JP6610174B2 - 中空粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中空粒子の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は強度の高い中空粒子の製造方法に関する。
断熱性や軽量性、光散乱性などを付与する機能部材として又はセラミック成形品の造孔材として、樹脂をシェルとする種々の有機中空粒子が開発、販売されている。
このような中空粒子としては、例えば、顔料を含有する有機中空粒子や、樹脂と電子導電材とを含有している有機中空粒子が従来製造されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、従来の有機中空粒子は一般に強度が低いという問題がある。
特開2010−31185号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、強度の高い中空粒子の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、中空粒子が有するシェルを、少なくとも樹脂と金属酸化物粒子とからなる複合体構造を有するシェルにすることで強度を高くすることができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
.液体中で製造する中空粒子の製造方法であって、
(A)少なくとも重合性単量体を含有する樹脂液に、反応性表面を有する金属酸化物粒子を分散した液を調製する工程と、
(B)前記工程(A)で調製した前記金属酸化物粒子を分散した樹脂液に気体を注入する工程と、
(C)前記工程(B)で前記気体が注入された前記樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、前記気体を内包した前記樹脂液の液滴粒子を形成し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程と、
(C´)前記工程(C)の後に、前記気体を内包した液滴粒子を分割する工程と、
(D)前記工程(C´)で形成された液滴粒子を、当該液滴粒子中に含有されている前記重合性単量体を重合することにより固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程と、
を有することを特徴とする中空粒子の製造方法。
本発明の上記手段により、強度の高い中空粒子及び中空粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように考えている。
上述のように、従来の有機中空粒子は一般に強度が低いという問題があった。
これに対して、本発明者は、中空粒子において、シェルに含有される樹脂と金属酸化物粒子とを化学結合を介して複合化させることが有効と考えた。具体的な方法としては、気体を内包した液滴粒子を中空粒子の前駆体として直接形成し、この液滴粒子を固体化する中空粒子の作製法において、液滴の原料として、重合性単量体とこれとの反応性を有する表面を備えた金属酸化物粒子とを含有する液を用いることが考えられる。このような方法によれば、重合性単量体が重合して液滴粒子を固体化する際に、重合性単量体と金属酸化物粒子の表面とが化学結合をする。この結果、シェルは、樹脂と金属酸化物粒子とが化学結合を介して複合化した構造となると考えられる。
このような複合化した構造を有するシェルを備えることで、本発明の中空粒子は強度を改善できたと推察する。
本発明の製造方法によって製造される中空粒子の一例を示す概略図 実施例で製造された中空粒子のSEM写真の一例 実施例で製造された中空粒子のSEM写真のほかの例 実施例で製造された中空粒子のSEM写真のほかの例 比較例として製造された中空粒子のSEM写真のほかの例
本発明の中空粒子の製造方法は、空孔を内包するシェルを有する中空粒子であって、
前記シェルが、少なくとも樹脂と金属酸化物粒子とからなる複合体構造を有している中空粒子の製造方法であることを特徴とする。この特徴は各請求項に係る発明に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の中空粒子の製造方法は、液体中で製造する中空粒子の製造方法であって、
(A)少なくとも重合性単量体を含有する樹脂液に、反応性表面を有する金属酸化物粒子を分散した液を調製する工程と、
(B)前記工程(A)で調製した前記金属酸化物粒子を分散した樹脂液に気体を注入する工程と、
(C)前記工程(B)で前記気体が注入された前記樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、前記気体を内包した前記樹脂液の液滴粒子を形成し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程と、
(C´)前記工程(C)の後に、前記気体を内包した液滴粒子を分割する工程と、
(D)前記工程(C´)で形成された液滴粒子を、当該液滴粒子中に含有されている前記重合性単量体を重合することにより固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程と、
を有することを特徴とする。
これにより、本発明は、強度の高い中空粒子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪中空粒子の概要≫
本発明の中空粒子は、空孔を内包するシェルを有する。
