次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態による受信装置の概略機能構成を示すブロック図である。同図において、符号1は受信装置である。受信装置1は、テレビ放送等を受信するためのテレビ受像機である。図示するように、受信装置1は、受信部11と、選局部12と、復調部14と、分離部15と、映像復号部21と、音声復号部22と、文字スーパー処理部23と、字幕処理部24と、時刻情報受信処理部31と、受信装置内時刻管理部32と、提示部51と、閏秒調整部52と、を含んで構成される。
受信部11は、外部から放送信号(伝送信号)を受信する。なお、この放送信号は、タイムドテキスト(字幕や文字スーパーのテキストであって、提示時刻の情報が付加されたもの)を含む。また、この放送信号は、MMT(MPEG Media Transport,MPEGメディアトランスポート)伝送方式によって伝送される。
選局部12は、受信部11が受信する放送信号の選局を行う。具体的には、選局部12は、リモコン装置(不図示)等によって指示されたリモコン番号に対応するチャンネルの放送信号を受信部11が受信するように制御する。
復調部14は、受信部11が受信した放送信号を復調する。
分離部15は、復調部14が復調した放送信号を分離し、コンテンツを構成する各アセットの信号やその他の制御信号を抽出する。そして分離部15は、映像アセットのデータを映像復号部21に供給し、音声アセットのデータを音声復号部22に供給し、文字スーパーアセットのデータを文字スーパー処理部23に供給し、字幕アセットのデータを字幕処理部24に供給する。分離部15が抽出する制御情報の一部として、時刻情報が含まれる。この時刻情報については後述する。
映像復号部21は、分離部15によって供給される映像アセットのデータを復号し、得られた映像を出力する。
音声復号部22は、分離部15によって供給される音声アセットのデータを復号し、得られた音声信号を出力する。
文字スーパー処理部23は、分離部15によって供給される文字スーパーのデータを処理し、文字スーパーの画面を所定のプレーン上に形成し、そのプレーンの映像を出力する。文字スーパーのデータに提示開始時刻および提示終了時刻が指定されている場合には、文字スーパー処理部23は、指定された時刻に間に合うようにそのプレーンの映像を出力する。
字幕処理部24は、分離部15によって供給される字幕のデータを処理し、字幕の画面を所定のプレーン上に形成し、そのプレーンの映像を出力する。字幕のデータに提示開始時刻および提示終了時刻が指定されている場合には、字幕処理部24は、指定された時刻に間に合うようにそのプレーンの映像を出力する。
なお、文字スーパー処理部23と字幕処理部24とを総称して「タイムドテキスト処理部」とも呼ぶ。文字スーパー処理部23と字幕処理部24は、それぞれ、付加識別情報と、相対時刻として指定される提示開始時刻および提示終了時刻の情報が付加されたタイムドテキストとを取得する。これらは、伝送信号に含まれていた情報である。この付加識別情報は、放送局側の送信装置から送出される時刻(現在時刻)が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であるか否かを示す現在時刻閏秒指示子と、上記相対時刻の起点となる参照開始時刻の情報と、参照開始時刻が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であるか否かを示す参照開始時刻閏秒指示子と、を含んでいる。文字スーパー処理部23と字幕処理部24は、取得した情報を、字幕等の提示タイミングの制御のために提示部51に渡す。
時刻情報受信処理部31は、分離部15によって抽出された時刻情報を処理するものである。この時刻情報は、放送信号に含まれていたものであり、IP(インターネット・プロトコル)上のNTP(ネットワーク・タイム・プロトコル, Network Time Protocol)を用いて伝送されるものである。NTPは、文書IETF RFC 5905 "Network Time Protocol Version 4: Protocol and Algorithms Specification"などに規定されている。NTPで伝送されてくるデータは、現在時刻を表す情報または現在時刻を算出するための情報のほかに、少なくとも閏秒指示子(leap indicator,リープ・インディケーター)を含んでいる。なお、NTPによって受信機に対して通知されるデータは、協定世界時(UTC,Coordinated Universal Time)で表されるものである。
時刻情報受信処理部31は、NTPで通知されたデータに基づいて、次の処理を行う。つまり、第1に、時刻情報受信処理部31は、必要な場合には、UTCで表された現在時刻を現地時刻(local time)のデータに変換する。なお、受信装置1が日本で用いられる場合には、現地時刻は日本標準時(JST)である。第2に、時刻情報受信処理部31は、必要なタイミングで、NTPで通知された時刻(以下において、便宜上「NTP時刻」と呼ぶことがある。)を受信装置内時刻管理部32に通知する。なお、時刻情報受信処理部31がNTP時刻を受信装置内時刻管理部32に通知する頻度は、少なくとも受信装置内時刻管理部32がNTP時刻を用いて内部の時計(クロック)の値を補正する頻度よりも高い。この時計の構成の頻度およびタイミングについては後述する。第3に、時刻情報受信処理部31は、NTPで受信した閏秒指示子の情報を、提示部51(特に、提示部51内に存在する閏秒調整部52)に渡す。
ここで、NTPで受信した閏秒指示子を、便宜上、「NTP閏秒指示子」または「NTP−LI」と呼ぶ場合がある。このように呼ぶ理由は、別の閏秒指示子(つまり、参照開始時刻閏秒指示子(参照開始時刻LI))と区別するためである。NTP閏秒指示子は、0,1,2のいずれかの数値を取るデータである。NTP閏秒指示子の値が1の場合、それは、協定世界時における当日の最後に(23時59分59秒の次に)、秒が挿入されることを表す。つまり、NTP閏秒指示子の値が1の場合、それは、日本時間において次に到来する(24時間制の)08時59分59秒の次に、秒が挿入されることを表す。また、NTP閏秒指示子の値が2の場合、それは、協定世界時における当日の最後の秒が、つまり23時59分59秒が削除されることを表す。つまり、NTP閏秒指示子の値が2の場合、それは、日本時間において次に到来する(24時間制の)08時59分59秒が削除されることを表す。そして、NTP閏秒指示子の値が0の場合、それは、協定世界時における当日に、秒が挿入も削除もされないことを表す。つまり、NTP閏秒指示子の値が0の場合、それは、日本時間において次に到来する(24時間制の)08時59分59秒に、秒が挿入も削除もされないことを表す。つまり、NTP閏秒指示子の値が0であることは、閏秒が実施されない通常状態であることを表す。
なお上記の通り、NTP閏秒指示子において値1または2が表示されるのは、協定世界時において閏秒が実施される日の(24時間制の)00時00分00秒から、その閏秒が実施される時刻までである。これは、日本時間では、次の通りである。即ち、NTP閏秒指示子において値1または2が表示されるのは、日本時間において閏秒が実施される日の前日の(24時間制の)09時00分00秒から、その閏秒が実施される時刻までである。その他のときには、つまり閏秒が実施されない通常時には、NTP閏秒指示子の値は0である。
閏秒指示子について整理する。上で説明したように、現在時刻が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であるか否かを示す情報が、現在時刻閏秒指示子である。現在時刻閏秒指示子は、本実施形態では、付加識別情報内に含まれる形で伝送されるとともに、NTPデータにも含まれて伝送される。NTPデータは、放送信号に含まれる形で伝送されても良く、受信装置と外部のサーバー装置との間の通信回線で伝送されても良く、それらの両方で伝送されても良い。上述したように、NTPデータに含まれる現在時刻閏秒指示子を、便宜上、「NTP閏秒指示子」または「NTP−LI」と呼ぶ場合がある。一方で、参照開始時刻が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であるか否かを示す情報が、参照開始時刻閏秒指示子である。この参照開始時刻閏秒指示子は、付加識別情報内に含まれる形で伝送される。
なお、後述する別の実施形態では、現在時刻閏秒指示子が付加識別情報内に含まれない場合もある。そのような場合には、受信装置は、上記のNTP閏秒指示子(これも、現在時刻閏秒指示子)を参照することにより、現在時刻が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であるか否かを示す情報を取得することができる。
受信装置内時刻管理部32は、受信装置内時計を内部に備えて、受信装置内時刻を管理するとともに、外部から受信する標準時刻(NTP時刻)に受信装置内時刻を少なくとも所定のタイミングで同期させる。この受信装置内時計は、通常時には受信装置内の所定の基準(クロック信号等)に基づいて歩進する。受信装置内時刻管理部32は、所定のタイミングで、時刻情報受信処理部31から通知されるNTP時刻を用いて、受信装置内時計を補正する。なお、受信装置内時計が示す時刻を、以下において便宜上「受信装置内時刻」と呼ぶ。また、受信装置内時刻管理部32は、受信装置内時刻の情報を、提示部51に供給する。
なお、本実施形態における受信装置内時刻管理部32は、毎秒、上記のNTP時刻を用いた受信装置内時計の補正を行う。つまり、受信装置内時刻管理部32は、受信装置内時刻を常にNTP時刻(標準時刻)に同期させるように管理する。
提示部51は、映像復号部21と文字スーパー処理部23と字幕処理部24とから供給される各プレーンの映像を、1枚の映像に合成して、映像信号として外部に出力する。通常、提示部51から出力される映像信号は、ディスプレイ装置(例えば、液晶ディスプレイや、エレクトロルミネッセンスディスプレイ)に供給され、映像として表示される。また、提示部51は、音声復号部22から供給される音声を、外部に出力する。通常、提示部51から出力される音声信号は、スピーカー(イヤフォン等を含む)に供給され、音として出力される。なお、提示部51は、映像や音声等の各コンテンツに付加された提示時刻(プレゼンテーションタイム)の情報に基づいて、受信装置内時刻管理部32から供給される受信装置内時刻にしたがって、これら映像および音声を出力する。
タイムドテキストとして受信した字幕や文字スーパーに関して、提示部51は、受信装置内時刻管理部32が管理する受信装置内時刻にしたがって、指定されている相対時刻に基づいて、提示開始および提示終了を行う。
閏秒調整部52は、提示部51が上記の映像や音声を出力する際、必要な場合には、提示時刻に関する閏秒の調整を行う。具体的には、閏秒調整部52は、文字スーパーや字幕の提示に関して、それぞれ、文字スーパー処理部23や字幕処理部24から、付加識別情報を受け取り、この付加識別情報の内容と、時刻情報受信処理部31から渡されるNTP閏秒指示子にしたがって、この閏秒の調整を行う。そして、閏秒調整部52は、この閏秒の調整を行ったことによって補正されたタイミング(字幕等の提示を開始したり終了したりするタイミング)を、提示部51に指示する。
つまり、閏秒調整部52は、参照開始時刻閏秒指示子と、現在の標準時刻(NTP等で得られる時刻)が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であるか否かを示す現在時刻閏秒指示子(受信した最新の付加識別情報内において格納される閏秒指示子)とに基づいて、閏秒によって生じる相対時刻のずれを補正することにより、提示部51がタイムドテキストの提示開始または提示終了を行うタイミングを調整する。
なお、上記の付加識別情報の内容については、後述する。また、文字スーパーや字幕の提示における閏秒の調整の詳細については、後述する。
なお、閏秒調整部52が、文字スーパーと字幕とのいずれか一方の必要な方についてのみ閏秒の調整を行うようにしても良い。また、閏秒調整部52が提示部51の外部に存在していても良い。
次に、放送信号を送信する側である送信装置について説明する。
図2は、本実施形態による送信装置の概略機能構成を示すブロック図である。送信装置2は、放送局等の設備であり、テレビの放送信号を送信するものである。図示するように、送信装置2は、映像符号化部61と、音声符号化部62と、文字スーパー設定部63と、字幕設定部64と、時刻情報設定部71と、閏秒表示設定部72と、混合部81と、変調部82と、送信部83と、を含んで構成される。この送信装置2は、放送局設備の一部として、放送事業者によって運用されるものである。
映像符号化部61は、外部から入力される映像を符号化し、映像アセットのデータを作成し、混合部81に供給する。
音声符号化部62は、外部から入力される音声を符号化し、音声アセットのデータを作成し、混合部81に供給する。
文字スーパー設定部63は、文字スーパーアセットのデータを作成し、閏秒表示設定部72を経由して混合部81に供給する。なお、文字スーパーアセットのデータには、提示時刻(提示開始時刻と提示終了時刻)の情報が付加されている場合がある。
字幕設定部64は、字幕アセットのデータを作成し、閏秒表示設定部72を経由して混合部81に供給する。なお、字幕アセットのデータには、提示時刻(提示開始時刻と提示終了時刻)の情報が付加されている場合がある。
なお、文字スーパー設定部63と字幕設定部64とを総称して「タイムドテキスト設定部」とも呼ぶ。
時刻情報設定部71は、受信装置1側に送信するための前述のNTPのデータを設定し、混合部81に供給する。なお、時刻情報設定部71は、受信装置1側に送信するための時刻情報を、内部で管理する時計または外部の装置からの情報に基づいて作成する。ここで外部の装置の一例は、ネットワーク上でより上位のNTPサーバーである。時刻情報設定部71が設定するデータは、受信装置1側で現在時刻を得るための情報に加えて、NTP閏秒指示子(NTP−LI)のデータを含む。時刻情報設定部71は、IP上のNTPにより、このNTPのデータを受信装置1側に送る。
閏秒表示設定部72は、文字スーパー設定部63から供給される文字スーパーアセットおよび字幕設定部64から供給される字幕アセットに関して、必要な場合に、各々の付加識別情報内に、参照開始時刻の閏秒指示子(参照開始時刻LI)の値を設定する。閏秒表示設定部72は、例えば、送信装置2の内部に備えるNTPサーバー部(不図示)あるいは外部のNTPサーバー装置から得られるNTP閏秒指示子(NTP−LI)の値に基づいて、設定すべき参照開始時刻LIの値を決定する。また、閏秒表示設定部72は、付加識別情報内に、現在時刻閏秒指示子をも設定する。
なお、文字スーパーや字幕の付加識別情報や、その付加識別情報に含まれる参照開始時刻LIの詳細については、後述する。
混合部81は、映像符号化部61と音声符号化部62と文字スーパー設定部63と字幕設定部64とから出力される各アセットのデータと、その他の制御信号とを混合し、ひとまとまりの放送信号を出力する。なお、制御信号の一部として、上記のNTPのデータも含まれている。また、文字スーパーアセットおよび字幕アセットには、それぞれ、上記の付加識別情報が含まれている。
変調部82は、混合部81から出力される放送信号を用いて搬送波の変調を行う。
送信部83は、変調部82によって変調された放送信号を、外部に出力する。送信部83から出力される放送信号は、電波として、あるいはケーブルテレビ用のケーブルで、搬送される。
