸引したサンプル液等32を、ポンプ、マイクロシリンジ等の吸引装置を用い、吸引孔34を通して吸引・排出してもよい。排出するサンプル液等の量が多く、横溝33のみでは吸引できない場合は、吸引装置を組合せて用いればよい。吸引孔34の数は特に制限は無く、基板2上に形成したピラー4の間を流れるサンプル液等32の流速に大きな差異が発生しない程度の数を設ければよい。
また、横溝33の幅を大きくし、横溝33に上記の布、コットン、スポンジ、セーム皮等の吸引手段を挿入し、該吸引手段に吸収したサンプル液32を、吸引孔34をとおして吸引装置で吸引してもよい。本実施形態においては、マイクロ流路5及びピラー4間を流れるサンプル液等32の流速は、吸引手段及び/又は吸引装置の吸引力により調整する。そのため、単に吸引手段でサンプル液等32を吸引する、又は、毛管力により横溝33にサンプル液等32を吸引するより、吸引手段に吸引したサンプル液等32を更に吸引装置で吸引することで、サンプル液等32の吸引速度を安定に保つことができる。吸引装置と吸引孔34は、シリコン等のチューブを用いて連結すればよい。
吸引ユニット35を構成する材料は、アクリル、ナイロン、テフロン(登録商標)等の樹脂、又はガラス等、サンプル液やシース液と反応しないものであれば特に制限はない。吸引ユニット35は、ドリル及びエンドミル等の切削工具を用いた切削加工、又は吸引ユニット35の形状のモールドを作製し射出成形により作製することができる。
本実施形態の微粒子分離用システムは、先ず、壁流路部3とカバー板31の間にサンプル液を入れ、吸引手段及び/又は吸引装置によりサンプル液を吸引し、次に、必要に応じて、シース液を壁流路部3とカバー板31の間に入れ、シース液を吸引することで、例えば、血液サンプル中のCTCを第1捕捉部位等で捕捉し、他の血球細胞等はシース液と共に洗い流すことができる。壁流路部3とカバー板31の間へのサンプル液又はシース液は、シリンジ等を用いて注入してもよいし、カバー板31に孔を設け、該孔からサンプル液及びシース液を注入してもよい。また、サンプル液が血液等の粘度の高い場合は、2〜10倍、好ましくは3〜5倍程度に希釈した希釈サンプル液を用いてもよい。
サンプル液等32の流速は、20〜4500μm/sが好ましい。20μm/sより遅いと血球細胞を分離・洗浄する能力の低下により分離効率が低減し、4500μm/sより速いと一旦捕捉されたCTCが吸引され分離効率が低減する。サンプル液及びシース液の流速は、吸引手段及び/又は吸引装置の吸引力により調整すればよい。
図14は、微粒子分離用システム100の全体像を示す概略図である。本発明の微粒子分離用システム100は、チップ1を載置するチップ台101、捕捉対象微粒子8を検出する検出手段102、チップ台101を一軸直動方向(図13では⇔の方向)に移動するための駆動手段103、図示しないシース液吸引手段及び/又は吸引装置を少なくとも含んでおり、捕捉された捕捉対象微粒子8を取り出す場合は、微粒子抽出手段104を含んでいてもよい。更に、捕捉した微粒子が核酸を含む生体材料で、分離後にPCRを行う場合は図示しないPCR手段を含んでいてもよい。本発明の微粒子分離用システム100は、チップ1上に捕捉対象微粒子8がほぼ直線状に捕捉されるため、サンプル液等を流した後、駆動手段103を用いてチップ台101を一軸直動方向に移動するだけで、捕捉対象微粒子8の検出を行うことができる。なお、図13に示す実施形態では、チップ台101を移動可能としているが、チップ台101を固定し、検出手段102を一軸直動方向に移動可能としてもよい。
微粒子の検出手段102としては、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡等、捕捉した微粒子を検出できるものであれば特に制限は無い。例えば、捕捉された微粒子がCTCの場合、FITCやPEで標識された抗EpCAM抗体等のCTC特異的な抗体を用いて蛍光染色したCTCを観察できる蛍光顕微鏡等を用いることができる。また、光学顕微鏡を用いて明視野観察を行う場合には、パパニコロウ染色やギムザ染色を行うことで細胞内の核、細胞質等の形態的特徴を指標としてCTC検出を行うことが出来る。なお、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡の検出範囲は大凡500×500〜1000×1000μm程度である。そのため、CTCや胃がん細胞塊等、捕捉対象微粒子8の直径が10〜50μm程度の場合、仮に第1捕捉部位6からすり抜け隣接する第2捕捉部位7で捕捉されたとしても、その程度の位置の違いは検出手段102の検出範囲内であることから、一軸直動方向の操作で捕捉対象微粒子8を十分検出することが可能である。