図1は、本発明の中空粒子の一例を示す概略図である。
図1に示す例において、中空粒子1は、空孔3を内包するシェル2を有する。ここで、空孔とは、空気等のガス、真空空間等が存在している部分をいう。
なお、図1に示す例では、空孔は一つしかないが、本発明の中空粒子はこれに限定されず、空孔は複数あってもよい。また、本発明の中空粒子は、空孔の形状も限定されず、球状であっても、球状でなくてもよい。
[シェル]
シェルは、空孔を内包し、少なくとも樹脂と金属酸化物粒子とからなる複合体構造を有している。
なお、シェルは、本発明の効果発現を阻害しない範囲内で、樹脂及び金属酸化物粒子以外の金属や、無機化合物など、ほかの化合物等を有していてもよい。
<樹脂>
本発明に係る樹脂としては、後述の重合性単量体を重合させてなる樹脂であることが好ましい。具体的には、例えば、ポリスチレン、シクロオレフィンポリマー、ポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
<金属酸化物粒子>
金属酸化物粒子の種類は、特に限定はなく、公知のものを使用できる。金属酸化物粒子としては、具体的には、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、酸化チタン(チタニア:TiO)、酸化ケイ素(シリカ:SiO)、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられる。
なお、本発明に係る金属酸化物粒子は、表面修飾されることで、反応性表面を有する金属酸化物粒子であることが好ましい。
金属酸化物粒子の体積平均一次粒径は、1nm〜10μmの範囲内であることが、市販品の種類も多く、製造上好ましい。
上記金属酸化物粒子の体積平均一次粒径は、動的光散乱式粒子径分布測定装置、例えばマイクロトラック・ベル社製Nanotrac Waveを使用することで測定できる。例えば具体的には、金属酸化物粒子0.2gを、界面活性剤水溶液(例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤水溶液)20mLに添加し、超音波分散を5分間行った分散液を試料にして測定することができる。
金属酸化物粒子と樹脂との質量比の値(金属酸化物粒子の質量/樹脂の質量)が、1/10〜10/1の範囲内であること、すなわち、樹脂100質量部に対して、金属酸化物粒子が10〜1000質量部の範囲内であることが好ましい。
上記質量比の値が、1/10以上であると、シェルに含まれる金属酸化物粒子の量が少なくなりすぎることを回避でき、本発明の効果を好適に発現できる。
また、質量比の値が、10/1以下であれば、シェルが内包する空孔が潰れる懸念がなく、空孔を好適に保つことができるため好ましい。
〔表面修飾〕
本発明においては、重合性官能基を有する化合物による有機表面修飾を行う態様であることが好ましい。また、当該有機表面修飾の前段として、当該有機表面修飾の反応率を上げる、金属酸化物粒子として酸化チタンを用いる場合であればその光触媒活性を抑制する等の目的で、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア等の表面修飾用金属酸化物から選ばれる無機表面修飾を1回又は複数回行ってもよい。
〔無機表面修飾に用いる金属酸化物(表面修飾用金属酸化物)〕
チタニア、アルミナ、シリカ、及びジルコニア等の金属酸化物から選ばれる無機表面修飾とは、金属酸化物粒子の表面にチタニア、アルミナ、シリカ又はジルコニアを析出させる処理をいい、これらの表面に析出したチタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニアにはチタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物が修飾していることも含まれる。
金属酸化物粒子の金属と、無機表面修飾を行う表面修飾用金属酸化物の金属の種類は、同じでも異なってもよいが、具体的には、金属酸化物粒子として酸化チタン粒子を使用した場合は、アルミナ、シリカ、及びジルコニア等の金属酸化物による表面修飾が好ましい。
表面修飾用金属酸化物による無機表面修飾方法は湿式法で行うことが好ましい。例えば、チタニア、シリカ、又はアルミナの表面修飾を行った無機処理(修飾)済み金属酸化物粒子は以下のように作製することができる。
酸化チタン粒子を用いる場合、酸化チタン粒子を50〜350g/Lの濃度で水中に分散させて水性スラリーとし、これに水溶性のケイ酸塩又は水溶性のアルミニウム化合物を添加する。その後、アルカリ又は酸を添加して中和し、酸化チタン粒子の表面にシリカ又はアルミナを析出させる。続いて濾過、洗浄、乾燥を行い目的の無機表面修飾済み酸化チタン粒子を得る。前記水溶性のケイ酸塩としてケイ酸ナトリウムを使用した場合には、硫酸、硝酸、塩酸等の酸で中和することができる。一方、水溶性のアルミニウム化合物として硫酸アルミニウムを用いたときは水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリで中和することができる。
なお、上記無機表面修飾に用いられる表面修飾用金属酸化物の量は、前記表面修飾時の仕込み量にて酸化チタン粒子等100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部、更に好ましくは1〜10質量部であることが好ましい。
〔有機表面修飾に用いる重合性官能基を有する化合物〕