図3は、受信装置1および送信装置2を含む、テレビシステムの構成例を示す概略図である。同図において、符号3は受信装置であり、4は再送信装置である。また、5はNTPサーバー装置である。受信装置1と送信装置2のそれぞれの概略機能構成については、既に述べた通りである。送信装置2は、不図示の送信アンテナから、前述の放送信号を電波として送信する。同図における破線は、電波で伝送される放送信号を表す。受信装置3は、送信装置2から送信された放送信号を、不図示の受信アンテナを通して受信する。再送信装置4は、受信装置3が受信した放送信号を、ケーブルテレビシステムのケーブル経由で送信する。このケーブルは金属線であり、高周波の電気信号を伝搬する。受信装置3および再送信装置4は、放送の再送信を行うケーブルテレビ事業者によって運用されるものである。受信装置1は、送信装置2から送信される放送信号を、不図示の受信アンテナを通して受信する。あるいは、受信装置1は、再送信装置4から送信される放送信号を前記ケーブル経由で受信する。なお、受信装置1は、実際には、家庭ごとにあるいは個人ごとに設けられるものであるが、同図においては6台の受信装置1だけを示している。
また、同図において、符号5はNTPサーバー装置である。NTPサーバー装置5と送信装置2とは、IPネットワークで結ばれており、相互にIPパケットを送受信することができる。送信装置2から見て、NTPサーバー装置5は、NTPにおけるより上位のサーバー装置である。送信装置2は、一例として、必要な時刻情報をこのNTPサーバー装置5から取得する。
次に、受信装置1および送信装置2において、字幕等の提示における閏秒の調整のために用いるデータについて説明する。
図4は、字幕や文字スーパーの伝送において用いるための付加識別情報の構成を示す概略図である。この付加識別情報は、MMT方式による伝送において、アセットごとに設けられるMH−データ符号化方式記述子内に格納されるデータである。基本的に、MPテーブルは、送信装置2から0.1秒周期で送出されるものである。
同図は、付加識別情報のデータ構造と、そのデータ構造に含まれる各データ項目のビット数およびデータ表記を示している。データ構造は、ブロック構造を有する形式言語で記述している。なお、同図の左端に各行の番号を便宜的に付している。なお、データ表記における「uimsbf」は、「unsigned integer most significant bit first」の略であり、符号無し整数であって最上位ビットが先頭、であることを表す。また、「bslbf」は、「bit string, left bit first」の略であり、ビット列であって、左ビットが先頭、であることを表す。
以下に、付加識別情報が含む各データ項目について説明する。
(1)第1行目の記述は、Additional_Arib_Subtitle_Info(ARIBで定める字幕の付加情報)という構造体が、第2行から第21行までのデータを含むことを表している。第1行の左括弧(開いているカーリーブレース,opening curly brace)に対応する右括弧(閉じているカーリーブレース,closing curly brace)は、第23行目に存在する。
(2)第2行目の記述は、データ項目subtitle_tab(字幕識別タグ)を定義する。これは、字幕あるいは文字スーパーのストリームを識別するためのラベルである。データ表記はuimsbfである。
(3)第3行目の記述は、データ項目subtitle_info_version(字幕情報バージョン)を定義する。字幕・文字スーパーの付加識別情報のバージョンを示す。データ表記はuimsbfである。
(4)第4行目の記述は、データ項目start_mpu_sequence_number_flag(開始MPUシーケンス番号フラグ)を定義する。後続のstart_mpu_sequence_numberの項目のフィールドを配置するか否かを示すフラグである。この値がビット「1」場合は、start_mpu_sequence_numberを配置する。この値がビット「0」の場合は、start_mpu_sequence_numberを配置しない。データ表記はbslbfである。
(5)第5行目の記述は、データ項目leap_indicator(閏秒指示子)を定義する。このフィールドは、この付加識別情報が放送局側から送信される時刻(つまり、現在時刻)に対応した閏秒指示子を格納する。このデータ項目を、「現在時刻閏秒指示子」とも呼ぶ。データ表記はuimsbfである。このデータ項目leap_indicatorは、0,1,2いずれかの値を取るデータである。
このデータ項目leap_indicatorの値が1の場合、それは、協定世界時における当日の最後に(23時59分59秒の次に)、秒が挿入されることを表す。つまり、NTP閏秒指示子の値が1の場合、それは、日本時間において次に到来する(24時間制の)08時59分59秒の次に、秒が挿入されることを表す。ただし、閏秒として秒が挿入される場合、その挿入された秒に対応するこのデータ項目leap_indicatorの値は0である。つまり、閏秒として秒が挿入される場合、日本時間における閏秒実施日の前日の09時00分00秒から、挿入される秒の直前の秒(即ち、日本時間における閏秒実施日の08時59分59秒)まで、このデータ項目leap_indicatorの値は1となる。そして、挿入される秒(即ち、日本時間における閏秒実施日の08時59分60秒(但し、本実施形態による受信装置等の情報処理機器におけるデータ表記は「08時59分59秒」のまま))に対応する、このデータ項目leap_indicatorの値は0である。そして、閏秒実施完了後、即ち日本時間における閏秒実施日の09時00分00秒およびそれ以後において、このデータ項目leap_indicatorの値は0である。
また、このデータ項目leap_indicatorの値が2の場合、それは、協定世界時における当日の最後の秒が、つまり23時59分59秒が削除されることを表す。つまり、NTP閏秒指示子の値が2の場合、それは、日本時間において次に到来する(24時間制の)08時59分59秒が削除されることを表す。つまり、閏秒として秒が削除される場合、日本時間における閏秒実施日の前日の09時00分00秒から、削除される秒の直前の秒(即ち、日本時間における閏秒実施日の08時59分58秒)まで、このデータ項目leap_indicatorの値は2となる。そして、削除された秒の次の秒(即ち、日本時間における閏秒実施日の09時00分00秒)およびそれ以後において、対応するこのデータ項目leap_indicatorの値は0である。
そして、上記以外の場合(つまり、このデータ項目leap_indicatorの値が1である場合と2である場合のいずれでもない場合)、このデータ項目leap_indicatorの値は0である。
なお、このデータ項目leap_indicatorを、subtitle_laep_indicator(字幕閏秒指示子)、subtitle_info_laep_indicator(字幕情報閏秒指示子)、subtitle_info_laep_control(字幕情報閏秒制御)、subtitle_laep_control(字幕閏秒制御)等と呼んでも良い。
(6)第6行目の記述は、データ項目reserved(未使用領域)を定義する。データ表記はbslbfである。
(7)第7行目の記述は、データ項目ISO_639_language_code(言語コード)を定義する。字幕識別タグで識別される言語に対する言語コードを、ISO639−2で規定されるアルファベット3文字のコードで表す。これら3文字の各々は、ISO8859−1にしたがって8ビットで符号化されており、3文字分で合計24ビットのデータである。データ表記はuimsbfである。
(8)第8行目の記述は、データ項目type(字幕タイプ)を定義する。この値がビット列「00」である場合、このストリームが字幕であることを表す。この値がビット列「01」である場合、このストリームが文字スーパーであることを表す。データ表記はbslbfである。
(9)第9行目の記述は、データ項目subtitle_format(字幕記述方式識別)を定義する。字幕および文字スーパーの記述方式を指定する。データ表記はbslbfである。
(10)第10行目の記述は、データ項目OPM(動作モード)を定義する。字幕伝送方式および符号化を含む、システム全体の動作モードを示す。動作モードの種類としては、ライブモードやセグメントモードやプログラムモードが含まれる。データ表記はbslbfである。
(11)第11行目の記述は、データ項目TMD(時刻制御モード)を定義する。受信再生時の時刻制御モードを表す。字幕等の提示時刻をいかなる手段によって示すかを表すものである。この値がビット列「0010」であるとき、時刻制御方式はTTML記述(参照開始時刻起点)であることを表す。これは、本記述子内に含まれる参照開始時刻を起点として、ARIB−TTML文書内のタイムコード(参照開始時刻を起点とする相対時刻で表されるタイムコード)を用いて、提示時刻が示されるものである。なお、TMDの値がビット列「0010」以外である場合については、説明を省略する。データ表記はbslbfである。
(12)第12行目の記述は、データ項目DMF(表示モード)を定義する。字幕文の表示モードを、受信時および記録再生時のそれぞれについて表すものである。データ表記はbslbfである。
(13)第13行目の記述は、データ項目resolution(表示解像度)を定義する。字幕表示画面の表示解像度の初期状態を示す。解像度としては、横方向および縦方向の画素数で表すと、「1920×1080」、「3850×2160」、「7680×4320」などが存在する。データ表記はbslbfである。
(14)第14行目の記述は、データ項目compression_type(圧縮方式)を定義する。字幕データの圧縮方式を表す。データ表記はbslbfである。
(15)第15行目から第17行目までの記述は、前述のstart_mpu_sequence_number_flagの値に依存して設けられるデータ項目start_mpu_sequence_number(開始MPUシーケンス番号)を定義する。本記述子による設定が有効となる字幕・文字スーパーの最初のMPUのシーケンス番号を表す。なお、MPUとは伝送における単位である。データ表記は、uimsbfである。
(16)第18行目から第22行目までの記述は、前述のTMDの値がビット列「0010」(TTML記述(参照開始時刻起点)であることを表す)の場合に(その場合のみに)本記述子に含まれるデータ項目を定義する。それらは、reference_start_timeとreference_start_time_leap_indicatorとreservedとである。
(16−1)第19行目の記述は、時刻制御モード(TMD)がTTML記述(参照開始時刻起点)である場合に設けられるデータ項目reference_start_time(参照開始時刻)を定義する。この参照開始時刻は、TTML文書内において指定される相対時刻の起点となる絶対時刻である。データ表記はuimsbfであり、64ビットの長さで時刻が表現される。
(16−2)第20行目の記述は、時刻制御モード(TMD)がTTML記述(参照開始時刻起点)である場合に設けられるデータ項目reference_start_time_leap_indicator(参照開始時刻閏秒指示子,RST−LI)を定義する。このRST−LIについての詳細は、下に記述する。データ表記はuimsbfである。
なお、このデータ項目reference_start_time_leap_indicatorを、reference_start_time_laep_control(参照開始時刻閏秒制御)等と呼んでも良い。
(16−3)第21行目の記述は、時刻制御モード(TMD)がTTML記述(参照開始時刻起点)である場合に設けられるデータ項目reserved(未使用領域)を定義する。データ表記はbslbfである。
なお、上で記述した(5)leap_indicatorは、送信装置2側からこの付加識別情報(を含むMH−データ符号化方式記述子)が送出される時点における、NTPの閏秒指示子(NTP−LI)の値が設定されるものである。従来技術においてはこのNTP−LIの情報は付加識別情報内に格納されていなかったが、本実施形態においては鍵となる情報の一つであり、その使用方法を後で説明する。送信装置2側では、閏秒表示設定部72が、この参照開始時刻LIの値を設定する。
また、上で記述した(16−2)reference_start_time_leap_indicatorは、前述の参照開始時刻の閏秒指示子(参照開始時刻LI,RST−LI)である。従来技術においては、この参照開始時刻LIは用いられていなかったが、本実施形態においては鍵となる情報の一つであり、その使用方法を後で説明する。送信装置2側では、閏秒表示設定部72が、必要な場合に、この参照開始時刻LIの値を設定する。
受信装置1側では、閏秒調整部52が、字幕等の提示のタイミングを制御するために、上記の(5)のleap_indicator(閏秒指示子)、および(16−2)のreference_start_time_leap_indicator(参照開始時刻の閏秒指示子,RST−LI)を用いる。
(5)のleap_indicator(閏秒指示子)がほぼ最新の時点(送信装置2からの送信周期を待つための遅延や、送信装置2から受信装置1への伝送遅延などを無視すると、ほぼ現時点)に対応した閏秒指示子である。これに対して、(16−2)のreference_start_time_leap_indicator(参照開始時刻の閏秒指示子,RST−LI)は当該TTML文書(つまり、当該放送番組)における開始時刻に対応した閏秒指示子である。したがって、ある一時点において、これら両閏秒指示子の値は、必ずしも一致しない。閏秒調整部52は、この2種類の閏秒指示子を用いて、字幕等の提示タイミングの制御における閏秒の調整を行う。その詳細な手順については、後で、フローチャートを参照しながら説明する。
なお、送信装置2は、上記の付加識別情報を頻繁に、即ち充分に短い送信周期で繰り返し送信する。送信装置2は、付加識別情報を含んだMH−データ符号化方式記述子を例えば0.1秒の送信周期で送出する。そして、受信装置1はそのように送信されてくる付加識別情報を参照することができる。つまり、受信装置1の電源がオンされた直後や、受信装置1において特定のチャンネルが選局された直後であっても、最大で上記送信周期の1回分を待てば、字幕等に関する付加識別情報を取得することができる。
図5は、上記の参照開始時刻LIの値と意味の関係を示す概略図である。同図に示すように、参照開始時刻LIは、3通りの値を取り得る。
参照開始時刻LIの値が「0」(2進表記では「00」)のとき、これは通常(閏秒なし)の状態を表す。
参照開始時刻LIの値が「1」(2進表記では「01」)のとき、これは、付加識別情報に含まれる参照開始時刻で示される時刻を含む(協定世界時における)日の最後に、秒が挿入されることを表す。つまり、その日の協定世界時における23時59分59秒の次に秒が挿入されることを表す。日本時間を用いる場合は次の通りである。即ち、付加識別情報に含まれる参照開始時刻で示される時刻から、次に到来する(日本時間の24時間制での)08時59分59秒の次に秒が挿入されることを表す。
参照開始時刻LIの値が「2」(2進表記では「10」)のとき、これは、付加識別情報に含まれる参照開始時刻で示される時刻を含む(協定世界時における)日の最後の秒が削除されることを表す。つまり、その日の協定世界時における23時59分59秒が削除されることを表す。日本時間を用いる場合は次の通りである。即ち、付加識別情報に含まれる参照開始時刻で示される時刻から、次に到来する(日本時間の24時間制での)08時59分59秒が削除されることを表す。
上記のように、前述のNTP−LIと上記の参照開始時刻LIとの間で、用いる値が同一となるようにしている。但し、仮に値とその意味との関係がNTP−LIと参照開始時刻LIとの間で異なっていても、本質的な不都合は生じない。
次に、字幕等の提示における閏秒の調整に関して、受信装置1側での動作の手順を説明する。なお、「字幕等」と言う場合に、字幕のほかに文字スーパーについても同様である。また、ここで述べる受信装置1の動作手順は、前述の付加識別情報におけるTMD(時刻制御モード)が「TTML記述(参照開始時刻起点)」を表す場合(即ち、付加識別情報が、参照開始時刻と参照開始時刻LIを有する場合)のものである。