駆動手段103は、チップ台101を移動できれば特に問題は無く、ステップモーター等の公知の駆動手段を用いればよい。微粒子抽出手段104は、微粒子を抽出できるものであれば特に制限は無く、例えば、細胞吸引手段を備えたマニピュレータ等が挙げられる。微粒子抽出手段104は、捕捉された捕捉対象微粒子8を検出する検出手段102と連動したマニピュレータにより自動的に回収できるようにすればよく、例えば、特開2010−29178号公報に記載されているような細胞ピッキングシステムを用いることができる。
以上のとおり、本発明のチップ1を用いると、サンプル液中の捕捉対象微粒子8を、ほぼ直線状に分離することができる。そして、チップ1上で捕捉対象微粒子8に試薬等を加えて反応及び観察したり、チップ1から捕捉対象微粒子を検出・回収する場合は、チップ台101又は検出手段102を一軸直動方向に一度移動するだけで、捕捉された捕捉対象微粒子8を回収・観察することができる。したがって、サンプル液中から捕捉対象微粒子8を分離し、そして観察又は抽出する場合、捕捉対象微粒子をチップ1上の捕捉部位でランダムに捕捉する従来のチップ1と比較して、スループットを大幅に改善することができる。
図15は、円形状のチップ1を用いた微粒子分離用システム110概略図で、チップ1を載置して回転させる回転手段111、移流集積ユニット112、図示しない吸引手段及び/又は吸引装置、並びに検出手段を少なくとも含んでいる。また、捕捉した微粒子を取り出す場合は微粒子抽出手段104を含んでもよい。更に、捕捉した微粒子が核酸を含む生体材料で、分離後にPCRを行う場合はPCR手段114を含んでいてもよく、図15ではPCRに用いられるウェルを配置した例を示している。また、後述する移流集積ユニットのシース液注入口にシース液を送液するシース液インジェクション115及びサンプル注入口にサンプルを送液するサンプルインジェクション116を設けてもよい。シース液インジェクション115及びサンプルインジェクション116は、送液できるものであれば特に制限は無く、シリンジ等を用いて手動で送液してもよいし、市販の定流量ポンプ等を用いてもよい。また、送液に動力を使用せず、ボトル等から重量により滴下してもよく、その場合、点滴の流量調整に用いられるクレンメを設けて流量を調整してもよい。
回転手段111は、チップ1を載置して回転できるものであれば特に制限は無く、例えば、チップ1を載置できる回転可能な円盤の下にステップモーター等の駆動手段を設けて、円盤を一軸回転するようにすればよい。なお、発生するメニスカスの大きさを一定にすることが好ましいことから、駆動手段は円盤を一定速度で回転制御できるものであることが好ましい。
図16は、移流集積ユニット112の概略を示す図である。移流集積ユニット112は、シース液注入口521、サンプル注入口522、シース液平面部523及びサンプル平面部524が少なくとも形成されている。また、移流集積ユニット112には、シース液吸引パッドを装着又はシース液を毛管力で吸引する孔525、該孔525に連通し図示しないシース液吸引装置と接続するためのシース液吸引口526が設けられていてもよい。シース液平面部523及びサンプル平面部524は、チップ1の壁流路部3と相対移動することでメニスカスを発生させるため、壁流路部3に相対する面は平面形状であることが好ましい。また、シース液平面部523及びサンプル平面部524と壁流路部3との間でメニスカスが発生し、シース液平面部523及びサンプル平面部524以外ではメニスカスが発生する必要は無いことから、移流集積ユニットのシース液平面部523及びサンプル平面部524は、他の部分より厚くし段差を設ける必要がある。一方、孔525に関しては、孔525にシース液吸引パッドを装着する場合は、シース液吸引パッドがシース液に当接するように、シース液吸引パッドを装着する孔525からの突出量を調整すればよいので、孔525は前記他の部分と同じ面に形成してもよいし、シース液平面部523及びサンプル平面部524と同じ高さとなる位置に孔525を設ける平面部を形成し、該平面部に孔525を形成してもよい。また、孔525を、シース液を毛管力で吸引する孔として用いる場合には、平面部10から毛管力によりシース液を吸引できる間隔となるように、孔525を形成する平面部を、シース液平面部523及びサンプル平面部524より厚めに形成してもよい。また、シース液吸引口526は孔525に連通していれば形成する個数、位置は特に制限は無く、適宜調整すればよい。
本実施形態では、後述する移流集積ユニットのシース液移流集積用平面部(以下、「シース液平面部」と記載することもある。)と壁流路部3部分でシース液にメニスカスを発生させ、そして、シース液にメニスカスを発生させるエリアより外周側であって、サンプル移流集積用平面部(以下、「サンプル平面部」と記載することもある。)と壁流路部3でサンプルにメニスカスを発生させる。そして、移流集積ユニットの孔から、サンプル液及びシース液を排出することができる。