次に、本発明で使用可能な重合性官能基を有する化合物について説明する。
重合性官能基とは、その代表例はラジカル重合性官能基である。したがって、有機表面修飾に用いる重合性官能基を有する化合物としては、ラジカル重合性官能基を有する化合物が好ましい。このラジカル重合性官能基を有する化合物としては、表面修飾用金属酸化物による無機表面修飾を行った金属酸化物粒子の表面を被うことができる化合物であれば本発明に好ましく用いることができる。中でも本発明において、特に好ましいラジカル重合性官能基は反応性アクリル基又はメタクリル基であり、かつ、金属酸化物粒子の表面を覆うために該金属酸化物粒子の表面(又は表面修飾用金属酸化物)に結合する部分はシランカップリング剤としての構造を有するものである。
すなわち、本発明で好ましく用いることができる重合性官能基を有する化合物は、反応性アクリル基又はメタクリル基を有するシランカップリング剤である。例えば、下記一般式(1)として表される化合物である。
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアラルキル基、Rは反応性二重結合を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、フェノキシ基を示し、nは1〜3の整数である。)
以下に、上記一般式(1)で示される化合物例を挙げる。
S−1 CH=CHSi(CH)(OCH
S−2 CH=CHSi(OCH
S−3 CH=CHSiCl
S−4 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6 CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9 CH=CHCOO(CHSiCl
S−10 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11 CH=CHCOO(CHSiCl
S−12 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20 CH=CHSi(C)(OCH
S−21 CH=C(CH)Si(OCH
S−22 CH=C(CH)Si(OC
S−23 CH=CHSi(OCH
S−24 CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25 CH=CHSi(CH)Cl
S−26 CH=CHCOOSi(OCH
S−27 CH=CHCOOSi(OC
S−28 CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29 CH=C(CH)COOSi(OC
S−30 CH=C(CH)COO(CHSi(OC
また、前記一般式(1)の化合物以外でも、下記のラジカル反応可能な反応性基を有するシラン化合物を用いてもよい。
また、下記にカチオン系反応性基を有するシラン化合物としては、下記のようなものがある。
これらのシラン化合物は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
〔重合性官能基を有する化合物による有機表面修飾方法〕
次に、重合性官能基を有する化合物による金属酸化物粒子の表面修飾方法を、前記した一般式(1)等で表されるシラン化合物を用いた場合を例に説明する。有機表面修飾を行うに際し、金属酸化物粒子100質量部に対し、シラン化合物を表面修飾剤として0.1〜200質量部、溶媒50〜5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。
なお、本発明において金属酸化物粒子の表面が重合性官能基を有する化合物により被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析手法を複合することによって確認されるものである。
重合性官能基を有する化合物の表面修飾量(重合性官能基を有する化合物の被覆量)は、金属酸化物粒子に対し0.1〜60質量%の範囲内であることが好ましい。特に好ましくは5〜40質量%の範囲内である。
この重合性官能基を有する化合物の表面修飾量は、表面修飾後の金属酸化物粒子を550℃で3時間熱処理し、その強熱残分を蛍光X線にて定量分析し、Si量から分子量換算で求めたものである。
以下に、均一であり、かつ、より微細にシラン化合物で表面修飾された金属酸化物粒子を製造する有機表面修飾方法を具体的に述べる。
即ち、表面修飾用金属酸化物により表面修飾されている、又は無修飾の金属酸化物粒子とシラン化合物を含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式分散することにより、金属酸化物粒子の凝集粒子を分散すると同時に金属酸化物粒子の有機表面修飾が進行する。その後、減圧加熱等で溶媒を除去して粉体化することにより、均一であり、かつ、より微細なシラン化合物により表面修飾された金属酸化物粒子を得ることができる。
本発明において用いられる表面修飾装置である湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、金属酸化物粒子に表面修飾を行う際に金属酸化物粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、せん断、ズリ応力等により凝集粒子の粉砕、分散が行われる。