図6および図7は、字幕等の提示における閏秒の調整に関する、受信装置1の動作の手順を示すフローチャートである。なお、図6と図7は、フローチャートの結合子によって結合されており、これら両図によって一連の処理手順を示すものである。処理の前提として、閏秒の実施のほぼ24時間前から、NTP−LIの値として「1」または「2」が表示される。また、付加識別情報における閏秒指示子(付加識別情報の説明における項目(5))の値も、NTP−LIの値に基本的に同期して変更されている。
なお、閏秒調整部52は、字幕等を格納したTTML文書内で指定される相対時刻(字幕等の提示開始または提示終了のタイミングを表す相対時刻)ごとに、これら両図に示されるフローチャートの処理を行う。以下、このフローチャートに沿って説明する。
まず図6のステップS101において、閏秒調整部52は、参照開始時刻と相対時刻(字幕等の提示開始の時刻または提示終了の時刻として指定された相対時刻)とを加算した時刻をT1とする。なお、T1は、時刻を一時的に記憶するための変数ないしは記憶領域である。なお、本ステップにおける時刻の加算を行う場合には、実施される閏秒を考慮した加算を行うのではなく、1分=60秒であることを前提とした加算を行う。つまり、閏秒がないものとして、参照開始時刻と前記相対時刻とを加算する。
次にステップS102において、閏秒調整部52は、上記のT1の1秒前の時刻をT2とする。また、上記のT1の1秒後の時刻をT3とする。このT2およびT3もまた、上記のT1と同様の変数ないしは記憶領域である。これらT2およびT3は、後のステップにおいて、提示タイミングのずれを調整する場合における、字幕等の提示動作(提示開始(@begin)または提示終了(@end))の基準として用いる時刻である。
次にステップS103において、閏秒調整部52は、現在処理対象としているTTML文書の参照開始時刻の閏秒識別子(reference_start_time_leap_indicator,RST−LI)の値をLI1とする。なお、LI1は、RST−LIの値を記憶するための変数ないしは記憶領域である。
次にステップS104において、閏秒調整部52は、受信装置内時刻をT0とする。このT0もまた、時刻を一時的に記憶するための変数ないしは記憶領域である。受信装置内時刻は、受信装置内時刻管理部32によって管理されて、歩進している時刻である。
次にステップS105において、閏秒調整部52は、最新の(即ち、最後に受信した)MH−データ符号化通信方式記述子に格納されている付加識別情報内の閏秒指示子(leap_indicator)の値をLI2とする。この閏秒指示子は、付加識別情報の説明における項目(5)である。つまり、前述の通りわずかな遅延を有するものの、ほぼ現時点におけるNTP−LIの値をLI2とする。このLI2もまた、値を記憶するための変数ないしは記憶領域である。
図7に移り、次にステップS106において、閏秒調整部52は、前記のLI1の値(即ち、RST−LI)に応じた処理の分岐を行う。LI1は、0,1,2の3通りの値をとり得る。LI1の値が2の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の削除がある場合)、閏秒調整部52はステップS107に制御を移す。LI1の値が1の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の挿入がある場合)、閏秒調整部52はステップS109に制御を移す。LI1の値が0の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の挿入も削除もない場合)、閏秒調整部52はステップS111に制御を移す。
ステップS107に移った場合、同ステップにおいて閏秒調整部52は、前記のLI2の値(即ち、ほぼ現在時刻に対応したLI)に応じた処理の分岐を行う。LI1=2であるため、この状況においてLI2の値は、0または2のいずれかでしかあり得ない。LI2の値が0の場合、閏秒調整部52はステップS108に制御を移す。LI2の値が2の場合、閏秒調整部52はステップS111に制御を移す。
ステップS108に移った場合、同ステップにおいて閏秒調整部52は、提示動作の基準となる時刻と現在時刻とを比較する。本ステップに制御が移ってくるのは、LI1=2、且つLI2=0の場合のみである。つまり、参照開始時刻が閏秒実施前(秒が削除される前)であり、現時点では既に閏秒実施後(秒が削除された後)である場合である。したがって、提示動作の基準とすべき時刻はT3(即ち、T1の1秒後)である。よって、本ステップで、閏秒調整部52はT3=T0であるか否かを判定する。T3=T0である場合(ステップS108:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、ステップS112に進む。T3=T0ではない場合(ステップS108:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T3)はまだ到来していないため、ステップS104に戻る。
ただし、ステップS104に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部52は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS104の処理に入ることを待機する。
ステップS106からステップS109に移った場合、同ステップにおいて閏秒調整部52は、前記のLI2の値(即ち、ほぼ現在時刻に対応したLI)に応じた処理の分岐を行う。LI1=1であるため、この状況においてLI2の値は、0または1のいずれかでしかあり得ない。LI2の値が0の場合、閏秒調整部52はステップS110に制御を移す。LI2の値が1の場合、閏秒調整部52はステップS111に制御を移す。
ステップS110に移った場合、同ステップにおいて閏秒調整部52は、提示動作の基準となる時刻と現在時刻とを比較する。本ステップに制御が移ってくるのは、LI1=1、且つLI2=0の場合のみである。つまり、参照開始時刻が閏秒実施前(秒が挿入される前)であり、現時点では既に閏秒実施後(秒が挿入された後)である場合である。したがって、提示動作の基準とすべき時刻はT2(即ち、T1の1秒前)である。よって、本ステップで、閏秒調整部52はT2=T0であるか否かを判定する。T2=T0である場合(ステップS110:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、ステップS112に進む。T2=T0ではない場合(ステップS110:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T2)はまだ到来していないため、ステップS104に戻る。
ただし、ステップS104に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部52は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS104の処理に入ることを待機する。
ステップS111に(ステップS106,S107,S109のいずれかから)移った場合、本ステップにおいて閏秒調整部52は、提示動作の基準となる時刻と現在時刻とを比較する。本ステップに制御が移ってくるいずれの場合も、閏秒による提示時刻のずれは生じていない。したがって、提示動作の基準とすべき時刻はT1である。よって、本ステップで、閏秒調整部52はT1=T0であるか否かを判定する。T1=T0である場合(ステップS111:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、ステップS112に進む。T1=T0ではない場合(ステップS111:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T1)はまだ到来していないため、ステップS104に戻る。
ただし、ステップS104に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部52は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS104の処理に入ることを待機する。
ステップS112に(ステップS108,S110,S111のいずれかから)移った場合、本ステップにおいて閏秒調整部52は、当該時刻を動作時刻とする。ここで「動作時刻とする」とは、字幕等の提示開始の動作(相対時刻として提示開始(@begin)が指定されていた場合)、または字幕等の提示終了の動作(相対時刻として提示終了(@end)が指定されていた場合)を実行するという意味である。閏秒調整部52がこのような制御を行うことにより、提示部51は、閏秒に関する調整を行ったタイミングにおいて指定された動作(提示開始または提示終了)を実行する。ステップS112の処理の実行後には、閏秒調整部52は、このフローチャート全体の処理を終了する。
上記の処理手順においても明らかなように、閏秒指示子(LI1およびLI2)は、値が1または2のときには、対象とする時刻が閏秒の実施以前の所定の長さの時間(24時間)内であることを示す。また、この閏秒指示子は、値が0のときには、対象とする時刻が閏秒の実施以前の所定の長さの時間(24時間)内ではないことを示す。そして、この閏秒指示子は、LI1もLI2もともに、閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であることを示す場合には当該閏秒が秒の挿入または削除のいずれであるかをも示す。つまり、値1が秒の挿入に対応し、値2が秒の削除に対応する。
フローチャートを用いて説明した閏秒調整部52による処理を整理すると、次の通りである。
(1)閏秒調整部52は、参照開始時刻閏秒指示子(LI1)が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であることを示し、且つ当該閏秒が秒の挿入であることを示す(LI1=1)ものであり、また、現在時刻閏秒指示子(LI2)が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内ではないことを示す(LI2=0)場合には、参照開始時刻と相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻(T1)よりも1秒前の時刻(T2)に、受信装置内時刻(T0)が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を提示部51が行うように調整する。これは、前記のステップS110からS112へと続く処理に該当する。
(2)閏秒調整部52は、参照開始時刻閏秒指示子(LI1)が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であることを示し、且つ当該閏秒が秒の削除であることを示す(LI1=2)ものであり、また、現在時刻閏秒指示子(LI2)が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内ではないことを示す(LI2=0)場合には、参照開始時刻と相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻(T1)よりも1秒後の時刻(T3)に、受信装置内時刻(T0)が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を前記提示部が行うように調整する。これは、前記のステップS108からS112へと続く処理に該当する。
(3)閏秒調整部52は、上記の(1)または(2)のいずれでもない場合には、参照開始時刻と相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻(T1)に、受信装置内時刻(T0)が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を前記提示部が行うように調整する。これは、前記のステップS108からS111へと続く処理に該当する。
このように、本実施形態によれば、閏秒による提示時刻のずれを補正し、正しいタイミングで字幕等を提示開始/提示終了させることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なる主な点は、閏秒が実施されたときの、受信装置内における受信装置内時刻のNTP時刻への同期のさせ方である。本実施形態における受信装置は、閏秒が実施された直後に直ちにNTP時刻への同期を行わない。これは、受信装置の実装として、内部で管理する受信装置内時刻の歩進のペースが閏秒の実施によって乱れる(秒が挿入される、または秒が削除される)ことによる不具合を回避するような装置構成が為される場合である。
なお、以下において、前述の実施形態と同様の機能ブロックについては同一の符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。以下においては、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
図8は、本実施形態による受信装置の概略機能構成を示すブロック図である。受信装置8は、テレビ放送等を受信するためのテレビ受像機である。図示するように、受信装置8は、受信部11と、選局部12と、復調部14と、分離部15と、映像復号部21と、音声復号部22と、文字スーパー処理部23と、字幕処理部24と、時刻情報受信処理部31と、受信装置内時刻管理部33と、提示部51と、閏秒調整部53と、を含んで構成される。つまり、受信装置8は、第1実施形態における受信装置内時刻管理部32に代えて受信装置内時刻管理部33を備え、また第1実施形態における閏秒調整部52に代えて閏秒調整部53を備える。なお、閏秒調整部53は、提示部51の外部に存在していても良い。
なお、本実施形態における送信装置側の機能構成は、第1実施形態におけるそれと同じである。
受信装置内時刻管理部33は、受信装置内の時計を管理する。受信装置内時刻管理部33は、前実施形態における受信装置内時刻管理部32とほぼ同様の機能を有するが、受信装置内時刻をNTP時刻に同期させるタイミングが異なる。なお、受信装置内時刻管理部33は、受信装置内時刻の情報を、提示部51に供給する。
本実施形態における受信装置内時刻管理部33は、受信装置8における選局操作があったとき、または電源がon/offされたときに、そしてそれらのときのみに、上記のNTP時刻を用いた受信装置内時計の補正を行う。これらの操作は、例えば、リモコン装置からのリモコン信号による。つまり、本実施形態において受信装置内時計は、秒の挿入または秒の削除が行われたとき、NTP時刻とのあいだでずれが生じるが、受信装置内時刻管理部33は、必ずしも直ちに受信装置内時計をNTP時刻に合わせる処理を行わない。その理由の一つは、受信装置内時計が受信装置8内で様々な制御に用いられるためであり、その制御において、受信装置内時計の値として、秒が停まったり(秒の挿入)秒が飛んだり(秒の削除)することを避けるためである。選局操作や電源on/offの操作があったときには受信装置8内での様々な動作・処理が初期化されるため、受信装置内時計の歩進のペースが乱れることによる悪影響が少ない。
第1実施形態においては受信装置内時刻が常にNTP時刻に同期していた。しかし、本実施形態では、閏秒が実施された後で、且つ受信装置内時刻をNTP時刻に合わせる処理(同期処理)を行う前には、受信装置内時刻とNTP時刻(現在時刻)との間にずれが生じる。具体的には、秒が挿入された後であって、且つ受信装置内時刻をNTP時刻に合わせる補正を行う前には、受信装置内時刻は、NTP時刻よりも、1秒進んでいる。また、秒が削除された後であって、且つ受信装置内時刻をNTP時刻に合わせる補正を行う前には、受信装置内時刻は、NTP時刻よりも、1秒遅れている。上記の2つのいずれでもない場合には、受信装置内時刻は、NTP時刻と一致している。
