JP6610484B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転運動を一方から他方に伝達可能な動力伝達装置に関する。
従来、モータジェネレータをスタータとして駆動し、内燃機関を始動するスタータシステムが知られている。特許文献1には、エンジンのドライブシャフトと連結し当該ドライブシャフトにトルクを与えることが可能なスタータを備え、エンジンの駆動を開始する前に当該エンジンにおける圧縮行程の位置にあるピストンを排気行程の位置に移動させた後、エンジンが有するドライブシャフトにエンジンの駆動を開始可能なトルクを与えるスタータシステムが記載されている。
特許4230116号明細書
しかしながら、特許文献1に記載のスタータシステムでは、ピストンの位置をエンジンにおける排気行程の位置に移動させるため、ドライブシャフトが停止している状態、すなわち、エンジンが停止しているときでしかドライブシャフトにエンジンの駆動を開始可能なトルクをあたえることができない。
また、スタータは、ピストンをエンジンにおける圧縮行程の位置から排気行程の位置に移動するとき、エンジンを駆動するときに回転する方向とは反対の方向にドライブシャフトを回転する。このピストンの移動を複数のシリンダを有するエンジンにおいて行う場合、複数のシリンダのそれぞれに設けられている複数のピストンのうちの一のピストンの位置は排気行程の位置に移動するものの、他のシリンダでは圧縮行程の位置になる場合がある。このため、ドライブシャフトを当該反対の方向に回転させるためのエネルギの一部は、エンジンの駆動開始に用いられることなくシリンダの気体を圧縮するために消費される。このため、エンジンの駆動を開始するためのエネルギ消費量が比較的大きくなる。
本発明の目的は、動力源の駆動を開始するために必要なエネルギを低減する動力伝達装置を提供することにある。
本発明は、動力伝達装置であって、スタータ(21)、動力源側プーリ(22)、連結プーリ(23)、弾性部材(24,34,44,54)、連結ベルト(26)、および、スタータ制御部(27)を備える。
スタータは、動力源(11)が有する動力軸(13)を回転可能である。
動力源側プーリは、動力軸と一体に回転可能である。
連結プーリは、動力源側プーリの径外方向に動力源側プーリに対して相対回転可能に設けられる。
弾性部材は、動力源側プーリと連結プーリとの間に設けられる。弾性部材は、連結プーリが動力源側プーリに対して動力源が力行駆動するときの回転方向である一方の方向に相対回転すると伸長し、連結プーリが他方の方向に回転すると圧縮される。
連結ベルトは、弾性材料から形成され、スタータが有するスタータ軸(211)と連結プーリとを連結しスタータが出力するトルクを連結プーリに伝達可能である。
スタータ制御部は、スタータの駆動を制御可能に設けられる。
本発明の動力伝達装置では、スタータ制御部は、動力源の駆動を開始するとき連結プーリを動力源側プーリに対して一方の方向に回転する前に連結プーリが動力源側プーリに対して他方の方向に回転するようスタータを駆動する。
本発明の動力伝達装置では、動力源側プーリと連結プーリとの間に弾性部材が設けられている。連結プーリが動力源側プーリに対して他方の方向に回転すると弾性部材は圧縮される。この圧縮された弾性部材に蓄積される弾性エネルギは、スタータが動力源の駆動を開始するために必要なトルクを動力軸に与えるとき、動力源側プーリの回転に必要なエネルギとして利用することができる。ここで、特許請求の範囲に記載の「動力源の駆動を開始する」とは、完全に停止している動力源の駆動を開始することだけでなく、出力するトルクが徐々に低下している動力源の駆動状態を継続的にトルクを出力可能な状態に戻すことも含む。
また、連結プーリが動力源側プーリに対して他方の方向に回転するようスタータを駆動すると、弾性材料から形成されている連結ベルトの一部が伸びる。この伸びた連結ベルトに蓄積された弾性エネルギも、スタータが動力源の駆動を開始するために必要なトルクを動力軸に与えるとき、動力源側プーリの回転に必要なエネルギとして利用することができる。
このように、本発明の動力伝達装置では、スタータの回転エネルギを弾性部材および連結ベルトに弾性エネルギとして蓄積することができる。弾性部材および連結ベルトに蓄積された弾性エネルギは、スタータが動力源の駆動を開始するために必要なトルクを動力軸に与えるとき動力源側プーリの回転に利用できるため、動力源の駆動を開始するために必要なエネルギの消費量を低減することができる。
また、本発明の動力伝達装置では、スタータと動力源側プーリとは、弾性部材、連結プーリ、および、連結ベルトを介して連結する。これにより、動力源が駆動していても、動力源側プーリに対する連結プーリの相対角度を弾性部材が圧縮されかつ連結ベルトの一部が伸長する角度に保ったまま、連結ベルトおよびスタータを回転させることができる。したがって、動力軸が回転している状態でも弾性部材および連結ベルトに弾性エネルギを蓄積することができる。
本発明の第一実施形態によるスタータシステムを用いる車両のエンジンシステムの模式図である。 本発明の第一実施形態によるスタータシステムの模式図である。 本発明の第一実施形態によるスタータシステムのプーリ相対角度と連結ばねの付勢力との関係を示す特性図である。 本発明の第一実施形態によるスタータシステムを用いたエンジンの駆動開始プロセスのメインフローチャートである。 本発明の第一実施形態によるスタータシステムにおけるエンジンの回転数の時間変化を示す特性図である。 本発明の第一実施形態によるスタータシステムを用いたエンジンの駆動開始プロセスのサブフローチャートである。 本発明の第一実施形態によるスタータシステムにおけるエンジンの回転数と必要トルクとの関係を示す特性図である。 本発明の第一実施形態によるスタータシステムにおけるプーリ相対角度と連結ばねの付勢力との関係を示す特性図である。 本発明の第一実施形態によるスタータシステムを用いたエンジンの駆動開始プロセスにおけるモータジェネレータの発電制御を説明する模式図である。 本発明の第一実施形態によるスタータシステムを用いたエンジンの駆動開始プロセスにおけるモータジェネレータの逆回転制御を説明する模式図である。 本発明の第一実施形態によるスタータシステムを用いたエンジンの駆動開始プロセスにおけるモータジェネレータの逆回転制御を説明する模式図であって、図10とは異なる状態を説明する模式図である。 本発明の第二実施形態によるスタータシステムのプーリ相対角度と連結ばねの付勢力との関係を示す特性図である。 本発明の第三実施形態によるスタータシステムのプーリ相対角度と連結ばねの付勢力との関係を示す特性図である。 本発明の第四実施形態によるスタータシステムのプーリ相対角度と連結ばねの付勢力との関係を示す特性図である。 本発明の第五実施形態によるスタータシステムを用いる車両のエンジンシステムの模式図である。 本発明の第六実施形態によるスタータシステムを用いる車両のエンジンシステムの模式図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態による「動力伝達装置」としてのスタータシステム1は、「動力源」としてのエンジン11を有するエンジンシステム7に適用される。