上記サンドグラインダーミルで用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特に高硬度であり、高密度のために小径ビーズにおいても分散力が高いジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、微粒子分散においては小径ビーズを用いたほうが分散速度を高められるので、0.1〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特に高硬度のジルコニアビーズ等を用いるために、耐摩耗性の高いジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
以上のような湿式処理により、例えば一般式(1)のシラン化合物による表面修飾を行った金属酸化物粒子を得ることができる。
なお、金属酸化物粒子の粒径は、1nm〜10μmの範囲内であることが実用上好ましい。
<複合体構造>
本発明の中空粒子は、上述のように、シェルが、少なくとも樹脂と金属酸化物粒子とからなる複合体構造を有している。本発明において、この複合体構造とは、樹脂と金属酸化物粒子とが、化学結合を介して結合した状態で、シェルに含有されている構造をいう。
なお、中空粒子が複合体構造を有しているか否かは、NMRやIR等による測定により、シェル中の樹脂と金属酸化物粒子とが、化学結合を介して結合しているかどうかを確認することで判断できる。
≪中空粒子の製造方法の概要≫
本発明の中空粒子の製造方法は、液体中で製造する中空粒子の製造方法であって、
(A)少なくとも重合性単量体を含有する樹脂液に、反応性表面を有する金属酸化物粒子を分散した液を調製する工程と、
(B)前記工程(A)で調製した前記金属酸化物粒子を分散した樹脂液に気体を注入する工程と、
(C)前記工程(B)で前記気体が注入された前記樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、前記気体を内包した前記樹脂液の液滴粒子を形成し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程と、
(D)前記工程(C)で形成された液滴粒子を、当該液滴粒子中に含有されている前記重合性単量体を重合することにより固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程と、
を有することが好ましい。
また、重合性単量体を重合することによってシェルを形成する中空粒子製造方法であれば、当該重合性単量体の代わりに、当該重合性単量体に反応性表面を有する金属酸化物粒子を分散した液を用いることによって、本発明の中空粒子を製造することができる。
例えば、下記(i)〜(iii)の工程を有する多孔性樹脂粒子の製造方法において、油相液に反応性表面を有する金属酸化物微粒子を分散させる製造方法を挙げることができる。
(i)重合性単量体及び当該重合性単量体に対する重合開始能を有する油溶性重合開始剤を、疎水性溶媒に溶解又は分散させて油相液を調製する。
(ii)当該油相液を、前記重合性単量体に対する重合開始能を有する水溶性重合開始剤が含有された水溶性溶媒中に油滴として分散させる。
(iii)前記油相液が分散した状態において、前記重合性単量体に前記油溶性重合開始剤及び前記水溶性重合開始剤を同時に作用させて、当該重合性単量体を重合しシェルを形成する。これにより、シェルの内部に複数の空孔を生成させる。
なお、上記「液体中で製造する」の「液体」とは、後述の第1の分散媒又は第2の分散媒である。
以下、本発明の中空粒子の製造方法が有する上記工程(A)〜(D)について、詳細に説明する。
[工程(A)]
工程(A)は、少なくとも重合性単量体を含有する樹脂液に、反応性表面を有する金属酸化物粒子を分散した液を調製する工程である。
<樹脂液>
本発明に係る樹脂液とは、重合性単量体を含有する。樹脂液は、例えば、重合性単量体のみであってもよいが、樹脂が溶解したものであるほうが、粘度の観点から好ましい。このような観点から、樹脂液は、重合性単量体などを分散媒(以下、樹脂液に含有される分散媒を「第1の分散媒」ともいう。)として、上述の樹脂等を増粘剤として溶解させて液状化したものであることが好ましい。なお、増粘剤として使用される樹脂としては、重合性単量体に溶解されるものであることが、高温や高圧にする必要なく容易に樹脂液を調製でき、低コストかつ安全であるため好ましい。なお、樹脂液に含有される樹脂としては、第1の分散媒である重合性単量体の一部を気体の注入前に重合することによって作製した高分子を用いることもできる。
樹脂液は、さらに、油溶性界面活性剤を含有することが、樹脂液に気体を内包させた状態を維持しやすくなり、この結果、気体を内包しない液滴から生じる中実粒子が減少し、中空粒子の収率が上がるため好ましい。
また、樹脂液の25℃における粘度は、10mPa・s以上であることが、樹脂液に気体を内包させた状態を維持しやすくなり、この結果、中空粒子の収率が向上することから好ましく、更に好ましくは、100mPa・s以上である。
また、樹脂液の25℃における粘度の上限は、気体を内包させる装置の取扱い粘度上限によって既定される。一般的な撹拌機を用いる場合には500000mPa・s以下であることが好ましく、更に好ましくは75000mPa・s以下である。
(粘度の測定)
粘度の測定方法は、特に限定されず、既知の方法であればよいが、共軸二重円筒型、単一円筒型回転式粘度計(B型)、コーンプレート型(E型)等の回転式粘度計が望ましく、後述の本願の実施例ではコーンプレート型粘度計を用いて測定した。
