以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に示すように、実施例のロック装置1は、本発明の車両用シートのロック装置の具体的態様の一例である。ロック装置1は、自動車等である車両の車内後部側に設けられたシート5に採用されている。シート5は、シートクッション5Aとシートバック6とを有している。シートバック6は、本発明の「可動体」の一例である。
図1において、紙面手前側が車両の前側であり、紙面奥側が車両の後側である。また、紙面左上側が車両の右側であり、紙面右下側が車両の左側である。さらに、紙面上側が車両の上側であり、紙面下側が車両の下側である。そして、図2以降の各図に示す前後方向、左右方向及び上下方向は、すべて図1に対応させて表示する。また、ロック装置1の構成について説明する際の前後方向及び上下方向は、図1に示すようにシートバック6が起立した状態におけるロック装置1の姿勢を基準とする。
図1及び図2に示すように、シートクッション5Aは、車体9の床面に固定されている。シートバック6は、シートクッション5Aの後端側で車両内外方向に延びる揺動軸心X6周りで揺動可能にシートクッション5Aに支持されている。ロック装置1は、図1に示すように起立した状態のシートバック6における上端側かつ車両右上側の角部の内部に組み付けられている。車体9には、図1に示すようにシートバック6が起立した状態においてロック装置1に対応する位置に、ストライカ3が設けられている。ストライカ3は略U字形状の鋼材であり、車体9から車両左側に略水平に突出している。
ロック装置1は、図1に示すようにシートバック6が起立した状態において、ストライカ3に係合することにより、シートバック6を車体9に固定するロック状態となる。図1に示すように起立した状態のシートバック6における上端側かつ車両右側の角部には、ロック解除ノブ68Nが上向きに突出している。ロック装置1は、図示しない制御装置による制御の他、ロック解除ノブ68Nを引き上げる操作によって、ストライカ3に係合しなくなり、シートバック6の固定を解除する。その結果、図2に示すように、シートバック6が前側に倒れることが許容される。ロック解除ノブ68Nは、アンロックを示すインジケーターを兼ねている。なお、車体9とシートバック6との固定及び解除についての詳細は後述する。
図1〜図4に示すように、シートバック6の内部には、金属パイプからなるフレーム7が設けられている。図3に示すように、フレーム7には、上下一対の取付台座7A、7Bが溶接されている。取付台座7Aの右側面には、ねじ孔7Mが形成されている。取付台座7Aの内部にはナット90Aが固定されている。また、取付台座7Bの右側面には、ねじ孔7Nが形成されている。取付台座7Bの内部にはナット90Bが固定されている。なお、フレーム7、取付台座7A及び取付台座7Bの形状や構成は一例であり、これらはシートバック6の形状等に応じて適宜変更可能である。
図3〜図5等に示すように、ロック装置1は、ロック装置本体1Aと、電動アクチュエータ1Bとを備えている。
図6に示すように、ロック装置本体1Aは、第1ハウジング11と、フォーク13と、ポール15と、押圧レバー17と、フォーク支持軸19と、ポール支持軸21と、押圧レバー支持軸23と、ロッドクリップ25と、連結ロッド27と、第1〜3ねじりコイルばね29〜31とを備えている。
第1ハウジング11は、ベースプレート11Aとカバープレート11Bとからなる。ベースプレート11Aは鋼板で形成されている。ベースプレート11Aは、第1平坦部110と壁部111とを有している。第1平坦部110は、前後方向及び上下方向に平坦に延在している。第1平坦部110の上下方向の略中央には、進入口112が略コ字形状に切り欠かれている。進入口112は、第1平坦部110の後端縁から前側に向かって延びている。
また、第1平坦部110には、第1、2挿通孔113A、113Bが貫設されている。これらの第1挿通孔113Aと第2挿通孔113Bとは、進入口112を跨ぐように配設されている。具体的には、第1平坦部110において、第1挿通孔113Aは進入口112よりも下側に設けられており、第2挿通孔113Bは進入口112よりも上側に設けられている。また、第1挿通孔113Aは、進入口112の奥端112Aの近傍となる箇所に位置している。これに対し、第2挿通孔113Bは、第1挿通孔113Aよりも第1平坦部110の後端縁の近傍となる箇所に位置している。さらに、第1平坦部110には、上下方向に延びる溝部114が凹設されている。
壁部111は、第1平坦部110に対して左方向に略直角に立設されている。壁部111は、第1平坦部110と連続しており、第1平坦部110の後端縁を除いて第1平坦部110の周囲を囲包している。また、壁部111には、下側に向かって延びる第1フランジ部115Aと、上側に向かって延びる第2フランジ部115Bとが形成されている。第1フランジ部115Aには取付孔116Aが貫設されており、第2フランジ部115Bには取付孔116Bが貫設されている。
カバープレート11Bも鋼板で形成されている。カバープレート11Bは、第2平坦部117と固定部118とを有している。第2平坦部117の上下方向の略中央には、進入口119が略コ字形状に切り欠かれている。進入口119は、進入口112と同形状に形成されており、第2平坦部117の後端縁から前側に向かって延びている。
また、第2平坦部117には、第3〜5挿通孔113C〜113Eが貫設されている。第3挿通孔113Cと第4挿通孔113Dとは、進入口119を跨ぐように配設されている。具体的には、第3挿通孔113Cは、第2平坦部117において、進入口119よりも下側であって、進入口119の奥端119Aの近傍となる箇所に設けられている。一方、第3挿通孔113Dは、第2平坦部117において、進入口119よりも上側であって、第3挿通孔113Cよりも第2平坦部117の後端縁の近傍となる箇所に設けられている。
第5挿通孔113Eは、第4挿通孔113Dよりも前側であって、第4挿通孔113Dよりもやや上側となる位置に設けられている。つまり、第5挿通孔113Eは、第2平坦部117において、進入口119よりも上側であって、第4挿通孔113Dよりも進入口119の奥端119Aの近傍となる箇所に位置している。