図1にエンジンシステム7を搭載する車両の駆動系の模式図を示す。エンジンシステム7は、エンジン11、トランスミッション12、「動力軸」としてのドライブシャフト13、車輪14、および、スタータシステム1を備えている。
エンジン11は、複数のシリンダ110、シリンダ110に吸入される空気が流れる吸気系111、および、シリンダ110の排気を外部に排出する排気系112を有する。エンジン11は、吸気系111を通る空気と燃料との混合気の燃焼による図示しないピストンの上下動をドライブシャフト13の回転運動に変換する内燃機関である。なお、図1には、吸気系111に流入する空気の流れを実線矢印L1で示し、排気系112から排出される排気の流れを実線矢印L2で示す。
エンジン11が出力するドライブシャフト13の回転運動は、トランスミッション12においてトルク、回転数、回転方向などが変更され車輪14に伝達される。
スタータシステム1は、エンジン11におけるピストンの上下動を開始するために必要なトルクをドライブシャフト13に与える機能を有する。スタータシステム1は、「スタータ」としてのモータジェネレータ21、「動力源側プーリ」としてのエンジン側プーリ22、連結プーリ23、「弾性部材」としての連結ばね24、モータプーリ25、連結ベルト26、「スタータ制御部」としてのエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)27などを備える。スタータシステム1は、エンジン11のトランスミッション12が設けられている側とは反対側の端部に設けられ、ドライブシャフト13と連結している。
モータジェネレータ21は、スタータシステム1を搭載する車両において、モータ及び発電機として機能する。モータジェネレータ21は、弾性材料から形成されるモータシャフト211を有する。本実施形態では、モータジェネレータ21は、車輪14を駆動する力行作動、および、ドライブシャフト13のトルクを利用して発電を行う回生作動を行うことが可能である。
エンジン側プーリ22は、略円環状に形成され、ドライブシャフト13と一体に回転可能に設けられている。エンジン側プーリ22の径方向外側の外壁には、後述する連結ばね24の一端を支持する支持部221、222が設けられている。
連結プーリ23は、略円環状に形成されている。連結プーリ23は、エンジン側プーリ22の径外方向においてエンジン側プーリ22に対して相対回転可能に設けられている。連結プーリ23の径方向内側の内壁には、連結ばね24の他端を支持する支持部231、232が設けられている。
連結ばね24は、エンジン側プーリ22と連結プーリ23との間に設けられている。本実施形態では、連結ばね24は、二つ設けられている。連結ばね24は、エンジン側プーリ22と連結プーリ23との相対角度に応じて圧縮または伸長することが可能である。連結ばね24の特性の詳細については後述する。
モータプーリ25は、略円環状に形成され、モータジェネレータ21のモータシャフト211に連結している。モータプーリ25は、モータシャフト211と一体に回転可能に設けられている。
連結ベルト26は、連結プーリ23の径方向外側の外壁、および、モータプーリ25の径方向外側の外壁に巻き掛けられている。連結ベルト26は、弾性材料から形成され、モータプーリ25と連結プーリ23との間における回転運動の伝達が可能である。
エンジンECU27は、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROMおよびRAM、ならびに、入出力手段等を有する小型のコンピュータである。エンジンECU27は、車両の各部に設けられた各種センサからの信号等に基づき、ROMに記憶されたプログラムに従い処理を行い、エンジン11の駆動を統合的に制御する。エンジンECU27は、例えば、電気的に接続している「吸気量検出部」としての吸気量センサ271、「回転数検出部」としての回転数センサ272、および、「温度検出部」としての水温センサ273が出力する信号に基づいてエンジン11の駆動を開始するためにモータジェネレータ21の駆動を制御する。
吸気量センサ271は、吸気系111を流れる空気の量を検出可能に設けられている。吸気量センサ271は、検出した空気の量に応じた信号をエンジンECU27に出力可能である。
回転数センサ272は、ドライブシャフト13の回転数を検出可能に設けられている。回転数センサ272は、検出したドライブシャフト13の回転数に応じた信号をエンジンECU27に出力可能である。
水温センサ273は、エンジン11内を流れる冷却水の温度を検出可能に設けられている。水温センサ273は、検出した水温に応じた信号をエンジンECU27に出力可能である。
ここで、本実施形態の特徴である連結ばね24の特性について図2,3に基づいて説明する。図3にエンジン側プーリ22と連結プーリ23との相対角度と、連結ばね24の付勢力との関係を示す。図3では、横軸にエンジン側プーリ22と連結プーリ23との相対角度(以下、「プーリ相対角度」という)を示す。図3では、プーリ相対角度が0度となるとき、連結ばね24の長さが自然長となる。図3では、縦軸に連結ばね24の付勢力を示す。縦軸に示す付勢力は、連結ばね24が伸びようとするときの付勢力である場合プラスとし、連結ばね24が縮もうとするときの付勢力である場合マイナスとして示す。プーリ相対角度は、特許請求の範囲に記載の「動力源側プーリに対する連結プーリの回転角度」に相当する。
図2において、連結プーリ23がエンジン側プーリ22に対して反時計周りに相対回転すると、プーリ相対角度は0度より大きくなり、連結ばね24は圧縮される。すなわち、本実施形態では、プーリ相対角度が0度より大きくなると、連結ばね24には伸びようとする弾性エネルギが蓄積される(図3の第1象限)。
また、図2において、連結プーリ23がエンジン側プーリ22に対して時計周りに相対回転すると、プーリ相対角度は0度より小さくなり、連結ばね24は伸長される。すなわち、本実施形態では、プーリ相対角度が0度より小さくなると、連結ばね24には縮もうとする弾性エネルギが蓄積される(図3の第3象限)。