(重合性単量体)
重合性単量体としては、上記樹脂を溶解した状態で水に分散可能なものであれば、特に限定されず、具体的には、例えば、以下の(1)〜(8)に示すものが挙げられる。
(1)スチレン系単量体
スチレン系単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレンなどが挙げられる。
(2)(メタ)アクリル酸エステル系単量体
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、フェニルアクリレートフェニル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
(3)オレフィン類
オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどが挙げられる。
(4)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどが挙げられる。
(5)ビニルエーテル類
ビニルエーテル類としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられる。
(6)ビニルケトン類
ビニルケトン類としては、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどが挙げられる。
(7)N−ビニル化合物類
N−ビニル化合物類としては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
(8)多官能ビニル単量体
多官能ビニル単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキシレングリコールジメタクリレート、ヘキシレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなどの3級以上のアルコールのジメタクリレート及びトリメタクリレートなどが挙げられる。
(9)その他
上述のもの以外にも、例えば、ブタジエン、ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体、無水マレイン酸などが挙げられる。
(油溶性界面活性剤)
界面活性剤は親水基と親油基の組合せによって構成されているが、親水基及び親油基の種類は極めて多数にのぼり、その組合せによってできる界面活性剤の種類も極めて多い。本発明に係る油溶性界面活性剤としては、有機溶媒又は重合性単量体に溶解し、気体の分散安定性を発揮するものであれば、特に限定されず、好適に用いることができる。
なお、このような油溶性界面活性剤を樹脂液が含有することで、上述のように、有機溶媒又は重合性単量体中において、気体の分散安定性が向上し、好適に気体を内包した液滴粒子を作製することができ、この結果、気体を内包しない液滴から生じる中実粒子が減少し、中空粒子の収率が上がるため好ましい。
油溶性界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩や、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル塩や、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどの脂肪酸塩などが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドなどの組合せ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステルなどを挙げることができる。
これらの界面活性剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記界面活性剤の代わりに、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独若しくは共重合体からなる、ビニル系ポリマーなどの分散安定化力を有する物質を用いることができる。
さらに、市販品も使用でき、具体的には、例えば、花王株式会社製レオドールSP−L10や、日油株式会社製モディパーF606などが挙げられる。
<その他の第1の分散媒>
本発明に係る樹脂液は、上述の第1の分散媒である重合性単量体以外に、その他の第1の分散媒として、上記樹脂を溶解する等により液化できる分散媒が、本発明の効果発現を阻害しない範囲で含有されていてもよい。このような分散媒は、特に限定されないが、例えば非重合性の有機溶媒であってもよい。
(有機溶媒)
本発明に好適に使用できる有機溶媒は、上記樹脂液となった状態で水に分散可能なものであればよく、特に限定されず、例えば、トルエン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、塩化メチレン等が挙げられる。
<反応性表面を有する金属酸化物粒子>
本発明に係る反応性表面を有する金属酸化物粒子とは、上述の表面修飾された金属酸化物粒子をいう。また、反応性表面を有するとは、上記重合性官能基が表面に修飾されていることをいう。金属酸化物粒子は、このような反応性表面を有することにより、本発明に係る樹脂及び重合性単量体と化学結合し、ひいては、この化学結合を介して結合した状態でシェルに含有され、複合体構造を形成することができる。
