JP6609836B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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例えば、特許文献1に記載の従来の車両用操舵装置では、車両の前方注視点距離における目標走行ラインと車両との横方向の位置の差である横変位が収束するよう横変位の変化量である横速度に基づいて目標舵角を算出して目標舵角を実現すべく転舵輪を制御することによって、車両を目標走行ラインに追従して走行させている。
ただし、特許文献1に記載の従来の車両用操舵装置では、操舵制御の作動の開始時期については考慮がなされていない。そこで、特許文献2に記載の車両用操舵装置では、運転者の操作及び車両の走行状態から操舵制御の作動の開始を判定する手法が提案されている。ここで、運転者の操作状態は運転者が操作するセットスイッチ状態や運転者の操舵ハンドルの操舵状態などが相当し、車両の走行状態は走行路認識手段の走行路認識有無や車速などが相当する。
車両が走行する走行路を認識し、認識した走行路の信頼度である走行路信頼度を判定する走行路認識手段、
前記車両が前記走行路に追従して走行するための目標走行ラインを設定する目標走行ライン設定手段、
車両が前記目標走行ラインを走行するように操舵制御を行う操舵制御手段、
車両状態を取得する車両状態取得手段、
前記車両状態に基づいて前記操舵制御の許可および禁止の指示を判定する操舵制御許可指示判定手段、および
少なくとも前記走行路信頼度、および前記許可の指示に基づいて前記操舵制御を作動あるいは停止する操舵制御状態判定手段を備え、
前記操舵制御状態判定手段は、前記走行路認識手段の前記判定による前記走行路信頼度が高い状態が所定時間以上継続し且つ前記操舵制御許可指示判定手段による前記操舵制御の前記指示が前記操舵制御の許可を示している場合に、前記操舵制御の作動を開始し、前記操舵制御許可指示判定手段による前記指示が前記操舵制御の禁止を示している場合は、前記操舵制御の作動を停止し、
前記所定時間は、操舵制御が停止しかつ前記操舵制御の許可指示が許可を示す状態の継続時間の長さに応じて設定され、操舵制御が停止しかつ前記操舵制御の許可指示が許可を示す状態の継続時間が長いほど大きな値に設定され、操舵制御が停止しかつ前記操舵制御の許可指示が許可を示す状態の継続時間が短いほど小さな値に設定され、且つそれぞれ連続的に変化する値となる
ことを特徴とする車両用操舵装置。ものである。
上述した、またその他の、この発明の目的、特徴、効果は、以下の実施の形態における詳細な説明および図面の記載からより明らかとなる。
図1は本実施の形態1における車両用操舵装置の操舵系システム構成を示す構成図である。
図1において、車両1ハンドル2に連結した操舵装置4によって前輪左右のタイヤ5が転舵される。操舵装置4には、一般的な電動パワーステアリング装置と同様に、モータ3が連結されており、モータ3が発生するトルクを操舵装置4に付与することができる。モータ3は、後述のコントローラ7が出力する目標電流に基づいて駆動する。
尚、前記走行路は例えばカメラ6が撮影した車両前方の被写体の画像から道路の左右両側にある白線とし、走行路信頼度はカメラ6の白線の認識精度に応じて設定するようにしてもよい。この場合、カメラ6は公知の手法により例えば撮影した車両前方の被写体の画像から白線と周囲とのコントラスト、及び白線幅、左右白線による道路幅、白線角度、曲率などの道路白線としての特徴点に基づいて左右それぞれの白線を抽出し、抽出した左右の白線における白点の画素数に応じて白線内の白点数が所定の閾値以上の場合は走行路信頼度が高い状態、閾値未満の場合は走行路信頼度が低い状態とすればよい。また、カメラ6による走行路の認識方法、及び走行路信頼度の判定方法はこれに限らず、他の方法で走行路を認識し、走行路信頼度を判定してもよく、同様の効果を得ることができる。
図2には、図1のコントローラ7のハードウェア構成の一例を概略的に示す。インタフェース(I/F)101は、カメラ6、モータ3等の外部装置との信号の入出力制御を行う。プロセッサ102はメモリ103に格納されたプログラムに従って各種処理を実行する。メモリ103は、上述のプログラムと共にさらに各処理で使用するデータ、処理結果等を格納する。そしてこれらのI/F101、プロセッサ102、メモリ103はバス接続されている。
図3において、走行路認識機能部等の走行路認識手段21は、図1に例示のカメラ6に対応し、走行路を認識するために前方画像を撮影し、コントローラ7の目標走行ライン設定機能部等の目標走行ライン設定手段22、コントローラ7の操舵制御状態判定機能部等の操舵制御状態判定手段23に走行路情報、走行路信頼度をそれぞれ提供する。
また、コントローラ7に含まれる目標走行ライン設定手段22、操舵制御状態判定手段23、及び操舵制御手段24の各処理は図2のメモリ103に格納されたプログラムに従ってプロセッサ102により実行される。なお、コントローラ7のハードウェア構成として、図2のプロセッサによる構成の代わりに、図3の各機能ブロックの処理を行うASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のディジタル回路で構成してもよい。
