以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施の形態は、品機能展開に係り、詳細には、品質機能展開における展開表や二元表などの諸表を得るための処理を行う品質機能展開処理に関する。品質機能展開は、例えば、製品やサービスの設計において、顧客に満足が得られる設計品質を設定し、設定した設計品質を具現化するように、各機能項目や構成等との依存関係の確認などに適用される。品質機能展開においては、実際の依存関係を適正に確認する必要があり、このために、品質機能展開においては、多くの設計品質などの機能項目が正確にかつもれなく(見落とし無く)設定される。また、品質機能展開においては、関連する一連のプロセスのうちから一つ又は複数のプロセスを軸として、プロセスの各要素(以下、機能項目とする)を階層化し系統的に表示することで各機能項目の対応関係が明確化される。
本実施の形態は、各種の事案の品質機能展開について、関連する2つのプロセスの対応関係(例えば、プロセスを軸とする展開表の対応関係)を組み合わせ、2つのプロセスの間の機能項目の対応関係(依存関係)を示す二元表(matrix)などの作成に適用される。品質機能展開における二元表には、要求品質展開表、品質要素(特性)展開表、企画品質設定表、設計品質設定表、機能展開表、機構展開表、ユニット・部品展開表、工法展開表、シーズ展開表、及びコスト展開表などの諸表がある。また、二元表には、原価企画設定表、素材展開表、FT展開表、信頼性企画設定表、計測機器展開表、測定方法展開表、業務機能展開表、技術展開表、QA表、QC工程表、及び保証項目展開表などの諸表があり、本実施の形態では、これらの諸表の作成に適用される。また、本実施の形態は、これらに限らず、所望のプロセスの間の対応関係を示す二元表の作成に用いられる。
さらに、本実施の形態に係る品質機能展開は、2つのプロセスに限らず、2つ以上(例えば3又は4)のプロセスの対応関係を組み合わせ、各プロセスの間の機能項目の対応関係を表す品質機能展開に係る図表の作成に用いられる。なお、以下の説明においては、複数のプロセスの対応関係を示す品質機能展開に係る図表を「多元表」と表記して説明する。即ち、以下の説明においては、2つのプロセスの対応関係を示す多元表を二元表とし、3つのプロセスの対応関係を示す多元表を三元表、4つのプロセスの対応関係を示す多元表を四元表として説明する。また、本実施の形態において、プロセスは、品質−性能−構造−材料などのように、対象とする事案について、相互に関連するか又は相互に作用する一連の活動を示し、関連するプロセスの間では、一方のアウトプットが他方のインプットとなるように作用する(JIS Q 9000等参照)。
〔第1の実施の形態〕
図2には、第1の実施の形態に係る品質機能展開システム10に用いられる情報処理装置12の一例が示されている。情報処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)14、RAM(Random Access Memory)16、ROM(Read Only Memory)18、及び入出力インターフェイス(I/F)20等を備える。また、情報処理装置12は、PCIバス(Peripheral Component Interconnect bus)などのバス22を備え、CPU14、RAM16、ROM18、及び入出力I/F20がバス22に接続されている。また、情報処理装置12は、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)等の大容量の不揮発性メモリ(以下、一例としてHDD24とする)、データ等を入力するためのキーボード26、及びポインティングデバイスであるマウス28等を備える。さらに、情報処理装置12は、各種の情報の表示、及びデータ等の入出力に用いるユーザインターフェイス(UI)等の表示も用いられるディスプレイ30を備える。情報処理装置12は、HDD24、キーボード26、マウス28、及びディスプレイ30が入出力I/F20に接続された一般的構成のコンピュータが適用される。
なお、本実施の形態では、情報処理装置12に各種の情報を入力する入力手段として主にキーボード26及びマウス28を用いるように説明するが、入力手段は、公知の各種の方式を適用することができる。例えば、情報処理装置12は、入力手段としてマイク及び言語解釈インターフェイスを含む音声入力デバイスが接続されても良い。これにより、各種の情報を音声により入力することが可能となる。また、情報処理装置12には、入力手段としてモーションデバイスが接続されても良い。これにより、情報処理装置12は、操作者の指や手の動きなどの動作を認識し、認識した動作に基づいた情報が入力される。
情報処理装置12は、CPU14が、ROM18及びHDD24に記憶されているプログラムを読み出してRAM16に展開し、プログラム及びプログラムが有する各プロセスを実行する。
なお、情報処理装置12は、フラッシュメモリ等を用いたメモリカード、CD、DVDやBD(Blu-ray(登録商標) Disk)等の光ディスク、及びMDやMO等の光磁気ディスクなどの可搬型記憶媒体の何れかに対応する一つ又は複数のドライブユニット32が接続されていても良い。この場合、情報処理装置12では、ドライブユニット32が入出力I/F20に接続され、ドライブユニット32に装填された可搬型記憶媒体34に記憶されているプログラム等がHDD24に格納(インストール)される。また、情報処理装置12は、CPU14が実行した処理の処理結果等を示すデータなどの各種のデータを出力する場合、ドライブユニット32に装填された可搬型記憶媒体34に書き込んでも良い。