つまり、本実施形態は、第1実施形態で行った閏秒調整部による補正に加えて、受信装置内時刻とNTP時刻との間で生じている可能性のあるずれに対する補正を重畳させるような制御を行う。
なお、受信装置内時刻管理部33は、自装置の受信装置内時刻がNTP時刻と同期しているか否かを常に把握している。また、受信装置内時刻管理部33は、自装置の受信装置内時刻がNTP時刻と同期していない場合には、自装置の受信装置内時刻がNTP時刻に対して先行しているのか遅れているのかを把握している。受信装置内時刻がNTP時刻に対して先行しているということは、不等号を用いて表すと、受信装置内時刻>NTP時刻であり(値の大きいほうが時間的に後)、このような状況は、少なくとも閏秒による秒の挿入がなされた直後には起こる。逆に、受信装置内時刻がNTP時刻に対して遅れているということは、不等号を用いて表すと、受信装置内時刻<NTP時刻であり、このような状況は、少なくとも閏秒による秒の削除がなされた直後には起こる。
受信装置内時刻管理部33は、必要なタイミングにおいて、上記の時刻同期状態を閏秒調整部53に通知する。
なお、受信装置内時刻管理部33は、時刻情報受信処理部31から供給されるNTP時刻の情報を受信装置内時刻と比較することにより、受信装置内時刻の時刻同期状態を把握することができる。あるいは、受信装置内時刻管理部33は、時刻情報受信処理部31から供給されるNTP−LIの値が、1から0、または2から0に変化した後に、受信装置内時刻をNTP時刻に同期させる処理を行ったか否かを記憶しておくことにより、時刻同期状態を把握することができる。
つまり、受信装置内時刻管理部33は、予め定められた操作信号に基づく動作(選局操作の信号に基づく受信周波数(サービス)の変更や、電源操作の信号に基づく電源のon/offなど)を受信装置8が行うタイミングのみにおいて、受信装置内時刻をNTP時刻(標準時刻)に同期させるように管理するとともに、また、受信装置内時刻がNTP時刻に同期しているか、受信装置内時刻がNTP時刻よりも先行しているか、受信装置内時刻がNTP時刻よりも遅れているか、のいずれの状態であるかを表す情報を閏秒調整部53に通知する。
閏秒調整部53は、第1実施形態における閏秒調整部52と同様の目的で設けられるものである。即ち、閏秒調整部53は、文字スーパーや字幕の提示に関して、これら字幕等の提示を開始したり終了したりするタイミングの制御における、閏秒の調整を行う。そして、閏秒調整部53は、この調整によって補正されたタイミングを、提示部51に指示する。
上記のように、閏秒調整部53が果たす機能の目的は、第1実施形態における閏秒調整部52のそれと同様である。しかしながら、前述の通り本実施形態における受信装置内時刻管理部33が受信装置内時刻を独自の方法で管理するため、閏秒調整部53もまた本実施形態特有の受信装置内時刻の管理に合わせた論理を用いて、字幕等の提示タイミングに関する補正を行う。閏秒調整部53による処理手順の詳細については、フローチャートを参照しながら後で詳述する。
次に、受信装置8における、字幕等の提示における閏秒の調整に関する動作の手順を説明する。なお、「字幕等」と言う場合に、字幕のほかに文字スーパーについても同様である。また、ここで述べる受信装置8の動作手順は、前述の付加識別情報におけるTMD(時刻制御モード)が「TTML記述(参照開始時刻起点)」を表す場合のものである。
図9および図10は、字幕等の提示における閏秒の調整に関する、受信装置8の動作の手順を示すフローチャートである。なお、図9と図10は、フローチャートの結合子によって結合されており、これら両図によって一連の処理手順を示すものである。処理の前提として、閏秒の実施のほぼ24時間前から、NTP−LIの値として「1」または「2」が表示される。また、付加識別情報における閏秒指示子(付加識別情報の説明における項目(5))の値も、NTP−LIの値に基本的に同期して変更されている。
なお、閏秒調整部53は、字幕等を格納したTTML文書内で指定される相対時刻(字幕等の提示開始または提示終了のタイミングを表す相対時刻)ごとに、これら両図に示されるフローチャートの処理を行う。以下、このフローチャートに沿って説明する。
まず図9のステップS201において、閏秒調整部53は、参照開始時刻と相対時刻(字幕等の提示開始の時刻または提示終了の時刻として指定された相対時刻)とを加算した時刻をT1とする。本ステップの処理は、図6におけるステップS101と同様のものである。
次にステップS202において、閏秒調整部53は、上記のT1の1秒前の時刻をT2とする。また、上記のT1の1秒後の時刻をT3とする。本ステップの処理は、図6におけるステップS102と同様のものである。
次にステップS203において、閏秒調整部53は、現在処理対象としているTTML文書の参照開始時刻の閏秒識別子(reference_start_time_leap_indicator,RST−LI)の値をLI1とする。本ステップの処理は、図6におけるステップS103と同様のものである。
次にステップS204において、閏秒調整部53は、受信装置内時刻管理部33が管理する受信装置内時刻のNTP時刻との同期状態を把握し、その状態をSとする。ここで、Sは下記の3通りの状態のいずれかを一時的に記憶するための変数ないしは記憶手段である。受信装置内時刻の時刻同期状態は、(a)同期、(b)非同期(受信装置内時刻がNTP時刻より先行)、(c)非同期(受信装置内時刻がNTP時刻より遅れ)の3種類である。なお、便宜上、上記(b)の状態を単に「先行」と呼び、上記(c)の状態を単に「遅れ」と呼ぶ場合がある。
次にステップS205において、閏秒調整部53は、受信装置内時刻をT0とする。本ステップの処理は、図6におけるステップS104と同様のものである。
次にステップS206において、閏秒調整部53は、最新の(即ち、最後に受信した)MH−データ符号化方式記述子に格納されている付加識別情報内の閏秒指示子(leap_indicator)の値をLI2とする。この閏秒指示子は、第1実施形態において説明した付加識別情報内の項目(5)である。本ステップの処理は、図6におけるステップS105と同様のものである。
図10に移り、次にステップS207において、閏秒調整部53は、前記のLI1の値(即ち、RST−LI)に応じた処理の分岐を行う。LI1は、0,1,2の3通りの値をとり得る。LI1の値が2の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の削除がある場合)、閏秒調整部53はステップS208に制御を移す。LI1の値が1の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の挿入がある場合)、閏秒調整部53はステップS211に制御を移す。LI1の値が0の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の挿入も削除もない場合)、閏秒調整部53はステップS214に制御を移す。
ステップS208に(ステップS207から)移った場合、同ステップにおいて閏秒調整部53は、前記のLI2の値(即ち、ほぼ現在時刻に対応したLI)に応じた処理の分岐を行う。LI1=2であるため、この状況においてLI2の値は、0または2のいずれかでしかあり得ない。LI2の値が0の場合、閏秒調整部53はステップS209に制御を移す。LI2の値が2の場合、閏秒調整部53はステップS215に制御を移す。
ステップS209に移った場合、同ステップにおいて閏秒調整部53は、前記のSの値(即ち、受信装置内時刻の時刻同期状態)に応じた処理の分岐を行う。本ステップに制御が移ってくるのは、LI1=2、且つLI2=0の場合のみである。つまり、参照開始時刻が閏秒実施前(秒が削除される前)であり、現時点では既に閏秒実施後(秒が削除された後)である場合である。したがって、そのときのSが示す状態は、同期、または非同期(受信装置内時刻が遅れ)のいずれかでしかありえない。Sが「同期」の場合、閏秒調整部53は、ステップS210に制御を移す。Sが「非同期(受信装置内時刻が遅れ)」の場合、閏秒調整部53は、ステップS215に制御を移す。
なお、本ステップにおいてSが「同期」状態であるのは、既に閏秒実施後(秒が削除された後)であり、且つ秒の削除後に受信装置内時刻をNTP時刻に同期させた後である。また、本ステップにおいてSが「非同期(受信装置内時刻が遅れ)」状態であるのは、既に閏秒実施後(秒が削除された後)であり、且つ秒の削除後にまだ受信装置内時刻をNTP時刻に同期させていないときである。
ステップS211に(ステップS207から)移った場合、同ステップにおいて閏秒調整部53は、前記のLI2の値(即ち、ほぼ現在時刻に対応したLI)に応じた処理の分岐を行う。LI1=1であるため、この状況においてLI2の値は、0または1のいずれかでしかあり得ない。LI2の値が0の場合、閏秒調整部53はステップS212に制御を移す。LI2の値が1の場合、閏秒調整部53はステップS215に制御を移す。
ステップS212に移った場合、同ステップにおいて閏秒調整部53は、前記のSの値に応じた処理の分岐を行う。本ステップに制御が移ってくるのは、LI1=1、且つLI2=0の場合のみである。つまり、参照開始時刻が閏秒実施前(秒が挿入される前)であり、現時点では既に閏秒実施後(秒が挿入された後)である場合である。したがって、そのときのSが示す状態は、同期、または非同期(受信装置内時刻が先行)のいずれかでしかありえない。Sが「同期」の場合、閏秒調整部53は、ステップS213に制御を移す。Sが「非同期(受信装置内時刻が先行)」の場合、閏秒調整部53は、ステップS215に制御を移す。
なお、本ステップにおいてSが「同期」状態であるのは、既に閏秒実施後(秒が挿入された後)であり、且つ秒の挿入後に受信装置内時刻をNTP時刻に同期させた後である。また、本ステップにおいてSが「非同期(受信装置内時刻が先行)」状態であるのは、既に閏秒実施後(秒が挿入された後)であり、且つ秒の挿入後にまだ受信装置内時刻をNTP時刻に同期させていないときである。
ステップS214に(ステップS207から)移った場合、同ステップにおいて閏秒調整部53は、Sの値に応じた処理の分岐を行う。このときのSが示す状態は、同期、非同期(受信装置内時刻が先行)、非同期(受信装置内時刻が遅れ)のいずれでもあり得る。Sが「同期」の場合、閏秒調整部53は、ステップS215に制御を移す。Sが「非同期(受信装置内時刻が先行)」の場合、閏秒調整部53は、ステップS210に制御を移す。Sが「非同期(受信装置内時刻が遅れ)」の場合、閏秒調整部53は、ステップS213に制御を移す。
なお、本ステップにおいてSが「同期」状態であるのは、最近において閏秒が実施されたか否かに関わらず、受信装置内時刻がNTP時刻に同期しているときである。また、本ステップにおいてSが「非同期(受信装置内時刻が先行)」状態であるのは、既に閏秒実施後(秒が挿入された後)であり、且つ秒の挿入後にまだ受信装置内時刻をNTP時刻に同期させていないときである。また、本ステップにおいてSが「非同期(受信装置内時刻が先行)」状態であるのは、既に閏秒実施後(秒が挿入された後)であり、且つ秒の挿入後にまだ受信装置内時刻をNTP時刻に同期させていないときである。
フローチャート内のここまでの処理で、字幕等の提示動作(提示開始または提示終了)のタイミングの制御において基準とすべき時刻(T1,T2,T3のいずれか)が決定されている。以下の処理では、T1,T2,T3の各々を基準とする場合ごとの説明を行う。
ステップS210に移った(ステップS209またはS214から)場合、同ステップにおいて閏秒調整部53は、提示動作の基準となる時刻と現在時刻とを比較する。本ステップに制御が移ってきた場合に、提示動作の基準とすべき時刻はT3(即ち、T1の1秒後)である。よって、本ステップで、閏秒調整部53はT3=T0であるか否かを判定する。T3=T0である場合(ステップS210:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、ステップS216に進む。T3=T0ではない場合(ステップS210:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T3)はまだ到来していないため、ステップS204に戻る。
ただし、ステップS204に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部53は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS204の処理に入ることを待機する。
ステップS213に移った(ステップS212またはS214から)場合、同ステップにおいて閏秒調整部53は、提示動作の基準となる時刻と現在時刻とを比較する。本ステップに制御が移ってきた場合に、提示動作の基準とすべき時刻はT2(即ち、T1の1秒前)である。よって、本ステップで、閏秒調整部53はT2=T0であるか否かを判定する。T2=T0である場合(ステップS213:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、ステップS216に進む。T2=T0ではない場合(ステップS213:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T2)はまだ到来していないため、ステップS204に戻る。
ただし、ステップS204に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部53は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS204の処理に入ることを待機する。
ステップS215に移った(ステップS208,S209,S211,S212,S214のいずれかから)場合、同ステップにおいて閏秒調整部53は、提示動作の基準となる時刻と現在時刻とを比較する。本ステップに制御が移ってきた場合に、提示動作の基準とすべき時刻はT1である。よって、本ステップで、閏秒調整部53はT1=T0であるか否かを判定する。T1=T0である場合(ステップS215:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、ステップS216に進む。T1=T0ではない場合(ステップS215:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T1)はまだ到来していないため、ステップS204に戻る。
ただし、ステップS204に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部53は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS204の処理に入ることを待機する。
ここまでに説明した判断の結果、ステップS216に移った(ステップS210,S213,S215のいずれかから)場合、同ステップにおいて閏秒調整部53は、当該時刻を動作時刻とする。ここで「動作時刻とする」とは、字幕等の提示開始の動作(相対時刻として提示開始(@begin)が指定されていた場合)、または字幕等の提示終了の動作(相対時刻として提示終了(@end)が指定されていた場合)を実行するという意味である。閏秒調整部53がこのような制御を行うことにより、提示部51は、閏秒に関する調整を行ったタイミングにおいて指定された動作(提示開始または提示終了)を実行する。ステップS216の処理の実行後には、閏秒調整部53は、このフローチャート全体の処理を終了する。
フローチャートを用いて説明した閏秒調整部53による処理を整理すると、次の通りである。