本実施形態では、プーリ相対角度と連結ばね24の付勢力とは、図3に示すように、比例の関係を有する。
ここで、便宜的に、図2においてエンジン側プーリ22に対して連結プーリ23が時計周りに回転する回転を正回転という。また、図2において連結プーリ23がエンジン側プーリ22に対して反時計周りに回転する回転を逆回転という。図2には、正回転および逆回転のそれぞれにおいて連結ベルト26が回転する方向を図示してある。例えば、図2において連結プーリ23が正回転すると、連結ばね24は伸長され、連結ばね24には縮もうとする弾性エネルギが蓄積される。また、図2において連結プーリ23が逆回転すると、連結ばね24は圧縮され、連結ばね24には延びようとする弾性エネルギが蓄積される。正回転は、特許請求の範囲に記載の「動力源が力行駆動するときの回転方向である一方の方向の回転」に相当する。逆回転は、特許請求の範囲に記載の「他方の方向の回転」に相当する。
また、図2に示す状態は、例えば、ドライブシャフト13およびモータシャフト211のいずれにもトルクが作用していない状態を示している。図2には、このときのドライブシャフト13およびモータシャフト211のそれぞれの中心軸CA13,CA21を通る仮想線RL13、RL21を図示する。ドライブシャフト13およびモータシャフト211のいずれにもトルクが作用していない状態では、図2に示すように、仮想線RL13、RL21は略平行となっている。すなわち、エンジン側プーリ22とモータプーリ25とは同位相となっている。このときのプーリ相対角度を0度とする。
次に、本実施形態のエンジン11の駆動開始プロセスについて、図4〜11に基づいて説明する。本実施形態のエンジン11の駆動開始プロセスは、例えば、アイドルストップによって図示しない燃料噴射弁からの燃料の供給がカットされ、エンジン11の回転数が図5に示すように徐々に低下しているときに実行される。本実施形態のエンジン11の駆動開始プロセスは、完全に停止しているエンジン11の駆動を開始するだけでなく、出力するトルクが徐々に低下しているエンジン11の駆動状態を継続的にトルクを出力可能な状態に戻すことも可能である。なお、図5では、縦軸にエンジン11の回転数を示す。また、図5の縦軸では、エンジン11の回転数としてのドライブシャフト13の回転が逆回転となるときのエンジン11の回転数を0より小さいマイナスの値で示す。
最初に、図4に示すステップ(以下、単に「S」という)101において、エンジン11の回転数Neが自力復帰下限回転数Ne1より小さいか否かを判定する。ここで、自力復帰下限回転数Ne1とは、シリンダ110への燃料の噴射の再開によってエンジン11の継続した駆動を再び開始することが可能な回転数である。
エンジンECU27は、回転数センサ272が出力する信号に基づいてエンジン11の回転数Neが自力復帰下限回転数Ne1より小さいか否かを判定する。エンジン11の回転数Neが自力復帰下限回転数Ne1より小さいと判定すると、S102に進む。エンジン11の回転数Neが自力復帰下限回転数Ne1以上であると判定すると、S109に進む。
S101でエンジン11の回転数Neが自力復帰下限回転数Ne1より小さいと判定されると、S102において、エンジン11の回転数Neが「スタータのみによって動力源の駆動を開始することが不可能な回転数」としての切替回転数Ne2より小さいか否かを判定する。ここで、切替回転数Ne2とは、エンジン11の駆動を開始するときのモータジェネレータ21の制御内容を切り替える閾値としての回転数である。本実施形態では、切替回転数Ne2は、エンジン11の吸気量が大きくなるにしたがって大きくなるよう設定されている可変値である。また、切替回転数Ne2は、エンジン11の固有の回転数であって、エンジン11の振動が比較的大きくなる共振回転数以上に設定されている。
エンジンECU27は、回転数センサ272が出力する信号に基づいてエンジン11の回転数Neが切替回転数Ne2より小さいか否かを判定する。エンジン11の回転数Neが切替回転数Ne2より小さいと判定すると、S103に進む。エンジン11の回転数Neが切替回転数Ne2以上であると判定すると、S108に進む。
S102でエンジン11の回転数Neが切替回転数Ne2以上であると判定されると、S108において、モータジェネレータ21を力行制御する。エンジンECU27は、後述するS107においてモータジェネレータ21が出力するトルクがドライブシャフト13の正回転を助けることが可能となるようモータシャフト211の位置合わせを行う。
S101でエンジン11の回転数Neが自力復帰下限回転数Ne1より小さいと判定された後、または、S108でモータジェネレータ21を力行制御した後、S109において、エンジン11の駆動を開始する要求があるか否かを判定する。エンジンECU27は、図示しないアクセルペダルやブレーキペダルの操作などアイドルストップの解除につながる操作が運転者によってなされているか否かを判定する。S109においてエンジン11の駆動を開始する要求があると判定すると、S106に進む。S109においてエンジン11の駆動を開始する要求がないと判定すると、S101に進む。
一方、S102でエンジン11の回転数Neが切替回転数Ne2より小さいと判定されると、S103において、モータジェネレータ21を発電制御する。
エンジン11の回転数Neが切替回転数Ne2より小さいと判定されるときであってもエンジン11のピストンは上下運動を繰り返しており、図5の時刻t2以降に示すように、エンジン11の回転数Neは0となっていない。そこで、エンジンECU27は、図9に示すように、モータシャフト211における正回転を抑制するブレーキ(図9の白抜き矢印F91)がモータシャフト211に作用するようモータジェネレータ21を制御する。この状態でドライブシャフト13の回転(図9の実線矢印F92)が継続すると、モータシャフト211も回転(図9の実線矢印F93)するためモータジェネレータ21で発電が行われる。モータジェネレータ21において発生した電気は、エンジンシステム7が有する図示しないバッテリに蓄電される。
このとき、エンジンECU27は、水温センサ273が検出するエンジン11内を流れる冷却水の温度に基づいてモータジェネレータ21の発電量を変更する。具体的には、エンジン11内を流れる冷却水の温度が高くなるにしたがってモータシャフト211における正回転を抑制するブレーキを弱くし、モータジェネレータ21の発電量を少なくする。