操舵制御状態判定手段23は走行路信頼度に基づき、走行路信頼度が高い状態、すなわち走行路認識手段21が走行路を認識している状態が所定時間以上継続している場合は、操舵制御作動指示を作動として出力する。一方で、走行路信頼度が低い状態、すなわち走行路認識手段21が走行路を認識していない状態の場合は、操舵制御作動指示を停止として出力する。
実際の操舵制御状態判定手段23における操舵制御の作動、停止の判定処理を図4のフローチャートに例示する。このフローチャートにおける機能は、コントローラ7におけるプロセッサ102において一定周期(例えば0.01秒)で実行される。
図4において、ステップS1では、操舵制御の停止時間を計測するため、前回処理時の操舵制御作動指示が停止を示している場合はコントローラ7内の操舵制御停止カウンタをインクリメントし、前回処理時の操舵制御作動指示が作動を示している場合は操舵制御停止カウンタを0にリセットする。
次に、ステップS2では、ステップS1での操舵制御停止カウンタの演算状態に基づいて操舵制御状態判定手段23が操舵制御作動指示を判定するための所定時間を決定する。例えば、操舵制御停止カウンタのインクリメントの継続時間が10秒未満の場合は所定時間を0.1秒に設定し、操舵制御停止カウンタのインクリメントの継続時間が10秒以上の場合は所定時間を10秒に設定する。
次に、ステップS3では、走行路信頼度が高い状態の継続時間を計測するため、走行路認識手段21からの走行路信頼度が高い状態を示している場合はコントローラ7内の高信頼度継続カウンタをインクリメントし、走行路認識手段21からの走行路信頼度が低い状態を示している場合は高信頼度継続カウンタを0にリセットする。
最後にステップS4では、走行路認識手段21からの走行路信頼度が低い状態である場合は、操舵制御作動指示を停止とし、ステップS2で演算した前記所定時間と、ステップS3で演算した高信頼度継続カウンタに基づいて、高信頼度継続カウンタが前記所定時間以上である場合は、操舵制御作動指示を作動とし、上記のいずれにも該当しない場合は、操舵制御作動指示は前回の操舵制御作動指示を保持する。
通信可能な衛星から受信した、前記車両の自車位置と地図情報に基づいて、車両前方の走行路を認識するような構成の場合、例えば、トンネルや高架下など衛星からの情報が受信しがたい環境は走行路認識手段が走行路を認識しがたい環境に相当する。これらが頻発するような環境を走行中に衛星からの情報の信号が受信できず走行路を認識できない状況において、受信可能な状態となるものの、その環境が要因で受信する前記車両の自車位置の精度が低いがために走行路を誤認識するような場合であっても、操舵制御状態判定手段において走行路信頼度が高い状態が所定時間継続した場合に、走行路認識手段が走行路を誤認識なく安定して認識可能な環境にあるとみなして操舵制御の作動を開始することにより本実施の形態1に示す車両用操舵装置と同様の効果を得ることができる。この時、走行路信頼度は例えば受信可能な衛星の数や位置などに基づく想定される受信信号の精度に応じて設定すればよい。
また、カメラやレーダ等によって取得した前方を走行している車両の軌跡に基づいて車両前方の走行路を認識するような構成の場合、例えば、降雨や、道路路肩の側壁により先行車が存在するにも関わらず先行車を認識しがたい、あるいは特定しがたい環境は走行路認識手段が走行路を認識しがたい環境に相当する。このような環境下で走行中に先行車を認識できない状況において、時折先行車を認識するものの、その環境が要因で認識精度が低く誤認識するような場合であっても、操舵制御状態判定手段において走行路信頼度が高い状態が所定時間継続した場合に、走行路認識手段が走行路を誤認識なく安定して認識可能な環境にあるとみなして操舵制御の作動を開始することにより本実施の形態1に示す車両用操舵装置と同様の効果を得ることができる。この時、走行路信頼度は例えばカメラ、あるいはレーダが認識する前方物体の大きさ、前方物体の移動速度などに基づく前方物体の先行車としての特徴点に応じて設定するとよい。
実施の形態1では、操舵制御状態判定手段23は走行路信頼度に基づいて操舵制御の作動の開始を判定したが、本実施の形態2では、走行路信頼度のみならず、走行路信頼度、及び車両状態に基づいて操舵制御の作動の開始を判定するような構成の車両用操舵装置について説明する。
図5において、セットスイッチ8は運転者が任意に操舵制御のオン・オフを切り替えるための運転者によって操作されるスイッチであり、オンあるいはオフのいずれかを示すスイッチ信号をコントローラ7に出力する。
図6において操舵制御状態判定手段23aは、走行路認識手段21で得られた走行路信頼度、及び操舵制御許可指示判定手段26が出力する制御操舵許可指示に基づき、操舵制御手段24における操舵制御の作動、停止を判定し、作動、あるいは停止のいずれかを示す操舵制御作動指示として出力する。
操舵制御許可指示判定手段26は車両状態取得手段25が出力するセットスイッチ信号に基づき、操舵制御の許可、禁止を判定し、操舵制御許可指示として出力するものであり、図5に例示のコントローラ7に含まれる。具体的には、セットスイッチがオンの場合は操舵制御の許可、オフの場合は禁止となる。すなわち、セットスイッチがオンの状態は操舵制御の許可を示し、オフの状態は禁止を示す。