図16に示すように、シース液注入口521はシース液平面部523内に、サンプル注入口522はサンプル平面部524内に形成されてもよいし、移流集積ユニット112とチップ1を相対移動させる際に、シース液平面部523の上流側にシース液注入口521を、サンプル平面部524の上流側にサンプル注入口522を形成してもよい。また、シース液は、中心孔から外周方向に流れることから、シース液平面部523は、中心孔付近に形成されていれば形状及び大きさに特に制限は無い。一方、サンプル平面部524は、壁流路部3の上でメニスカスのラインが発生するような形状であれば特に制限は無いが、効率的に捕捉対象微粒子8を捕捉するためには、中心孔42から壁流路部3全面にメニスカスラインが発生するような形状及び大きさとすることが好ましい。
図17は、移流集積ユニット112を斜め上から拡大撮影した写真で、移流集積ユニット112は、回転手段111に載置されたチップ1との間隔を保つための高さ調整手段117に取り付けられている。高さ調整手段117は、螺子等により移流集積ユニット112の高さを調整できるものであれば特に制限は無い。移流集積ユニット112のシース液平面部523及びサンプル平面部524は、壁流路部3から200〜1000μm離れた位置に位置するように配置されている。壁流路部3と移流集積ユニット112のシース液平面部523及びサンプル平面部524との間隔が200μm以下であるとサンプル液の導入量が減少し処理能力が低下し、1000μm以上であるとメニスカス力が低下し十分な分離が得られない。また、移流集積ユニット112を使用する際には、シリコン等のチューブ118を介して、シース液注入口521はシース液インジェクション115、サンプル注入口522はサンプルインジェクション116、及びシース液吸引口526は図示しないシース液吸引装置に接続すればよい。
シース液吸引手段は、チップ1の平面部10に当接してシース液を吸引できるものであれば特に制限は無い。例えば、布、コットン、スポンジ、セーム皮等のシース液吸引パッドを直接又は移流集積ユニット112の孔525を介してチップ1の平面部10に当接してシース液を吸引すればよい。
また、孔525にシース液吸引パッドを挿入する代わりに、孔525の幅を毛管力が発生する幅に調整し、孔525をチップ1の平面部10に当接することで、毛管力によりシース液を吸引してもよい。その場合、孔525の幅は、少なくともシース液と共に除去された微粒子を通過させる必要があることから、サンプルが全血の場合は少なくとも8μm以上、処理能力を上げるためには10μm以上とすることがより好ましい。一方、孔525の幅は毛管力が発生すれば特に上限は無く、吸引するシース液量や毛管力等を考慮して適宜調整すればよく、例えば、200μm程度の幅を設けてもよい。また、吸引するサンプル液、シース液が孔525に吸引されるためには、孔525を平面部10に当接した際に隙間が生じる必要がある。そのため、例えば、孔525の両端、並びに平面部10に当接した際にピラー4とは反対側の側面の高さを同じにしておき、孔525のピラー4側の側面のみ、他の部分より高さを低くしておけばよい。高さの差は、8μm以上が好ましく、10μ以上がより好ましい。差の上限は毛管力が発生すれば特に上限は無く、吸引するシース液量や毛管力等を考慮して適宜調整すればよく、例えば、200μm程度の差を設けてもよい。なお、チップ1は上記実施形態に限定されず、例えば、平面部10に換え、図11に示すような段差部71を設け、移流集積ユニット112の孔525がピラー4側になるように配置してもよい。また、平面部10に換え、基板2の表面より低くなっている溝部を設け、溝部からサンプル液、シース液を吸引できるような大きさ及び配置となるように、移流集積ユニットを調整してもよい。
シース液は、上記に例示した吸引手段による吸引の他、吸引ポンプ等の吸引装置を用い、該吸引装置に接続する吸引口を平面部10に当接してシース液を吸引してもよい。なお、本発明においては、チップ1の形状を問わず、シース液の流速は、シース液吸引手段の吸引力で調整する。そのため、微粒子の分離に使用するシース液量及びサンプル量が多くなり、シース液吸引パッド又は毛管力を発生させる孔が、シース液で飽和状態になるとシース液の吸引速度が安定しなくなるおそれがある。そのため、シース液の流速をより安定に保てるよう、上記のシース液吸引手段を組合せて用いてもよい。例えば、コットン等のシース液吸引パッドの一端をシース液に接触させてシース液を吸収しつつ、吸引ポンプ等の吸引装置を用いて、シース液吸引パッドの他端からシース液吸引パッドに吸収されたシース液を吸引してもよい。また、シース液を毛管力で吸引できる孔525の一端から毛管力によりシース液を吸引しつつ、前記孔525に連通する吸引口から吸引装置でシース液を吸引してもよい。更に、移流集積ユニット112に前記孔525を設けず、シース液吸引ポンプ等の吸引装置に接続する吸引口を毛管力が発生する大きさ又は吸引口に吸引パッドを差し込み、前記吸引口を平面部10に当接するようにしてもよい。なお、本実施形態においても、サンプル液及びシース液を別々に注入することに代え、希釈サンプル液を用いてもよい。