S103では、連結ベルト26で連結されている連結プーリ23にも正回転に対するブレーキがかかる。これにより、ドライブシャフト13の仮想線RL13とモータシャフト211の仮想線RL21とが平行でない状態、すなわち、位相がずれた状態となる。具体的には、図9に示すように、正回転の方向においてモータシャフト211の仮想線RL21は、ドライブシャフト13の仮想線RL13に比べ遅くなる。正回転の方向において仮想線RL21が仮想線RL13に比べ遅くなると、プーリ相対角度が0度より大きくなり連結ばね24は圧縮される。
また、モータプーリ25に正回転に対するブレーキがかかる一方、連結プーリ23にはエンジン側プーリ22の正回転の力が作用するため、連結ベルト26の一部が伸長する。具体的には、モータプーリ25が正回転するときモータプーリ25から連結プーリ23に送られる連結ベルト26の部位261(図9参照)がモータプーリ25に正回転に対するブレーキがかかるため伸長する。
また、モータシャフト211のモータプーリ25が連結している側の一方の端部には正回転の力が作用する一方、他方の端部にはブレーキがかかる。これにより、弾性材料から形成されているモータシャフト211にはねじれが発生する。
次に、S104において、エンジンECU27は、シリンダ110が吸入する空気の量を低減する制御を行う。具体的には、エンジンECU27は、図示しないスロットルバルブを駆動し、シリンダ110に流入する空気の量を低減する。これにより、シリンダ110に流入する空気を圧縮するときの反力によってドライブシャフト13が逆回転することを防止する。
次に、S105において、エンジン11の駆動を開始する要求があるか否かを判定する。エンジンECU27は、S109と同様に、アイドルストップの解除につながる操作が運転者によってなされているか否かを判定する。S105においてエンジン11の駆動を開始する要求があると判定すると、S106に進む。S105においてエンジン11の駆動を開始する要求がないと判定すると、S110に進む。
S105でエンジン11の駆動を開始する要求がないと判定されると、S110において、エンジン11の回転数Neが0であるか否かを判定する。エンジンECU27は、回転数センサ272が出力する信号に基づいてエンジン11の回転数Neが0であるか否かを判定する。ここで、「エンジン11の回転数Neが0である」とするエンジン11の回転数は、図5の縦軸に示すように、0からプラス側の回転数Nepまでの領域N0p、および、0からマイナス側の回転数Nemまでの領域N0mの回転数を指す。エンジン11の回転数Neが0であると判定すると、S111に進む。エンジン11の回転数Neが0でないと判定すると、S103に進む。
S110でエンジン11の回転数Neが0であると判定されると、S111においてエンジン11の駆動を開始する要求があるか否かを判定する。エンジンECU27は、S105およびS109と同様に、アイドルストップの解除につながる操作が運転者によってなされているか否かを判定する。S111においてエンジン11の駆動を開始する要求があると判定すると、S112に進む。S111においてエンジン11の駆動を開始する要求がないと判定すると、S111における判定を繰り返す。
S111でエンジン11の駆動を開始する要求があると判定されると、S112において、モータジェネレータ21を逆回転制御する。エンジンECU27は、モータジェネレータ21を逆回転し、通常、エンジン11の圧縮行程の上死点前に位置するエンジン11のピストンを排気行程の位置に移動する。
S112では、エンジンECU27は、エンジン11の回転数Neに基づいてモータジェネレータ21の逆回転の回転角の大きさを演算する。ここでは、図6〜8に基づいて演算する内容を説明する。
最初に、図6に示すS201において、エンジン11の駆動を開始するときに不足することが予想されるトルクの大きさを算出する。
図7に、エンジン11の回転数と、エンジン11を始動するために必要なトルクとの関係を示す。図7には、エンジン11を始動するために必要なトルクを実線L71で示し、モータジェネレータ21が出力可能なトルクを一点鎖線L72で示す。
エンジン11の回転数をある特定の回転数、例えば、図7に示す回転数Ne0とするためには、実線L71上の点P71に対応するトルクTrq1が必要となる。しかしながら、エンジン11の回転数を回転数Ne0とするためにモータジェネレータ21が出力可能なトルクは、一点鎖線L72上の点P72に対応するトルクTrq2であるため、トルク(Trq1−Trq2)が不足することとなる。
次に、S202において、S201において算出したトルクを出力可能なプーリ相対角度を算出する。
図8に、スタータシステム1におけるプーリ相対角度と二つの連結ばね24が出力可能なトルクとの関係を示す。図8には、連結ばね24のプーリ相対角度における連結ばね24が出力可能なトルクを実線L81で示す。図8より、S201において算出されたトルク(Trq1−Trq2)に対応する実線L81上の点P81に対応するプーリ相対角度は、プーリ相対角度Arp0となる。
エンジンECU27では、図7,8に示すようなマップを事前に記憶することによって、エンジン11の駆動を開始するときに不足することが予想されるトルクの大きさを算出し、当該トルクに基づいてプーリ相対角度を算出する。エンジンECU27では、当該プーリ相対角度からモータジェネレータ21の逆回転の回転角の大きさを算出する。
S112では、エンジンECU27は、このようにして、モータジェネレータ21の逆回転の回転角の大きさを演算し、当該演算した結果に基づいてモータジェネレータ21を逆回転させる。
S112でのモータジェネレータ21の逆回転制御について図10に基づいて説明する。
S112では、S103におけるモータジェネレータ21の発電制御の状態(図9参照)から連結ばね24に伸びようとする弾性エネルギが蓄積されるようモータシャフト211をさらに逆回転させる。具体的には、図10に示すように、プーリ相対角度がプーリ相対角度Arp0となるようモータジェネレータ21を逆回転させる(図10の実線矢印F101)。これにより、連結プーリ23が逆回転(図10の実線矢印F102)するため、プーリ相対角度がプーリ相対角度Arp0となる。なお、図10には、図2における支持部231,232および図9における仮想線RL21を一点鎖線で示している。