また、情報処理装置12は、専用ネットワーク回線又は公衆ネットワーク回線網等に接続して各種の通信を行う通信インターフェイス36を備える。情報処理装置12は、通信インターフェイス36を介して、プログラムの取得及びデータの入出力を行い、通信インターフェイス36により取得したプログラムやデータをHDD24に格納する。また、情報処理装置12は、CPU14が実行した処理の処理結果等を示すデータなどを、通信インターフェイス36を介して、他の情報処理装置又はサーバへ出力しても良い。
第1の実施の形態に係る品質機能展開システム10は、例えば、情報処理装置12が、HDD24に品質機能展開処理プログラムを格納し、CPU14が、品質機能展開処理プログラムを実行することで、品質機能展開処理を行う。この際、品質機能展開システム10は、各種の展開表、及び各種の多元表の元となる品質機能展開に係る情報を作成する。また、品質機能展開システム10は、品質機能展開に係る情報に基づいて各種の展開表及び多元表を作成する。
図1に示すように、第1の実施の形態に係る品質機能展開システム10は、受付処理部40、展開処理部42、軸設定部44、及び出力部46を備える。また、展開処理部42は、軸項目設定部48、格納部50、連関情報設定部52、及び作成処理部54を含む。品質機能展開システム10では、受付処理部40が、軸項目設定部48及び格納部50に接続され、軸項目設定部48が格納部50及び連関情報設定部52に接続されている。また、品質機能展開システム10は、軸設定部44が連関情報設定部52に接続され、連関情報設定部52が格納部50及び作成処理部54に接続され、作成処理部54が出力部46に接続されている。
受付処理部40は、処理対象とする品質機能展開の原情報の入力を受け付ける。原情報には、処理対象とする品質機能展開に係る一連のプロセスの依存関係を示すプロセス情報、各プロセスにおける機能項目、機能項目についての属性情報、及び機能項目についての依存情報などが含まれる。また、原情報には、2つの機能項目の間で2つの機能項目の関連性に対する機能を示す機能項目が含まれても良い。受付処理部40は、例えば、ディスプレイ30に品質機能展開の原情報の受け付け用として予め定めているUI(User Interface)などを表示する。また、受付処理部40は、ディスプレイ30に表示したUI上に、キーボード26のキー操作及びマウス28の操作などにより、プロセス情報、機能項目、機能項目の属性情報及び依存関係(依存情報)の各々が入力されることで、入力された情報を受け付ける。
受付処理部40で受け付けるプロセスは、品質機能展開に係る複数のプロセスであり、対象とする品質機能展開に対応する順序で接続関係を有する一連のプロセスが適用される。また、プロセス情報には、一連のプロセスの各々を特定する情報、及び一連のプロセスの間の接続関係を特定する情報が含まれる。即ち、プロセス情報には、一つのプロセスに対して、インプットとなるプロセス(依存元のプロセス)及びアウトプットとなるプロセス(依存先のプロセス)が特定される情報が含まれる。第1の実施の形態に係る品質機能展開においては、一例として依存元側のプロセスを下位側のプロセスとし、依存先側のプロセスを上位側のプロセスとしている。
機能項目は、品質機能展開において品質、構造、特性などの各種の機能を特定する要素を示し、品質機能展開において想定される機能に対応する要素などが適用される。また、機能項目には、各プロセスに対応する要素(機能)を示す機能項目を含む。さらに、各プロセスにおいて想定される機能に対応する要素と関連する要素や依存関係を有する要素を示す機能項目を含んで良い。また、各プロセスにおいて主要な機能項目には、その機能項目が属するプロセスを特定する情報を含む属性情報が設定される。本実施の形態においては、属性情報が設定される主要な機能項目として、プロセスを軸とした展開表等に表示される機能項目が適用される。即ち、展開表等に表示される機能項目については、機能項目が属するプロセスを特定する属性情報が設定される。
機能項目の各々には、依存情報が設定される。機能項目の依存情報には、その機能項目との間で依存関係(対応関係)を有する機能項目を特定する情報、及び依存関係を有する機能項目との間の依存状態を示す情報が含まれる。依存状態を示す情報は、対応関係を有する機能情報に対して依存元であるか依存先であるかを示す情報、及び対応関係の強さ(依存関係の強さ)を示す情報を含む。なお、依存元の機能項目とは、その機能項目の機能が他の機能項目の機能に影響を与える機能項目を指し、依存先の機能項目とは、依存元とは逆に、他の機能項目の要素から影響を受ける機能項目を指す。即ち、依存関係は、機能項目の間の対応関係を示し、依存関係を有する機能項目とは、対応関係を有する機能項目を示し、依存情報は、対応関係を有する機能項目を特定する情報及び依存状態を含む。依存状態は、対応関係を有する2つの機能項目の間における依存方向、及び依存関係の強さを示す。依存関係の強さ(対応関係の強さ)は、機能項目の間の影響の度合いを示し、複数段階の何れの段階に対応するか又は数値が適用され、負の依存関係を有する場合、依存関係の強さは、負のレベル又は負の数値で示される。
本実施の形態では、品質機能展開における原情報として、機能項目の各々を依存関係によって接続することで系統立てた系統図において、何れかのプロセスに属する機能項目について属性情報を含ませると共に、依存関係を有する機能項目を依存状態に応じて接続した連関図を用いる。受付処理部40は、連関図が入力されることで、入力された連関図から、各機能項目(機能項目が示す機能)、機能項目の属性情報、及び機能項目の依存情報を抽出する。
受付処理部40で抽出した品質機能展開の原情報は、格納部50に格納される。また、軸項目設定部48は、品質機能展開の原情報に基づき、属性情報が設定されている機能項目についてプロセスごとに分類し、各プロセスに分類した機能項目を、機能項目の依存情報及び機能項目が有する機能などに基づいて階層化する。