移流集積ユニット112を構成する材料は、アクリル、ナイロン、テフロン(登録商標)等の樹脂、又はガラス等、サンプルやシース液と反応しないものであれば特に制限はない。移流集積ユニット112は、ドリル及びエンドミル等の切削工具を用いた切削加工、又は移流集積ユニット112の形状のモールドを作製し射出成形により作製することができる。なお、本発明における移流集積ユニット112は、シース液注入口521、サンプル注入口522、シース液平面部523及びサンプル平面部524、更に必要に応じて形成される孔55及びシース液吸引口56が含まれていれば、単一の部材で形成されていても、別々に作製した部材を組み合わせてもよい。
シース液平面部523とサンプル平面部524は半径方向の位置が異なるので、チップ1を回転させた場合の両者の相対速度は異なるが、何れも、チップ1との相対速度が50〜1500μm/sの範囲となるようチップ1を回転させることが好ましく、60〜1000μm/sがより好ましい。50μm/sより遅いと処理時間が長くなり処理能力が低下し、1500μm/sより速いと捕捉対象微粒子8が捕捉されずに分離効率が低減する。なお、図15に示すシステムでは、移流集積ユニット112を固定しチップ1を回転させているが、チップ1を固定して移流集積ユニット112を回転させてもよい。
以上のとおり、円形状のチップ1を用いると、捕捉対象微粒子8はほぼ円形状に捕捉される。したがって、検出手段102の位置を捕捉対象微粒子8が捕捉される円形上に予め位置させておき、サンプル液等を流し終えた後、チップ1を一軸回転するだけで、捕捉された捕捉対象微粒子8を検出することができる。したがって、図14に示す実施形態と同様、サンプル液中から捕捉対象微粒子8を分離し、そして観察又は抽出する場合、捕捉対象微粒子をチップ1上の捕捉部位でランダムに捕捉する従来のチップ1と比較して、スループットを大幅に改善することができる。
本発明の微粒子分離システムには、捕捉対象微粒子の捕捉効率を上げるための磁場発生装置及び/又は電場発生装置等を設けてもよい。例えば、第1捕捉部位6又はマイクロ流路5のピラー4を形成した部分に対応するチップ台101又は回転手段111の円盤部分を永久磁石等で形成してもよいし、チップ台101又は円盤部分の下側に磁場発生装置として永久磁石又は電磁石を設置して磁場ポテンシャル場を発生させてもよい。EpCAM抗体等を標識した磁性粒子を特異的に吸着させたCTC、又は磁性粒子を非特異的に吸着させたCTC(エンドサイトーシスから取り込む)等、捕捉対象微粒子8に磁性を帯びさせた上で、本発明の微粒子分離用システムを用いると、磁性標識されていない他の微粒子から精度よく目的とする微粒子を分離することが可能である。
また、電場発生装置として電極を設けて電場ポテンシャル場(不均一電場中)を発生させ、CTCと周囲媒質の分極と電場の勾配により生じる静電気力(クーロン力)を用いてCTCの捕捉をアシストすることも可能である。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
<実施例1>
〔チップの作製〕
先ず、シリコン基板をアセトン・エタノール・超純水の順に、45kHzで5分間ずつ超音波洗浄機により有機洗浄し、145℃で20分間ベイクした。次に、シリコン基板上にSU−8をスピンコートし、ホットプレート上で、95℃で30分間、プリベイクした。次に、壁流路部、3本のピラーからなる第1捕捉部位及び6本のピラーからなる第2捕捉部位に対応したクロムマスクを用い露光後、ホットプレート上で、95℃で2分間、ポストエクスポージャーベイクを行い、PMシンナーを用い現像した。現像後は、エタノールならびに超純水を用いリンスし、スピンドライヤー等で水分をとばし乾燥させ、鋳型を作製した。形成された鋳型を、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に転写し、転写後、両者を分離し、鋳型が転写されたPDMSをガラス板上に貼付した。その後、PDMS表面をプラズマ処理(周波数50kHz,出力700W、30秒間)により親水化し、チップを作製した。