S112でモータジェネレータ21を逆回転制御した後、S105でエンジン11の駆動を開始する要求があったと判定された後、または、S109でエンジン11の駆動を開始する要求があったと判定された後、S106において、エンジンECU27は、シリンダ110が吸入する空気の量を増大する制御を行う。具体的には、エンジンECU27は、図示しないスロットルバルブを駆動し、シリンダ110に流入する空気の量を増大させる。この制御によって、シリンダ110内に比較的多くの空気が流入する。
次に、S107において、エンジンの駆動を開始する制御を行う。エンジンECU27は、モータジェネレータ21を正回転し連結ベルト26を介してモータジェネレータ21のトルクを連結プーリ23に伝達する。
S112でモータジェネレータ21を逆回転制御した後のS107では、図11に示すように、モータジェネレータ21が出力するトルク(図11の白抜き矢印F111)に加え、連結ばね24の付勢力(図11の白抜き矢印F112)、連結ベルト26の伸長している部位261の収縮力(図11の白抜き矢印F113)、S103におけるモータシャフト211のねじれの反力などが連結プーリ23に作用する。これにより、連結プーリ23の回転速度が比較的速くなる。また、排気行程の位置にあるピストンの慣性力がドライブシャフト13に作用する。これにより、ドライブシャフト13が比較的高速度で正回転する。エンジン11の回転数Neが所定の回転数に達した後、燃料をシリンダ110に噴射し、エンジン11の駆動を開始する。なお、図11には、図9における仮想線RL21および支持部231,232を一点鎖線で示している。
また、S105でエンジン11の駆動を開始する要求があったと判定された後のS107では、モータジェネレータ21が出力するトルクに加え、連結ばね24の付勢力、連結ベルト26の伸長している部位261の収縮力、S103におけるブレーキによるモータシャフト211のねじれの反力などがドライブシャフト13に作用する。これにより、連結プーリ23の回転速度が比較的速くなり、ドライブシャフト13が比較的高速度で正回転する。エンジン11の回転数Neが所定の回転数に達した後、燃料をシリンダ110に噴射し、エンジン11の駆動を開始する。
また、S108でモータジェネレータ21を力行制御した後のS107では、モータジェネレータ21が出力するトルクがドライブシャフト13に作用する。これにより、ドライブシャフト13が正回転する。エンジン11の回転数Neが所定の回転数に達した後、燃料をシリンダ110に噴射し、エンジン11の駆動を開始する。
また、S101でエンジン11の回転数Neが自力復帰下限回転数Ne1以上であると判定された後のS107では、エンジン11は、シリンダ110への燃料の噴射の再開のみによってエンジン11の駆動が開始する。
(a)第一実施形態によるスタータシステム1では、エンジン側プーリ22と連結プーリ23との間に連結ばね24が設けられている。連結プーリ23がエンジン側プーリ22に対して逆回転するようエンジンECU27がモータジェネレータ21を駆動すると、連結ばね24は圧縮される。この圧縮された連結ばね24に蓄積される弾性エネルギは、エンジン11の駆動を開始するときエンジン側プーリ22の回転に必要なエネルギとして利用することができる。
また、連結プーリ23がエンジン側プーリ22に対して逆回転するようエンジンECU27がモータジェネレータ21を駆動すると、弾性材料から形成されている連結ベルト26の一部が伸びる。この伸びた連結ベルト26に蓄積された弾性エネルギも、エンジン11の駆動を開始するとき連結プーリ23および連結ばね24を介してエンジン側プーリ22の回転に必要なエネルギとして利用することができる。
このように、スタータシステム1では、モータジェネレータ21の回転エネルギを連結ばね24および連結ベルト26に弾性エネルギとして蓄積することができる。連結ばね24および連結ベルト26に蓄積された弾性エネルギは、モータジェネレータ21がエンジン11の駆動を開始するために必要なトルクをドライブシャフト13に与えるときエンジン側プーリ22の回転に利用できるため、エンジン11の駆動を開始するために必要なエネルギの消費量を低減することができる。
(b)スタータシステム1では、モータジェネレータ21とエンジン側プーリ22とは、連結ばね24、連結プーリ23、および、連結ベルト26を介して連結する。これにより、エンジン11が駆動していても、エンジン側プーリ22に対する連結プーリ23の相対角度を連結ばね24が圧縮されかつ連結ベルト26の一部が伸長する角度に保ったまま連結ベルト26およびモータジェネレータ21を回転させることができる。したがって、ドライブシャフト13が回転している状態でも連結ばね24および連結ベルト26に弾性エネルギを蓄積することができる。
(c)モータジェネレータ21は、弾性材料から形成されるモータシャフト211を有する。これにより、モータジェネレータ21が逆回転するときのモータシャフト211のねじれの反力をエンジン11の駆動を開始するときに必要なエネルギとして利用することができる。したがって、エンジン11の駆動を開始するために必要なエネルギの消費量をさらに低減することができる。
(d)スタータシステム1では、S112において、モータジェネレータ21を逆回転し、エンジン11のピストンをエンジン11の排気行程の位置に移動する。これにより、エンジン11の駆動を開始するとき、ピストンが圧縮工程の上死点前に位置する場合に比べ少ないトルクでピストンの上下運動を開始することができる。したがって、エンジン11の駆動を開始するために必要なエネルギの消費量をさらに低減することができる。また、ピストンが排気行程の位置から圧縮行程の上死点前の位置までに移動する慣性力もエンジン11の駆動を開始するときに必要なエネルギとして利用することができる。
(e)スタータシステム1では、エンジンECU27は、S103において、モータジェネレータ21の発電制御として、モータシャフト211における正回転を抑制するブレーキを作用させつつエンジン11の回転数Neを低下させていく。これにより、エンジン11の残留トルクを利用して発電を行うことができるため、ピストンの運動エネルギを電気エネルギとして蓄積することができる。
また、スタータシステム1では、S103においてモータジェネレータ21を逆回転させるときに連結ばね24を圧縮することによって弾性エネルギを連結ばね24に蓄積することができる。したがって、S112におけるモータジェネレータ21の逆回転制御に要する時間を短縮することができる。
(f)また、スタータシステム1では、水温センサ273が出力する信号に基づいてエンジン11内を流れる冷却水の温度が高い場合、エンジン11の駆動を開始するために必要なトルクは比較的小さくなるため、連結ばね24の圧縮の度合いは小さくてもよい。そこで、エンジンECU27は、エンジン11内を流れる冷却水の温度が高くなるにしたがってモータシャフト211における正回転を抑制するブレーキを弱くし、モータジェネレータ21の発電量を少なくする。これにより、連結ばね24の圧縮の度合いを小さくし、連結ばね24の不要な圧縮を省くことができる。