軸項目設定部48における階層化は、例えば、予め設定している辞書情報を用いて機能項目の語句を解釈することで行う。また、階層化は、各プロセスに分類された機能項目について、プロセスごとに行われる。軸項目設定部48では、上位概念となる機能又は機能項目を上位の機能項目に設定し、最上位となる第1階層の機能項目、次の階層となる第2階層の機能項目の順に、最下層の機能項目まで設定する。軸項目設定部48では、例えば、複数の機能項目が有する機能について上位概念となる機能があれば、その機能に対応する機能項目を複数の機能項目の上位の機能項目に設定する。また、軸項目設定部48は、各機能項目の依存情報を参照して、対応関係(依存関係)を有する機能項目があれば、依存先の機能項目を上位概念の機能項目に設定する。さらに、上位概念の機能項目は、下位概念の機能項目が示す機能から、新たなに設定されるものであってもよい。軸項目設定部48は、各プロセスに分類した機能項目について階層化を行うことで、各プロセスを軸とする展開表が得られる展開情報を生成する。なお、最下層は、同一の階層となるとは限らず、例えば、第1階層がそのまま最下層となることを含む。
軸項目設定部48で作成された各プロセスの展開情報は、品質機能展開の原情報に関連付けられて品質機能展開情報として格納部50に格納される。
格納部50は、例えば、情報処理装置12に設けられるHDD24等が適用され、前記したように品質機能展開の原情報、及び軸項目設定部48で作成された各プロセスの展開情報が格納される。また、格納部50は、受付処理部40からの要求に応じ、要求された品質機能展開の原情報を受付処理部40へ出力する。品質機能展開システム10では、受付処理部40が、格納部50に格納した原情報を読み込むことで、読み込んだ原情報に対する編集等が成される。この原情報の編集には、機能項目の追加、機能項目の削除、機能項目に設定されている属性情報の削除又は変更、属性情報が設定されていない機能項目に対する属性情報の設定、及び依存情報の変更などの原情報に対応する連関図についての各種の編集が適用される。品質機能展開システム10では、受付処理部40で原情報に対する編集が行われることで、編集された原情報に基づいた展開情報の更新、及び格納部50に格納される原情報の更新が行われる。
品質機能展開システム10は、格納部50に格納された品質機能展開の原情報及び展開情報を用いて、プロセスごとの展開表、複数のプロセスの展開表を組み合わせた二元表などの多元表の作成を行う。軸設定部44では、展開表又は多元表の軸となるプロセスが設定される。軸設定部44は、例えば、ディスプレイ30に予め軸設定用として定めているUIを表示し、表示したUI上で対象とする品質機能展開について一つ又は複数のプロセスの指定が入力されることで、入力されたプロセスを展開表又は多元表の軸として設定する。
連関情報設定部52は、軸設定部44で軸となるプロセスが設定されることで、格納部50から対象とする品質機能展開の原情報及び各プロセスの展開情報を読み出す。連関情報設定部52は、軸となるプロセスの機能項目と、関連するプロセスの機能項目との間の連関情報を設定する。連関情報は、例えば、2つのプロセスの間において、一方のプロセスの最下層の機能項目と、他方のプロセスの最下層の機能項目とについて、依存関係の強さを数値化し、予め設定されている演算式を用いて算出される。この際、連関情報は、例えば、2つの機能項目の間の依存関係が強いほど大きくなるように数値化される。また、連関情報としては、算出された数値を用いても良く、算出された数値を予め設定されているレベル分けをすることで表されてもよい(レベル設定されても良い)。なお、連関情報を作成する2つの機能項目の間に、何れのプロセスにも属さない(属性情報が設定されていない)機能項目がある場合、その機能項目の依存情報を含めて算出される。
作成処理部54は、設定された軸に対応するプロセスの展開情報を格納部50から読み出して、展開表又は多元表を作成する。即ち、作成処理部54は、一つの軸に対応するプロセスが設定されることで、設定されたプロセスを軸とする展開表を作成する。また、複数の軸に対応するプロセスが設定され、多元表の作成が指示されている場合、作成処理部54は、関連するプロセスの間に、各セルが展開表の機能項目に対応されたマトリックスを形成するように各プロセス(軸)の展開表を配置する。また、作成処理部54は、関連する軸の間のマトリックスに、関連情報に基づいて機能項目間の連関情報を入力することで、軸となる各プロセスの機能項目の対応関係が一覧される多元表を作成する。
出力部46は、作成処理部54で作成された展開表又は多元表を、例えば、ディスプレイ30に表示するなどして出力する。なお、出力部46は、作成された展開表又は多元表を、可搬型記憶媒体34に書き込んで出力しても良く、また、通信インターフェイス36を介して、他の情報処理装置へ出力するなどの公知の出力形式に対応するものであっても良い。
次に、第1の実施の形態の作用として、図3〜図5を参照しながら、品質機能展開システム10における処理の一例を説明する。図3には、品質機能展開システム10における品質機能展開処理の一例を示している。このフローチャートは、対象とする品質機能展開のプロジェクトなどが設定されて、品質機能展開処理が指示されることで実行され、最初のステップ100では、品質機能展開の原情報の入力用として予め設定されているUIをディスプレイ30に表示する。品質機能展開の原情報は、ディスプレイ30に表示したUIに応じて、操作者がキーボード26のキー操作及びマウス28の操作を行って入力される。
ステップ102では、プロセス情報が入力されることで、入力されたプロセス情報を受け付ける。また、ステップ104では、機能項目、機能項目の依存情報、及び機能項目の属性情報が入力されることで、入力された機能項目、機能項目の依存情報、及び機能項目の属性情報を受け付ける。