また、第2平坦部117において、第5挿通孔113Eよりもやや前側かつ上側となる位置には、係止孔310が貫設されている。さらに、第2平坦部117において、第3挿通孔113Cよりも下側となる箇所には取付孔116Cが貫設されている。そして、第2平坦部117において、第3、4挿通孔113D、113E及び係合孔310よりも上側となる箇所には取付孔116Dが貫設されている。
第2平坦部117は、ベースプレート11Aとカバープレート11Bとが左右方向で組み合わされることにより、第1平坦部110の左側に配置される。この際、進入口112と進入口119とは左右方向で整合する。これにより、進入口112、119には、車体9に設けられたストライカ3が進入可能である。なお、進入口112、119についての詳細は後述する。
また同様に、第1挿通孔113Aと第3挿通孔113Cとが左右方向で整合し、第2挿通孔113Bと第4挿通孔113Dとが左右方向で整合する。さらに、図9に示すように、取付孔116Aと取付孔116Cとが左右方向で整合し、取付孔116Bと取付孔116Dとが左右方向で整合する。
図6に示すように、固定部118は第2平坦部117の前端と連続しており、第2平坦部117に対して左方向に略直角に立設されている。固定部118は上下方向に延びている。固定部118の下側には挿通孔118Aが貫設されており、上側には挿通孔118Bが貫設されている。
図7に示すように、フォーク13は、肉厚な鋼板部材によって形成されたフォーク本体13Aと、フォーク本体13Aを被覆する弾性樹脂製の被覆部13Bとからなる。具体的には、被覆部13Bはエラストマー製であり、フォーク13は、フォーク本体13Aを被覆部13Bにインサート成形することによって形成されている。フォーク13には、フォーク本体13A及び被覆部13Bを貫通するフォーク軸孔130が形成されている。
フォーク本体13Aには、係合凹部131、被押圧面132及び爪部133が形成されている。係合凹部131は、フォーク本体13Aの外周側からフォーク軸孔130に向かって略U字形状に凹設されている。被押圧面132は凹曲面状に形成されており、被覆部13Bから露出している。本実施例では、被押圧面132は、後述するブロック位置にあるポール17と当接可能なラッチ面を兼ねている。爪部133は、係合凹部131を挟んで被押圧面132の反対側に位置している。爪部133の先端は被覆部13Bから露出している。
被覆部13Bは、第1〜3中空部134〜136と、第1、2支持面137、138と、挟持部139とを有している。第1中空部134は、略半円形状に形成された第1貫通孔134Aと、第1貫通孔134Aの外側に位置し、第1貫通孔134Aに沿って円弧状に延びる第1変形部位134Bとからなる。
第2中空部135は、円形状に形成された第2貫通孔135Aと、第2貫通孔135Aの外側に位置し、第2貫通孔135Aに沿って円弧状に延びる第2変形部位135Bと、被覆部13Bの表面から凹設されて第2貫通孔135Aに連続する第1凹溝135Cとからなる。
第3中空部136は、略矩形の長孔状に形成された第3貫通孔136Aと、第3貫通孔136Aの外側に位置し、第3貫通孔136Aに沿って直線状に延びる第3変形部位136Bと、被覆部13Bの表面から凹設されて第3貫通孔136Aに連続する第2凹溝136Cとからなる。なお、第1〜3中空部134〜136の各形状は一例であり、適宜設計することが可能である。
第1支持面137は第1中空部134の近傍に形成されている。第2支持面138は、第2中空部135の近傍に形成されている。これらの第1、2支持面137、138は、フォーク13の厚さ方向に平坦に形成されている。
挟持部139は、フォーク本体13Aの係合凹部131に沿うように、略U字形状に凹設されている。挟持部139は、進入口112、119内に進入したストライカ3を挟持可能となっている。ここで、挟持部139の幅の長さL1は、ストライカ3の直径の長さL2よりもわずかに小さく形成されている。
図6に示すポール15は、フォーク本体13Aを形成する鋼板部材の肉厚に対して、約3分の2程度となる肉厚を有する鋼板部材によって形成されており、前後方向に延びる形状をなしている。ポール15は、ストッパ面151、凸部152、ポール軸孔153、係止孔154、被押圧突起155及び取付孔156を有している。
ストッパ面151は、ポール15の前後方向の略中央に位置している。ストッパ面151は凸曲面状に形成されており、フォーク13に向かって下側に延びている。凸部152は、ポール15の前後方向の略中央であって、ストッパ面151とは反対側に位置しており、上側に向かって突出している。ポール軸孔153はポール15の後端に貫設されている。係止孔154はポール軸孔153の近傍、すなわち、ポール15の前後方向の略中央よりも後端に近い位置に貫設されている。被押圧突起155はポール15の前端に形成されており、左側に向かって延びつつ、上側に向かって屈曲している。取付孔156は、ポール15において、ストッパ面151及び凸部152を挟んでポール軸孔153の反対側となる箇所に貫設されており、被押圧突起155の近傍に位置している。
押圧レバー17は、フォーク本体13Aを形成する鋼板部材の肉厚に対して、約3分の1程度となる肉厚を有する鋼板部材によって形成されている。押圧レバー17はフォーク13やポール17に比べて小型に形成されている。押圧レバー17は、押圧レバー軸孔171と、押圧面172と、被押圧部173とを有している。
押圧レバー軸孔171は押圧レバー17の後端に貫設されている。押圧面172は、図12〜図14に示すように、押圧レバー17の前端に形成されており、下側に向かって凸曲面状に延びている。被押圧部173は、図6に示すように、押圧レバー17の上側に形成されており、ポール15の凸部152に向かって右側に延びている。