図18は実施例1で作製したチップ1の外観を示す写真で、チップの大きさは縦75mm、横25mmであった。また、壁流路部の長さは15mm、第1捕捉部位6及び第2捕捉部位7が形成されている大きさは、縦10mm、横25mmであった。
図19は、実施例1で作製したチップ1の壁流路部3の端部と第1捕捉部位6付近の拡大写真である。壁流路部3の厚さは約20μm、高さは約30μm、隣り合う壁流路部3の壁面と壁面の距離(マイクロ流路5の幅)は約24μmであった。全てのピラー4の直径は約20μm、ピラーの高さは約30μmであった。また、第1捕捉部位6を形成する3本のピラーの内、マイクロ流路5の方向に面するピラー4とピラー4の間隔が約24μmだった以外は、その他のピラー4の組み合わせの間隔は全て7μmであった。また、第2捕捉部位7の大きさは約30μmであった。更に、壁流路部3の端部と第1捕捉部位6のマイクロ流路5の方向に面するピラー4との間隔は7μmであった。
<比較例1>
実施例1の壁流路部3及び第1捕捉部位6を形成せず、第2捕捉部位のみを形成するクロムマスクを用いた以外は、実施例1と同様の手順でチップを作製した。図20は比較例1で作製したチップ1の拡大写真である。
<実施例2>
〔血液サンプルの作製〕
採取したヒト血液40μlにPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を160μl添加したものに、1.1×10個の胃がん細胞株(ヒト胃がん由来の細胞株(GCIY−GFP)をトリプシン処理でバラバラにしたもの)を懸濁し、がん患者の血液を模した血液サンプルを作製した。なお、がん細胞の平均粒径は25μmであった。
〔微粒子分離用システムの作製及び血液サンプルからのCTC分離実験〕
図21は、実施例2で作製した微粒子分離システムの写真である。微粒子分離用システムは、ガラスで作製したチップ台101、検出手段102である蛍光顕微鏡、チップ台101の一軸直動方向への駆動手段103として図示しないステップモーター、抽出手段104としてマニピュレータを含んでいる。そして、実施例1で作製したチップ1をチップ台101の上に置き、チップ1の壁流路部3上に、ガラスで作製した縦25mm、横35mmで中央にサンプル注入孔が形成されたカバー板31、及び吸引ユニット35(プラスチック製、外形:横38mm、縦18mm、高さ7mm、挿入部分:横30mm、縦10mm、深さ5mm)を配置した。チップ1の壁流路部3とカバー板31の先端との間隔は500μm、壁流路部3とカバー板31との角度φは、10度となるようにマイクロステージで調整した。次に、チップ1とカバー板31の先端部分に、カバー板31に注入孔(外形3mm)を施し、上記血液サンプルをシリコンチューブ(外形3mm、内径2mm)を介して連続供給し、吸引装置であるシリンジポンプ(ケーディーサイエンティフィック、KDS−100)の吸引力により、CTCの分離を行った。図22は、血液サンプルを流し終えた後、蛍光実態(正立)顕微鏡で撮影したチップ1の写真である。写真から明らかなように、CTCは壁流路部3(マイクロ流路5)の先端に形成した第1捕捉部位6に直線状に捕捉されていた。また、実際にチップ台101を一軸直動方向(横方向)に移動したところ、蛍光顕微鏡の位置を変えることなく捕捉されたCTCを検出し、マニピュレータでCTCを回収することができた。
<比較例2>
実施例1で作製したチップ1に代え、比較例1で作製したチップ1を用いた以外は実施例1と同様の手順でCTCの捕捉を行い、写真を撮影した。図23は比較例1で撮影した写真である。写真から明らかなように、CTCはチップ1の第2捕捉部位7にランダムに捕捉されていた。これは、チップ1とカバー板31の間のメニスカスラインが第2捕捉部位7上を移動するためである。したがって、チップ台101を単に一軸直動方向(横方向)に移動するのみではチップ1上の捕捉された全てのCTCを検出することができず、チップ1を横方向及び縦方向の2軸方向に移動するための駆動手段が必要であることが明らかとなった。
本発明のチップを含む微粒子分離用システムを使用することで、サンプル中のサイズの異なる微粒子を、抗体等を用いることなく迅速かつ高効率で分離することができる。更に、分離した捕捉対象微粒子は、チップ上に直線状又は円形状に捕捉されるため、チップを移動するための駆動軸は直動軸又は回転軸で設計することができるので、スループットを向上できることに加え、装置を小型化、低価格化することができる。したがって、全血からのCTCの分離等、臨床の場において非常に有効であることから、病院や救急センターなどの医療機関や大学医学部などの研究機関、教育機関において、がん診断のシステムとして利用が可能である。