図4には、品質機能展開の原情報の入力に用いるディスプレイ30上の表示画面(UI)の一例を示す。ディスプレイ30の表示画面としては、例えば、表計算ソフトウェアのワークシートが用いられる。
プロセス情報は、例えば、表示されたワークシート上で予め設定された領域(セル)にプロセス名として入力される。プロセス名を入力するセルの数及び位置は、例えば、プロセス名の入力に先立って、プロセス数が設定されることで定まるようにしても良い。また、プロセスの接続関係は、プロセス名を入力するセルの位置によって定まるようにし、プロセス名を入力するセルごとに色を異ならせることで、プロセスの区分けをする。
これにより、対象とする品質機能展開のプロセス数を入力することで、各プロセス名を入力する位置(セル)及びセルの色が設定され、設定されたセルに、プロセス名が入力されるようにしても良い。また、プロセス名を入力するセルの配列によって、一連のプロセスの間の接続関係が定まるようにしても良い。さらに、プロセス情報は、予め設定されて、ワークシート上に入力されていても良い。なお、図4では、工程・原材料から品質を予測する品質機能展開を示し、紙面左側を上位のプロセス、紙面右側を下位のプロセスとしている。
また、ワークシートでは、機能項目入力領域が設定されている。この機能項目入力領域は、例えば、ワークシートをスクロールすることで広げられ、所望の数の機能項目が入力されるようにしても良い。機能項目は、例えば、ワークシート上の一つ又は複数のセルを選択して入力される。機能項目は、ワークシート上の所望の位置に入力することができるが、例えば、機能項目の入力用のシンボルを予め設定しておいてワークシート上に配置することで機能項目の入力位置が定まるようにしても良い。
入力する機能項目は、例えば、名詞、名詞+動詞、名詞+形容詞などの形態で、語句又は語句の組み合わせが適用され、また、機能項目には、数値が含まれても良い。機能項目は、その機能項目が有する機能を簡潔に、かつ明確に示すものであれば、公知の各種形態が適用される。
機能項目の属性情報は、例えば、機能項目を入力したセルを、入力した機能項目を対応させるプロセスのセルの色に合わせるなどして、機能項目をプロセスに対応させる。なお、属性情報は、プロセスと機能項目との対応関係を明確にできるものであれば任意の表示方法を適用しても良い。
機能項目の依存情報は、例えば、依存関係を有する機能項目との間を接続線により接続することで入力され、依存情報は、例えば、接続線に矢印を用い、矢印が依存先に向くように設定される。本実施の形態においては、依存情報を示す接続線の矢印の向きを、一例として、下位側のプロセスから上位側のプロセスに対応する向きとしている。
また、依存情報には、対応する機能項目の間、即ち、接続線で接続される機能項目の間の依存関係の強さが含まれる。依存関係の強さは、例えば、数値として入力しても良い。また、依存関係の強さは、依存関係のレベルに応じて線種又は線の太さを設定しておき、対応する機能項目の間の依存関係の強さに応じて、接続線の線種又は接続線の太さが選択されることで入力されても良い。
なお、プロセス情報、機能項目、機能項目の属性情報、及び機能項目の依存情報の入力形式は、上記に限らず、一連のプロセスの間の依存関係、プロセス内の各機能項目、機能項目間の対応関係を明確にし得る形式であれば公知の形式が適用される。また、原情報に用いるワークシートは、複数のプロセス名、及び複数の機能項目の入力領域(例えば、入力用のセル)をブランクにしたテンプレートを用い、このテンプレートに機能項目が追加入力されるようにしても良い。また、依存情報としては、2つの機能項目の間の依存関係及び依存関係の強さを明確にし得るものであれば任意の表示方法を適用でき、例えば、接続線の線種、接続線の色、或いは接続線に付与する記号などを適用しても良い。
一方、入力する機能項目は、例えば、ロジックツリー(logic tree)による論理展開を用いて推定される機能項目が適用される。ロジックツリーは、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)を意識して上位概念を下位概念に分解していく際に適用される思考ツールであり、MECEは、相互にダブり無く、かつ全体として漏れが無いことを意図する。機能項目は、例えば、ロジックツリーによる論理展開に基づき、上位に設定した機能項目について、この上位の機能項目を導きうる下位のプロセスの機能項目を設定すること繰り返すことで設定され、設定した各機能項目は、系統立ててワークシート上に入力される。
これにより、依存関係を有する機能項目を系統的に接続した系統図とする連関図が得られる。連関図は、ワークシート上に機能項目を系統立てて配置及び接続して作成され、連関図上の機能項目が、依存関係を有する機能項目の間が、依存関係に応じて接続され、かつ、各機能項目が属性情報に応じて表示される。第1の実施の形態では、この連関図を、品質機能展開の原情報として用いる。この連関図では、何れのプロセスに属さない機能項目については、例えば、何れのプロセスの表示に適用されていない色やなどが用いられて表示される。
なお、本実施の形態では、一例としてディスプレイに表示したワークシート上に連関図で作成し、作成した連関図から各機能項目が示す語句、機能項目の表示形態、機能項目の間の接続状態をデータ化することで、原情報を抽出するように説明する。本実施の形態は、これに限らず、例えば、紙などの媒体上に連関図を描画し、紙に描画された連関図を画像読取装置により読み取ってデータ化し、このデータに対して画像処理を行うことで、原情報を抽出しても良い。また、各種の画像処理装置等により連関図を作成し、作成した連関図のデータが、可搬型記憶媒体34又は通信ネットワークを介して情報処理装置12が取得するなど、公知の各種の構成が適用される。また、連関図の入力には、キーボード26及びマウス28に替えて、又はキーボード26及びマウス28と併用して、音声入力やモーション入力などの各種の入力手段を用いても良い。