なお、工程(A)において前記金属酸化物粒子を分散した樹脂液が含有する、前記金属酸化物粒子と前記重合性単量体との質量比の値が、1/10〜10/1の範囲内であることが好ましい。
金属酸化物粒子と重合性単量体との質量比の値(金属酸化物粒子の質量/重合性単量体の質量)が、1/10〜10/1の範囲内であること、すなわち、重合性単量体100質量部に対して、金属酸化物粒子が10〜1000質量部の範囲内であることが好ましい。
上記質量比の値が、1/10以上であると、シェルに含まれる金属酸化物粒子の量が少なくなりすぎることを回避でき、本発明の効果を好適に発現できる。
また、質量比の値が、10/1以下であれば、シェルが内包する空孔が潰れる懸念がなく、空孔を好適に保つことができるため好ましい。
[工程(B)]
工程(B)は、工程(A)で調製した前記金属酸化物粒子を分散した樹脂液に気体を注入する工程である。
<注入可能な気体>
注入可能な気体としては、工程(A)〜工程(D)の間で気体であればよいが、安定性や安全性から、例えば、空気や不活性気体(ヘリウム、アルゴン、窒素、二酸化炭素など)が望ましい。
<気体の注入方法>
気体を注入させる方法は、気体を内包した液滴(樹脂液の泡)を作製できるものであれば、特に限定されず、具体的には、例えば、バブラー(アズワン株式会社製ケラミフィルター)を通して空気を注入する方法が挙げられる。また、このほか、樹脂液を撹拌して泡立てることで、気体を内包した液滴(樹脂液の泡)を作製するなどしてもよい。
[工程(C)]
工程(C)は、工程(B)で前記気体が注入された前記樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、前記気体を内包した前記樹脂液の液滴粒子を形成し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程である。
この液滴粒子の分散液は、水溶性界面活性剤を含有することが、液滴粒子の凝集を防ぐことができ、ひいては、中空粒子の収率が向上することから好ましい。
<液滴粒子>
本発明に係る液滴粒子とは、第2の分散媒中に形成される、本発明に係る樹脂液の粒子である。当該液滴粒子は、上記樹脂液をシェルとして、気体を内包した状態(樹脂液シェルが空孔を内包する状態)で、第2の分散媒中に分散できる。
(水溶性界面活性剤)
上述のように、界面活性剤は、親水基と親油基の組合せによって構成されているが、親水基及び親油基の種類は極めて多数にのぼり、その組合せによってできる界面活性剤の種類も極めて多い。本発明に係る水溶性界面活性剤としては、水溶性溶媒に溶解し、液滴粒子の分散安定性を発揮するものであれば、特に限定されず、好適に用いることができる。
なお、液滴粒子の分散液は、このような水溶性界面活性剤を含有すれば、液滴粒子の分散安定性が向上し、この結果、中空粒子の収率が向上することから好ましい。
水溶性界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩や、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル塩や、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどの脂肪酸塩などが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドなどの組合せ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステルなどを挙げることができる。
これらの界面活性剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記界面活性剤の代わりに、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独若しくは共重合体からなるビニル系ポリマーなどの分散安定化力を有する物質を水溶性界面活性剤として用いることができる。
<第2の分散媒>
第2の分散媒は、気体を内包させた液滴粒子を分散させることができるものであれば特に限定されないが、水溶性溶媒であることが、樹脂液が過度に溶解するなどせず、ひいては、中空粒子の収率が向上することから好ましい。
(水溶性溶媒)
水溶性溶媒としては、水に無限に溶ける溶媒であれば特に限定されず、例えば、イオン交換水などの水、メタノール、エタノール、アセトン等が挙げられる。この中でも、特に、水であることが環境への負荷が小さい、安全性が高い、有機溶媒や重合性単量体の溶解性が低い、などのため好ましい。なお、水は、特に限定されず、例えば、イオン交換水や、蒸留水が好適に用いられる。
[工程(D)]
工程(D)は、工程(C)で形成された液滴粒子を、当該液滴粒子中に含有されている前記重合性単量体を重合することにより固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程である。
<固体化の方法>
前記固体化は、液滴粒子中に含有されている重合性単量体を重合することにより行われる。また、樹脂液が、第1の分散媒として非重合性の有機溶媒を含有する場合は、減圧留去や水蒸気蒸留などによって非重合性の有機溶媒を除去する方法を更に用いることが好ましい。
(液滴粒子中に含有されている重合性単量体を重合する方法)
液滴粒子中に含有されている重合性単量体を重合する方法は、特に限定されず、例えば、熱や光などと重合開始剤による重合を用いることができる。