(1a)参照開始時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であることを示し、且つ当該閏秒が秒の挿入であることを示す(LI1=1)ものであり、且つ現在時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内ではないことを示し(LI2=0)、且つ受信装置内時刻が標準時刻に同期している状態である(S=同期)ことを表す通知を受信装置内時刻管理部33から受けた場合。
(1b)参照開始時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内でないことを示し(LI1=0)、且つ受信装置内時刻が標準時刻よりも遅れている状態である(S=遅れ)ことを表す通知を受信装置内時刻管理部33から受けた場合。
(1)閏秒調整部53は、上記の(1a)または(1b)のいずれかである場合には、参照開始時刻と相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻(T1)よりも1秒前の時刻(T2)に、受信装置内時刻(T0)が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を提示部51が行うように調整する。これは、前記のステップS213からS216へと続く処理に該当する。
(2a)参照開始時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であることを示し、且つ当該閏秒が秒の削除であることを示す(LI1=2)ものであり、且つ現在時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内ではないことを示し(LI2=0)、且つ受信装置内時刻が標準時刻に同期している状態である(S=同期)ことを表す通知を受信装置内時刻管理部33から受けた場合。
(2b)参照開始時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内でないことを示し(LI1=0)、且つ受信装置内時刻が標準時刻よりも先行している状態である(S=先行)ことを表す通知を受信装置内時刻管理部33から受けた場合。
(2)閏秒調整部53は、上記の(2a)または(2b)のいずれかである場合には、参照開始時刻と相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻(T1)よりも1秒後の時刻(T3)に、受信装置内時刻(T0)が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を提示部51が行うように調整する。これは、前記のステップS210からS216へと続く処理に該当する。
(3)閏秒調整部53は、上記の(1)または(2)のいずれでもない場合には、参照開始時刻と相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻(T1)に、受信装置内時刻(T0)が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を前記提示部51が行うように調整する。これは、前記のステップS215からS216へと続く処理に該当する。
図9および図10において示した動作手順は、閏秒の実施を考慮したときに、TTML文書内で相対時刻を用いて指定された提示開始および提示終了のタイミングが、いま到来しているか、まだ到来していないかを判断するものであった。この判断における場合分けを、ここで補足説明する。
図11は、受信装置8において、LI1(即ち、RST−LI)の値、LI2(即ち、最新の時刻に対応するLI)の値、およびS(時刻同期状態)の値に応じて、どの時刻を基準として用いるべきかを示した概略図である。同図において、各行は、LI1の値とLI2の値の組み合わせに対応する。また、各列は、Sの値に対応する。Sの値に応じた3つの列のうち、1列目(最も左)は、S(受信装置内時刻の同期状態)が「受信装置内時刻はNTP時刻に同期している」状態である場合である。また、2列目(中央)は、S(受信装置内時刻の同期状態)が「受信装置内時刻はNTP時刻に同期しておらず、NTP時刻よりも先行している」状態である場合である。また、3列目(最も左)は、S(受信装置内時刻の同期状態)が「受信装置内時刻はNTP時刻に同期しておらず、NTP時刻よりも遅れている」状態である場合である。
同図において、各行と各列の交わる欄が、その場合に基準として使用すべき時刻(T1,T2,T3のいずれか)を示す。
図示するように、T1を使用すべき場合は、次に列挙する(C1)から(C7)までである。
(C1)LI1=0,LI2=0,S=「同期」
(C2)LI1=0,LI2=1,S=「同期」
(C3)LI1=0,LI2=2,S=「同期」
(C4)LI1=1,LI2=0,S=「受信装置内時刻が先行」
(C5)LI1=1,LI2=1,S=「同期」
(C6)LI1=2,LI2=0,S=「受信装置内時刻が遅れ」
(C7)LI1=2,LI2=2,S=「同期」
また、T2を使用すべき場合は、次に列挙する(C8)と(C9)である。
(C8)LI1=0,LI2=0,S=「受信装置内時刻が遅れ」
(C9)LI1=1,LI2=0,S=「同期」
また、T3を使用すべき場合は、次に列挙する(C10)と(C11)である。
(C10)LI1=0,LI2=0,S=「受信装置内時刻が先行」
(C11)LI1=2,LI2=0,S=「同期」
なお、上に挙げた(C1)から(C11)までの9種類の場合以外は、起こり得ないため、考慮不要である。そのような考慮不要である欄には「d/c」と記載している。
このように、本実施形態によれば、閏秒による提示時刻のずれを補正し、正しいタイミングで字幕等を提示開始/提示終了させることができる。
[変形例等]
以下には、第1実施形態および第2実施形態に共通する変形例や、技術的留意点等を記載する。
第1実施形態および第2実施形態では、閏秒の2つの形態(秒の挿入と削除)に対応した構成とした。これを、秒の挿入のみに対応する構成に変形しても良い。この変形例は、閏秒として、秒の挿入のみが実施され、秒の削除は実施されないという想定に基づくものである。
第1実施形態および第2実施形態では、閏秒調整部(52,53)を提示部51の内部に設けていたが、提示部51の外部に設けて、同様の機能を実現するようにしても良い。
第1実施形態および第2実施形態は、24時間以上続く番組がないことを想定している。言い換えれば、24時間以上続く番組に対応して字幕として送出される、単一のTTML文書がないことを想定している。この想定によれば、閏秒が関係する番組の字幕であるTTML文書の参照開始時刻に対応する参照開始時刻閏秒指示子(RST−LI)は、必ず1または2である。つまり、閏秒(秒の挿入または削除)が実施される予定であるにもかかわらず、特定のある番組の参照開始時刻に対応する参照開始時刻閏秒指示子の値が0となる場合はない。なお、仮に、あるひとつの番組が24時間以上続く場合であっても、提示時刻の制御の目的でその番組を仮想的に複数の番組に分割することにより、上記の想定を維持することは可能である。
また、閏秒が実施される間隔は充分に長いことを想定して良い。即ち、閏秒が実施されるのは、せいぜい数十ヶ月に1回である。つまり、大半の期間においては現在時刻閏秒指示子の値は0である。また、参照開始時刻閏秒指示子の値も同様である。したがって、ある日における閏秒の実施に伴う現在時刻閏秒指示子の値の変化(値の1または2への変化)が、その次の機会の閏秒の実施に伴う現在時刻閏秒指示子の変化(値の1または2への変化)と干渉しあうことは起こらない。
なお、第1実施形態および第2実施形態では、協定世界時と日本時間との時差が9時間(日本時間のほうが進んでいる)であることを前提として記述した。協定世界時とローカル時間との時差がこれと異なる場合においても、時差を正しく設定しさえすれば、技術的な構成に特に変更は必要ない。また、あるタイムゾーンにおいて、季節に応じて異なる標準時(例えば、いわゆるデーライト・セービング・タイム,Daylight Saving Time)が導入されても、協定世界時との間の時差の設定を正しく行うことにより、当該実施形態に記載した構成をそのまま用いることができる。
また、受信装置が標準時刻の情報を外部から受け取る手段はNTP以外でも良い。その場合、受信装置は、外部からNTP以外の通信によってあるいは放送信号等によって、現在の標準時刻を受信する。あるいは受信装置は、現在の標準時刻を受信装置内で算出するための情報を受信する。但し、その場合も、受信する情報が、閏秒も含めて標準時刻に同期していることと、そして、閏秒指示子にあたる情報をも受信することが必要である。
また、第1実施形態および第2実施形態では、受信装置が、映像や音声を受信して提示する構成とした。しかし、受信装置が映像アセットや音声アセットを受信せず、タイムドテキストのみを受信して、各実施形態で述べた方法でタイミングを制御しながら、タイムドテキスト(字幕等)のみを提示するようにしても良い。
なお、第1実施形態および第2実施形態では、MH-データ符号化方式記述子内の、字幕等の付加識別情報の一部に参照開始時刻閏秒指示子を格納するようにした。この記述子は頻繁に放送局側から送出されるものであるため、参照開始時刻閏秒指示子を格納するための領域として適切である。受信装置側では、遅滞なく、閏秒指示子を受信できる。
また、第1実施形態および第2実施形態では、同じくMH-データ符号化方式記述子内の、字幕等の付加識別情報の一部に現在時刻に対応する閏秒指示子を格納するようにした。これにより、受信装置側では、この付加識別情報を参照するだけで両方の閏秒指示子(LI1およびLI2)を取得できる。
なお、上述した第1実施形態または第2実施形態における受信装置および送信装置の機能の少なくとも一部を、コンピューターで実現するようにしても良い。その場合、その機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
[タイミングの実例]
以下では、第1実施形態および第2実施形態の受信装置を用いた場合の、字幕提示制御のタイミングの実例について説明する。
図12は、秒の挿入が実施される場合における、NTP時刻と、各タイプの受信装置の受信装置内時刻と、字幕文書(TTML文書)のRST−LI値に関するバリエーションとの関係を表したテーブルの図である。
同図において、受信装置(タイプ1)は、前述の第1実施形態の受信装置1であり、その受信装置内時刻は、NTP時刻と同期している。また、受信装置(タイプ2)は、前述の第2実施形態の受信装置8であり、その受信装置内時刻は、秒の挿入または削除によってNTP時刻とずれた場合であっても、選局操作あるいは電源on/off操作があって初めてNTP時刻と同期される。
同図では、テーブルの各桁に次の項目を設けている。即ち、第1桁にNTP時刻、第2桁にLI2(NTP−LIとほぼ同期)、第3桁に受信装置(タイプ1)の受信装置内時刻、第4桁に受信装置(タイプ2、選局操作等は行われない)の受信装置内時刻、第5桁に受信装置(タイプ2、閏秒実施前に選局操作が行われる)の受信装置内時刻、第6桁に受信装置(タイプ2、閏秒実施後に選局操作が行われる)の受信装置内時刻、第7桁にLI1(つまりRST−LI)が1であるようなTTML文書において指定される相対時刻、第8桁にその相対時刻に対応する時刻T1、第9桁にLI1(つまりRST−LI)が0であるようなTTML文書において指定される相対時刻、第10桁にその相対時刻に対応する時刻T1、である。
また、各行が、秒に対応する。そして、第1桁の左側に参照のための行番号を付している。
同図で表す時刻はすべて日本時間である。そして、本例は秒が挿入される場合であるため、NTP時刻の欄において「8:59:59」が2度現れている(行番号の10,11)。そして、行10以前においてLI2(NTP−LI)の値は1であり、行11以後においてはLI2の値は0である。
[1−1:秒の挿入,受信装置(タイプ1)]
まず、受信装置(タイプ1)とTTML文書1(LI1=1)との組み合わせについて説明する。
行6から行10までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書1のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
行11から行22までにおいて、受信装置内時刻は、TTML文書1のT1よりも1秒先行している。つまり、この受信装置は、この間、T2を基準として字幕等の提示制御を行う。
次に、受信装置(タイプ1)とTTML文書2(LI1=0)との組み合わせについて説明する。
行17から行22までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書2のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
以上のように、受信装置(タイプ1)は、実施形態1において説明した動作手順で、正しく動作する。
[1−2:秒の挿入,受信装置(タイプ2,選局操作なし)]
次に、受信装置(タイプ2,選局操作なし)とTTML文書1(LI1=1)との組み合わせについて説明する。
行6から行22までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書1のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
次に、受信装置(タイプ2,選局操作なし)とTTML文書2(LI1=0)との組み合わせについて説明する。
行17から行22までにおいて、受信装置内時刻は、TTML文書2のT1よりも1秒先行している。つまり、この受信装置は、この間、T3を基準として字幕等の提示制御を行う。
以上のように、受信装置(タイプ2,選局操作なし)は、実施形態2において説明した動作手順で、正しく動作する。
[1−3:秒の挿入,受信装置(タイプ2,閏秒前に選局操作あり)]
次に、受信装置(タイプ2,閏秒前に選局操作あり)とTTML文書1(LI1=1)との組み合わせについて説明する。
行6から行8までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書1のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
行10から行22までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書1のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
次に、受信装置(タイプ2,閏秒前に選局操作あり)とTTML文書2(LI1=0)との組み合わせについて説明する。
行17から行22までにおいて、受信装置内時刻は、TTML文書2のT1よりも1秒先行している。つまり、この受信装置は、この間、T3を基準として字幕等の提示制御を行う。
以上のように、受信装置(タイプ2,閏秒前に選局操作あり)は、実施形態2において説明した動作手順で、正しく動作する。
[1−4:秒の挿入,受信装置(タイプ2,閏秒後に選局操作あり)]
次に、受信装置(タイプ2,閏秒後に選局操作あり)とTTML文書1(LI1=1)との組み合わせについて説明する。
行6から行18までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書1のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
行20から行22までにおいて、受信装置内時刻、TTML文書1のT1よりも1秒遅れている。つまり、この受信装置は、この間、T2を基準として字幕等の提示制御を行う。
次に、受信装置(タイプ2,閏秒後に選局操作あり)とTTML文書2(LI1=0)との組み合わせについて説明する。
行17から行18までにおいて、受信装置内時刻は、TTML文書2のT1よりも1秒先行している。つまり、この受信装置は、この間、T3を基準として字幕等の提示制御を行う。
行20から行22までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書2のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