図4では、一例として、品質、性能、構造・物性、及び工程・材料の各々をプロセスとした品質機能展開の連関図60を示す。この連関図60では、ワークシート62上に、品質プロセスの機能項目として、品質AA、及び品質ABが設定され、性能プロセスの機能項目として、性能BA、BB、BC、BDが設定されている。また、連関図60では、構造・物性プロセスの機能項目として、構造CA〜構造CE、物性DA〜物性DC、項目a〜項目d、及び項目f〜項目iが設定されている。さらに、連関図60では、工程・原材料プロセスの機能項目として、工程EA〜工程ED、原材料FA、及び原材料FBが設定されている。
連関図60では、各機能項目の依存関係が矢印で示され、各機能項目の色(図4では、色の違いを斜線又は網掛け線で示している)を、対応するプロセスの色に設定している。また、連関図60では、展開表等に表さない機能項目(属性情報が設定されていない機能項目。例えば、項目a〜項目d、及び項目f〜項目i)については、色抜き(例えば白色)で示している。なお、展開表に表さない機能項目については、枠を破線で表記するなど、通常の機能項目(展開表に表示する機能項目)と区別するものであれば公知の表示方法が適用される。
図3のフローチャートでは、ステップ106で原情報の入力を終了したか否かを確認する。即ち、想定した機能項目の全ての入力が終了し、入力終了が指示されることで、ステップ106で肯定判定して、ステップ108へ移行する。
このステップ108では、入力された連関図60から各機能項目、機能項目の属性情報、及び機能項目の依存情報を抽出して原情報としてデータベース化する。ステップ110では、データベース化された原情報をHDD24等に格納する。即ち、連関図60からプロセス名として入力されている語句及びプロセス名が入力されたセルの色等に基づきプロセス情報をデータ化する。また、機能項目として入力された語句(又は、語句により特定される機能)、及び機能項目に指定された色などから機能項目の属性情報等をデータ化する。さらに、機能項目に接続している接続線、接続線に設けられた矢印の向き、及び接続線の線種等から機能項目の依存情報をデータ化する。
この後、ステップ112では、各プロセスについて軸設定を行う。軸設定においては、各プロセスについて展開表を形成するための展開情報を作成する。展開情報の作成は、原情報に含まれるプロセス情報、各機能項目、及び機能項目ごとの属性情報に基づいて、機能項目の各々をプロセスごとに分類する。また、展開情報の作成は、各プロセスに分類された機能項目について、機能項目が有する機能、及び機能項目の依存情報に基づいて階層化する。この階層化は、例えば、同一のプロセスに分類された機能項目のうち、展開表等に表示するように設定されている機能項目に対して行われ、機能項目の依存情報を参照し、依存関係を有する機能項目がある場合、上位概念の機能項目が上位側の階層となるように設定する。また、機能項目として入力された語句を解釈することで、上位概念化が可能であれば、上位概念の機能項目を新たに作成して、作成した機能項目を元の機能項目の上位側の階層(上位階層)に設定する。なお、語句の解釈は、予め設定した辞書情報を用いて行う一般的構成が適用される。
原情報に基づいて展開情報を作成すると、ステップ114では、作成した展開情報を対応する品質機能展開の原情報と関連付けて格納する。これにより、品質機能展開について、品質機能展開情報として原情報、及び各プロセスの展開情報が記憶される。なお、本実施の形態においては、予め展開情報を作成するように説明するが、展開情報の作成は、後述に軸設定が行われた後に作成するものであっても良い、また、展開情報は、連関図から原情報を抽出したときに作成し、原情報と共にHDD24に格納しても良い。
一方、ステップ116では、軸設定を受け付ける。軸は、展開表又は多元表を作成する際の対象とするプロセスを示す。軸としては、例えば、ディスプレイ30に軸設定用のUIを表示した状態で、キーボード26のキー操作又はマウス28の操作により、一つ又は複数のプロセスの指定が入力されることで、入力されたプロセスが設定される。
軸設定が行われると、ステップ118では、設定された軸(プロセス)に対応する展開情報及び各機能項目の依存情報を読み出し、2つの軸の機能項目の間の依存関係を示す連関情報を作成する。連関情報は、各プロセスにおいて階層化された機能項目のうちで最下層の機能項目について、関連するプロセスの最下層の機能項目に対して作成される。この際、上位階層の機能項目との間の依存情報を含め、例えば、依存情報に含まれる依存関係の強さを数値化して、関連する機能項目との間の依存関係の強さを算出する。算出される依存関係の強さは、例えば、依存関係が強いほど、数値が大きくなるように設定される。
連関情報は、例えば、軸として、図4に示す品質プロセスと性能プロセスが含まれている場合、品質プロセスと性能プロセスの各機能項目について作成される。また、軸として、品質プロセスと構造・物性プロセスとが設定されている場合、連関情報は、品質プロセスと構造・物性プロセスの各機能項目について作成される。この際、品質プロセス及び性能・物性プロセスの各機能項目の依存情報と、性能プロセスの各機能項目の依存情報を含めて、品質プロセスの機能項目と構造・物性プロセスの機能項目との間の連関情報(依存関係の強さを示す数値又はレベル)を算出する。