(g)スタータシステム1では、回転数センサ272が出力する信号に基づいてモータジェネレータ21の制御内容の切り替えを行う。エンジン11の回転数Neが切替回転数Ne2より小さいと判定すると、エンジンECU27は、エンジン11の駆動を開始する要求があった後に、エンジン11の回転数における切替回転数Ne2の大きさに応じてエンジン11の駆動を開始するときに不足することが予想されるトルクの大きさを算出する。エンジンECU27では、算出された当該トルクに基づいて必要最小限のプーリ相対角度を算出し、当該プーリ相対角度となるようモータジェネレータ21を逆回転する。これにより、モータジェネレータ21の逆回転制御において連結ばね24の不要な圧縮を省くことができる。
(h)スタータシステム1では、吸気量センサ271が出力する信号に基づいて切替回転数Ne2を変更する。エンジン11の吸気量の大小は、圧縮行程におけるピストンの上下動に必要なトルクの大小と相関関係がある。そこで、モータジェネレータ21の制御内容の切り替えの閾値である切替回転数Ne2をエンジン11の吸気量が大きくなるにしたがって大きくなるよう設定する。これにより、エンジン11の駆動を確実に行うことができる。
(i)また、スタータシステム1では、切替回転数Ne2をエンジン11の振動が比較的大きくなる共振回転数以上に設定している。これにより、エンジン11の振動が大きくなる回転数の領域をモータジェネレータ21における発電制御によって回転数を強制的に低下させ迅速に通過することによって、振動や振動に起因する騒音が発生する時間を短くすることができる。
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態による動力伝達装置を図12に基づき説明する。第二実施形態では、連結ばねの特性が第一実施形態と異なる。
第二実施形態によるスタータシステムは、モータジェネレータ21、エンジン側プーリ22、連結プーリ23、「弾性部材」としての連結ばね34、モータプーリ25、連結ベルト26、および、エンジンECU27を備える。
連結ばね34は、エンジン側プーリ22と連結プーリ23との間に設けられている。本実施形態では、連結ばね34は、二つ設けられている。連結ばね34は、プーリ相対角度に応じて圧縮または伸長することが可能である。
連結ばね34の特性について図12に基づいて説明する。図12にプーリ相対角度と連結ばね34の付勢力との関係を示す。図12では、横軸にプーリ相対角度を示し、縦軸に連結ばね34の付勢力を示す。縦軸に示す付勢力は、連結ばね34が伸びようとするときの付勢力である場合プラスとし、連結ばね34が縮もうとするときの付勢力である場合マイナスとして示す。
図12に示すように、プーリ相対角度が0度以上の場合、連結ばね34は圧縮される。すなわち、プーリ相対角度が0度以上になると、連結ばね34には伸びようとする弾性エネルギが蓄積される。
また、プーリ相対角度が0度より小さい場合、連結ばね34は伸長される。すなわち、プーリ相対角度が0度より小さくなると、連結ばね34には縮もうとする弾性エネルギが蓄積される。
第二実施形態では、図12に示すように、プーリ相対角度が0度以上の場合のプーリ相対角度に対する連結ばね34の付勢力の変化量は、プーリ相対角度が0度より小さい場合のプーリ相対角度に対する連結ばね34の付勢力の変化量に比べ小さい。
第二実施形態によるスタータシステムでは、連結ばね34は、プーリ相対角度が0度より小さい場合に比べプーリ相対角度が0度以上の場合の方が変形しやすくなっている。これにより、モータジェネレータ21が逆回転するとき、連結ばね24に比較的多くの弾性エネルギを蓄積することができる。したがって、第二実施形態は、第一実施形態の効果を奏するとともにエンジン11の駆動を開始するために必要なエネルギの消費量をさらに低減することができる。
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態による動力伝達装置を図13に基づき説明する。第三実施形態では、連結ばねの特性が第一実施形態と異なる。
第三実施形態によるスタータシステムは、モータジェネレータ21、エンジン側プーリ22、連結プーリ23、「弾性部材」としての連結ばね44、モータプーリ25、連結ベルト26、および、エンジンECU27を備える。
連結ばね44は、エンジン側プーリ22と連結プーリ23との間に設けられている。本実施形態では、連結ばね44は、二つ設けられている。連結ばね44は、エンジン側プーリ22と連結プーリ23との相対角度に応じて圧縮または伸長することが可能である。
連結ばね44の特性について図13に基づいて説明する。図13にプーリ相対角度と連結ばね44の付勢力との関係を示す。図13では、横軸にプーリ相対角度を示し、縦軸に連結ばね44の付勢力を示す。縦軸に示す付勢力は、連結ばね44が伸びようとするときの付勢力である場合プラスとし、連結ばね44が縮もうとするときの付勢力である場合マイナスとして示す。図13には、エンジン11の駆動を開始するときのエンジン11のトルクの変動幅を、プラス側のトルクTq31とマイナス側のトルクTq32との間の0を含む領域Atq3で示す。
プーリ相対角度が0より小さいプーリ相対角度Arp3以上の場合、連結ばね44は圧縮される。すなわち、プーリ相対角度がプーリ相対角度Arp3以上になると、連結ばね44には伸びようとする弾性エネルギが蓄積される。
また、プーリ相対角度がプーリ相対角度Arp3より小さい場合、連結ばね44は伸長される。すなわち、プーリ相対角度がプーリ相対角度Arp3より小さくなると、連結ばね44には縮もうとする弾性エネルギが蓄積される。
本実施形態の連結ばね44は、連結ばね44の付勢力の大きさによってプーリ相対角度と付勢力との関係が異なる。具体的には、連結ばね44の付勢力がトルクTq31に比べ大きい付勢力Tq30以上におけるプーリ相対角度に対する連結ばね44の付勢力の変化量は、付勢力Tq30より小さい場合のプーリ相対角度に対する連結ばね44の付勢力の変化量に比べ小さい。すなわち、領域Atq3におけるプーリ相対角度の変化は比較的小さい。