フォーク支持軸19、ポール支持軸21及び押圧レバー支持軸23は、いずれも金属製の多段円柱軸体である。フォーク支持軸19は軸方向で左右に延びている。フォーク支持軸19の右端には、ベースプレート11Aに向かって延びる第1軸部191が形成されており、フォーク支持軸19の左端には、カバープレート11Bに向かって延びる第2軸部192が形成されている。また、フォーク支持軸19において、第1軸部191と第2軸部192との間には、第1、2軸部191、192よりも大径をなす第1、2大径部193、194が形成されている。第1大径部193は第2大径部194よりも大径に形成されている。
ポール支持軸21は軸方向で左右に延びており、フォーク支持軸19と平行に延びている。ポール支持軸21の右端には、ベースプレート11Aに向かって延びる第3軸部211が形成されており、ポール支持軸21の左端には、カバープレート11Bに向かって延びる第4軸部212が形成されている。また、ポール支持軸21において、第3軸部211と第4軸部212との間には、第3、4軸部211、212よりも大径をなす第3、4大径部213、214が形成されている。第3大径部213は第4大径部214よりも大径に形成されている。
押圧レバー支持軸23は軸方向で左右に延びており、フォーク支持軸19及びポール支持軸21と平行に延びている。押圧レバー支持軸23の左端には、カバープレート11Bに向かって延びる第5軸部231が形成されており、押圧レバー支持軸23の右端には、第5軸部231よりも大径をなす第5大径部232が形成されている。また、第5軸部231と第5大径部232との間には、第6大径部233が形成されている。第5大径部232は第6大径部233よりも大径に形成されている。押圧レバー支持軸23には、フォーク支持軸19の第1軸部191やポール支持軸21の第3軸部211のようなベースプレート11Aに向かって延びる軸部は形成されていない。
ロッドクリップ25は樹脂製である。ロッドクリップ25の下端には、ロッド挿入孔251が形成されている他、ポール15の取付孔156に向かって右側に延びる固定部252が形成されている。また、ロッドクリップ25の上端には、ロッド保持部253が形成されている。
このロック装置本体1Aでは、フォーク13のフォーク軸孔130に対して、フォーク支持軸19の第2大径部194が挿通される。また、第1軸部191は、ベースプレート11Aの第1挿通孔113Aに挿通された後に加締められることにより、第1平坦部110に固定される。
図6に示すように、ポール15のポール軸孔153に対して、ポール支持軸21の第4大径部214が挿通される。また、第3軸部211は、ベースプレート11Aの第2挿通孔113Bに挿通された後に加締められることにより、第1平坦部110に固定される。さらに、ポール15の取付孔156に対してロッドクリップ25の固定部252が固定されることにより、ポール15にロッドクリップ25が固定される。そして、ロッドクリップ25のロッド挿入孔251に対して、連結ロッド27の下端が挿入されるとともに、ロッド保持部253に連結ロッド27が保持される。これにより、ロッドクリップ25を通じて連結ロッド27の下端がポール15に接続される。連結ロッド27は、ベースプレート11A、すなわち、第1ハウジング11の外側に延びている。図示を省略するものの、連結ロッド27の上端は図1、2に示すロック解除ノブ68Nに接続されている。
また、図6に示すように、押圧レバー17の押圧レバー軸孔171に対して、押圧レバー支持軸23の第6大径部233が挿通される。また、第5軸部231は、カバープレート11Bの第5挿通孔113Eに挿通された後に加締められることにより、第2平坦部117に固定される。また、押圧レバー17と押圧レバー支持軸23との間に第3ねじりコイルばね31が取り付けられる。第3ねじりコイルばね31は、第3コイル部31Aと、第3コイル部31Aに接続する第5アーム部31Bと、第3コイル部31Aに接続する第6アーム部31Cとからなる。第3コイル部31Aは、押圧レバー支持軸23の第5大径部232に挿通され、押圧レバー17の右側に配置される。第5アーム部31Bは、図12〜図14に示すように、押圧レバー17に係止される。第6アーム部31Cは、図5に示すように、カバープレート11Bの係合孔310に挿通されて第2平坦部117に係止される。
そして、図6に示すように、ベースプレート11Aとカバープレート11Bとが左右方向で組み付けられる。この際、フォーク支持軸19の第2軸部192は、カバープレート11Bの第3挿通孔113Cに挿通されて加締められる。こうして、フォーク13は、フォーク支持軸19の両端を通じてベースプレート11Aとカバープレート11Bとにそれぞれ支持された状態で第1ハウジング11内の下側に配置される。フォーク13は、フォーク支持軸19の軸心をフォーク軸心X1として揺動可能であり、フォーク軸心X1周りで、図11及び図12に示すアンラッチ位置と、図10及び図13に示すラッチ位置と、図14に示すオーバーラン位置とに変位可能となっている。
ここで、図6に示すように、フォーク13とカバープレート11Bとの間に第1ねじりコイルばね29が取り付けられる。第1ねじりコイルばね29は、第1コイル部29Aと、第1コイル部29Aに接続する第1アーム部29Bと、第1コイル部29Aに接続する第2アーム部29Cとからなる。第1コイル部29Aは、図12〜図14に示すように、フォーク支持軸19の第1大径部193に挿通され、フォーク13の左側、つまり、フォーク13とカバープレート11Bとの間に配置される。第1アーム部29Bはフォーク13に係止される。第2アーム部29Cは、フォーク13とベースプレート11Aの壁部111との間に配置され、壁部111に係止される。これにより、第1ねじりコイルばね29は、図11及び図12の実線矢印で示すように、フォーク13を第1方向D1、すなわち、アンラッチ位置に向けて付勢している。なお、説明を容易にするため、図12〜14ではカバープレート11Bの図示を省略している。また、ベースプレート11Aに形成された進入口112に対して、符号119、119Aを併せて付すことにより、進入口112と進入口119とを同時に説明している。