図3のフローチャートでは、次のステップ120で、設定された軸に対応する展開表又は多元表を作成する。例えば、軸として複数のプロセスが設定された場合、多元表を作成する。多元表の作成は、設定された軸に対応するプロセスの展開情報及び連関情報を読み込み、各軸の機能項目を展開し、関連する軸の機能項目の間にマトリックスを形成する。このマトリックス上に、連関情報に基づいて、機能項目間の依存関係が表示される。マトリックス上の依存関係の表示は、連関情報として算出された依存関係の強さを示す数値又は依存関係の強さに応じて設定されるシンボルが用いられる。
次のステップ122では、作成された展開表又は多元表を、例えば、ディスプレイ30に表示するなどして出力する。
図5には、多元表の一例として、図4の原情報(連関図60)から、軸として、品質、性能、構造・物性、及び工程・原材料の各プロセスが設定された四元表64を示している。この四元表64では、品質プロセスを軸とする品質展開表66A、性能を軸とする性能展開表66B、構造・物性を軸とする構造・物性展開表66C、及び工程・原材料を軸とする工程・原材料展開表66Dが、紙面右回りに配置される。
ここで、図4に示すように、性能のプロセスにおいては、性能BB及び性能BCの上位階層に性能BDが配置され、構造・物性のプロセスにおいては、構造CAの上位階層に構造CEが配置されている。これにより、図5に示すように、性能展開表66Bは、性能BDが性能BB及び性能BCより上位階層となるように階層化され、構造・物性展開表66Cは、構造CEが構造CAより上位階層となるように階層化されて表される。
また、四元表64では、品質展開表66Aと性能展開表66Bとの間にマトリックス68Aが形成され、性能展開表66Bと構造・物性展開表66Cとの間にマトリックス68Bが形成される。また、四元表64では、構造・物性展開表66Cと工程・原材料展開表66Dとの間にマトリックス68Cが形成される。四元表64では、マトリックス68A、68B、68Cの各々に、連関情報に応じた表示が行われる。図5では、一例として、対応関係を有する機能項目の間について、マトリックス68A〜68Cの対応する位置(セル)に○印を付与している。
一方、品質機能展開システム10では、操作者が作成した連関図に基づいた原情報を格納し、この原情報に対する編集が可能となるようにしている。図6には、原情報の編集を含めた品質機能展開処理の一例を示している。
このフローチャートでは、対象とする品質機能展開の処理が指示されることで、ステップ100に先立ってステップ124を実行し、品質機能展開情報の新規作成か否か確認している。ここで、既に作成されている原情報を指定して、指定した原情報に対する編集を行う場合、ステップ124において否定判定して、ステップ126へ移行する。
このステップ126では、指定された原情報を読み出し、原情報に基づいた連関図をディスプレイ30に表示する。この後、ステップ104へ移行することで、新たな機能項目の入力、依存関係の追加や削除などの編集が可能となる。なお、図6では、ステップ104へ移行して機能項目の追加などの編集を行うようにしているが、例えば、ステップ126からステップ102へ移行し、プロセスの追加、削除、又は変更などの処理を行うようにしても良い。
また、第1の実施の形態では、情報処理装置12により品質機能展開システム10を形成するようにしているが、第1の実施の形態に係る品質機能展開システム10は、例えば、格納部50として機能する格納サーバを設け、複数の情報処理装置12を格納サーバに接続して構成しても良い。また、品質機能展開処理を実行する品質機能展開サーバを設け、品質機能展開サーバに複数の情報処理装置12を接続して形成しても良い。この場合、情報処理装置12の各々には、受付処理部40、軸設定部44、及び出力部46の機能を持たせ、品質機能展開サーバには、展開処理部42の機能を持たせる。
これにより、一つの品質機能展開について複数の情報処理装置12を用いて、連関図の作成及び編集が行われる。なお、複数の情報処理装置12を用いて、連関図の作成及び編集を可能とする場合、品質機能展開ごとに連関図の作成及び編集を許可する情報処理装置12又は情報処理装置12を操作する操作者を特定する識別子(ID)等を設定することが好ましい。また、作成されている連関図上の機能項目などの一部を削除する編集を行う場合、削除編集を行う部位(例えば、機能項目)を入力した情報処理装置12又は操作者に限定して、原情報の作成や編集を制限し、誤った編集等を抑制することが好ましい。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態を説明する。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態に対応する構成には、第1の実施の形態に適用した符号を付与して詳細な説明を省略する。
図7には、第2の実施の形態に係る品質機能展開システム70の概略構成を示している。品質機能展開システム70は、受付調整部72及び展開処理部74を備える。展開処理部74には、辞書機能部76が設けられ、辞書機能部76が、受付調整部72に接続されている。受付調整部72は、前記した受付処理部40の機能に加え、原情報として受け付ける連関図の内容を調査し、連関図を調整する調整機能を備える。
辞書機能部76には、機能項目に用いられる語句について、類似する語句の語句群、類似する機能を示す語句群、及び語句が示す機能の上位概念となる機能を示す語句(語句群)等が予め設定されて登録されている。
受付調整部72が備える調整機能としては、辞書機能部76に登録されている語句を用いて連関図に入力されている機能項目を調査し、機能が類似する機能項目の抽出を行う。また、受付調整部72の調整機能としては、依存関係を有する機能項目の語句を解釈することで、機能項目の間の接続関係の適否の確認を行う機能を含んでも良い。