Claims (16)

  1. 基板、該基板上に形成された少なくとも3個以上の壁流路部及び少なくとも3本以上のピラーを含み、
    前記壁流路部は、一端が前記基板上に設けられ他端が上方に開放し、隣り合う2つの壁流路部でマイクロ流路を形成し、
    前記ピラーは、一端が前記基板上に設けられ他端が上方に開放するように形成され、2本のピラーで捕捉対象微粒子を捕捉するための第1捕捉部位を形成し、
    捕捉対象微粒子の大きさをX、除去される微粒子の大きさをYとした場合、前記壁流路部の壁面と壁面の間隔はX以上であり、
    前記第1捕捉部位は、前記マイクロ流路から離れた位置に形成され、第1捕捉部位を形成する任意の隣り合うピラー同士の間隔Z1はY<Z1<X、0.8Y≦Z1≦0.8X、Y<Z1≦0.8X、又は0.8Y≦Z1<Xから選択される1種であり、隣り合う第1捕捉部位は少なくとも1本のピラーを共有し、更に第1捕捉部位を結んだ線が直線となるように形成されている微粒子分離用チップ。
  2. 請求項1に記載の第1捕捉部位において、2本のピラーに代え、3本以上のピラーで第1捕捉部位を形成し、任意の隣り合うピラーの組み合わせの内、間隔が最も長いピラーの組み合わせが前記マイクロ流路方向に面するように配置され、他の隣り合うピラー同士の間隔は前記Z1と同じである請求項1に記載の微粒子分離用チップ。
  3. 前記第1捕捉部位に隣接して第2捕捉部位が形成され、
    前記第2捕捉部位は3本以上のピラーで形成され、任意の隣り合うピラー同士の間隔は前記Z1と同じで、且つ前記第2捕捉部位を形成する3本以上のピラーは、第2捕捉部位に捕捉された捕捉対象微粒子が任意の隣り合うピラーの間から流出しない位置関係に配置され、更に、第1捕捉部位と第2捕捉部位は、少なくとも1本のピラーを共有している請求項1又は2に記載の微粒子分離用チップ。
  4. 基板、該基板上に形成された少なくとも3個以上の壁流路部及び少なくとも3本以上のピラーを含み、
    前記壁流路部は、一端が前記基板上に設けられ他端が上方に開放し、隣り合う2つの壁流路部でマイクロ流路を形成し、
    前記ピラーは、一端が前記基板上に設けられ他端が上方に開放するように形成され、2本のピラーで捕捉対象微粒子を捕捉するための第1捕捉部位を形成し、
    捕捉対象微粒子の大きさをX、除去される微粒子の大きさをYとした場合、前記壁流路部の壁面と壁面の間隔はX以上であり、
    前記第1捕捉部位は、前記マイクロ流路から離れた位置に形成され、第1捕捉部位を形成する任意の隣り合うピラー同士の間隔Z 1 はY<Z 1 <X、0.8Y≦Z 1 ≦0.8X、Y<Z 1 ≦0.8X、又は0.8Y≦Z 1 <Xから選択される1種であり、隣り合う第1捕捉部位は少なくとも1本のピラーを共有し、
    前記基板が円形で、前記壁流路部が円周に向かって放射状に形成され、前記第1捕捉部位を結んだ線も円形となるように形成されている微粒子分離用チップ。
  5. 基板、該基板上に形成された少なくとも3個以上の壁流路部及び少なくとも2本以上の捕捉ピラーを含み、
    前記壁流路部は、一端が前記基板上に設けられ他端が上方に開放し、隣り合う2つの壁流路部でマイクロ流路を形成し、
    前記捕捉ピラーは、一端が前記基板上に設けられ、他端が上方に開放するように形成され、
    捕捉対象微粒子の大きさをX、除去される微粒子の大きさをYとした場合、前記壁流路部の壁面と壁面の間隔はX以上であり、
    前記壁面と壁面との間に少なくとも前記捕捉ピラーが形成され、該捕捉ピラーと前記壁面の間隔をZ2とした場合、前記壁面に対する前記捕捉ピラーの位置及び大きさはY<Z2<X、0.8Y≦Z2≦0.8X、Y<Z2≦0.8X、又は0.8Y≦Z2<Xから選択される1種となるように形成され、更に、各捕捉ピラーを結んだ線が直線となるように形成されている微粒子分離用チップ。
  6. 前記捕捉ピラーが、前記壁面と壁面との間に代え、前記壁流路部の端部から離れた位置であって、且つ前記端部との間隔が前記Z2となるように形成されている請求項5に記載の微粒子分離用チップ。
  7. 前記捕捉ピラーを共有しながら更に第1捕捉部位が形成されている請求項6に記載の微粒子分離用チップ。
  8. 基板、該基板上に形成された少なくとも3個以上の壁流路部及び少なくとも2本以上の捕捉ピラーを含み、
    前記壁流路部は、一端が前記基板上に設けられ他端が上方に開放し、隣り合う2つの壁流路部でマイクロ流路を形成し、
    前記捕捉ピラーは、一端が前記基板上に設けられ、他端が上方に開放するように形成され、
    捕捉対象微粒子の大きさをX、除去される微粒子の大きさをYとした場合、前記壁流路部の壁面と壁面の間隔はX以上であり、
    前記壁面と壁面との間に少なくとも前記捕捉ピラーが形成され、該捕捉ピラーと前記壁面の間隔をZ 2 とした場合、前記壁面に対する前記捕捉ピラーの位置及び大きさはY<Z 2 <X、0.8Y≦Z 2 ≦0.8X、Y<Z 2 ≦0.8X、又は0.8Y≦Z 2 <Xから選択される1種となるように形成され、
    前記基板が円形で、前記壁流路部が円周に向かって放射状に形成され、前記捕捉ピラーを結んだ線も円形となるように形成されている微粒子分離用チップ。