このような方法としては、既知の方法であればよく、具体的には、重合開始剤存在下で適当な温度に保ったり、光を照射したりする方法が代表的であるが、ガンマ線や電子線を照射する等も挙げられる。
重合開始剤としては、特に限定されず、油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤など公知のものを使用できるが、中でも、油溶性重合開始剤を好適に使用できる。
油溶性重合開始剤としては、用いる溶媒や重合性単量体の沸点よりも低い温度で重合開始能を発揮することができるものであればよく、例えば、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを用いることができる。
これらの油溶性重合開始剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、水溶性重合開始剤としては、用いる水溶性溶媒や重合性単量体の沸点よりも低い温度で重合開始能を発揮することができるものであればよく、過硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素などを用いることができる。
これらの水溶性重合開始剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<単離の方法>
固体化した液滴粒子を単離する方法は特に限定されず、公知のものを使用でき、具体的には、例えば、上記固体化された液滴粒子を含有する液体を吸引濾過した後、イオン交換水を用いた洗浄を行い、バット等に広げて乾燥させることで単離してもよい。ほかには、遠心分離とイオン交換水の追加を繰り返す、イオン交換水を加えながらの限外濾過を行った後の凍結乾燥などが挙げられる。
なお、前記工程(C)と、前記工程(D)との間に、前記気体を内包した液滴粒子を分割する工程(C´)を更に有することが必要である。このような工程を有すれば、微細な中空粒子を形成できることから好ましい。
(分割する方法)
分割する方法としては、特に限定されないが、例えば、細孔を有する膜などに気体を内包した液滴粒子の分散液を通すことで、気体を内包した液滴粒子を更に分割し、より細かい気体を内包した液滴粒子を得ることができる。
さらに、その細孔が均一な場合、気体を内包した液滴粒子を分割する際に、分割後の粒径をそろえることができる。具体的な方法例としては、SPG膜(SPGテクノ株式会社製)を用いることを挙げることができる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[中空粒子〔1〕の製造]
<金属酸化物粒子を分散した樹脂液の調製(工程(A))>
増粘剤としてポリスチレン(樹脂、DIC株式会社製HP−555)18質量部を、重合性単量体であるスチレンモノマー(第1の分散媒)72質量部に溶解させ、樹脂液を調製した。この樹脂液に、大径酸化チタン粒子〔1〕(テイカ製JR−600A)をKBM−503で表面修飾した反応性表面を有する金属酸化物粒子20質量部を更に加えて、ミックスローターを用いて分散した(100rpmで3時間)。さらに、樹脂液に、油溶性界面活性剤(花王株式会社製レオドールSP−L10)3.15質量部と油溶性重合開始剤α,α′−アゾビスイソブチロニトリル(関東化学株式会社製)1.10質量部を加えて溶解させ、反応性表面を有する金属酸化物粒子を分散した樹脂液を調製した。
(大径酸化チタン粒子〔1〕(金属酸化物粒子)の表面修飾方法)
体積平均一次粒子径0.25μmのルチル型酸化チタン粒子(テイカ製JR−600A)500質量部をトルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒1500質量部と撹拌混合し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越化学工業株式会社製)5質量部を添加し、ジルコニアビーズミルにより、回転速度1000rpm、ミル滞留時間30分、温度35度で湿式解砕処理を行った。得られたスラリーから溶媒を減圧蒸留にて留去し、120度で2時間の焼付けを行った。その後、ピンミルにて解砕し、表面修飾済みの大径酸化チタン粒子を得た。
<気泡を含んだ樹脂液の調製(工程(B))>
上記工程(A)にて調製された金属酸化物粒子を分散した樹脂液にバブラー(アズワン株式会社製ケラミフィルター)を通して空気を注入して、気泡を含んだ樹脂液を調製した。
<液滴粒子の分散液の調製(工程(C))>
別にあらかじめ、ラウリル硫酸ナトリウム(水溶性界面活性剤、花王株式会社製エマール2FG)60質量部を、第2の分散媒であるイオン交換水1200質量部に溶解させておき、これをゆるやかに撹拌しながら、前記の気泡を含んだ樹脂液を注入し、気体を内包した液滴粒子を形成し、当該液滴粒子の分散液(白色液〔1〕)を調製した。
<固体化及び単離(工程(D))>
この白色液〔1〕を、撹拌装置と水冷還流管と窒素導入管をセットしたセパラブルフラスコに入れ、撹拌と窒素注入を継続しながら、室温で20分間撹拌したのち70℃まで昇温し、70℃で4時間保持した後、撹拌しながら室温まで冷却し、一夜放置した(重合性単量体を重合することによる固体化)。
その後、吸引濾過及びイオン交換水を用いた洗浄を行い、バットに広げて40℃で乾燥して、白色粉体〔1〕を得た(単離)。
<中空粒子〔1〕の観察>