以上のように、受信装置(タイプ2,閏秒後に選局操作あり)は、実施形態2において説明した動作手順で、正しく動作する。
図13は、秒の削除が実施される場合における、NTP時刻と、各タイプの受信装置の受信装置内時刻と、字幕文書(TTML文書)のRST−LI値に関するバリエーションとの関係を表したテーブルの図である。図12が秒の挿入の場合であったのに対して、この図13は、秒の削除の場合の例を示している点が異なる。図13に示すテーブルの項目等は図12のそれらと同じであり、図13に示すテーブルの内容が図12のそれとは異なる。
同図で表す時刻はすべて日本時間である。そして、本例は秒が削除される場合であるため、NTP時刻の欄において「8:59:59」が1度も現れない。そして、NTP時刻の欄において、「8:59:58」(行番号の9)の次の行が「9:00:00」(行番号の10)である。そして、行9以前においてLI2(NTP−LI)の値は2であり、行10以後においてはLI2の値は0である。
[2−1:秒の削除,受信装置(タイプ1)]
まず、受信装置(タイプ1)とTTML文書1(LI1=2)との組み合わせについて説明する。
行6から行9までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書1のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
行10から行22までにおいて、受信装置内時刻は、TTML文書1のT1よりも1秒先行している。つまり、この受信装置は、この間、T3を基準として字幕等の提示制御を行う。
次に、受信装置(タイプ1)とTTML文書2(LI1=0)との組み合わせについて説明する。
行15から行22までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書2のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
以上のように、受信装置(タイプ1)は、実施形態1において説明した動作手順で、正しく動作する。
[2−2:秒の削除,受信装置(タイプ2,選局操作なし)]
次に、受信装置(タイプ2,選局操作なし)とTTML文書1(LI1=2)との組み合わせについて説明する。
行6から行22までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書1のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
次に、受信装置(タイプ2,選局操作なし)とTTML文書2(LI1=0)との組み合わせについて説明する。
行15から行22までにおいて、受信装置内時刻は、TTML文書2のT1よりも1秒遅れている。つまり、この受信装置は、この間、T2を基準として字幕等の提示制御を行う。
以上のように、受信装置(タイプ2,選局操作なし)は、実施形態2において説明した動作手順で、正しく動作する。
[2−3:秒の削除,受信装置(タイプ2,閏秒前に選局操作あり)]
次に、受信装置(タイプ2,閏秒前に選局操作あり)とTTML文書1(LI1=2)との組み合わせについて説明する。
行6から行7までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書1のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
行9から行22までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書1のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
次に、受信装置(タイプ2,閏秒前に選局操作あり)とTTML文書2(LI1=0)との組み合わせについて説明する。
行15から行22までにおいて、受信装置内時刻は、TTML文書2のT1よりも1秒先行している。つまり、この受信装置は、この間、T3を基準として字幕等の提示制御を行う。
以上のように、受信装置(タイプ2,閏秒前に選局操作あり)は、実施形態2において説明した動作手順で、正しく動作する。
[2−4:秒の削除,受信装置(タイプ2,閏秒後に選局操作あり)]
次に、受信装置(タイプ2,閏秒後に選局操作あり)とTTML文書1(LI1=2)との組み合わせについて説明する。
行6から行18までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書1のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
行20から行22までにおいて、受信装置内時刻は、TTML文書1のT1よりも1秒先行している。つまり、この受信装置は、この間、T3を基準として字幕等の提示制御を行う。
次に、受信装置(タイプ2,閏秒後に選局操作あり)とTTML文書2(LI1=0)との組み合わせについて説明する。
行15から行18までにおいて、受信装置内時刻は、TTML文書2のT1よりも1秒先行している。つまり、この受信装置は、この間、T3を基準として字幕等の提示制御を行う。
行20から行22までにおいて、受信装置内時刻とTTML文書2のT1とは一致している。つまり、この受信装置は、この間、T1を基準として字幕等の提示制御を行う。
以上のように、受信装置(タイプ2,閏秒前に選局操作あり)は、実施形態2において説明した動作手順で、正しく動作する。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態が、第1実施形態および第2実施形態と異なる点は、字幕・文字スーパー伝送方式の付加識別情報内に、現在時刻に対応する閏秒指示子を含まない点である。なお、本実施形態においても、第1実施形態および第2実施形態と同様に、字幕・文字スーパー伝送方式の付加識別情報内に、参照開始時刻に対応する閏秒指示子を含む。
なお、以下において、前述の実施形態と同様の機能ブロックについては同一の符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。以下においては、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
図14は、本実施形態による受信装置の概略機能構成を示すブロック図である。受信装置9は、テレビ放送等を受信するためのテレビ受像機である。図示するように、受信装置9は、受信部11と、選局部12と、復調部14と、分離部15と、映像復号部21と、音声復号部22と、文字スーパー処理部23と、字幕処理部24と、時刻情報受信処理部31と、受信装置内時刻管理部34と、提示部51と、閏秒調整部54と、を含んで構成される。つまり、受信装置9は、第1実施形態における受信装置内時刻管理部32に代えて受信装置内時刻管理部34を備え、また第1実施形態における閏秒調整部52に代えて閏秒調整部54を備える。なお、閏秒調整部54は、提示部51の外部に存在していても良い。
なお、本実施形態における送信装置側の機能構成は、第1実施形態におけるそれと同様である。ただし、本実施形態による送信装置2は、字幕等の伝送に関する付加識別情報内には、現在時刻に対応する閏秒指示子を含めない。そして、本実施形態による送信装置2が、放送信号に含めたNTPパケット内に現在時刻に対応する閏秒指示子を含める点は、第1実施形態と同様である。つまり、本実施形態における閏秒表示設定部72は、付加識別情報内に現在時刻閏秒指示子を設定しない。そして、本実施形態における時刻情報設定部71は、NTPのデータ内には閏秒指示子(NTP−LI)を設定する。
受信装置内時刻管理部34は、受信装置内時計を内部に備えて、受信装置内時刻を管理するとともに、外部から受信する標準時刻(NTP時刻)に受信装置内時刻を少なくとも所定のタイミングで同期させる。この受信装置内時計は、通常時には受信装置内の所定の基準(クロック信号等)に基づいて歩進する。受信装置内時刻管理部34は、所定のタイミングで、時刻情報受信処理部31から通知されるNTP時刻を用いて、受信装置内時計を補正する。また、受信装置内時刻管理部34は、受信装置内時刻の情報を、提示部51に供給する。
なお、本実施形態における受信装置内時刻管理部34は、毎秒、上記のNTP時刻を用いた受信装置内時計の補正を行う。つまり、受信装置内時刻管理部34は、受信装置内時刻を常にNTP時刻(標準時刻)に同期させるように管理する。
受信装置内時刻管理部34は、受信装置内における閏秒補正状態を管理し、各時刻における閏秒補正状態を、閏秒調整部54に通知する。閏秒補正状態を便宜上、Sとする。Sが持つ値の意味は、下記のa〜fの6通りである。ただし、本実施形態においては、S=eとS=fはあり得ない。つまり、本実施形態においてSが取り得る値はa〜dの4つのうちのいずれかである。
S=aであることは、24時間以内に閏秒補正がある(閏秒が実施される)ことを示す。この閏秒は、秒の挿入または秒の削除のいずれかである。受信装置内時刻管理部34は、NTPによって受信する閏秒指示子の値により、24時間以内に閏秒が実施されるか否かを知る。つまり、閏秒が実施されるタイミングの24時間前(ほぼ24時間前の、協定世界時における00時00分00秒。日本時間の09時00分00秒)から、その閏秒が実施される直前までの間、Sの値はaである。このように、閏秒補正状態の情報は、現在の標準時刻が閏秒の実施前の所定の長さの時間内であるか否かを表す情報(即ち、Sの値がaであるか否か)を含んでいる。
S=bであることは、閏秒が発生しないことを示す。より厳密には、S=bであることは、24時間以内には閏秒補正(閏秒の実施)はなく、また、下記のS=c,d,e,fのいずれの状態でもないことを示す。閏秒の実施は、通常は、数十ヶ月に一度といった頻度であるため、大半の期間においてSの値はbである。
S=cであることは、閏秒(秒の挿入または秒の削除)が実施された後であり、受信装置内時計についても閏秒の補正が完了している状態であることを示す。但し、下記のS=dである場合には、Sの値はcとはならない。なお、受信装置において、選局や電源on/off等の所定の操作が行われた場合には、S=cからS=bに戻る。
S=dであることは、閏秒によって秒が挿入されるときの、挿入されている秒が現在の時刻であることを示す。具体的には、閏秒実施時の、協定世界時における23時59分60秒(日本時間では、08時59分60秒)であるときに、S=dである。ただし、NTPによる時刻表示や、受信装置内時計の時刻表示では、協定世界時における23時59分59秒(日本時間では、08時59分59秒)が2秒間続くが、その後半の1秒間において、S=dである。言い換えれば、協定世界時における2回目の23時59分59秒(日本時間では、08時59分59秒が表示されるときにおいて、S=dである。なお、後で、図19を参照しながら具体例の説明も行う。
S=eであることは、非同期(受信装置内時計が、現在時刻に対して進み(先行))の状態であることを示す。つまり、この状態のときには、受信装置内の時計は、閏秒(秒の挿入)が実施されてからまだ現在時刻に同期していない。なお、本実施形態では、常に受信装置内の時計が現在時刻に同期しているため、前述の通り、S=eとなることはない。
S=fであることは、非同期(受信装置内時計が、現在時刻に対して遅れ)の状態であることを示す。つまり、この状態のときには、受信装置内の時計は、閏秒(秒の削除)が実施されてからまだ現在時刻に同期していない。なお、本実施形態では、常に受信装置内の時計が現在時刻に同期しているため、前述の通り、S=fとなることはない。
閏秒調整部54は、参照開始時刻に対する閏秒指示子(RST−LI)と、上記の状態Sの値とに基づいて、提示のタイミングの調整を行う。なお、本実施形態におけるRST−LIについては、次に、図15を参照しながら説明する。また、閏秒調整部54による具体的な調整処理の手順については、後で図16を参照しながら説明する。
図15は、本実施形態において字幕や文字スーパーの伝送において用いるための付加識別情報の構成を示す概略図である。この付加識別情報は、MMT方式による伝送において、アセットごとに設けられるMH−データ符号化方式記述子内に格納されるデータである。基本的に、MPテーブルは、送信装置2から0.1秒周期で送出されるものである。
同図に示す付加識別情報が、図4(第1実施形態)において示した構成と異なる点は、現在時刻に対応する閏秒指示子(図4においては、第5行目に存在していたleap_indicator)を格納しないことである。図15に示すように、本実施形態による付加識別情報は、第5行目の場所に3ビットの長さを有するreserved領域(現在は使用されておらず将来の使用のために予約された領域)を含む。図15に示すその他のデータ項目およびその意味は、図4に示したそれらと同様である。なお、本実施形態の付加識別情報は、第19行目にはデータ項目reference_start_time_leap_indicator(参照開始時刻閏秒指示子,RST−LI)を有している。
次に受信装置9の動作手順について説明する。
図16は、字幕等の提示における閏秒の調整に関する、受信装置9の動作の手順を示すフローチャートである。処理の前提として、閏秒の実施のほぼ24時間前から、NTP−LIの値として「1」または「2」が表示される。そして、受信装置9は、NTPによりこの情報を取得している。なお、同図内で、受信装置9の動作を、便宜上「TYPE3」と示している。この「TYPE3」の受信装置を「想定動作1の受信装置」と呼ぶこともある。
なお、閏秒調整部54は、字幕等を格納したTTML文書内で指定される相対時刻(字幕等の提示開始または提示終了のタイミングを表す相対時刻)ごとに、これら両図に示されるフローチャートの処理を行う。以下、このフローチャートに沿って説明する。
まず、ステップS301において、閏秒調整部54は、初期処理を行う。初期処理の内容は、次の通りである。
まず、開始時刻+相対時刻が示す時刻をT1とする。つまり、閏秒調整部54は、参照開始時刻(付加識別情報のreference_start_time)と相対時刻(字幕等の提示開始の時刻(begin属性)または提示終了の時刻(end属性)として指定された相対時刻)とを加算した時刻をT1とする。なお、T1は、時刻を一時的に記憶するための変数ないしは記憶領域である。なお、本ステップにおける時刻の加算を行う場合には、実施される閏秒を考慮した加算を行うのではなく、1分=60秒であることを前提とした加算を行う。つまり、閏秒がないものとして、参照開始時刻と前記相対時刻とを加算する。
次に、閏秒調整部54は、上記のT1の1秒前の時刻をT2とする。また、上記のT1の1秒後の時刻をT3とする。このT2およびT3もまた、上記のT1と同様の変数ないしは記憶領域である。これらT2およびT3は、後のステップにおいて、提示タイミングのずれを調整する場合における、字幕等の提示動作(提示開始(@begin)または提示終了(@end))の基準として用いる時刻である。
そして、閏秒調整部54は、参照開始時刻に対応する閏秒指示子(付加識別情報内のrefarence_start_time_leap_indicator,RST−LI)の値を、LIとする。なお、LIは、RST−LIの値を記憶するための変数ないしは記憶領域である。
次に、ステップS302において、閏秒調整部54は、受信装置内時刻管理部34から、現在時刻と閏秒補正状態を取得する。具体的には、次の通りである。
まず、閏秒調整部54は、受信装置内時刻管理部34から、閏秒補正状態Sの通知を受けるSの値は、a,b,c,d,e,fの6通りであり、その意味は前述の通りである。
但し、本実施形態の受信装置9は、内部で管理する時計を常に現在時刻に同期させるため、Sの値として、e,fを取ることはない。本実施形態の受信装置9においては、Sの値は必ず、a,b,c,dのいずれかである。