また、図6に示すように、ベースプレート11Aとカバープレート11Bとが左右方向で組み付けられることにより、ポール支持軸21の第4軸部212は、カバープレート11Bの第4挿通孔113Dに挿通されて加締められる。こうして、ポール15についても、ポール支持軸21の両端を通じてベースプレート11Aとカバープレート11Bとにそれぞれ支持された状態で第1ハウジング11内の上側に配置される。より具体的には、図10〜図14に示すように、ポール15は、第1ハウジング11内において、フォーク13及び進入口112、119よりも上側に配置される。ポール15は、ポール支持軸21の軸心をポール軸心X2として揺動可能であり、ポール軸心X2周りで、図11及び図12に示すアンブロック位置と、図10、図13及び図14に示すブロック位置とに変位可能となっている。ポール軸心X2は、フォーク軸心X1と平行である。
また、図6に示すように、ポール15とカバープレート11Bとの間に第2ねじりコイルばね30が取り付けられる。第2ねじりコイルばね30は、第2コイル部30Aと、第2コイル部30Aに接続する第3アーム部30Bと、第2コイル部30Aに接続する第4アーム部30Cとからなる。第2コイル部30Aは、図12〜図14に示すように、ポール支持軸21の第3大径部213に挿通され、ポール15の左側、つまり、ポール15とカバープレート11Bとの間に配置される。第3アーム部30Bは、ポール15とベースプレート11Aの壁部111に配置され、壁部111に係止される。第4アーム部29Cは、ポール15の係止孔154に挿通されてポール15に係止される。これにより、第2ねじりコイルばね30は、図10、図13及び図14の破線矢印で示すように、ポール15を第3方向D3、すなわち、ブロック位置に向けて付勢している。
さらに、ベースプレート11Aとカバープレート11Bとが左右方向で組み付けられることにより、第1ハウジング11内において、押圧レバー17がポール15の左前側に配置される。つまり、押圧レバー17についても、第1ハウジング11内において、フォーク13及び進入口112、119よりも上側に配置される。ここで、このロック装置本体1Aでは、押圧レバー支持軸23はベースプレート11Aに固定されることがなく、押圧レバー17は、押圧レバー支持軸23を通じてカバープレート11Bのみに支持されている。そして、押圧レバー17は、押圧レバー支持軸23の軸心を押圧レバー軸心X3として揺動可能であり、押圧レバー軸心X3周りで、図11及び図12に示す離間位置と、図14に示す押圧位置とに変位可能となっている。押圧レバー軸心X3は、フォーク軸心X1及びポール軸心X2と平行である。また、第3ねじりコイルばね31は、図10、図13及び図14の一点鎖線矢印で示すように、押圧レバー17を第5方向D5、すなわち、押圧位置に向けて付勢している。こうして、第1ハウジング11内にフォーク13、ポール15及び押圧レバー17等が配置され、ロック装置本体1Aが完成する。
そして、このロック装置本体1Aでは、図6に示すように、ポール支持軸21が挿通される第2、4挿通孔113B、113Dに比べて、押圧レバー支持軸23が挿通される第5挿通孔113Eは前側に配置されている。このため、図10〜図14に示すように、ポール支持軸21に対して押圧レバー支持軸23は前側に離間して配置されている。つまり、ポール軸心X2と押圧レバー軸心X3とは離間している。
また、図12〜図14に示すように、このロック装置本体1Aでは、上記の進入口112、119は、ポール軸心X2と押圧レバー軸心X3とを結ぶ仮想の直線Yと略平行に延びている。そして、進入口112、119は、ポール軸心X2側でストライカ3が進入可能に開口し、奥端112A、119Aがフォーク軸心X1及び押圧レバー軸心X3側であって、フォーク軸心X1と押圧レバー軸心X3との間に位置している。さらに、奥端112A、119Aは、図14に示すように、オーバーラン位置でフォーク13がストライカ3を保持する際のストライカ3の位置よりも奥側、すなわち、ロック装置本体1Aの前側に位置している。このように、進入口112、119は、オーバーラン位置のフォーク13が保持するストライカ3よりもロック装置本体1Aの前側に深く形成されている。
図8に示すように、電動アクチュエータ1Bは、第2ハウジング33と、モータ35と、ウォームギヤ37と、ウォームホイール39と、第1、2電極41、42と、第4ねじりコイルばね43とを備えている。ウォームギヤ37及びウォームホイール39は、本発明における「ギヤ」の一例である。また、上記の第1ハウジング11と第2ハウジング33とで本発明における「ハウジング」が構成されている。
第2ハウジング33は、メインハウジング33Aとカバーハウジング33Bとからなる。第2ハウジング33の左上端部にはコネクタ部330が形成されている。より詳細には、メインハウジング33Aの左上端部には、コネクタ部330の前側部分が形成されており、カバーハウジング33Bの左上端部には、コネクタ部330の後側部分が形成されている。なお、第2ハウジング33におけるコネクタ部330の位置は適宜設計することが可能である。
メインハウジング33Aには、モータ収容室331と、ギヤ収容室332と、第1〜4係合凹部333〜336と、固定孔337、338とが形成されている。モータ収容室331はメインハウジング33Aの上側に配置されており、ギヤ収容室332はモータ収容室331の下側に配置されている。ギヤ収容室332には、後側に向かって延びるギヤ支持軸339が形成されている。
カバーハウジング33Bには、第1〜4係合爪部341〜344が形成されている他、第6挿通孔345が形成されている。
モータ35には、公知の電動モータが採用されている。ウォームギヤ37は、モータ35の回転軸35Aに固定されており、モータ35によって回転駆動されるようになっている。
ウォームホイール39は、ウォームギヤ37と噛合するギヤ部39Aと、ギヤ部39Aと一体をなし、ギヤ部39Aの後側に位置するカム部39Bとからなる。ウォームホイール39には、ギヤ部39A及びカム部39Bを貫通するギヤ軸孔390が形成されている。また、カム部39Bには押圧部391が形成されている。