この白色粉体〔1〕をそのまま、及び光硬化性の包埋樹脂D−800(日本電子(株)製)中に包埋した包埋片を液体窒素に浸漬して割った断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行ったところ、粒径が1〜10μm程度の、内部に複数の空間を有し、シェルに大径酸化チタン粒子が埋没している球状の中空粒子〔1〕であることが観察された。図2にこの中空粒子〔1〕の走査型電子顕微鏡(SEM)写真の一例を示す。図2(A)は中空粒子〔1〕の外観であり、図2(B)は中空粒子〔1〕の断面である。
中空粒子〔1〕の製造において、工程(C)の最後に、気体を内包した液滴粒子の分散液(白色液〔1〕)を、細孔径2.1μmのSPG膜(SPGテクノ株式会社製)に送液圧680kPaで通して、液滴粒子を分割する工程(C´)を加えた(表1に記載の「SPG処理あり」。)ほかは、中空粒子〔1〕の製造と同様にして、中空粒子〔2〕を製造した。
得られた白色粉体の走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行ったところ、粒径が1μm程度の、内部に複数の空間を有し、シェルに大径酸化チタン粒子が埋没している球状の中空粒子〔2〕であることが観察された。図3にこの中空粒子〔2〕の走査型電子顕微鏡(SEM)写真の一例を示す。図3(A)は中空粒子〔2〕の外観であり、図3(B)は中空粒子〔2〕の断面である。
[中空粒子〔3〕の製造]
中空粒子〔2〕の製造において、工程Aでは反応性表面を有する金属酸化物粒子を、小径酸化チタン粒子〔1〕をKBM−503で表面修飾した粒子に換え、工程CではSPG膜の細孔径を4.9μmとしその送液圧を350kPaとしたほかは、中空粒子〔2〕の製造と同様にして中空粒子〔3〕を製造した。
得られた白色粉体の走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行ったところ、粒径が2〜3μm程度の、内部に複数の空間を有し、シェルに小径酸化チタン粒子が埋没している球状の中空粒子であることが観察された。図4にこの中空粒子〔3〕の走査型電子顕微鏡(SEM)写真の一例を示す。図4(A)は中空粒子〔3〕の外観であり、図4(B)は中空粒子〔3〕の断面である。
(小径酸化チタン粒子〔1〕の表面修飾方法)
体積平均一次粒子径15nmのルチル型酸化チタン粒子500質量部をトルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒1500質量部と撹拌混合し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越化学工業株式会社製)75質量部を添加し、ジルコニアビーズミルにより、回転速度1000rpm、ミル滞留時間40分、温度35度で湿式解砕処理を行った。得られたスラリーから溶媒を減圧蒸留にて留去し、120度で2時間の焼付けを行った。その後、ピンミルにて解砕し、表面修飾済みの小径酸化チタン粒子を得た。
[中空粒子〔4〕の製造]
増粘剤としてポリスチレン(樹脂、DIC株式会社製HP−555)18質量部を、スチレンモノマー67.8質量部とネオペンチルグリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)4.2質量部との混合溶液に溶解させた。それに油溶性界面活性剤(花王株式会社製レオドールSP−L10)2.10質量部と油溶性重合開始剤α,α′−アゾビスイソブチロニトリル(関東化学株式会社製)1.10質量部を加えて溶解させ、樹脂液を調製した(本発明に係る工程(A)に対応する工程)。これ以降は中空粒子〔2〕の製造と同様にして中空粒子〔4〕を製造した。
得られた白色粉体の走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行ったところ、粒径が1μm程度の、内部に複数の空間を有する球状の中空粒子〔4〕であることが観察された。図5にこの中空粒子〔4〕の走査型電子顕微鏡(SEM)写真の一例を示す。図5(A)は中空粒子〔4〕の外観であり、図5(B)は中空粒子〔4〕の断面である。
[評価:中空粒子〔1〕〜〔4〕の強度評価]
上述のようにして製造された中空粒子〔1〕〜〔4〕について、下記のようにして強度を評価した。
微小圧縮試験機(島津製作所製MCT−510)を用いて、20μm径平面圧子、負荷速度0.4462mN/secにて荷重し、外径が10%圧縮されたときの圧力を、中空粒子〔1〕〜〔4〕について、それぞれ5個測定し、その平均値を求めた。この平均値を表1に記載の10%圧縮強度とし、強度の評価に採用した。
結果は表1に示す。
1 中空粒子
2 シェル
3 空孔

Claims (1)

  1. 液体中で製造する中空粒子の製造方法であって、
    (A)少なくとも重合性単量体を含有する樹脂液に、反応性表面を有する金属酸化物粒子を分散した液を調製する工程と、
    (B)前記工程(A)で調製した前記金属酸化物粒子を分散した樹脂液に気体を注入する工程と、
    (C)前記工程(B)で前記気体が注入された前記樹脂液を、第2の分散媒中に注入して、前記気体を内包した前記樹脂液の液滴粒子を形成し、当該液滴粒子の分散液を調製する工程と、
    (C´)前記工程(C)の後に、前記気体を内包した液滴粒子を分割する工程と、
    (D)前記工程(C´)で形成された液滴粒子を、当該液滴粒子中に含有されている前記重合性単量体を重合することにより固体化し、さらに、第2の分散媒から単離する工程と、
    を有することを特徴とする中空粒子の製造方法。
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