第三実施形態によるスタータシステムでは、連結ばね44は、エンジン11のトルク変動が0付近で発生することから、0を含む領域Atq3におけるプーリ相対角度の変化が比較的小さくなるよう設定されている。これにより、エンジン11のトルク変動によって連結ばね44が比較的大きく変形することを防止できる。したがって、第三実施形態は、第一実施形態および第二実施形態の効果を奏するとともに、大きな変形の繰り返しによる連結ばね44の破損を防止することができる。
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態による動力伝達装置を図14に基づき説明する。第四実施形態では、連結ばねの特性が第一実施形態と異なる。
第四実施形態によるスタータシステムは、モータジェネレータ21、エンジン側プーリ22、連結プーリ23、「弾性部材」としての連結ばね54、モータプーリ25、連結ベルト26、および、エンジンECU27を備える。
連結ばね54は、エンジン側プーリ22と連結プーリ23との間に設けられている。本実施形態では、連結ばね54は、二つ設けられている。連結ばね54は、エンジン側プーリ22と連結プーリ23との相対角度に応じて圧縮または伸長することが可能である。
連結ばね54の特性について図14に基づいて説明する。図14にプーリ相対角度と連結ばね54の付勢力との関係を示す。図14では、横軸にプーリ相対角度を示し、縦軸に連結ばね54の付勢力を示す。縦軸に示す付勢力は、連結ばね54が伸びようとするときの付勢力である場合プラスとし、連結ばね54が縮もうとするときの付勢力である場合マイナスとして示す。
図14に示すように、プーリ相対角度が0度以上の場合、連結ばね54は圧縮される。すなわち、プーリ相対角度が0度以上になると、連結ばね54には伸びようとする弾性エネルギが蓄積される。
また、プーリ相対角度が0度より小さい場合、連結ばね54は伸長される。すなわち、プーリ相対角度が0度より小さくなると、連結ばね54には縮もうとする弾性エネルギが蓄積される。
第四実施形態では、図14に示すように、プーリ相対角度が0度以上の場合におけるプーリ相対角度に対する連結ばね34の付勢力の変化量は、プーリ相対角度が0度より小さい場合におけるプーリ相対角度に対する連結ばね34の付勢力の変化量に比べ小さい。また、プーリ相対角度が0度以上の場合とプーリ相対角度が0度より小さい場合との境界においてプーリ相対角度に対する連結ばね54の付勢力の変化量が連続的に変化している。すなわち、図14の特性図に変曲点は存在しない。
第四実施形態によるスタータシステムでは、連結ばね54は、プーリ相対角度が0度より小さい場合に比べプーリ相対角度が0度以上の場合の方が変形しやすくなっている。これにより、モータジェネレータ21が逆回転するとき、連結ばね24に比較的多くの弾性エネルギを蓄積することができる。したがって、第四実施形態は、第一実施形態の効果を奏するとともにエンジン11の駆動を開始するために必要なエネルギの消費量をさらに低減することができる。
また、第四実施形態によるスタータシステムでは、プーリ相対角度に対する付勢力の変化量が連続的に変化している。これにより、付勢力の変化を示す特性図において変曲点を有する第二実施形態に比べ付勢力の急激な変化を防止することができる。
(第五実施形態)
本発明の第五実施形態による動力伝達装置を図15に基づき説明する。第五実施形態では、動力伝達装置が設けられる位置が第一実施形態と異なる。
第五実施形態による「動力伝達装置」としてのスタータシステム5は、モータジェネレータ21、エンジン側プーリ22、連結プーリ23、連結ばね24、モータプーリ25、連結ベルト26、および、エンジンECU27などを備える。
スタータシステム5は、トランスミッション12内のドライブシャフト13に連結可能な位置に設けられている。これにより、第五実施形態によるスタータシステム5は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
(第六実施形態)
本発明の第六実施形態による動力伝達装置を図16に基づき説明する。第六実施形態では、動力伝達装置が設けられる位置が第一実施形態と異なる。
第六実施形態による「動力伝達装置」としてのスタータシステム6は、モータジェネレータ21、エンジン側プーリ22、連結プーリ23、連結ばね24、モータプーリ25、連結ベルト26、および、エンジンECU27などを備える。
スタータシステム6は、トランスミッション12と車輪14との間のドライブシャフト13に連結可能な位置に設けられている。これにより、第六実施形態によるスタータシステム6は、第一実施形態と同じ効果を奏する。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、「動力伝達装置」は、エンジンを有するエンジンシステムに適用されるとした。しかしながら、動力伝達装置が適用される技術分野はこれに限定されない。回転運動を一方から他方に伝達する技術分野に適用されればよい。
連結ばねにおけるプーリ相対角度と付勢力との関係について、第一〜四実施形態に示した。しかしながら、連結ばねにおけるプーリ相対角度と付勢力との関係はこれに限定されない。
上述の実施形態では、モータシャフトは、弾性材料から形成されるとした。しかしながら、モータシャフトを形成する材料はこれに限定されない。
上述の実施形態では、モータジェネレータを逆回転し、エンジンのピストンをエンジンの排気行程の位置に移動するとした。しかしながら、ピストンをエンジンの排気行程の位置まで移動しなくてもよい。
上述の実施形態では、モータジェネレータは、エンジンの残留トルクを利用して発電を行えるとした。しかしながら、モータジェネレータは、エンジンの駆動を開始可能なスタータであってもよい。
第一実施形態では、スタータシステムは、エンジンのトランスミッションが設けられている側とは反対側の端部に設けられ、ドライブシャフトと連結しているとした。第五実施形態では、トランスミッション内のドライブシャフトに連結可能な位置に設けられているとした。第六実施形態では、スタータシステムは、トランスミッションと車輪との間のドライブシャフトに連結可能な位置に設けられているとした。しかしながら、スタータシステムが設けられる位置はこれに限定されない。ドライブシャフトに連結可能な位置であればよい。
上述の実施形態では、連結ばねは、二つ設けられるとした。しかしながら、連結ばねの数はこれに限定されない。一つであってもよいし、三つ以上あってもよい。
上述の実施形態では、エンジンECUは、吸気量センサが出力する信号に基づいて切替回転数を設定するとした。また、切替回転数は、エンジンの吸気量が大きくなるにしたがって大きくなり、エンジンの振動が比較的大きくなる共振回転数以上に設定されるとした。しかしながら、切替回転数の大きさはこれに限定されない。また、吸気量センサはなくてもよい。