モータ35は、メインハウジング33Aのモータ収容室331に収容される。この際、第1、2電極41、42の各一端がモータ35に接続される。図10及び図11に示すように、第1、2電極41、42の各他端は、コネクタ部330内に配置される。また、ウォームギヤ37はギヤ収容室332の左側に収容される。
図8に示すように、ウォームホイール39は、ギヤ軸孔390にギヤ支持軸339が挿通され、ギヤ支持軸339に支持された状態で、ギヤ収容室332の右側に収容される。これにより、ウォームホイール39では、ギヤ部39がウォームギヤ37と噛合する。そして、ウォームホイール39は、ギヤ支持軸339の軸心を回転軸心X5として、回転軸心X5周りで図11の白色矢印で示す第8方向D8に回転可能となっている。また、図8に示すように、メインハウジング33Aとウォームホイール39との間には、第4ねじりコイルばね43が取り付けられる。第4ねじりコイルばね43は本発明における「付勢手段」の一例である。第4ねじりコイルばね43は、第4コイル部43Aと、第4コイル部43Aに接続する第7アーム部43Bと、第4コイル部43Aに接続する第8アーム部43Cとからなる。詳細な図示を省略するものの、第4コイル部43Aは、ギヤ支持軸339に挿通され、ギヤ部39Aの前側、つまり、メインハウジング33Aとギヤ部39Aとの間に配置される。また、第7、8アーム部43B、43Cは、ウォームホイール39とギヤ収容室332とにそれぞれ係止される。これにより、第4ねじりコイルばね43は、図10の白色矢印で示す第7方向D7、すなわち、図11に示す第8方向D8と反対方向に向けて付勢している。
これらのモータ35、ウォーギヤ37及びウォームホイール39等がそれぞれ配置された後、メインハウジング33Aに対してカバーハウジング33Bが組み付けられる。この際、第1〜4係合爪部341〜345がそれぞれ第1〜4係合凹部333〜336に係合することにより、メインハウジング33Aとカバーハウジング33Bとが固定される。また、ギヤ支持軸339の後端が第6挿通孔345に挿通される。こうして、電動アクチュエータ1Bが完成する。
図9に示すように、ロック装置本体1Aと電動アクチュエータ1Bとは、固定ネジ45A、45Bによって固定され、一体化される。具体的には、固定ネジ45Aは、固定部118の挿通孔118Aに挿通されつつ、固定孔337に固定される。同様に、固定ネジ45Bは固定部118の挿通孔118Bに挿通されつつ、固定孔338に固定される。こうして、固定部118がカバーハウジング33Bに固定されることで、第1ハウジング11と第2ハウジング33とが固定され、ロック装置1が完成する。ここで、このロック装置1では、第1ハウジング11と第2ハウジング33とが略直交する状態で固定されている。つまり、ロック装置1では、図3〜図5に示すように、ロック装置本体1Aが前後方向に配置されるのに対し、電動アクチュエータ1Bは、ロック装置本体1Aの前側に位置しつつ、ロック装置本体1Aに対して左右方向に配置される。
また、第1ハウジング11と第2ハウジング33とが略直交する状態で固定されることにより、図10及び図11に示すように、ロック装置1では、フォーク13、ポール15及び押圧レバー17がそれぞれ揺動する方向に対して、モータ35、ウォーギヤ37及びウォームホイール39は略直交するように配置される。そして、ウォームホイール39は、ポール15等が揺動する方向に対して略直交する方向に回転軸心X5周りで回転する。また、ポール15の被押圧突起155は、ウォームホイール39のカム部39Bに当接した状態となる。なお、説明を容易にするため、図10及び図11では、カバープレート11B及びカバーハウジング33Bの図示を省略しているとともに、ロッドクリップ25、連結ロッド27及び第1〜3ねじりコイルばね29〜31等の図示を省略している。
図3に示すように、ロック装置1は、ボルト47A、47Bによってフレーム7に固定される。具体的には、ボルト47Aは、第1ハウジング11の取付孔116A及び取付孔116Cと取付台座7Aのねじ孔7Mとに挿通され、ナット90Aに螺合する。同様に、ボルト47Bは、第1ハウジング11の取付孔116B及び取付孔116Dと取付台座7Bのねじ孔7Nとに挿通され、ナット90Bに螺合する。こうして、第1ハウジング11が取付台座7A、7Bに固定されることにより、ロック装置1はフレーム7の右側に固定される。
ここで、上記のように、ロック装置1では、第1ハウジング11と第2ハウジング33とが略直交する状態で固定されている。このため、図4に示すように、ロック装置1がフレーム7の右側に固定されることにより、第2ハウジング33、すなわち、電動アクチュエータ1Bは、フレーム7の前側から左側に回り込む状態で配置される。また、電動アクチュエータ1Bは、コネクタ部330を通じて、図示しない車両の制御装置と電気的に接続される。
このような構成であるロック装置1では、乗員等が図2に示すように倒れた状態のシートバック6を後側に揺動させて、図1に示すように起立させると、図12に示すように、ストライカ3が進入口112、119に進入する。この際、フォーク13は、第1ねじりコイルばね29の付勢力によって、上記のようにアンラッチ位置に変位している。アンラッチ位置に変位したフォーク13は、第1ハウジング11内でポール15を上側に押圧する。このため、ポール15は、第2ねじりコイルばね30の付勢力に抗しつつ、ポール軸心X2周りで第4方向D4に揺動してアンブロック位置に変位する。また、ポール15がアンブロック位置に変位することにより、ポール15の凸部152が押圧レバー17の被押圧部173を上側に押圧する。このため、押圧レバー17についても、第3ねじりコイルばね31の付勢力に抗しつつ、押圧レバー軸心X3周りで第6方向D6に揺動して離間位置に変位する。押圧レバー17は、離間位置に変位することにより、押圧面172がフォーク13の被押圧面132から離間する。