次に、閏秒調整部54は、現在の受信装置内時刻をT0とする。このT0もまた、時刻を一時的に記憶するための変数ないしは記憶領域である。受信装置内時刻は、受信装置内時刻管理部34によって管理されて、歩進している時刻である。
次に、ステップS303において、閏秒調整部54は、前記のLIの値(即ち、RST−LI)に応じた処理の分岐を行う。LIは、0,1,2の3通りの値をとり得る。LIの値が2の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の削除がある場合)、閏秒調整部54はステップS304に制御を移す。LIの値が1の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の挿入がある場合)、閏秒調整部54はステップS306に制御を移す。LIの値が0の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の挿入も削除もない場合)、閏秒調整部54はステップS308に制御を移す。
次に、ステップS304に移った場合、同ステップおいて、閏秒調整部54は、前記の閏秒補正状態Sの値に応じた処理の分岐を行う。Sの値がaである場合、閏秒調整部54は、ステップS308に制御を移す。Sの値がbまたはcのいずれかである場合、閏秒調整部54は、ステップS305に制御を移す。なお、前述の通り、本実施形態におけるSの値はa,b,c,dのいずれかであり、e,fはあり得ない。また、このステップS304に制御が移るのは、LI=2(秒の削除を示す)の場合であるため、秒の挿入中の状態であるdも、あり得ない。
次に、ステップS305に移った場合、同ステップにおいて、閏秒調整部54は、時刻T3とT0との比較による判定を行う。つまり、提示動作を実行すべきタイミングはT3である。T3=T0である場合(ステップS305:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、閏秒調整部54は、制御をステップS309に移す。T3=T0ではない場合(ステップS305:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T3)はまだ到来していないため、ステップS302に戻る。
ただし、ステップS302に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部54は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS302の処理に入ることを待機する。
次に、ステップS306に移った場合、同ステップおいて、閏秒調整部54は、前記の閏秒補正状態Sの値に応じた処理の分岐を行う。Sの値がaである場合、閏秒調整部54は、ステップS308に制御を移す。Sの値がb,c,dのいずれかである場合、閏秒調整部54は、ステップS307に制御を移す。なお、前述の通り、本実施形態におけるSの値はa,b,c,dのいずれかであり、e,fはあり得ない。
次に、ステップS307に移った場合、同ステップにおいて、閏秒調整部54は、時刻T2とT0との比較による判定を行う。つまり、提示動作を実行すべきタイミングはT2である。T2=T0である場合(ステップS307:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、閏秒調整部54は、制御をステップS309に移す。T2=T0ではない場合(ステップS307:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T2)はまだ到来していないため、ステップS302に戻る。
ただし、ステップS302に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部54は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS302の処理に入ることを待機する。
ステップS308に移った場合、同ステップにおいて、閏秒調整部54は、時刻T1とT0との比較による判定を行う。つまり、この場合、提示動作を実行すべきタイミングはT1である。T1=T0である場合(ステップS308:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、閏秒調整部54は、制御をステップS309に移す。T1=T0ではない場合(ステップS308:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T1)はまだ到来していないため、ステップS302に戻る。
ただし、ステップS302に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部54は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS302の処理に入ることを待機する。
ステップS309に(ステップS305,S307,S308のいずれかから)移った場合、本ステップにおいて閏秒調整部54は、当該時刻を動作時刻とする。ここで「動作時刻とする」とは、字幕等の提示開始の動作(相対時刻として提示開始(@begin)が指定されていた場合)、または字幕等の提示終了の動作(相対時刻として提示終了(@end)が指定されていた場合)を実行するという意味である。閏秒調整部54がこのような制御を行うことにより、提示部51は、閏秒に関する調整を行ったタイミングにおいて指定された動作(提示開始または提示終了)を実行する。ステップS309の処理の実行後には、閏秒調整部54は、このフローチャート全体の処理を終了する。
フローチャートを用いて説明した閏秒調整部54による処理を整理すると、次の通りである。
(1)参照開始時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であることを示し、且つ当該閏秒が秒の挿入であることを示すものであり、且つ、
(1a)受信装置内時刻管理部から通知された前記閏秒補正状態が、閏秒の実施以前の所定の長さの時間内ではないことを示す、
(1b)受信装置内時刻管理部から通知された前記閏秒補正状態が、前記受信装置内時刻に関して閏秒の補正が完了している状態であることを示す、
(1c)受信装置内時刻管理部から通知された前記閏秒補正状態が、現在時刻は挿入されている秒であることを示す、
上記(1a)、(1b)または(1c)のいずれかの状態(S=b,c,d)である場合には、参照開始時刻と相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻よりも1秒前の時刻(時刻T2)に、受信装置内時刻が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を前記提示部が行うように、閏秒調整部54は調整する。これは、前記のステップS307およびS309の処理に該当する。
(2)参照開始時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であることを示し、且つ当該閏秒が秒の削除であることを示すものであり、且つ、
(2a)受信装置内時刻管理部から通知された前記閏秒補正状態が、閏秒の実施以前の所定の長さの時間内ではないことを示す、
(2b)受信装置内時刻管理部から通知された前記閏秒補正状態が、前記受信装置内時刻に関して閏秒の補正が完了している状態であることを示す、
上記(2a)または(2b)のいずれかの状態(S=b,c)である場合には、前記参照開始時刻と前記相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻よりも1秒後の時刻(時刻T3)に、前記受信装置内時刻が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を前記提示部が行うように、閏秒調整部54は調整する。これは、前記のステップS305およびS309の処理に該当する。
(3)上記の(1)または(2)のいずれでもない場合には、前記参照開始時刻と前記相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻(時刻T1)に、前記受信装置内時刻が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を前記提示部が行うように、閏秒調整部54は調整する。これは、前記のステップS308およびS309の処理に該当する。
このように、本実施形態によれば、閏秒による提示時刻のずれを補正し、正しいタイミングで字幕等を提示開始/提示終了させることができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態においても、第3実施形態と同様に、字幕・文字スーパー伝送方式の付加識別情報内に、現在時刻に対応する閏秒指示子を含まない。なお、字幕・文字スーパー伝送方式の付加識別情報内に、参照開始時刻に対応する閏秒指示子を含む。
なお、以下において、前述の実施形態と同様の機能ブロックについては同一の符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。以下においては、本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
図17は、本実施形態による受信装置の概略機能構成を示すブロック図である。受信装置10は、テレビ放送等を受信するためのテレビ受像機である。図示するように、受信装置10は、受信部11と、選局部12と、復調部14と、分離部15と、映像復号部21と、音声復号部22と、文字スーパー処理部23と、字幕処理部24と、時刻情報受信処理部31と、受信装置内時刻管理部35と、提示部51と、閏秒調整部55と、を含んで構成される。つまり、受信装置10は、第1実施形態における受信装置内時刻管理部32に代えて受信装置内時刻管理部35を備え、また第1実施形態における閏秒調整部52に代えて閏秒調整部55を備える。なお、閏秒調整部55は、提示部51の外部に存在していても良い。
なお、本実施形態における送信装置側の機能構成は、第1実施形態におけるそれと同様である。ただし、本実施形態による送信装置2は、字幕等の伝送に関する付加識別情報内には、現在時刻に対応する閏秒指示子を含めない。そして、本実施形態による送信装置2が、放送信号に含めたNTPパケット内に現在時刻に対応する閏秒指示子を含める点は、第1実施形態と同様である。つまり、本実施形態における閏秒表示設定部72は、付加識別情報内に現在時刻閏秒指示子を設定しない。そして、本実施形態における時刻情報設定部71は、NTPのデータ内には閏秒指示子(NTP−LI)を設定する。
受信装置内時刻管理部35は、受信装置内時計を内部に備えて、受信装置内時刻を管理するとともに、外部から受信する標準時刻(NTP時刻)に受信装置内時刻を少なくとも所定のタイミングで同期させる。この受信装置内時計は、通常時には受信装置内の所定の基準(クロック信号等)に基づいて歩進する。受信装置内時刻管理部35は、所定のタイミングで、時刻情報受信処理部31から通知されるNTP時刻を用いて、受信装置内時計を補正する。また、受信装置内時刻管理部35は、受信装置内時刻の情報を、提示部51に供給する。
なお、本実施形態における受信装置内時刻管理部35は、第2実施形態における受信装置内時刻管理部33と同様のタイミングで、受信装置内時計の補正を行う。つまり、本実施形態における受信装置内時刻管理部35は、受信装置10における選局操作があったとき、または電源がon/offされたときに、そしてそれらのときのみに、上記のNTP時刻を用いた受信装置内時計の補正を行う。これらの操作は、例えば、リモコン装置からのリモコン信号による。つまり、本実施形態において受信装置内時計は、秒の挿入または秒の削除が行われたとき、NTP時刻とのあいだでずれが生じるが、受信装置内時刻管理部35は、必ずしも直ちに受信装置内時計をNTP時刻に合わせる処理を行わない。その理由は、第2実施形態においても述べたとおりである。
受信装置内時刻管理部35は、受信装置内における閏秒補正状態を管理し、各時刻における閏秒補正状態を、閏秒調整部55に通知する。閏秒補正状態を便宜上、Sとする。Sが持つ値の意味は、a〜fの6通りであり。なお、Sの値(a,b,c,d,e,f)のそれぞれの意味は、第3実施形態において説明した通りである。ただし、本実施形態においては、S=cとS=dはあり得ない。S=cとならない理由は、前述の通り、閏秒の実施(秒の挿入または秒の削除)の後、ただちに受信装置内時計を現在時刻に同期させる処理を行わないためである。つまり、本実施形態においてSが取り得る値は、a,b,e,fの4つのうちのいずれかである。
なお、値a,b,c,d,e,fの意味は第3実施形態において述べたとおりであるのでここでの説明を省略する。
閏秒調整部55は、参照開始時刻に対する閏秒指示子(RST−LI)と、上記の状態Sの値とに基づいて、提示のタイミングの調整を行う。
本実施形態で用いる字幕・文字スーパーの伝送に関する付加識別情報は、第3実施形態におけるそれと同様のものである。つまり、本実施形態においても、図15に示した付加識別情報を用いる。つまり、本実施形態が用いる付加識別情報は、現在時刻に対応する閏秒指示子を格納しない。ただし、付加識別情報は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態と同様に、参照開始時刻に関する閏秒指示子(reference_start_time_leap_indicator,RST−LI)を格納している。
次に受信装置10の動作手順について説明する。
図18は、字幕等の提示における閏秒の調整に関する、受信装置10の動作の手順を示すフローチャートである。処理の前提として、閏秒の実施のほぼ24時間前から、NTP−LIの値として「1」または「2」が表示される。そして、受信装置10は、NTPによりこの情報を取得している。なお、同図内で、受信装置10の動作を、便宜上「TYPE4」と示している。この「TYPE4」の受信装置を「想定動作2の受信装置」と呼ぶこともある。
なお、閏秒調整部55は、字幕等を格納したTTML文書内で指定される相対時刻(字幕等の提示開始または提示終了のタイミングを表す相対時刻)ごとに、これら両図に示されるフローチャートの処理を行う。以下、このフローチャートに沿って説明する。
まず、ステップS401において、閏秒調整部55は、初期処理を行う。初期処理の内容は、第3実施形態におけるステップS301と同様である。
つまり、閏秒調整部55は、開始時刻+相対時刻が示す時刻をT1とする。また、閏秒調整部55は、上記のT1の1秒前の時刻をT2とする。また、上記のT1の1秒後の時刻をT3とする。また、閏秒調整部55は、参照開始時刻に対応する閏秒指示子の値を、LIとする。
次に、ステップS402において、閏秒調整部55は、受信装置内時刻管理部34から、現在時刻と閏秒補正状態を取得する。具体的には、次の通りである。
まず、閏秒調整部55は、受信装置内時刻管理部35から、閏秒補正状態Sの通知を受ける。Sの値は、a,b,c,d,e,fの6通りであり、その意味は前述の通りである。ただし、本実施形態の受信装置9においては、Sの値は必ず、a,b,e,fのいずれかである。
そして、閏秒調整部55は、現在の受信装置内時刻をT0とする。
次に、ステップS403において、閏秒調整部55は、前記のLIの値(即ち、RST−LI)に応じた処理の分岐を行う。LIは、0,1,2の3通りの値をとり得る。LIの値が2の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の削除がある場合)、閏秒調整部55はステップS404に制御を移す。LIの値が1の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の挿入がある場合)、閏秒調整部55はステップS405に制御を移す。LIの値が0の場合(参照開始時刻の後の24時間以内に秒の挿入も削除もない場合)、閏秒調整部55はステップS406に制御を移す。