  9. 前記捕捉対象微粒子がCTCで、除去される微粒子が血球細胞である請求項1〜8の何れか一項に記載の微粒子分離用チップ。
  10. 請求項1〜3、5〜7の何れか一項に記載されている微粒子分離用チップ、
    前記微粒子分離用チップを載置するチップ台、
    前記微粒子分離用チップに捕捉された捕捉対象微粒子を検出するための検出手段、
    前記チップ台又は前記検出手段を一軸直動方向に移動するための駆動手段、
    を少なくとも含む微粒子分離用システム。
  11. 請求項4又は8に記載の微粒子分離用チップ、
    前記微粒子分離用チップを載置して回転させる回転手段、
    前記微粒子分離用チップに捕捉された捕捉対象微粒子を検出するための検出手段、
    を少なくとも含む微粒子分離用システム。
  12. 検出手段で検出した捕捉対象微粒子を抽出する微粒子抽出手段を更に含む請求項10又は11に記載の微粒子分離用システム。
  13. 請求項1〜3、5〜7の何れか一項に記載の微粒子分離用チップの壁流路部部分で希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液にメニスカスを発生させ、発生したメニスカスにより希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液を2つの壁流路部で形成したマイクロ流路内に押し込む工程、
    前記微粒子分離用チップの壁流路部とは反対側から吸引手段及び/又は吸引装置により希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液を吸引することで、サンプル中の捕捉対象微粒子は前記微粒子分離用チップに設けられた第1捕捉部位又は捕捉ピラーと壁流路部の間で捕捉され、除去される微粒子は微粒子分離用チップから除去される工程、
    を含む微粒子分離方法。
  14. 請求項13に記載の微粒子分離方法により捕捉対象微粒子を分離後に、
    微粒子分離用チップを載置するチップ台を一軸直動方向に移動、又は捕捉対象微粒子を検出する検出手段を一軸直動方向に移動することで、前記第1捕捉部位又は捕捉ピラーと壁流路部の間で捕捉された捕捉対象微粒子を検出する工程、
    検出した捕捉対象微粒子を微粒子抽出手段で抽出する工程、
    を含む微粒子抽出方法。
  15. 請求項4又は8に記載の微粒子分離用チップの壁流路部部分で希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液にメニスカスを発生させ、発生したメニスカスにより希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液を2つの壁流路部で形成したマイクロ流路内に押し込む工程、
    吸引手段及び/又は吸引装置により希釈サンプル液、又はサンプル液及びシース液を吸引することで、捕捉対象微粒子は前記微粒子分離用チップに設けられた第1捕捉部位又は捕捉ピラーと壁流路部の間で捕捉され、除去される微粒子は微粒子分離用チップから除去される工程、
    を含む微粒子分離方法。
  16. 請求項15に記載の微粒子分離方法により捕捉対象微粒子を分離後に、
    微粒子分離用チップを回転することで、前記第1捕捉部位又は捕捉ピラーと壁流路部の間で捕捉された捕捉対象微粒子を検出する工程、
    検出した捕捉対象微粒子を微粒子抽出手段で抽出する工程、
    を含む微粒子抽出方法。
JP2015051415A 2015-03-13 2015-03-13 微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム、該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法 Active JP6611223B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015051415A JP6611223B2 (ja) 2015-03-13 2015-03-13 微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム、該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法
PCT/JP2016/057854 WO2016148085A1 (ja) 2015-03-13 2016-03-11 微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム、該微粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015051415A JP6611223B2 (ja) 2015-03-13 2015-03-13 微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム、該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016168025A JP2016168025A (ja) 2016-09-23
JP6611223B2 true JP6611223B2 (ja) 2019-11-27