そして、進入口112、119に進入したストライカ3は、奥端112A、119Aに向かって進入口112、119をさらに移動し、フォーク13の第3中空部136の第3変形部位136Bと当接する。この際、第3変形部位136Bは弾性変形することにより、ストライカ3と当接した際の衝撃を緩衝する。そして、進入口112、119を移動するストライカ3は、挟持部139に挟持されつつ、第1ねじりコイルばね29の付勢力に抗して、図13に示すように、フォーク13をフォーク軸心X1周りでD2方向に揺動させる。これにより、フォーク13はラッチ位置に変位する。
フォーク13は、ラッチ位置に変位することにより、爪部133が進入口112、119を塞ぐように位置する。これにより、フォーク13は、挟持部139によってストライカ3を挟持することで、進入口112、119内でストライカ3を保持する。ここで、上記のように、挟持部139の幅方向の長さL1はストライカ3の直径の長さL2よりも短いため、挟持部139は、弾性変形しながらストライカ3を挟持する。
また、フォーク13がラッチ位置に変位することにより、フォーク13はポール15を押圧しなくなる。このため、ポール15は、第2ねじりコイルばね30の付勢力によって、ポール軸心X2周りで第3方向D3に揺動してブロック位置に変位する。これにより、フォーク13の被押圧面132と、ポール15のストッパ面151とが係合する。こうして、ブロック位置にあるポール15は、フォーク13が第1方向D1に揺動することをブロックする。つまり、ブロック位置にあるポール15は、ラッチ位置にあるフォーク13がアンラッチ位置に変位することをブロックする。このため、フォーク13はラッチ位置を維持し、進入口112、119内でストライカ3を保持した状態を維持する。こうして、ロック装置1はロック状態となり、図1に示すようにシートバック6を起立させた状態で車体9に固定する。この結果、乗員はシート5に着座することが可能となる。
ここで、図13に示すように、ポール15がブロック位置に変位することにより、凸部152は被押圧部173を押圧しなくなる。このため、押圧レバー17は、第3ねじりコイルばね31の付勢力によって、押圧レバー軸心X3周りで第5方向D5に揺動して押圧位置に変位することが許容される。押圧レバー17は、押圧位置に変位することにより、押圧面172がフォーク13の被押圧面132に近接する。この際、押圧レバー17は、ストッパ面151と係合した状態にある被押圧面132と当接する。このため、フォーク13がラッチ位置にある場合には、押圧レバー17は第5方向D5へ僅かに揺動するに止まる。
このロック装置1では、シート5に着座した乗員がシートバック6に深くもたれ掛かる等で姿勢を変化させることにより、シートバック6は車体9に固定されたまま乗員に押圧されて、さらに後側に変位する。これにより、ロック状態にあるロック装置1では、図14に示すように、フォーク13がストライカ3を保持したまま、フォーク軸心X1周りで第2方向D2にさらに揺動する。このため、フォーク13は、ラッチ位置を越えてオーバーラン位置まで変位し、オーバーラン位置でストライカ3を保持する。そして、フォーク13がオーバーラン位置に変位することにより、被押圧面132とストッパ面151とが離間する。なお、この場合であっても、ポール15がブロック位置にあるため、たとえ被押圧面132とストッパ面151とが離間しても、それによって、フォーク13がアンラッチ位置に変位することはない。
このように、フォーク13がオーバーラン位置に変位し、被押圧面132とストッパ面151とが離間することにより、押圧レバー17は、第5方向D5へ揺動して押圧位置に変位する。これにより、押圧レバー17の押圧面172は、ストッパ面151から離間した状態にある被押圧面132と当接し、被押圧面132を第2方向D2に向けて押圧する。こうして、押圧レバー17はフォーク13をオーバーラン位置へ押圧する。
また、このロック装置1では、フォーク13がオーバーラン位置に変位することにより、フォーク13の第1中空部134では、第1変形部位134Bがベースプレート11Aの壁部111と当接する。この際、第1変形部位134Bは弾性変形することにより、壁部111と当接した際の衝撃を緩衝する。そして、第1変形部位134Bが弾性変形した状態で、フォーク13では、第1支持面137も壁部111と当接する。こうして、第1中空部134と第1支持面137とによって、フォーク13のオーバーラン位置側への変位が第1ハウジング11によって規制される。
一方、このロック装置1では、図1に示すようにシートバック6が車体9に固定された状態で、乗員等が車内に設けられたロック解除スイッチ(図示略)を操作することにより、制御装置が図11に示すモータ35に給電を行い、電動アクチュエータ1Bを作動させる。制御装置によって給電されたモータ35は作動し、ウォームギヤ37を回転駆動させる。このため、ウォームギヤ37と噛合するウォームホイール39は、第4ねじりコイルばね43の付勢力に抗しつつ、回転軸心X5周りで第8方向D8に回転する。
これにより、ウォームホイール39のカム部39Bは押圧部391を通じて、ポール15の被押圧突起155を上側に押し上げる。このため、図11及び図12に示すように、ポール15は、第2コイルばね30の付勢力に抗して、ポール軸心X2周りで第4方向D4に揺動し、アンブロック位置に変位する。また、上記のように、ポール15がアンブロック位置に変位することにより、押圧レバー17は離間位置に変位する。これにより、押圧面172と被押圧面132とが離間し、押圧レバー17は、フォーク13に対するオーバーラン位置への押圧を解除する。
また、ポール15がアンブロック位置に変位することにより、図12の白色矢印で示すように連結ロッド27が引き上げられる。これにより、連結ロッド27を通じて、図1及び図2に示すロック解除ノブ68Nが引き上げられた状態となる。なお、第8方向D8に回転したウォームホイール39は、第2ハウジング33に設けられた図示しないストッパ部に当接することにより、第8方向D8側への回転範囲が規制される。
図12に示すように、ポール15がアンブロック位置に変位することにより、ストッパ面151は被押圧面132と係合しなくなる。このため、フォーク13は、第1ねじりコイルばね29の付勢力によって、アンラッチ位置に変位する。このため、ロック装置1はアンロック状態となり、シートバック6と車体9との固定が解除される。これにより、進入口112、119内からストライカ3が離反すること可能となる。そして、シートバック6が前側に倒れることにより、ストライカ3が進入口112、119内から離脱する。