次に、ステップS404に移った場合、同ステップおいて、閏秒調整部55は、前記のSの値に応じた処理の分岐を行う。Sの値がbである場合、閏秒調整部55は、ステップS407に制御を移す。Sの値がa,fのいずれかである場合、閏秒調整部55は、ステップS409に制御を移す。なお、本ステップに制御が移るのは、LI=2の場合であり、その場合、Sの値は、a,b,fのいずれかであり、c,d,eはあり得ない。
次に、ステップS405に移った場合、同ステップおいて、閏秒調整部55は、前記のSの値に応じた処理の分岐を行う。Sの値がbである場合、閏秒調整部55は、ステップS408に制御を移す。Sの値がa,eのいずれかである場合、閏秒調整部55は、ステップS409に制御を移す。なお、本ステップに制御が移るのは、LI=1の場合であり、その場合、Sの値は、a,b,eのいずれかであり、c,d,fはあり得ない。
次に、ステップS406に移った場合、同ステップおいて、閏秒調整部55は、前記のSの値に応じた処理の分岐を行う。Sの値がeである場合、閏秒調整部55は、ステップS407に制御を移す。Sの値がfである場合、閏秒調整部55は、ステップS408に制御を移す。Sの値がa,bのいずれかである場合、閏秒調整部55は、ステップS409に制御を移す。なお、本ステップに制御が移るのは、LI=0の場合であり、その場合、Sの値は、a,b,e,fのいずれかであり、c,dはあり得ない。
次に、ステップS407に移った場合、同ステップにおいて、閏秒調整部55は、時刻T3とT0との比較による判定を行う。つまり、提示動作を実行すべきタイミングはT3である。T3=T0である場合(ステップS407:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、閏秒調整部55は、制御をステップS410に移す。T3=T0ではない場合(ステップS407:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T3)はまだ到来していないため、ステップS402に戻る。
ただし、ステップS402に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部55は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS402の処理に入ることを待機する。
次に、ステップS408に移った場合、同ステップにおいて、閏秒調整部55は、時刻T2とT0との比較による判定を行う。つまり、提示動作を実行すべきタイミングはT2である。T2=T0である場合(ステップS408:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、閏秒調整部55は、制御をステップS410に移す。T2=T0ではない場合(ステップS408:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T2)はまだ到来していないため、ステップS402に戻る。
ただし、ステップS402に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部55は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS402の処理に入ることを待機する。
次に、ステップS409に移った場合、同ステップにおいて、閏秒調整部55は、時刻T1とT0との比較による判定を行う。つまり、提示動作を実行すべきタイミングはT1である。T1=T0である場合(ステップS409:YES)、現時点が提示動作(字幕等の提示開始または提示終了)を実行すべきタイミングであるため、閏秒調整部55は、制御をステップS410に移す。T1=T0ではない場合(ステップS409:NO)、提示動作を実行すべきタイミング(T1)はまだ到来していないため、ステップS402に戻る。
ただし、ステップS402に制御を戻す過程において、受信装置内時刻が秒単位で更新される。言い換えれば、閏秒調整部55は、受信装置内時刻における秒が更新されるまで、次に実行すべきステップS402の処理に入ることを待機する。
ステップS410に(ステップS407,S408,S409のいずれかから)移った場合、本ステップにおいて閏秒調整部55は、当該時刻を動作時刻とする。ここで「動作時刻とする」とは、字幕等の提示開始の動作(相対時刻として提示開始(@begin)が指定されていた場合)、または字幕等の提示終了の動作(相対時刻として提示終了(@end)が指定されていた場合)を実行するという意味である。閏秒調整部55がこのような制御を行うことにより、提示部51は、閏秒に関する調整を行ったタイミングにおいて指定された動作(提示開始または提示終了)を実行する。ステップS410の処理の実行後には、閏秒調整部55は、このフローチャート全体の処理を終了する。
フローチャートを用いて説明した閏秒調整部55による処理を整理すると、次の通りである。
(1a)参照開始時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であることを示し、且つ当該閏秒が秒の挿入であることを示すものであり、且つ、前記受信装置内時刻管理部から通知された前記閏秒補正状態が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内ではないことを示す(S=b)場合、
(1b)参照開始時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内でないことを示し、且つ、前記受信装置内時刻管理部から通知された前記閏秒補正状態が、前記受信装置内時刻が前記標準時刻よりも遅れている状態(S=f)であることを示す場合、
(1)上記の(1a)または(1b)のいずれかである場合には、前記参照開始時刻と前記相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻よりも1秒前の時刻(時刻T2)に、前記受信装置内時刻が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を前記提示部が行うように、閏秒調整部55は調整する。これは、前記のステップS408およびS410の処理に該当する。
(2a)参照開始時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内であることを示し、且つ当該閏秒が秒の削除であることを示すものであり、且つ、前記受信装置内時刻管理部から通知された前記閏秒補正状態が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内ではないことを示す(S=b)場合、
(2b)参照開始時刻閏秒指示子が閏秒の実施以前の所定の長さの時間内でないことを示し、且つ、前記受信装置内時刻管理部から通知された前記閏秒補正状態が、前記受信装置内時刻が前記標準時刻よりも先行している状態(S=e)であることを示す場合、
(2)上記の(2a)または(2b)のいずれかである場合には、前記参照開始時刻と前記相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻よりも1秒後の時刻(時刻T3)に、前記受信装置内時刻が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を前記提示部が行うように、閏秒調整部55は調整する。これは、前記のステップS407およびS410の処理に該当する。
(3)上記の(1)または(2)のいずれでもない場合には、前記参照開始時刻と前記相対時刻とを閏秒がないものとして加算した時刻(時刻T1)に、前記受信装置内時刻が到達したタイミングにおいて、当該相対時刻に対応する提示開始または提示終了を前記提示部が行うように、閏秒調整部55は調整する。これは、前記のステップS409およびS410の処理に該当する。
このように、本実施形態によれば、閏秒による提示時刻のずれを補正し、正しいタイミングで字幕等を提示開始/提示終了させることができる。
[変形例等]
以下には、第1実施形態および第2実施形態に関して既に述べた変形例を、第3実施形態および第4実施形態に適用することとしても良い。また、第1実施形態および第2実施形態に関して述べた想定事項は、第3実施形態および第4実施形態においても想定される。
第3実施形態および第4実施形態においても、日本時間で動作する状況を説明したが、各地のローカルタイムにおいても、協定世界時との時差を正しく設定しさえすれば、同様の動作が可能である。
なお、上述した第3実施形態または第4実施形態における受信装置および送信装置の機能の少なくとも一部を、第1実施形態および第2実施形態の場合と同様に、コンピューターで実現するようにしても良い。その場合も、コンピューターに、プログラムを読み込ませて実行させるようにする。
以上、第3実施形態と第4実施形態について図面を参照しながら詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
[タイミングの実例]
以下では、第3実施形態および第4実施形態のそれぞれの受信装置の内部における時計の管理、および状態Sの管理の実例について説明する。
図19および図20は、閏秒が実施される場合における、第3実施形態および第4実施形態のそれぞれの受信装置の内部での、時計管理と閏秒補正状態(状態S)の関係を示す概略図である。なお、図19は、秒が挿入される状況を示す。また、図20は、秒が削除される状況を示す。なお、図19と図20の各々の左端には、参照のための行番号を便宜的に付している。
まず、図19において、第1行から第11行までは閏秒実施の前日(日本時間)を示し、時刻が飛んで、第21行から第37行までは、閏秒実施の当日(日本時間)を示す。同図に示す各桁は、左側から、UTC時刻を日本時間に換算した時刻(UTCプラス9時間)、NTP時刻を日本時間に換算した時刻、「TYPE 3」の受信機(第3実施形態による受信装置9)における受信装置内時計の値と閏秒補正状態(状態S)、「TYPE 4」の受信機(第4実施形態による受信装置10)における受信装置内時計の値と閏秒補正状態(状態S)に対応する。同図は、秒の挿入がある場合を示しているため、UTC時刻(日本時間に換算)においては、閏秒実施当日の08:59:58、08:59:59、の次に、08:59:60という時刻(秒)が存在し、その次が、09:00:00である。NTP時刻(日本時間に換算)は、基本的にUTC時刻(日本時間に換算)と同一であるが、そのデータ表示として、UTC時刻(日本時間に換算)の08:59:60に対応するNTP時刻(日本時間に換算)の表示は08:59:59である。同図の第26行がこれに相当する。
図19のTYPE 3受信機(第3実施形態の受信装置9)において、受信装置内時計は、常にNTP時刻と同期している。また、閏秒補正状態(状態S)の値は次の通りである。即ち、閏秒実施前日の08:59:59(日本時間。以下同様。)までは、状態Sの値はb(閏秒が発生しないことを示す)である。閏秒実施前日の09:00:00から閏秒実施当日の08:59:59(NTP時刻および受信装置内時計においては、1度目の08:59:59)までは、状態Sの値はa(その時から24時間以内に閏秒補正があることを示す)である。そして、閏秒実施当日の08:59:60(NTP時刻および受信装置内時計においては、2度目の08:59:59)において、状態Sの値はd(閏秒によって挿入されている秒であることを示す)である。その後、閏秒実施当日の09:00:00から選局等の動作が行われるまで(同図では、09:00:05まで)において、状態Sの値はc(閏秒の補正が完了したことを示す)である。そして、選局等の動作の後(同図では、09:00:08以後)においては、状態Sの値はbに戻る。
図19のTYPE 4受信機(第4実施形態の受信装置10)において、受信装置内時計は、通常時にはNTP時刻と同期しているが、閏秒が実施されてから選局等の動作が行われるまでの間には両者が同期しない状態が生じる。状態の経過に伴う、閏秒補正状態(状態S)の値の変化は次の通りである。即ち、閏秒実施前日の08:59:59(日本時間。以下同様。)までは、状態Sの値はb(閏秒が発生しないことを示す)である。閏秒実施前日の09:00:00から閏秒実施当日の08:59:59(NTP時刻および受信装置内時計においては、1度目の08:59:59)までは、状態Sの値はa(その時から24時間以内に閏秒補正があることを示す)である。そして、閏秒実施当日の08:59:60(NTP時刻および受信装置内時計においては、2度目の08:59:59)から、次に選局等の動作が行われるまで(同図では、09:00:05まで)において、状態Sの値はe(非同期(受信装置内時刻が先行)の状態であることを示す)である。そして、選局等の動作の後(同図では、09:00:08以後)においては、状態Sの値はbに戻る。
次に、図20において、第1行から第11行までは閏秒実施の前日(日本時間)を示し、時刻が飛んで、第21行から第35行までは、閏秒実施の当日(日本時間)を示す。同図に示す各桁は、図19の各桁と同様である。同図は、秒の削除がある場合を示しているため、UTC時刻(日本時間に換算)においては、閏秒実施当日の08:59:58の次に、08:59:59という時刻(秒)がなく、09:00:00へと移る(第25行)。秒の削除が行われる状況においては、NTP時刻(日本時間に換算)は、基本的にUTC時刻(日本時間に換算)と同一である。
図20のTYPE 3受信機(第3実施形態の受信装置9)において、受信装置内時計は、常にNTP時刻と同期している。また、閏秒補正状態(状態S)の値は次の通りである。即ち、閏秒実施前日の08:59:59(日本時間。以下同様。)までは、状態Sの値はb(閏秒が発生しないことを示す)である。閏秒実施前日の09:00:00から閏秒実施当日の08:59:58までは、状態Sの値はa(その時から24時間以内に閏秒補正があることを示す)である。そして、閏秒実施当日には08:59:59が存在しない。そして、閏秒実施当日の09:00:00から選局等の動作が行われるまで(同図では、09:00:05まで)において、状態Sの値はc(閏秒の補正が完了したことを示す)である。そして、選局等の動作の後(同図では、09:00:08以後)においては、状態Sの値はbに戻る。
図19のTYPE 4受信機(第4実施形態の受信装置10)において、受信装置内時計は、通常時にはNTP時刻と同期しているが、閏秒が実施されてから選局等の動作が行われるまでの間には両者が同期しない状態が生じる。状態の経過に伴う、閏秒補正状態(状態S)の値の変化は次の通りである。即ち、閏秒実施前日の08:59:59(日本時間。以下同様。)までは、状態Sの値はb(閏秒が発生しないことを示す)である。閏秒実施前日の09:00:00から閏秒実施当日の08:59:58までは、状態Sの値はa(その時から24時間以内に閏秒補正があることを示す)である。そして、閏秒実施当日の08:59:59は存在しない。そして、閏秒実施当日の09:00:00(ただし、受信装置内時計においては、08:59:59)から、次に選局等の動作が行われるまで(同図では、NTP時刻の09:00:05まで。受信装置内時計の09:00:04まで)において、状態Sの値はf(非同期(受信装置内時刻が遅れ)の状態であることを示す)である。そして、選局等の動作の後(同図では、09:00:08以後)においては、状態Sの値はbに戻る。
[実施形態ごとの特徴]
付加識別情報内に、現在時刻に対応する閏秒指示子を含む方式は、第1実施形態および第2実施形態である。
付加識別情報内に、現在時刻に対応する閏秒指示子を含まない方式は、第3実施形態および第4実施形態である。
NTP時刻と受信装置内時計とを常に同期させる方式は、第1実施形態および第3実施形態である。
閏秒実施後は所定の操作(選局や電源on/off等)があるまで、NTP時刻と受信装置内時計とのずれ(非同期)を許容させる方式は、第2実施形態および第4実施形態である。