ここで、コントローラ7に含まれる目標走行ライン設定手段22、操舵制御状態判定手段23a、操舵制御手段24、及び操舵制御許可指示判定手段26の各処理は図2のメモリ103に格納されたプログラムに従ってプロセッサ102により実行される。なお、コントローラ7のハードウェア構成として、図2のプロセッサによる構成の代わりに、図3の各機能ブロックの処理を行うASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のディジタル回路で構成してもよい。
ここで、前記所定時間は操舵制御が停止しており、かつ操舵制御許可指示が許可を示している状態の継続時間に応じて設定する。
実際の操舵制御状態判定手段23aにおける操舵制御の作動、停止の判定処理を図7のフローチャートに例示する。このフローチャートにおける機能は、コントローラ7におけるプロセッサ102において一定周期(例えば0.01秒)で実行される。
尚、実施の形態1におけるフローチャートと同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものである。
図7においてステップS1aでは操舵制御が停止しており、かつ操舵制御許可指示が許可を示している状態の継続時間を計測するため、前回処理時の操舵制御作動指示が停止かつ操舵制御許可指示が許可を示している場合はコントローラ7内の操舵制御停止カウンタをインクリメントし、それ以外の場合は操舵制御停止カウンタを0にリセットする。
最後にステップS4aでは、走行路認識手段21からの走行路信頼度が低い状態である場合、あるいは操舵制御許可指示が禁止を示している場合は、操舵制御作動指示を停止とし、ステップS2で演算した前記所定時間と、ステップS3での高信頼度継続カウンタの演算状態に基づいて、高信頼度継続カウンタが前記所定時間以上であり、かつ操舵制御許可指示が許可を示している場合は、操舵制御作動指示を作動とし、上記のいずれにも該当しない場合は、操舵制御作動指示は前回の操舵制御作動指示を保持する。
また、例えば、車両状態取得手段25は車両状態である運転者の操舵トルクを取得し、操舵制御許可指示判定手段26は操舵トルクに基づき、操舵トルクが所定値以下の場合を許可、所定値以上の場合を禁止としてもよい。
なお、各図中、同一符合は同一または相当部分を示す。
3 モータ、 4 操舵装置、
5 タイヤ、 6 カメラ、
7 コントローラ、 8 セットスイッチ、
21 走行路認識手段、 22 目標走行ライン設定手段、
23 操舵制御状態判定手段、 23a 操舵制御状態判定手段、
24 操舵制御手段、 25 車両状態取得手段、
26 操舵制御許可指示判定手段、 WLL,WLR 白線
Claims (6)
- 車両が設定された目標走行ラインに追従して走行するように転舵輪を操舵補助する車両用操舵装置であって、
車両が走行する走行路を認識し、認識した走行路の信頼度である走行路信頼度を判定する走行路認識手段、
前記車両が前記走行路に追従して走行するための目標走行ラインを設定する目標走行ライン設定手段、
車両が前記目標走行ラインを走行するように操舵制御を行う操舵制御手段、
車両状態を取得する車両状態取得手段、
前記車両状態に基づいて前記操舵制御の許可および禁止の指示を判定する操舵制御許可指示判定手段、および
少なくとも前記走行路信頼度、および前記許可の指示に基づいて前記操舵制御を作動あるいは停止する操舵制御状態判定手段を備え、
前記操舵制御状態判定手段は、前記走行路認識手段の前記判定による前記走行路信頼度が高い状態が所定時間以上継続し且つ前記操舵制御許可指示判定手段による前記操舵制御の前記指示が前記操舵制御の許可を示している場合に、前記操舵制御の作動を開始し、前記操舵制御許可指示判定手段による前記指示が前記操舵制御の禁止を示している場合は、前記操舵制御の作動を停止し、
前記所定時間は、操舵制御が停止しかつ前記操舵制御の許可指示が許可を示す状態の継続時間の長さに応じて設定され、操舵制御が停止しかつ前記操舵制御の許可指示が許可を示す状態の継続時間が長いほど大きな値に設定され、操舵制御が停止しかつ前記操舵制御の許可指示が許可を示す状態の継続時間が短いほど小さな値に設定され、且つそれぞれ連続的に変化する値となる
ことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵装置において、前記車両状態は、運転者が操作するセットスイッチのオンあるいはオフのいずれかの動作状態である
ことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵装置において、前記車両状態は、車速である
ことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵装置において、前記車両状態は操舵トルクである
ことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵装置において、走行環境を取得する走行環境取得手段を備え、前記所定時間が、前記走行環境に応じて設定される
ことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項5に記載の車両用操舵装置において、前記走行環境は外気温であって、前記所定時間が、前記外気温が低いほど大きな値に設定される
ことを特徴とする車両用操舵装置。
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