図8には、第2の実施の形態に係る品質機能展開処理の一例を示している。このフローチャートでは、ディスプレイ30に予め設定したUIを表示することで、対象の品質機能展開の原情報の入力が行われる(ステップ100〜104)。この後、対象とする品質機能展開の原情報の入力が終了してステップ106で肯定判定されるとステップ108へ移行する。このステップ108では、入力された連関図から各機能項目、機能項目の属性情報、及び機能項目の依存情報の抽出(原情報の抽出)を行う。
この後、ステップ130では、抽出した原情報に基づいて連関図の調査、即ち、各機能項目について調査を行う。連関図の調査は、機能項目の属性情報から一つのプロセスに含まれる機能項目を抽出し、抽出した機能項目について語句を解釈することで、機能又は語句が類似して一つの機能項目として併せられる機能項目が抽出される。また、連関図の調査においては、入力された機能項目の語句を解釈することで、一つのプロセス内で類似する機能の機能項目の抽出し、上位概念となる機能項目の推定を行う。さらに、連関図の調査は、依存関係を有するように接続された2つの機能項目の語句を解釈することで、各々の機能項目が有する機能に関連性があるか否か、即ち、依存関係が適正か否かの確認などを行う。即ち、ステップ130における連関図の調査は、誤った機能項目や機能項目の対応関係の抽出、及び連関図の簡潔化を可能とするための機能項目の抽出を行う。また、連関図の調査においては、展開情報を作成するときに効率的な階層化を行うための機能項目の例示を行う。
連関図の調査が終了すると、ステップ132では、調査結果を、例えばディスプレイ30に表示するなどして操作者に報知する。操作者が報知された調査結果を確認し連関図を修正する場合、ステップ134で肯定判定されて、ステップ104へ移行し、連関図の修正入力を受け付ける。これにより、連関図の調整が行われることで、調整された連関図が、品質機能展開の原情報として格納される。
なお、品質機能展開システム70は、連関図の調査結果に基づいて調整した連関図を作成し、作成した連関図の良否の確認を促すようにしても良い。また、連関図上の間違いについては、連関図の修正を行い、修正した連関図をディスプレイ30に表示して、適否の確認を促すようにしても良い。また、連関図の調整においては、例えば、類似した機能項目の調整などについては、連関図を修正せず、原情報の付加情報として格納しておき、付加情報を展開情報及び多元表に反映させるようにしても良い。
また、第2の実施の形態においては、新規の品質機能展開処理の流れで説明し、既に作成された原情報の編集等の処理の説明を省略したが、第2の実施の形態に係る品質機能展開システム70においても、原情報の編集を可能としても良い。この場合、品質機能展開システム70において、例えば、図6のステップ124、126に対応する処理を行うようにすれば良い。
〔実施例1〕
次に、第1の実施の形態に対応する実施例1を説明する。図9には、実施例1に係る連関図80を示している。この連関図80では、一連のプロセスとして、品質、性能、構造、及びパラメータが設定され、プロセスの間の依存関係(接続関係)がプロセス番号として付与されている。なお、図9に示す品質機能展開では、紙面右側のプロセス(プロセス番号4のパラメータ)を下位とし、紙面左側のプロセス(プロセス番号1の品質)を上位とし、パラメータから品質を予測する。
ここで、連関図80は、例えば、ロジックツリーによる理論展開を行うことで、機能項目82A〜82K(以下、総称する場合、機能項目82とする)が設定されて入力され、機能項目82A〜80Kが系統立てて接続されることで作成される。この際、連関図80では、各機能項目82の属性情報として、展開表で表示する機能項目について、対応するプロセスのプロセス番号が付与される。また、連関図80では、例えば、機能項目82D及び機能項目82Jのように、異なるプロセスに対応する機能項目であって同等の機能を示す機能項目をまとめている。
この連関図80では、機能項目82の依存情報として、関連する機能項目との間に接続線が付与されている。接続線には、例えば、下位側から上位側に向けた矢印が付加され、この矢印により依存関係を示している。また、連関図80では、対応関係を有する機能項目の間が、実線の接続線により接続され、依存関係が低い機能項目との間の接続線について線種を異ならせている。なお、図9では、一例として、対応関係の低い機能項目82の間の接続線を破線としている。
図10には、図9の連関図80を原情報として作成した四元表84を示す。四元表84では、品質を軸とした品質展開表86A、性能を軸とした性能展開表86B、構造を軸とした構造展開表86C、及びパラメータを軸としたパラメータ展開表86Dが形成されている。ここで、図9に示すように、パラメータに分類される機能項目のうち、機能項目82H、82I、82Jの有する機能は、「形状」として上位概念化が可能となる。ここから、図10に示す四元表84のパラメータ展開表86Dでは、機能項目82H、82I、82J(図9参照)の上位に「形状」という機能項目を設け、この機能項目を上位階層として階層化されている。
また、四元表84では、品質展開表86Aと性能展開表86Bとの間にマトリックス88Aが形成され、性能展開表86Bと構造展開表86Cとの間にマトリックス88Bが形成されている。また、四元表84では、構造展開表86Cとパラメータ展開表86Dとの間にマトリックス88Cが形成され、マトリックス88A、88B、88Cが機能項目82(82A〜82K)の依存情報から作成された連関情報を示すことで、各プロセスの対応関係を明示している。
〔実施例2〕
次に、第2の実施の形態に係る実施例2を説明する。図11には、実施例2に係る連関図90を示している。なお、実施例2において、実施例1に対応する構成については、同一の符号を付与して説明を省略する。