ここで、制御装置は、モータ35に給電を行った後、一定期間が経過することによりモータ35への給電を終了する。これにより、ウォームギヤ37の回転が停止し、ウォームホイール39は、第4ねじりコイルばね43の付勢力によって、図10に示すよう第7方向D7に回転する。このため、ウォームホイール39のカム部39Bはポールの上側への押し上げを解除する。これにより、ポール15は、第2コイルばね30の付勢力によって、ポール軸心X2周りで第3方向D3に揺動し、ブロック位置に変位する。
また、このロック装置1では、乗員等が図1及び図2に示すロック解除ノブ68Nを直接引き上げる操作を行うと、その操作によっても、図12の白色矢印で示すように、連結ロッド27が引き上げられる。このため、ロッドクリップ25を通じてポール15が上側に引き上げられる。これにより、電動アクチュエータ1Bが作動した場合と同様に、ポール15は、第2コイルばね30の付勢力に抗して、ポール軸心X2周りで第4方向D4に揺動し、アンブロック位置に変位する。そして、フォーク13がアンラッチ位置に変位する。このように、このロック装置1では、電動アクチュエータ1Bの作動に依らずに、アンロック状態となることで、シートバック6と車体9との固定を解除することも可能となっている。
このように、実施例のロック装置1では、乗員等が解除スイッチを操作することによってモータ35に通電を行えば、車体9とシートバック6との固定を自動で解除することが可能となっている。このため、このロック装置1では、乗員等がシート5やシートバック6のロック解除ノブ68Nから遠隔した位置からであっても、車体9とシートバック6との固定を解除することができる。
また、このロック装置では、フォーク13、ポール15及び押圧レバー17を支持する第1ハウジング11と、モータ35、ウォームギヤ37及びウォームホイール39を支持しつつ収容する第2ハウジング33とを有している。そして、このロック装置1では、第1ハウジング11と第2ハウジング33とは略直交した状態で固定されていることにより、ロック装置本体1Aと電動アクチュエータ1Bとが略直行して配置されている。このため、第1ハウジング11と第2ハウジング33とが前後方向に平行に配置され、ロック装置本体1Aと電動アクチュエータ1Bとが前後方向に平行に配置される構成と比較して、ロック装置1が前後方向に大型化することを抑制できる。このため、このロック装置1では、電動アクチュエータ1Bを備えていても小型化することができ、シートバック6の形状に影響を及ぼし難くなっている。
したがって、実施例の車両用シートのロック装置1は利便性が高い。
特に、このロック装置1では、モータ35とウォームギヤ37とウォームホイール39とによってポール15をブロック位置からアンブロック位置に変位させることが可能となっている。このため、車体9とシートバック6との固定を自動で解除するに当たって、電動アクチュエータ1B、ひいては、ロック装置1の構成が複雑化し難くなっている。
ここで、本発明における「ギヤ」は、モータ35の回転軸35Aに固定されるウォームギヤ37と、ウォームギヤ37と噛合し、ポール15を押圧可能なカム部39Bが形成されたウォームホイール39とからなる。このため、ギヤの構成が簡素化されており、部品点数を削減している。これらにより、このロック装置1では、製造コストの高騰化を抑制しているとともに、小型化を実現している。
また、メインハウジング33Aとウォームホイール39との間には、第4ねじりコイルばね43が取り付けられており、この第4ねじりコイルばね43は、ウォームホイール39を第7方向D7に向けて付勢している。このため、このロック装置1では、別途に操作を行うことなく、第8方向D8に回転したウォームホイール39を初期位置に復帰させることができる。この結果、このロック装置1では、車体9とシートバック6との固定を解除した後、別途に操作を行うことなく、車体9とシートバック6とを固定可能な状態にロック装置1を復帰させることが可能となっている。
さらに、このロック装置1では、フォーク13がラッチ位置からオーバーラン位置に変位すれば、押圧レバー17の押圧面172がオーバーラン位置にあるフォーク13の被押圧面132を押圧する。これにより、オーバーラン位置にあるフォーク13がラッチ位置へ変位することが規制され、被押圧面132とストッパ面151とが離間した状態が維持される。この結果、このロック装置1では、シート5に着座した乗員が姿勢を変化させた場合であっても、フォーク13とポール15、より具体的には、被押圧面132とストッパ面151とが接触及び非接触を繰り返すことによる異音の発生を防止できる。
そして、図14に示すように、このロック装置1では、進入口112、119の奥端112A、119Aは、オーバーラン位置でフォーク13がストライカ3を保持する際のストライカ3の位置よりも奥側に位置している。つまり、オーバーラン位置のフォーク13が保持するストライカ3よりも進入口112、119が奥方向に深く形成されているため、フォーク13がオーバーラン位置に変位しても、フォーク13に保持されたストライカ3は、進入口112、119の奥端112A、119Aに接触しない。このため、このロック装置1では、フォーク13がオーバーラン位置に変位した際に、フォーク13に保持されたストライカ3が進入口112、119に接触して異音を発生させることも防止できる。
また、このロック装置1では、フォーク13は、金属製のフォーク本体13Aと、弾性樹脂製の被覆部13Bとからなる。そして、被覆部13Bは、第1〜3中空部134〜136を有している。これにより、このロック装置本体1Aでは、ベースプレート11Aの壁部111が第1中空部134と当接することにより、フォーク13のオーバーラン位置側への揺動を規制できる。また、壁部111が第2中空部135と当接することにより、フォーク13のアンラッチ位置側への揺動も規制できる。このように、このロック装置1では、壁部111、ひいては、第1ハウジング11によってフォーク13のオーバーラン位置側への揺動及びアンラッチ位置側への揺動を規制できるため、そのようなフォーク13の揺動を規制するに当たって専用の部材が不要となっている。このため、部品点数を削減でき、製造を容易化することが可能となっている。