Family

ID=56919994

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015051415A Active JP6611223B2 (ja) 2015-03-13 2015-03-13 微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム、該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6611223B2 (ja)
WO (1) WO2016148085A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6615499B2 (ja) * 2015-06-05 2019-12-04 国立大学法人 東京大学 細胞またはリポソーム粒子の分離捕捉装置
JP2019027968A (ja) * 2017-08-01 2019-02-21 学校法人東北学院 ピラー配置バイオセンサ
KR102077643B1 (ko) * 2018-02-09 2020-04-07 광운대학교 산학협력단 메니스커스 곡면을 갖는 시료 내 입자 분리 장치 및 방법
JP7311870B2 (ja) * 2018-06-01 2023-07-20 学校法人 中央大学 粒子分離用装置及び粒子分離方法
CN112481081A (zh) * 2020-12-16 2021-03-12 深圳市儿童医院 一种分离神经母细胞瘤ctc的微流体芯片及其捕获方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5231782B2 (ja) * 2007-10-26 2013-07-10 学校法人常翔学園 固液分離機能を有する装置及びその製造方法
TWI369494B (en) * 2008-12-12 2012-08-01 Univ Nat Taiwan Compact disk based platform for separating and detecting immunomagnetic bead labeled cells
SG184592A1 (en) * 2011-03-18 2012-10-30 Univ Singapore Isolating target cells from a biological fluid
WO2014065861A1 (en) * 2012-10-26 2014-05-01 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Compositions, methods and microfluidics device for telomerase based in vitro diagnostic assays for detecting circulating tumor cells (ctc)

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016148085A1 (ja) 2016-09-22
JP2016168025A (ja) 2016-09-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6308525B2 (ja) 微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法
TWI588262B (zh) 用於分離或富集化細胞的方法及組合物
JP6245931B2 (ja) 微小流体装置及びそれを用いた標的細胞濃縮方法
JP6611223B2 (ja) 微粒子分離用チップ、該微粒子分離用チップを用いた微粒子分離用システム、該部粒子分離用システムを用いた微粒子分離方法及び微粒子抽出方法
JP5920895B2 (ja) マイクロ流体捕獲渦を使用して不均一溶液から細胞を単離する方法及びデバイス
Sollier et al. Size-selective collection of circulating tumor cells using Vortex technology
JP6326582B2 (ja) 微粒子分離用マイクロ流路チップ、該チップを用いた微粒子分離用システム及び微粒子分離方法
US20150076049A1 (en) Microfilter and apparatus for separating a biological entity from a sample volume
US9908117B2 (en) Microfluidic separation device, separation method using the same and kit for separating circulating rare cells from blood using the same
US20120270331A1 (en) Microfluidic system and method for automated processing of particles from biological fluid
US20240116050A1 (en) Microfluidic bubble trap
JP6244589B2 (ja) 微粒子分離用マイクロ流路チップ、移流集積ユニット、微粒子分離用システム及び微粒子分離方法
CN109416314A (zh) 用于浓缩颗粒的方法、系统和装置
CN105814187B (zh) 颗粒过滤装置及颗粒过滤方法
WO2013044109A1 (en) Microfluidic device for separating cells from a fluid
TWM583456U (zh) 具有珠體繫留結構的微流道晶片及微流道結構
JP2011072989A (ja) 分離装置、分離カートリッジ、および分離システム
TWM583855U (zh) 具有不平整結構的微流道晶片及微流道結構
TWM581591U (zh) 具有小孔徑緩流區段的微流道晶片及微流道結構
US20230383239A1 (en) Microscale cell filter
Zhang et al. On-chip sample preparations for point-of-care cellular analysis of blood
Zhang Acoustic Isolation of Extracellular Vesicles
TWM581592U (zh) 具有彎曲流道的微流道晶片及微流道結構
Tallerico Fabrication and Characterization of a Microfluidic Device to Ultrapurify Blood Samples
JP2020199456A (ja) 分離デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180306

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190219

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190422

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190618

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190708

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190906

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191015

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191025

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6611223

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250