連関図90は、ワークシート上に機能項目82A〜82Sの各々を入力して作成されたものであって良く、また、図8に示す実施例1の連関図80の原情報を元に、機能項目82L〜82Sの追加等を行う編集作業によって作成されても良い。即ち、連関図90は、HDD24に格納している連関図80に対応する原情報を読み出し、機能項目82L〜82S等を追加するなどの編集を行って作成されても良い。
連関図90では、対応関係のない機能項目82の間(例えば、機能項目82Fと機能項目82Mとの間)の接続線について、例えば、×印を付記することで、対応関係がないことを明確となるようにしている。
ここで、連関図90においては、機能項目の語句の調査が行われることで、パラメータに分類される機能項目のうち、機能項目82H〜82Jの各々の有する機能が、「形状」として上位概念化可能であると推定される。また、連関図90では、パラメータについて語句が重複する機能項目があり(例えば、機能項目82Hと機能項目82P等)、これらの機能項目は、展開表上で一つに併せられる。
さらに、図12(A)に示すように、機能項目82Hの依存先となる機能項目82Dと、機能項目82Pの依存先となる機能項目82Oとは、類似した機能と見なしても良い。ここから、図12(B)に示すように、機能項目82Oを機能項目82Dに併せることが考えられる。この場合、機能項目82Oと機能項目82Mとは依存関係を有していても、機能項目82Oを併せた機能項目82Dと機能項目82Mとは、依存関係が弱くなる(依存関係の強さが小さくなる)と考えられる。
このような調査結果は、図11の連関図90上に反映させても良い。また、連関図90上には、検証結果を反映させず、例えば、原情報に対する付加情報として、原情報に関連付けて格納し、原情報に基づいた展開表及び多元表を作成する際に反映させるようにしても良い。
図13には、図11の連関図90を原情報とし、この原情報に、検証結果を反映させた多元表とする四元表92を示している。四元表92には、品質展開表92A、性能展開表92B、構造展開表92C、及びパラメータ展開表92Dが配置されている。また、四元表92には、検証結果を含む原情報から得られる連関情報に基づいて、品質展開表92Aと性能展開表92Bとの間にマトリックス94Aが形成され、性能展開表92Bと構造展開表92Cとの間にマトリックス94Bが形成される。さらに、四元表92には、検証結果を含む原情報から得られる連関情報に基づいて、構造展開表92Cとパラメータ展開表92Dとの間にマトリックス94Cが形成される。
ここで、機能項目82Oを機能項目82Dに併せることで、機能項目82Dと機能項目82Mとの間に依存関係が生じるが、この依存関係は、機能項目82Mと機能項目82Oとの依存関係よりも弱くなる。ここから、図12に示すように、四元表92のマトリックス94Bの機能項目82Dと機能項目82Mとが対応する領域には、変化した依存関係(例えば○印)が入力される。
しかし、機能項目82Dに機能項目82Oが併せられ、機能項目82Dに機能項目82Oの機能が含まれることで、機能項目82Dと機能項目82J(82R)との対応関係が変化する。この結果、四元表92のマトリックス94Bでは、機能項目82Dと機能項目82Jとの対応する位置の依存関係が変化する(図9も参照)。
以上説明したように、本実施の形態では、各プロセスに対応する機能項目を、依存関係に応じて系統立てて接続した連関図を作成し、この連関図から得られる情報をデータ化して、品質機能展開に係る諸表の原情報としているので、品質機能展開に係る諸表の作成が容易となる。また、連関図は、目視で関連する機能項目を確認しながら作成されるので、依存関係を含めて、的確な機能項目が入力される。さらに、連関図は、例えば、ロジックツリーによる論理展開を行いながら作成されるので、想定される機能項目を的確にかつもれなく入力される。また、連関図は、展開表に現れない機能項目を含めることができ、展開表に現れない機能項目が含まれることで、機能項目間の関連性が明瞭となる。
一方、本実施の形態では、上位から下位までの各プロセスの機能項目の依存情報を含めた情報を原情報としているので、軸として1つ又は2つのプロセスのみで無く、3以上のプロセスの各機能項目を展開した多元表の作成に適用される。これにより、複数のプロセスの間の各機能項目の依存関係を的確に把握し得るプロセスごとの展開表、及び複数のプロセスを軸とした二元表などの多元表が得られる。
また、本実施の形態では、連関図から得られる原情報を格納しているので、この原情報を用いることで、展開表、及び二元表を含む多元表において、機能項目の追加等が極めて容易となる。また、多元表を逆変換した場合、多元表に現れていないプロセスや機能項目を再現することはできないが、保持している原情報を用いることで、元になる連関図が正確に再現される。また、再現された連関図を用いることで、展開表、及び二元表を含む多元表についての各種の編集に適用される。
さらに、品質機能展開においては、プロセスごとに専門知識が要求される場合があり、プロセスごとに専門知識を有する操作者が、専門とするプロセスの機能項目を入力することが好ましい場合がある。本実施の形態に係る品質機能展開は、複数の情報処理装置を用いて原情報となる連関図を作成し、更に、作成した原情報の編集等が行われる。従って、本実施の形態では、各プロセスについて適正な機能項目の入力が成され、対象とする機能品質展開について、有用な展開表及び多元表が得られる。
また、第2の実施の形態に係る品質機能展開システム70では、入力された連関図に対して各機能項目の検証、及び機能項目の依存関係の検証を行うので、適正な連関図の作成が容易となる。また、第2の実施の形態では、機能項目の検証を行うことで、機能項目の階層化が可能となるので、各プロセスの展開情報の作成が容易となる。