上述の実施形態では、エンジンの吸気系は、シリンダに流入する空気を吸入するとした。しかしながら、空気と燃料との混合気を吸入してもよい。
上述の実施形態では、水温センサが検出するエンジン内を流れる冷却水の温度に基づいてモータジェネレータの発電量を変更するとした。しかしながら、水温センサはなくてもよく、モータジェネレータの発電量を一定にしてもよい。また、モータジェネレータによる発電はなくてもよい。
上述の実施形態では、回転数センサが出力する信号に基づいてモータジェネレータの制御内容を変更しているとした。しかしながら、回転数センサはなくてもよく、エンジンの駆動を開始するとき、常に連結ばねの付勢力を利用してエンジンの駆動を開始してもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲の種々の形態で実施可能である。
1,5・・・スタータシステム(動力伝達装置)
11・・・エンジン(動力源)
13・・・ドライブシャフト(動力軸)
21・・・モータジェネレータ(スタータ)
211・・・モータシャフト(スタータ軸)
22・・・エンジン側プーリ(動力源側プーリ)
23・・・連結プーリ
24,34,44,54・・・連結ばね(弾性部材)
26・・・連結ベルト
27・・・エンジンECU(スタータ制御部)

Claims (13)

  1. 動力源(11)が有する動力軸(13)を回転可能なスタータ(21)と、
    前記動力軸と一体に回転可能な動力源側プーリ(22)と、
    前記動力源側プーリの径外方向に前記動力源側プーリに対して相対回転可能に設けられる連結プーリ(23)と、
    前記動力源側プーリと前記連結プーリとの間に設けられ、前記連結プーリが前記動力源側プーリに対して前記動力源が力行駆動するときの回転方向である一方の方向に相対回転すると伸長し、前記連結プーリが前記動力源側プーリに対して他方の方向に回転すると圧縮される弾性部材(24,34,44,54)と、
    弾性材料から形成され、前記スタータが有するスタータ軸(211)と前記連結プーリとを連結し前記スタータが出力するトルクを前記連結プーリに伝達可能な連結ベルト(26)と、
    前記スタータの駆動を制御可能に設けられ、前記動力源の駆動を開始するとき前記連結プーリを前記動力源側プーリに対して一方の方向に回転する前に前記連結プーリが前記動力源側プーリに対して他方の方向に回転するよう前記スタータを駆動するスタータ制御部(27)と、
    を備える動力伝達装置。
  2. 前記スタータ軸は、弾性材料から形成され、
    前記動力源の駆動を開始するとき前記連結プーリが前記動力源側プーリに対して他方の方向に回転するとねじれることが可能な請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記動力源は,内燃機関であって、
    前記スタータ制御部は、前記内燃機関の駆動を開始する前に前記内燃機関における圧縮行程に対応する位置にある前記内燃機関のピストンを前記内燃機関における排気行程に対応する位置に移動する請求項1または2に記載の動力伝達装置。
  4. 前記弾性部材は、前記連結プーリが前記動力源側プーリに対して他方の方向に回転するときの自然長からの圧縮の度合いに対する当該弾性部材の付勢力の変化が、前記連結プーリが前記動力源側プーリに対して一方の方向に回転するときの自然長からの伸長の度合いに対する当該弾性部材の付勢力の変化に比べ小さい請求項1〜3のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
  5. 前記動力源側プーリに対する前記連結プーリの回転角度をプーリ相対角度とし、
    前記プーリ相対角度に対する前記弾性部材の付勢力の変化割合が相対的に大きい第1領域と、相対的に小さい第2領域とがあり、
    前記動力源の駆動を開始するときに前記動力源のトルクが変動する変動領域(Atq3)は、前記第1領域に含まれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
  6. 前記スタータ制御部は、前記動力源が駆動しているとき前記連結プーリが前記動力源側プーリに対して他方の方向に回転するよう前記スタータを駆動する請求項1〜5のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
  7. 前記スタータは、外部からトルクが入力されると発電可能である請求項6に記載の動力伝達装置。
  8. 前記スタータ制御部は、前記スタータで発電するとき、前記連結プーリが前記動力源側プーリに対して他方の方向に回転するよう前記スタータを駆動する請求項7の記載の動力伝達装置。
  9. 前記動力源の温度を検出可能に設けられ、検出した温度に応じた信号を前記スタータ制御部に出力可能な温度検出部(273)をさらに備え、
    前記スタータ制御部は、前記温度検出部が出力する信号に基づいて前記動力源の温度が高くなるにしたがって前記スタータの発電量を少なくする請求項7または8に記載の動力伝達装置。
  10. 前記動力源の回転数を検出可能に設けられ、検出した回転数に応じた信号を前記スタータ制御部に出力可能な回転数検出部(272)をさらに備え、
    前記スタータ制御部は、前記回転数検出部が出力する信号に基づいて前記動力源の回転数が前記スタータのみによって前記動力源の駆動を開始することが不可能な回転数である閾値(Ne2)であると判定すると、前記連結プーリが前記動力源側プーリに対して他方の方向に回転するよう前記スタータを駆動する請求項1〜9のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
  11. 前記スタータ制御部は、前記回転数検出部が出力する信号に基づいて前記動力源側プーリに対する前記連結プーリの回転角度を変更可能な請求項10に記載の動力伝達装置。
  12. 前記動力源は,内燃機関であって、
    前記内燃機関が吸入する吸気量を検出可能に設けられ、検出した吸気量に応じた信号を前記スタータ制御部に出力可能な吸気量検出部(271)をさらに備え、
    前記閾値(Ne)は、前記内燃機関の吸入量が大きくなるにしたがって大きくなる請求項10または11に記載の動力伝達装置。
  13. 前記閾値は、前記内燃機関の共振回転数以上に設定される請求項12に記載の動力伝達装置。
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