また、第1、2中空部134、135は弾性変形するため、オーバーラン位置やアンラッチ位置にあるフォーク13が壁部111に当接する際の衝撃を緩衝させることが可能となっている。これにより、このロック装置1では、フォーク13と第1ハウジング11との間で異音が発生することも防止されている。
さらに、第3中空部136についても、弾性変形しつつストライカ3と当接するため、ストライカ3がフォーク13に当接する際の衝撃も緩衝させることが可能となっている。これにより、このロック装置1では、フォーク13とストライカ3との間で異音が発生することも防止されている。
また、被覆部13Bは挟持部139を有している。そして、挟持部139の幅方向の長さL1は、ストライカ3の直径の長さL2よりも短くなっている。このため、ストライカ3を挟持するに当たって、挟持部139が弾性変形することから、フォーク13は、進入口112、119内でストライカ3を拘束しつつ保持することになる。このため、このロック装置1では、フォーク13がラッチ位置やオーバーラン位置においてストライカ3を保持している際に、フォーク13とストライカ3とのガタツキを抑制でき、双方の間で異音が生じることも防止されている。
また、このロック装置1では、ポール支持軸21と押圧レバー支持軸23とが別体であり、ポール軸心X2と押圧レバー軸心X3とが離間している。そして、押圧レバー17は、押圧レバー支持軸23を通じてカバープレート11Bにのみ支持されている。これにより、このロック装置1では、例えば、ポール15と押圧レバー17とが同軸で配置されて第1ハウジング11に支持されたり、押圧レバー17がベースプレート11A及びカバープレート11Bに支持されたりする構成と比較して、押圧レバー17は、ポール15の揺動の影響を受けることなく、確実に揺動できる。このため、押圧レバー17は、フォーク13をオーバーラン位置に好適に押圧することが可能となっている。また、押圧レバー17は、ストッパ面151と被押圧面132とが係合する際の妨げとならず、ブロック位置にあるポール15では、ストッパ面151がラッチ位置にあるフォーク13の被押圧面132と確実に係合可能となっている。
また、ポール軸心X2と押圧レバー軸心X3とを離間させ、押圧レバー17をカバープレート11Bにのみに支持させることで、このロック装置1では、ポール15及び押圧レバー17の配置の自由度を高くすることが可能となっている。
さらに、このロック装置1では、進入口112、119の下側にフォーク支持軸19が配置され、進入口112、119の上側にポール支持軸21及び押圧レバー支持軸23が配置されている。これにより、フォーク軸心X1は、進入口112、119を跨いでポール軸心X2及び押圧レバー軸心X3と反対側に位置している。これにより、例えば、フォーク軸心X1、ポール軸心X2及び押圧レバー軸心X3が全て進入口112、119の上側や下側に配置される構成と比較して、ロック装置1を小型化することが可能となっている。
そして、押圧レバー軸心X3は、フォーク13がラッチ位置にある際の被押圧面132の位置よりも、ポール軸心X2側に位置している。このため、ポール軸心X2と押圧レバー軸心X3とが近接して配置されることで、このロック装置1では、被押圧面132は、ブロック位置にあるポール15の当接面151とも当接するラッチ面を兼ねることができる。このため、この点においても、ロック装置1を小型化することが可能となっている。
さらに、被押圧面132は金属製のフォーク本体13Aに形成されて、被覆部13Bから露出している。このため、このロック装置1では、被押圧面132がストッパ面151と好適に係合するとともに、押圧面172によって好適に押圧される。これにより、ブロック位置にあるポール15は、フォーク13がアンブロック位置に変位することを好適にブロックできるとともに、押圧レバー17はフォーク13をオーバーラン位置に好適に押圧することが可能となっている。
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、可動体は、シートバック6に限定されず、着座面を構成するシートクッション5A等であっても良い。この具体例としては、スライドレールや、複数個所の取付部が車体9に設けられ、シートクッション5Aは、スライドレールに案内されたり、複数個所の取付部のいずれか1つに取り付けられることにより、車体9に移動可能に支持される。車体9には、スライドレール又は複数個所の取付部に並んで複数のストライカ3が配置される。そして、本発明のロック装置は、シートクッション5Aに設けられ、複数のストライカ3のいずれか1つを保持してロック状態となることにより、シートクッション5Aを車体に固定する。
また、押圧レバー17は、ベースプレート11に支持されても良く、ベースプレート11及びカバープレート11Bに支持されても良い。さらに、押圧レバー17は、ポール15に支持されても良い。また、ポール15と押圧レバー17とが同軸で第1ハウジング11に支持されても良い。
また、ウォームギヤ37及びウォームホイール39以外によって、本発明における「ギヤ」を構成しても良い。
また、このロック装置1では、第1ハウジング11と第2ハウジング33とを有している。しかし、これに限らず、1つのハウジングがフォーク13、ポール15、押圧レバー17、モータ35、ウォームギヤ37及びウォームホイール39を支持しつつ収容する構成としても良い。
また、このロック装置1では、フォーク13の被押圧面132は、押圧レバー17の押圧面172と当接するとともに、ブロック位置にあるポール15の当接面151とも当接可能であり、ラッチ面を兼ねている。しかし、これに限らず、フォーク13は、被押圧面132とラッチ面とを別々に有していても良い。